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ここのチーズケーキは美味しそうだから食べてみたいけど、小人数家族では賞味期限がすぐ来てしまいそうなんだよね。かといってコレステロールや糖分の摂り過ぎも気になるし・・・1日にプリン1つとチーズケーキ1つくらいが限度だから・・・やっぱり親戚が来て人数が増えるお正月までガマンするしかないかな。
August 30, 2005
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送裴使君赴荊南行軍司馬盛府南門寄、前程積水中。月明臨夏口、山晩望巴東。故節辭江郡、寒笳發渚宮。漢川風景好、遥羨逐羊公。【韻字】中・東・宮・公(平声、東韻)。【訓読文】裴使君の荊南行軍司馬に赴くを送る。盛府南門寄、前程積水の中。月明夏口に臨み、山晩巴東を望む。故節江郡を辞し、寒笳渚宮に発す。漢川風景好からん、遥に羨む羊公を逐ふを。【注】○裴使君 貞元年間に荊南行軍司馬となった裴■(竹かんむりに均。インとよむ)か。○荊南 唐の方鎮の名。治所は荊州(湖北省江陵)に在り。○行軍司馬 唐の開元年間に、各節度使に置かれ、軍政を掌った重役。○盛府 ここでは、りっぱな役所の意であろう。○南門 南側にある門。○前程 行く先。前途。○積水 たたえた水。○夏口 三国呉の孫権が築いた城。湖北省武漢市の西方、黄鵠山の上に在り。○巴東 湖北省巴東県。○故節 むかしの節。節は使者が天子から与えられた旄牛の尾で飾った旗印。○寒笳 寒中にひびく蘆の葉でつくった笛。○渚宮 湖北省江陵県にあった春秋時代の楚の宮殿。○漢川 漢水。漢江。陝西省西部ウに源を発し、東流して湖北省漢口で長江にそそぐ川。○羊公 西晋の政治家。字は叔子。武帝のとき、南進を提唱して呉を討つため軍備を調えた。荊州諸軍事を都督し襄陽を鎮守した。【訳】このたび裴使君が荊南の行軍司馬として赴任なさるのを見送る。ひごろは長安城の南門に近い役所で政務を執っておられるが、これから赴任なさる先は漫々と水をたたえた川のはるかかなた。月の明るい晩には夏口城を眺め、山の夕暮れには巴東をとおくに望む場所。ふるびた節を携えて川沿いの郡を辞し、寒中のアシブエがひびくなか渚宮へと出発なさる。漢川の風景はすばらしいでしょう。あなた様が羊公のように山水を楽しみ、善政を行って土地の民から慕われるのを、私は彼方からうらやましいと思うことでしょう。
August 30, 2005
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送宣尊師■(酉の右に焦。ショウ)畢歸越吹簫江上晩、惆悵別茅君。踏火能飛雪、登刀入白雲。晨香長日在、夜磬滿山聞。揮手桐溪路、無情水亦分。【韻字】君・雲・聞・分(平声、文韻)。【訓読文】宣尊師の■(酉の右に焦。ショウ)畢(をは)りて越に帰るを送る。簫を吹く江上の晩、惆悵として茅君に別る。火を踏んで能く雪を飛ばし、刀に登りて白雲に入る。晨香長日に在り、夜磬満山に聞こゆ。手を揮ふ桐渓の路、無情にして水も亦た分かる。【注】○宣尊師 劉長卿の知人の道士らしいが未詳。○■(酉の右に焦。ショウ) 道教の祭り。○畢 終わる。○越 浙江省。○簫 長さの異なる竹管を横に並べて作った笛。○江上 川のほとり。○惆悵 悲しみ嘆くさま。○茅君 宣尊師をたとえる。○踏火 火を踏む。道教の修行を積むと可能になるとされることなのであろう。わが国でも修験道などでは炭火の上を歩いたりすることがある。以下の「飛雪」「登刀」「入白雲」も同様に修行の結果身につく特殊能力をいうのであろう。○晨香 あさ焚いた香。○長日 ながい昼間。○夜磬 夜たたく磬(ケイ)。磬は石などで作った「へ」の字型の打楽器。○満山 山じゅう。○揮手 別れの際に手を振る。○桐溪 浙江省中部にある桐江の渓谷。○無情 感情がない。【訳】宣尊師が道教の祭りが終わって越にお帰りになるのを見送る。今日は宣尊師の送別会。この川のほとりの夕暮れに簫の音がひびきわたる。悲しいですが尊師ともお別れせねばなりませぬ。火の上を歩いたり、雪を降らせたり、刀の切っ先の上にのったり、白雲のかなたに飛行したりと、修行の成果とくと見ました。越の山へお帰りになったら、また修行の日々。きっと朝焚いた香のけむりが一日中あたりにたちこめ、夜うちならす磬の音は山じゅうに聞こえることでしょう。ここ桐渓で、いざさらばと別れの手をふれば、川の水も亦たつれなく分かれて流れ去る。
