“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2008.03.14
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 お待たせいたしました!


今回、新しい本を書いたわけ・・・

 昨年は独立して10年目ということで、過去の整理を主眼に本を出してきました。
 その大きな理由は、私が独立したのが1997年。
ちょうど、バブルでピークを迎えた日本経済が、1990年から成熟期に入り、
それまでのおおらかな経営から、贅肉をそぎ落として生産性を高めるステージに
入っていました。

 私のおりました外食産業も、まず、円高に始まる代替食材の開発による、

そして、雇用不安の時代背景を利用し、社員からアルバイト、パートへの転換に
よって生産性を高めました。
 結果、収益構造を大きく変え、最初に生産性を高めた企業は、
高収益を手にしました。

 そして、その余力を利用して、より大衆的な市場へ
便利さという切り口をもとに拡大していったのです。
このような時代背景と、女性の社会進出で、食の外部化がすすみ、食の大衆化が
実現しました。このときが、まさに、外食産業のピークとなりました。
私が独立した、1997年です。

 さて、この年を境に、食の日常化はさらに「もの化」していきます。
 コンビニやオリジン弁当のような中食です。

企業の経営的な余力も、みんなが生産性をあげ、熾烈な競争―ラットレースに
なった結果、その維持が大変になりました。

 もはや、お客さんの便利さよりも、企業が生き残ることのほうがプライオリティが
高くなったのです。

 世の中はというと、バブル崩壊の1990年から続いていた成熟のステージが、

私の友人中島セイジ氏は2005年から始まった2020年くらいまで続くであろう
ステージを「ジュクジュク時代」と名づけました。

 ホリエモン問題や「偽装」などの「儲かればいい」の顕在化です。
 売るものが無くなり、隙間を考えるあまり、禁断の果実を手を出してしまうものが
現れるようになった。そんなことを表している現象ではないでしょうか?

 昨年、食についても偽装が世間を騒がせ、不安をかりたています。

 私が、昨年、「行列ができる店はどこが違うのか」(ちくま新書)
で過去を振り返り本にしたのは、その過去の悪しき習慣を一回整理して、
そして、この15年間の手法と決別し、新たな方向性を考えていくことをテーマに
してきたからのです。

 今の時代、非常に人気のあるものは何でしょう。

 まず、最初にあげたいのが、有機野菜バイキングをはじめたティア、
本、CDなどを扱うビレッジ・バンガード、通販のオイシックスです。
これらには共通することがあります。
 ちなみに、私が思うに、有機野菜バイキングは今年、全く売れない店と、
これからもいける店に分かれると思っています。
 次にスターバックス、ニューヨークグリル、ダイソー・・
 そして、下北沢、ブログ・・

 実は、これらに共通することは「女性」です。
 「ジュクジュク時代」に収益をあげる企業の要素はいくつかりますが、
今回の本では女性に指示されないといけないということを書いたわけです。



繁盛力

 では、本の内容をみましょう。
まず、前半(起→承)の部分・です。

第一章 女性はお店に変化を求める
 1 あなたの店が女性に気づいてもらえないわけ
      「すれ違いの予兆」
      「妻が風景になる日」
      「女性の心の変化を知るには」
      「メモと顧客カルテの役割」
      「『気づかないの?』といわれたいのは・・」
 2 小さな違いで大きくアピールする
      「大幅値引きと少額値引きの差」
      「無意識をくすぐるデパ地下の人気店の秘密」
 3  おまかせという変化の楽しみか方
      「立ちの寿司屋に女性が少ないわけ」
      「女性に人気の寿司屋の秘密」
 4  変化を伝えるツールを作る
      「店先に出すメッセージ」
      「次回の楽しみ方という夢」
      「ヴァリエーションを持たせる」
第二章 入店を誘う「呼び水」
 3  横並び発想を刺激する
      「遅れをとりたくない真理」
      「自分だけ特別と思わせる」

