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【送料無料】記録の中の殺人石崎幸二講談社ノベルス☆☆☆☆ ヒマな会社員石崎幸二と、彼が顧問を務めるミステリ研究会がある桜藍女子学院高校(かなりなお嬢さん学校っぽい設定だ)に通う女子高生ミリアとユリ(彼らがミステリ研究会の部員でもある)が事件を解決に導くシリーズもの。の多分第三弾くらいだと思う。女子高生を狙って左足と左腕を切断してバラバラにして放置する連続殺人が発生。その中石崎とミリアとユリは友人に招かれて、彼女の家の別荘がある新潟の島に行く。そしてその島でも殺人事件が発生する。猟奇的な連続殺人の犯人と島で彼らが巻き込まれた殺人事件と双方が、彼ら三人のボケとツッコミの会話から解決に導かれる。ちなみに関西が舞台ではない。東京近郊っぽい感じだ。軽妙な会話でストーリーが展開されるのはいいのだが、もう少し彼らの周囲の様子が詳細に生活感を出して書いてあるともっと好みだった。事件の設定自体は説得力があるのだが、会話が軽すぎでもう少しじっくり書いてあると嬉しかった。というか会話が長すぎて読んでいてちょっと飽きてしまったのだ。普通のミステリの文章なら二段組にする文字数にならなかったと思う。
December 29, 2010
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ヨコハマベイ・ブルース香納諒一光文社文庫☆☆☆☆☆◎ 初めて読んだ著者だが、かなり好み。ヨコハマを舞台に表向きに出来ない事情で警察をクビになった元マル暴の刑事、流一(ながれ・はじめ)が、元凄腕の興行師で、今はワケあり・やばい系の金儲けをする何でも屋で、かつては逮捕しようとしていた在日朝鮮人の金円友に雇われ、彼が依頼を受けた事件を調査に当たったり、解決したりする。金はいくつもの職業を表向きに名乗るが、そのうち表の顔に近いのが探偵事務所社長なのだ。本のカバーには「連作推理小説」となっているが、捜査は足と情報網で主に行われ、名探偵よろしく長々と推理を披露することはない。また登場人物は共通しているがストーリー相互に繋がりもない。そして、その登場人物にも一般の人は殆ど登場せず、胡散臭い主人公とその相棒に、ヤクザの幹部、彫師、浮浪者でノビ(盗みの常習犯)とその周囲も胡散臭い。だが、彼らそれぞれに人情味があって読んでいて安心(?)できる。 推理小説といっても、ロジックを弄する類のものではなく、ハードボイルドに近い感じだが、雰囲気が好きだ。他の本も読んでみよう。というか、この二人のストーリーはもうないのかな?
December 28, 2010
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オスカー・ワイルド国書刊行会 223x120mm 並製☆☆☆☆☆ 「バベルの図書館」と銘打ったシリーズの中の一冊。このシリーズの詳しいことが分からないのだが、作品の選定はホルヘ・ルイス・ボルヘスが行ったようだ。本の表紙には"La Biblioteca di Babele", "collana di letture fantastichediretta da Jorge Luis Borges" となっている。シリーズ自体は図書館や書店で見かけたことがあったが、本を読んだのは初めて。