August 30, 2005
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朱放自杭州與故里相使君立碑回因以奉簡吏部楊侍郎製文片石羊公後、凄凉江水濱。好辭千古事、墮涙萬家人。■(服の右に鳥。フクとよむ)集占書久、鸞回刻篆新。不堪相顧恨、文字日生塵。【韻字】濱・人・新・塵(平声、真韻)。【訓読文】朱放の杭州より故里の相・使君に碑を立てんとする回を与ふ。因つて以つて吏部楊侍郎に文を製せんことを奉簡す。片石羊公の後、凄凉たり江水の浜。辞を好む千古の事、涙を堕とす万家の人。■(フク)集ひて書を占むること久しく、鸞回りて篆を刻すること新たなり。堪へず相顧恨するに、文字日(ひび)に塵を生ずるを。【注】○朱放 字は長通。南陽の人。▼(炎の右にリットウ。センとよむ)渓に隠居す。嗣いで曹王皐の江西を鎮ずるや、節度参謀に辟さる。貞元中、召されて左拾遺と為るも就かず。○杭州 浙江省杭州市。○故里 ふるさと。生まれた土地。○相 君主をたすける大臣。○使君 刺史。州の長官。○回 まわしぶみ。○吏部 尚書省の六部の一。文官の人材の選考、勲功の評価、昇進・罷免などをつかさどった。○片石 一片の石。○羊公 羊▲(示の右に古。コとよむ)。晋の南城の人。字は叔子。魏末に相国従事中郎に任じ、荀勗と共に機密を掌る。晋王朝建つや、鉅平侯に封ぜられ、荊州の諸軍事を都督し、長きこと十年に達す。任に在りて屯田を開き、軍備を儲け、呉を滅ぼさんと籌劃す。平日は軽裘緩帯、身甲を被ず、呉将陸抗と互いに使節を通じ、遠近を綏懐し、以て江漢および呉人の心を収む。のちに杜預を挙げて自ら代はる。死後、南州の人、之が為に巷に市するを罷めて哭す。その部属、◆(山の右に見。ケンとよむ)山の▲(コ)の平生遊息の所に於いて碑を建て廟を立つ。杜預は命名して堕涙碑と為す。○凄凉 ものさびしい。○■(フク) ミミズク。一説にフクロウ。不吉な鳥とされている。『西京雑記』巻五「賈誼長沙に在り、■(フク)鳥其に集ひて塵を承く。長沙の俗に■(フク)鳥の人家に至るを以て、主人死せんと」。○鸞 ラン。鳳凰のなかまで、形はニワトリに似て、羽は五色、声は音楽にかなうという伝説の霊鳥。篆書の書体が鳥の足跡に似るので「鳥篆」という別名があることにかけたものであろう。 【訳】朱放が杭州から同郷の大臣や刺史に記念碑を建てるための回状を送った。そこで吏部侍郎の楊氏に碑文の製作を手紙で依頼する。このたび、ものさびしい川のほとりに、羊公にならって小さな碑を建てることとなりました。大昔のすぐれた事跡を文章で説明すれば、万人も感激して涙を流すでしょう。現状では不吉なミミズクが碑の周辺に集まってきて飛び回り文字が読めないようなありさまですが、めでたい鸞鳥が戻ってきて飛び回るよう真新しい文字を刻んだ碑を建てたいものです。このまま碑が放置され、文字の上に日々あらたに塵が積もって朽ちていくのを恨めしげに眺めるのはしのびない。
August 28, 2005
