たからくんが大人になるまで生きていたい日記

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太田とねり

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高齢ママの育児日記 うさこ0168さん
2007.05.21
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カテゴリ: 家族
 翌 月曜日、
看護師をしている妹さんが日中時間を作ってくれるというので、
熱を出した宝良ちゃんを私の実家に預け、私が仕事も学校も休んで病室に付いていることにし、
仕事を休んだ夫とその妹さんと二人で、
姑のところへ出かけていった。


 家政婦さんの手配が付いたとのことで、
月曜日の14時から感じのいいおばさんが来てくれて、
私たちは来られるときはくるけれど、無理なときは帰るということが
可能になった。


付き添いさんに、このあと起こるであろうこと(姑のこと)を掻い摘んで説明して、驚かれると思うけど…と伝え、
お舅さんに、

「おとうさん、ごめんね。
おかあさんに言わないで欲しいっておとうさん言っていたけれど、
ちょっと、おとうさん病気がしんどいから、
やっぱり黙っておくわけにはいかないなって、
二人がおかあさんを迎えに行ったんだ。
この後、おかあさん来ると思うし、
そしたら、また、しばらくうるさくいっぱい言うと思うけど、
ごめんな。」
と私が言うと、



 食欲がなかったり、もう、何も食べられなくなって、点滴に頼っていたこの数日だったけれど、アイスクリームだけは、美味しいと言って食べることが出来、
私は短大を出るとまずコンビニに寄って、クーリッシュを買うことにしていた。で、病院へ運転して到着すると、
クーリッシュがかなり柔らかくなっていて、寝たきりの状態でも食べやすかったのだ。
「冷たくて、甘くて、おいしい」と、初めは半分くらい食べられていたクーリッシュも、段々一口二口しか食べられなくなっていたけど、
とうとうこの日から、絶飲食指示になった。


 付き添いさんに気を遣って、何か飲まれますかと声をかけたら、
お舅さんが水が欲しいという。
もう、口で必死の呼吸をしているから、
唇も舌もバリバリに乾いていて、
スポンジが付いた棒に水を浸して、唇や舌を濡らしてあげる。
こんなんじゃ、足りないだろうなぁとかわいそうに思う。


 お舅さんに、
「この後、おかあさんが来ると思うけど、
前の入院のときのように、おかあさんが自分で泊まり込んで付き添いをすると言い出したら、おとうさんどうする?
構わない?」と
事前に意向を聞いておこうと思ったら、
お舅さん、思いっきり胸の前で手をぱたぱたと左右に振って、
勘弁してくれ! と言わんばかり。

「うん、分かった。 じゃあ、今日は来るのは来るけど、泊まり込むって言い出したら、何とかみんなで帰って貰うようにするね」と答えた。


 夫と妹さんは、約一時間半ほど姑の独演会を散々聞かされて、
勝手に~だから、私は病院へは行かないという姑を説得し、
姑が盲信している医者のところへ立ち寄ってから、
やっと病院へ姑を連れてきた。
この時点では、
大変な癌だって伝えているのに、まだ、入院なんかしなくて良いとか、その御用達医師の医院へ転院させろとかわめいていた。
健康保険証は再発行したんやな、と、
自分が隠しているのに病院へ行けたことをはっきり認識していて、
この婆さんどういう神経しているんだろうと、
気持ち悪かった。



 来た瞬間の姑の顔、あの表情を私は忘れられない。
勝ち誇った、軽蔑したような、見下した顔。
ベッドに横たわって弱り果てている夫を、
ベッドの足下の角から見下して、枕元へも行こうとしない、
その瞬間の顔、表情。
本当に、目は口ほどにものを言うというが、
あのときの姑の表情ほど、ぞっとしたことは、久しくない。


 それから、おもむろに、

「おとうさん。何寝とんな、みんなに迷惑かけて、
自分が頑張らんでどうするんな。
はい、頑張りまいよ。」と言い放ち、
夫や妹さんに手足をギュウギュウとこするように指示する。
そして、自分もやってあげているという姿勢を見せつけるように、
あざが出来るほど強くギュウギュウとふくらはぎなどをこする。

 血栓が飛ぶように、癌の組織が血流に乗って飛んで、それが肺を詰めると急変する。そのことを恐れて、なるべく動かさないようにしている患者の血流を無理に起こす行為。
お前、殺しに来たんか!!!!!!! 


