全8件 (8件中 1-8件目)
1

奥寺舞子:周防美古都とは良き友人関係VAMPIREEYE71舌VS十字槍――伏見桃山城近郊広場にはアイドルグループヴァルキリーのライブ会場が設置されていた。ライブを撮りそれをPVにする企画である為、十数台のカメラが会場に設置されていた。天幕に囲まれた会場に観客100人ほどが入っている。甲冑をイメージした衣装を着ているメンバー。「怪しい者がいないか私が見てますので!」大蝦蟇の周防美古都は折りたたみ式の十字槍を展開してヴェルキリーのメンバーにそう言った。「嫌な気配を感じる」奥寺舞子は会場中に張り巡らせた極細の糸を指で触りながら言った。「やあ~だぁ、こわいこわい~」野村萌絵は体をくねらせて言った。目は鋭く周囲を警戒している。「緊張してきた!ライブも戦いも!!」両手を上げ下げしながら山根妃羅莉は言った。「おやおや、皆さんやる気十分ですなぁ。ウチもそうですけど」扇子を閉じライブ会場から見えるマンションを見て緋川燿子は言った。「みなさん準備は良いですか?あと10分で始めますよ」マネージャーの真柴樹里もマンションを眺めて言った。「マンションからライフルのスコープで見てる人がいますなぁ。真柴さんどうしたらいいですやろ?」「流石ですね緋川。すぐに対処します、皆さんは予定通りライブを」真柴樹里は携帯電話を取り出し天幕から出て行った。「ねーねー…あのマンションから誰か狙ってるって?ライフル撃たれたらどうすんの?」「大丈夫ですよ山根さん」本番まであと1分になった時、真柴樹里は戻ってきた。「スナイパーを処分しました。ライブの後皆さんのお力を借りる事になると思います」「そう、嫌な感じは消えてるわね」「これでスッキリしたゾ☆」「マネージャーさん、時間外活動するんだからスイーツバイキング連れてってね」「後はライブが終わってからですね」奥寺舞子、野村萌絵、山根妃羅莉、緋川燿子はお互いの顔を見合わせて舞台に出て行く。舞台の裏では消音スナイパーライフルを分解し片付ける真柴樹里。マンションのスナイパーに対し真柴もスナイパーライフルで応戦した。その様子を見ていた周防は真柴を見て頷きマンションへと向かった。1km程山道を進む周防、開けた場所にマンションは建っていた。「え……」マンションの前にヘルメットマスク、防弾アーマーを装備した特殊部隊風の男たちが10人ほどアサルトライフルを構えて立っている。「真柴さんが狙撃したから?それにしても……こんなのおかしい」マンションの1階のホールからフルフェイスヘルメット白衣の男が現れた。「ん~?気配はするね。どこかに潜んでいるはずだよ徹底的に頼むね」「は、勝田殿」教会の研究員でありながら華月派のスパイ・河童の勝田波留夫である。特殊部隊は教会の人間である。「(もしかしてあれが教会の特殊部隊!?それなら不味い事になったんじゃ?教会と揉めるのは良くないってこの前みんな言ってたのに)」「そこだね、その岩陰に反応見つけたよ」「!!」周防のいる岩陰にアサルトライフルが向けられる。「(どうしよう……大人しく出たほうが……でも皆に知らせなきゃ」周防は全力で岩陰から飛び出し山道を走る。消音のアサルトライフルが放たれる。「あれは……大蝦蟇ですね。生かして捕らえてください」勝田はフルフェイスヘルメットのモニターを眺めながら指示する。全身黒タイツの男が飛び出し周防を追う。「ダメだ、このまま戻ったら舞子さんたちのライブがめちゃくちゃに……ここであの男を止めなくては!」足を止める周防、十字槍を構える。後ろの林から全身黒タイツの男が飛び出し両手両足をついて着地した。「周防美古都……お前を連行する。吸血鬼の一味にいたことがあるだろう?」「あれは洗脳されて!」「話は後で聞こうか」男の口から何かが飛び出し周防の肩をかすめた。ポロシャツの肩口を裂いて鮮血が飛んだ。「!?」「どうだ?反応できたか?……んん~お前の血は旨いなぁ」舌なめずりする男。舌が血で濡れているのが見えた。「捕まるわけには行きません!」「それならおとなしくさせる必要があるな」周防の両大腿から鮮血が飛ぶ。「ああっ!」「これで自慢の足も使えねえか?」周防は十字槍をプロペラのように回し始める。「はあ~」「それで防ぐつもりか?無理だね!」周防の脇腹、腰から鮮血が吹き出す。「うあああっ……」「ぐえっ……不味っ!!テメェなんだこれは!!くっそ目もチカチカしやがる」周防は口から溶解液を霧状にして十字槍で霧散させていた。更に体からは虹色の汗が吹き出ている。「そうか、毒だな?カエルは毒持ってるもんなぁそれなら…」男は腰に下げたバッグから金属製のマスクを取り出して装着する。「生かして捕えろと言われたが半殺しにするなとは言われてねえ」マスクの口腔部が開き舌の先端にドリル状の金属が取り付けられているのが見える。「舌で攻撃をしていた……!?」「俺は垢嘗(あかなめ)。世間に知られてる無害なイメージと違ったか?」ドリルのついた舌を伸ばして近くにあった木の幹を抉り取る。「弾丸めいた速度で軌道も思いのまま。正直俺は茨木童子にも土蜘蛛にも妖狐にも牛鬼にも鉄鼠にも負ける気はしねえ。なんなら酒呑童子も倒してやろうって思ってる」さらに連続で舌を繰り出す垢嘗。岩を砕き地面を抉り取り木をなぎ倒す。「お前たち全員ねぶり尽くしてやる」高速の舌攻撃を仕掛ける垢嘗、周防の体を削っていく。「そろそろギブアップか?手も足も出ねえなぁ?大蝦蟇」周防は全身を血で赤く染めながらも立ち続ける。「(このままでは……勝て無い……)」垢嘗の舌攻撃に対応できない周防、周囲の木、岩、地面を見て自分もあの姿になるのかと考える。「死ぬまで粘るつもりか?やめとけ、お前を捕まえても殺しはしねえ大人しく観念しな」「(一番遠い木で10m程……それ以上はあの舌は届かない?)」周防は力を振り絞り林の中に飛び込んだ。追いかける垢嘗。「逃げて時間稼ぎか?無駄だやめておけ、その出血が道しるべになってるぞ」舌で樹木を抉りとっていく垢嘗。「んー?どこに行きやがった?」血痕は突如消えていた。「物陰から槍でブスリとやるつもりか?甘いぜ飛び出した瞬間カウンターで抉ってやる」舌をくねらせる垢嘗。耳を澄ませて周防の動きを探る。「お?」垢嘗の腕に雫が落ちる。右上をみると木陰に血に染まった周防のポロシャツの端が見えた。「そこだぁあああ!!」木ごと抉り取る垢嘗。ドリルをつけた舌が周防を貫いた……はずだった。「何っ!」ドリルに絡みついたのは周防の服のみ。「はーっ!!」下着姿の周防が背後から現れ、十字槍が垢嘗の背後から腹を貫いた。「ぐっはぁ……!?」「はぁはぁ…この程度の罠にかかるなんて……舞子さんにはとてもかなわないですよ」「やりやがったな……」舌を伸ばし十字槍を引き抜く垢嘗。周防はありったけの毒を吐いて垢嘗に浴びせる。「ぐおおおおおおあああああ!クソまずいモン吐きやがって!!」高速の舌使いで浴びせかけられた毒を舐めとる垢嘗、地面に吐き捨てる。そして周防を狙って舌を伸ばすも当たらず、横の木に突き刺さった。「なに!?この俺が外した!?」「ようやく効いてきましたね。私の毒は感覚を狂わせるものです」「大蝦蟇~……流石にお前を見くびりすぎたか……」垢嘗はバッグからガムテープを思わせる物を取り出し傷口に貼り付ける。「次は油断しねぇ……必ずお前らを倒してやる」垢嘗はスモークグレネードを叩きつけ姿を消した。後に残された周防は十字槍を杖がわりに満身創痍の体でライブ会場へと戻っていく。ぶっつけ本番のPV撮影を兼ねたライブが終了する。甲冑風のステージ衣装のまま天幕から出る奥寺舞子らヴァルキリーのメンバー、それを見たマネージャーの真柴は折りたたみ椅子から立ち上がり近づいてきた。「ライブは成功です、お疲れ様でした。……一つ残念なお知らせがありますが?」真柴は瀕死の重傷を負った周防美古都をセンジョー系列の病院に搬送したと伝えた。「……教会の連中が住んでいるマンション!?そこの奴が美古都を!?」「やぁだ~やっぱり教会はやなところですねぇ~……やった奴潰すか?」「ひえええ……美古都ちゃん心配だなぁ」「おかしいですなぁ、こないだ吸血鬼にくっつけた奥寺さんの糸はあのマンションの前で切られたんでしょう?教会は吸血鬼と対立してるはずです」あっ!と4人は声を上げる。「燿子の言うとおりだわ!頭に血が上って肝心なこと忘れてた」「……マンションに殴り込みっ!?」「美古都ちゃんの敵!」「皆さんやる気ですけどマネージャーさんはどうですか?」緋川燿子の問いに真柴は、「社長に報告します。それと応援を呼びます、あなたたちを止めることはしませんよ」「では、何かあれば連絡を」真柴はスタッフに指示をしてワゴン車に乗り込んでライブ会場を後にした。残されたヴァルキリーのメンバーは控え室のテントで着替える。「教会と鉢合わせになった可能性はあるけど関係ないわ、今度はこっちから吸血鬼を攻める番よ!」「同感っ」「やるよ!やっちゃうよ!!」続く
May 21, 2016
コメント(0)

木城二郎:霞とはほとんど面識がない前回VAMPIREEYE70話最善最悪―翌日警察署に向かう二郎と霞。二郎は早速携帯電話を操作し、奥寺舞子から譲り受けた洗脳メールのコードを表示させる。そして入口に立っている警察官に見せる。「これを見てください」「なんだね君たちは?携帯電話がどうした?」「……あなたは誰ですか?」「上田直太……京都府警の巡査……28歳」二郎の携帯電話を見つめながらつぶやく。「上田巡査、斎藤勇雷氏に会いたいので案内してください」「分かった、斎藤警部に会わせよう。付いてきなさい」二郎と霞は顔を見合わせて頷く。上田巡査に付いていく。受付の女性警官は上田巡査の変化には全く気づかず斎藤勇雷を呼び出す。「2階のB室でお待ちになってください、すぐに来られます」「(すごい効果だな……)」2階B室に案内した上田巡査は持ち場に帰っていく。残された二郎と霞はソファには座らず窓の外や時計を眺めて斎藤勇雷を待つ。緊張で二郎の手の平は汗が滲んでいた。「……待たせたね、気配で少年だと分かったよ。これは驚いた、主に似た気配がすると思っていたら霞嬢が来られるとは」斎藤勇雷はスーツ姿で一人で現れた。「まさかこのような形で再び会うことになるとはな。どういうつもりか聞かせてもらおうか?」斎藤勇雷の髪がわずかに逆立ち静電気が発生したかのような音が全身から発せられる。「争いに来たんじゃないんだ……俺は華月さんと話がしたいだけなんだ」「そのような要求受け入れるとでも?」「このまま争ってばかりいても何にもならない」斎藤勇雷の目をまっすぐにみつめる二郎。「交渉とは相手の利になる条件を出さねば成立しない。お前のはただの願いだ、何故聞かねばならぬ?」「吸血鬼サイドの目的が分からないんだ。何故皆を襲ってるんだ?華月さんは何をしようとしてるのか」「知る必要は無い、と言いたいところだが俺も少年の力に興味がある。霞嬢をこちらに引き入れたくもある。そこでだ……勝負をして勝った者の要求を受け入れるというのはどうだ?俺が勝てば二人は俺の配下になってもらう。少年が勝てば我が主、華月様に会わせてやろう」斎藤勇雷は眉を上げ自信に満ちあふれた表情で二郎を睨みつける。「ダメだよ!二郎くん!!あたしも一緒に戦う!!」「霞ちゃん……えっと」言いかけたが霞の緑銀に変わった髪と真紅の瞳を見て言葉を詰まらせた。「斎藤警部、あなたは吹雪おねえちゃんと二郎くんと速水くん三人を相手に勝ったんですよね?じゃああたしが二郎くんに加勢しても良いのでは?それとも勝つ自信ないですか?」「確かに少年一人では俺の相手は少し荷が重い。……霞嬢、あなたの力も見ておきたい。加勢許可しましょう。一本勝負で決定的一撃を入れた者の勝ちで良いですかな?」「それでいいよ。言っとくけどこれは勝負だし殺し合いじゃないからね?」「そのくらいはわきまえている。ではこちらへ」地下へ移動する三人。二郎に勝算は無かった。ただ華月にあって話をしたいそれだけを考えていた。地下の扉を開けるとそこは格技場だった。ここで日頃警察官たちは体を鍛えている。「この時間この格技場に人は来ない念の為に人払いの結界を張っておく」「そっか……で、勝負の方法は?」「通常の戦闘と同じで良い。時間無制限で何を使おうが自由、決定的一撃を入れた者が勝ちだ」竹刀型特殊警棒を正眼に構える斎藤勇雷。対する二郎はバックル刀、霞は格技場のダンベルを手に取った。「俺に完敗しなお挑んでくる度胸は認めてやろう。だがすぐに挑んだことを後悔するだろう」全身から青白い光を放つ斎藤勇雷。両者の距離は10m程度。二郎、霞には間合いの外であっても斎藤勇雷には間合いの中。二郎の額から汗が吹き出る。「(この距離を一瞬で詰めてくる、そこから超高速の一撃……俺に勝ち目は……勝つには)」右手の義手を見つめる二郎。「(……正体不明のこの義手の力を使えば斎藤勇雷に対抗出来るかもしれない。だけど……また俺が俺では無くなってしまうかもしれない)」応えるかのように義手から黒いモヤが現れる。「その力だ少年、それを見せてみろ」竹刀型特殊警棒から電撃を飛ばす斎藤勇雷、しかしそれは二郎の目の前で逸れ、霞のはねた髪に命中した。「大丈夫だよ二郎くん、あたしがああいうの全部防いであげるから」「ほう……これはこれは……イヤァー!!」一瞬で霞に肉迫する斎藤勇雷、竹刀型特殊警棒を振り下ろし霞の頭部を狙う。霞はダンベルで受け止めるも衝撃で吹き飛ばされ格技場の床を滑っていく。「かすみちゃん!」「大丈夫だよ」「なるほど……白峰家最年少のあなたの事を見くびっていたようだ。魔力と電気を混合させた魔力電磁フィールドをこの格技場に展開させ、どんなものの僅かな動きも察知出来るようにしているとは」斎藤勇雷は瞬間移動的に後方に下がり再び正眼に構える。「たった一回のやりとりでそこまでわかっちゃうんだ……」「ふふ……俺は同志の中で近接戦闘最強を自負している、この程度造作もないこと」「やっばー……そうなんだ、これは全力でいかなきゃ」霞の髪が逆立つ。青緑の稲光が発生、霞の体は宙に浮き、両手両足は光のゆらぎに包まれる。「行くよ警部」右手を突き出す霞。次の瞬間、斎藤勇雷の体は格技場の壁に叩きつけられた。正眼に構えた竹刀型特殊警棒に真っ赤に焼けたダンベルが食い込んでいた。「ぬうう……自分で張った電磁フィールドで反応していなければ今ので終わっていた」二郎は二人の攻防を見つめている。『何をしている』二郎の右側から声が聞こえた。そこには全身漆黒の赤い隻眼の男が立っていた。「お前は誰なんだ。いつも俺のそばに現れて……はっきりと言わない、何なんだ」『未来は多く枝分かれをしている。迂闊な事を言えばそれ自体が無かったことになりかねない。慎重に言葉を選びお前に考えさせ行動させなければならない』「……それが白峰家を守れってことなのか」『それだけを考えろ。他の事に惑わされるな。白峰家を守ることが最終的に白峰吹雪や、親しい者を救うことになる……』「今現れたって事はかすみちゃんを巻き込むなって言いたいのか」『敵を間違えるな』漆黒の男はそう言い残し消えていった。「(敵を間違えるな……?だから俺は華月さんと争わない為にこうして……)」二郎の横では斎藤勇雷、霞の電撃攻防が続いている。「考え事か少年?随分と余裕を見せてくれる」「二郎くんどうしたの!?」「(敵を間違えるな……敵は華月さんじゃないって事なんだよな?でも多くの人、闇の住人を巻き込んでる……他には……妖怪連合。奥寺たちが敵っていうのか?闇の住人が敵??……それはおかしい存在自体が敵というのなら人間だって良い人も悪い人もいる)」二郎の右腕のモヤが全身に広がっていく。「(そうだ……吸血鬼にも善人悪人がいる。じゃあ誰が悪人だ?華月さんを無理やり蘇らせた黒谷か?……そもそもどうして華月さんは死ななきゃならなかったんだ?)」黒いモヤは二郎の全身を包み込み外骨格と化す。「斎藤勇雷、あんたが華月さんについている理由はなんだ?」「俺は俺が正しいと思った道を進んでいる。受験の時も慈善活動に参加した時も警察に入った時も吸血鬼になった時もだ。俺の主は華月様、同志は黒谷」「吸血鬼のせいで沢山の人が死んだ。それでもその考えは変わらないのか!?」バックル刀で撃ち込む二郎。斎藤勇雷は軽く受け止める。「お前は学生のくせに歴史を知らないのか?歴史に名を残した数々の偉人は皆犠牲を出さなかったとでも?」斎藤勇雷は二郎を押し電撃を浴びせる。横から霞が斎藤勇雷に衝撃波を打ち込んで引き離す。「助かったよかすみちゃん」「電気は任せてね」構える斎藤勇雷、二郎、霞。三者の目の前に突如広い渦が現れ中からドレスを着た銀髪の少女が現れた。ドレスから見える関節部は人工物を思わせる構造であった。「勇雷、こちらへ。お父様がお呼びです」「冬華か、分かったすぐに向かうと黒谷氏に伝えてくれ」「戦闘を中止して今すぐにとの事です」少女は淡々とした口調で言い放った。「……仕方がない。少年、霞嬢、ここは引き分けということで」「待て……俺は華月さんに会わなければならないんだ!」「二郎くん、ここは引こう。引いてお願い……」霞は冬華と呼ばれた少女を見つめ二郎にそう言った。二郎は右腕の反応に気がつかない。「かすみちゃん?」「あの子やばいよ……」黒い渦に入る斎藤勇雷、冬華は二郎と霞を見つめている。「またお会いしましょう、それではごきげんよう」黒い渦の中に冬華は消えていく。格技場には二郎と霞だけが残された。「あの子サイバネだったね。かすみちゃんや吹雪さんみたいな魔力だった」「冬華って子が来なければ相性的にも斎藤警部に多分勝ててた。あの子が参加してたら危なかったよ。霄ちゃんや吹雪おねえちゃん以上の魔力を感じたね、吸血鬼だよ」霞は元の状態に戻り大きく息を吐いた。「黒谷って名前、それにお父様って聞こえた。黒谷の娘かな?」「そうかも……これはお母さんに報告しないとね」続く