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新年作郷心新歳切、天畔獨潸然。老至居人下、春歸在客先。嶺猿同旦暮、江柳共風煙。已似長沙傅、從今又幾年。【韻字】然・先・煙・年(平声、先韻)。【訓読文】新年の作郷心新歳切なり、天畔独りり潸然(サンゼン)。老至つて人の下に居り、春帰つて客の先に在り。嶺猿旦暮を同じくし、江柳風煙を共にす。已(すで)に似たり長沙の傅(フ)、今より又幾年。【注】○郷心 故郷を思う心。○新歳 年のはじめ。新年。○天畔 はるかに遠いところ。○潸然 涙が流れるさま。『詩経』《大東》「潸然として涕を出だす」。○居人下 思うように出世しないことをいうのであろう。○旦暮 朝も夕暮れも。たえず。○風煙 風ともやと。○長沙傅 長沙王の傅(お守り役)となった賈誼(カギ)。前漢の文帝に仕えた文人。辞賦に長じ、論策にもすぐれた。著に『新書』あり。(前201ー前169年)。○幾年 何年。【訳】新年を迎えて詠んだ詩。新年を他郷で迎え、故郷をおもう心もひとしお。遠く離れたふるさと思い、ひとりションボリ涙にくれる。この年になっても出世はかなわず、人の下で使われるありさま。我が身は故郷にかえらぬまま、あべこべに春の季節が帰ってきて我が目の前にある。山の猿といっしょに朝夕を迎え、川端の柳と川風や川もやを共有する。我が身はまるで長沙の傅となった賈誼のよう。今からまた何年、故郷から遠く隔たったこの地で過ごすことになるのやら。
August 28, 2005
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對酒寄嚴維陋巷喜陽和、衰顔對酒歌。懶從華髮亂、閑任白雲多。郡簡容垂釣、家貧學弄梭。門前七里瀬、早晩子陵過。【韻字】歌・多・梭・過(平声、歌韻)。【訓読文】酒に対して厳維に寄す。陋巷陽和を喜び、衰顔酒に対して歌ふ。懶(ものう)くして華髪の乱るるに従(まか)せ、閑にして白雲の多きに任(まか)す。郡簡にして釣を垂るるを容れ、家貧にして梭(ひ)を弄ぶを学ぶ。門前の七里瀬、早晩子陵過(よぎ)らん。【注】○対酒 酒樽を前にする。酒を前に置く。○厳維 字は正文。越州山陰(浙江省紹興)の人。至徳二載、江淮選補使崔渙のもとで進士となり、諸曁の尉を授けられた。広徳二年から大暦五年にかけて浙東節度使の幕に入り、検校金吾衛長史をつとめた。のちに越州に閑居した。大暦十二年、河南の幕に入り、河南の尉を兼務し、十四年、秘書郎となり、建中元年(780)没した。○陋巷 せまく汚い町。貧しくむさくるしい裏町。○陽和 春の暖かな時節。のどかで暖かい気候。○衰顔 おとろえた顔。○華髪 白髪。○簡 おおまか。○垂釣 釣り糸を垂れる。釣りをする。○梭 機(はた)を織るときに使う、横糸を巻いた管を入れて通す舟形の道具。○七里瀬 28番の七里灘に同じ。○子陵 厳光の字。東漢(後漢)の人。光武帝に召されたが、仕官せず、富春山に隠棲し、耕作や釣りをして過ごした。『蒙求』《厳陵去釣》「後漢の厳光、字は子陵。少くして光武と同学す。光武位に即く。子陵乃ち姓名を変じて身を隠して見えず。後に斉国より上書すらく、一男子有り、羊裘を被て沢中に釣りす。帝其れ光かと疑ふ。聘して至る。諫議太夫に除すれども屈せず。乃ち富春山に耕す。後人其の釣りする処を名づけて厳陵瀬と為す」。○早晩 いつ。○過 たちよる。ここでは厳維を同姓の厳子陵になぞらえ、厳維が劉長卿の家を訪問することをいうのであろう。【訳】酒を飲みながら作って厳維に送る詩。こんなにせまく汚い裏町に住んでいても、春の温暖な気候はうれしいもの。おいぼれた顔で酒を前に鼻歌を歌う。年老いてからは白髪頭の手入れもめんどうくさく、暇な時間もまるで空の雲のように次から次へとわいてくる。郡の役所の仕事も大雑把で、合い間に釣りができるほど。家は貧乏なので女房どのは近所のオバサン連中から機織りを習う。貧しいながらも暇の多いのんびりした暮らしを送っている我が家の前の七里瀬に、君はいつ立ち寄ってくれるのだろうか。
August 25, 2005
