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MKC4話アグリア路地で黒いベトつく網で捕らえられる刀耶とリティーシャ。その様子は蜘蛛の巣にかかった獲物のようであった。「まずはその生意気なチビ女!お前からいたぶってやるよ!!」警棒型スタンガンのスイッチを入れる女、勢いをつけてリティーシャの腹を突き、電撃を流し込む。「ああああああああああっ!!」「ひひははははははーっ!!いい悲鳴!!いいわぁ~もっと聞かせてよ~!生意気なチビ女が!!余計な詮索をするとこうなるのよ!!」「やめろ!やめるんだ!!」叫ぶ刀耶。体を揺さぶり腕の拘束を外そうと試みる。「やめろと言われてやめるかバーカ!ワタシに命令していいのはあの人だけなんだよ!」女は刀耶の脇腹を警棒型スタンガンで打ち付け電撃の流し込む。「ぐああああああああっ!!」「いいいわああああああああ!!いい悲鳴よ!!この前は調子に乗りすぎて壊してしまったけど。そのかわり冥土の土産を口に突っ込んであげたしいいよ……ねっ?」リティーシャの腹に回し蹴りを叩き込む女。「うっ…」「さぁ~二人共…面見せてよ~ボッコボコにしてあげるから!その前にこのアタッシュケースとブレスレット何?」女の指がブレスレットのダイヤの印に触れる。「何!?」刀耶の持ったケースは金属片に分解されていき、黒い粘着物を巻き込みながら次々と張り付き鎧の形になっていく。「え、何!?何よその格好!!」「ぬううううああああああああああっ!!」ナイトケースを完全装着した刀耶、体にまとわりついた黒い粘着物を引きちぎる。「そんな!タールよりも粘着力があってナイロンの2倍伸びて鋼鉄並みの強度を持つワタシの網が!!」「刀耶!私の網を切ってください!」「させるかー!!」警棒を振り上げる女。刀耶はそれを腕で受け止める。「ちっ」「おねえさんに俺を止めることはできないよ」女を突き飛ばし、リティーシャの粘着物を千切る。「ああ…お気に入りの服がダメになってしまいましたね。同じ物はまだありますが」「言ってる場合か!行くぞ」リティーシャを抱える刀耶。ナイトケースの足裏からジェット噴射で一気にビルの上まで飛び上がる。「ナイトケースは私の方でも操作して装着できるようにした方が良いですね」「その方が助かる」リティーシャを下ろす刀耶。屋上から外付け非常階段のある隣のビルに飛び移る。「マテマテマテー!」「ニガサンゾー!」振り返るとオーグルに変化したニット帽バンダナマスクの二人組が叫んでいるのが見えた。「あいつら…!」「トーヤ、二人相手は分が悪いですね。ハイパーキングファイターのNPCモードで一対多の戦闘も経験済みでしょうが実戦は違います」「それは…分かってる」「見たところ相手は飛べそうにありません、こちらは短時間といえど飛ぶことができます。それを有効活用するのです!」「それなら…武器は槍だな!ランスを頼む!!」「了解、ランスを武器覧に追加します」ナイトケースの背中の厚い装甲から数枚金属片が飛び3mほどの槍に変形する。「マテマテマーテ!」「ニガサンゾー!」メイスを振り上げる二人のオーグル。刀耶はランスを構えジェット噴射で突進する。「こちらの武器の方が遥かに長い!攻撃は先に届くし避けられてもジェットでそのまま通り抜ければ!」「ガッ!」「ムッ!」刀耶の突進を避ける二人組。反撃を試みるも既に刀耶は間合いの外まで離れている。「避けられるならこうだ!」再び突進で仕掛ける。ランスを振りかぶり正面から刺突を仕掛けると見せかけ一旦引き、すれ違いざまに背中に一撃を入れる刀耶。「ギエエエエッ!!」「ヤリヤガッタナ!!」反転する刀耶、再々度突進攻撃を仕掛けるべく狙いをつけてジェット噴射。しかし突進攻撃は行われなかった。黒い粘着物がナイトケースの右脚部と屋上の床を縫い止めていた。「なにっ!?」「逃すと思ったのかい?」バイヤーの女は舌なめずりをしてくせのついた黒髪をかきあげる。「そんな…どうやって屋上まで…」「ワタシには簡単なこと…よ!」そう言いながら黒い粘着物を投げつけた。刀耶の左腕にまとわりつく。「お前たち!そっちのチビ女を捕まえな!!殺すんじゃないよ!!」「ヘイ!」「アイサ!」バイヤー女の命令を受けオーグル二人はリティーシャに向かって走り出す。「させるかー!ストライクスマッシュ!!」刀耶は膝をついた状態でランスを投げる。エネルギーを帯びたランスはレーザー光線めいて飛び、オーグルの一人を貫く。「ギャゴオオオオオッ!!」貫かれたオーグルは爆発四散。肉片の光が集まり屋上にやせ細った茶髪の男が倒れた。「チッ!やったねこのガキ!!」黒い粘着物を投げるバイヤー女。刀耶は右足を固定され動けない。黒い粘着物を避けることはできず左腕で受け止めた。「ひひはははははー!どうする?さっきみたいに剥がすかい?無駄だよ?いくらでも追加でかぶせてやるからね!!」オーグルに追われるリティーシャ。ビルからビルへと軽い動きで飛び移っていく。追うオーグルは野性的な荒々しい動きで飛び移っていく。「ニガサンゾー!!」「しつこいですね」リティーシャはピンクジャージのポケットからディスク状の金属片を取り出しオーグルに投げつける。ディスクはコウモリに変形しオーグルに襲い掛かる。「ウゼーウゼー!」金属コウモリはオーグルの顔めがけて飛びかかる、払いのける手を回避し再度顔への攻撃を仕掛ける。執拗な攻撃で足を滑らせるオーグル。ビルの谷間20mほどの高さから落下、背中を打ち付けうめき声を上げる。「ゲブッ……」リティーシャはオーグルが追ってこない事を確認すると金属コウモリを回収し刀耶の居るビルに戻っていく。「ひひひははははー!特性スタンガンの電撃を味わいな!!」「ナイトケース、装着解除!」刀耶はヘルメットの画面から見えるナイトケースの装着解除を選択する。ナイトケースは一斉にカード状の金属片に変わり刀耶の体から離れる。その際、黒い粘着物を引きちぎり、接近してきたバイヤーの女を弾き飛ばした。「ナイトケース装着!」瞬時に装着する刀耶。ロングソードを右手に持つ。「このガキ!ワタシをあんまり怒らせるなよ!!」バイヤー女の警棒スタンガンが伸び、先端は三叉に割れる。1m程度の三叉槍となった。「この槍は鉄板もブチ抜くんだよ!煽ってくるふざけた車に何度も穴を開けてやったさ!そんな鎧もブチ抜いてやる!!」黒い粘着物を左手で投げつけ、右手に持った電撃三叉槍で攻撃を仕掛ける女。刀耶は冷静に女の右側に避け、電撃三叉槍をロングソードで叩いた。常人の10倍の力を発揮するナイトケースの一撃。「んん?」女は叩き落とされずに電撃三叉槍を離さず握っていた。「ひひははははー!!ワタシをその辺の弱い奴らと一緒にするなよ?」三叉槍を横薙に振るう女、刀耶はロングソードで受け止める。「お前もオーグルを!?」「いいや?」刀耶はロングソードで仕掛けるのをためらった。対オーグル用兵器であるナイトケースでオーグルを倒しても殺すことはなかった。だが目の前の女はオーグルではない、傷つけることはできないと刀耶は咄嗟に判断し一歩下がった。「おやぁ?ひょっとしてワタシに攻撃できない!?それは好都合!こっちは思う存分攻撃できるからねぇ!」「くっ……」眉間にしわを寄せ後ずさる刀耶。「トーヤ!!」リティーシャが戻ってくる。金属コウモリを投げつけて女を攻撃する。「チイッ!鬱陶しい!!」三叉槍を振り回す女、金属コウモリはそれを軽く回避。「トーヤ、あなたは下に落ちたオーグルに対処してください。この女は私が相手をします」「大丈夫かよ!?」「オーグルはナイトケースで処分しなくてはなりません!早く!!」「…すぐに戻る!」ジェット噴射で一気に距離を離し、ビルから飛び降りる刀耶。下にはゆっくりとした動きで見上げるオーグルの姿。「ゲェ!?」「くらえ!!」ロングソードを振り下ろす刀耶、メイスで受け止めるオーグル。オーグルは体勢を崩し路地に置かれた自動販売機に激突する。「アアクソ!無敵の力を得られるんじゃなかったのかよー!!こんな金属マンに負けたくねー!!」メイスを振り回すオーグル、刀耶はロングソードで受け流す。「ストライクスマッシュ!!」ナイトケースの力が込められた光るロングソードを上段から振り下ろす。オーグルは脳天から顎にかけて切り裂かれ青い鮮血を撒き散らした。「グワッ……」オーグルは爆発四散。跡には茶髪のやせ細った男が倒れていた。バイヤーの女は黒い粘着物を連続で投げるがリティーシャを捉えることはできない。軽い動きで回避を続け金属コウモリが攻撃を仕掛ける。「チョロチョロしやがってぇ!」三叉槍を闇雲に振り回し叫ぶ女。リティーシャはピンクジャージから新たに金属ディスクを取り出す。「オーグルに関わっている者が人間だけとは思ってませんでしたがこんなに早く出てくるは思いませんでした」 金属ディスクは小型拳銃に変形。リティーシャは女に引き金を引いた。銃口から赤い光線がほとばしり女の肩に命中した。「ぎいっ!」間髪いれず光線を連続で撃ち込むリティーシャ。女の胸、腹、足に命中する。「ぎいいいいっ!!熱い!!あっつい!!」計4発。光線が命中した箇所から煙が上がる。リティーシャはそれ以上追撃はせず銃を構え女を見据える。「ひ、ひひひははは…ワタシを倒すにはちょっと威力が足りないようだね!!」「オーグルの事をどこまで知っているんですか!答えなさい!!」「バカチビ女!言う訳ないだろう!?お前とあの鎧男はここで死ぬんだよ!!死ぬからって教えるほど親切じゃねえぞ」左手を大きく振り、黒い粘着物を巨大な投網にする女。リティーシャは後方に飛んで回避。ビルの端に追い詰められる。女は三叉槍を振りかぶる。リティーシャは銃を構える。「ブッ刺してやる!」「おっと!間に合ったな!!」下からジェット噴射で上がってきた刀耶がロングソードで三叉槍を受け止める。「トーヤ!その女は普通の人間じゃありません!!遠慮せずにナイトケースで倒すのです!!」「さっきそんな気はしたが……やっぱりそうか!なら手加減無しで行くぞ!!」三叉槍を弾き、一歩踏み込んで右手を狙う刀耶。ロングソードの切っ先が女の腕をかすめる。「ぎいいっ!いったぁー!!舐めてんじゃないよ!!」女は革ジャンを脱ぎ捨て大きく背中の開いたタンクトップ姿になる。しゃがみこみ両手をつく。背中から4本の黒く光沢のある甲殻を思わせる足が生えてきた。「何!?…なんなんだこいつは!?リティーシャ、こいつもオーグルなのか!?」「その女は恐らく…」「ひひひはははははー!最高に美しく最高にセクシーなアラクネ族のアグリアさ!!この国のダサい蜘蛛とは違うのよ!!」アグリアは大きく蜘蛛足を広げ高笑いをする。「トーヤ!これを武器に装着してください!」「ん?」刀耶はリティーシャから投げ渡された銃のディスクをロングソードの刀身の根元に貼り付ける。すると帯状に変化し刀身に巻き付き、火を噴く。刀身は炎に包まれた。「うおおおおおっ!!炎の剣か!!」「こういう事もあろうかと用意しておいたのです。オーグルとは別の人外を相手をする場合、ナイトケースの標準装備では通じない場合もありますから」炎のロングソードを中段に構える刀耶。「ハ!そんなものでどうにかできるものかー!!」外骨格で硬質化するアグリアの手足。左手から糸状の黒い粘着物を噴射する。「おっと!」背中の蜘蛛足で地面を蹴り三叉槍で刺突を仕掛ける。想像以上の突進スピードに刀耶はガードをせざるを得なかった。「ハー!」蹴りを繰り出すアグリア。続いて背中の蜘蛛足の鋭い爪で狙う。4本の足の爪がナイトケースのヘルメットに炸裂した。「うぐっ…」衝撃が刀耶の脳を揺らす。「硬い鎧だね!それならこれで……どうだ!!」左手から黒い糸を噴出しナイトケースの胸部装甲に貼り付ける。その糸を背中の足で引き、スイングを始める。「ヒヒハハハハハー!!思いっきり投げ飛ばしてやるよ!!」「トーヤ!!」「くっそおおおっ!!」