これはオスカー・ワイルドの短編と童話で表題作「アーサー・サヴィル卿の犯罪」「カンタヴィルの幽霊」「幸せの王子」「ナイチンゲールと薔薇」「わがままな大男」の5編収録。前の2編が(多分)大人向きの短編小説であとの3編は童話。私は正直表題作が一番ワケがわからなかった。上流階級とその神秘主義というか迷信や占いへの揶揄なのかなぁとも思えるがよく分からない。次の「カンタヴィルの幽霊」が一番好きだ。こちらは金に飽かせて英国内の不動産等を買いあさり、即物的なアメリカ人への風刺なんぞもこめられているが、それ以上に所謂イギリスお家芸ともいえそうな「ゴシック小説」を茶化しているのでそちらのが笑える。でもラストはいい感じだ。真っ当といえば真っ当な終わり方だから、多少ヒネリがほしいような気がしないでもない。面白かったことは面白かったが、ジェーン・オースティンの方が風刺が上手いと思う。(彼女はワイルドほど上流階級の風俗を軽蔑してないと思うが) そして後三作の童話のうち、「幸福の王子」は有名だが、次の「ナイチンゲールと薔薇」もストーリーに読んだ覚えがある。「わがままな大男」は初めて読んだ。「幸福の王子」と「ナイチンゲールと薔薇」はなんだか、ワイルドの嗜好を知っている今となっては、あまりに寓意的過ぎて読んでいて微妙な気分だ。ただしそのお陰で、私はもともとこの二つの小説のような主人公が報われない献身の末に儚くなる話は好きじゃないのだが、少し嫌悪感が和らいだかもしれない。「わがままな大男」は逆にほのぼのした童話らしい話だと思う。スレたオバさんの穿った見方をすれば、ワイルドの童話は子供向きにしては毒気が強いが、「わがままな大男」はさほどではない。 ワイルドは「サロメ」しか読んだことがなかったが、他の小説も読んでみたくなった。
December 27, 2010
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沙羅は和子の名を呼ぶ加納朋子集英社 四六上製☆☆☆○ 短編集。「黒いベールの貴婦人」「エンジェル・ムーン」「フリージング・サマー」「天使の都」「海を見に行く日」「橘の宿」「花盗人」「商店街の夜」「オレンジの半分」「沙羅は和子の名を呼ぶ」の10編。この著者の本を読むのは初めて。 私小説のような繊細な文章が気に入ったのと、ミステリだと思って図書館から借りてきたのだが、ミステリ小説ではなく、ちょっとだけミステリアスな小説だった。気に入ったのはシャッター街のシャッターに描かれる雑木林が不思議な「商店街の夜」とパラレルと現実の世界で起こる事件を現実の世界では生まれるはずのなかった女の子を仲介として淡々と物語る表題作。だが、あとはあんまり好みじゃない。ちょっと不思議な話ではあるけどミステリではないし、あんまり怖くもないし淡々と、私個人の純文学というイメージからすると、あっさりしている。いかにも女性が書いた小説って感じだ。小説の中で扱われている内容もフェミニンだし。しかもなんとな~く展開の見当がついてしまったり、結末まで読んでも予定調和という感じがしてしまった。普段あまり本や小説の類を読まない女性や「乙女」な小説好きな人が読むにはいいんじゃないだろうか。あとは男性が読んだら目新しい気分がするかもしれない。ミステリだったら良かったんだけど、ミステリじゃなかったから、正直、少々期待はずれだった。
December 26, 2010
