全8件 (8件中 1-8件目)
1
![]()
「風をつかまえて」(高嶋哲夫、文春文庫)を読む。北海道のとある町が観光を当て込んだ風車の建設に乗り出す。建設を行うのは地元のさびれた鉄工所。そこで風車建設に携わる人たちの苦悩と苦闘、町側との思惑のすれ違いといったヒューマンドラマを軸とした1作。最近の高嶋作品らしく、風力発電・風車建設という現代世界(現代日本とほぼ同じ)の社会問題を扱っていながら、科学的な専門用語は多用せず、平易なタッチで描かれている。しかし、軸を外していない、いい作品だと思う。風車に関する理工学的な話もちゃんと描きつつ、そこにある人間ドラマもちゃんと捉えている。中には「東京の総合商社の底力」だの、「金の力」だの、私のキライなワードも出てくるが、風車建設の資金という側面をきちんと描く上では避けて通れないものなので、その辺はまぁ納得。あと個人的には、鉄工所の息子である主人公・優輝が終盤で、自分が風車建設の中心的役割を担っていく時に、自分が見えなくなったり、周りにきつく当たったりする気持ちに、「あぁ、それ判るよ」という気持ちになった(実際、それは決して良くないことなのだが、私もよくそういう破目に陥ってしまうので)。最後に、主要登場人物たちが風車の名前を決める時の台詞から一言引用。「風の神様が護ってくれそうだ」おぉ、ちょっと「風の谷のナウシカ」みたいでカッコイイぞ。風をつかまえて/高嶋哲夫
2012.06.28
![]()
「乱神(上・下)」(高嶋哲夫、幻冬舎文庫)を読む。時は鎌倉時代、北条時宗の治める日本は一度目の元寇の後、二度目の元の襲来に怯える日々。そんなところに、十字軍の一部隊であるエドワード・ガウェインらが博多に漂着。初めは異国人同士で対立・警戒しあうが、次第に打ち解ける中で、二度目の元寇に対して日本の武士と西洋の騎士が力を合わせて立ち向かっていく、という歴史エンタメ小説。設定自体は荒唐無稽かもしれないが、時代描写や人物描写が丁寧なので、物語として非常に読みやすく、作品世界にすんなり入って行ける。特に、仏教を信じる日本とキリスト教を信じる西洋の文化・価値観の違い、そしてそれをお互いに乗り越えて協力するというストーリー展開はかなり面白い。高嶋作品と言えばサイエンスもの、軍事モノが多い中で、この作品は異色な設定ではあるが(武士道や騎士道も軍事かもしれないが…)、通奏低音的には他の作品に通じる作風であるような気がする。2箇所、面白かったところを引用させてもらおう。「神や仏は皆、死後の幸せを約束するようですが、人は生きてあるときにこそ、幸せにならなければなりません」宗教とは不思議なものだ。人の救済を目的にしながら、また地獄に追い込むことにもなる。それほど人は弱いということだ。乱神・上/高嶋哲夫乱神・下/高嶋哲夫
2012.06.18
![]()
「Boy's Surface」(円城塔、ハヤカワ文庫JA)を読む。4篇からなる中篇集。いずれもSFといっていいだろう。題材としては、数学・計算・言語といったところで、古典・漢文・海外文学からの陽あるいは陰な引用、古語などの難解な用語の使用があるかと思えば、数学・物理などの専門用語が頻発する。久しぶりに国語辞典と漢和辞典がなければ読めない1冊。そして、相変わらずストーリーはお話になっているのかどうかさえ判らない。本人による巻末解説を読んだら余計に頭の中がこんがらがる。帯には「文学が、円城塔に追いついた。」とあるが、私はこれを文学とは呼べない。ただまぁ、自分としてひとつ失敗だと思ったのは、この手の本はゆっくり(何度か、あるいは何度も読み返しつつ)、かつ素早く(各中篇の途中に栞を挟むことなく一気に)読んでしまうべきであるのに、そうしなかったことである。ただでさえ前後関係(過去・未来関係や、ストーリー展開の順序)が判りにくいのに、下手な読み方をしたために、頭の中が余計にこんがらがってしまった。しかしまぁ、これは一体何なんだろうね、ホントのところ。Boy's Surface/円城塔
2012.06.12
![]()