炎のロングソードで黒い糸を切断する刀耶、遠心力で放り出されビルの屋上に設置されてある給水タンクに激突した。「ぐっは!いってぇなー」「ハハー!!」黒い糸で作った網を投げ、それを追いかけるように三叉槍で突進するアグリア。「速い!だが動きは単純だ!!」ハイパーキングファイターでいつも絡んでくるアラクニドを思い出した。刀耶は網をジェット噴射で左に回避。「(網で仕掛けた次は必ず三叉槍での攻撃だ。アラクニドとこいつは戦い方が似てる)」三叉槍に合わせて刀耶はカウンターの胴斬りを入れる。炎のロングソードがアグリアの腹を切り傷を焼く。「ウギャアアアアアアッ!!」「効いてます!トーヤ、追撃を!!」「(アラクニドは攻撃を受けたら引かずに三叉槍で小さく連続突いて反撃のきっかけを作ろうとする)」「ハアッ!!」刀耶は三叉槍の攻撃にロングソードを合わせて弾き返す。そして刺突をアグリアの肩に入れる。「ギイイヤアアアッ!あのクソゲーの調子に乗ってる馬鹿と同じことしやがってぇ!」「(コイツ!本物のアラクニドか!?)」アグリアは網で刀耶の足を狙う。だが刀耶はそれを察知し飛び上がる。「ストライクスマッシュ!!」ナイトケースの力がロングソードに流れ込む。巨大な炎の剣と化したロングソードがアグリアに振り下ろされる。「ギャアアアアアッアツイイイイイイイイイイ!!」炎に包まれるアグリア。ビルの屋上の床を転げそのまま下に落ちていった。「どうだ!?やったか?」追いかける刀耶とリティーシャ。下を覗き込むが姿は無かった。「逃げられましたね…そう簡単にいく相手ではありませんでしたか」「もう少しだったのにな……だけど二人もオーグルを始末できて良かったな」「そうですね……もう一人、コウサカを忘れては行けませんよ」「そうだったな!」「リティーシャ、まだ変化していないオーグルに取り憑かれた者はどうするんだ?」「このコウモリ型オーグル回収機で吸い取りますよ」リティーシャはディスクをコウモリに変形させて言った。「時間がかかる上に激しい痛みを伴うので拘束する必要がありますが…」「それで半廃人を免れるなら仕方ないかな…」リティーシャを抱えジェット噴射でビルから降りる刀耶。オドロキ屋に向かって路地を歩く。路地の出口に人影が二人。一人はグレイスーツの男、もう人は小宇坂であった。「また会ったね君たち……何をしているか知らないがあまり首を突っ込まないほうがいいぞ?」小宇坂は目を宙に泳がせ棒立ちの状態である。首から数珠のような物が下げられているのが見える。グレイスーツの男が左手で印を組む小宇坂の口から緑黒の液体が飛び出した。男はそれを瓶で受け止め回収する。「!?」「……行きましょう」リティーシャは刀耶の腕を引く。「良かったら少し話をしないか?ひょっとしたらお互いに有益な情報を交換できるかもしれない」「あ、いや…その……」「あなたは今回収したものが何か知ってるのですか?」言葉を詰まらせる刀耶に対しリティーシャは毅然として質問を投げかける。「そういう君は知っているようだね?何故知っているのかな?」「質問に答えてください」「質問に答えれば君も答えてくれるかい?」目深くかぶった帽子のせいで男の表情は分からない。リティーシャはガスマスクの画面を操作し男の姿を撮る。「あ、あんた!溝口堂で何をしてるんだ?警察とも繋がってそうだけど」刀耶は咄嗟に出た疑問を口にした。「そうだね……嘘をついてもそっちのお嬢さんに見破られそうだし…溝口堂では札の補充をしてたのさ。警察は知り合いがいてね。少し前から仕事で東京に来ててね、色々あってこの緑の液体にたどり着いたってとこさ」男は儀式に使われるような札と警察関係者の名刺を取り出して見せた。「で、君たちは?」「俺たちは……」「私たちはその緑の液体を追っています。それを製造し広めている者を見つけるために」「ほう~…そうかい。ではこの男を知っているかな?」グレイスーツの男は写真を二人に見せる。そこには大柄な外国人風の男が写っていた。「この男は大嶽秀義。こいつを追っていたら緑の液体の存在を知ることになったのさ」「この男は……」「もしかして…バイヤーのアグリアと一緒に映ってた男か」刀耶はリティーシャから送られてきた映像を見て頷いた。「このオオタケは何者なんですか?」「新鋭の青年実業家……ということになっている表向きはな。裏で色々とやっている。東京で起きている奇怪な事件の背景にいつも大嶽の影がちらつくんだ。だが決定的な証拠は無いうえに奴の所在もつかめていない」「緑の液体は他の街ではまだ見つかっていませんか?」「ああ、ここ秋馬原だけだろう今の所はね。これまでの調べで大嶽は東京の各区に仲間を置いている事が判っている。秋馬原にもいるはずだ、その仲間の一人が緑の液体を広めていると考えていいだろう」「その者は!?」「まだ分かってないよ。そっちも調べているならこれからも情報交換しようじゃないか。ほら、これが私の連絡先だ」男は携帯電話の番号が書かれたメモをリティーシャに渡す。「私たちを信用するのですか?私はあなたを疑っていますよ」「はは……出来る事はやっておく主義でね。事件解決が早くなればそれに越したことはない。君たちの協力がなくても君たちが敵でも私は私の仕事をするだけさ」「それであなたのことをどう呼べば?私はリティーシャ・ヴァン・ヴァスベルゲです。こちらはトーヤ」「あ、ども…」「私は……そうだな、レンとでも呼んでくれ。それじゃリティーシャくんにトーヤくん」レンは路地を出て大通りの人ごみに消えていった。「戻るかリティーシャ」「そうですね。明日からどうするか考えましょう」続く
Apr 23, 2016
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MKC3話ネットリティーシャのアジトに戻る二人。早速アキバハラ二丁目の監視カメラの映像を確認する。「カノウはバイヤーと三日前に出会ったとか言ってたよな?」「はい、三日前の映像から見ましょう5倍速で」しばらく見ているとバイヤーらしき大柄な男と黒髪の女が店に入っていくのを見つけた。その後クツキとカノウが入っていく。そして4人で出て行く姿を確認した。「どうだリティーシャ、バイヤーの顔分かりそうか?」「男の方は正面で映っていないので難しいですが…女の方は目鼻の位置、骨格が分かりましたので分析できます。モンタージュを作りましょう」「リティーシャ、さっき会ったオジサンな、何者かわかるかもしれないんだ」「そうなのですか?あてがあるとでも?」リティーシャはマウスとキーボードを叩きながら言った。「バイト先の骨董店のばあちゃんを訪ねてきたんだ、常連らしくてな。ばあちゃんにあのオジサンの事聞いてみようって思う」「このビルの裏にある小汚い店ですね。それなりに力の宿った品を置いているので気にはしていたのですが………まぁ入店できないので私にはどうにもできませんが」「あ~ガスマスクはちょっとな…でも夜までやってるし来てみたらどうだ?」「結構です。店のことはトーヤに任せますよ。私はモンタージュを作りナイトケースの実戦データを確認しなければなりませんので忙しいのです」「急に不機嫌になったな…ナイトケースってこのケースの名前か?」「不満ですか?良いですよ他に何かいい名前があるのなら。必要以上に長い名前をつけて略式名称にしても良いですよ?但し、正式名称をいつでも忘れずに言えるようにしておいてくださいね?間違えたら恥ずかしいですよ?」「いいよナイトケースで。わかりやすいしな。ふと思ったんだけどこのダイヤの模様ってトランプにヒント得てるのか?」「そうです。資金があればスペード、クローバー、ハートとシリーズ化するつもりでしたね。設計図はできているのでそのうち…株で資金調達して作るのもありですね…問題は元金がないのでそれをどうにか…」「ナイトケースのメンテナンスは大丈夫なのか?ここの電気代とか…」「ご心配なく。電気代は1年分、ナイトケースのメンテナンスに必要な物資も既に買い込んであります。すべて準備完了したところでミルク三日分だけが足りなかったのです。このビルの最上階フロアーは全て私が所有しています他の部屋は物資倉庫ですよ」「そっか…どうするリティーシャ、メンテナンスするならナイトケースはここに置いていったほうがいいか?」「置いていって構いませんよ。いつでも装着できるようにブレスレットがあるのですから。ブレスレットの印の反対側に円形のくぼみがあるでしょう?それを押しながら話しかけると私のマスクと通信できますので装着しなくても用があるときはどうぞ」「わかった、じゃあ今日は家に戻るわ。疲れたしな」「トーヤ」「どうした?」「私はできるだけサポートをしますしナイトケースはオーグルに破壊されるとは思いませんが万が一のこともあります。霊力を使い果たせばあなたは最悪寝たきりになる可能性もあります。オーグルを剥がされた男二人を見たでしょう?あの者たちはもう一生普通に歩くこともできないでしょう。止めるなら今のうちです、私たちのやろうとしてることはゲームではないのです」「ははっ…何だよあらたまって。正直めんどくせーし危ない目にあうのはゴメンだし戦闘は刺激的だけどゲームと違って痛てぇし…だけどな、きょんちゃんを救えた時にものすごく嬉しかったんだ。ここで投げ出したらきっと後悔する、なぜあの時やめたんだと。こんなにやる気になったのは初めてなんだ、だから嫌になるまで続けさせてくれ」「………そうですか。トーヤを選んで良かったです。流石私です人を見る目はありましたね。変に自己犠牲精神のある猪突猛進タイプとか、強迫観念めいた正義感をもったタイプとかだったらここでお別れしていましたよ。私は重いタイプの人間は好きませんので。パートナーとしてやっていくには相性も大事ですからね。万が一…刀耶が寝たきりとなってしまっても………刀耶が望むなら救うことも可能ですのでまぁ少しだけ安心して下さい」「少し気が楽になったかもな。なぁ、俺の事もそうだけど…お前が死んだら何もならないだろう?」「心配無用ですよ。私は私が一番大事と考えているのでいざとなったら生き延びることだけに専念しますし」「そっか、じゃあまたな。スロープ開けてくれ」「いえ、ドアを出て廊下の突き当たりにある非常口のハシゴから降りれますのでそっちでお願いします。トーヤが帰ったらまたハシゴ上げておきます」「は?スロープは?」「あれは緊急脱出用なので。この前のはサプライズですよ、驚いたでしょう?」「おい!」「それではまた」刀耶はため息をつき立ち上がるドアに向かって歩いていく。「ポチッと」突如床が開いて刀耶の体がスロープに落ちる。「結局押すのかよおおおおおおおおおおおおっ!!」地下駐車場の転がり出る刀耶。「いってぇ…俺で遊んでやがるなアイツ…」刀耶はナイトケースの訓練と息抜きを兼ねていつものゲームセンターに向かった。ハイパーキングファイターの筐体は全て埋まっていた。「この時間ならしかたないか…もうすぐ日も暮れるし社会人も増えてくるか」ここのゲームセンターは総合アミューズメント施設ではなく、純粋にゲームだけを揃えた店である。ぬいぐるみなどのプライズマシーン、写真を撮って加工して遊ぶマシーンなどは無い。体感ゲーム、格闘ゲーム、シューティングゲーム、カードゲーム、アクションゲームなど旧時代の名作から最新作までありゲームファンから愛されている。全面禁煙ではあるもののトイレの横に喫煙スペースを設け分煙化を図っている。店員の殆どはロボットで暴徒鎮圧用の機体もある為この店でトラブルを起こすものは居ない。「筐体は埋まっていても観戦はできるからな…イメトレしとくか」刀耶はハイパーキングファイター(HKF)の大型モニターを見つめる。上級者の集まるロビーで試合が組まれようとしていた。「あれは…アラクニド。あいつHKFにずっといるよな。プレイ回数が異常だ」刀耶によく絡んでくるプレイヤーアラクニド。戦績は1350勝1780敗。