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森本警部と有名な備前焼作家ティモシー・ヘミオン著 インスペクターM翻訳集団訳吉備人出版 四六変形(188x118)並製☆☆☆☆☆ 著者はアメリカ在住のイギリス人数学者。岡山県警の警部を主人公にしたミステリシリーズでこの作品は第三作目だそうだ。設定があまりに面白いので図書館でみつけて借りてきた。 冒頭は備前焼作家の人間国宝が亡くなり、その葬儀の場面から始まる。直後、彼の孫息子二人が死体で発見されることで、事件が始まる。この孫息子二人は工房を別々に構えていがみ合っており、それは二人の祖父の生前の悩みの種でもあった。捜査にあたる森本警部はパートナーの若い女性刑事、鈴木刑事とともに丁寧に孫息子二人の死までの行動を調査していく。 手法は正統的な警察ミステリだと思う。森本警部と鈴木刑事の捜査で祖父とその備前焼に関する秘伝を相続する孫息子二人を巡る人間模様を明らかにしていき、さらにそこに日本の風物を巧みに織り込んでいる。無論、日本人の手になる日本の警察小説を読みなれていると警察組織や管理職の描写で??というところもあるし、この場面でこの行動は欧米のものであって、日本じゃない、というのもあるが、まあそれはご愛嬌ですむと思う。(映画のラストサムライと同じようなもんだ)それに、小説の最後の終わり方も洒落ている。ただ、気になるのは訳文。かなり直訳的で、英語ではこんな風に言うだろうけど日本人の実際の会話でこーゆー言い方はしない、というのが多い。そして、これが結構読みにくさに繋がっているように感じる。正直、もうちょっと意訳したり、日本語の慣用的な言い方に置き換えてもよかったんじゃないかと思う。 ちなみにこんな表紙。ちょっと画像が暗くなってしまった。
April 30, 2010
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【中古】文庫 陋巷に在り12聖の巻 (新潮文庫) 【中古】文庫 陋巷に在り13魯の巻 (新潮文庫)酒見賢一新潮文庫(12巻)四六上製(13巻)☆☆☆☆☆12・13巻のネタバレにならなくても、前巻のネタバレになる場所が多いので、未読の方は読まないほうがいいと思います。 ようやく読み終わった全13巻! しかし、完結していない……。しかもかなり中途半端なところで終わっている。文庫2巻の巻末あたりで、この連載が打ち切りになったと告知があり、それからも年月が経っているのでどうなったかと思っていたら、やっぱり再開はなかったんだろうな……。 3~6巻くらいは読みにくいし難しかった。8巻を過ぎると活字も大きくなりストーリーも割と読みやすくなるし、11・12巻あたりは色っぽい場面も多く、読んでいて楽しかった。特に顔回と子蓉のプラトニックかつラジカルなラブストーリーは好きかも。 この2つの巻はストーリーが一端中休みになるために一気に流れるという感じもする。特に顔氏の里の崩壊は迫力がある。子蓉の最期も好きだ。しかし、13巻の最後は孔子が魯を出ることになり、子路と顔回がそれに忠実に従って行く、という場面で終わるのだが、そこもかなり尻切れトンボ的に終わる。なにしろ孔子が魯を出る原因がよく分からない。まあ、著者が原典でもはっきり書かれていない、と書いてあることはあるのだが。とにかく、この小説、孔子が一生でどんなことをしたのか伝記的な知識がないと面白さが半減すると思う。私も高校の漢文の教科書程度の知識、それも忘れかけの知識があるだけだったので、せいぜい顔回と子路の名前に何となく見覚えがあった程度だ。だが、孔子が特に可愛がった顔回との関係をちょっとヘレニズム的な恋愛解釈も可能ではないかという仄めかしがあったのは、どういうことだろう?私はこれがあったから何とか最後まで読めたようなものかもしれないが、よく分からない。もしかすると、単に私のような読者を引き寄せる釣りにすぎなかったのかもしれない。そう思ってはいるが、著者の方があとがきで、顔回が孔子より先立ち、孔子が嘆き悲しむ場面を書いてみたかった、と書いておられたので、ちゃんとこの小説が完結できれば、ずっと私も気になっていた顔回の最期が読めたんだろうなぁ。