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却歸睦州至七里灘下作南歸猶謫宦、獨上七里灘。江樹臨洲晩、沙禽對水寒。山開斜照在、石淺亂流難。惆悵梅花發、年年此地看。【韻字】灘・寒・難・看(平声、寒韻)。【訓読文】却つて睦州に帰り七里灘下に至つて作る。南帰猶ほ謫宦、独り上ぼる七里灘。江樹洲に臨む晩、沙禽水に對して寒し。山開きて斜照在り、石浅くして乱流難し。惆悵す梅花の發(ひら)き、年年此地に看るを。【注】○却 あべこべに。出世して故郷に錦を飾るのではなく、左遷されて南方にかえってきたのでこのようにいうのであろう。○睦州 浙江省建徳県。○七里灘 浙江省桐廬県城南十五キロ。銭塘江の両岸の山々が切り立ち、水流はげしい地域が七里におよぶところからいう。富春山(厳陵山)は東漢の厳子陵が釣りを垂れた所と伝えられる。○謫宦 官吏がとがめをうけて官位をおとされ、また、遠方の地へ流されること。○乱流 不規則な水流。○惆悵 かなしみなげくさま。○梅花 ウメの花。○發 花が開く。○年年 まいとし。【訳】あべこべに睦州に帰ることになり、七里灘のところまでやって来て作った詩。このたび南方に帰ることになったが、なさけなくも左遷である。ひとりさびしく七里灘に舟を浮かべる。中洲を見下ろすように生えた川沿いの木々のむこうに日は暮れゆき、川原の砂の上にいる水鳥たちの姿もさむざむしい。きりたった両岸の山々の間からは夕陽がさしこみ、水面から突き出た岩にせき止められた不規則な流れは行きなやむ。左遷されて、これから毎年この土地で春を迎えてウメの花を見ることになろうとは、残念でしかたがない。
August 25, 2005
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送少微上人遊天台石橋人不到、獨往更迢迢。乞食山家少、尋鐘野道遥。松門風自掃、瀑布雪難消。秋夜聞清梵、餘音逐海潮。【韻字】迢・遥・消・潮(平声、蕭韻)。【訓読文】少微上人の天台に遊ぶを送る。石橋人到らず、獨(ひとり)往くこと更に迢迢たり。食(ジキ)を乞(こ)はんとすれども山家少なく、鐘を尋ぬれば野道遥かなり。松門風自(おのづ)から掃ひ、瀑布雪消え難し。秋夜清梵を聞けば、餘音(ヨイン)海潮を逐(お)ふ。【注】○少微上人 劉長卿の知人の僧。未詳。○天台 浙江省台州天台県の北の名山。仏教の霊地。天台宗発生の地。○石橋 石で造った橋。駱賓王《霊隠寺》「天台の路に入るを待ち、余の石橋を渡るを看よ」。○独往 たったひとりで行く。○迢迢 はるかにとおいさま。○乞食 僧の修行の一つで、人家の戸口で米や金銭の施しを受けてまわること。○山家 山のなかの人家。○尋鐘 「尋」は、さがす。鐘の音が聞こえてくるほうには寺があるはずで、寺までたどりつけば宿と食事にありつけることになる。○野道 野原のなかの道。○松門 松の木を門の代用にしたもの。○掃 掃除する。○瀑布 滝。○清梵 経文を読むきよらかな声。○餘音 音声がとだえたあとに残るひびき。余韻。○海潮 もと観世音菩薩(俗にいう観音様)の説法の声を海潮音といい、転じて多くの僧の読経の声をいう。【訳】少微上人が天台山まで旅されるのを見送る。天台山の石橋のあたりは険しくて人もめったに訪れないというが、このたび上人さまはたったひとりでここから遥かとおく、かの地に向かわれる。托鉢をしようにも山のなかの家は少なく、鐘の音をたよりに寺をさがされても野なかの道は遥かとおい。松を門とする山中の家の前は風がかってに木の葉を掃除るほど強く吹き、滝のそばは雪が消えないほどおさむいでしょう。そのように厳しい環境と辛い修行が待っているのでしょうが、秋の夜に上人さまが経文を読むきよらかな声を聞けば、その余韻は観音様の説法のように多くの人々を教化することでしょう。
August 25, 2005