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【送料無料】カンナ(奥州の覇者)【送料無料】カンナ(戸隠の殺皆)【送料無料】カンナ(鎌倉の血陣)高田崇史講談社ノベルス☆☆☆☆☆ また三作連続で読んだ。ネタバレ部分は背景色と同色になっています。*奥州の覇者 鴨志田甲斐は実家の神社の伝わる社伝を盗んだとされる年上の幼馴染で失踪していた、早乙女諒司から連絡を受け、水沢へ。そこは桓武天皇の時代、坂上田村麻呂と蝦夷の族長アテルイの因縁がある土地柄だった。 ここでもまつろわぬものvs大和朝廷という戦いの構図は変わらない。しかも神代の伝説から何も変わることなく、アテルイ達は田村麻呂に謀殺されたのだろうという。田村麻呂に都まで連行されたアテルイともう一名が都に挨拶だけすればいいと思っていたら、田村麻呂の命乞いにも関わらず殺されてしまったというのは、私も知っていたし、これはどー考えてもウソ臭い。この権謀術数が先の第二次大戦の時にもあれば、負け戦でももう少しマシな戦だったかもね。 そして、甲斐の実家の社殿を巡りそれを付けねらう波多野村雲流だけでなく出羽三山が背後にいるらしい修験も関わってくる。歴史の裏事情を巡って現代の忍び達の戦いが繰り広げられるのだ。そういえば、昨今外交文書だの一般公開禁止の動画だのが公開されて大騒ぎになっているが、ここでは千数百年前の政治機密の漏洩がモンダイになっているのだ。社伝の盗難はそれを持って逃げている諒司にも何か事情がありそうだし、歴史の裏に潜む忍者達の複雑なネットワークがどう絡むのかこれからの展開も楽しみだ。また、巻末付近でQEDシリーズの主人公タタルと奈々が出加茂神社を訪れるシーンが甲斐の視点から書いてあった。*戸隠の殺皆 これも剣呑なタイトルだが、アクションは激しいものの、あまり血なまぐさくない。歴史関係も甲斐たちが遭遇する事件も。だからといって人死にがないわけじゃないんだが。戸隠の神社に関わる謎や戸隠の伝説についての話も出てくるのだが、こちらのシリーズではどうしても薀蓄が薄味になってしまう。それにここはQEDでもタタルが興味を示しつつ出てきてないし。だが天照大神の天岩戸の描写は確かにこの本に書いてある通りかも。そして、前巻より盗まれた社伝を巡る組織の暗闘があからさまになってくる。甲斐の婚約者聡美の祖父や甲斐が憧れる諒司の妻志乃芙の父が背後で組織の糸を引いているようなのだ。でも、これを読んでいて戸隠にも行ってみたくなった。*鎌倉の血陣 ここでこのシリーズの既刊は全部読破。甲斐は婚約者の聡美と鎌倉でお茶会に招かれる。しかし、そこでは主催の家元が殺されてしまうのだ。それに鎌倉幕府を巡る謎が語られる。「いざ鎌倉」の解釈はかなり面白い。それに北条政子と源頼家・実朝との関係もここに書いてある通りだとわりとしっくりくるのだ。またその推測が現実の事件にも重なる。諒司も出てくるのだが、どちらかというと彼は怪しげなのに危ないときは甲斐の味方のようにも見える。この回はあまり社伝盗難には関係なさそうで、甲斐と友人達の危機を察した諒司がお節介をしにきたようにも見えなくもない。また、棚旗奈々が「北鎌倉の夏」にも出てきた友人の中村晴美とともに登場する。そこで奈々の語る御名形史紋のことが、師事しようと思っていた先生の学説の変節で大学休学中した貴湖に大学に戻る決心をさせることになる。こういう登場人物同士の関わりってシリーズ読者にはとても楽しいので、今後もこんな記述が出てくるのだろうか?