でもの孔子と顔回の関係、ずっとマジメでマトモだしキャラも違いすぎるとはいえ、ハドリアヌス帝とアンティノウスを思い出してしまった。ただ、それっぽくなるのが12・13巻あたりだからなぁ。それにこの作品に関しては顔回と子蓉のラブストーリーの方も好みだったりするし。 あまり納得できない終わり方なのは、やっぱり著者の方が連載打ち切りになったことへの抗議の意味もあるんだろうか?でも、この小説、知りきれトンボになっているのは気になるけど、難しい……。もう少し説明が少ないとよかったんだけどね。頑張ってずっと気になっていたので読み終わったが、終わり方がかなり残念だ。
April 23, 2010
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キャッツアイころがった黒川博行創元推理文庫☆☆☆☆☆ サントリーミステリー大賞受賞作。3度目の応募での受賞だそうだ。1986年初版。 つまりバブル真っ最中のころのこと。行動力あふれる京都の女子美大生が、宝石のキャッツアイを口に含んだまま殺された同級生(が2度落第しているので2歳ほど年上)の死亡の原因をつきとめるため、彼がスケッチを残していたインドに渡って調査を開始する。 その一方、滋賀県の余呉湖ではキャッツアイを胃に含み、顔を潰され指先を切断された身元不明の死体が発見されており、さらに大阪でもキャッツアイを口に含んだ死体が発見される。 美大生なので、主人公の女性二人だけではなく、同級生の男子学生たちのキャラも読んでいて楽しい。が、捜査にあたる刑事達はせいぜい四課勤めが長かったらしい容貌の刑事がいるくらいで地味かな。ただ、私は素人探偵よりプロの探偵か警官が捜査にあたる小説の方が好きなのだ。ただ、この小説は関西の地理が細かく描写されているところがすきで手に取った。実際女子大生二人の弥次喜多道中は読んでいてイライラする。この時代の刑事物や小説って女をバカにしてるようなのが時折目に付くがこれもちょっとそんなところがあるかなぁ。時代を感じたのは、携帯電話がないのは当たり前だが、私とトシの近い42歳の男性の父親が「戦死」というあたり。考えてみると86年頃42歳ということは1944年生まれ。やっぱり時代が違うなあ。また、作中、偶然10歳まで住んでいた場所の短大の名前が羅列される場面があり、思いがけず、それだけでも楽しめた。また、宝石業界の(もしかすると当時の)裏側というのも興味深かった。巻末あとがきに私が↓で読んだ「8号古墳に消えて」が売れなかったと著者が書いていたが、面白かったけどなぁ、この本。だから私は「キャッツアイころがった」を女子大生が探偵役をやるという非常に好みではない設定にも関わらず手に取る気になったのだから。
April 16, 2010
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陋巷に在り(9(眩の巻))陋巷に在り(10(命の巻)) 【中古】文庫 陋巷に在り11顔の巻 (新潮文庫)【10P13apr10】酒見賢一新潮文庫☆☆☆☆☆今回はかなりネタバレ気味です。気になる場合は読まないで下さい。ミステリではないので一部しか文字色は変えていません。 いよいよ、物語も佳境に入った。 子蓉の言い出した技で、女予(一時で「よ」)と顔回は無事九泉を脱出する。しかし、女予はそれからが大変。体が酷く弱っているため、すぐに顔氏の里であり孔子の故郷でもある尼丘に連れて行かれ医げいの治療を受ける。が、元の回復力が強いため、すぐに容態は安定し、目を離せるようになる。そこで、五六を残して顔回と公治長は魯に戻る。 そこでは孔子があの手この手で成城の取り壊しを画策しているが、そこの城宰公れんしょ父(こうれんしょほ・漢字が出せない)は捨て身の方法で延期を画策する。同時に悪悦も狂巫に身をやつして公れんしょ父に接近し、尼丘への攻撃を進言する。さらに、九泉から戻って廃人の如くであった子蓉も「呼ばれた」と単身(虐殺を繰り返しつつ)尼丘へ向かう。 