May 15, 2016
コメント(0)
MKC10話ミラージュナイトケース――京都市内輸送用のヘリコプターから三つのコンテナが下ろされた。一つにはオリジナルオーグルのコピー。一つにはコボルトのケリー。一つにはアラクネのアグリアが入れられている。強力な結界装置が付けられたシリンダーにオーグル。結界装置を組み込まれた手錠を付けられたケリー、アグリア。最初にオーグルのシリンダーが護送車に入れられる。「……」「……」突如ケリーとアグリアの手錠が爆発する。「いてええええいてえええよおおおおおおっ!!」「ひひはははははー!我慢しな!!あたしの爆発粘着糸のおかげなんだからなー!!手錠をつけられる寸前に仕込んでおいて正解だったわ」「逃げたぞ!!射殺しろ!!」退魔消音アサルトライフルを構える二人の警備員。「魔力が戻ればこんな奴ら相手じゃないんだよー!!」アグリアは黒い粘着糸を警備員のアサルトライフルに付け、爆発させる。続けて黒い粘着糸を放ち警備員を爆破、そしてヘリコプターに大量の粘液を付け爆破。「いくよケリー!ここがどんな街だか知らないけどとにかく逃げるんだ!!」「おい……アグリア、もしマスターが追ってきたら……」「ホフより強い奴と組めばいいんだよ!ビビるんじゃないよ!!」「チックショー……やるしかねー」アグリアとケリーはフェンスを乗り越え京都の街に消えていった。――東京秋馬原荒れ果てた雑居ビルの一階は今や探偵事務所になっていた。見た目は完全にシャッターの降りた店舗な為、外からは全く見えない。出入りは路地の裏口からになる。日光が差し込まないのでリティーシャも降りてくる事にした。「さて今日からオープンですね。ミラージュ探偵事務所!」ハンチング帽、外套を着たリティーシャは事務机に座って言った。「名前が……まあナイトケースから取ったからいいんだけどよ」頭をかきながら刀耶が言った。柄シャツにタンクトップ、深緑のカーゴパンツである。「素敵な名前じゃないですか!頑張りましょうね!」スーツ姿の下柳景織子は両手を握りしめていった。「早速メールで依頼が来ていますね。『社員の素行調査をして欲しい』と。あと一時間で事務所に来るはずです」「リティーシャ、スーツの方がいいんじゃないのか?きょん…下柳さんのように」「ありませんよ。私はこれといつもの予備の服しかないです。お金もないですからね!トーヤこそどうなんですか?」「俺は動きやすさ重視でいいんだよ」「所長さん、私の妹のでよければお貸ししますけど?サイズが合うかも」下柳景織子は嬉しそうに笑顔で言った。「い、いや私はこのスタイルで行きます!気に入ってるのでこれでいいのです」「そうですか、絶対似合うと思うんですけどねー。あ、そうだ所長さん宗像さんお茶入れますね、家から色々持ってきたんですよ」奥の台所に入っていく下柳景織子。「……おいリティーシャ、ナイトケースのこといつ言うんだよ?」刀耶はリティーシャに近づいて小声で言う。「完全にタイミングを逃しましたね」「彼女には給料払うんだよな?」「ええ、歩合制になりますけどね……本当に今払うお金無いので」「ああ……不安だ」「大丈夫ですよ。ディスクバットと私の監視カメラハッキングの調査力と天才的頭脳、美貌があれば。トーヤは足で調査するのです」「相変わらずすごい自信だな……しかし面倒だなぁ」「探偵業はオーグルの調査も兼ねてるので。トーヤ、ナイトケースはいつでも持っていてくださいよ」「まぁそうだな」「お茶が入りましたよー」下柳景織子は盆にアイスティーとミルクを持って出てきた。「所長さんはミルク、宗像さんはアイスティー」「人肌に温めてありますね。よく私の好みを覚えましたね」リティーシャは喜んでストローを突き刺して一気に飲み干す。「ぷはー……キョウコは優秀な事務員としてやっていけそうですね」「ありがとう、俺のアイスティーも氷抜きだ……流石だ」「えへへありがとうございます」「リティーシャ、この前コンビニでモーモーミルクのメーカーが粉ミルク出してるの見つけたんだけどあれはどうなんだ?」「粉ミルクですか……満足度は高いですがすぐに飲めないのと携帯できないのが不満ですね。前に一度試したのですよ」「やはりボトルタイプが一番か」「ええ、ストローも挿せて蓋もついてて最高です」刀耶とリティーシャの話を横で笑顔で聞いている景織子。――30分後、メールを送ってきた依頼主が現れた。サラリーマン風の中年。リティーシャは男の話を聞き契約書にサインをさせる。早速調査開始となった。「ではお願いします」腕時計を見た依頼人は慌てて事務所から走り去っていった。「依頼人は飲料メーカーの社員。部下の金回りが急に良くなったとのことで副業の可能性があるので調査をして欲しいと」リティーシャは書類を刀耶と景織子の前の机に置いた。「ディスクバットでつけ回せばすぐに分かるんじゃないか?」「そうですね、やりようによってはすぐに判明しますね」「はぁ~すごいのですねそのロボット……探偵はすごいですね」景織子はディスクバットを手に取り角度を変えて凝視する。勤務先の飲料メーカーの前にディスクバットを待機、張り込みを続け、対象の社員【冲永眞二郎】が出てきたところを追う。外回りでルート営業を行う彼を一日監視する事にした。「さて、後は持久戦ですね……トーヤ、キョウコ、しばらくすることはありませんし自由にどうぞ」リティーシャはノートパソコンを眺めながら言った。「じゃあ俺は……3時限目の授業まで適当に時間潰すかな」「それじゃ私は一旦おウチに帰って洗濯します。昼からマスドのシフトがありますので今日はもうこれで失礼させていただきますね」「キョウコ、明日もよろしく頼みますね」「はい、所長さん」事務所を出て行く景織子。刀耶もナイトケースを持って出て行く。「下柳さん」刀耶は照れくさそうに景織子に話しかける。「はい」「その……また明日ね。マスドにも時々行くよ」「あ、はい。お客様としてのご来店お待ちしてまーす」分かれる二人。「(あ~きょんちゃんが気になる男ってどんな奴か聞けなかった~……リティーシャから連絡があるまでHKFでもやって時間潰すか)」刀耶は頭をかいてゲームセンターに向かう。行きつけのゲームセンターは相変わらず常連で賑わっていた。刀耶は軽い挨拶を交わしHKFの順番待ちをする。モニターを見ると二刀流のスズカと体術&片手剣のガラの試合が始まろうとしていた。「これはどっちが勝つか予想できないな」先に仕掛けたのはガラだった。片手剣のフェイントを入れ踏み込み、足技で攻撃を仕掛ける。対するスズカは冷静に見極め回避する。スズカは左手の剣を前に突き出しガラとの距離を取る。「前に突き出した剣にどう対処するかで相手の動きを見てカウンターを入れる気か?俺だったら……あえてゆっくりと武器をあの剣に沿わせてスズカが動くのを見るかな」ガラは意外な行動に出た。ストライクスマッシュでスズカの左手剣を下から弾き上げのけぞったところに踏み込み連続蹴りを叩き込んだ。「まさかいきなり崩しで使うとは。あのまま蹴りで仕留めるつもりか?」連続蹴りが3発当たったところでスズカは半身で躱し両手の剣でガラの右腕を集中攻撃し使用不可能にする。「やっちまったな……部位破壊とは。左手に持ち替えたところであいつ右利きだしな」焦るガラは左手の剣を不用意に振りカウンターを取られKO、1ラウンドを落とした。2ラウンド目は完全にスズカのペースに飲まれガラは敗北した。刀耶の順番が回ってくる。対戦相手は鞭使いのベル。ムチと短剣を使い分けるプレイヤーで一人用モードのスコアランキング全国一位の強者。「ベルか……最近対戦モードでもランキング上げてるんだよな」対する刀耶はロングソードとシールドを選択。「鞭は先になればなるほど威力が高まる武器。間合いを外せばそれほど怖い武器じゃない。けどベルは左手に短剣を持っているどういう使い方をしてくるか」試合開始。刀耶が一歩踏み込んだ瞬間頭部に鞭の一撃を受けた。「速い!最速で振る方法を完全にマスターしてる。そりゃそうか……」続いて鞭の攻撃、刀耶はシールドで防御。ベルは鞭の連続攻撃、刀耶は徐々に間合いを詰めるがクリティカルヒットにより盾の耐久値が減っていく。「これ以上は盾が持たない、だがもう少し接近できれば」ロングソードで刺突を仕掛け一気に間合いを詰める刀耶、ベルの短剣がそれを弾く。刀耶ははすぐさま体勢を整えベルの頭部を狙う。ベルはバックステップで下がる。「そこだ!ストライクスマッシュ!!」バックステップを待っていた刀耶、ロングソードは切り返しの下段からストライクスマッシュが乗り、ベルの顎にヒット。体力ゲージを半分削った。連続攻撃を仕掛ける刀耶、ベルは体制を立て直し、短剣で刀耶の連続攻撃を凌ぎきる。鞭を振り、刀耶の腕に巻きつけて投げ技を仕掛ける。尻餅をつく刀耶、追撃の短剣が肩に命中。「近接も出来るってか」後方に転がって立ち上がる刀耶。追撃の鞭をシールドで防ぐ。刀耶はシールドを構えて突進、隠しきれてない下段に鞭を受け躓きそうになるも何とか堪えロングソードの間合いまで詰める。「ちょっと強引だったか、今ので右足の耐久値が限界だ」シールドで殴りつけ鞭の動きを止める、短剣と斬り結び刀耶は手首に一撃を入れた。次の瞬間、ベルの鞭が光り、刀耶の首に巻き付いた。「なにっ!近接で鞭のストライクスマッシュだと!?」背負い投げで刀耶を叩きつけるベル、止めの短剣の一撃を入れ1ラウンドが終わった。「くっそ…ナイトケースと違ってすぐに体力無くなるな。いや、これは俺がナイトケースの防御力に助けられてたって事か。2ラウンドはもっと慎重にいくとしよう」2ラウンド目は終始小競り合いが続きタイムアップ。体力の多さで刀耶の勝利。そしてファイナルラウンド。ベルは開始直後から鞭での猛攻、刀耶は慎重に様子を見ている。「遠距離は鞭の間合い、近距離は短剣と体術を駆使した崩し投げあの動き何か格闘技をやっているな。鞭を攻略したところで俺の攻撃は当たる距離じゃない、やはり近接で競り勝たなければ」鞭の僅かな隙を見てシールドバッシュで弾き、近接戦闘に持ち込む刀耶。ベルは短剣で突きながら刀耶の体勢を崩す隙を狙ってくる。「俺は格闘技の経験が無い、だから強引に仕掛ければ負ける。相手の虚を付かなければ」ハイパーキングファイターの為に武道格闘技を始める者も少なくない。だが、高ランクの者が全て経験者ではない。現実で格闘技が強いものでも下位ランクであがいている者もいる。経験者未経験者、小学生から中高年、男女、全てのものが上位ランクにいる。刀耶はオーグルとの戦いの後格闘技に興味を持っていた。「HKFは覚えて操作できれば格闘技の動きを再現できる。だけどナイトケースはそうもいかないんだよな……思うように体が動かない、やっぱり格闘技すべきかな」刀耶はわざと隙を作りベルの背負い投げを誘う。自分から飛んで着地、上段斬りストライクスマッシュを放ちクリティカルヒットで命中させた。ゲームセンターで歓声が上がる。ベルは焦らずに距離取って鞭で4連打を仕掛ける。刀耶の体力が一気に減っていく。「しまった……これで五分五分か」鞭を足に巻きつけ転倒させにくるベル。刀耶はロングソードで拘束を外しシールドバッシュ2連打から中段突きを放つ。短剣で弾くベル、反撃を回避する刀耶。そして鞭を警戒しながら右側に周り右腕を攻撃、ベルの体力を削る。ベルは下段攻撃で刀耶の足を止め鞭での拘束狙う。一進一退の攻防が続きお互いあと一撃まで体力を削る。「こうなったら……」シールドを投げつける刀耶。ロングソードを両手で持つ。ベルはシールドをしゃがんで回避、鞭のストライクスマッシュで刀耶を狙う。反応できない程の速さで放たれた鞭であったが刀耶は次に来る攻撃を読んでしゃがんでいた。そこから立ち上がり際に水平斬りを放ちベルの胴を薙いだ。これが決め手になりファイナルラウンドは終了。「よっしゃ!!」シールドを捨てたことで攻撃速度が増した事、ベルの攻撃を読んでいた事の二つの要素がかみ合い刀耶の勝利となった。「強かったな~」刀耶はカードを取り出して席を後ろで並んでいるプレイヤーに交代する。しばらくゲームセンターで他のプレイヤーの動きを見てイメージトレーニングをする刀耶。唐突に携帯電が鳴った。「リティーシャどうした?」『例のターゲット冲永眞二郎に動きがありました。外回り中に第二区2丁目の公園に向かい、駐車している車に緑の液体が入ったカプセルを渡しているのが見えました!オーグルです!!』「2丁目だな!すぐ向かう!!」ゲームセンターを出た刀耶は路地でナイトケースを装着、ジェット噴射で屋上に飛び上がりディスクバットを装着、翼に変形させる。――第二区繁華街2丁目第二公園第二公園は周囲をビルに囲まれ薄暗い雰囲気がする場所である。夜に水商売の親を待つ子供、昼間は浮浪者くらいしか足を踏み入れない。その公園の前に止まっている車にオーグルを渡し50万円を受け取った冲永眞二郎は何食わぬ顔をして車から離れる。「ちょっと待った!」ナイトケースを装備した刀耶が急降下、地面に片膝と拳をついて着地する。「なんだぁ!?」「緑の液体を回収させてもらう。これをどこで手にれた?」「ちっ……」全力疾走で逃げる冲永眞二郎。刀耶はジェット噴射で追いついて首筋を掴む。「大人しく渡してくれれば何もしない」「は、離せェ!!何なんだヤクザか何かか!?」「いいや、とにかくそれを渡してもらおうか。自分で使ってないだろうな?」「使ってたらどうだってんだよ!!グウウウウウウウウウウウオオオオオオオオ!!」冲永眞二郎の額からは角が生え、筋肉は盛り上がり皮膚は緑に変化する。刀耶の手を振り払い出現した大剣を振り回す。「へっへへへへ……どうせ今日の客で全部売りさばいたんだ。そろそろ潮時と思ってたんだ。臨時ボーナスだ!!あんな会社のボーナスじゃ足りねえんだよ!!」「いくつさばいたんだ?」「10個だったかな?とにかく稼がせて貰ったぜ!!何者か知らないがこの力の実験台になって死んでくれ!!」大剣を振り回す冲永眞二郎、大振りの上段斬りで刀耶を狙うも軽く回避する。後方にあった違法駐車の車を切断した。「見たかー!この威力!!」「確かに威力はすげぇな」振りかぶる冲永眞二郎、刀耶は肉薄してショルダータックル、背負投げで叩きつけて顔面パンチを叩き込む。「ぐげぇ」ロングソードを装備する刀耶。冲永眞二郎は顔を押さえて立ち上がる。