「名作アニメの風景50-誰もが知っているあの物語の舞台へ-」(パイ・インターナショナル)を購入。よく行く東京・神田の書店の片隅に小さな写真集コーナーが出来ており、そこにあった1冊をほぼ衝動買いした。普段は写真集なんか見向きもしない私が、である。構成としては、見開き2ページの4分の1にアニメのタイトル、モデルとなった場所の地名、地図、アニメのシーンのワンカットと作品の説明書き。残り4分の3に、その場所の写真が配されている。一部の作品については、美術設定資料も収録。巻末には世界地図上でそれぞれの場所がどこにあるかが示されている。掲載されているアニメ作品は、「魔女の宅急便」(スウェーデン・ストックホルム)や、「紅の豚」(イタリア・アドリア海周辺)から、「新世紀エヴァンゲリオン」(日本・箱根周辺)とかなり幅広い。そういえば昔観たな~という作品もあれば、知らない作品もある。写真自体がキレイだし、世界のいろんなところの写真が収められているので、知らない作品があっても損したという感じはなく、むしろ買った価値ありである。こういうのをのんびりと繰りながら彼の地に想いを馳せる週末、なんてのもいいかも知れない。名作アニメの風景50-誰もが知っているあの物語の舞台へ-
2012.06.09
前者の簡単なやり方としては、単純に着メロ取り放題&着メロ設定のアプリをダウンロードして行う方法。私もまずこれをやってみた。しかしこの方法では、通話着信とCメール着信については設定できるのだが、Eメール着信(~@ezweb.ne.jpへの着信)については設定できないという問題がある。私は最初この方法を使った。まずアプリと着メロをダウンロード。そしてダウンロードしたアプリで着メロ設定。ここまでは良かった。で、Eメールについてはこのアプリでは設定できないので、Eメール設定から別途設定した。そこでおかしなことが起きた。元のアプリで設定した通話着信とCメール着信の設定が消えてしまったのだ。おまけに、ダウンロードした着メロ自体も消えてしまった(すくなくともダウンロードした時と同じ場所には表示されない。無料で取り放題だからいいけど、もしそうじゃなかったら、auを吊るしあげていただろう)。これではラチがあかないので、旧来のLismo Port経由で音楽をとりこんで、それを着メロにすることにした。使おうと思った曲は、いずれもドラクエのサントラで、都響版ドラクエ1のCDに収録されている以下の曲だ。通話着信:序曲Eメール:レベル・アップCメール:ローラの愛レベル・アップとローラの愛についてはそのままでいいのだが、序曲については、イントロ部分をカットして本体部分のみ使用したかった。そこで、Lismo Port上のディバイドのメニューで曲を分割しようとしたら、「分割できないフォーマットです」と怒られてしまった。そこで、SonicStageをダウンロードしてそこにCDから音楽を取り込み、「編集」→「ディバイド」で曲をイントロ部と本体に分割。更に、曲名を右クリック→「ファイルの移動」で、適当なフォルダを指定して分割後のファイルを移動させる。このとき、フォーマットがデフォルトで「OpenMG Audio(ATRAC3Plus)」になっているので、これは変えない。次にSonicStageを終了してLismo Portを起動(両者は同時に起動しておけない)。「ファイル」→「ファイルを指定して取り込む」を選択し、さきほど保存したOpenMG形式のファイルを選択。すると、Lismo Portにその曲が取り込める。あとは、ふつうにInfobar C01をパソコンにUSB接続して、「ケータイ転送」を使えば曲の転送はOK。最後に、Infobar C01の「設定」→「サウンド設定」で、転送した曲を選択すれば、通話着信の着メロについても設定完了。これで、通話着信、Eメール、Cメールの3つの着メロを設定したのだが、テストをしたのはEメール(自分のPCから送ってみた)だけなので、あとの2つが正確に動作するかは、今のところ不明。上手くいっていることを祈るのみである。
2012.06.07
![]()
「震災キャラバン」(高嶋哲夫、集英社文庫)を読む。神戸在住で震災経験のあるトランペッターにして中華料理店の息子、勇太。勇太の店でアルバイトをしている清美。2011年3月11日、東日本大震災が発生!清美は気仙沼近くの出身で、家族と連絡が取れない。そんな中、勇太はバンに清美と支援物資を載せて東北へ向かう、というストーリー(文庫書き下ろし)。被災地の生々しい描写もあるが、最低限にとどめられており、勇太や清美、バンに途中から乗り込んだ謎の同乗者、そして被災者(特に高校生)たちの人間ドラマがメインで描かれている(サイエンスものの得意な高嶋には珍しい作風)。震災を生き抜く人たちを描いたハートウォーミング・ストーリーとも言える。それにしても、この本の中で「Fly me to the moon」の曲名に出会えるとは…。震災キャラバン/高嶋哲夫