この大筋の中に孔子の母である顔徴在の話が、顔氏の太長老が女予に語り聞かせたり、孔子の墓参中の回想という形で挿入され、公れんしょ父を魯におびきよせる儀礼中の呪術戦や、孔子や成城側の風評を情報操作するために魯城内の巫などが追放され、伯牛に治療を施していた医げいも追放されそうになる…といった、話も挿入される。そしてクライマックスが子蓉と成軍(+悪悦)の尼丘攻撃となる。 この3巻は長いとはいえ、ストーリーが起伏に富んで読みやすかった。医療物がすきなせいか、医げいが伯牛に体内のムシを吐かせる場面はかなりグロいが面白かったし、孔子の母、顔徴在の神がかりした場面も良かった。が、一番求心力が強かったのは、おそらく全編を通じてのクライマックスであろう尼丘山攻撃だろう。子蓉の残虐さとその後の女予を伴った場面、成軍と顔氏の術師たちの死を賭した場面はあっと言う間に読んでしまった。でも、いま気づいたがまだ顔回の活躍がこのあたりでは目立たないので、次巻以降さらに盛り上がるのかな? とりあえず、あと12巻と13巻を残すのみとなった。頑張ろう。
April 14, 2010
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虚栄の肖像北森鴻文藝春秋 四六並製☆☆☆☆☆ 花師(多分生け花を生ける人だと思う)であり絵画修復師である佐月恭壱(さつききょういち)が主人公の絵画修復を巡り胡散臭い事件が起こるミステリ。殺人が絡むわけではなく、少々危ない事件がらみであっても、謎解きは主人公が修復をするために、その絵画の画材や来歴を推理していくのが主。もっともそれを巡る人々の過去や謎にも触れていくことになるが。また主人公に仕事を依頼する人物の一人として女性旗師(店舗を持たない骨董商)が登場する。他のシリーズでもおなじみのあの人物だ。今回、彼女は名前すら出てこないが、一見の読者ではない限り、すぐ分かると思う。 この小説では、登場人物に感情移入するとかキャラの面白さにつられて、ということではなく、絵画修復に関する薀蓄が面白かった。特にレオナール・フジタのことが書いてあったので、彼の絵は結構好きだが、あまり勉強する気のない私にはありがたいマメ知識が得られたと思う。まあ、登場人物、特に主人公の活躍や人間関係を目当てにはちょっと読みにくいかな。本人はモサい中年男のつもりで、熱心な隠れファンの女性がいる、というかなりなありがちパターンだから。ただ、主人公の父親のためだけに額縁をつくり、父親の死去だか業界からの追放以来、額縁作りを放棄した職人や、主人公の片腕的な(女好きで酒好きの)爺さんと主人公の父親とのつながりはちょっと心惹かれるが、短く言及されてるだけだし。 どうも書き方からして、続巻なり前巻なりがありそうだ。探してみよう。…って今調べてみた。前から気になっていた「深紅のガランス」の続巻だったんだ…! この著者の方はまだ40代の若さで先日亡くなったそうだ。民俗学のフィールドワークに題材を採ったシリーズが特に好きだった。もう新刊が読めないのは寂しい。 末筆ですが陰ながらご冥福をお祈りします。
April 13, 2010
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八号古墳に消えて黒川博行創元推理文庫☆☆☆☆☆◎ 1988年単行本初版、2004文庫初版。が、良い意味でオーソドックスな警察が犯罪調査をするミステリなので、科学捜査の技術革新がよく分からない身には、携帯電話が出てこないのに時代を感じつつも、あまり古い感じがしない。そうそう、関西の交通網に触れられているので、土地勘のある人が読んだらあるいは、ここにはバイパスができた、とかあるかもしれない。 発掘中の古墳で責任者の大学教授の死体が発見される。が、状況が不自然ですぐに殺人と断定され、大阪府警の黒木・亀田の通称「黒マメ」コンビが捜査にあたる。この二人、特にマメちゃんは怠けつつも意外と優秀な刑事。ちょっと「ハンチョウ」シリーズの須田をキャラが似ているが妻帯しており、一戸建てを夢見ている。一方の黒木は独身。作中「金払わずにHしたことない」とかアホなことを口走っている。彼らの捜査中に更に発掘現場では死人が出たり、手がかりを握っていそうな人物が失踪したりする。そして、その一つ一つに推理を働かせ、ややこしいトリックを明らかにしていき、関西考古学界の旧弊な体質の中、犯人を追い詰める。 関西の土地の描写が面白いのと、吉本か、と言いたくなるような関西弁のやり取りが楽しい。この作品では歴史ミステリではないが、さらに古墳まで出てきて読んでいて楽しかった。他にシリーズが出ているようなので読んでみよう。
