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「川と国土の危機-水害と社会-」(高橋裕、岩波新書)を読む。河川を題材に、災害の様相・歴史や社会的意義などを広範に解説している。話は河川に止まらず、近年の異常気象・火山噴火や地震など、様々な原因で水害が発生すること、その様態は多様化し、被害は拡大していることなどが述べられている。また、一般の人が災害についていかに無関心であるか、それがいかに危険なことであるかということに警鐘を鳴らしている。例えば、「空白の天気図」(柳田邦男、文春文庫)のテーマである、戦後すぐやってきた枕崎台風による被害についても述べられているし、貞観津波(869年、東日本大震災と同程度かやや小さい規模とされる)についても述べられている。特に後者については、貞観津波を考慮すべきであるとは、岡村行信によって2009年6月24日と7月13日、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会で指摘されていた。しかし列席していた東京電力の担当者は、岡村の警告を無視し、この段階では津波よりも耐震設計を重視したのであろうか。と手厳しい(この点について私は著者に大いに賛同)。本書全体にわたって「川は本来氾濫したいものであり、その自由を奪いすぎている」という点と「河川に携わる者(河川工学者、官僚、流域住民など)は、川をもっと『読む』べきである」という点が強調されていて興味深い。司馬遼太郎は1976年に「私を絶望的にさせたのは、国民総不動産屋の代表のような人物が首相になり、列島改造論という、山林地主と土地投機業者だけをよろこばせるような政策ともいいえぬ政策をかかげ、右の傾向を極度に過熱化したことである。」と述べているそうだ。また、寺田寅彦の「津波と人間」についても記述がある。自然災害について難しいところとして、「確率」として評価しなければならないことが挙げられている。これはなかなか一般の人には理解しがたいところであるが、専門家が積極的に啓蒙すべきである、というのが著者の主張であろう。私は地震の専門家として、地震による堤防の破堤に起因する洪水が発生すれば複合災害となることと、河川の専門家が「川を読む」ように、地震の専門家も「地質を読む」ことをしなければならないことを痛感した。特に私はフィールド(現場)がないIT業界にいるので、余計耳に痛い。ひとつ難を挙げるとすれば、日本語として係り結び(係り受け)がおかしなところが散見されたところか。良書だけに惜しまれる点であると、私は毎度のように思ってしまう。最近おかしな日本語がこういった本にもまま見受けられるのは、ちょっと嘆かわしい。これで今年83冊目読了。川と国土の危機/高橋裕空白の天気図/柳田邦男地震雑感・津波と人間/寺田寅彦
2012.12.26
さて、世間ではクリスマスイブとか云っているが、私のクリスマスは一応昨日で済んでしまった。そこで、今年読んだ本を改めてリストアップして、振り返ってみよう。1月「黒体と量子猫1 ワンダフルな物理史[古典篇]」(ジェニファー・ウーレット、ハヤカワ文庫NF)「黒体と量子猫2 ワンダフルな物理史[現代篇]」(ジェニファー・ウーレット、ハヤカワ文庫NF)「原発を終わらせる」(石橋克彦 編、岩波新書)2月「不眠症(上・下)」(スティーヴン・キング、文春文庫)「方法序説」(デカルト、岩波文庫)「原発クライシス」(高嶋哲夫、集英社文庫)「新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺」(柳田国男、角川ソフィア文庫)「省察」(デカルト、岩波文庫)「武士道エイティーン」(誉田哲也、文春文庫)「途方もない放課後」(鷺沢萠、新潮文庫)「かわいい子には旅をさせるな」(鷺沢萠、角川文庫)「カオスの紡ぐ夢の中で」(金子邦彦、ハヤカワ文庫NF)「ぼくのメジャースプーン」(辻村深月、講談社文庫)「星界の報告 