 どうですか?
 まずは、「ジュクジュク時代」と成熟時代のズレを話しています。
新しい事例を効果的に使い、以前使った事例利用して
わかりやすさを出しました。

 中盤(転)の部分では、今、人気の店が、
どうして「ジュクジュク時代」に人気なのかを解説しています。

第三章 「時間」と「雰囲気」で売るお店
  1  長居できる野菜バイキングの店―熊本「ティア」
        「10年前の確信から」
        「なぜ、自然食品のバイキングなのか」
        「女性が長居できる場所を作る」
  2  「素敵な時間」を選ぶ高級ブッフェ
        「6200円のランチが高くないのは」
        「満腹感のヴァリエーション」
        「『いくらでもゆっくりしてください』というメッセージ」
  3  一人でもすぐ雰囲気にとけこめる空間
        「細部の計算とアナログ感覚」
  4  「センス」を散りばめる
        「細部の計算とアナログ感覚」
        「カップをアクセサリーにする場所」
        「日常をカラフルにするヴァリエーション」
  5  買いたくなる雰囲気、過ごしたくなる時間
        「『こういう雰囲気好きかも』と思わせる」
        「ターゲットと利用シーンをとらえる」
        「女性の気持ちの受け皿を作る」
第四章  女性が飽きない店を作るには
  1  お客様がお店を卒業するとき
        「お客様の成長とお店の関係」
        「卒業を防ぐ方法」
        「進化できる店・できない店」
        「お店の品揃えがどこでも似てきたわけ」
        「Aランク商品をやめるわけ」
  2  飽きない店とは
        「日常使いと非日常使い」
  3  「なんとなく来店」の定義
        「目的意識のない品定め」
        「なんとかなるだろうで店探し」
  4  売りのない店がうけるのは
        「お店がお客様を失うわけ」
        「何かがありそうなダイソー」
第五章  言い訳があれば買ってくれる
  1  言い訳が商売につながるわけ
        「言い訳がいえる関係とは」
        「言い訳で儲けるヒント」
  2  言い訳できる店とは
        「自分へのご褒美という言い訳」
        「『手抜きをしたとは思われたくない』という言い訳」
        「『冷めてもおいしい』という言い訳」
        「言い訳が終わるとき」
  3  言い訳を顕在化させる
        「お店を使う口実を作る」
        「リスクで可視化する」
        「健康という言い訳」
        「『みんなが持っているから』という言い訳」

 どうですか?
 今までと切り口が違うでしょう?
10年間で培った販売術もいろいろ書いています。

 後半(結)の部分は、では、あなたの店がどう変わるべきかを書いてみました。

第六章  演出が売上を伸ばす
  1  脚本に頼らず、演出を
       「脱脚本の時代」
       「演出の可能性を知る」
  2  お店を内から変える方法
       「脚本はふつうの『大衆居酒屋』のまま」
       「演出がお店を進化させる」
第七章  最高の接客サービスのために
  1  お店のキャストを考える
       「ルックスで選ぶ理由」
       「スタッフ選びのTPO」
       「素質のミスキャスト」
       「利用シーンとのミスキャスト」
  2  カリスマが信頼されるのは
       「最高のスタッフの条件」
       「カリスマになるには」
       「キャストのモチベーションを高める」
       「心をプラスに動かせる環境を」
  3  お店とお客の「貸し借りの法則」
       「借り」を感じるお客様の存在
       「クレーム対応の啓示」
       「追加オーダーをとる達人」
       「雨の日には傘を送る作戦」
第八章  宝探しの術
  1  リピーターがつくるお店の共通点
       「奥行きの深い店・浅い店」
       「何かありそう」という空気
       「宝を発見するプロセス」という楽しみ
       「お店という奥行き」
  2  「宝探しの術」をかける
       「女性が集まるハンバーグ屋」
       「口コミの定石」
       「宝が口コミにのったとき」
       「宝探しの術の極意」

 最後は、大久保一彦の十八番、「宝探しの術」で〆ています。 
 一見すると難しそうですが、実は、だれでもできること。
それが「ジュクジュク時代」の特徴です。
そのヒントがこの本にあるのです。

最後に・・
  この本は、WAVE出版に転職しました中島さんが、第一作に選んでくれた、
とてもありがたい縁で生まれた作品です。
 どうか、中島さんを男にしてやってください!






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Last updated  2008.03.18 20:53:42
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