April 9, 2010
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内藤みか技術評論社 B6並製☆☆☆ 図書館で借りて、電車の中で南砂町ー中野、新宿ー南砂町の電車の中で全部読み終わってしまった。 最近、ツィッターのアカウントを登録したので、使い方を知りたいと一番予約者数の少ないこの本を図書館で借りた。が、実際の画面を紙面にレイアウトしてマニュアル的に書いてあるのではなく、よく言えばエッセイ調で(悪く言えばどっかの主婦がお友達相手にファミレスでしゃべっているような感じで)書いてあるので、かなり内容が薄まっている。それに、どんな人をフォローするのかより、画面上のボタンにはどんな機能があるのか知りたい人間に向いている本ではない。ハッシュタグの使い方や140文字のツィッター小説は興味深いが、もっとマニュアルっぽい本の方がいいなぁ。だいたい、フォロワー(自分のツィートを見てくれる人)の増減でどーでもいい情報のシャワーというか洪水を楽しむのもいいけど、書いてあることも大体、ネットの掲示板で用が足りることばかりで、2でできるぞ、この程度のこと、と思ってしまった。この本を読んでいると、フォロワーの選び方とか、機能などで、確かに参考になる記述もあるのだが、そんくらいパソコンでちょちょっと調べられるじゃん、みたいなことも多い。 それに、ツイッターはモバイル対応できないと効果は半減というより、殆どないんじゃないかな。iPhoneが便利らしいけど、私は猿の蚤取りさながらに職場でひっきりなしにiPhone弄ってるのもどうかと思うという人間で、そういう使い方の第一印象が悪かったので、イマイチピンとこない。ただ、私は海外のツイートが見たいので、別にパソコンで偶に携帯から書き込みでもかまわないんだけど。 この本を読んで、ツイッター小説は読んでみたいと思ったし、こんなことができる、というのが幾つかわかって参考になったのは良かったけれど、この著者に合った使い方を参考にできた程度で、私自身にあった使い方が分かったかというとそうでもなかった。自分自身用の使い方を掴むにはニュートラルにマニュアルのような書き方の本の法が良かったような気がする。 この版元、以前図版もかなり盛り込まれたレアメタルの本が詳しくてよかったような記憶があるのだが、こういう内容の薄い本も作ってるんだなあ、とか思ってしまった。
April 6, 2010
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花妖譚司馬遼太郎文春文庫☆☆☆◎ 司馬遼太郎が30代の頃に福田定一名義で生け花の雑誌に連載したのが初出らしい。 淡々とした文体で花にまつわる幻想的な話を集めた掌編小説集。本文部分はたったの138ページだし、活字も大きい。タイトルは「森の美少年」「チューリップの城主」「黒色の牡丹」「烏江の月~謡曲『項羽』より」「匂い沼」「睡蓮」「菊の典侍」「白椿」「サフラン」「蒙古桜」。ギリシャ神話と日本の伝説、中国の伝説に中東の伝説などが題材。 個人的には花がネタならもう少し色っぽく妖しい方が好みだが、書かれた時代のせいか、堅苦しい漢語も多く、何となくイマイチ。そっけない書き方だし、話の通らない話も多いので、もう少し不気味さが出ていれば新耳袋みたいな感じもしなくもない。 司馬遼太郎を読むのは初めてだが、この本はこの人の著作の中でも変り種っぽいなぁ。大体、30代で花の妖しい話は官能小説でもない限り、若書きのような気がしなくもない。