 もう、意識レベルまで落ちて、二晩続けて危険な状態があって病院から呼び出しがあるほどのしんどいお舅さんなのに、
お舅さんが目を瞑って眠りそうになると、
「おとうさん。今昼よ、何寝てるの、はい、目開けて!」
「本当に、自分じゃ楽することばかりで。運動だってあれほどしなさいって言ったのに。はい、足動かして。ちょっとは自分でしなさいよ」と。

 私はもう見ていられなくて、聞いていても気分が悪いし、
10分もしない内に病室から出て、廊下で立っていた。
付き添いさんも見かねて、
「あんなことしちゃあ……。誰か止められないんですか?」と廊下へ出てきた。
 ちょうど巡回に来た泌尿器科の先生に
「ゆっくり休んで貰っていて構わないんですよ」とやんわり言って貰ったけれど、聞く耳なんて持っている人じゃ無し……、

 仕方ないので、看護婦さんにお願いして、
「もし可能ならでいいのですが、私たちは何度も時間をいただいているので、3度手間で申し訳ないれれど、
主治医の先生から姑に病状説明インフォームドコンセントをしてやって欲しい」と頼んだ。


 病状を理解して欲しいというよりも、
説明するための部屋へ物理的に姑を移動させて、
病室から姑に出ていって貰いたかったからだ。



 主治医は以前の入院のときのことも、今回健康保険証を取りあげて隠して通院させなかったため、手遅れになったことも、姑のことは全部ご存じで、そういう話の分からない人相手でも、丁寧に説明をしてくださった。

 その説明を聞いているときも、初めは鼻息が荒い姑。

「若い頃に腎臓に結石ができたのに、辛い食べ物が好きで、控えなさいと言ってもわがままで聞き入れなかったし、
野菜もあまり食べずに魚が好きで、
(嘘ばっかり。魚が好きなのは本当だけど、野菜の好き嫌いなんて無かったよ)、
水もたくさん飲めというのに、わがままだか。」とか、

とにかく、病気が悪化したのは、お舅さんがわがままだからと主張。

主治医に「あまり癌には関係ないと思いますよ」と言われると、

段々話している内に、前年の写真にはまったく癌の影が無く、前の検査の時に来なかったというところになると、
あの姑、いけしゃあしゃあと、
「検査に行きな、病院へ行きな、と言っても、本当にひとの言うことを聞かないわがままな人で…」と言い出しやがった。
さすがに、後ろで座っていた私はぶち切れて、
小さい声で
「うそつけっ!」って声が出て、壁を小さく蹴ってしまったよ。
はらわたが煮えくりかえりそうになって、

病室にお気に入りネズミ講健康器具を持ち込みたいそうで、
空気清浄機や電磁治療器を持ってきても良いかと主治医に尋ね、
「余命一ヶ月の癌の人も治るし、肩こりも便秘にも効くし…」といつも自分がネズミ講セールスで言っていることを主治医にいうと、

「今は、肩こりや便秘の話をしているわけではないですし、
癌自体の進行であと一ヶ月持つかどうか、
それ以前に、急変でいつか分からない状態、
この週末も、二度ほど危険なときがあって、
この二回は何とか乗りきってくれたけれど、
次にまた乗りきってくれるとは限らないのですよ。
 その治療器に期待するような効果は無いと思いますが、
それでご家族の方の気持ちが収まるのでしたら、病室に持ち込まれるのは構いませんよ。」と
冷静に主治医の先生は答えてくださり、

お陰で、その治療器を取りに帰るという目的が出来たので、
姑は病室に泊まり込んで付きそうという話にはならず、
夫が姑を病院から連れだした。


 とにかく姑に隠す必要が無くなったから、
その後、やっと姑と同居している中学生の孫に入院のことが伝えられ、
その夜おじいちゃんの病室にお見舞いに来ることが出来た。
命を張って守った、おじいちゃんにとって誰よりかわいい娘と孫だもの、姑のことはともかく、
隠さなくて良くなって、それだけは本当に良かった。


 私は、インフォームドコンセントのときの、
スッペラコッペラ嘘ばっかりいう姑の姿に、
もう、我慢の限界で、
不快きわまりなく、
後は、付き添いの方にお願いして、帰ることにし、
お熱を出して実家に預けられている宝良ちゃんを迎えに行った。
やはり38℃くらいで、
グズグズとしんどそうな宝良ちゃんだった。
全部しわ寄せが宝良ちゃんに行ってしまって、グズグズ言っている宝良ちゃんの姿がかわいそうで、
申し訳ない気持ちで、添い寝していた夜だった。






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Last updated  2007.06.08 16:58:16
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