2012.06.05
昨日は銀座で開催された「String & Voice~音を届けたい~」チャリティーコンサートに参加。内容は、川端成道さんのバイオリン演奏(ピアノ:佐藤勝重さん)と、佐藤聡美さん・丹下桜さんの朗読とバイオリンとのコラボレーション共演。まずは川端さんのバイオリン。生のクラシックを聴くのは久しぶりだし(私が聴くクラシックはほぼ100%交響組曲「ドラゴンクエスト」なので)、バイオリン+ピアノ伴奏という形態は初めての体験だったのだが、知ってる曲も何曲かあり、これだけでも十分癒されたし、聴く価値ありだな、という印象。川端さん曰く、「いつもならお客さんは女性の比率が多いのですが、今日の客席の雰囲気は…(笑)」ということだった。まぁそれはそうでしょう(^^; 大抵は聡美ちゃん&桜さん目当ての人たちだから(って己もそのクチですが…)。 もちろん中には川端さん目当てのオバサマ方の集団やら、いかにもクラッシクファンという感じのご年配の方もおられたのですが…。その後、聡美ちゃん&桜さん登場。と、ここで予想通りの大拍手。川端さんはここでも「自分が登場した時より拍手が大きいですね」とウィットを発揮なさる。それにしても最初2人が登壇したときは、「アレ、2人が姉妹に見える」というほど、似たような格好をしておられて一瞬ビックリした。そして(いよいよ)朗読+バイオリンの共演。実は朗読+バイオリンだけでなく、ステージ上の照明も、話のシーンに合わせて変化させており(例えば、森のシーンなら緑、夕陽のシーンなら夕陽、夜のシーンなら月と星といった感じ)、実は三位一体的なステージになっていて、これもなかなか眼を瞠るものがあった。おまけに、ひそかに川端さんが声優デビューを果たすというおまけつき(^^) それにしても、2人は非常に通る声を持っているので、台詞の高音部はマイクを通すとかなり「キーン」と会場中に響き渡っていた(正直、ちょっと耳にきたよ)。川端さんは2人がいろんな声を使い分けているのに驚いている様子だったが、「七色の声の出せない声優ですから」と桜さん受け流し(^^)。 というか、トークに関しては聡美ちゃんのほうが上手(うわて)で、桜さんはひとり私的あるいはオタク的なほうに話を持っていってしまい、若干自爆気味のところがあった(^^; まぁ「くぅちゃん」という名前はかぶっているし、クラシックといえばEVOLなんたらかたらで、仕方ないんだけど。むしと(というか当然ながら)、仙台出身の聡美ちゃんの方がトークに関してもしっかりしてたなぁ、という印象。そういえば開始前に元・仙台市教育委員だった方の挨拶があって、その中で聡美ちゃんが長町中学校(記憶が正しければ)の出身という話をしており、私は「長町」という名前に思わずちょっと反応してしまった(長町-利府断層というのがあるので…職業病です、ハイ)。で、話が前後してしまうが、最後に再び川端さんのバイオリン演奏で舞台は大団円となるのでした。そして今回の収益を元に、秋には被災地・仙台でも同様のイベントを行うとのことで、そちらの方も成功することを末筆ながらお祈りするとして、今日のところはこの辺で。
2012.06.04
「バトルランナー」(スティーヴン・キング、扶桑社ミステリ)を再読。近未来のアメリカでは、富裕層と貧困層・都市とスラムの超二極化が進む。そんな中、スラムに住むベンは、一攫千金を狙ってテレビショー「ラニング・マン」に出場。このショーでは、全視聴者と<ハンター>の追跡を振り切って逃げ切れれば賞金を獲得、さもなければ容赦なく殺される。果たしてベンの運命は…。「逃走」がテーマな作品なだけに、ストーリーにも疾走感が感じられる。リチャード・バックマン名義で出された本書の作風は、キングのそれと似ているところもあり、そうでないところもある。一番似ていないのは、その長さかもしれない。この作品は420ページ程度の文庫本1冊なので、気軽に手とって読める。実際今回は私も1日ちょっとで十分読めてしまった。対して、キングの普通の長篇ならば、600ページ程度×上下2巻という感じで、「よし、読むぞ」と気合を入れて読まなくてはならない。そういった意味では、この「バトルランナー」はキング初心者にオススメの1冊かも知れない。ただし、古い本なので手に入るかどうかという問題と、キングの本当の作風ではないという問題はあるのだけれど…。
2012.06.02
全8件 (8件中 1-8件目)
1