April 6, 2010
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酒見賢一新潮文庫☆☆☆☆○ この3巻で、孔子の費城を巡る攻防と魯城の民衆が引き起こした暴動、そして、子蓉の呪い(字が機種依存文字なのでこっちの言葉に言い換える)により、暴動の中心人物となった挙句、衰弱した女予が尼丘山で医である医げい(げいの字も機種依存文字だろう…もう探す気力もない)治療を受け、そのために顔回が九泉(=黄泉)に行くというストーリー。八巻末には南伸坊さんによる雑誌掲載時の口絵がある。 とにかく、説明の部分が長くて難しい。7巻からは活字が大きくなったので少し読むのが楽になったけど。ストーリーが語られる場面は割りと読みやすいのだが、そこはあっという間に読めてしまうので、ひたすら説明部分を読んでいくことになる。これがもう少し読みやすいといいのだが、そうはいかないかな…。特に孔子が政略を行っている場面の読みにくいこと。顔回が出てくると正直ほっとする。それでも、結構話はややこしいのだが。とはいえ、つい顔回を気にかける女性陣が面白い。宿敵ともいえる子蓉にいたっては、顔回が自分に靡かないため、却って惹かれつつ、あまりにつれないので、「受けもの」などと罵るし、気の荒い女神祝融も厳母というか烈母というか猛母のように、九泉で危なっかしい顔回の面倒見てるし…。それにしても子蓉の罵り方には、孔子の存在と描写の仕方もあいまって、ちょっと違う本を読んでいる気分になったなあ…。まあ、このあたりで、何とか久しぶりに内容の固いこの本を頑張って全巻読破しようという気力を保たせてくれることになった。 にしても漢文の時間の論語の中の孔子とはイメージが違いすぎるって。あと、史実では夭逝している顔回の今後が気になるのだ。
April 5, 2010
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三津田信三角川ホラー文庫☆☆☆☆☆ 死相学探偵の第三弾。タイトルは「むこのからだ」。しかし…むこの「こ」は虫が三つに下に皿、体は躯の旧字体「区」の字のメの部分に口が三つ入る。多分むこの「こ」の字もからだの「躯」の旧字体も機種依存文字になって入力できないに違いない…。ちなみに「躯」は「むくろ」と打つと新字体は出てくる。「こ」の字は最近、「陋巷にあり」でもやたらと出てくる文字だったりする。 第三作目になって、シリーズものらしく、新しいレギュラー候補になりそうな登場人物も出てくるし、主人公の過去を知っていそうな人物や、これからの「敵」になりそうな存在も出てくる。また、著者のもう一つのシリーズものと地名や登場人物の名前が重なっていて、これがどうなっていくのかも楽しみだ。このシリーズは割とライトノベル風の話ではあるが、夜一人で読んでいると怖くなってくる。特に今回なんて、私にはまず関係なさそうなのに…。というのも、今回は若い女性が被害者の残虐な連続殺人が起こる。これは犯人が女性達の体の一部を使って理想の女を作る、という気色の悪い話になるのだが、当然「理想」なので、私なんぞ全部から外れている。でも読んでいるとちょっと怖くなってくるのだ。それというのも、女性達が被害にあった人気のない夜の道の描写が手馴れていて怖いせいだろうか。 また主人公と彼を取り囲む人々とのやりとりがどんどん楽しくなっていく。ガラの悪い刑事が猫が好き、とか結構楽しい。作中これまでさほど触れられていなかった、怪奇小説への造詣も登場人物の口を借りて出てき始めた。名前が出てきた"Uncle Straub's Tales of Terror"は実在しているかどうか分からないが、モンタギューおじさんの怖い話という子供向け小説(ジュブナイル?)は今ちょっと密林書店を検索しただけで出てきた。ホラー映画にはあまり興味が無いが、ホラー小説やオカルト小説は嫌いではないので、ちょっと読んでみたい。
April 1, 2010
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