「相手は…二刀使いで有名なここ最近伸びてきたスズカか…」試合が始まった。いつもの如くアラクニドは三叉槍に網。対するスズカは日本刀二刀。ジリジリと間合いを詰めるアラクニド。スズカは二本の日本刀を構えて動かない。先にアラクニドが動いた、三叉槍でフェイントの後、網を投げつける。スズカの体が動く、アラクニドの体を通り抜けたように見えた。「網が触れる瞬間に捌き前ダッシュ、踏み込んでそこから右足を軸に回転してアラクニドの頭部に斬撃を2発入れた!」アラクニドの体力ゲージは半分減り、頭部ダメージはMAXに達していた。「日本刀は切れ味、耐久力ともにトップクラスだが刃筋を立てて振るわないと攻撃力を発揮できない、二刀流ともなれば難度は倍以上に跳ね上がる。攻撃方法を練習するだけでも大変なのにあんな動きで正確に切りつけるとは」アラクニドは網を捨て三叉槍を両手で構える。ゆっくりと近づき下段突きを放つ。スズカは片足を上げてそれを回避、足を下ろすと同時に左の刀でアラクニドの頭部を突き試合終了。続く2本目、3本目もスズカが終始圧倒した。「つえー…今度試合してみたいものだな」刀耶はスズカとの試合をイメージする。刀耶はようやく空いた筐体に座りアバターのカードを差し込む。対戦相手に決まったのは同じロングソード使いのガラ。お互い知った相手である。「へっ…ガラか。ま、対戦相手としちゃあ物足りなくはないか」試合は一進一退、2勝1敗で刀耶が勝利した。「あぶねぇ…ガラも腕上げてきてやがるな」ログアウトする刀耶。後ろで待っていたプレイヤーと交代する。「ガラのやつ体術を取り入れてきてたな…あの動きリアルでも格闘技始めたのか?」常連と一言二言会話を交わし店を後にする刀耶。夕食にマスドにと考えたが店が修復されるまでは無理だろうと思い直し、[きらきらうどん]に向かうことにした。きらきらうどんはカウンターで麺を器に入れてもらい汁の有無、具の選択などをしながらカウンターを移動していき最後にレジで精算するスタイルである。店の名前は創業者の孫の名前からヒントを得てつけたものだという。「麺は大盛り…汁は有り…具は鳥天とちくわ天…にしておくか」テーブルに着く刀耶。テーブルの上にある追加注文用のタブレットにニュースや天気予報が流れている。食べながらニュースを見ているとアキバハラで変死体の文字に目が止まった。刀耶はその記事をタッチしてページを開く。『本日午後3時頃、秋葉川で若い男性の変死体が発見された。被害者の身元は秋馬大学3年生與本与大郎(21)遺体は糸のようなものでがんじがらめに拘束され口には女性用下着が詰め込まれていた。警察は殺人で捜査を行っている』「まさかオーグルの仕業…」刀耶は気になったもののリティーシャには報告せずそのまま部屋に戻った。―翌日大学の授業を受けアルバイトに向かう刀耶。店の前を掃除しているタエを見つけた。「やぁばあちゃん」「あら刀耶ちゃん」「仕事の前にちょっといいかい?この前来てたグレイスーツのオジサンなんだけど…あれ何者?この前警察と挨拶してるの見たぜ?」「そうなの?さぁねぇ…あたしはお客さんの欲しいものを仕入れて渡してるだけだからねぇ…京都に住んでるくらいしか…」「京都…東京には時々来るってことか?」「そうだねぇ…年に3、4回はくるかしら」「何を買っていくの?」「色々だよ。小物が多いね、変わったものだと十字架とか…」「ふ~ん…」「珍しいじゃない刀耶ちゃんがお客さんのこと色々聞いてくるだなんて」「だって警察関係者かもしれないんだぜ?特殊刑事とか…秘密警察とか」「まぁ、それじゃあたしはその秘密警察に協力をしてる表向きは骨董店実は武器屋とか?あっはっは…刀耶ちゃんあたしがそんな大層な事できるわけないじゃない。おじいさんが趣味で始めた店を継いでやってるだけだよ」「だよな…ばあちゃんの店に武器なんか置いてそうにないもの。それにばあちゃんが武器を手入れしたりしてるの想像できないしな」「だろう?さぁさ、そろそろ中に入って仕事だよ」21:00何事もなくアルバイトを終え、リティーシャに連絡をする刀耶。「今路地に来てる。ナイトケース使ってそっちに行くぞ」『どうぞ』ナイトケースを装着し、屋上からリティーシャのアジトに入る。部屋のドアを開けるとリティーシャはミルクを吸いながらキーボードを叩いていた。「ぷはー…ようやく今月分のミルクが届きました。モンタージュも出来ていますよ」リティーシャは作成したモンタージュ写真を刀耶に見せつけた。少しパーマのかかった黒髪、浅黒い肌、鋭い目つき、高い鼻、薄い唇の女の顔。「う~ん…この顔は見たことないな」「今日はこれからこのモンタージュ写真を持ってオーグルを求める客を装って捜査しましょう。トーヤは一般人でありこの国の人間なので変装をしていったほうがいいかと。私の変装セット貸してあげますよ」リティーシャは刀耶にサングラス、マスク、ウィッグ、女性物の衣服を手渡した。「バカか!?なんで女装なんだよ!!」「どうして馬鹿なのです?私は女なので女物の変装セットしか持っていなくても不思議ではないでしょう?私が男でこれらを所持していれば馬鹿というか変態ですが。これらを着なくてはならないトーヤに同情しますが仕方ないですね」リティーシャは満面の笑みで言い放った。「サングラスとマスクとウィッグだけで十分だよ!!」「それは残念。しかしその愛用の個性的なシャツは止めて行ったほうが良いのでは?トーヤだと丸分かりですよそんなオンリーワンの格好あなたしかしてませんし」「ぐ…俺だってわかっちまうのなら仕方ねえな…じゃあTシャツだけでいいか」「Tシャツだけですか。上からこのカーディガン着ますか?」「着ねえよ!なんでそんな女の子ちっくなキラキラついててハートの刺繍付いたピンクのカーディガンを!?」「似合うのではないかと」「そもそもサイズが無理だ!!」刀耶は銀髪のウィッグにサングラス、マスクを装着。リティーシャはいつもの白いフードにガスマスク、ピンクジャージのスタイルで街に繰り出す。「お前の格好目立たないか?」「大丈夫なはずですよ、何故ならここはアキバハラ。日本でも有名なオタクの聖地とやらでしょう?私がガスマスクをつけていてもコスプレとしか思われないのでは?」「そう…なのか?」「夜なので顔を出しても大丈夫ですが、私が素顔を晒せば有名になってしまうかもしれないので。外国人美女が捜査していたらすぐに噂になると思いませんか?」「自分で美女と言い切るんだな」「ええ、これまで私を見た人々の評価からそう判断しています。私自身私の容姿が気に入ってますし」「そ、そうか…」刀耶とリティーシャは秋馬原の飲食店が集まる2丁目に入る。客引きは警察のガードロボが厳しい目を光らせているので通りには立っていない。コスプレのまま歩いている者もいるため二人の姿は完全に街に溶け込んでいた。「トーヤ、こういう時は素行の悪そうな者より大人しそうで少人数で行動してる者に聞くのが一番ですよ」「なんでだよ、オーグルなんて物に手を出すのは悪そうな連中だろ?」「素行の悪そうなものと話をするのはリスクが高いですよ。かなりの確率で揉め事に発展します。実際クツキとカノウは普通の店でバイヤーに会ってるでしょう?」「それもそうか」「トーヤ、この街はサイボーグがいないのですか?」「いや、いると思うぜ?東京じゃみんな分かんないように人工皮膚でうまく隠してるし。みだりに見せびらかしたりするのは田舎者って風潮あるからなぁ」「そうなのですか」「なんでだ?」「簡単に強い力を手に入れようとするとき機械化する者が多いのですが、決して安い値段ではできません。オーグルは機械化したくてもできない者をターゲットにそれなりの値段で取引してるのではないかと。クツキもカノウも非正規労働者で給料は高くありませんでした。それに加え東京では機械の体を見せびらかすのが格好悪いという風潮ですので尚更安い機械化はできませんよね。なのでそういった低所得者たちが集まる場所にいけば手がかりを得ることができるかもしれません」「おお…なるほど。じゃあ安い早い量が多いで評判のファミリーレストラン居酒屋の[オドロキ屋]に行って見るか」派手なネオンに大げさな海賊の看板、店内は薄暗く船内を意識した作りになっているファミリーレストラン居酒屋[オドロキ屋]。「値段におどろき提供の早さに驚き量に驚き味に驚く!」が謳い文句の店である。残念ながら味の評判はイマイチで驚くには至っていないのが現状である。しかし若者から観光客、外国人に人気で繁盛している。オーダーはカウンターで注文、その場で精算し受け取り好きな席に座る。立ち食い用のテーブルもあり一人でふらっと立ち寄り一杯飲んで帰るサラリーマンも少なくない。「おー…ここなら有益な情報を得られそうですね」「適当に注文するか…リティーシャは…」「モーモーミルクしか要らないです。無いのなら結構です」「そうだったな」コーラを持って立ち食いテーブルに着く。周囲を見渡すと地味な格好の二十代前半の男3人が飲んでいるのを見つけた。リティーシャは男たちに話を聞きに近づく。「こんばんわ。いきなりですが、この中にOGLの入手方法を知ってる人はいますか?」いきなり小柄なガスマスクの女性が話しかけてきたので3人の男たちは驚いて顔を見合わせ反応できないでいる。「な、なんですかあなたは…」「誰?」「え?」リティーシャはOGLの空の小瓶取り出して3人に見せる。「これをどこで手に入れるか知ってますか?」「それって…」「噂で聞いたことある…最近流行ってるんだって?」「小宇坂が手に入れたとか言ってたけど…お嬢ちゃん誰?」「コウサカとは連絡が取れますか?」「ああ…つーかもうすぐここに来るよ。つーかお嬢ちゃん誰よ?」「ではここでコウサカを待ちます」刀耶を見るリティーシャ。刀耶は頷いて3人の男の席に近づく。「すんませんねお兄さん達、妹が失礼しちゃって」ウィッグをわざとらしくかきあげて言う刀耶。「訳あってOGL探してんすよ。実は俺達の兄ちゃんが事故に遭って体が不自由になっちまって…サイボーグ手術する金もないしでもこのままでは兄ちゃん自殺しかねないし…そこでOGLの噂を聞いて…」「そうなのか…苦労してるんだな…あ、小宇坂が来た!おーいこっちだこっち!!」刀耶とリティーシャが振り向くと筋骨隆々のおかっぱの男性が近づいてきた。「小宇坂見違えたな…それが噂の?」「おう!OGLの力だぜ!!で、この男と女は誰?」「なんかOGL買いたいんだってさ、事故で体が不自由になったお兄さんの為に欲しいんだとさ」「ほーん…ま、警察にも見えないし大丈夫だろ。付いて来な、まだ近くの公園にいるはずだ」コーラを飲み干す刀耶。小宇坂に着いて行く二人。2丁目の横道の中程にある小さな秋馬第三公園に着いた。そこにいたのは…革ジャン革スカートを着た黒髪の女。リティーシャはモンタージュと見比べる。「特徴は一致しますね…トー…お兄様、OGLを買いましょう」「そうだな妹!ありがとう小宇坂くん」小宇坂と別れ黒髪革ジャンの女に近づく刀耶とリティーシャ。「なにあんたら?ワタシに何の用?」女はタバコに火をつけて言った。「OGLあるかい?」「いいけど金はあるの?現金のみで10万。絶対にまけないよ?」「オーグルをどこで手に入れましたか?」「あん?…今なんつったチビ女?」煙をリティーシャに吹きかける女。「自分が何を売っているのかご存知無いのですか?」「お前が知る必要無いだろう?ワタシが何売ろうとどうでもいいだろ?何?説教??」「悪いことは言いません、すぐに関わるのを止めてこの街から逃げるのです。もし既にオーグルに取り憑かれているのなら…解放してあげます」「解放!?イカレた宗教の勧誘かよ!シッシッ!あっち行きな、暇じゃないんだよ」「手持ちのオーグル全てを没収します!入手ルートを教えなさい!!」掴みかかるリティーシャ、女はリティーシャの腕をつかみ投げ飛ばす。リティーシャは空中で体を反転させて着地する。「ハハーン…ワタシの代わりにOGLのバイヤーになろうって訳?