「この野郎!!」大剣を斜めに振り下ろす冲永眞二郎。刀耶は軽くバックステップで回避、隙にロングソードの一撃を腕に入れる。「ぎゃあ」大剣を持ち上げる冲永眞二郎、刀耶は大剣の横を前蹴りして体制を崩す。そして膝に一撃を入れる。「ぐあっ」しゃがみこむ冲永眞二郎、刀耶は水平斬りのストライクスマッシュを放ち首を切り裂いた。「ぐぼおお……」冲永眞二郎は爆発四散。跡には痩せこけた姿の冲永眞二郎が倒れている。『圧倒的ですねトーヤ』「俺も成長してるってことだよ。ホフとかアグリアとかケリーに比べたら普通のオーグルは大したことねえよ」『私のナイトケースを使いこなせてきたのですね。所で冲永眞二郎はどうしますか?』「人外関係で警察が動いてくれるかわかんねえしとりあえずオジサンに電話しておくか」『それではレンにメールを送っておきます。それと冲永眞二郎の写真を撮っておきます。依頼人に証拠として渡しますので』「ああ、じゃあもう事務所に戻るほうがいいか?」『いえ、さっき冲永眞二郎からオーグルを受け取った者を追うのです。ディスクバットが車を追跡しています』「分かった」車内でオーグルを飲み込み、そのままアクセルを踏み込む男。アクセルは全開に踏み込まれ信号は無視、既に時速130kmに達していた。「いいいやああああほうううううううううっ!!」オーグルに変化する男、更に車は加速していき時速150kmに。「おい!スピード出しすぎだ!!」「あ!?なんだテメェ……」刀耶は飛行しながら運転席の窓ガラスをノックする。「止めろ!」「うるせええええええええええ!!この世の誰も俺に指図するんじゃねえええええ!!」「ちっ……」刀耶は車の前に回り込み足を地面につけて踏ん張る。「うおおおおおおおおっ!?」アスファルトがめくれ上がり車は減速、100m程で停車する。「何勝手に止めてんだああああ!!ブッ殺す!!」カギ爪を装備したオーグルが車から飛び出し襲い掛かってくる。刀耶はロングソードを装備、カギ爪を受け止めて横に流す。体勢の崩れたオーグルの脇腹を刺した。「あが!!」カギ爪を闇雲に振り回すオーグル、刀耶はすべてロングソードで弾きカウンターの突きでオーグルを刺していく。「こ、この野郎!!」両腕を広げ飛び上がるオーグル、刀耶はしっかりとオーグルの動きを見極め着地の隙にストライクスマッシュの上段斬りを叩き込んで頭部を両断、オーグルは爆発四散した。「ウゴアアッ!」「ふう~……」『すぐに退避してくださいトーヤ流石に目立ちすぎです』「そ、そうだな!」飛び上がる刀耶、翼を広げジェット噴射でその場から去る。屋上からリティーシャのアジトに入りナイトケースを解除、1階の事務所に降りる。「見事ですねトーヤ、この調子でオーグルを始末していきましょう。探偵の仕事も早速一つ終わらせましたし」ガスマスクを外しながらリティーシャは言った。「これで2万円が手に入りますよ。キョウコに3時間分の3千円を渡しても17000円です」「俺はただ働きなんだけどな」「美女二人と仕事ができて10億円の価値があるナイトケースを使えるのですからこれ以上の贅沢はないでしょう?」「冗談だよ、俺は溝口堂でバイトしてるし小遣いはちゃんとあるさ」「17000エン……トーヤ、モーモーミルク4.5と、この雑誌に載っている服を買ってきてくださいファッションセンター・ムラクモは安くて品質がいいのですこのピンクの上着もそこで買いましたし」「いや、自分で行けよ。ムラクモは21時まで空いてるだろう?それに依頼人が支払らいにくるまで金ないだろう」「そうですね……浮かれていました」リティーシャは違う雑誌を手に取り背もたれ付きの事務椅子に深く腰を下ろす。「トーヤ、それはそうと私は魔法少女の格好が似合うと思いますか?」「何を言い出すんだ突然……アニメでも見たか?」「いえ、キョウコが妹とコスプレをするというので私も誘われたのですよ。魔法少女サルサ・マサラのキャラクターなのですが。その一人【ピンクペッパー】がぴったりだと」「へぇ~……」興味なさそうに刀耶は答える。「キョウコは【ブルーチリ】妹は【レッドシナモン】です。調べました。中々面白いストーリーですよ」雑誌を広げてみせるリティーシャそこにはゴシックドレス調のデザインがされた三人の魔法少女のキャラクターが載っていた。「この格好をリティーシャたちが?……うーん、まぁ似合うんじゃねえの?」「あんまり興味なさそうですね。キョウコの趣味に合わせる気はないのですか?」リティーシャは椅子を降りて雑誌を近づける。「だってなぁ……アニメとかよく知らねえし。ゲームはするんだけどなぁ」「キョウコと仲良くなりたいのでは無かったのですか?」「そりゃあそうだけど別にアニメに興味あるわけじゃないし」「そうですか……キョウコが気になっている男性はキョウコの趣味に合わせるタイプかもしれませんよ?」「!?」刀耶は目を大きく開けてリティーシャの雑誌をもぎ取る。「よ、よしレンタルで今日から魔法少女サルサ・マサラ見るぞー!」「(単純ですね)」椅子に戻るリティーシャ。ノートパソコンには【ナイトケース・ハート】と書かれたフォルダ。フォルダを開くリティーシャ。そこには桜色に輝くスリムなアーマーの3D映像。頭部のフォルムは逆卵型で顔はハートを思わせる面がつけられている。「(これが完成すればトーヤのナイトケースの名前をはナイトケース・ダイヤに変更しなくては……)」「何見てるんだ?」「まだ秘密です」終
May 11, 2016
コメント(0)
MKC9話リティーシャ・ヴァン・ヴァスベルゲ「私の魔力をナイトケースに注ぎます。……3分間でホフを始末してくださいそれ以上は持ちません」微笑むリティーシャ。いつもとは違う妖しい雰囲気を持つリティーシャの笑顔に目を奪われる刀耶。「……ああ、任せとけ!ナイトケース装着!!」リティーシャから慌てて目を外しナイトケースを装着する刀耶。「これは……なんだ……とんでもない力を感じる」ナイトケースはこれまでよりも光沢を放っている。「刀耶、急いでください」「ああ!」ジャンプで屋上に。ホフの逃げたエレベーターシャフトに飛び込む刀耶。一気に地下駐車場までたどり着きジェット噴射で着地する。「刀耶くん!」レンが別のエレベーターから現れた。「オジサン!ホフは!?」「放水路に向かったようだ」放水路に向かう二人、足場の下の広大なフロアに目をやると金属製のジェットサーフボードに乗るホフが見えた。「オジサン、俺に任せてくれ。あんたは飛べないだろ?」「無理はするなよ?」ホフはボードで飛び上がり天井のハッチを開け地上に出る。それを追いかける刀耶。「おや?まだそんな力が残っていたとは、でも無駄ですよーこのボードの速度には追い付けません」ジェット噴射で加速するホフ。「今のナイトケースなら!」背中の装甲は戦闘機を思わせる翼に変形、刀耶も負けじと加速する。「ついてくるとは、ではマッハ3……これなら」ジェット噴射で更に加速するホフ、刀耶は苦もなくホフに着いていく。「これほどの力を残していたと?……いや、あの時点では無かったはず!!」「これは俺の力じゃない!リティーシャの本気の力だ!!」「まさか彼女が……力を解放しその鎧に!?」飛行機雲を作り夜の秋馬原を飛ぶ二人。「終わりだホフ!!」大剣クレイモアを装備する刀耶。「全パワーをこの一撃に!!ファイナル・ストライクスマッシュ!!」クレイモアに10階建てのビル1つを飲み込む程の大きな光の刀身が出現する。「馬鹿な!!この私がこんなところでー!!」「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」振り下ろす刀耶、光の刀身は巨大な弧を描き夜空に三日月を出現させた。「うぎゃああああああああああああああああああああああああああ……」ホフは爆発四散。「やった……」刀耶は気を失い近くのビルの屋上に落下した。――三日後第一区にある秋馬原病院で目を覚ました刀耶。ゆっくりと体を起こす。窓から外を見ると快晴であった。「宗像刀耶さん!先生ー宗像刀耶さんが目を覚まされましたー!!」医師から説明を受け検査する刀耶。何一つ異常はなく極度の疲労という診断が下された。ベッドに戻った刀耶は携帯電話の履歴を見る。両親からの電話とメールが数十件入っていた。「やぁ目が覚めたか刀耶くん」レンが現れた。手には売店の袋を下げている。「君の両親には私が適当に事情を話しておいたよ。私は探偵という事になってて君はその手伝いをしてた事になっている。徹夜続きで倒れたと言っておいてくれ」「あ、ああ……ありがとうオジサン。それでホフはどうなった?リティーシャはどこにいるんだ?」丸椅子に腰を下ろすレン。売店の袋からパックのジュースを取り出し刀耶に渡す。「廃人同然となっていたホフを発見し捕らえたよ。リティーシャくんは自分の部屋にいるよ。あれから毎日私にメールして君の状態を聞いてきている。直接メール送ればいいのにねぇ」「そうか……そういえばナイトケースはどこに?」「リティーシャくんが持って帰ったよ」「オジサン、検査でなんともなかったから今日の夕方に退院できそうなんだ。リティーシャのアジトに行こうぜ」「その前に……君の両親はアキバグランドホテルで心配しながら待ってるんだぞ、先に電話を入れとけ」「あ、ああ……」廊下に出て両親に電話をする刀耶。退院の手続きの為病院に来ることになった。「オジサン、19時に溝口堂で会おう」「分かった、それじゃあな」退院の手続きを済ませタクシーで刀耶の部屋まで帰る。「刀耶、探偵ごっこもいいけど勉強もしっかりな!」「刀耶、くれぐれも体に気をつけてね、いつでも帰ってきていいのよ?」「分かってるって父さん母さん、お盆には帰るから!!」刀耶の両親を乗せてタクシーは去っていった。刀耶は荷物を置いて溝口堂に向かう。溝口堂に着くとレンは店から出てきた。「来たか。じゃあリティーシャくんの部屋に行くか」魔窟と呼ばれる増改築を重ねた雑居ビルの路地に入っていく二人。レンはメールでリティーシャに合図する。すると屋上の一角からはしごが降りてくる。「上から入るしかないんだよなーあの部屋」「そのようだね。雑居ビルの中からは行けないようになっている」はしごを登り屋上にたどり着く二人。屋上の階段に続く扉のロックが外れる音が聞こえる。二人は階段を降り、リティーシャの部屋の扉を開けた。「リティーシャ!」「はい」パソコンのデスクに座りガスマスクをかぶったリティーシャはそう言った。「退院したんだ。お前は元気だったか?」「ええ、まぁ」「なんだよ……機嫌悪いのか?」「いいえ」「じゃあどうしたんだよ」「それは……」そわそわと足を動かすリティーシャ。刀耶は新発売のモーモーミルク4.5をデスクに置いた。「新発売のこれまだ飲んでないか?」「ま、まだですよ。まとめ買いしたミルクが一ヶ月分ありますし」「そうか、試してみろよ。生乳に近いって謳い文句だし」「そ、そうですか。それでは……」ストローを突き刺しガスマスクのフィルター部分の空いた穴からミルクを吸うリティーシャ、一気に飲み干した。「ぷはー……これは良いものですね」「だろ?」「……」「……」二人はお互いを見たまま沈黙する。「あの……」「あのさ……」同時に口を開く二人。「トーヤからどうぞ」「そうか、あのー……リティーシャ。これからどうするんだ?オーグルはもう片付いたんだろう?」「え……あ、オーグルはまだどれだけ人の手に渡ったか分かりませんし、しばらくはこの国に滞在して様子を見ようかと思っています。レンの調べでオーグルの改造版が東京のどこかに流れた可能性もあります。追っているオオタケと連絡を取っていた痕跡を見つけたとの情報も」レン見るリティーシャ。レンは静かに頷いた。「そうなのか、ナイトケースはもう使わないのか?」「その事なんですが……トーヤ、またしばらくお願いしていいですか?」「もちろんだ。言ったろ?途中でやめる気は無いってな」「……あのトーヤ。私の事でもう聞きたいことはないのですか?」「リティーシャの事?……話せるのなら聞きたいな」「私はトーヤが思っているような者ではないかもしれませんよ?聞いて後悔するかもしれませんよ?」「話したくないことは話さなくて良い。リティーシャは俺に嘘をついていたわけじゃないだろう。隠し事があっただけだ、誰だって言いたくない、知られたくない事はある」「……」リティーシャはガスマスクを外した。瞳は少し赤みを帯びていた。「トーヤ、私は人間ではありません」「そうか……あの時の姿を見てそんな気はしてた。これまでのお前の様子とあの時の姿を見てどんな存在か予想はついているよ」「どう思いますか?」「どうって……実在したんだスゲーって思う」「それだけですか?」「あー……ニンニクとか十字架は平気なのかとか?」「ニンニクは嫌いです鼻が曲がります。十字架は私はなんともないです無宗教ですし……そういうことではなく私に対して嫌悪感や恐怖はないのですか?」「ん~あの時のリティーシャはいつもと様子が違ってたな~妖艶というかなんつーか雰囲気とか存在感が物凄いっていうか。怖いとかは無いぞ?」「そう……ですか」「リティーシャはリティーシャだ」「トーヤ、今から私は昔話をします。それを聞いて嫌になれば縁を切ってもらって構いません。レンも聞いてください」「お、おう」「……聞こうか」「私はトランシルヴァニアの山岳地方のとある場所で生まれました。窓のない大きな建物の中で私は10年間を過ごしました。建物の中には全てが揃っていてそこが世界の全てでした。10歳の誕生日に私は始めて自分が人間ではないと聞かされました。それまで人間はみんなミルクを飲むだけで生きていけるのだと思っていました。書物に出てくる食事は外の世界のミルクが飲めない人種がとっているものだと勝手に思い込んでいました。それから私は自分が何者なのかどういう特性を持っているのかを知らされました。誕生日から一週間後、迎えが来て建物を出ました。その時に私がいた建物はシェルターだと聞かされました。向かったのはドイツにある企業ビルでした。そこで始めて私は父と母に会いました」リティーシャは続ける。「ビル内にある父の家から大学の講義を受けることになりました。日中外に出れない私は立体映像で自宅から出席になりました。実際に大学に居る訳ではないので親しい者はできず、また私も人間の友人を作る気はありませんでした。大学を卒業し企業の研究室に配属された私はそこで武器開発に携わることになります。新たな仕組みの兵器を次々と開発し父が喜ぶ姿を見て私は満足していました」リティーシャは軽くため息をつく。「18歳の時、夜間のみ同伴者付きでの外出が認められ私は始めて遊園地という場所に行きました。すべてが新鮮で毎日のように通いました。ある日私は遊園地にあるビデオゲームのコーナーに立ち寄りました。そこで対戦ゲームに出会ったのです。様々なジャンルの対戦ゲームは大いに私の刺激になり、武器開発のインスピレーションとシミュレーションに生かされました。さらに多くの兵器を開発し私は開発部門の主任になりました。父の会社はゲーム開発も行っていたので私は軍事シミュレーションのプロトタイプとしてハイパーキングファイターの元になるものを開発しました。平日は武器開発、休日はHKFの調整、夜は対戦ゲーム廻りをして過ごしました」「そこでハイパーキングファイターの話が出てくるのか」「2年後私はHKFのバージョン1.0を完成させました。兵器の方はジルコニアとチタンと銀の合金で作ったパワーアーマーを開発しました。ナイトケースの元になるものですね。しばらくして企業のパーティーに【科学と魔術の真理を究める者たちジーニアスレイジ】の使いを名乗る者が来ました。ヴォルフガング・フォン・ホフです。彼は貴族の出身で社交界ではそれなりに有名な人物でした。そこで私は魔術というものが存在するとホフに聞かされ興味が湧きジーニアスレイジの集会に参加する事になりました。立体映像で世界各国に散らばっているジーニアスレイジのメンバーと始めて顔合わせをしました。私はこれまでの実績とホフの紹介からメンバーになる事ができました。