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初到碧澗招明契上人漸老知身累、初寒曝背眠。白雲留永日、黄葉減餘年。猿護窓前樹、泉澆谷後田。沃洲能共隠、不用道林錢。【韻字】眠・年・田・林(平声、先韻)。【訓読文】初めて碧澗に到り明契上人を招く。漸く老いて身の累(わづらは)しきを知り、初寒背を曝(さら)して眠る。白雲永日留まり、黄葉餘年を減ず。猿は護る窓前の樹、泉は澆(そそ)く谷後の田。沃洲能く共に隠れなば、道林の銭を用ゐず。【注】○碧澗 浙江省新昌県の地名か。25番にも見える。○明契上人 劉長卿の知人の僧らしいが未詳。○累 わずらわしさ。○澆 そそぐ。○沃洲 浙江省新昌県の東にある山。20番にも見える。 ○不用 もちいるまでもない。必要ない。○道林錢 晋の僧支遁が隠居する目的でわざわざ人をたよって山を買った故事。『世説新語』《排調》「支道林人に因り深公に就き印山を買ふ。深公答へて曰く、未だ巣由の山を買ひて隠るるを聞かず、と」。【訳】やっと碧澗の地にたどりつき明契上人を招待する。しだいに自分も年をとり、我が身のわずらわしさに気づきました。ようやく寒気がもよおして背中をまるめて寝るしまつ。この山里では一日中白い雲が消えることなく、葉が色づくにしたがって今年ものこりあとわずか。サルは窓の前の木にしがみつき、泉は谷のむこうの田にそそぐ。もし沃洲で私と共に隠棲なさったら、わざわざ支遁のように金をつかって山を買う必要もありますまい。
August 24, 2005
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碧澗別墅喜皇甫侍御相訪荒村帯返照、落葉亂紛紛。古路無行客、寒山獨見君。野橋經雨斷、澗水向田分。不爲憐同病、何人到白雲。【韻字】紛・君・分・雲(平声、文韻)。【訓読文】碧澗の別墅にて皇甫侍御の相(あ)ひ訪(と)ふを喜ぶ。荒村返照を帯び、落葉乱れて紛紛たり。古路行客無く、寒山独り君を見る。野橋雨を経て断え、澗水田に向かつて分かる。同病を憐れむ為ならずんば、何人か白雲に到らん。【注】○碧澗 浙江省の地名か。○別墅 別荘。○皇甫侍御 皇甫曽。潤州丹陽(江蘇省丹陽県)の人。皇甫冉の弟。広徳年間から大暦年間の初めにかけて殿中侍御史をつとめた。○相 対象があることを示す。○荒村 さびれた村。○返照 ゆうひの照り返し。○落葉 枝から散りおちる木の葉。○紛紛 いりみだれるさま。また、多いようす。○古路 古い道路。○行客 道行く人。また、旅人。○寒山 秋から冬にかけてのものさびしい山。○獨 ただ‥‥だけ。○野橋 野川にかかる橋。○澗水 谷川の水。○憐同病 同病相憐。同じ境遇に苦しむものは互いに同情しあう。皇甫曽が大暦六、七年にかけて舒州の司馬に左遷され、劉長卿も大暦十年ごろ讒言により睦州の司馬に左遷されたことを指すのであろう。○白雲 ここでは白雲のかかるような奥深い山をいう。【訳】碧澗の別荘に皇甫冉が訪ねてきてくれたのを喜ぶ。このさびれた村では、いま夕陽の照り返しを受け木の葉がヒラヒラとしきりに散っている。ふるびた道は行く人もなく、さびしい秋の山を登ってくるのは君ひとりだけ。野川にかかる橋は雨のあと増水してとぎれてしまい、谷川の水はあふれて分流して田にそそぐ。同じ境遇に苦しむ友でもなければ、いったい誰がこんな山奥のいなかの村まで訪ねてきてくれようか。
August 24, 2005
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江中對月空洲夕煙斂、望月秋江裏。歴歴沙上人、月中孤渡水。【韻字】裏・水(上声、紙韻)。【訓読文】江中月に対す。空洲夕煙斂(おさ)まり、月を望む秋江の裏。歴歴たり沙上の人、月中孤渡の水。【注】○江中 川の中。○対 向かう。○空洲 なにもない中州。○夕煙 夕暮れのもや。○秋江 秋の川。○歴歴 ありありとしたさま。○沙上 川原のすなのうえ。○孤渡 ぽつんとある船着場。【訳】船上で月を見る。なにもなくひっそりとした中州のあたりは、夕暮れのもやもようやく消え、この秋の川のなか月を眺める。川原を散歩する人の姿もはっきり見て取れ、ぽつんとある船着場の周辺の水は月光にきらきらと輝いている。
August 24, 2005