そうはいくか!あの人の為にやめるわけには行かないんだよ!!」「誰ですかそれは!」「言うわけ無いだろこのバカ女!!」刀耶は女とリティーシャの間に割って入る。「まぁまぁおねえさん…そのOGLって強くなれるだけなのかい?副作用は??」「さぁね?性格が変わるとかそんなもんなんじゃないの?ワタシは必要ないし知らない」「今日は大きなおにいさんは一緒じゃないのか?」「他のとこに行ってるよ…あのさぁあんまり詮索すると消えることになるよ?」「それは怖い!今は10万も無いからこれで失礼!」刀耶はリティーシャの手を引いて第三公園から離れる。「おい、喧嘩腰で話すなよ…大事な手がかりを逃してしまうだろ?」「一つでも多く売らせるわけには行きません!あの女を締め上げててもルートを吐かさないとダメですよ!」「とりあえず…後を付けてみるか?」「その間にオーグルがまた一つ人の手に渡ったらどうするのです」「一旦出直したほうがいい、小宇坂ってやつ既にオーグルに取り憑かれるみたいだしそっちもなんとかしないと」「ん~……」刀耶とリティーシャがオドロキ屋に戻ろうとすると目の前にニット帽とバンダナをマスクがわりにした、いかにもタチの悪い男といった二人組が立ちふさがった。「OGLの事を探ってるんだってな?」「余計な詮索は痛い目にあうぞ?今から痛い目にあうんだからな!!」男たちは拳を振り上げて殴りかかって来る。刀耶はケースでガード、リティーシャは殴りかかってきた男の拳をしゃがんで躱し、脇腹に肘を入れ膝関節を後ろか蹴り転ばせる。「いでえええええ!!俺の拳がああああ」「がはっ…いてぇよぉ~」「今だ!逃げるぞ!!」「さっきの女が差し向けたのですね」二人は路地に入る。突然体に何かがまとわりつき動けなくなる。見ると黒くベトつく糸状のものが体についている。「ぺっぺっ!なんだこれは!!」「これは…厄介ですね」「あはははー…かかったね!ワタシの網に!!さて、じっくりと痛ぶってあげる」前から現れたのはバイヤーの黒髪女である。舌なめずりしながら警棒型のスタンガンを振り回している。「ヤバイぞ…ブレスレットに指が届かねぇ…」「私なら届きそうです…もう少し…」続く
Apr 19, 2016
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MKC2話ケースミルクをストローで吸いながら落ち着いた表情を浮かべるリティーシャ。一方、刀耶は眉間にしわを寄せてその様子を眺めている。「ぷはー。で、なんでしたっけ?」「説明してくれよ。何にもわかんねえよ」「何が分かりませんか?私はミルクを手に入れた、あなたは10億円の価値があるものを手に入れた。今後協力していく、それだけでしょう?」リティーシャは足をブラブラさせて悪気もなく言い放った。刀耶はため息をつく。「まず、お前は何者なんだ?」「リティーシャ・ヴァン・ヴァスベルゲと言ったでしょう?」「じゃなくて!」「何で怒るのです?ええと分かりやすく言えば…オーグルをなんとかしようとしているのですよ。先ほど戦ったあの男、あれはオーグルに取り憑かれていました」「オーグル?」「ええ、日本人に馴染みのある言い方をすれば鬼ですね。鬼に憑かれたとか鬼になったとか昔から言うでしょう?あれですよ」「鬼…信じられないけど目の当たりにしてしまった以上信じるしかねーな。しかしなんで突然オーグルが現れたんだ?」「昔から存在してたのですが、その力を人工的に手に入れられないかと研究する者らがいましてね。で、まぁその研究機関から人工オーグルの技術が漏れたのですよ。私はその者を追ってこの国に来たのですよ」「じゃあリティーシャも研究者なのか?子供に見えるけどなぁ…」「こう見えてもあなたより年上ですよ。知りたいことは以上ですか?」「まだまだあるって。なんであんな格好してミルクを奪ったんだ?それに金属のあの鎧は何なんだ?」刀耶はソファに腰を下ろして言った。「私は日光アレルギーなので日中外に出るときは完全装備しなければならないのです。ミルクは落ち着くためにどうしても必要なものでして、あの時は我慢の限界に近づいていたのです」「日光アレルギーか…」窓一つない部屋を見て納得する。「あの金属の鎧は…渡したアタッシュケースですよ?ほら、見ててください」リティーシャが金属鎧に触れると金属片に姿を変えていく。積み重なっていきアタッシュケースの姿になった。「おお…そうだったのか…って、俺部屋に置いてたのに」「まぁ離れていてもブレスレットと連動していますから地球の裏側でも飛んできますよ」「飛んでくるのか…あ、じゃあ俺の部屋の窓…」「割れてるんじゃないですか?」大きくため息をつく刀耶。「で、このケースとブレスレットはオーグルと戦うためにあると?」「その通りです。私が作ったのですよ!そのおかげで財産をほとんど失いましたがね。霊力の大きさにもよりますが装着者の身体能力を上げることができます。トーヤだと大体10倍くらいには上がります」「はぁ…でもなんで俺なんだ?」率直な疑問を投げかける刀耶。「ハイパーキングファイターのプレイヤーでなおかつ霊力が高かったからですよ」「ハイパーキングファイター知ってるのか?あ、でも知ってるから鎧のシステムが似てるのか」「知ってるもなにもあのゲームの開発者ですから」「はあああああああああああ!?」立ち上がって叫ぶ刀耶。「声が大きいですようるさいです」「だって…ええ!?リティーシャが!?目の前にハイパーキングファイターの開発者が…なんてことだ…」刀耶のリティーシャを見る目が変わった。「やっと私の凄さが分かりましたか?遅いですよ」「すげぇ…すげぇよ…確かにそれを聞くとこのブレスレットとケース10億円の価値ありそうだ」「でしょう?それをあなたに譲ったのです。その代わりオーグルの事件解決を手伝って欲しいのです。ちなみに持ち逃げしようとしても無駄ですよ、いつでも私の命令でブレスレットとケースは爆発できますし」「マジかよ…イエスというしか無いんだな」「どうせ暇を持て余してるんでしょう?いいじゃないですか」「ついてるのかついてないのか…」再び大きくため息をつく刀耶。「ついてるに決まってるじゃないですか。あなたが装着しなければあの時、無駄に胸の大きな店員は助からなかったでしょう」「きょんちゃんの事か…なにか刺のある言い方だな」「今わたしの胸を見ましたか?平たい胸だとでも言いたいのですか?失礼ですよ、大きさがなんだっていうのですか?無駄じゃないですか?」「なにも言ってねーし見てねーよ!」「とにかく、このケースとブレスレットの力でオーグルを倒しながら黒幕を探し出すのです!この街の為に!いや、この国の為に戦うヒーローになるのですよ!装着していれば霊力が尽きない限り怪我も治りますし」「乗りかかった船だしやるよ…リアルハイパーキングファイターなんてできる機会ほかに絶対ないしな。でも気になる事があるんだが…あんなに派手に暴れまわって俺大丈夫かな?警察にマークされるんじゃないか?」「それは大丈夫です、見てください」リティーシャはモニターを指差して言う。モニターにはこの部屋が映っている。「ケースが見えますか?」「ん?あれ?ケースが映ってない!?」「そうなんです!だからトーヤが外で暴れまわってもカメラに映りませんしTVで報道されることもネットで拡散されることもないです。特殊な加工を施した金属なんですよ」「リティーシャはこの金属鎧を使わないのか?」「私が使ったら誰がバックアップサポートするのです?何かあったらオーグル事件は解決できなくなるじゃないですか」「ひでぇ…」「オーグル事件を放っておけばたくさんの犠牲者が出ます。黒幕を捕らえなければもっと最悪な事態になりかねないです。トーヤがやらなくても誰かがやることになります。オーグル事件そのものは他のどこかの組織が解決できたとしても人工オーグルの秘密を守れるとは思えません」「…リティーシャ、他に味方はいないのか?」「いますが今はどこでなにをしてるのかわかりません。既に命を落としてしまった可能性もあります。会社の者も、もはや誰を信用していいのかわかりません」「そうか………そういやさらっと流したけど霊力がなんとか言ってなかったか?俺の霊力が高いとか」「ええ、そうです。霊力、オーラ、仙道パワー、魔力などいろんな呼び方がありますが、トーヤは普通の人間よりもそれが高いのでケースの力をそこそこ発揮できます」「そこそこなのか」「ええ、まぁ何の訓練もしてないトーヤがここまで高いのには驚いています。以上で質問は終わりですか?」「大体は」「ではまた。ケースを忘れずに。オーグルを見つけたり私が見つけた場合はそのブレスレットで連絡を取りましょう」刀耶が立ち上がりケースを手にするとリティーシャはキーボード押した。すると刀耶の足元の床が開いた。「なんだよちくしょー!」「このフロアーには階段もついてなければエレベーターもないのですよ、来るときは飛んで屋上から来てくださいね」「うわあああああああああ…」猛スピードで真っ暗なスロープを降りていく刀耶、目の前が突如明るくなり魔窟と呼ばれる雑居ビルの地下駐車場に転がり出た。「いってぇ…そういや、あのあと店がどうなったか気になるな」刀耶はマスドに向かう。意外なほど人だかりはなく、警察の検分もそこそこにマスコミの姿も無かった。「あれだけの騒ぎがあったのに何かおかしいな?…ん?あのグレイスーツ紫ネクタイのオジサンこの前見たな」マスドの中から帽子を目深くかぶったグレイスーツの男が出てきた。警察官も軽く目をやっただけであった。そのまま車に乗り込んでいった。「あー君、これ以上は立ち入り禁止だよ」若い警察官に止められる刀耶。「知り合いの子が事件に巻き込まれたんです、きょん…下柳景織子ちゃんていうのですけど無事なんですかね?」「撃たれた男性店員が一人いたけど命には別状は無いそうだ。詳しい事は秋馬署に行って聞いてくれるかな?」「そうします…」これ以上粘って職務質問でもされたら面倒だと思い後にした。「今日はバイトの日じゃねーしおとなしく帰るか…」アパートに戻った刀耶は派手に割れた窓ガラスを見てため息をついた。片付け終わりノートパソコンを開く刀耶、今日の事件のことをネット検索する。「ん??強盗事件!?薬物乱用者が拳銃を持って立て篭った…だと?」様々な検索を試してみるも出てくるものは大体同じであった。「鎧の騎士とか緑の怪物とか一切出てこねーな…どうなってんだ?」しばらく検索していたが無駄だと分かりやめた。興奮して眠れなかった刀耶は趣味で集めていた映画を一晩中見て過ごした。―翌日コンビニエンスストアに出かける刀耶。店の前で声をかけられた。「トーヤ!」「どこだ!?…そこかよ!!」コンビニの路地に取り付けられた室外機の上にリティーシャが立っていた。ガスマスクスタイルであった。「ミルクが欲しいです。できれば3本。そしたら明後日まで持ちますし」「わかったわかった…とりあえずそこから降りろ」「トーヤ」「まだ何かいるのか?」「モーモーミルクでお願いします。マスドはモーモーミルクでしたので問題ありませんでした。この前も偶然そうでした。私はモーモーミルク一筋なのです。トーヤもそうなのでしょう?」「確かに俺もモーモーミルク派だな」モーモーミルクを3本買ってリティーシャに渡す刀耶。ふとした疑問をぶつけてみる。「お前さぁ…ミルクばっかり飲んでるけどちゃんとメシ食べてんの?」「食事ですか?………まぁ必要な時は」フィルター部分にストローを差してミルクを吸うリティーシャ。「そうか…ところでオーグル探しってどうすればいいんだ?」「ぷはー…トーヤが非凡な調査力を持つ探偵めいた大学生ではないのは分かっています。私のサポートがなければ見つけることは困難ですよね。ハイパーキングファイターしか取り柄なさそうですし」「おい」「実は目をつけている人物がいるのですよ。トーヤが倒したスキンヘッドの仲間の男です」「どういう奴なんだ?」