メンバーは独立したネットワークにアクセスできる権利、アップロードすることで他のメンバーの助言や協力が得られます。私は魔術に関するアップロードされたデータを貪るように閲覧し吸収していきました。私も開発した兵器をアップロードしました」「ジーニアスレイジのメンバーは何人いるんだい?」レンが聞く。「7人です。私が7人目でした。私が知っているメンバーはマーリン、ホフ、レヴィ、ハルの4人だけです。他のメンバーは見たことがありませんでした。ジーニアスレイジではメンバーのアップロードしたデータを自由に閲覧することができます。私のアップロードしたプラズマガンのデータを元に改良を加えた者もいました。ハルです、彼は人外の能力を兵器で再現するのを得意とし、私の開発したプラズマガンを魔術砲として撃ち出せるものにしてありました。私はこれに刺激を受け、魔術に特化したマーリンとレヴィのレポートを読みあさり科学と魔術のハイブリット兵器の開発を始めました。それで完成したのがナイトケースプロトタイプですまだナイトケースという呼び名はついてませんでしたけど。プロトタイプは霊力魔力に反応して力を発揮するというのは同じですが、分解して運ぶことも部分的に外して武器にすることもできないものでした」「魔術は難しいものなのに……まさに君は天才だね」「その後ホフがオーグルの培養に成功したと発表しました。魔術と遺伝子工学のハイブリットで生み出されたものです。次々とホフは研究データをアップしました。そこで人体実験の数々を知ってしまいました。私は猛抗議しました。ジーニアスレイジの多数決でオーグルは廃棄が決定されました」「ホフはそこで諦めなかったんだな」レンが言った。「その通りです。その次の日、私の家でもある企業ビルに爆弾を積んだ飛行機が墜落しました。ビルは倒壊、多くの従業員の命は失われその中に父と母もいました。私はたまたまパワーアーマーのテストで外に出ていたので助かりました。その後の調査で飛行機を突っ込ませた犯人は新しいドラッグに手を染めていたマフィアだと突き止めました。襲いかかってきたマフィアの一人が小瓶を持っていたので持ち帰りオーグルだと分かりました。私はジーニアスレイジのサーバーに入り廃棄されたオーグルのデータを復元させてオーグルに対抗できるようにパワーアーマーに改良を加えていきました。そしてパワーアーマーでマフィアのアジトに乗り込み全てのオーグルを処分し、ホフを追求し警察につきだした……はずでした」「それで終わらなかったんだな……」刀耶がつぶやく。リティーシャは頷いた。「それからしばらくしてジーニアスレイジの集会で、日本からサーバーにアクセスし、オーグルのデータを復元させようとした動きがあると日本にいるメンバーのレヴィから聞かされました。アクセス履歴から日本のアキバハラを突き止め改良に改良を加えたナイトケースを持ってこの国に来たのです」「一人で着たんだっけか?」「一人といえば一人ですが……雑務を引き受けてくれているドラム缶型ロボットのハーレーと一緒に来ました。このアジトを作り終わった後で壊れてしまいましたが」ドラム缶型ロボットとはドラム缶を思わせる型の胴体で両腕のマニュピレーター、どの方向にも曲がる膝関節を装備した家事ロボットで、世界中で愛用されている。軍事用に改造されたタイプや、医療用のタイプなどがある。少女の見た目に外装を改造するマニアもいて一時期話題となった。「待て、日光ダメなんだろう?いつもの格好で空港は通れないだろうにどうやって?」「刀耶くんそれは魔術を使えるものなら可能だよ……」「ええ、可能です。【色素性乾皮症】のカルテを持っていますし、魔術でハーレーを人間の医師と認識させましたので。一応日光の当たらない別室で確認されましたが」「なんでもありかよ魔術って」刀耶はため息をついた。「色々制約もありますし万能というわけではありませんよ。科学の方が便利ですし使い勝手は良いです。まぁその話は別の機会にでも。私はアキバハラでアジトを作りハーレーを失い資金も全て失ってしまったのです。動揺しました、ミルクを飲んで落ち着こうとしたのですが、配送日のミスしてしまい途方にくれたのです」「それでミルクを自分でなんとかしようと外に出て俺に出会ったのか。で、ハーレーはその後どうしたんだ?修理しないのか?」「ディスクバットのマザーAIになりました。ほら、そこの棚に止まっているディスクバットがハーレーですよ。他のディスクバットは彼の子供です。マザーなのに彼とはおかしな話ですが性別はないので良しとしましょう以前のドラム缶型とは違い飛行能力も得られてハーレーも喜んでいます」「これまでの話を聞いて別にリティーシャのことを嫌いになる要素はなかったが?」「……私は人を殺してしまいました。マフィアの建物に乗り込んだ時にほぼ全てのオーグルになった者をパワーアーマーと自分の人外の力を持って……大勢の人間が死んだというのに何故かマフィアの抗争で事件は片付きました。この時から私は血は摂取しないと決めたのです。抑えきれないほどの暴力的な欲求の高まり、高揚感、自分が自分でないようなあの感覚はもう……」「だからオーグルだけを魂的に破壊するように改良したんだね?」レンが言った。「ええ……今はオーグルだけを始末できるようになしましたが、私が人を殺したことに変わりありません……」リティーシャは刀耶とレンから目を離しノートパソコンのモニターに目を向ける。「リティーシャ……それは仕方がなかったんだ。お前はオーグルが広がるのをそこで防いだんだ」刀耶はまっすぐにリティーシャを見つめて言った。「殺したことに変わりはありません」「彼らは人間ではなくなっていた、先にオーグルにやられていたんだ」「この前の私を見たでしょう?あの状態の私は危険なのです!また同じ過ちを繰り返すかもしれないのです!」「この前のは俺が未熟だったから……ナイトケースのエネルギーが足りなかったから、お前がああするしかなかった。もうあんなことはさせない、オーグルの始末最後まで付き合ってやるよ!両親を失って一人と一体だけでここまできて本当によくやってる、少しは人を頼れよ」「そうだぞリティーシャくん。よければ相談に乗るぞ?なんなら私と同じ組織に入れば良い刀耶くんと一緒にね」「トーヤ、レン……私は恵まれています……うっうっ……」リティーシャは白い手袋をした両手で顔を覆う。「俺達友達だろう?お前が人間じゃないってことなんか大したことじゃねえよ。今度ハイパーキングファイターの対戦しようぜ!」「ううう~……私はあのゲームの開発者ですよ?……負けませんからね……ぐすっ」リティーシャは涙を拭って笑顔で言った。「はっはっは…話はまとまったようだ。ところでスカイタワーで捕らえたオリジナルのコピーオーグルだが……本部の京都に移した。奴にしかできない事もきっと見つかるだろう」「アグリアは?」「もう一人逃亡中のコボルトも見つけたのでアグリアと一緒に京都に送っておいた」「はぁ~これでアキバハラのオーグル事件の関係者は全員逮捕されたって訳か」「少し安心しました」「さてそろそろ行くとするよ。大嶽秀義を追わなければいけないんでね、私の属する組織に興味がわいたりまた何かあったら連絡してくれ」レンは軽く手を挙げてそのまま出て行った。「トーヤ」リティーシャはノートパソコンを操作しながら呟いた。「ん?」「いつかキョウトに行ってみたいです。ニホンらしさがあると思います」リティーシャは京都で検索した画像や動画を指差して言う。「俺も中学生の時に一度行っただけだしな。久しぶりに行ってもいいな。だけどどうやって行くんだ?金無いんだろ?」「その事なんですが、良い事を思いついたのです。探偵業ですよトーヤ。レンが話していたのを聞いて思いつきました。手続き諸々はレンに手伝ってもらうとして……助手はトーヤで決まりですからねワトソン君!」リティーシャはいつの間にか用意したハンチング帽をかぶり外套をまといルーペを構える。「誰がワトソンだ!なんでやること決まってるんだよ、金がないのになんでそんな帽子やらあるんだ?俺は大学生だし溝口堂のアルバイトもあるの!!」「この帽子と外套は溝口堂のタエに貰ったのです。挨拶に行ってお茶をいただいて映画の話で盛り上がって……まぁそれはそれとして、別に探偵してもいいじゃないですか。両親は探偵をしてると思っているのでしょう?これで事実になりましたし何も問題ありませんよ。大学のレポートは私が手伝いますし出席日数ギリギリまで行かないで良いですよ。溝口堂の仕事はハーレーに手伝わせますので」「いや探偵とか面倒だし……」「サークル活動するより刺激的ですって!楽しくて大学行くの忘れるかもしれません」目を輝かせるリティーシャ。「それはだめだろう!学生の本文は学業だ!!」「……HKFばっかりやってサボってたのは誰ですかね?」「うっ……」「夏休みにキョウト行けるように頑張りましょう!!私の頭脳と刀耶の器用さがあればすぐに資金は貯まりますって!!」「バイト代はでるんだよな?」「サークル活動なので時給は発生しません」「じゃあやらねえ」「なんですって!?せっかくもう一人助手を呼ぼうと思ってたのですが探偵業しないとなれば断らなきゃいけませんね。楽しみにしてたのに気の毒です」リティーシャは大きくため息をついて言った。「は!?もうすでに助手候補声かけてた!?……お前三日間で行動力ありすぎだろう、流石というかなんつーか。ちなみに声かけたの誰なんだよ?」「キョウコですよ。あのファーストフード店の駄肉胸の。昨日店舗再開したので様子を見に行ったんですそこでスカウトしました」「はああああああ!?きょんちゃん!?……承諾したのか~」「あ~あ、トーヤのせいで探偵廃業です私もキョウコもがっかりです」「わかったわかった!やるよ!!きょんちゃんと仲良くなるチャンスだし!!」「下心丸出しでいやらしいですね。あ、ちなみにキョウコは気になる男性がいるようですよ?まだ一度しか話したことはないとか言ってましたが」「な、なにいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!誰だそいつは!!」机を叩く刀耶、ミルクのボトルが跳ねる。「知りませんよ、自分で聞いたらどうです?」「うあああああああああああああああああっ……」「情けないですねトーヤ。キョウコが気になるのなら振り向かせればいいじゃないですか。その某って男なんてどうでも良くなるように」「そ、そうだな!!やるぞー!!いつから探偵業始めるんだ?」「明日からです。探偵事務所はこの雑居ビルの1階にします。ビルのオーナーと話をしたら『変なのが居着くよりいいからタダでいいよ。掃除は自分で頼むよ』と言ってました。これから掃除ですよトーヤ、かなり荒れてるので覚悟してください」「……ここのオーナーはなんでお前にほいほい部屋貸すかな?ここのフロアにしても……わかんねぇな」「外国からきた美人が必死に頼み込んでるんですよ?独り者の老人ならころっといきますよ。それに私はオーナーの部屋の家電を修理したり義足の調整をしたりしてあげてますよ」リティーシャは得意げに胸を張る。「お前俺がいない時にそんなことしてるんだな」「私も忙しいのですよトーヤ」続く
May 10, 2016
コメント(0)
MKC8話ヴォルフガング・フォン・ホフ地面スレスレを滑空し刀耶に肉薄するホフ。サンダーディスクシールドを下段に構え迎える。足元を狙った一撃を防御、電撃が迸りホフの体が跳ねる。刀耶はフリーズロングソードを振り下ろす。ホフのロングコートを切り裂き凍結させた。「とりゃっ!」切り上げで追撃する刀耶、ホフは身を反らして回避。そのままサマーソルトキックで刀耶の顎を蹴り上げる。「ぐっ……」着地と同時に両手から閃光を放つホフ。サンダーシールドの防御は間に合わず刀耶の胸に直撃、後方の室外機に激突する。「やはり素人そのものの動きだねー。その鎧は君にふさわしく無いと私は思うが」「それを決めるのはお前じゃねえよ(ハイパーキングファイターにはない動きだ…くそ、リティーシャのサポートがあれば)」両手から閃光を放ちながら滑空するホフ、刀耶はサンダーシールドで防御、そのまま突進。衝突の直前、刀耶は飛び上がりキリモミ回転、フリーズロングソードでホフのコウモリ羽を斬りつける。斬り裂かれ浮力を失ったホフは地面に激突し床を滑っていく。「うおおおおおっ!」ジェット噴射で一気に間合いを詰める刀耶、ホフの反撃に備えながらフリーズロングソードを振り下ろす。逆立ちで跳ね起きたホフ、そのまま飛び上がり閃光を刀耶の頭部に命中させる。続いて両手を半径の筒に変形させて繋げ、戦車の砲を思わせる形に変える。そして砲からサッカーボール大の光弾を撃った。光弾は刀耶のサンダーシールドに命中、体を大きく仰け反らせる。続いての砲撃、光弾は腹に命中、体を折り曲げて吹き飛ぶ刀耶、床のコンクリートを削りながら転げた。「今のはどうですかねー?」「バケモノめ……」「戦車砲を再現した攻撃です。それでも破壊できないとは驚きましたねー」刀耶の見るナイトケースのモニターの表示に耐久力限界値の警告がされている。「(今もう一度あの戦車砲を喰らうわけにはいかない……俺の霊力がもっと高ければ装甲の回復も早いのかもしれないな……シールドで受けるのも危険だ、回避するしかない。ジェットで飛び回るしかないか)」ジェット噴射で飛び上がる刀耶、ホフを中心に円の動きで飛び、戦車砲の砲撃を回避する機会を伺う。「ほう、狙わせないつもりで?それならこちらから行くまでです」羽を再生したホフは飛び上がり刀耶を追いかける。両手の閃光を噴射に推進力を上げる。フードを変形させて伸ばす。「ちっ……」左足を伸びたフードに掴まれる。二人はきりもみを描いてビルの屋上へと落ちていく。激突寸前でホフは閃光噴射で刀耶から離れた。屋上に激突しバウンドする刀耶。「ぐ…はぁ…」ナイトケースの装甲耐久値が限界に達し、背中と肩の装甲の一部がチップ状の破片となり散らばる。「ついに破壊できましたか……ふむ、耐久値は分かりました」ホフは両腕を肥大化させそれそれ4つの穴が開いた箱形状に変える。4つの穴は同時に輝き閃光の溜めを始めている。「あれを喰らうのはマズイ……」「これで完全破壊ですねー!」左右の箱から同時に計8つの光弾が飛び出す。ゆるい放物線を描き刀耶に向かっていく。「シールドでダメージを最小限に……」降り注ぐ8つの光弾。刀耶を囲む形で床に着弾、一つが爆発すると連鎖で全ての光弾が爆発する。「しまっ……」「さて…鎧の破片を回収しますかー……ん?」爆発に巻き込まれたはずの刀耶は爆風を浴びずに立っていた。刀耶の周囲には黒いパネルが囲むように突き刺さりバリアーの役割を果たしていた。『トーヤ、大丈夫ですか?』ナイトケースのヘルメットにリティーシャの声が聞こえる。「ああ!お前こそ大丈夫なのかよ」『レンに助けられました。まだ動ける状態ではありませんがガスマスクからあなたをサポートします』「ギリギリ助かったぜ……このパネルはお前が?」『ディスクバットを使いました。ナイトケースのサポートユニットとして使えるのです』黒いパネルがつながり板状マント状になりナイトケースの背中に装着される。『変形して飛行ユニットにもなりますので飛行時間、速度と共に大幅にあがります、ディスクバットのエネルギーも使いますので刀耶の負担は減るはずです』「そいつは助かる」『おしゃべりはここまでです、来ますよ』滑空で突進するホフ、刀耶はジャンプで回避。追いかけてくるホフ、両手の閃光を溜める。『ファイヤーディスク装着、ナイトケースオートカウンター発動』ナイトケースのマントの肩部分が小型の砲に変形し火の玉を連射、ホフの接近を止める。「おお!」『ナイトケース飛行モード』マントは戦闘機を思わせる翼とブースターに変形する。『サポートは私がしますので刀耶は全力で戦ってください』「よし!任せたぞ!!」急降下からロングソードを振り下ろす刀耶、連続攻撃を仕掛ける。ホフは赤い閃光を小さく放ちロングソードを弾く。斧に変形させた足で反撃を繰り出す。