December 23, 2010
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【送料無料】長い廊下がある家有栖川有栖光文社 四六上製☆☆☆☆☆ 作家アリスと火村のシリーズで「長い廊下がある家」「雪と金婚式」「天空の眼」「ロジカル・デスゲーム」の4作の中・短編集。それぞれ趣向が凝らされていて面白い。いかにも「新本格」といった趣なのは表題作だが、ほのぼのとしているのは「雪と金婚式」、この著者の作品自体に珍しいのが「ロジカル・デスゲーム」、「天空の眼」もちょっと変わった条件下でのストーリーだ。でも、「廊下」は「廊下」かなぁ?なんか地下通路って気がする。どれも好きだが、一番好きなのは「天空の眼」かなぁ。とある一文がと~っても気に入ってしまったのだ。あと、アリスの日常の行動パターンが出てきて、大阪市内の交通の接続や地理が面白い。ただ出てくる姫路の建物の様子がよく分からないけど。そして、「ロジカル・デスゲーム」の中の確率はやっぱり分かったような分からんような……。 火村とアリスのシリーズはトリックが面白いのはやっぱり短編の方だろうか。長編はやっぱりストーリーの展開と火村とアリスの日常の様子が描写される割合が増えるところがいい。早く長編の新作も出ないかな。
December 23, 2010
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もとはしさとこ新風舎 190mmx264mm B5上製☆☆☆☆☆◎ 下で「暮らしの40のルール」を書いていた金子由紀子さんがウェブサイト"All About"のシンプル生活のところで紹介しておられた本。 文章は最初の「ある晴れたにちようび」というところだけで、あとは台詞も一切なく延々と汚部屋と化している自室の掃除の様子。この7月に汚部屋の大掃除を敢行したので、かなりリアリティを感じつつ、わが身に置き換え楽しく読んだ。最終頁にはこの汚部屋のどこに何が散乱していたのかがイラストの上からトレペで印刷されているので、色々見比べたり、途中頁を眺めつつ、「これなに?」と思ったものを確認できる。ちなみに、読み聞かせ(文章なんか一文しかないって)なら5歳以上、自分で読むなら「だらしない成人」というのがいい。全くその通りだ。古書店では値段が高くなってるし、文京区まで電車で行って図書館で借りてきたのだが、児童書のコーナーにはなかったし、大人のための絵本だと思うが、子供と一緒に散乱していたモノがどう収納されていくのか見ていくのも面白いかもしれない。
December 18, 2010
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暮らしが変わる40の習慣金子由紀子リヨン社 B6並製☆☆☆☆ 掃除・片付けのやる気を出すために読んだ。某掲示板でよかったと書いてあったし。 著者が暮らしの上で習慣に、そして内容によっては指針・信条にしている40のこと。本の最初にある「はじめに」という部分でよい習慣とは、という項目がとても参考になる。そして40の項目についても、年齢が比較的近いせいか私自身も似たようなことやってるなぁというのもあれば、耳が痛いことも、いいアイデアだなと思うこと、一部にはそこまでやらなくても…と思うこともあった。特にちょっと嬉しかったのは旧暦のカレンダーをトイレに貼っているということ。これ我が家と一緒。ちなみに我が家では正面が旧暦カレンダー、座っている横には元素の周期表のポスターが貼ってある。 「はじめに」のところに書いてある習慣は10日~20日で身に付くようになる、という一文。これは今後、自分が何か自分に課す時の参考にしよう、というか、コントラバスのおさらい、「最低週3日はさらう、というか5分でもいいからるぷなに触る」というのを2週間を目安に続けてみるとか?(こんなんでもなんかムリっぽいぞ……)そのためには「1つ得るために1つ捨てる」?これ難しそうだ。練習に重ねるなら「夕食後ダラダラしない」ということになりそうだから。。。。 