「食品工場の労働者です。スキンヘッドの男…クツキは同僚のカノウといつもつるんでいました。オーグル事件の後工場を休んでいます。今日その工場に電話して確かめました」「カノウの住所は?」「分かっています。これからそこに向かうのです。だからトーヤを待ち伏せしていました」「ミルクを奢らせるついでに…か」「はい。ケースは持ってきてますね?では行きましょう」走り出すリティーシャ。「待った!どの辺にあるんだよ」「ここからたった3kmほど北にあるアパートですよ。行きましょう付いてきてください」「は!?お前ナビは?」「このガスマスクに仕込んでいますよ。ケースとの連動もこれで可能です」走り出すリティーシャ。路地を疾走し室外機を飛び移り雨樋を掴みスピードを上げていく。刀耶はリティーシャに追いつけない。「待て待て!そんな所通るな!そんなフリーランニングめいた動きができるか!!」「できるだけ日陰を通りたいので。トーヤはついてこれませんか、はぁ…」「無理だろう普通の大学生には」「装着しましょうか。そうしましょう」リティーシャは刀耶の左腕のブレスレットのダイヤの印を押す。「おい!」「カノウが急に襲ってくる事も考えられますのでいいじゃないですか。それじゃいきましょう」ケースがカード状の金属片に変わり刀耶の体に張り付いていく。みるみるうちに青銀の騎士の姿になっていく。「まぁ…路地だし目立たねえか」路地を疾走する二人。大通りを横断、その先にある小さな川を渡ると住宅地が見えてきた。「なるほど、スラムなのですね」「いやいやいや!ちょっと荒れてるだけだし!!日本にスラム街とかねーから!!」交通標識にスプレーで落書き。廃車、朽ちかけた家、路上に座る目つきの悪い者が目に付いた。「この坂を上がって西に曲がればカノウの住むアパートがあります行きましょう」アパートにの前に着くと二人の目の前で2階の右端の扉が開き、中から人影が飛び出した。「来るな!くるなくるなくるな!!来るんじゃねー!!」坊主頭の黒Tシャツジーンズの男が叫んでいる。「あなたがカノウですか?」「何だ!何だお前ら!?まさかバイヤーに雇われた始末屋じゃ…」「違います。私たちはあなたを助けに来たのですよ。だからお話を聞かせてください」アパートに近づくリティーシャ。「嘘だ嘘だ!!妙な格好しやがって!!こうなったらお前ら二人ともぶっ殺してやる!!この力があれば無敵なんだ!馬鹿にしやがって!!どいつもこいつも!!みんなみんなぶっ殺してやる!!!」男の皮膚は緑に、額から二本の角が生えてくる。足の甲が伸び膝から上が縮み、所謂逆関節の形状に変化する。腕は伸び地面につくほどの長さになる。両手には斧が出現する。「死ね死ね死ねしねー!!!」二階の手すりから飛ぶ男、一直線にリティーシャに向かう。刀耶はリティーシャに飛びつき回避させる。「危ねえ!!離れてろリティーシャ!!」「そうします」「ロングソード!」騎士鎧の背中から金属片が飛び出しロングソードに変形する。「ブッコロスウウウウウウウウ!!!」「二本斧か…ハイパーキングファイターでは扱いは二本系でも特に難しいが、熟練すると片手武器を圧倒できる」「来ますよトーヤ!」「ウウウウウウウウウウウウウウ!!!」「速い!!」地面擦れ擦れの姿勢で突進してくる男。刀耶は突きで迎え撃つ。「ウウウウウウウウウウウウウウウッ!!」男は両手の斧を地面に叩きつけ跳躍する。刀耶の剣は避けられる。頭上から斧が振り下ろされ刀耶の肩を打つ。「ぐっ…」「ウヒヒヒヒヒヒヒッ!!」空中回転した男は地面に着地。両手の斧で刀耶の背後から狙う。「おっと!」刀耶は振り向きざまにロングソードを振り男の手首を切りつける。「ありえねー動きしやがって…いや、これはゲームじゃない、俺の考えが甘いのか」「イッテエエエエエエ!!ブッコロシテヤラアアアアアア!!!」斧を振り回す男、刀耶は冷静に間合いを見切り回避していく。「リティーシャ、盾は出せるのか?」「大きさは?」「上半身が隠れる程度でいい」「了解、鎧の質量的にギリギリいけます」鎧の背中から金属片が飛び出し円盤型の盾となる。刀耶は左手でそれを掴んだ。「ウウウウヒイイイイイイイイイイッ!!」斧の攻撃を盾でブロックする刀耶、一歩踏み込んで突きを放つ。男の頬をかすめた。「盾を持てば移動速度と攻撃のバリエーションは減る、だが盾があれば防御と攻撃を同時にできる!」「コロスウウウウウウウ!!」両手に持った斧を連打する男。刀耶は体勢を崩されないように盾で受け流し、突きで反撃する。刀耶の突きが男の体を傷つけていく。青い鮮血が飛び散る。「リティーシャ、この鎧の機能にハイパーキングファイターのストライクスマッシュのようなのはあるか?」「トーヤの霊力をチャージすればできますよ。ただゲームと同じで一度使えばしばらくチャージする必要がありますしゲームとは違いトーヤに負担がかかります」「構わない!できるようにしてくれ!」「了解、チャージ機能追加」「チチチチチクショー!!」男は大きく後ろに飛び背を向けて逃げ出す。「トーヤ!逃がしてはダメです!!」「分かってる!!くらえ!!ストライクスマッシュ!!!」矢の如く飛び出す刀耶、ロングソードが男の背を貫く。「ギャアアアアアアアアッ!!」男の体は爆発四散。肉片は発光しながら一箇所に集まっていく。アパートの前にやせ細った坊主頭の男が倒れていた。「う…そんな…力が…」「その力どうやって手に入れたか答えてもらいましょうか?」リティーシャは裸の男の前に立ちそう言い放った。「ひ…ひいい!…バイヤーから買ったんだよ!!OGLって液体の小瓶を…」「どこで買ったのですか?バイヤーはどこに!?」「し、知らねえよ!!2丁目の飲み屋で偶然知り合った男女だよ…目の前でコンクリートブロックを砕く力を見せつけられてそれで久津木と一緒に買ったんだ…それ以上は何も知らねえよ」「どんな男女ですか!」「男は金髪でガタイのいい外国人風…女は浅黒い肌の黒髪だった…顔はサングラスでよくわかんなかった…」「他に何か覚えている事は?」「そういえば…しばらくはこの街にいるとかなんとか………」「そうですか」リティーシャはガスマスクから見える画面を操作して自分のアジトのパソコンを遠隔操作する。「アキバハラの監視カメラの映像に写っているかもしれないので…トーヤ、そっちにも転送します一緒に探してください」「ああ、分かった。それで、このカノウって男はどうするんだ?」「これ以上情報を引き出せないのなら用はありません。放置で良いかと」「それなら彼の身柄はこちらで確保する」刀耶とリティーシャの背後から声がした。振り向くと帽子を目深くかぶったグレイスーツに紫ネクタイの男が立っていた。「あんたは…」「おや?君は私の事を知っていると??君たち二人が何者かは知らないがここは引いてくれないかね?」グレイスーツの男がゆっくりと近づく。思わずリティーシャは距離を取る。「この霊力…只者じゃないですね…いいでしょう、もうその男に用はありませんし立ち去ることにします」リティーシャは不用意に刀耶の名前を呼ばずに頷くだけで合図する。「ああ、行こう」「そうしてくれると助かる」刀耶とリティーシャは振り返らずに急いでアパートから離れた。「あのオジサン何者なんだ…警察とも一緒に居たし」「敵でないことを望みます。味方になってくれればいいのですが」続く
Apr 17, 2016
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新創作:MirageKnightCase(ミラージュナイトケース)の主人公とヒロインです
Apr 17, 2016
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MKC1話[ナイト]赤茶髪に奇抜な柄のシャツ、18歳の宗像刀耶は今日も大学の授業をサボり秋馬原のゲームセンターで格闘ゲームに興じていた。平日正午前の時間、客は刀耶を含む常連が殆どである。「あーめんどくせぇ…」刀耶は缶コーヒーを飲み干して両替機の横にあるゴミ箱に缶を投げ捨てながら呟いた。刀耶のプレイしている格闘ゲーム[ハイパーキングファイター]はインターネットで繋がっており世界中のプレイヤーと対戦することが可能。プレイヤーはバイザーを付け仮想現実の世界で分身となるアバターを操り対戦する。アバターは両手レバーとフットペダルで操作する。刀耶は東京秋馬原店の代表プレイヤーとして全国的に有名であった。最近その刀耶に事あるごとに絡んでくるプレイヤーがいる。そのアバターを見つけた為、刀耶は面倒だとつぶやいたのだった。「またコイツかよ…」[ハイパーキングファイター]は武器有り武器なし混合の三つのモードがある。刀耶が得意としていたのは武器有りのモードで、西洋剣のロングソードを使用していた。刀耶に絡んでくるプレイヤーは投網三叉槍を使用している。ロングソードはクセがなく初心者から上級者まで幅広く使われており、投網三叉槍は扱いが難しく戦法がいやらしいために人気は低い。刀耶のアバターの名前は【トーヤ】。対戦相手は【アラクニド】。「いつものようにボコってやるか」刀耶のアバターは開始直後接近、フェイントをいれアラクニドの三叉槍の攻撃を誘い出し剣で弾く。そこから浅く踏み込んで右足に斬撃を叩き込みダメージを入れた。アラクニドは反撃の中段突きを繰り出すも刀耶は軽く右側にステップ。投網とは逆の方向である。「網が使えなきゃ大した事ねえし、網だって外せば隙だらけだしな」と、刀耶は言うが実際投網三叉槍のキャラが弱いわけではない。槍の攻撃で相手の足が止まれば網を放ち動けなくなったところでコンボを決めることができる。投網投げを放つタイミングの見切りとコンボのタイミングがシビアな為に使いこなすのが難しいだけである。刀耶とアラクニドの攻防は続き、ついにアラクニドは一度も網を投げれないまま敗北した。刀耶はただの一度も攻撃をガードせず、全て弾きと回避で三叉槍をさばいた。並のプレイヤーには到底真似のできない勝利の仕方であった。「もう読めてんだよ」その後刀耶はアバターをログアウトさせゲームセンターを後にした。「はぁ…大学はつまんねーしめんどせぇ…このまま2年終わって3年になって就活して4年で卒論書いて卒業して就職して…はぁ~つまんね~」刀耶は退屈から抜け出せると思って東京の大学に入学した。秋馬原に部屋を借りたのは賑やかで若者が多く、最先端の機器、メディアを取り揃えた街だからという理由であった。最初はそれなりに刺激的だった。しかし1年が経ち慣れ、同じことの繰り返しに嫌気が差してきていた。「就職したら同じことの繰り返しを40年以上か…耐えられねー…かと言って実家に戻って家業継ぐのもめんどくせぇし…」『コンニチハ、本日も、アキバハラは綺麗デス』ドラム缶型の清掃ロボットが刀耶の横を走っていった。「何であんなロボット何だか。いつも思うけどメイドとかにすりゃあ良いのに」刀耶は昼食を買いにファーストフード店【マスド】に入った。週に3回は来ている。「いらっしゃいませー!メニューはお決まりでしょうかー?」黒髪ボブカットの店員が笑顔で言った。「ポーク照り焼きバーガーとミルクMサイズで持ち帰りで」「ありがとうございます、お会計は480円になります。ポーク照り1、ミルクM1入りマース!」刀耶はいつもポーク照り焼きバーガーとミルクの組み合わせを注文していた。たまに店内で食べる。その理由は刀耶お気に入りの店員が居る時であった。「さて…と、昼からどうすっかな…バイトまで時間あるし」刀耶はマスドの紙袋からミルクを取り出してストローを刺す。口をつけて飲もうとするとどこからか声が聞こえてきた。「もし、そこの男の人、ミルクを恵んではくれませんか?」「は!?どこだ??誰だ?俺の事??」「そうです、そこの変な柄のシャツを着たあなたです。右後ろを見てください」変なシャツと言われて少しむっときた刀耶は険しい表情で右後ろに振り向いた。