翼のバックブースターで高速バックステップ回避する刀耶。肩の小型砲を連射、ホフに命中させる。「急に動きが良くなりましたね。そのマントのおかげですか」「これからが本領発揮さ」腕を伸ばすホフ、刀耶はロングソードで弾き空を切って氷弾を投げつける。命中したホフの左腕が凍結する。ホフは腹から大蛇を思わせる触手をのばし刀耶を掴みにかかる。両腕に巻き付く触手、刀耶はジェット噴射で飛び上がる。宙返りでホフを振り回し床に叩きつけた。「さっきのお返しだ!」「っ!?まるで別人の動きですねー……なるほど、これが対オーグル兵器の真価と」『トーヤ、耐久値が30%以上回復しません。あなたの霊力が尽きかけている証拠ですもう長くは戦えません、10%を切って倒しきれない場合は撤退もありえますよ』「でもここでやつを逃したら……もう見つけられないかもしれない」『あなたが死んでしまっては次も何もないのですよ』「そうだな……俺がもっと上手くこいつを使いこなせてもっと霊力が高ければ……焦る必要もなかったのに」『あなたはよくやっていますよトーヤ。数日でこんなにもナイトケースを使いこなして私のサポートなしでここまで来たのですから』「はは……お世辞は後だリティーシャ。あいつとんでもない動きして読めないんだ、攻撃も当たらないし避けられねー……どうすればいい?」『隙を誘うのです。さっきの爆発物を放った時のように大きな攻撃の隙をつくのですよ』「わざと隙を作るのか」『失敗すれば致命傷になりかねます。チャンスはそんなにありませんよ』刀耶はジェット噴射で飛び上がりフリーズマスケットでホフを攻撃する。氷弾を避けたホフは羽を広げ刀耶を追ってくる。「よし、逃げるぞ」ジェット噴射を全開にして上昇する刀耶、両手の閃光を推進力にして追いかけてくるホフ。夜の空に青と赤の光の筋が立つ。「空中ならこっちが有利だ」ロングソードで斬りかかる刀耶、ホフは肩から剣の腕をはやして受け止める。「空中戦を挑んでくるとはねー」ホフは剣の腕を伸ばし刀耶のロングソードを弾きに掛かる。対する刀耶は斬り合いはせずブースターで回避、サンダーシールドから電撃を放ちホフを押し返す。「私の両腕を封じるために空中戦に誘い込んだと?甘いですねー」ホフの閃光を放っている両腕が裂けていき、4本腕となる。そして2本の腕を刀耶に向ける。閃光を見た刀耶はマントの小型砲を連射、ホフを牽制する。「連射武器良いですねーこちらもそうしましょう」10本の指に穴が空き赤い閃光が宿る。ホフは刀耶にかざして10本の指から光弾を連続発射する。刀耶はサンダーディスクで防御しながら急上昇、ロングソードを構える。「ストライクスマッシュ!!」ブースターにストライクスマッシュのエネルギーを込める刀耶、爆発的加速の刺突を放ちホフの腹を貫き、そのまま急降下していく。「うぐ…やりましたね。だがこの状況ではあなたにも逃げ場はありませんよ」ホフは両腕を顔の前で閃光の溜めを作る。「今だ!」刀耶は突き刺さったフリーズロングソードを離し、逆噴射でホフの体を引き離す。「何!?」人間の胴回りほどの大きさの閃光がホフの両腕から放たれる。刀耶には当たらない。熊野に叩きつけられるホフ。「リティーシャ、もう一度ストライクスマッシュいけるか?」『今放てばエネルギー残量15%に落ちると思われます』「じゃあいけるな!ストライクスマッシュ!!」サンダーシールドを投げつける刀耶。ホフの腹部に突き刺さったフリーズロングソードに命中する。「うおおおあああああああああああっ!!」ホフの体に内側から電撃が流れ込む。フリーズロングソードは電撃に反応、刀身を包み込んでいた氷が爆発、ホフの体を内側から抉る。「おおおおおおおおおおおおおおっ!!」「やった……か?」着地する刀耶、ゆっくりとホフに近づく。『気をつけてくださいトーヤ。ホフは分かりませんがオーグルまだ活動しています』その証拠にホフの体に空いた傷は徐々に閉じているのが見える。「心臓か脳を潰せばオーグルは爆発四散して消滅するはずだ」刀耶はサンダーシールドをマスケット銃に変形させホフの頭に狙いを付ける。「グルルルルルルルルッ!」ホフはロングソードが突き刺さったままで飛び上がり空中回転、体中から触手を伸ばし刀耶に絡みつく。「ちっ!やっぱりまだ動けるか」肩の小型砲を連射、ホフは触手で顔を防御する。ホフの胴体が赤く発光、体中の触手に光が流れていく。「なんかヤバイぞ……」全ての触手から赤い閃光が放たれる。ナイトケースの装甲が剥がれ散らばっていく。「うあああああああああああああああっ」『トーヤ!!』外装甲が剥がれ落ちた下には柔軟性のある金属で編みこまれたスーツが見える。『外装甲の60%が脱落!危険ですトーヤ!!これ以上戦闘は無理ですよ!!』「あと……少しなのにな……」体を丸めたホフは高速回転、体当たりで刀耶を吹き飛ばす。ホフはロングソードを引き抜き眺めている。「ぐあああああっ痛ってええええええっ!!」コンクリートブロックに叩きつけられた刀耶、肩を押さえながら体を起こす。『骨折3ヶ所に打撲6ヶ所、やはり外装甲無しではトーヤの体が持ちません。離脱しましょう、レンもそちらに向かっているので』「今ので左肩と腰がやられたみたいだ…リティーシャ、前にやってくれたヒーリングはどうだ?装甲は直せるか?」『両方はトーヤの霊力の残量的に無理です。装甲を直しここから飛行して離脱する分で精一杯ですよ。残り15%です……』「離脱を考えなければナイトケースの装甲を戻しヒーリングの両方は可能か?」『可能ですが残り2%になります。ここまでいくと武器とナイトケース本体を維持するだけで精一杯になりますよ……危険すぎます』「オジサンが来てくれるのならギリギリまで戦ってオーグルを倒す方が良いんじゃないかって思ってな。逃がしてまた探すのもめんどくさいし」『……とりあえず装甲は戻します。このままだと危険すぎますので』散らばった装甲がナイトケースに集まっていく。ホフが持っているロングソードも分解されナイトケースに戻っていく。「もう少しで成分分析終わったものを…ジルコニアとチタンと銀を合わせた合金。後は分析できませんでしたねー……そろそろ終わりにしましょうか、血を流しすぎましたのでね」接近するホフ、ナイトケースのオートカウンターが発動し肩の小型砲から火炎弾が連射される。「このままじゃ逃げることもできない!リティーシャ、ヒーリングを頼む」『分かりました』ナイトケースの全身が輝く。刀耶の傷は癒え痛みは消えていく。「サンキュー、リティーシャ」『これでディスクを使う霊力も無くなりました。なんとかレンが来るまで耐えてください』ホフは両腕を剣、両足を斧に変形、赤い閃光を纏わせて仕掛けてくる。ナイトケースの霊力残量が減ったためオートカウンターは発動しない。刀耶はノーマルのロングソードとシールドでホフの猛攻を受け止める。「これまでの攻防で分かりましたーその鎧は耐久力を超えると分解する仕組みなのですねーそれならこうやって断続的に強い衝撃を与えればまた崩壊するはずですねー」「そう簡単にいくかよ」空中4連蹴りから回転斬り、シールドを押上げてからのリバースサマーソルトを放つホフ。刀耶は打撃をくらい後方によろめく。「フハハハ……どうしましたかー?動きが鈍いですよー?」「(さっきのストライクスマッシュ2発は確かに手応えがあった、奴も相当消費してるはずだ……せめてあと一撃こいつの心臓か頭に叩き込めれば)」ホフはシールドを掴み刀耶の腹にソバットを叩き込んだ。「ぐうっ……」『トーヤ!!逃げてください!!そうすればきっとレンが』「あのオジサンだって消耗してるはずだ、だからここでなるべく粘らなければ」『トーヤ!!』ドリルめいたドロップキックを放つホフ、刀耶の胸を蹴り反動で頭上に飛び上がる。そしてそこから両腕の剣を振り下ろし刀耶の両肩を打った。「くっ…まだこんなに速いのか」刀耶の繰り出した水平斬りをしゃがんで回避、蠍の如く背面蹴りで刀耶の顔面を打つ。そのまま逆立ち状態となり、連続蹴りを放ち刀耶を押していく。「反撃の隙が……無い」ホフは下段の水面蹴りそこから立ち上がりの膝蹴り、両手打ちで更に刀耶に打撃を入れる。押されていく刀耶は吹き抜けに足を踏み外し44階に落下する。「ぐあっ……」「これで粉砕してあげますねー後ろに力が逃げない状態で当たれば中身のあなたも無事ではないでしょう」両手を繋げ戦車砲に変形させるホフ。『トーヤ!!』「やべぇ」シールドを構える刀耶。ホフの戦車砲が赤く光る。「うぎゃあああああああああっ!!」ホフの戦車砲が突如爆発。大量の青い血を撒き散らした。「遅くなってすまない」屋上からレンの声が聞こえた。「オジサン!」「うがああああああ……一体何が……あなたは……そうですかアグリアはしくじったようですね」腕を変形させて出血を止めるホフ。その目の前には脇差と数珠、独鈷を構えたレン。「観念するんだなDr.ホフ。ここはもうじき私の仲間が駆けつける」「何を馬鹿なことを、こうやって飛べばいつでも逃げれるんですよー」羽を広げ飛び上がるホフ。10m程飛び上がった所で体に衝撃が走った。「ぐぅ……これは」「結界を張らせてもらった。もうあんたはどこにも逃げられん」「それならあなたを始末するまで!」飛びかかるホフ、レンは脇差を一閃。ホフの右手指を切り裂いた。「そう簡単にはやられんがね」「たかが人間がどこまでやれる」「たかが人間されど人間さ」両腕を鞭のようにしならせレンを攻撃する。レンは脇差を構えて突進、腕の先を回避し脇差で斬りつける。「ハン!」数珠を持った左手をホフの胸に叩きつける。ホフの背中から光が噴射、吐血する。「ガハッ」「疾風連撃」ホフの口と首筋に高速の二連斬撃を入れるレン。ホフはたまらず赤い閃光を打ちレンを離す。「ゴボッ……オーグルの再生が遅い……その刃、何らかの術式が組み込まれていますね?」「魔なる者、人ならざるものを切り裂く刀だ。刀耶くんのおかげであんたはもうそれほど戦う力は残っていない、このまま捕縛させてもうよ」「ククククク……これで私を追い詰めたつもりですかー?甘いですよ」ホフは腹からリモコンを取り出しスイッチを入れる。44階のフロアーにあるコンピューター、機材が爆発していく。「私を捕らえてもオーグルは始末できない!ここのフロアーにあるデータは全て消去した!コピーはサーバーに保存してある……クククク」続けてリモコンのスイッチを押すホフ。室外機の横にあるコンクリートが左右に開きエレベーターが現れた。「クククク…屋上に結界を張った?それがどうしたのですほかのルートで脱出すればいいだけのこと」エレベーターに飛び込むホフ、追うレン。扉が締まる直前に独鈷を投げ込んだ。「しまった……だが」「レン!」ふらつきながらリティーシャが44階に現れた。「ホフは?」「逃げられた……だが独鈷に霊力を流し込めば投げ込んだ独鈷と線で繫がるそれを追えば奴にたどり着ける。私の独鈷の有効範囲は500m程だ、それ以上離れられると線は切れる」レンは屋上から壁を蹴って44階に降り立つ。「私はやつを追う、君たちはここから離れるんだいいね?」レンはエレベーターに向かって走っていった。リティーシャはレンがエレベーターで降りていくのを確認した後、倒れている刀耶の横にしゃがみ、ナイトケースを解除した。「すみませんトーヤ……」ガスマスクを外すリティーシャ。目にはこぼれ落ちそうな涙が浮かんでいる。「謝ってんじゃねえよ……怪我は治ってる。お前こそ具合悪そうじゃないか」「これは……私が自分自身で望んだ状態なのです、大丈夫ですミルクを飲めばすぐに回復します」「なんだ腹減ってるのか。しかし……あと少しだったのにな、オジサンあいつを捕まえられるかな?飛べないし」「仕方ないです……トーヤのせいではありません。私が悪いのです、トーヤは全力で自分の出来ることを精一杯してくれてますそれに比べて私は……」顔を伏せるリティーシャ。「何言ってんだ、無理することなんてねえよ」「……違うのですトーヤ。私は覚悟が足りていなかったのです、怖くて、保身の為にできなかったのです。最初から覚悟が決まってればホフに逃げられずに済んだはずです……」「どういう事だリティーシャ?あのホフってやつを止められるのか?今からでも??」「……可能です」「なら、やろうぜ!ここまできてアイツを逃がすのは悔しいじゃないか!!逃せばオーグルの被害も大きくなる!!」「トーヤ、私を信じてくれますか?」「何を今更……信じてなければこんなこと言わねえよ」「ありがとうトーヤ。あなたに出会えて本当に良かった……」リティーシャは刀耶に顔を近づける。そして頭から流れ頬に伝わっている血を舌で舐めとった。「リティーシャ?」「私の本当の姿、見てくださいトーヤ」リティーシャの瞳は燃えるような真紅に変わる。犬歯は鋭く、肌は透き通るように白く、髪は艶やかさを増しプラチナのごとく輝く。刀耶は目を見開きその姿をただ眺めていた。続く。
May 8, 2016
コメント(0)
MKC7話スカイタワー「これからもわんさかオーグルが出てくるんすかね…」「それは御免こうむりたいね」エレベーターに乗り込む二人。ディスクバットの反応確かめるため全てのボタンを押す。「面倒だけど仕方ないっすね」「階段で上がるよりましさ」「22階から上は高層階のエレベーターに乗り換えっすね…敵が待ち受けてそうな予感」「ハッハ…」ディスクバットの反応を確かめながら順に上がっていく。ほとんどの階は通常の企業が入っており夜間のこの時間ともなれば受付の扉は閉められ照明も消されていた。22階に到着するエレベーター。中層階のロビーになっておりラウンジも用意されている。「あー君たち、一般の人だね?展望台へのエレベーターはもう終わったよ」警備員の制服を着た若い男が近づいてくる。「あーその~…迷子を探してまして」「おかしいぞ刀耶くん、君の姿を見て落ち着いて【一般の人】と普通は言うだろうか?」「あ!そういえば!!」警備員の男は背中に手を回しそして振り下ろした。「くらえっ!!」警棒を振り下ろす警備員。刀耶はロングソードで受け止める。「お前やっぱり!」「ケケッ!そう簡単にはいかないか!!」制服の袖から拳銃を2丁取り出し刀耶とレンを狙う。「銃ってマジかよ!!」「おっと……」刀耶は咄嗟に腕でガード、レンは横に飛んで受付カウンターの影に入る。「さぁどうする?俺は人間だぞ??俺をぶち殺せるか??俺はお前らをぶち殺せるぞ!!」銃を乱射する警備員。「思う存分暴れてみたかったんだよなー!!こうやって銃撃って刃物振り回してよぉー!!」弾を撃ち尽くすと警棒に持ち替え刀耶に殴りかかる。「うおりゃー!!」「ふん!!」警備員の腹に右拳を叩き込む刀耶。体を曲げ吐瀉物を出しながら床に伏す。「おおおお……」「生身で勝てるわけないだろ」「だよなぁ……グルルルルルアアアアアアアアアアアアッ!!」緑色に変わる肌、生える二本角、盛り上がる筋肉。「ストライクスマッシュ!」「グアアアアアアア…」警備員がオーグルになった瞬間ロングソードで両断する。爆発四散したあとにはやせ細った警備員が倒れていた。「て、てめぇ…卑怯だぞ……」「いや、最初に不意打ちしてきたのそっちだろ」警備員を置いて上層階のエレベーターに近づく刀耶とレン。エレベーターが降りてくる事に気づいた。「来るのか?」「かもしれないね」エレベーターの扉が開き、飛び出したのは緑色の流体。蠢きながら跳躍、警備員に飛びつく。「オーグルか!?」「かなりの量だぞ」「ぐぎいいいいいいいいいいいいいいいいあががががががあああああああああああっ」悲鳴を上げる警備員。数十秒の間オーグルは蠢いていたがやがて収まり、すっきりとした表情の警備員が立っていた。「ツマラン体だが……贅沢は言うまい。お前たちを始末すれば良いだけの事ダ」警備員とは違う声を発する。「何だお前は」「何だだと?今まで散々オレの子たちを相手にしてきたクセに。今も殺しただろう?」「お前……オーグルそのものか!」「フン、残念ながらこれも分身よ。オーグルは人間にとりつかなければ生きていけねえ共生だ」「寄生する魔物だ。数年前に絶滅したと聞いている、今存在してるのは何者かが蘇らせたのか?」