他一篇」(ガリレオ・ガリレイ、岩波文庫)「太陽の坐る場所」(辻村深月、文春文庫)3月「生命とは何か-物理的にみた生細胞-」(シュレーディンガー、岩波文庫)「ファイアー・フライ」(高嶋哲夫、文春文庫)「リスク・リテラシーが身につく統計的思考法-初歩からベイズ推定まで-」(ゲルト・ギーレンツァー、ハヤカワ文庫NF)「冷たい校舎の時は止まる(上・下)」(辻村深月、講談社文庫)「空白の天気図」(柳田邦男、新潮文庫)「量子コンピュータとは何か」(ジョージ・ジョンソン、ハヤカワ文庫NF)「海の鳥・空の魚」(鷺沢萠、角川文庫)「回想のビュイック8(上・下)」(スティーヴン・キング、新潮文庫)「系外惑星―宇宙と生命のナゾを解く―」(井田茂、ちくまプリマー新書)「ロードムービー」(辻村深月、講談社文庫)「相対性理論」(アインシュタイン、岩波文庫)「デッド・ゾーン(上・下)」(スティーヴン・キング、新潮文庫)「歴史は『べき乗則』で動く-種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学-」(マーク・ブキャナン、ハヤカワ文庫NF)4月「凍りのくじら」(辻村深月、講談社文庫)「ドリームキャッチャー(1)~(4)」(スティーヴン・キング、新潮文庫)「そんなつもりじゃなかったんです THEY THEIR THEM」(鷺沢萠、角川文庫)「地震雑感/津波と人間 寺田寅彦随筆選集」(寺田寅彦 千葉俊二/細川光洋 編、中公文庫)「ホーンズ ―角―」(ジョー・ヒル、小学館文庫)「愛してる」(鷺沢萠、角川文庫)「E=mc2 世界一有名な方程式の『伝記』」(デイヴィッド・ボダニス、ハヤカワ文庫NF)「サザンクロスの翼」(高嶋哲夫、文春文庫)「捕手目線のリーダー論 ~六つの要~」(矢野燿大、講談社)5月「都庁爆破!」(高嶋哲夫、宝島社文庫)「科学と仮説」(ポアンカレ、岩波文庫)「科学の価値」(ポアンカレ、岩波文庫)「オブ・ザ・ベースボール」(円城塔、文春文庫)「科学と方法」(ポアンカレ、岩波文庫)「入り江」(スティーヴン・キング、扶桑社ミステリー「ミルクマン」所収)「秘密の窓、秘密の庭」(スティーヴン・キング、文春文庫「ランゴリアーズ」所収)「異端の数ゼロ―数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念―」(チャールズ・サイフェ、ハヤカワ文庫NF)「Self-Reference ENGINE」(円城塔、ハヤカワ文庫JA)6月「バトルランナー」(スティーヴン・キング、扶桑社ミステリ)「震災キャラバン」(高嶋哲夫、集英社文庫)「名作アニメの風景50-誰もが知っているあの物語の舞台へ-」(パイ・インターナショナル)「Boy's Surface」(円城塔、ハヤカワ文庫JA)「乱神(上・下)」(高嶋哲夫、幻冬舎文庫)「風をつかまえて」(高嶋哲夫、文春文庫)7月「史上最大の発明アルゴリズム-現代社会を造りあげた根本原理-」(デイヴィッド・バーリンスキ、ハヤカワ文庫NF)「後藤さんのこと」(円城塔、ハヤカワ文庫JA)8月「空想オルガン」(初野晴、角川文庫)「インビジブルレイン」(誉田哲也、光文社文庫)「黄金比はすべてを美しくするか?-最も謎めいた『比率』をめぐる数学物語-」(マリオ・リヴィオ、ハヤカワ文庫NF)9月「ツナグ」(辻村深月、新潮文庫)「地名に隠された『東京津波』」(谷川彰英、講談社α新書)10月「ハング」(誉田哲也、中公文庫)「時空のゆがみとブラックホール」(江里口良治、講談社学術文庫)「東京の自然史」(貝塚爽平、講談社学術文庫)11月「シャイニング(上・下)」(スティーヴン・キング、文春文庫)「天の科学史」(中山茂、講談社学術文庫)「ミザリー」(スティーヴン・キング、文春文庫)「命の遺伝子」(高嶋哲夫、講談社文庫)12月「呪われた町(上・下)」(スティーヴン・キング、集英社文庫)「生物から見た世界」(ユクスキュル/クリサート、岩波文庫)「衆愚の果て」(高嶋哲夫、幻冬舎文庫)「『地球のからくり』に挑む」(大河内直彦、新潮新書)「憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座―C++による実践的ソフトウェア構築入門」(Tucker、翔泳社)「プロジェクトマネジメント標準 PMBOK入門」(広兼 修、オーム社)合計82冊(上下モノは2冊でカウント。短篇・中篇の収録作も1冊でカウント)。