そこには…白いフードにガスマスク、股下まであるピンクのジャージ、こげ茶色のレギンス、赤いスニーカー、に白手袋の人物が路地に立っていた。体型から女性だと分かる。「………」「何をじっと見ているのです?早くミルクをください。私が死んでも良いのですか?」「は?…え!?………なんだよお前…変なのにはかかわらないでおこう」刀耶は妙な格好の人物から視線を外し歩き出す。「待って!この格好には理由があるのです!!とにかくミルクをください!!」大きな声で呼び止めるガスマスク。「いや何でだよ?何で見ず知らずの変な奴にあげなきゃなんねーの?」「助けを求めている女性を置いて行くのですか?それでも男ですか!?」「あのさぁ…交番に行けば?そんな風にしてるとヤバい奴らにさらわれても知らねーぞ?」「それは無理です。お礼は必ずしますのでとりあえずそのミルクをください!!もう倒れそうです!ほら、倒れました!!」ガスマスクは芝居がかった大げさな動作で倒れこむ。あらかじめ用意してあったのか綺麗に畳まれたブルーシートの上に大の字になった。「…じゃあな」「ストップ!!止まらないとあなたにひどい目にあわされたと叫びまくりますよ?」「はぁ!?何言ってんのお前…」頭にきた刀耶は一発叩いてやろうとガスマスクに近づく。「こんなものかぶりやがって!路地の影にチンピラでも隠れてるか?」マスクを外そうと手を伸ばしたその時、ガスマスクは寝たままの姿勢で飛び上がり刀耶の頭に飛び乗った。「気安く触れようとしないでください!なんと無礼な!!」「なにっ!?」「ミルクは頂きますね」刀耶の頭から飛び降りるガスマスク。「あっ!?」刀耶のミルクはガスマスクの手の中にあった。「てめぇ…やるとは言ってないぞ!」「ぷはー!落ち着いた!!もうこのミルクの所有権は私に移りました返しませんよ?」マスクのフィルター部分にストローを差し込みミルクを吸うガスマスク。まるでミルクを吸えるようにカスタマイズされたかのような構造である。「手持ちのお金がなくなりましてね。いつも送られてくるはずのミルクは手違いで3日後になってしまいまして途方に暮れていたのですよ」「知らねーよ!もうそのミルクやるよ!!」「申し遅れました、私、リティーシャ・ヴァン・ヴァスベルゲと言います」「ん?」「この恩は忘れません、それでは失礼しますさようなら」「おい!!」一礼すると路地の奥に猛然と走り消えていくリティーシャ。刀耶は呆然として見るしか無かった。「なんだありゃ…」刀耶はアパートの部屋に戻りポーク照り焼きにかぶりつく。ミルクを失った為、水道水で我慢した。秋馬原の水道水は日本名水に数えられるほどで臭さは微塵も感じない。「ミルク泥棒って…意味分かんねー」刀耶はまたリティーシャに会えたら面白いかもしれないと考えながらバーガーを腹におさめ畳の上に仰向けに寝転がった。携帯電話のアラームで目が覚めた刀耶。気づかないうちに昼寝をしてしまっていた。時刻は16:00。「ふあ~あ…そろそろバイトの時間か…」刀耶は軽く歯を磨き部屋を出てアルバイト先の骨董品店に向かう。老婆一人で経営している骨董店・溝口堂。たまたま店の前で勧誘を受けてなんとなく引き受けたのであった。「あのばあちゃんに誘われてなければマスドでバイトしてただろうな…でもまぁばあちゃん所は楽だし珍しいもん売りに来る客いたりするしやめれねーよな」秋馬原の中心から一本外れた細い道に並んでいる雑居ビルの一階に溝口堂はある。店はさほど繁盛はしてないが溝口堂の老婆はビルのオーナーでもあった。「刀耶ちゃん」小奇麗な品の良い老婆がハリのある声で言った。溝口タエ。溝口堂のオーナーである。「ばあちゃん」「あたしはこれから買い物に行ってくるからお店よろしくね」「ああ、任せとけって」刀耶は店に入ると溝口堂の半纏を着てレジに座る。客は30分に一人ほどなのでその他の時間は店に置いてある古い漫画本を読んで過ごしている。「あ、いらっしゃい」客の気配を感じた刀耶は顔を上げる。目の前に帽子を目深にかぶったグレイスーツに紫ネクタイの中年男が立っていた。「タエさんは出ているのかね?」「あ、はい。用事ならお聞きしておきますが?」「そうか、ならまた来るよ」「そうですか、すんません」スーツの男は静かにそのまま出て行った。30分ほどして溝口タエが帰ってきた。「ばあちゃん、さっきスーツのお客さんがばあちゃんに会いに来たよ?」「ほう、どんな客だい?」「グレイのスーツに…紫のネクタイをしたオジサン…かな」「ああ~…それはウチの常連だよ。そっかそっか、来るなら連絡してくれりゃあええものをなぁ…」「ふ~ん…」気にもせず刀耶はそのまま終業時間の21時まで過ごした。溝口タエに夕食を誘われて奥の部屋で食べてから店を後にした。アパートに戻ると部屋の前に人が座っている。「ん~?誰だ?」ピンクジャージの白いフード、こげ茶色のレギンスに赤いスニーカーのゆるくウェーブのかかった金髪少女が座っていた。刀耶に気づき立ち上がる。「遅いですよ!!」「は!?………あ、昼間のミルク泥棒のリティーシャなんたらかんたら!?」「リティーシャ・ヴァン・ヴァスベルゲです!!泥棒とはなんですか!!」「何の用?」「礼をすると言ったでしょう?だから来ました」腰に手を当て胸を張るリティーシャ。「つーか…なんで俺の家知ってんの?」「そりゃあ…ね。ところで家の中に入りませんか?招いてくださいよ」「質問に答えない!?部屋に入る気かよ…」「ダメですか?どうしてですか?見られるとまずいものでも置いてるのですか?」「答えないくせに質問はするのか!?まぁ…別に入ってもいいけど」リティーシャの容姿は想像していたものを上回っていた。目の前の少女は人形のように目鼻立ちが整っている。不思議と刀耶は部屋に入れることを承諾した。「宗像刀耶というのですね」「ああ、うん」「ではトーヤと呼びます」「馴れ馴れしいな」「トーヤ。部屋に招き入れたと言って性的な展開は期待しないでくださいね。そういう気はありませんし襲いかかってきても絶対に逃げますから」「期待してねーよ!」刀耶が鍵を開けるとずかすかと入り込むリティーシャ。あわてて靴を脱ぐ。「失礼、玄関がどこまでかわからなかったので。しかし何の面白みもない部屋ですね」「失礼な発言はわざとなのか?」「まぁとりあえず座ってください、渡したいものがあるので」そう言うとリティーシャはどこからともなく取り出した青く輝く金属のアタッシュケースとブレスレットを取り出しちゃぶ台の上に置いた。「なんだよ!?いきなり…どこから出したんだ…」「このカバンとブレスレットを差し上げます。10億円の価値はありますよ」「は!?」「ブレスレット着けましょう、はい!かっこいい!!困った時はブレスレットのダイヤ印を押せばいいですからね?じゃあこれで失礼します」強引に青銀色に輝くブレスレットを刀耶の左腕に取り付けるリティーシャ。「ちょ待てよ!?全然わかんねーから!!」「それではまた」リティーシャは頭を下げるとすぐに部屋を出て行ってしまった。「なんなんだよ…」刀耶は空きっぱなしの玄関の扉を閉め鍵をかけ、ちゃぶ台の前に腰を下ろす。「ブレスレットとアタッシュケース…まさかこのアタッシュケースに爆弾とか仕掛けられてねーよな?」刀耶はアタッシュケースに耳を近づける。音は何も聞こえない。「うーん…どうするかこれ…警察に持っていって開けてもらうか?このブレスレットもキラキラしすぎてなぁ…あれ?外せねぇ!?どうやって外すんだこれ」刀耶は無理やり手から抜こうとするも継ぎ目すら見当たらない。「くっそー…取れねぇ…はぁ最悪だ…」「最悪じゃないですよトーヤ!」「うおおおおっ!?」窓からリティーシャが覗いていた。「大丈夫ですよカバンも大事にしてください。ブレスレットは私が外せますし」「今外せよ!」「安全ですので安心して休んでくださいそれでは今度こそ失礼します」「だから話聞けって!!」窓を開けてリティーシャが隠れていないかを確認する刀耶。「…何が目的なのかさっぱりわからん。変なのと知り合いになっちまったな」―翌日昼頃に目覚めた刀耶はマスドに向かう。この日は刀耶お気に入りの店員下柳景織子(しもやなぎきょうこ)が入っていたので店内で食べることにした。「(あ~やっぱりきょんちゃん可愛いな~癒されるわ~)」刀耶は勝手に景織子にニックネームをつけていた。「お待たせしました~27番のお客様ポーク照り焼きバーガーとミルクです」刀耶の座っているテーブルに運ぶと笑顔でトレーを置いた。「ありがとう」刀耶は笑顔で答える。窓から大通りの人々を眺めながらポーク照り焼きにかぶりつき、ミルクを口に運ぶ。リティーシャのブレスレットに視線を移し昨晩の事を思い出していた。「(ばあちゃんにこのブレスレット見せるかな。何か知ってるかも知れねーし…)」「オイコラアアアアアアアアアアッ!!ナメとんのかいイイイイイイイイイッ!!」突如店内に怒号が響き渡った。人々の視線が声の主に向けられる。筋骨隆々のタンクトップスキンヘッドの男が景織子に顔を近づけていた。景織子は恐怖に震えている。「きょんちゃんが…!」「お客様は神様やろうがあああああああああああああっ!!」「すみませんすみません…」「神様がそんな謝罪で満足するかコラアアアアアアアアアアッ!!」スキンヘッドの男は景織子を引き寄せ大きな胸を鷲掴みにした。「いやああああ…」「嫌じゃねえだろがあああああああああああああ!!」刀耶はそれを見て頭に血が上った。「やめろ!!その手を離せ!!」「なんだこのガキいいいいいいいい!ブチころすぞこらああああああああああっ!」男はそう叫ぶとズボンのポケットから拳銃を取り出し刀耶に向けた。「なっ!?」「おもちゃだと思うか?本物だぜ?試してみるかコラ?」スキンヘッドの男はレジに向けて引き金を引いた。乾いた爆発音が鳴り、レジの奥で通報しようとしていた男性店員の肩を銃弾が貫いた。「ギャハハハハハハハ!!動くんじゃねえぞテメーら!!動いたやつから撃つぞコラ!」景織子のブラウスを乱暴にひっぱり下着をあらわにするスキンヘッド。「きゃああああああああ」「ギャハハハハハハー!!」「やめろおおおおおおおお!!!!」刀耶はスキンヘッド男に殴りかかる。右拳がスキンヘッド男の顎を捉えた。「ああああん?なんだその雑魚パンチは??パンチってのはなああ、こうやんだよおお!」スキンヘッド男の丸太のように太い腕から左フックが繰り出された。刀耶のこめかみに命中、半回転してテーブルに突っ伏す。「が…は…」「ついでに死んどくか?」拳銃をむけるスキンヘッド。「(くっそお…きょんちゃんがピンチだってのに情けねぇ…ハイパーキングファイターならこんなやつに負けねえのに…)」体を起こす刀耶、とっさに左手で拳銃を横から払った、銃弾は後方のガラスに命中、大きな音を立てて散らばった。「お??やるじゃねえかガキ、俺のパンチをくらって起き上がってくるとはな。だがいつまでもつかなあああ?」刀耶は反射神経には自信があった。スキンヘッド男のフックも僅かに身を反らしてダメージを軽減していた。「今のうちに誰か通報を!!」「呼びたきゃ呼んでみろ!!この中のだれかに弾をプレゼントするだけだぜコラあ!!」「そんな事させねー!!」刀耶は拳銃を持った男の右手を掴んだ。「離せよガキ!!オラ!オラオラ!!」男は左拳、膝でしがみつく刀耶に打撃を加える。「て、店員さん今のうちに逃げて…」刀耶は景織子にそう言った。戸惑いながら涙を浮かべた景織子はレジの方へ走っていく。「ギャハハハハハ!!ガキが一人で立ち向かってるのに誰も加勢しねーとはなあああああ!?お前ら雑魚はよおおおお!!!」スキンヘッド男の猛攻撃を受け刀耶の意識は遠のいていく。「(やべぇ…もう…ダメかも知れねぇ…でもきょんちゃんが無事で良かった…)」「粘りやがるなこのガキ。よーし、それなら本当の暴力ってのを体験させてやる!!!あの世で自慢してこいやああ!!!オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」爆発めいた男の叫び。人々はあまりの声に硬直する。「よーく見とけよコラアアアアッ!!」男の筋肉は更に盛り上がり、皮膚は徐々に緑色に変色、牙が伸び、額から一本の角が生えてくる。「これが俺が手に入れた力だ!!誰にも止められねーぞおおおおおおお!!」男は拳銃を自らに向け引き金を何度も引く。銃弾は頭、胸の皮膚を貫くことなく留まり、ゆっくりと地面に落ちた。「ギャハハハハハハハ!!!見ろ!!!俺は無敵だああああああああ!!!!さあ、警察でもなんでも呼んで来い!!」刀耶のシャツのえりを掴む男。抱え上げ、ボールのように投げ放つ。刀耶の体はカウンターの上を滑りレジをなぎ倒し壁に激突した。「………」「見ろ!!このパワー!!!さぁ次は誰を飛ばしてやろうか??さっきの巨乳店員、出てこい!!素っ裸にひん剥いて投げ捨ててやる!!!」「…や、めろ…」刀耶は声を搾り出すので精一杯だった。立ち上がる力は既に無い。「止めてみろよヒーロー!!あああああああん!?」男は大股で景織子に近づいていく。恐怖に怯え体を震わせている。「(畜生…体が動かねえ…ヒーロー…ヒーローか…女の子も守れないで何がヒーロー…)」刀耶の目に左腕のブレスレットが映る。「(リティーシャ…今頃あいつ何してるんだろうな…)」刀耶は感覚のなくなりつつある右手でブレスレットに触れる。菱形のくぼみが指に触れた。「(そういえば困った時にこの印を押せとか言ってたな…携帯電話か何かの機能が付いてるのだろうか…)」刀耶は薄れつつある意識の中、右手の親指で菱形のくぼみを押した。スキンヘッド男が景織子に掴みかかろうとしていた。「ギャハハハハハハー!!剥いてやるぞおおおおおおおおおおおおおおお!!!」「いやあ…」男が景織子に手をかけようとした瞬間、割れた窓から青い光を放つ金属片が飛来し、男の腕に命中。景織子から離れさせた。「何だァ!?」次々と飛来する金属片。男の体を打っていく。「鬱陶しいぞコラアア!!!誰だ!!!誰がやった?ケーサツかああああ!?」その後金属片は全て一箇所に向かって飛んでいく。刀耶の体に向かって飛んでいく。そして次々と張り付き、倒れていた体を起こし、鎧の如く変形していく。最後に飛来した金属片はヘルメット状になり刀耶にかぶさった。その姿は西洋の騎士を思わせた。「なん…だ?」『やっとスイッチを押しましたかトーヤ』「その声…リティーシャか…」ヘルメットの中で声がする。『随分とやられましたね。目の前のあの男を見れば納得です、さぁ反撃しましょう』「何がなんだかさっぱり…」『説明は後です!まずは目の前の緑男を倒すのです!!』メルメットからの情報が刀耶の目の前に表示される。それはまるで[ハイパーキングファイター]の画面であった。『ヒーリングファクター!』リティーシャが叫ぶと青銀の鎧騎士となった刀耶の体が黄色い光に包まれた。「痛みが消えていく…」『これでもう大丈夫です!さぁ、やるのです!!』「良くわからないけどとりあえずあいつを倒す!」刀耶は床を踏みしめる、たった一歩でスキンヘッド男の前まで接近した。「ギャハハハハハ!!変身ヒーローってか!?コラアアア!!!」右ストレートを放つ男。刀耶は左手で弾き、右ボディブローを叩き込む。男は体を曲げ、後方の柱に激突した。「何だこの力!!」『一気に仕留めましょう!!』「いや、でも殺しちゃ不味いだろう」『大丈夫ですって!あの状態でミンチになっても元の姿に戻るだけですから!!』ゆっくりと立ち上がる男。「やってくれるじゃねえかああああああああ!!バラバラにしてやるぞコラアア!!!」男の手に骨を固めて造形したかのような棍棒が現れた。それを上段に振りかぶり叩きつけた。「おっと…棍棒は触れずに回避するのが一番」[ハイパーキングファイター]で棍棒のプレイヤーを相手に対戦したことを思い出す。「オラオラオラー!!」猛然と棍棒を振り回す男。刀耶は回避に専念する。「くっそ、素手では分が悪すぎる!リティーシャ、何か武器は無いのか!?」『どれでも好きなのを選んでください』刀耶の目の前に武器の一覧が表示される。それは[ハイパーキングファイター]で使用できるものと同じであった。「じゃあロングソードで頼む!」『了解!』背中から飛び出した金属片がロングソードの形に変形、刀耶の右手に収まる。男の棍棒の攻撃をロングソードで受け流すように弾いていく。「何だコラアアアアア!!!」「くらえっ!!」切り上げの一撃で男の左手に斬撃を加え切り返しに胴に叩き込む。男は体を大きく仰け反らせ割れた窓から道路に飛び出した。『良いですよトーヤ!』「グルアアアアアアアアアッ!!」飛び上がる男、刀耶は一歩下がり棍棒を外し、踏み込んできた左足のつま先、続いて顎、脇の下にロングソードで斬撃を叩き込む。動きの止まった男にひねりを加えた渾身の突きを放つ。「ギイイイイヤアアアアアアアアアアッ!!!」深々と男の胸に突き刺さるロングソード。青い血をまき散らしながらうつ伏せに倒れた。『やりましたね!!』「あ、ああ…本当に殺してないんだよな?」『見てれば分かりますよ』男の体が突如爆発四散。飛び散った肉片は光り輝き集まっていく。光が消えたあとにはやせ細ったスキンヘッドの男が全裸で倒れていた。『ね?大丈夫でしょう?』「あ、ああ………ところでリティーシャ、警察のサイレンが聞こえてくるんだがどうしたらいい?」『逃げましょう。色々厄介なことになりますので』「だよな」『短時間なら飛べますのでナビに従って飛んで来てください』「分かった」背中と足の裏からジェット噴射で飛ぶ。ナビに従いたどり着いたのは刀耶のアルバイト先の溝口堂の裏にある、増築に増築を重ね魔窟と呼ばれている雑居ビルの屋上であった。『中に入ってきてください』「ああ…」扉を開け階段を下り、薄暗く日の光の差し込まない廊下を進んで行く。重々しい金属扉の前でナビの目的地の表示は0mの表示を示していた。『どうぞ』「入るぞ…」中に入るとガスマスクを外したリティーシャが高級事務椅子に座っていた。部屋は窓一つなく、パソコンや電子機器で埋め尽くされ数十台のモニターが並んでいた。「ようこそトーヤ。そしてご苦労さまでした、これからもよろしくお願いします!」「は!?どういうことだよちゃんと説明しろよ!これどうやって外すんだ!?」「10億円の価値はあるでしょう?だって10億円かかってますから!」「おい…」「トーヤ、まだミルク届かないので買ってきてください」「はぁ…?」「ミルク買ってこないと外し方教えませんよ?」「めんどくせぇ~…」続く
Apr 16, 2016
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オルガ:脳も背骨も心臓も失ったFalloutNewvegas120話「ロックリア」ソニックエミッターのアップグレード、X-2アンテナの入手、ステルススーツを手に入れなきゃ脳も背骨も心臓も元に戻してもらえないらしい…参ったね!しかし脳が無いなんて全然そんな感じしないんだけど…あのヘンテコなロボット博士たちが言うには脳の代わりに頭に入ってるテスラコイルがなんかうまい具合に繋がってらしい。まずはソニックエミッターのアップグレードが出来る所に行こう。そうしないとフォースフィールドを破れないとか。Pimp-Boy3000000000で地図を見ながら建物を目指す。「ぎぎぎぎぎぎぎ…」「ん?」妙な唸り声がした。誰だ!?「ぎぎぎぎぎぎー」頭に傷が入った人間が金属の棒を振りかざして走ってくる。何!?ジャンキー!?「オルガアッパー!!」爆殺フィスト無しのノーマルアッパー。でも顎の骨を粉砕した感触はあった。「ぎがごげごごご…」一回転して地面に落ちた変な男。そのまま動かなくなると思いきや砕けた顎をだらしなく垂らしながら再び向かってきた!顎を砕くほどのアッパーをくらって脳が揺れないはずがない!………あ、もしかしてこの男脳を取られたロボトマイトって奴!?「オルガトマホークローキック!」遠心力と体重を載せ、上から振り下ろすローキック!!ロボトマイトの左膝を粉砕する。これでもう動けない!!「ご…が…」「まるでフェラルグールだね。あいつら頭半分吹っ飛んでも向かってくるし…」このロボトマイト…あたしもこうなってた可能性があるのよね…そう考えたら段々腹が立ってきた!ちくしょー深夜のショーとか言って騙しやがってぇー!!あたしが助かってもこの先ロボトマイトにされる人は少なくないかもしれない…ここはダメだ。なんとかしなきゃ。アルケイド先生がいたらなんていうかな…とにかく今はあの博士に従って脳を取り戻さないと。「このソニックエミッターて銃…なんだかメロディの音波砲みたい。アップグレードでフォースフィールドを破れるようになるのならメロディも同じことができるようになる?」メロディへのお土産はこれにしよう。アルケイド先生へのお土産はあの最初に連れてこられた時に着せられたエロエプロンだね!「ぎぎぎぎぎぎ…」「バウワウ!」パワーフィストを持ったロボトマイトとあれは…サイバードッグ!?背中になんか銃みたいなのついてる!!「バウッ!」「でやー!!」飛びかかってくるサイバードッグを膝蹴りで迎え撃つ。牙が飛び散った。そしてロボトマイトには腕をぶつけて地面に叩きつける。オルガハンマーラリアット!ロボトマイトは脳が無いとはいえ背骨を砕かれたら動けないはず!そしてパワーフィストを取り上げて装着、止めの一撃を顔面に叩き込む。「なにこのパワーフィスト!すごく軽い!!しかも光の加減でいろんな色に見えるし不思議」とりあえずこれでロボが来ようと巨大昆虫が来ようと倒せる気がする!!えっと…目的の場所はX-8研究センターか。何人かのロボトマイト、サイバードッグを蹴散らしてX-8研究センターにたどり着いた。うーん…中はかなり荒れてるね。あちこちに手術道具とか血痕がある。犬の死体も結構ある。ここでサイバードッグを生み出している?レックスもここで生まれたのかな?『保安と奉仕に努めます』あれは警備用のプロテクトロン…動きが遅いから慣れれば簡単に倒せる。この軽いパワーフィスト…サタナイトとか彫ってあるしサタナイト・パワーフィストと名づけたこれの威力を試してやる!「でやああああああああ!!」右ストレートを6連発する!プロテクトロンのレーザー攻撃が始まる前に破壊した。爆殺フィストを高速6連撃するオルガ爆殺ストームよりは威力はないけど軽いから負担は少ないし助かる!殴った時の感触からして相当硬い金属で出来てるっぽいしメンテナンスしなくてもかなり長い間使えそう。「それにしても誰もいないなー」ロボトマイトの他の人間を見ない。モハビではレイダーとかジャンキーとかいるのに。もしかして普通の人間てあたしただ一人!?脳取られてるし今は人間ではないかもだけども。「いたたたたたたた…」急に頭がキューンと痛み出す。脳がないはずなのにものすごく痛い!一体なに!?「おかしいな…ロボトマイトが停止しない?」「誰!?」声がした。頭が痛いのをこらえて立ち上がる。声の方向に目を向けると赤茶色のロングヘヤーの女が腕を組んで立っていた。角の取れたコンバットアーマーみたいなのを着てる。「もしかして人間か?いや、脳波は感じない…もっと出力上げるかな」「いたたたたたた…質問に答えてよおおおっ!!」あたしは研究資材の散らばっている金属製の机の影にたどり着くのがやっとだ。ものすごく汗が吹き出している。ヤバイこれなんなの…あの赤茶髪の女のせい?「私はヘザー・ロックリア。お前は誰?どこから来た??」「いたたたたたた…その何かするのやめろおおお!!」「出力上げても掌握はできないか。まぁでも私に危害を加えることはできなさそうだし利用できるか。はい、少し緩めたから質問に答えてもらおう」なにこいつー!!!もしかしてロボット!!?目がなんか人間ぽくない赤黒だし…「オルガ・キュリレンコ。