第一章でもなるほど~と思ったのは、資本主義社会において消費は投票の意味を持つ、ということ。そうだね。特に食品で、なるべくフェアトレードや地元に近いものを買う、というのはすごく大事なことだと思う。(ちょい割高感は否めないけど) 第二章「見晴らしのいい部屋を作る」は特に参考になった。「床の上にモノを置かない」「畳む・重ねる・揃える」「収納はぎっしり詰め込まない」「捨てるモノを探すクセをつける」あたりは汚部屋に逆戻りしないために、すぐにでもできそうなことだ。特に座右の銘にしたいのは「床の上にモノを置かない」だね。あと「寝る前・出かける前の5分の小片付け」というのもあるんだが、これはマメじゃない私には難しそう……。でもこういうプチプチな掃除や片付けがとてもよい習慣になるというのは、別のところでも読んだ。これ2週間やれば綺麗好きになれるかな? 逆に私には絶対ムリ、というのは「モノをだぶらせない」という項目。ワインもコーヒーも同じカップって私にはムリ。お気に入りのお酒はお気に入りの赤膚焼きに奈良絵のぐい飲みやカップで飲みたい。譜面台だって、居間のるぷな(コントラバス)用と自室のれーま(ライア)用にそれぞれ譜面台欲しい、とか思ってるし、実際メトロノームやチューナーは自宅用と練習先用を持っている。 そういえば、著者は「迷ったら模様・色のないシンプルなものを」と書いておられるが、本の体裁は可愛らしい。な~んか主婦が好きそうなデザインだ。中身も活字がびっしりではなく、ほどよい大きさの字だし、イラストが挿入されてるし。文章自体は決して(このブログのように)だらだらと非論理的かつ自分の感想と事実をごっちゃにして書いてあるわけではないのだが男性読者を想定しているとは思えないブックデザインだ。まあ、特に中年以上の男性はこんな風な書き方になっている本より、もっと理屈っぽく(同じことが)書いてある本の方がアタマに入りそうだけど。こういう体裁の本を手に取って電車で読むのは恥ずかしいだろうけど、一人暮らしを始める若い男性にもいいんじゃないかな。 一晩で読んでしまったが、とても参考になるところがあったし、何よりも↓まで読んでいた本が中々日本史のややこしい本だったので、非常に有効なアタマの切り替えになった。込み入った内容の本の次はこういう本って、私のような身の回りのことが皆目ダメな人間にはいいなぁ。今後もやっていこう。
December 17, 2010
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【送料無料】QED~flumen~九段坂の春QED諏訪の神霊QED出雲神伝説高田崇史講談社ノベルス☆☆☆☆☆◎ これでQEDシリーズは既刊全部読んだことになる。3作一気に読んだので、感想も一気にまとめる。ちなみに、ネタバレ部分は例によって背景色と同色に。*~flumen~九段坂の春 短編集。「九段坂の春」「北鎌倉の夏」「浅草寺の秋」「那智瀧の冬」の連作短編集。春はタタルが中学二年生の頃の話。夏は奈々が高校生、秋は熊つ崎が大学生、冬は毒草師の御名形史紋が大学院生という時系列になっており、QED本編第一作より前の時代の話。一作一作は短編のせいかちょっと薄口に感じるが、最後に全てが繋がる見事な連作になっている。そして、このシリーズらしく、古典、日本史、毒草に空手まで加わった薀蓄が楽しい。また、カンナのシリーズで重要人物になりそうな人物がところどころに顔を出している。QEDシリーズの入門にもいいかもしれない。でも、発表順の方が楽しめるかな。*諏訪の神霊 九段坂の春でもちょっと顔を出し、「カンナ」の主人公鴨志田甲斐の兄、鴨志田翔一が登場する。諏訪神社の御柱祭を題材に諏訪神社2社の謎とそれに絡む連続殺人について。シリーズ中屈指の血なまぐさい内容。殺人も神社の謎も。特に神社の祭礼の謎については、これホントに日本?シヴァ神かドゥルガー女神の祭礼じゃないの?ってレベルの血なまぐささだ。国譲り神話はちらっと内容を知っているだけの私でも怪しげ~と思うけど、怨念の深さも怖い。これはこれで、日本人のルーツにまで関わるネタになりそうで興味深いところだけど。