今年も80冊を超えられた。7~9月が少ないのは試験勉強をしていたせい(落ちたけどさ)。今年新しく読み始めた作家は辻村深月と円城塔。どちらも私好みの作風で(円城塔に関してはかなり謎が多いが…)これからも読むだろうなと思う。実際、辻村作品は先日BOOK OFFで2作品買っておいてある。あと、年内にはもう1冊読みたい新書もあるし、何といってもようやくバートン版千夜一夜物語のセットを買ったので、しばらく読むモノには困らなさそう。それでも年明けにはキングの中篇集が発売されるし、なんだかんだ言って来年も書籍費はかさむだろうな。まぁそれは全くいいことなんだけどね。来年は90冊を目指すか!?90冊ってことは4日で1冊のペースか…これはどうだろう?厳しいかな?
2012.12.24
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プロマネとしての知識を身につけようと思って読んだ1冊(一応、次春のPJ試験の勉強も兼ねて。SA落ちちゃったしね…)。PMBOKはそれなりに憶えることも多いし、憶えても即実務に使えるかというと、一般的には疑問符が必ずついてしまうと思う。本書はシステム開発を事例とした適用の方法や、練習問題もついている。よって、「即戦力」とはいかなくても、繰返し読むことや、実務への適用をある程度試みることによって力になってくるのではないかと思う。ちなみにPMBOKの憶えるべきことは、体系立っているのでそんなに苦ではないと思う(PJ試験の本を見ても、かなり知識問題で解けるものが多いみたい)。本書はその名の通り、PMBOKの「入門書」としては最適だと思う。プロジェクトマネジメント標準 PMBOK入門/広兼修
2012.12.23
さて、この項久しぶりの書き込みである。×他重軽傷○多重継承だから多重継承はしちゃいけないんだよ(←「だから」じゃないけど…)。
2012.12.22
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今週仕事の合間に通読した本から…。 「憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座―C++による実践的ソフトウェア構築入門」(Tucker、翔泳社)相変わらずオブジェクト指向がイマイチ判らない私。でも最近は数値計算モノのプログラムもできるだけC++で組むようにしている。Fortran90がイイという意見も判らんではないが、Cに慣れた私としては、できればCに近い言語でやりたいという気持ちがある。でもJavaはガチガチ過ぎて(ファイルの読み込みすら難しい)…なワケでC++なのである。C++は複素数も使えるし、オブジェクト指向なら部品の再利用も簡単なので、Fortran90より劣る理由はもうない。しかし、このオブジェクト指向がクセモノなのだ。さっきも言ったが相変わらずイマイチ判らない。そんなわけで、前から欲しかった本書にトライ。「分析」と「設計」に重きを置いていて、それさえキチッとできれば、あとはそれをそのままソースに落とし込むだけ、という思想は明快。通読しただけなので、後半はちゃんと判ってない箇所も多いが、実践の場面でもう1回読み直せば身に付くかな、と思う。難点は、Cを知らないと難しいことと、古い本なのでUMLやユースケースについての記述が甘いところか。でもまぁ、それは他書を読んでくれってことで十分。しかしまぁ、C→Java→C++という不思議な順番で経験してきた私にとっては、やはり「多重継承」はすべきじゃないなぁ、というか、いつ使うねん、って感じである。いろいろ問題があるので、分析・設計の段階で使わなくていいと判れば(まぁ大概そうなるとは思うが…)、使わないに越したことはないと思う(のは私だけでしょうか?)。ちなみにJavaユーザに同様の本をオススメするとしたら、「Head First オブジェクト指向設計分析―頭とからだで覚えるオブジェクト指向の基本―」(Brett McLaughlin, Gary Pollice, David West、オライリージャパン)がイイ。こっちはそんなに古くないし、あとはリンク先を見て頂きたい。憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座/TuckerHead Firstオブジェクト指向分析設計 頭とからだで覚えるオブジェクト指向の基本/Brett McLaughlin, Gary Pollice, David West