モハビから来たんだよ…」「モハビ…ああ、ビッグマウンテンの罠に引っかかった一人か。どうしてロボトマイトが自由に動ける?」「知らないよ!動けるから変な博士に仕事押し付けられたんだよ!!」「そういう事か…するとモビウスは相変わらず連中を………少し前に居たという老人とBOSの女と浅黒い肌の男と何か関係あるのか?」「何の事?」「違うのか…もう少し私とグレタがここに早く到着していればそいつらを掌握してここの全てを乗っ取れたというのに。まあいい、お前を利用するか」「利用…!?」「ここの施設は少し面倒な構造になっていてね。学校を模した研究所になっている。試験に合格しなければ入れないエリアもある。私とグレタはここのシステムとあの科学者連中にロボットと認識されていてね。試験が開始されないのだ」「それをあたしにさせる気か…」頭痛は相変わらずずっと続いてるし、このヘザーってやつに殴りかかれない。今のところあたしを殺そうという気はないみたいだけど目的達成したらどうなることやら。「どうしたヘザー、またロボトマイトが侵入してきたのか?」現れたのは栗毛のショートヘヤーの女。ヘザーよりは重装甲のコンバットアーマーを身につけている。「ああグレタ。この者はどういうわけかロボトマイトでありながら意思がある。私の力で押さえつけることはできても掌握はできないことから脳があると思ったがどうやらそういう訳でもない。通常のロボトマイトのように完全停止させることもできない」「なんとも妙な存在だね。それでどうするつもり?」「ビッグマウンテンを手に入れるのに利用しようと思う。都合の良いことにこの者はあの科学者達に仕事を頼まれている。」「そういう事か。しかし鞭だけではこちらの要求をのんでくれそうにないのでは?」「それもそうか、飴も必要だな。ではこの者を手伝ってやることにしよう」「あと、そいつの話を聞きたいね」なんか勝手に話が進んでるけど…うーん。このグレタとヘザーってのはビッグマウンテン全部を自分のものにしたいらしい。発言からしてロボットじゃないけどロボット扱いされて入れない場所とかできないことがあるからあたしにさせようと。あたしは脳を取り戻してモハビに戻りたいだけだし…「あたしはモビウスに会って自分の脳を取り戻して元に戻りたいだけだよ。別にこのビッグマウンテンに興味なんてないし」「モビウスに?確かにどこにいるか分からないししらみつぶしにするしかないか。グレタはどう思う?」「モビウスを探すついでに施設を制圧していこう。邪魔が入るだろうけど潰せばいい」「ではお互い協力し合って目的を達成しようか。裏切ろうとしても無駄なのは分かってるな?」いたたたたたたたっ!また何かしやがった!!こんなふうに痛めつけておいて何が協力だ!!ちくしょー脳を取り戻したらぶっ飛ばしてやる!!「グレタ、まずは厄介なフォースフィールドを解除する方法を探さなければならない」「そうだねヘザー」「それならこのソニックエミッターで解除できるはず。ここの施設で更新すればだけど」あたしはチラッと少しだけソニックエミッターを見せた。取られた大変だしね。「ほう…早速役に立つ」「ラッキーだねヘザー。こいつに出会えて」「グレタ、ヘザー、この施設はどういう所なの?」怒りを抑えてあたしは二人に質問する。いつまでもすぐにブチギレするメガネファイターじゃダメだ。先生にも言われてるし…「サイバードッグ、ロボブレインの実験場だ。この施設を作った奴はイカレれるね、わざわざ学校を模した試験場とか意味のない仕掛けとかね」グレタは肩をすくめて言った。「行ける範囲に居るサイバードッグ、ロボブレイン、ロボトマイトはヘザーが掌握してる。警備のプロテクトロン、セキュリトロンはあらかた破壊した」得意気に言うグレタ。横にいるヘザーは腕を組んだままこっちを見てる。「へぇ…そうなんだ」グレタは所作から近接戦闘が得意だってのは分かる。えっと…ヘザーはサイバードッグ、ロボブレイン、ロボトマイトは操れるのか…でもロボットは操れない?脳がある存在を操れる?あれ…でもロボトマイトは脳が無いし…停止させるだけ?「付いてこい…オルガ」「心配しなくても私もヘザーもお前を殺すつもりはないよ」偉そうに!なんて屈辱!!耐えろ耐えるんだあたし!!続く
Apr 10, 2016
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カサンドラ:ポテトとトマトは好きFalloutNewvegas119話「帰還」「これでエリヤは一生出てこれない?」カサンドラはターミナルを確認してクリスティーンに言った。「どうかな、ひょっとしたら中にロック解除する方法があるかもしれない。あの傷ではどの道助かりそうにないけど」「これからどうするの?」「さぁね…行くあてもないし今更BOSに戻る気も起きないし、しばらくはこのカジノホテルで暮らそうかな。じっくりと考える時間も今まで持てなかったから」「そっか、気が向いたらモハビに来てよ。いつでも私は迎え入れるわよ」「ありがと、気が向いたら行かせてもらうわ」クリスティーンの表情を見て彼女はモハビに来ないであろうとカサンドラは察した。「結局ここに来ても何も無かったなぁ…死にかけただけだし」「カジノに行ってみればどう?戦前の金はモハビで売れるのだしうまくいけばかなりのキャップを稼げるんじゃない?」「そっか!なんでこんな簡単な事に気が使ったんだろう!!ベガスで鍛えたギャンブル力で稼ぐぞー!!じゃあねクリスティーン。元気でね」「ええ、貴女も」モハビに流れコロラド川の沿岸西部をラウル、ダーモット、ベロニカの三人がカサンドラを探し歩いている。行方不明になったバンカーから手がかりは何一つ発見できなった。カサンドラの失踪から二日。三人は一旦ボニースプリングスの牧場に戻ることにした。「ボスは案外ひょっこり戻ってくるかもしれない」「私はあの人を信じております」「私がBOSと絶縁しなければBOSの支援受けられたかもしれないのに…」改造車イリオス号に乗り込む三人。「今、お嬢様の声がしませんでしたか?」聴覚、嗅覚に優れるダーモット。ラウルとベロニカは聞こえなかったと答えた。「…~い!お~~~~い!!」「あ、聞こえた!?」「確かにボスの声だ!!」イリオス号から降り、声の主を探す。南の崖の上で手を振っているカサンドラの姿を発見した。人型ロボットに抱えられている。「ここよここ!」「お嬢様よくご無事で」「良かった~」「年寄りを残して先に死ぬなんてやめてくれよボス」人型ロボットはカサンドラを抱えたまま崖を滑り降りてくる。ボディのラインは女性型、黒色に塗装された装甲、頭部は赤いレンズ型のアイカメラが搭載されている。「そのロボットは何?アサルトロンにも見えるんだけど…」そのベロニカはそのロボットを見てBOSの資料で見たアサルトロンに似ていると感じた。「さぁ?良くわからないけどVaultから出てきたんだってさ。私もVault出身だって言ったら一緒に行動したいって言い出してさ、それでまぁ付いて来た訳。モハビに帰る方法もわからなかったしちょうどいいかなって」「初めまして。ワタシの名前はデボラ。Vaultのデータを収集しています。Vault-TECにより作られました。200年ぶりに再起動し任務を再開しています」デボラは女性型の音声でそう言うとカサンドラを下ろした。「とりあえず帰りましょ。めちゃくちゃ疲れたし…それなりにキャップは稼げたけど」イリオス号の乗り込む4人と一体。三日後―エアロティック・オフィスパークニューベガスで一攫千金を夢見るも、ストリップ地区に入れず、もしくは全てを失って流れ着いた者たちが集まる集落。NCRのパーカー大尉、アポカリプスの使徒グールのバート・ガナーソンがここを支援している。少し前に行方不明者が相次いだが運び屋ヴァンの活躍で犯人一味は殲滅された。今ここに植物を自在に操るローズ・ローザ、視力を操るリアがいる。カリーナ・エレイン・ミノーグの指示を受けて。エアロティック・オフィスパークの前にカサンドラとダーモットが乗ったイリオス号が停車した。「植物の専門家と採掘の専門家がいるって聞いてきたのだけど…」助手席に座るカサンドラはローズ・ローザとリアの顔を見て小さくため息をついた。「あんたたちだったの…で、どうして取引を持ちかけた訳?」「Vault居住者であるあなたの~DNAサンプルが必要なんです~」ローズ・ローザは笑顔で答えた。「それとシエラマドレであったことを話してもらえますか?」リアは表情を変えずに言った。「何それ!?もうそんな事知ってるんだ。…ん?その事Dr.Kとかあんたたちに言ったっけ?」カサンドラは記憶をたどる。シエラマドレから戻った後、ジャンク品を求めてフリーサイドに行った。そこで運び屋ヴァンを見つけアトミックラングラーで少し話した。「ヴァンさんから聞きました~」「そうです。それで貴女が作物を育てる方法と水脈を探していると聞いたので」「ふーんそう…Dr.Kは来ないわけ?」「あの子は~ヴァンさんと一緒にやることがあるので~」「いなくても私たちだけで十分ですし」カサンドラはダーモットと顔を見合わせて軽く頷いた。「いいわ乗って。土産話とDNAサンプルでやってくれるなら大助かりだし。まぁ食事くらいは出すわよ」「は~い。でもでも~ロロはお肉食べないのでそれだけは言っておきます」北からのルートを通りボニースプリングスに到着。デボラがアイレンズにエネルギーを溜めて警戒している。「大丈夫よデボラ。この二人は知り合いの取引相手よ」「了解。通常モードに移行します」デボラは警戒を解き巡回へと戻っていった。「わぁ~珍しいです~アサルトロンなんて」「こっちではほとんど見かけないものね」スナイパーライフルとレーザーライフルを下ろしてローズ・ローザとリアは言った。「デボラはVaultの調査を目的としてるんだってさ。しばらくはモハビにいるとか」「そうなんだ…じゃあVault-TECとかVault0から来たのかな?」リアはデボラを見ながら言った。「さぁ?聞いても秘密事項ですとしか言わないしね。デボラの事は置いといて早速仕事にかかってもらおうかしら」「そうですね」畑にローズ・ローザを連れて行くカサンドラ。「一応色々調べて試してはいるんだけどすぐしおれちゃうのよね。それにトウモロコシとかあんまりいい金で売れないし…」「それならば~テイトとかどうですかね~?この辺で見たことないのでいいかもしれませんよ~」「テイト?何それ…」「ポテトと~トマトの性質を持ってるんです~収穫量はそんなに多くはないですけど育つのは早いし美味しいですし~」ローズ・ローザはカバンからテイトの種を取り出した。「へぇ…うちの名産品になればいいな~」「手入れの仕方育て方も教えます~」ボニープリングスのバラモンの柵の横でダーモットとリアはしゃがみこんでいる。「ここがいいかな…ちょっとだけ石が邪魔だけどそんなに深く掘らなくても水脈まで届きますしここがいいでしょう」「ではここに印をつけておきます」「井戸を掘る方法は知ってる?」「一応は。金属棒とパイプで掘り進む原始的な方法ですが」「まーその方法でも丸一日あれば届きますかね。そういえばこの牧場に発電機は?」リアは物置らしき建物を見て言った。「あるにはあるのですが石油燃料を必要とするタイプでして…動かせていません。近々お世話になっているスタン博士にバッテリー式に改造してもらう予定です。それでフリーサイドでバッテリーを購入したのです」「この辺は西の崖からかなり強い風が吹き降ろしているので風車式発電機とか一機でも設置できればいいかもしれないですね。バッテリーの充電もできますし」「おーい!食事の準備が出来たよー!」木造の家から出てきたのはベロニカ。「ヌードルだからのびないうちに食べてくれ」後ろからラウルが姿を現した。続く
Apr 3, 2016
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