また、諏訪上社の本宮の拝礼方向の変更にどーも甲斐武田家が絡んでいそうなのも、武田贔屓としてはちょっと面白い。 そういえば私も数年前諏訪神社2社に行ったことがあるのだが、その時の記憶が殆どない。神社に関心がないのに同行した母親の方が覚えているくらいだ。なんでかな~?*出雲神伝説 ついに日本の大きな謎、出雲神話が登場。諏訪は前振りみたいな感じだ。でも、まだ少し喰い残しがある感じがする。それが「カンナ」シリーズに繋がるのかな。~flumen~出雲大遷宮が巻末に併載されている。 でも、出雲といっても島根県の話ではない。タタルや奈々達が巻き込まれたのは奈良での連続殺人。それには「出雲神流」という幻の忍者集団が関わっているようで…?京都や奈良に「出雲」の地名が残り、「出雲」の名を冠した神社があるということから、出雲王朝の移動をほのめかす。私が前に読んだ梅原猛氏の学説ともちょっと違うと書いてあったが、島根と京都・奈良に出雲の地名がそれぞれ残っていることについて、歯切れいい説明にはなってないように感じた。この作品で「那智瀧の冬」に登場した五十嵐彩子とその母親弥生が登場する。また、作中タタルが出賀茂神社を訪れる場面があるが、そこに甲斐とほうろくもゲスト登場している。 また、出雲神伝説より9年後の2008年、島根の出雲大社の遷宮を観に行くという、タタル、熊つ崎他のエピソードの~flumen~出雲大遷宮も面白い。熊さんがいつのまにか結婚して子持ちになってるし。でもタタルと奈々のその後はわざとだと思うけど書いてないし。 この後の展開は「カンナ」になるのかなぁ?「九段坂の春」ではタタルが日本史上の超有名人物聖徳太子について興味を示してないという伏線らしき一文もあったし、出雲神流なる怪しげな忍者集団が出てきている上、意味ありげな女性も出てきたし、今後の展開も楽しみ。
December 16, 2010
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縄文人は飲んべえだった岩田一平朝日新聞社 四六上製☆☆☆☆☆ 専門書だと思ったら、朝日グラフだか何だかの雑誌に掲載されたものに大幅加筆しての本。1992年初版。ハイテクを用いた新しい視点での考古学への考察。この当時のハイテクかな?今は新しい学説が出ているかもしれない。手法は今となっては聞いたことがあるものが多い。 各章は日本人の遺伝的成り立ち、日本語の成り立ち、縄文時代、弥生時代、古墳時代と順を追って、実はこの時代こういうことがあった。。。と主に環境考古学の研究結果をもとに、これまでの通説を覆す考察を行っている。 でも、読んでいて思ったけど日本人と日本語って結局極東の吹き溜まりにできたってことだね。特に日本語の成り立ちがトーク・ピジンと呼ばれる奴隷船の中で使われた言語の成り立ちに近いのではという説は面白かった。奴隷船の中で共通言語を持たない奴隷達が看守の言葉、英語などの基本単語を拾って共通語にしたというもので、文法は物凄く単純そうだ。そして、その文法は奴隷達の言葉、語彙は看守の言葉ということになる。ちなみに日本語は文法は北方語系、語彙は南方だそうな。これは、環境考古学により寒い気候の時期に北方から来た人々に対し、南方から来た人々が稲作を教えた結果ではないかとしている。 他にも丹と邪馬台国の関係(私はあまり賛同できないけど…)、日本酒と下戸の遺伝子の関係、イイダコ壷と巨大古墳と環境考古学との関係はとても面白い。また、この本でも欽明天皇の陵墓かも?みたいな巨大古墳の中で、古い欽明天皇っぽい柩が手前、奥の方が蘇我馬子とは姉妹の堅塩媛の柩ではないかとされている。この古墳、堅塩媛を葬った時に改築したらしいので、そのせいかとされているが、一般的には追葬された方が手前になるものだ。。その方が運搬もラクだろう。これを読んでちょっと思ったのは、先日、蘇我氏が本来天子のみが行う儀式を行ったという記述を読んだ記憶があること。私たちが今想像するよりも蘇我氏の権力は強かったのかもしれない。ま、関係ないかもしれないけど。 また、下戸の遺伝子は中国で現れ、主に東アジアでみられるようだが遠くはハンガリーくらいまでほんの僅かだがみられるそうな。そして、弥生人によって稲作・日本酒作りとともにこの遺伝子がもたらされたらしい。面白いもんだ。あとフィンランドのデータも見たいかも。 どれも平明な文章で書かれていて、かなり読みやすい。一度、一般人向きに遺伝子や環境考古学をもとにして古代日本を考察した文章を読んでみたかったので、ちょうどいい本を手に取ったと思う。
