“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2020.08.23
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《日本一のワインペアリングでコロナ渦でも繁栄を続けるフランス料理店》ラフィネス@東京都港区☆新橋

しかし、マクロ環境の激変というのはみな同じこと。こんな時期でも中心地で前年の売上をクリアしている店がるわけです。
 今日は、ワインのペアリングをさらに充実して、勉強会路線で人気を博している敬三さんの『ラフィネス』でグランクリュのワインの勉強会をしたいと思います。

 思い返すと、『ラフィネス』のペアリングはソムリエのレオナルド(宮城さん)がいたころから始まったと記憶しています。
レオナルドが独立するころになり、代わりのソムリエを入れるか、ソムリエの人件費分をワインの原価にあてたらということを考えました。
 そして、『ラフィネス』の常連のほとんどはワインが好きなお客様であり、常連が魅力を感じるのは「他の店では飲めないワインがグラスでペアリング」という路線だろうということなり、ソムリエを置かず魅力的なペアリングを実践してきました。 ~『四方よし通信』回顧録より
 もちろん、その背景には敬三さんがフランスに居た頃に"タイトル”(肩書き)がつく店に携わるのではなく、経営が任される店に長い時間を費やし、すばらしい醸造家との深い関係性を築いたということがあると思います。

 さて、最近始まったその凄いペアリングについて解説しましょう。


 そして、フランスのレストランで経営に携わった敬三さんらしく、『ラフィネス』では常連
客をとても大切にします。今では多くの店でやっていますが、5回来店するとラーメンが提供されるようにしたり、アブサンやタラゴナのランナップをフランス料理店としては日本一の品揃え食後酒を出したりしてきました。

 今回のワインペアリングについてもキーワードとなるのは、やはり、「常連になること」でだと言えるでしょう。
 では、参考までに、ワインペアリングのリストと杉本敬三シェフの解説をご覧ください。



Degustasionn avec DRC(750cc~)
2種類以上のDRCとグランクリュを中心としたデギュスタシオン
\100,000~

Degustasionn de Folly(750cc~)
ワイン好きなら必ずわかるクレイジーなデギュスタシオン
\50,000~

Degustation de Reve(750cc~)

\25,000~

Premier Selection de chef(400cc)
フランスを代表する醸造家などを中心に1皿1杯ずつ
\18.000~

Selection de Chef aux verres(400cc)

\12.000~

Demi degustation(200cc)
グラスワイン2杯分で4種類のワインをセレクトします。
\8.000

上記は、現在、『ラフィネス』で提供していますワインのペアリングの料金表です。
上3つが一つの料理につき2杯ずつ。
18000円のコースと12000円のコースは1皿に1杯ずつ一番下は4杯になります。2杯ずつだと12種類のワイン。1杯ずつだと6種類のワインが出ます。
 そして、あるとき、敬三シェフがカップルのお客様が飲みきれない彼女のワインを飲んでいるのを見て、新たにワインのペアリングが増えました。
 上記の光景を見て、1つのグラスでお二人でシェアできるんだったら、違うワインを1杯ずつもしくは2杯ずつ飲んだら楽しいなって思ったそうです。
基本的に、カップルで来られる方にはいつも相談して別々のワインを入れて、そり多くの種類を同じ金額で楽しんでいただけるようにコーディネートされています。

 ただし、グラスの数がたいへんなことになるので、誰にでもできるわけではないので、このワインのペアリングを楽しむための条件を作りました。

*一緒に同席される方とワインをシェアできること。
*常連になること

 一人でも多くのワインラバーがフィネスに増えるように、値段が上がれば上がるものほど原価率が高くなり、ほぼそのまま原価に転換するそうです。したがって、10万円のコースはいつも9割超える形になります。
たまに敬三シェフや常連さんのFBの投稿を見て、アップされていたワインを飲みたいとお客様がいるようですが、それはできませんよ。
「1度しか来ない方と何度も利用されている方と同じ内容のことはできない」からです。
チェーン店のようにメニューと写真があってその通り出るのではなく、お客様の好み、知識などに寄り添う形でワインや料理を営業中にオーダーメードするのが『ラフィネス』だからです。

 前置きが長くなりましたが、さあ、ラフィネスの『ワイン勉強会」および、その経営スキームを勉強したいと思います。

 まずは、サロンにてスナックとともに二種類のシャンパーニュの二種同時対比から・・


オレンジとビーツのスープ、阿蘇のとうもろこし、マカロン、モルダデッラ、丹波しめじのギリシャ風


泡のしゅわっと感がよいデュヴァルルロア(右)と熟成感のとてもよいドンペリニヨン(左)


Duval-LeRoy Femme de Champagne Brut Grand Cru


Dom Perignon vintage 2002 Champagne

さあ、お席へ移動して、新たなワインペアリングの勉強が始まります。


本日のお料理です。


ここで「?」マークのブラインドテイスティング用の布で包まれた4本のボトルが登場します。
今回のペアリングから、先入観なしに飲んでいただくのと、自分の既知と経験を試すために、ブラインドテイスティングでワインを当てるというプロセスが入っています。


ヒントはブルゴーニュ。鼈という料理の組み合わせと、敬三シェフの過去のペアリングの方法、経験でワインが何かを考えます。あと、10万円のペアリングなので、DRCが2種類以上入るということ(今回は私の来店回数からロマネコンティと(ル)モンラッシェ以外は入るそうです。


最初のお料理は鼈のコンソメです。

一番右の印象は閉じてる印象です。なんだろう。その隣はエシェゾーっぽい。果実の香りが広がり、複雑味があるが洗練されています。右から三番目はベリーの凝縮感とうっすら紅茶っぽい。一番好みかも。一番右がクレヨンぽい余韻が良く一番好みかも。
右ふたつはエシェゾーかな、