レンは霊銃を構えてオーグルに言った。「最後の生き残りは捕らえられた。そしてオリジナルとしてイカれた科学者に培養される事になった。この街に出回っているオーグルはオレの劣化クローンだ。奴はオレのクローンを改良し何かしでかそうとしてるぜ」「お前はそれに手を貸しているわけか」「いいや?オレは自由になりたいだけだ。俺はしくじった、俺の本体はイカれた科学者に取り付いたが奴は脳をもう一つ用意していた、逆にオレは奴に乗っ取られたのさ。そこでオレは消滅したと思ったが意思はクローンにコピーされ保存されてた。コボルトがいなくなり監視の目が甘くなった隙を見て逃げてきたってわけさ」「つまり見逃せと?」「そうだ、そうすりゃ奴の居場所まで案内するぜ」「お前がとり憑いた警備員はどうなる?」レンはトリガーに指をかける。「俺が憑いてるあいだはそう簡単に死にはしねえ、このままコイツとうまくやってくつもりさ」「お前が次々に宿主を変える可能性もあるな?」「かもな。それならどうする?ここで一戦交えるか?」「やめておこう。オーグル、お前を完全に自由にしてやることはできないが保護してやることはできるぞ?」「なんだと?……お前もしやこの国の組織の人間か?」「そうだ」「…………オレはオーグル最後の生き残り。追われる生活にも疲れていたんだ。それもいいだろう」「それならばその警備員から出て行ってもらうことになる。弱っている者に取り付いても仕方ないだろう?宿主はこちらで用意する」「いいだろう!」「ちょっとちょっとオジサン!!何勝手に話進めてんすか!!他の人にオーグル入れるってありえねーって!!」刀耶はレンに詰め寄る。「大丈夫だ刀耶くん、私に考えがあるんだ。任せてくれないか?」――アキバハラ・スカイタワー44階ホフとアグリアはモニターを眺めていた。「マスター!ケリーがいなくなったせいでオーグルのコピーが逃げました!!」「そのようだねー……まぁオリジナルの意思など今更必要ないし気まぐれで保存しておいただけの物。それにあれが私に歯向かうことは不可能、どこに逃げようとオーグル同士の位置は感じる、戦いになることがあっても勝敗は目に見えているですよー。私がやつを吸収して終わりです。それよりもだアグリア君、今度はしっかり頼むよ?あの鎧騎士の戦闘データをしっかりとりたいんでねー」「はい、マスター」「あのスーツの男は君に任せる。鎧騎士は私自らが相手になるよー」――22階中層階エレベーターホール「――まぁ……それならリティーシャも納得するかな」「理解してくれて嬉しいよ。人外は滅するだけじゃないんだ」「みんながみんな敵じゃないってのは分かったよ」刀耶とレンはオーグルを見る。「最上階の44階へ行くには42階からから階段でいくしかないぜ。当然奴らが待ち構えているだろうよ。お前らの仲間のちっこい女は42、43、44階のどこかに閉じ込められてるはずだ」「オーグル、お前はここで待っていてくれ。これ以上暴れられるとその警備員の体がもちそうにないしな」「ケッ!こいつは今気絶してる。オレとしてもこんな奴から早くオサラバしたいぜ。しゃあねえ、ここで待ってやるがお前たちがくたばったと分かったら勝手に去るぜ?」「ああ、それで構わない」エレベーターに乗り込む刀耶とレン。「大丈夫かよ……あいつ逃げるんじゃないか?」「心配ないさ、既に応援も呼んである。30分ほどでこのアキバハラ・スカイタワーに来るはずさ。事情もメールで知らせた」「さっきオーグルの説明をしてたときに携帯触ってたけどそれか……」「大人は慎重なのさ」エレベーターは42階にたどり着く。扉が空くとそこは打ちっぱなしのコンクリートむき出しのフロアー。各部屋の扉は金属で出来ている。「なんだここ……倉庫つうか牢屋っつうか…お、ディスクバットの反応が強くなってきた、リティーシャは近いっすね」「強い力を感じるぞ刀耶くん……何かが近くにいる」二人の正面の扉が開き黒い粘着物が飛んでくる。刀耶とレンに張り付いた。「ひひははははー!!」「アグリア!」「ポチッとな!」アグリアは親指でスイッチを押す仕草を見せる。すると二人の胸に張り付いた黒い粘着物が爆発した。「何っ!?」「ぐおっ!?」それぞれ反対方向に吹き飛ばされる二人。刀耶とレンはすぐに立ち上がる。「オジサン!」「大丈夫だ、特殊繊維で出来たスーツの下に対衝撃シャツを着ているからね」「どうだ!新しく身につけた爆発魔術の力!!ワタシの相手はそっちの人間だ。鎧はマスターが相手をしてくださるそうだよ」アグリアがそういうとコンクリート製の壁が競り上がり刀耶とレンを分断した。「ひひははは…合流したければワタシを倒して非常階段で上に行くしかないね。でもそれは叶わない、ここで死ぬからね!!」「お前が刀耶くんの言っていたアラクネのアグリアだな」「そうさ!こんにちはそしてさような…ら!」黒い粘着物を両手から放つアグリア、レンは空中捻りで回避、着地と同時に霊銃を撃つ。アグリアの右大腿をかすめる。「ぎゃあっ!!この……!!」着弾した粘着物を爆発させるアグリア、三叉槍を取り出し突進。対するレンは独鈷を二つ取り出し床に投げつけて突き刺す。「あぎゃあああああああああっ!!」独鈷の間を抜けようとしたアグリアに電撃が走る。空中で硬直するアグリアに霊銃を三発撃ち込むレン。「ぐぐぐはぁ!!」体から煙を上げて転がっていくアグリア。「蜘蛛相手はちょっと経験あるんでね」「くそ…コイツ……プロか」アグリアは背中から4本の蜘蛛足を伸ばす。「お前は糸を伸ばしたり網張ったり何か作ったりはしないのか?」「ああ!?そんな面倒で細かい事するか!クモの糸なんざ獲物を捉えればそれでいいんだよ!!ワタシの意志で爆発させる事も出来るしな!!」「そうか、それなら良かった」「そんな余裕いつまでもつか…な!?」黒い粘着物を4本の蜘蛛足に付け三叉槍と連携してレンに突進。レンは背中から脇差を取り出し右手に霊銃、左手に脇差の構えをとる。霊銃の攻撃を回避したアグリアはフロアーの壁を蹴り、天井を蹴り、接近戦を仕掛ける。「ひひはははー!そう簡単に何度も喰らうかよ!!」4本の蜘蛛足から連続で黒い粘着物を投げつけ爆破させる。レンはそれを全て回避。アグリアは追いかけて三叉槍で刺突を連続で放つ。脇差で全て弾いたレンは霊銃を隙に撃ち込む。アグリアの胸に命中した。「ぐぎゃああ…」「しぶといな」更に追撃で4発撃ち込むレン。アグリアは山吹色の煙を上げて後方に吹き飛びコンクリートの壁に叩きつけられる。「ぎゃあっ!」「これで弾切れか……さて」霊銃を収め右手に脇差を持ち、左手には数珠を持つ。壁に叩きつけられたアグリアは頭、鼻、口から流血しながらゆっくりと立ち上がる。「ゆる…さない…」「まだやりそうだ」「まだまだあああああ!!」三叉槍の先に黒い粘着物を付け、長く伸ばしていく。「お前さっき糸を使わないのか?とかいってたな、いいよ見せてやるよ!!ワタシだってなぁやれば出来るんだよ!!」三叉槍は黒い粘着物をつなげた鞭に変形する。「電撃爆発鞭の完成だァ!!」電撃爆発鞭を振るうアグリア、打たれた壁は爆発を起こしコンクリート片を撒き散らす。「ワタシを本気にさせたことを後悔…しなっ!!」レン目掛けて電撃爆発鞭を振るう。レンは半身で回避、後方の壁が爆発で破片を撒き散らす。独鈷を回収しアグリアに接近。「バカが!粉々にしてやるよ!!」らせん状に電撃爆発鞭を振るアグリア。レンは独鈷を投げつけ電撃爆発鞭の軌道を変える。独鈷は天井に突き刺さる。「ひーはー!」横に電撃爆発鞭を振るう。レンは大きくしゃがんで回避、独鈷を投げつける。「ええい!」叩きつけられる独鈷、床に突き刺さる。更に二つの独鈷を投げつけるレン、アグリアは電撃爆発鞭でなぎ払う。「さっきまでの銃と比べたら全然たいしたことないねぇ!!」「使い方が違うからな」数珠を持った左手で印を切るレン。独鈷が反応、青い光の帯で繫がる。「ハッ!!」「ギヤアアアアアアアアッ!!」光の帯に触れているアグリアの体は痙攣、青く発光する。「このままお前の魔力を削らせてもらうぞ」「こん……なこと……で…!!」アグリアは4本の蜘蛛足から黒い粘着物を出現させ床に叩きつけ爆発させた。爆風の勢いて独鈷の拘束から逃れたアグリアは床を転がる。下の41階に続く階段が目の前に見える。「ワタシは……」黒い粘着物を糸状に伸ばし下に続く階段の手すりに付ける。蜘蛛足で糸を引き一気に階段まで移動する。「待て!」レンは右手に脇差を持ったままアグリアを追いかける。下の階に続く階段は黒い粘着物が無数に張り巡らされていた。せり上がってきたコンクリートの壁でレンと分断された刀耶、ハンマーのストライクスマッシュで破壊を考えたが階段を目指す方が楽だと気づき階段を目指す。『宗像刀耶。リティーシャ・ヴァン・ヴァスベルゲを返して欲しければ上がってくるのだ』どこからともなく響く声。「誰だ!どこにいる?」『私はヴォルフガング・フォン・ホフ。オーグルを所持している者だ』「お前が……どういうつもりだ?ここに来て観念したって訳ではなさそうだ」『おやおや随分と自信があるねー……借り物の鎧を着てそんな言葉を吐けるとは大したものだ、若いというのは羨ましいねー』「なんでも良い!リティーシャを取り戻しお前のオーグルを始末できればな!!」『成程、目標達成が最優先だと。自分の価値がなんであろうと気にも留めないと。素晴らしい!私は君のような助手が欲しかった』「上にいるんだな?よし、今すぐ行ってやる!!」43階に上がり扉を開けるとそこは44階と吹き抜けになっているフロアーだった。様々な機器が並んでいる。「来たな宗像刀耶。さぁ上がってこい屋上へ」天井部が左右に開き星空が見える。刀耶はジェット噴射で屋上へと上がる。目の前に緑の外套フード、黒仮面の薄手のコートを着た男が立っていた。「お前がホフだな、リティーシャはどこだ?」「心配しなくとも生きてるさ。だが君たちは私の邪魔をしすぎた、実験台になってもらうよ。その鎧も回収させてもらうからね」ホフがコートの前を開けると腹から緑の大蛇が伸び刀耶に襲い掛かる。咄嗟にロングソード受け止める。「反応速度は悪くないようだ」大蛇を縮めながら距離を詰めるホフ、右腕をハンマー状に変えて刀耶の側頭部を殴りつける。もんどり打って倒れる刀耶。「くっ……速い……!?」「耐久力もかなりのものだ。今のはかなり強めに打ったのだが」左手を伸ばすホフ、刀耶はジェット噴射で四つん這いの状態から飛び上がって回避、体勢を立て直して着地する。「瞬発力も思ったよりあるようだ」「コイツ……今までのオーグルとは違う……」「気づいたかね?そう、私に取り付いているのはオリジナルのオーグルだよ」「オリジナル…だと!?」「リティーシャ・ヴァン・ヴァルベルゲが作ったその鎧、オリジナルのオーグルに対抗するためだと聞いています。どこまでできるか見ものですねー」右手をかざすホフ赤い閃光が放たれる。刀耶の胸に命中する。「うぐっ…これは単眼オーグルのギガンティックブラストとかいうやつ!?」「ははっケリーはそんな風に呼んでましたね。あれは私の魔術を再現したに過ぎない」閃光を連続で放つホフ、刀耶は円盤盾を構えて防御する。「オーグルを制御するには魔術だけでは不可能。化学的視点からの研究も必要なのです。事実私は科学の力を持ってこのオーグルを完全に制御しています」掌の閃光を少し溜め、光弾に発射するホフ。左右交互に放つ。「なんの話をしているんだ」「その鎧もそういったものですね。科学の力だけでも魔術だけでもそんなものは到底作れない。先進国で使用されているパワースーツの技術者がいくら頭をひねったところでその鎧を作ることは不可能でしょうねー」「だから一体何の話を……」「魔術には魔術の長所短所、科学には科学の長所短所があります。それぞれ足りないところ届かないところを補って真理に迫る。それが私やリティーシャの研究しているもの。その為には犠牲は仕方ありません、なのにリティーシャはわざわざ私財を投げ打ってまで鎧を作り私の邪魔をしに来た。理解できませんねー」「俺はお前の方が理解できねえな!」ロングソードを向ける刀耶。「凡人の頭脳ではとてもなし得ることのできないものです理解できないのは無理はない」「へっ!世の中ほとんど凡人だ!!」「世の中ごく限られた非凡な才能の者が動かしているのですよ」ひときわ大きい光弾を放ち追いかけてくるホフ。刀耶は盾で光弾を受け止め迫るホフをロングソードで迎え撃つ。ホフの左手の指が伸び刀耶の右腕に絡みつく。つま先を尖らせて刀耶の右脇腹に蹴りを入れる。「フーン!」両手を伸ばして刀耶を持ち上げ床に叩きつける。そして引き寄せて両足で蹴り飛ばす。刀耶の体は弾丸のように飛び屋上に設置されたエアコンの室外機に衝突、粉砕する。「ぐ…は……なんてパワーだ」「ほう……今ので装着者が気絶しないと。対衝撃も思ったより高い。さて、ケリーを倒したのならその力を見せてもらおうかー」「見せてやるさ!!」刀耶は盾にサンダーディスク、ロングソードにフリーズディスクを装着する。「いいね」ホフは外套をコウモリを思わせる翼に変形させる。続く
May 7, 2016
コメント(0)
MKC6話ジーニアスレイジ「うおおおおおっストライクスマッシュ!!」飛び込んでロングソードを振り下ろす刀耶。体を捻り寸前で躱すケリー、ジェットボードが両断される。「この…ギガンティックブラスト!!」「ぐうっ」刀耶の胸に命中する。ケリーは開いた胸の穴を押さえながら立ち上がる。再びギガンティックブラストを放つ、刀耶はそれを盾で防いだ。「ごほっ…やりやがったなこの鎧野郎!まだ俺はやれるぞ!!」ギガンティックブラストを連続で放ちながら飛び跳ねて距離を取るケリー。「ちっ…出力じゃなく攻撃回数で押してきたか」ロングソードを再びマスケット銃に変形させる刀耶。連続発射されるギガンティックブラストを盾で受ける。「トーヤ、中距離はサンダーディスクを使うのです!」「ん?よし!!」サンダーディスクをマスケット銃に装着する。「これでどうなるんだ?」「トリガーを引きっぱなしにしてみて下さい。断続的に攻撃できるはずです」ケリーの猛攻を受けながら刀耶はサンダーディスクで強化したマスケット銃のトリガーを引く。青白い稲妻が迸りケリーの足元に炸裂した。「そのままですトーヤ!トリガーを引きっぱなしで目標を追うのです!」「なるほど!」連続ステップで逃げるケリー、刀耶は稲妻を手の動きだけで操って追う。「アババババババババー!」稲妻がケリーに命中する。「よっしゃ、動きが止まった!止めを差してやる!!」全身から煙を上げ膝をつくケリー。刀耶はサンダーディスクを盾に装着する。「ストライクスマッシュ!!」稲妻を纏った盾を投げつける刀耶、ケリーに炸裂する寸前、何かが上方から飛来し盾は弾かれた。「なにっ!?」盾を弾いたのは電撃を帯びた三叉槍であった。「なあにケリー?やられかけてるじゃない」工場の立屋の上から声がした。「……アグリア!くっそ、これで2体か……」背中から4本の蜘蛛足を生やしたアグリアが飛び降りてきた。地面に突き刺さった三叉槍を引き抜いて構える。「た、助かったぜアグリア……思ったよりもあの鎧野郎やりやがってよ」「作戦忘れてないわよね?」「ああ、そっちは頼む」「はー!」4本の蜘蛛足を利用して高く飛び上がるアグリア。リティーシャ目掛けて黒い粘着物を網にして投げる。「リティーシャ!」「お前の相手は俺なんだよー!!」ギガンティックブラストを放つケリー、刀耶は盾で受ける。「ひひはははー!チビ女!!ワタシが相手だ!!」かろうじて網を回避したリティーシャ。着地したアグリアが迫る。リティーシャはディスクバット2枚取り出しアグリアに投げつける。「鬱陶しい!!こんなものでワタシを倒せると思うなよ!!」ディスクバットの攻撃を4本の蜘蛛足で防ぎ三叉槍で刺突を仕掛けるアグリア。リティーシャはファイヤーディスクを手に持つ。「ほらぁ!これで串刺しだよ!!」「そう簡単にいきませんよ」ファイヤーディスクをナイフ状に変形させたリティーシャは三叉槍を叩いて弾く。