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使っている漢和辞典はこれだ。福武書店がベネッセと名を変える前に出版したもの。このサイズの漢和辞典のなかで現在も書店で入手しやすいものとしては一番オススメ。たまに間違いもあるが、その程度はご愛嬌。美人にもホクロやソバカスくらいあるものさと思ってあきらめましょう。だって辞書も人間が作るものですから、ほかの辞書だって間違いはあります。ビーンはとくに例文に四書五経からの引用が多いところが気に入っている。漢詩鑑賞などのコラムにもなかなかチカラがはいっているみたい。このサイズの他の辞書は引用が少ないから、あるコトバがある意味でいつごろから使われていたのかがよくわからない。日本語でも平安時代の源氏物語の単語を江戸時代に使われ始めた意味で解釈したら間違えますからな。
August 23, 2005
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ここの送料無料のお試しセットたべてみましたクリームがあっさりしているのでおなかにはモタレない。だから年配の方のお口にも合うみたい。でもあまり他所でワッフル買って食べてみたことないから、どこのよりおいしいとかはいえません。うちは少人数なので、ゴールデンウイークとかお盆・年末の帰省シーズンとかで小さい子が遊びに来る時くらいしか買ってあげられないのが、せっせと宣伝メール送ってきてくれるお店に申し訳ないような気がするくらい。
August 23, 2005
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赴楚州次自田途中阻淺問張南史楚城今近遠、積靄寒塘暮。水淺舟且遲、淮潮至何處。【韻字】暮(去声、遇韻)・處(去声、御韻)。「暮」は『広韻』において(去声、暮韻)に属する字で、遇韻と同用であり、御韻は独用(他の韻とは通用しない)ということになっているが、20番の詩においても御韻の字と遇韻の字を通韻として用いてあるので、劉長卿の活躍した時代は同用と考えられていたのであろう。【訓読文】楚州に赴かんとして白田に次(やど)り、途中浅きに阻まれ張南史に問ふ。楚城今近遠、積靄寒塘の暮。水浅くして舟且遅し、淮潮何の処にか至る。【注】○楚州 江蘇省淮安県。治所は山陽県にあり。○次 やどる。○自田 「白田」の誤り。白田は江蘇省宝応県城の西南。○問 問いかける。質問する内容の詩を詠んでおくる。○張南史 字は季直。幽州(いまの北京)の人。天宝の末、左右衛倉参軍に任ぜらる。至徳元載、李■(イトヘンに予。ジョとよむ)とともに李希言(李ジョの父、江東采訪使)をたよって地を蘇州に避け、のちに揚州揚子に閑居した。大暦五年、皇甫冉と江を隔てて唱酬し、十一年、宣州宣城に転居す。建中の初から貞元二年にかけて、朝廷より召されたが、赴任しないうちに没した。○積靄 川にかかる深いもや。○寒塘 寒々とした川の土手。○淮潮 淮水の潮。淮水は河南省桐柏山に源を発し、安徽省・江蘇省を流れて海に注ぐ。【訳】楚州に赴任しようとして白田に宿泊したが、途中で舟が浅瀬にはばまれ、張南史に問いかけた詩。楚城はここからどれくらいの距離だろう、この寒々とした川の土手の夕暮れは深いもやにつつまれている。川の水は浅く舟はなかなか進まない。いったい淮水の潮はどこへ引いてしまったのだろう。
August 23, 2005
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茱萸灣北答崔載華問荒凉野店絶、迢逓人煙遠。蒼蒼古木中、多是隋家苑。【韻字】遠・苑(上声、阮韻)。【訓読文】茱萸灣の北にて崔載華の問ふに答ふ。荒凉として野店絶え、迢逓として人煙遠し。蒼蒼たり古木中、多くは是れ隋家の苑。【注】○茱萸湾 今の江蘇省江都県の西北の湾頭鎮。 ○崔載華 2番に見ゆ。○荒凉 荒れ果てたさま。○野店 野中の旅籠。○迢逓 遠くはるかなさま。○人煙 人家のかまどから立ち上る煙。転じて人家。○蒼蒼 あおあおと樹木が生い茂るさま。○古木 年ふりた木。○隋家苑 隋王朝時代からある庭園。【訳】茱萸湾にて友人の崔載華の質問に答えた詩。荒れ果てさびれて野中には旅籠もなく、人家の煙もはるかにとおくに見えるばかり。老木が鬱蒼としげって薄暗く見えるのは、ほとんどが隋王朝時代に栄えた庭園とおぼしいが、いまとなっては見る影もない。