2012.12.22
今日合格発表があり、表題の通りまた不合格だった。ちなみに成績は以下のとおり。午前1:81.6午前2:76午後1:60午後2:B午後1が辛うじて60点。そこはではよかったが、やはり論文がBでダメだった。やはり論文試験は、自分の経験がある分野が出題されないと難しい…。参考書の類には「経験がなくても知識だけで合格論文が書ける」と書いてあるのだが、私にはそれはあてはまらないというか、そうは思えない。まぁ、また来秋受けるよ。とりあえず2年間の午前1免除権は手にしたし。あ~でも悔しいな。午後2対策が不足していたのは判ってはいたけど、いざ点数が出ると悔しい。悔しい悔しいと言っていてもしょうがないので、今回勉強した内容をまとめておこう。Part0.前回受験の復習Part.1公式編Part2.ハードウェア・システム制御編Part3.ネットワーク編Part4.セキュリティ編Part5.マネジメント編Part6.ストラテジ編Part7.法務編Part8.一般編Part9.午前2&午後1対策用語編Part10.最近の技術動向関連用語集-その1Part11.最近の技術動向関連用語集-その2Part12.午前問題用語補足編Part13.午後1対策編Part14.鬼門の午後2対策編Part15.受験記Part16.今回出題の用語復習編
2012.12.21
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「『地球のからくり』に挑む」(大河内直彦、新潮新書)を読む。主に「エネルギー」の観点から「地球」を分析した1冊。人間がいかに大量のエネルギーを使っているかという話から始まり、窒素肥料、化石燃料、人工燃料、ハイドレート、炭素循環、原子力エネルギー、そして現在のエネルギー問題までが論じられている。面白いエピソードも満載。例えばこんな感じ。・最近ではCO2とH2Oを反応させて炭化水素を合成する方法が開発されている。・メンデレーエフは石油無機成因説を唱えたひとりであり、「ソリティア」のトランプに当時知られていた元素名を書いたことをきっかけに元素の周期表に思い当った。・三池炭田に関するエピソードに阪神・真弓、巨人・原の名前が出てくる(吃驚!)。・あのマイケル・ファラデーが塩素ハイドレートの研究実験をしていた。・大気中のCO2濃度の上昇に伴い、O2が減少している(これは考えてみれば当たり前だが、今まで気づかなかった)。・東日本大震災を引き起こした地震のエネルギーは、2000兆キロジュールと莫大だが、これは平均的な台風の2個分に過ぎない。さて、最後に苦言をひとつ。P.147に「独壇場」と書いて「どくせんじょう」を振り仮名がある。これは「どくだんじょう」の誤り。しかもよく見てみると「壇」が「つちへん」じゃなくて「てへん」になっているという誤りも。これは執筆者が悪いのか校正者が悪いのか…いい本なだけに惜しい。「地球のからくり」に挑む/大河内直彦
2012.12.17
昨日は会社の部署の忘年会だった。そして2次会で超ひさびさのカラオケへ。カラオケで派手にやったのは多分このとき以来。そして選曲がそのときと似てる(汗)。今回のプレイリストは以下のとおり(順不同)。残酷な天使のテーゼ/高橋洋子RHYTHM EMOTION/TWO-MIXタッチ/岩崎良美宇宙戦艦ヤマト/ささきいさお創聖のアクエリオン/AKINOそばかす/JUDY AND MARYマイ フレンド/ZARD恋しさと切なさと心強さと/篠原涼子 with t.komuro六甲おろし/中村鋭一エヴァとタッチとかはいつものレパートリ。今回はそこにアクエリオンを入れて、「今の人気3大アニソン」を全部歌ってみた。アクエリオンは初めて歌ったがかなりの難曲だった。というよりは、単にエヴァとタッチがあまりに歌い慣れているだけか…。