続いて黒い粘着物を投げつけるアグリア、リティーシャは軽い動きで回避。ディスクバットを回収しファイヤーディスクナイフと繋げる。切っ先が燃えるレイピアへと変形した。「なあに?チビ女!一丁前に剣なんか構えやがって!そんなものでこのワタシをどうにかできるとでも思ってんのか!?惨めに逃げ回ってみせろよ!!ズタボロのボロ雑巾にしてやるから!!」「逃げませんよ」粘着物を投げつけ追いかけるように三叉槍で突進。4本の蜘蛛足を使い連続攻撃を仕掛ける。対するリティーシャは燃える切っ先で粘着物を焼き払い、三叉槍を弾き、4本の蜘蛛足の攻撃を下がって回避する。「剣はそれなりに嗜んでいますので」「生意気なぁあ!!」粘着物を2連続で発射、すぐに大きく飛び上がり頭上からリティーシャを狙う。木の葉のように回避するリティーシャ、燃える切っ先で反撃、アグリアの髪を切り裂く。「クソチビがあああっ!!」三叉槍を振り回し蜘蛛足を利用した踏み込みでリティーシャを追う。「チョロチョロチョロチョロしやがってえええ!!逃げてばっかりいてもワタシは倒せないわよ!!」「倒す必要はありませんので」アグリアとリティーシャが攻防を続けている後ろで戦う刀耶とケリー。「グハハハハ…お互い決め手にかけるようだな、ええ?」「はぁはぁ……そうかな?俺はもうそろそろ決着つける気でいるぞ」刀耶はフリーズディスクを盾に、サンダーディスクをマスケット銃に装着する。「やらせねえよ!」ギガンティックブラストを乱射するケリー。刀耶は受けながらフリーズディスクをパラボラアンテナ状に変形させる。「反射しようってのか?同じ手を何度も食うか!!それならこうだ!!」ケリーは地面にギガンティックブラストを打ち込みアスファルトの道路を抉る。破片が刀耶に襲い掛かる。砂煙をあげケリーは刀耶の目の前から姿を消す。「ぐっ……」足元からギガンティックブラストが吹き出し刀耶の足に命中。「地面に潜り込んだのか」「グハハハハ…どこから攻撃するか分からんだろう?そのシールドも無意味だ!」ギガンティックブラストが吹き出し刀耶の背中に命中する。「くそ…」「グハハハハハー!」今度は刀耶の側頭部に命中する。「ちっ……どうすれば奴を引きずり出せる…マスケット銃は連射できない…勘で稲妻や冷気を流し込んでも届くかどうか…」地中からのギガンティックブラストを連続でくらう刀耶、ヘルメットのモニターが温度上昇を警告する。「グハハハハハー!さーてどの穴から攻撃するか分かるか~?」「どこから攻撃するか分からないのなら!全部に攻撃してやるぜ!!」フリーズシールドを上に投げる刀耶、そこにサンダーマスケット銃のストライクスマッシュショットを撃ち込む。拡散された稲妻が降り注ぎ地面に開いた無数の穴に流れ込んでいく。「うおおおお…」「ぎゃああああああああああああああ」声が聞こえた穴に腕を突っ込む刀耶、ケリーの角をつかみ引きずり出す。「もう逃がさないぞ!」「グ、グハハハ!馬鹿め!俺に顔を近づけるとはな!!ギガンティックブラ……」刀耶は右手で角を掴んだまま左手でケリーの顔面を殴りつける。「ぎゃああああっ!俺の目が!メガアアアアアア!!!」ギガンティックブラストで自らの目蓋を焼いてしまうケリー。刀耶はケリーを地面に叩きつけ盾とマスケット銃の二つを合わせて両手持ちの斧に変形させる。「これで、終わりだ!」渾身の力を込めて横薙にスイングする刀耶、ケリーの首が飛ぶ。「ぎゃああああああああああああああああ」ケリーの体は爆発四散。光が集まり痩せこけた小柄なコボルトがあらわれた。「ひ、ひいいいいいい…」「マスターとやらのことを話してもらおうか?」「い、言えるか!言ったらおしまいだ!!」「じゃあここで終わるか?」刀耶は両手斧を構える。「ひいいいいい…勝手に探せ!!どうせお前らはマスターに勝てるわけないんだからな!!」ケリーは口から玉を吐き出す。「おっと!それはもう通じないぞ」吐き出した玉をケリーの口に戻す刀耶。「げほごほっ…待て!慌てるな玉の中の物を出す、それを見て自分で勝手に調べろ」ケリーは玉の中からカードキーを取り出す。「これはどこのカードキーなんだ?」「言えるかよ!勝手に調べろって言ったろうが!!俺はこのまま逃げさせてもらうぜ」「待てっ!!」ケリーは刀耶の股間を潜り、割れたジェットボードに乗って飛び去った。「ちっ……逃がしたか!リティーシャ、手がかりは掴んだぞ!!」振り返る刀耶、その目に映ったのは黒い粘着物で拘束されたリティーシャであった。「すみません刀耶…」「リティーシャ!!」「ひひははははー!!チョロチョロと手間かけさせやがって…このチビ女は連れて行かせてもらうよ!」アグリアは蜘蛛足の一本でリティーシャを吊り上げる。「やらせるか!」両手斧を構える刀耶。「いいのかい?このチビ女を傷つける事になるよ?ケリーとの戦いで大分疲れているようだけど?マスターはこの女に用があるみたいだし殺しはしないよ。まぁ帰って来れるかはわかんないけどねぇ?ひひははは……」リティーシャはガスマスクのモニターを操作して刀耶にメッセージを送る。『ディスクバットを持っているのでその信号を追って来てください』『分かった…レンのオジサンにも言っておく』「急に黙ってどうした?悔しくて言葉も出ないか?オーグルの事を嗅ぎまわらなければこんなことにならなかったのにねぇ」飛び上がるアグリア。街灯、壁を伝い屋上に上がる。「動くなよ?追ってきたらこのチビ女を叩き落とすからね」「……」アグリアはリティーシャを抱えたまま夜の闇に消えていった。――刀耶のアパートレンを呼んだ刀耶はナイトケースのヘルメットだけを装着しディスクバットの送信が途絶えた場所をモニターで眺め、携帯電話の地図と見比べていた。「第六区のオーグルは普通の人間だったよこっちは手がかりなしだ」「オジサンが無事で良かった。このカードキー見たことは?」刀耶はカードキーをちゃぶ台に置く。「どれ……うーん、大抵のカードキーはどこのものか分かるようにカードに書いてあるものだがこれにはそれが無いな。しかし……このタイプは差し込んだりスラッシュするタイプじゃあ無い、センサーにかざして使う物だね。カードキーを作っている会社を当たれば手がかりをつかめるかもしれない。さて、そんな時間のかかることをしなくてもなんとかならないものか…そっちはどうだい刀耶くん?」「信号が消えた場所を地図と照らし合わせると…第一区にある秋馬原駅の南になるんすけど…」刀耶は携帯電話の地図をレンに見せる。「トンネルか……メンテナンス用の扉から通じてるのがベタなパターンだな。行ってみるか?」「ええ、リティーシャが何をされてるか分かりませんから」刀耶は栄養ドリンクを飲み干して言った。レンの車で第一区に向かう。――秋馬原第一区高層ビルが立ち並び主要駅である秋馬原駅があり、警察署に大学、役所に図書館など公共の施設が集まっている。東側は繁華街の第二区、南側はビジネス街の第四区と隣接している。「ここっすね…この時間南側トンネルの歩道は人通りが少ないな」「ビジネス街側に行く人はもうあまりいない時間だからね。刀耶くん、入れそうなドアを探そう」――とある秋馬原のビルの一室。緑フード黒仮面の男ホフは椅子に縛り付けたリティーシャを眺めながら取り外した彼女のガスマスクを弄んでいた。「……リティーシャ・ヴァン・ヴァスベルゲ。久しぶりですねー」「あなたは……」リティーシャがそう言うと黒仮面を外すホフ。切れ長の目、高い鼻、シャープなアゴのラインの顔が現れた。「ヴォルフガング・フォン・ホフ!やはりあなたが!!」「わざわざこんな国まで追ってくるとはねー。目的はオリジナルのオーグルの回収ですか?」「そうです!あれは処分が決まったはずです!持ち出して拡散させるなど……何を考えてるんですか」「おやおや必死ですねーオーグルを処分するために私財を投げ打ってまであんな鎧を作るとは。他の【ジーニアスレイジ】のメンバーは私を追わなかったというのに」ホフは冷たい視線をリティーシャに向ける。リティーシャはまっすぐにホフを睨みつける。「答えてください!」「マーリンの方がよっぽど危険な研究をしてたはずですがねー?イギリスで起きている事をご存知で?」「マーリンの事は知りません。それよりも質問に答えてください!」「ああ~オーグルで何をするつもりかって?そりゃあ研究者としてどこまでの結果をもたらすのか探究心を抑えられなかったのですよ。せっかくオーグルの利用方法を見つけたというのに。ジーニアスレイジの目的は科学と魔術の到達点、真理を探ることでしょう?その為に人間がいくらか犠牲になっても仕方ないと思いますがねー」「目的の為にはどんな犠牲を払ってもいいなんて考え間違っていますよ!私たちも世界の一部なんです、その世界を壊すような真似をするなんて」「おやおや、命は尊いなどと使い古された言葉を吐くのかと思えば予想外の言葉が出てきましたね。確かに我々は世界の一部ですねーしかし真理を知ることができるのならば犠牲もまた仕方ないことです。知ること以上に大事なものなどありはしませんよ」「やはりあなたとは考えが合いませんね」「そうですねー…ジーニアスレイジは馴れ合いの集まりではないので合う合わないはどうでもいいことですよ。お互い刺激になればそれで良いのです。リティーシャ、あなたの作った鎧が気になりますねー分析させてもらえませんか?」「渡すと思うのですか?」「渡さないでしょうねー?それなら実戦データを取るまでですよ。私のオーグルが君の鎧にどこまで通じるか確かめたいですしねー」ホフの緑の外套フードが蠢き全身を包み込んでいく。「まさか!オリジナルのオーグルと共生を!?」「そのまさかですよー手懐けるのに少し骨が折れましたが今ではすっかり良い関係です」「どうやってそんな事を…オリジナルのオーグルに乗り移られて無事に済むはずが無いです!」「自分の脳を弄ったんですよ。オーグルが乗り移る時どこに影響を与えるか知ってましたしねー僕の頭には脳の他に脳をダウンロードしたチップが入ってます。生脳はオリジナルのオーグルに乗り移られてしまってますしねー脳チップ作成方法のデータはジーニアスレイジのサーバーにあったのでお借りしました」「狂ってる……」「褒め言葉として受け取っておきますよ。資金面の問題もこの国の人外と取引できましたので当分は安泰ですねー」「資金を調達する為にオーグルを売り物にしているのですね!」「研究に資金は欠かせませんしねーところで貴女を見てて思いついたのですけど……オーグルを体に入れてみたいのですけど?」「……無駄ですよ」「でしょうねーですが、貴女に適合するオーグルを作ることができればどんなことになるか知りたいのですよ。それにしても昔と比べて見る影もない程弱ってますねー長いこと食事をとっていないのでは?」「私は自分の意志で今の状態になってるのです。食事をとる気はありませんよ」「それは驚きですねーどうやって食欲を抑えているのです?」「……」「まーいいでしょうそのままあなたを放っておけばどうなるか観察させてもらいます」ホフは踵を返して部屋を出て行く。金属製の扉を閉め鍵をかける。――トンネルのメンテナンス兼避難用扉を見つけた刀耶とレンは中には入り通路を進む。「リティーシャのディスクバットの信号はこっちの方向から出ています」「カードキーをかざしてみてくれないか」カードキーを壁にかざすと刀耶とレンの耳に電子音が聞こえた。「ここか」レンが聞こえた場所の壁を押して見る。すると壁は上に開いた。下に降りる階段が見える。人一人分が精一杯の幅の階段を降りていく二人。降りきって金属製の足場を進んで行くと下に開けた空間に出た。眼下に広がるコンクリートで出来た空間、高さは20m程になる。「すげぇ…何だここは?」「ふーむ…災害用の放水路のようだね。東京にはいくつもこういった施設があると聞いている。その一つだよ」金属足場の突き当たりに見える扉。二人はその扉をカードキーで開ける。「放水路の先はどこに繋がっているのか」扉を開けるとそこは非常階段に繋がっていた。静かに登っていく二人。一つ上の階の扉を開けるとそこは広大な地下駐車場であった。「ここはもしや…アキバハラ・スカイタワービルの地下駐車場か」駐車場のコンクリートの柱にスカイタワーP=BF2と表記されている。「アキバで一番でかいビルっすね。このビルのどこかにリティーシャが……」「……刀耶くん、敵さんがおいでなすったぞ」地下駐車場に停まっていたコンテナトラックの荷台が開きロングソードを持ったオーグルが4体現れた。「グルルルルアアア!!」「来やがったな!ナイトケース装着!!」ナイトケースを装着しロングソードを構える。「刀耶くんは左の2体を頼む」レンは胸から大量の文字が刻印されたオートマチック拳銃を取り出した。「オジサンそれマジ物の銃かよ!?」「いいや?モデルガンのようなものさ、本物の弾丸なんて発射できないよ。霊樹で作った特殊な銃でね、ああいうのを相手にするための弾丸を発射する物さ」レンは霊樹の銃、霊銃のトリガーを引く。山吹色の閃光弾が発射され一番右のオーグルの胸に命中する。「グゴアアアッ…」青い血をまき散らしながら衝撃で仰向けに倒れるオーグル。他のオーグルの動きが止まる。「すげぇ…」「一発1万円の高価な御札を弾丸にしてるからバカスカ撃つわけにもいかないけどね」「それで溝口堂で御札を買ってたのか」「ああ」レンの霊銃の威力を見た三体のオーグルは散開、二人を囲んで距離を保つ。「私の霊銃を撃つのを待ってるのか…撃った瞬間に残りの2体で飛びかかる気か」「だったらこっちから仕掛けるまでっすよ!」刀耶はロングソードを構えてジェット噴射で突進。斜めに振り下ろす。「グアウ!」刀耶の一撃を受け止めるオーグルそれを合図に残り2体のオーグルが刀耶とレンに飛びかかる。「ガウ!」「ガアウ!」刀耶は前のオーグルを蹴って引き離し、飛びかかってきたオーグルの一撃を受け止める。レンは僅かな動きでオーグルの攻撃を躱し至近距離から胸と首に二発霊銃を撃ち込んだ。「ウギャアアアア…」二発撃ち込まれたオーグルは爆発四散。跡にはやせ細った男が倒れている。そして最初に撃った仰向けに倒れいるオーグルに止めの一撃を撃ち込み爆発四散させる。「ストライクスマッシュ!」オーグルを両断する刀耶。残りは一体となった。「クソ……コイツラ……」背を向けて走り出すオーグル。レンはそれを逃さず背中に2発撃ち込んで爆発四散させる。「はぁ~結局オジサンが3体倒しちまったな」「6万円飛んだがね」笑みを浮かべてレンは言った。続く
May 4, 2016
コメント(0)