さて、正解は・・






エシェゾーとコルトンです。
DRCが入っています。
右はDRCだったんだ。DRCエシェゾーは最初閉じているがどんどん開いてワインの表情が変わります。右から三番目はDRCのコルトン、一番左がドメーヌ・メオ・カミューゼのコルトン


2017 Domaine Dujac Grand Cru Echezeaux


2014 Domaine de la Romanee Conti Echezaux


2015 Domaine de la Romanee Conti Corton


2017 Meo Camuzet Corton Clos Rognet Grand Cru


『ワインとお宿千歳』のワインショップより
https://item.rakuten.co.jp/bourgognewine/890797/

 二つ目のお料理にあわせてワインが並びます~
次のお料理が鰻なので、きっとボルドーでしょう。


天然の鰻のリゾット
鰻の骨のコンソメ、ベースは青森軍鶏ロック、ふんだんな松茸

どれも、こりゃおいしいから、五大シャトーかな・・
左から右が香りが最初から良いですね、左は少し閉じてます。
これはまさか・・・

正解は・・


やはり五大シャトーのワインでした。


2007 Chateau Latour


2007 Chateau Mouton Routhschild


2007 Chateau Haut Brion Rouge


2007 Chateau Margaux


※ ​ https://anyway-grapes.jp/laravel5.3/public/vintages/Bordeaux/2007




次のお料理は、お母さんがいすみ市の池袋『瓢箪』さんのご実家から本日届いた蓮の葉を使います。
下には、大原の伊勢海老のコンソメで炊いた野菜の盛り合わせです。

さて、こちらに合わせるワインは・・






一番右は埃っぽい第一印象だがその後変化しておいしい。右から二番目はラ・ターシュのような気がしない気もないが、ここでは来ないかな。
その隣は先ほどのエシェゾーとは違うが、何か似た部分もある。ということは、グランエシェゾーか・・

正解は・・


2014 Frederic Cossard Bonnes Mares Grand Cru
コサールのワイン、おいしいな。




2015 Domaine de la Romanee Conti La Tache


2013 Domaine de la Romanee Conti Grands Echezaux


2015 Domaine Comte George de Vouge Bonnes Mares Grand Cru






続いては本日のメイン、串本の700gの鮑と鱧のパイ 鮑のソースです。





ワインはバターつながりという印象。


2016 Frederic Cossard Batard-Monrachet Grand Cru


2007 Domaine Comtes Lafon Meursalt-Charmes Premier Cru


2010 Olivier Leflaive Batard Monrachet Grand Cru


2001  Domaine Comtes Lafon Monrache Grand Cru
今まで飲んだラフォンのモンラッシェの中で一番閉じていたように思います。
わかりませんでした。




続いては、垣内さんの猪と鹿・・

ワインは、・・


2014 Domaine de la Romanee Conti Romanee-St.Vivant
昔私のセラーにサンヴィヴァンが数本ありましたが、こんなに美味しかったかな。


2016 Domaine de la Romanee Conti  Richebourg 
リシュブール初めて飲みました。
こういう味わいだったのか・・


2018 Domaine de l'Arlot Romanees Saint Vivant Grand Cru
以前、ジュネーブのマンダリンでおすすめされて飲みましたが、おいしい。


2015 ​Domaine Gros Frere et Saur ​Richebourg Grand Cru
グロのリシュブールが好きだが意外と高い。





〆は5回来店すると提供されます「フレンチの技法を駆使したラーメン」
ジャンボンプラン
生姜と葱が聞いている
3種の節、あらゆる魚のコンソメ




2006 Duval-LeRoy Blranc de Blancs Champagne Grand Cru
〆しゃん


最後のチャレンジ・・
これは相当うまいが・・


『未在』の石原さんから(同じ農園をつかっている。塾生以外他言無用)のメロンといすみ市のブルーベリー。






続いては、恒例のベリーニの再構築。
『ハリスバー』懐かしいです。


あれま、・・


2015 Domaine Armand Rousseau Charmes Chambertin Grand Cru
大阪の『紺野酒店』のセラーにあったやつ。
ルソー初めて飲みましたが、これはうまい。
敬三シェフのセラーは24度で紫外線と振動を排除しておりますが2015年でこれだけうまいのか・・
これは書庫をセラーにできるな・・






はい、成果率が高い常連さんへのご褒美だそうです。
ベリーのジャムって印象です。
講義内容:コラバンの弊害

ワインは既知と経験で枡ができますな。
その枡の大きさでおいしさは変わるという感じ。



なんか10万円のペアリングでしたが、たいへん安かったとしか言いようがないですね。
グランヴァンって買っても飲むシーンがないのよね。
こういうやり方もあるんだなとは思うけど、敬三シェフしかできないなぁ。
勉強になりました。

Restaurant La FinS ​​
東京都港区新橋4-9-1
電話 03-6721-5484



本日のおすすめ

デュバル・ルロワ ファム・ド・シャンパーニュ グランクリュNV375ml


デュバル・ルロワ フルール・ド・シャンパーニュ プルミエ・クリュNV ハーフ(375ml)


2015 エシェゾーグラン・クリュ デュジャックEchezeaux Grand Cru Domaine Dujac


[2013] Corton Grand Cru Clos Rognet - Meo Camuzetコルトン グラン・クリュ クロ・ロニエ - メオ・カミュゼ


リシュブール[2018](グロ・フレール・エ・スール)


【アンヌ・グロ】リシュブール含む [2013] 6本セット /





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Last updated  2020.09.03 19:19:23
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