December 10, 2010
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【送料無料】葬られた王朝梅原猛新潮社 四六上製☆☆☆☆☆ この人の説はベースにした歴史推理小説なんかで随分お目にかかったことがあったのだが、著書を読むのはまだこれで二度目。近所の図書館が館内整理で3週間借りられるので借りてきた。本当は「隠された十字架」の方が読みたかったんだけど、そちらを取り寄せてもらう時間がなかったのだ。 著者がかつてフィクションだとした記紀の出雲神話をなんらかの史実の反映だとする視点に転換することから始まる。自著の「神々の流竄」で出雲神話をフィクションとしたことから批判とのことだ。実際、かつては強力な権力者の存在の証拠となる遺跡がないとされていた山陰地方で、荒神谷遺跡などから多数の銅剣や銅鏡などが発見されたのだ。そしてそれは「神々の流竄」が上梓された後だった。 この本では、出雲王朝の始祖をスサノオとして、その中興の祖ともいうべきなのが、オオクニヌシという捉え方をしている。スサノオは銅鐸の原型を朝鮮半島で当時の貴族階級が馬につけていた馬鈴ではないかという推測から、朝鮮半島から渡来した君主ではないかと推測している。また、オオクニヌシについては、女性の助けを得易い、白面の(若い頃は)割と人当たりのいい人物だったのではないかとしている。確かにその通りなんだけど、1つの疑問。 では、オオクニヌシの正妻、スサノオの娘とされるスセリビメの出自は?ということ。兄達の迫害を逃れて根の国(黄泉の国)に行ったスサノオが連れてくるのがスセリビメだ。彼女の出現で、兄達に迫害されるきっかけになった最初の奥さんヤガミヒメは彼女を恐れて(オオクニヌシの不実を怒ってかもしれないけど)国に帰ってしまう。で、スセリビメと一緒に持ってきた武器で兄達を追い出して政権をモノにするわけだ。オオクニヌシを実在とするなら、スセリビメの出自が当然気になる。おそらく彼女の実家の力もあって、オオクニヌシは政権を奪取できたのに、まさか、黄泉の国からきた嫁ってことはないだろう。ゾンビの娘と結婚できるかい。オオクニヌシの相聞歌でも「(征服した各地で)地元妻を作るけど、彼女達の作る服は自分には似合わない、キミの作った服が一番だヨ」とご機嫌とりの歌が残っていて、梅原氏も「正妻の正しい扱い方」なんて書いておられるのだ。でもそれについては、この本、一言も触れてないんだよね。ちょっと気になる。単純に同族の大家ってことも考えられるけど。 実際にフィールドワークをして書き上げられた本だが、伝説に縁のある各地の神社やその周辺の写真も著者近影も入ってカラーで沢山挿入されているし、文体も平易で私のような素人にもとっつきやすい。 また、この出雲王朝の姿を古事記の中に巧みに隠して編集したのは誰か?ということになって、稗田阿礼を藤原不比等ではないかと推測し、元明・元正の両女帝の時代に編纂された記紀という日本の歴史書は実際に編集したのは彼だったのではないかとしている。竹取物語の中も不比等の姿があるのではと指摘している。出雲神話についての記載は、似たような記述を今までも読んだことがあったけど、不比等については、ちょっと興味が湧いてきた。つか、ここにも「女の後ろ盾で政権を奪取した男」がいるじゃん。この本の論旨とは真逆だけど、持統・元明・元正の三人の女帝と不比等、オオクニヌシとサシクニワカヒメ(母)・スセリビメ(正妻)他の関係を考えるとちょっと面白いぞ。でも、結局は権力のある女を味方につけた男が一番強いんじゃないのかね。
December 9, 2010