MKC5話コボルト『モーモーミルク4.5!新発売!!飲んでくれなきゃ嫌だゾ!モエからのお・ね・が・い☆』牛柄のビキニを着たアイドルのネットCMが流れている。豊満な胸を寄せてウインクをした。「……」「トーヤ、気になりますか?」「え?いや……別に……」「本当ですか?あのアイドルの寄せた胸の駄肉に目を奪われていたのではないですか?」「駄肉って……お前胸のこと気にしすぎじゃねえか?」「な!?セクハラですよ!!第一私は自分の体の事を気に入ってます、私の顔と身長ならばこのフォルムがベストなのです!実際モテますし」「ならいいじゃねえか……」「トーヤは女性を見る時、胸の大きさを気にしているように思えたので。あのファーストフード店のお気に入り店員も駄肉を持ってましたしね」「巨乳に何か恨みでもあるのか?」「ありませんよ!……ただ私は胸を気にしてミルクを飲んでいるのではないと言う事を強く主張したいのです!言われるのですよ!!」「……そっか、あ~だからあの巨乳アイドルがミルクのCMしてるのが気に入らないのか。ミルク=巨乳のイメージが嫌なんだな?」「そうなんです!ミルク=ホルスタイン=巨乳ってあまりにも安直というか。巨乳のアイドルに牛柄の水着を着せてCMするなんて!!」「ま~仕方ないんじゃね?小さいとミルクのイメージ無いし…」刀耶はめんどくさそうに答える。「それよりもどうするんだ、今後のオーグル捜査。あのオジサンの連絡待ちか?それともアキバをぶらついてパトロールするか?」話題を変えた刀耶。リティーシャはふくれっ面から真剣な表情に変わる。「んー……レンの連絡待ちだけでなく私たちも動きましょう。ディスクバットにもパトロールさせます。アキバハラの監視カメラをハッキングしてもチェックしきれませんし」リティーシャはディクスバットと呼んだコウモリに変形する黒色のディスクを数枚取り出して見せ、机に置く。「それと…武器ですが、ファイヤーディスクに加えサンダーディスク、フリーズディスクも用意しました。オーグルの他にも人外が関わっていることが判ったので……ただトーヤの負担が大きくなりますが」リティーシャは赤、青、白色のディスクを机の上に置いた。「負担が大きくなるって……霊力とやらを大きく消費するのか」「ええ、ナイトケース同様にこれらのディスクも霊力を消費します。つまりごく一般的な人間にはほとんど使うことができません、使えたとしても一瞬でしょう。トーヤと私…あるいはレン程度の力でなければ使いこなすことは不可能です」「あまり調子に乗って使いまくらないほうが良さそうだな。ここぞという時にガス欠じゃ困るもんな」「私もサポートして出来るだけそうならないように気をつけますよ」――とある秋馬原のビルの一室。緑のフード付き外套をまとった黒仮面の男は試験管の中でうごめいているオーグルを見て満足気に目を細めていた。「活きのいいオーグルだ。コイツでせっかく次の実験を行なってもらおうと思ってたのにねー」「申し訳ありませんでしたマスター・ホフ…」片膝をついてそう言ったのはアグリアである。刀耶に焼かれた傷はほとんど消えていた。「全くだよ……鬱陶しいのはキッチリと駆除してくれないと困りますよー」マスター・ホフと呼ばれた男は外套を翻しオーグル入った試験を持って古い木箱の前に立った。木箱の中には古めかしい人骨が入っている。「まぁいいでしょう」ホフはオーグルを古めかしい人骨の上に垂らす。オーグルは人骨に染み込んでいき、徐々に緑の肉を形成していく。「いいね、ここまでは順調だ」大柄なオーグルとなった骨はゆっくりと立ち上がる。「グゴルグバゴグゴー!!」涎をまき散らしながらオーグルはホフに向かって突進。「ふーむ…失敗か…」ホフはオーグルに手のひらを向ける。赤い閃光がほとばしりオーグルを粉砕した。「科学と魔術のハイブリットというのは難しいもんだねーだからこそ面白いのだが。散らばった骨は回収しておいてくれよアグリア君」「はい」「これはこれとして例の準備はどうなってるかねー?」「順調に進んでいます来週には間に合うかと」「よろしい。では大嶽にメールを打っておいてくれたまえー」「はい」――翌々日、秋馬原第四公園ここは秋馬原六区の一つ、第四区ビジネス街にある野球場程の広さの公園。ジョギング、ウォーキング用の立体トラックが用意されてある。中央には自然の森を再現したエリアがありここでは自然のホタルを見ることもできる。ドラマやCM撮影などよく使われている。夜は昼間とはうって変わり静寂が不気味な雰囲気を醸し出す。「リティーシャ、第四区なんて一番オーグルなんていなさそうだが?」『そうですがビジネス街は私の格好では歩きにくいのでお願いします』刀耶は第四公園の森を進む。ブレスレットの上からナイトケースの腕部分を装着する。「これでオーグルの気配を感じることができるのか」『変化した者の気配ですね。オーグル潜伏中の者を探し出すことはできません』「それでもすぐに駆けつけられるってのは大事だな。……なあリティーシャ?」『どうしましたかトーヤ?』「オーグルをばら撒いている奴がこのアキバに居るのならそいつはオーグルなのか?」『ある意味ではそうでしょうね。オーグルとは存在そのものの事ですので液体を飲み込んで変化した者が全てではないです。オリジナルのクローンを作って品種改良したものがこの街で出回っているものですよ』「そうなのか…もし人間が相手なら厄介だなって」『その時は私がなんとかしますよ。トーヤはオーグルに専念してもらって大丈夫です』「そうか」『トーヤ、ディスクバットがオーグルの気配を感知したのはこの公園からです。また現れる可能性がありますいつでもナイトケースを装着するつもりでお願いします』「ああ、油断はしねえよ…」自然公園を歩く刀耶、自然公園中央の池に近づいていく。『トーヤ、ナイトケースを装着してください。池からオーグルの気配を感じます』「分かった、ナイトケース装着!」ナイトケースを装着した刀耶、池に近づいた途端赤い閃光が水中から浮かび上がりナイトケースの胸部に衝撃を与えた。「うおっ!?」吹き飛ばされ森の木に激突する刀耶。池から現れたのは3メートル程の単眼オーグルであった。頭には3本角が生えている。「いってぇ~…何だお前、でけぇオーグルだな」「マスターの邪魔をするバカを見つけた!コロス!!」「マスター?オーグルの親玉のことか!!」「お前はここで死ぬ!マスターのことは教えない!!」単眼オーグルの目が光る。赤い閃光がほとばしり刀耶の胸に命中する。「ぐはあっ!」『トーヤ!あの光は危険です!当たらないようにしてください!!』「光線避けるのは中々難しい…だから盾を使うぜ!」ナイトケースの背中から金属片が飛び出し円盤状の盾になる。刀耶はそれを左手で構える。「このギガンティックブラストはなんでも破壊する!お前の盾も破壊する!!」「おっと!」ギガンティックブラストを受け止める刀耶。表面の緩やかなカーブがギガンティックブラストの光線を拡散させる。刀耶は衝撃でたたらを踏んだ。「ぬがああっ!!」殴りかかる単眼オーグル。刀耶は盾で拳を受け流しフリスビーのように盾を投げつける。盾は単眼オーグルの顔面に命中、のけぞらせる。『ハイパーキングファイターNPCモードで出てくるサイクロプスに似てますねトーヤ』「ああ、だから戦いに応用できる。ビームはHKFのサイクロプスは出さないけどな!」「ぬがあああああああああっ!!」両腕を振り回しながら暴れる単眼オーグル。公園の木々が倒れていく。「つぶしてやるぞ!!」倒れた木を持つ単眼オーグル。刀耶を狙って振り下ろす。「おっと、動きが見え見えだぜ!」ジェット噴射ステップで軽く回避、再びシールドを投げつけ単眼オーグルの顔面に命中させる。「ぬがあああっ!!ふざけた真似しやがって!!」跳ね返ってきたシールドを捕る刀耶。ギガンティックブラストを放つ単眼オーグル。盾で受け止めシールドを投げつけ顔面に命中させる。『ナイトケースは分離したパーツを引き戻せる特性がありますからね。それを利用した攻撃方法ですか』「ああ、この前槍を投げた時に思いついたんだ」「ぬうううがああああああああっ!!!」刀耶の連続盾攻撃を受け単眼オークは激昂。ギガンティックブラストの出力が上がる。「死ねええええええええええええっ!!」「ぐううあああっあちちちちちちちー!!」受け止めたナイトケースのシールドが赤みを帯びる。ビームの圧力に押され公園の芝生をえぐりながら後方に下がっていく。『トーヤ!耐熱限界値に近づいています!!これ以上受けないでください!!』「確かにこれはやべぇな…」「グハハハハハ!!手も足も出まい!!」「そうかな?」刀耶は右手で取り出したフリーズディスクを盾に装着する。盾に氷がまとわりついていく。「ギガンティックブラストー!!」氷の盾で受け止める刀耶。ビームは氷によって屈折させられ拡散。「なにいいいいいいい!?」『早速フリーズディスクを使いこなしてますね。では次は盾をパラボラアンテナのように変形させてください』「よし!」変形する盾。単眼オーグルは溜めを作り更に高出力のギガンティックブラストを放つ。「コレでどうだああああああ!!……ぎゃあああああああああああああああああっ!!」ギガンティックブラストを受け止めたパラボラアンテナ状の氷の盾。ギガンティックブラストを収束し単眼オークに跳ね返し、胸を貫いた。「うぎゃああああああああああああああっ」「すげえ!」胸にサッカーボール大の穴を開け大量の青い血液を撒き散らす単眼オーグル。『トーヤ!止めを!!』「おう!!ストライクスマッシュ!!」氷のノコギリ状の刃をつけた盾を投げつける刀耶。光の円盤ノコギリと化し、単眼オーグルの首を切断した。「こんなああああああっ!!」単眼オーグルは爆発四散。跡にはやせ細った子供が倒れていた。鷲鼻で耳が少し尖っている。「…子供!?」「くっそ…これで終わったと思うなよ…」立ち上がった子供は口から玉を吐き出し地面に叩きつける。閃光がほとばしる。「む!?」『あ!』光とともに子供の姿は消えていた。「ああちくしょう!捕まえればマスターとやらの事がわかったかもしれなかったのな」『あの子供……戻ってきてくださいトーヤ』アジトに戻る刀耶。リティーシャはミルクを飲んでいた。「ぷはー…おかえりなさいトーヤ。ご苦労様です」「ちょっと手こずったな。まさかあんなデカイのが現れるとはなぁ…あの子供なんだったんだ」アタッシュケース状にしたナイトケースを机に置き、ソファに座り込む刀耶。「あれは恐らくコボルト族ですね」「コボルト?」「ええ、童話とかで有名なのですか知りませんか?まぁそれは置いておいてコボルトは人間と比べ魔力…トーヤでいう霊力が人間と比べ高いのです。だからあれほど強力なオーグルになったのです。問題はそこなんです」「ほう」「私の知っているオーグルは人間にしか乗り移れないものなのですよ。品種改良をし人外にも乗り移れるようになったとしたら……想像を超えるような存在が誕生してしまいます。1体で大きな都市を脅かすような存在にオーグルの力が合わされば国を脅かす存在になりえます」「マジかよ……」「そこまで研究が進んでないことを祈ります。人外の種族によって特性も違いますし適応させていくのには時間がかかると思いたいです」「……時間が勝負ってことか。ちなみにコボルトはどのくらいの強さなんだ?」「戦闘力はアラクネと比べれば格段に落ちます。そのコボルトが先ほどの単眼オーグルになったのです」「そっか…人間でも数倍の身体能力になるんだもんな…人外ともなればもっとか…」「一応このことはレンにも報告しましょう」「そうだな」――とある秋馬原のビルの一室。「また例の鎧騎士が現れたと。アグリア君に続いてあなたまでー…」「はぁはぁ…クッソー!次は負けねえ!!あの鎧野郎が!!」コボルトは机を叩いて叫ぶ。「騒がしいですよケリー君。それで何か得るものはありましたか?まさかただ敗北しただけではないでしょうねー?」ホフは目を細めてケリーと呼んだコボルトを黒仮面の奥から見つめる。氷のような視線で見つめられケリーは目を伏せる。「あ、あのー…そうですね…敵は氷を使いました。ええ、氷でギガンティックブラストを反射されました。あの氷は気をつけなければなりませんね、ええ」「それだけですかー?この街にいる人外にアピールする為に行ってそれをできずに鎧騎士に敗北してその程度の情報しか得れなかったとー?はぁ~この国の人外のサンプルがなければ困りますねぇ~邪魔する鎧騎士も…」「すんません!すんません!!次は必ず!!」「ま~いいや、じゃあ次はケリー君、アグリア君ふたりで行ってもらうよ。こちらから鎧騎士を探すんだ」「はい!」「は!」「適当に馬鹿な人間にオーグルを配って暴れさせなよー。そしたら出てくるでしょ?」――翌日刀耶は大学の5時限目を終え、帰りにリティーシャのアジトに寄ることにした。日は沈みかけていた。「トーヤ、丁度良いところに来ましたね。ディスクバットがオーグルの気配を感知しました。第五区の工場地帯、第六区のスラム街です」「おい、第六区はスラムじゃねえって…とにかく2箇所で見つかったんだな?」「ええ、ここ第二区から一番近いのは南側の第五区です先にそちらに向かいましょう」「一緒に来るのか?」「ええ、ナイトケースから見える情報だけではサポートにも限界がありますから」「オジサンにも連絡しとこうぜ」「そうですね」ガスマスクを装着するリティーシャ、ナイトケースを装着する刀耶。二人はアジトの屋上からビルの屋上から屋上へと飛び移りながら移動。第五区を目指す。秋馬原第五区――工場地帯であり交通量も多い。大型車両が行き来するため道幅は広く作られている。様々なパイプがむき出し、煙突から煙を吹き出すいかにもな工場地帯とは違い、窓の少ない大きな建物が並んでいる。街路樹も多く訪れる者にクリーンなイメージを与える。「すっかり日も暮れたな…ま、この方が目立たなくていいんだけどな。いくらナイトケースがカメラに映らないと言ってもマズイだろうしな」「工場も終業時間のようですね。従業員が帰っていきます。ほとんど人はいなくなるでしょう。……あ、レンから通信です。ナイトケースにも繋げますね」『刀耶くん、リティーシャくん、第六区についた。この前捕らえたオーグルのサンプルから大まかな気配を感じることができる。こっちは任せてくれて構わないよ』「レン、人外オーグルにはくれぐれも気を付けてください」「オジサンの実力を疑ってるわけじゃないけど気をつけろよ?」『はっはっは、こう見えても君たちより修羅場をくぐっているさ。それじゃまた後で』通信を切りオーグルの反応を追う刀耶とリティーシャ。「ブチ殺してやるぞー!この鎧野郎!!」叫び声を上げて建物の上から飛び降りてきたのは筋骨隆々の単眼オーグル。3本の角を生やし背中にはサーフボードを思わせる板を背負っている。コボルト・ケリーの変身した姿である。「この前より小さくなったな」「だまれ鎧野郎!リベンジだ!!」ボードを地面に叩きつけ、その上に勢いよく乗る。ボードの後部からジェット噴射、刀耶めがけて突進する。「ギガンティックブラスト!」ケリーの目から赤い光線が放たれる。盾を用意していた刀耶は防御する。「この前みたいに氷を使って跳ね返してみろよ!!今度は当てられると思うなよ?」空中旋回するケリー。刀耶の背後に周りギガンティックブラストを放つ。「おっと!」振り向きざまに盾で受ける刀耶。「グハハハハハ……いつまでガードできるかな?俺はてめえの攻撃射程外から攻撃し続けてやるぞ」「なら接近するまでだ!」右手にロングソードを持ちジェット噴射で飛び上がる刀耶。ケリーは急旋回し刀耶の背中にボードによる一撃を入れた。「空中戦は俺の方が上!ギガンティックブラスト!!」「ぐあっ……」「トーヤ!」背中にギガンティックブラストを受けた刀耶は地面に叩きつけられる。「どうだ!ええっ!この前みたいに盾でフリスビーしてみろよ!!ほら!無駄だと分からせてやる!」「あの単眼オーグル…今度は飛んで尚且つ飛び道具ですか……刀耶、こっちも飛び道具です」「HKFにもあったな…マスケット銃が」ロングソードがマスケット銃に変化する。「ゲームと一緒で連射はできないんだよな?」「ええ、トーヤの霊力ですと次弾装填には10秒ほどかかるかと」「リロード時間までゲームと同じとはな!」ケリーのジェットボード突進を盾で受け流す刀耶。マスケット銃で狙いを付ける。「そこだ!」青く輝く弾丸がマスケット銃から放たれる。「当たるかよ!ギガンティックブラスト!!」急旋回からの宙返りで、刀耶のマスケット弾を回避。その体勢からギガンティックブラストを放つ。刀耶は盾で受ける。「くそっ…速え~」「グハハハハ!これが本気になった俺の実力だ!!」急降下攻撃を仕掛けるケリー、刀耶はそれに対し盾を投げて迎え撃つ。「何っ!!」回避が間に合わず両腕をクロスして盾を受けるケリー。追いかけるように刀耶はジェットジャンプする。「捕まえたぞ!」「クソがあ!!」引き離そうとするケリー、刀耶は角に手をかける。「ぬがああああっ!!」ケリーはジェットボードを回転させ刀耶を振りほどしにかかる。あっさりと手を離した刀耶は待ってましたばかりにマスケットの引き金を引く。「くらえ!」「しまっ……」回転がまだおさまっていない為回避不能状態のケリー、マスケット銃の弾丸が胸を貫く。「うぎゃあああああああああっ」「10秒間時間を稼げて少しでもお前の動きを止めれれば良かったんだ」戻ってきた盾を投げつけジェットボードに命中させる刀耶。錐揉みを描いてケリーは頭から地面に激突した。続く
May 1, 2016
コメント(0)
全8件 (8件中 1-8件目)
1