そういえば、アクエリオンは意外と「食いつき」が悪かった。まぁ2次会終了直前だったこともあるし、私の歌の出来がよくなかったこともあると思うのだが…。あの「1万年と2千年前から愛してる」の歌詞にはみんな絶対聞き覚えがあると思ったんだけどなぁ…私も初めて聞いたのはアニメではなく、パチンコか何かのCMだったのだが(「あなたと合体したい」というキャッチでやってたヤツ)。そして「そばかす」からの3曲はJ-POPの曲なのだが、これらももちろん全部アニソンでもある。で、アニソン以外が「六甲おろし」だけという、素晴らしいラインナップがワタシ的には完成したのである(爆)。振り返るともっと歌いたいアニソンはいろいろあるなぁと思うが、そもそも「ひとりで9曲も歌うなよ」というツッコミが各所から入りそうだなぁ、などと思ったりするのである。あ~楽しかった。
2012.12.15
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「衆愚の果て」(高嶋哲夫、幻冬舎文庫)を読む。プータローから比例名簿の下位に名を連ね、国会議員になった大志。初めは惰眠を貪っていていも高給が手に入る、こんなオイシイ仕事はない、と思うが、徐々に違和感を感じ始める。ついには党の方針に反して議員立法を決意し、人数集めに奔走するという話。もちろんフィクションではあるが、日本の政治の笑えない側面を見事にとらえている。登場人物も実在のヒトを連想させる。例えば…。・二千万円発言のタイゾウ君・名前こそ出てこないが大阪府知事(時代)のあのヒト・名古屋市長の「村河」氏・「松上」政経塾・「日の丸航空」さすがに田中角栄の「日本列島改造論」はそのまま出ていたが…。一言でいえば…。「政府は選挙のために国民の機嫌を取り、国民はそんな政府に迎合し、結局は自分自身の首を絞める」ってことなのだ、この国の政治は。選挙前に読んでちょっとは良かったかな、と思う。衆愚の果て/高嶋哲夫
2012.12.11
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「生物から見た世界」(ユクスキュル/クリサート、岩波文庫)を読む。生物の感覚の及ぶ範囲を「環世界」と定義し、その観点から様々な生物の生態上の特徴(行動)を説明した1冊。各章が短くて読みやすく、生物の面白い生態が描かれている。その部分だけでも十分楽しめる。また、「環世界」は客観的に存在する環境とは違い、主体的に認識できる環境の範囲である、という点が強調されている。これは一般的に考えられている「環境」とは全く性質を異にするもので、その点にも本書の面白さがある。生物から見た世界/ユクスキュル/クリサート
2012.12.05
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「呪われた町」(スティーヴン・キング、集英社文庫)を読む。アメリカの片田舎の町「ジェルーサムス・ロット」に越してきて、骨董屋を開いた2人組。彼らが住むために借りた家は、いわくつきの「マーステン館」。彼らが町に住むようになってから頻発するようになった不可解な死者。常に姿を見せない2人組のうちのひとり。彼は吸血鬼で、死者たちは彼によって殺されて吸血鬼となり、町を崩壊させていく。それに立ち向かう人々はひとりまたひとりと減っていき…。デビュー作「キャリー」と「シャイニング」に挟まれたキングの第2作。既に本作からキングの筆致というか境地が表れている。何事もない平和な田舎町を描いた導入部から入って、徐々に「吸血鬼」という恐怖の要素が加わっていく。それは読者をあっという間に作品世界に引き込む。読んでいて「この町には吸血鬼がいるのは当たり前」と思わせる。そんなところまで読者は導かれていく。そして私がキング作品を評するのによく使う言葉なのだが、本作で既に「正気と狂気の境」を描く天才的な才能を発揮している。それなくしては、本作が人を戦慄させ、魅了させることはないであろう。呪われた町(上)/スティーヴン・キング呪われた町(下)/スティーヴン・キング
2012.12.01
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