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カンナ(吉野の暗闘)高田崇史講談社ノベルス☆☆☆☆☆ 今回はサブタイトル通り吉野。数年前の夏に行ったな~。作中「夏もよさそうですね」という台詞があるが、やめといたほうがいいと思う。私が行った時、山の上だというのに、京都市内より蒸し暑かったから。 テーマは役の小角と金山。吉野って金がつい最近まで取れたらしい。また、小角の従者、前鬼・後鬼を夫婦ではないかと推定して「山は金気と女を嫌う」という俗信に異を唱える。でも、前鬼・後鬼が夫婦って仮定の根拠がちょっと知りたいかも。あと水分神社の「水」は何か、とか吉野の鉱山の実権を握っていたと思われる小角の追放の理由は何故か…などなど、他にもあるが、読んでいて引き込まれた。やっぱり奈良好きなんだな、私。また、今後の展開への伏線も現れてきているので、続巻が楽しみだ。今回もミニチュアブルテリアのほうろくクンは大活躍。このコの活躍も楽しみ。でもしばらくはこのシリーズはお休みで、歴史系の専門書を読むことになる。これを読み終わったら、またこのシリーズを再開だ。
December 2, 2010
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カンナ(天草の神兵)高田崇史講談社ノベルス☆☆☆☆◎ 実家の神社の盗まれた社殿とそれを盗んだらしい兄のようなご近所さん諒司を探すシリーズ。今回、それらしい人物が天草に現れたという情報を得て、主人公の鴨志田甲斐と東大生(休学中)巫女の中村貴湖、前作で出てきた柏木竜之介、そして鴨志田家の愛犬でミニチュアブルテリアのほうろくが天草に飛ぶ。 ここで、天草四郎の正体や島原の乱の意味を勉強しつつ、諒司を探すが、彼は見つからず、また、地元では彼が関わったとも考えられる殺人事件が発生する。それは、過去の悲しい出来事から起因したものであるが、隠れ切支丹とも関係が深かったこの地方の教会などには、忍者屋敷さながらに隠し部屋などもあったり、天草本ローマ字(ポルトガル語を元にしたローマ字標記の日本語)で天草四郎の名前を読んでみると……といった面白い指摘がある。ただ、殺人の方はちょっと単純な解決だったし、天草四郎の正体もちょっと論拠が寂しい。島原の乱ももう少し詳しく書いてあってもよかったかも、で少々物足りなかったが、この天草本ローマ字の表記が非常に興味深いからまあいいか。 これ、日本が"Nifon"、はひふへほが"fa, fi, fu, fe, fo"となっている。か行にもc, qが用いられたりしていて面白い。古い日本語では、はひふへほがfで発音されていたという。これだと16世紀後半から17世紀初頭にかけて、少なくとも九州地方で用いられていた日本語の発音がまだfだったことになるはずだ。古い日本語を勉強している人にとっては今更なことなんだろうが。(今でも沖縄方言にはこの発音があるらしいし)著者が作中に載せている例には、Historiaという言葉があり、hとfは区別されている。本編そっちのけでこちらに気を引かれてしまった。それにカ行のqも今より喉に近いあたりで発音していたってことなんじゃなかろうか。ヘボン式のローマ字表記は19世紀後半あたりに江戸近辺の発音を元にできたんだろうから、較べてみるとちょっと面白い。まあ、あれも正確に日本語の発音を写してはいないから、天草本も同じで近似値なのかもしれない。fじゃなくてphだったりして。 そういえば、毎回犬のほうろくがご主人達を守ろうとして犯人に蹴飛ばされたり、壁にぶつけられたりしているのが気になる。手当てしてもらっている記述がないのだが、打ち身にはなってるんじゃないかなぁ。かわいそうに。 このシリーズ結構巻数が多くなることを最初から見越して書かれている。読みやすいし、ライトではあるが、日本史の解釈はとても興味深いので、引き続き読んでいこう。ブログの総投稿数の目標年内500にかなり貢献してくれそうだ。
December 1, 2010
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