August 23, 2005
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送靈■(「徹」のギョウニンベンをサンズイに変えた字。テツとよむ)上人 蒼蒼竹林寺、杳杳鐘聲晩。荷笠帯夕陽、青山獨歸遠。【韻字】晩・遠(上声、阮韻)。【訓読文】霊テツ上人を送る。蒼蒼たり竹林の寺、杳杳たり鐘声の晩。笠を荷(にな)ひ夕陽を帯び、青山独り帰ること遠し。【注】○霊テツ上人 俗姓は湯、字は源澄。またの字は明泳。会稽(浙江省紹興)の人。幼くして雲門寺に出家し、粛宗・代宗のころ厳維より詩を学び、大暦の間、詩をよくするをもって名声江南に振るった。んだ。元和十一年、宣州開元寺に卒す。○蒼蒼 青々としたさま。草木の茂るさま。○杳杳 深く暗いさま。○晩 ゆうぐれ。○荷笠 かさをかぶる。○青山 樹木が青く茂った山。【訳】霊テツ上人さまがお帰りになるのを見送る。青々とした竹林のなかの寺、梵鐘の音がひびく薄暗い夕暮れ。笠をかぶって夕陽を浴びながら、上人様は一人で遠くの山寺へお帰りになる。
August 23, 2005
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趣味の漢詩の一部には楽天ブログでうまく表示されない(書き込みのできない)第二水準以外の漢字もあり、やむなく■などの記号を使って直後に(クサカンムリに卯。ボウとよむ)などと説明を加えています。もとの漢字を確認なさりたい方は下記をご覧ください。詩のタイトルの前の番号は共通です。http://masasenoo.fruitblog.net/
August 20, 2005
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送方外上人孤雲將野鶴、豈向人間住。莫買沃州山、時人已知處。【韻字】住(去声、御韻)・處(去声、遇韻)。『広韻』には御韻は独用とするが、後出23番の詩においても、去声遇韻に属する暮と去声御韻に属する處を韻字に用いているところから、劉長卿の活躍した時分には同用であったと推定される。【訓読文】方外上人を送る。孤雲と野鶴と、豈人間に向(お)いて住(とどま)らんや。買ふ莫かれ沃州山、時人の已に知る処なり。【注】○方外上人 未詳。上人は僧の敬称。○孤雲 ただひとつ空に浮かぶ雲。孤独な人・隠者などのたとえ。○野鶴 野山に住むツル。官に仕えず世を避けて隠れている人のたとえ。○人間 ジンカン。人の世。俗世間。○沃州山 浙江省新昌県東に在る山。天姥山と対峙し、放鶴峰・養馬坡あり。白居易に《沃洲山禅院記》あり。○時人 その時代の人々。同時代の人々。【訳】方外上人さまがお帰りになるのを見送る。たった一つ空に浮かんぶ雲や野山に住むツルが、どうして俗世間にとどまっていることができましょうか。それと同様に孤独で気高い上人様も山寺へと帰って行かれる。沃州山に修行のための寺を建てる土地を買うなんておやめなさいまし、あそこはもはやみんなに知られた著名な観光地で俗っぽすぎますぞ。
August 20, 2005
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寄龍山道士許法稜悠悠白雲裏、獨住青山客。林下晝焚香、桂花同寂寂。【韻字】客(入声、陌韻)・寂(入声、錫韻)。【訓読文】龍山の道士許法稜に寄す。悠悠たり白雲の裏、独り住む青山の客。林下昼香を焚き、桂花同に寂寂たり。【注】○龍山 この名の山は各地にあるが、湖北省江陵県の西北にある山をいうか。○道士 道教の修行を積んで不老長生の術を会得した人。○許法稜 未詳。○悠悠 はるかに遠いようす。○青山 樹木が青々と茂っている山。○林下 はやしの中。○桂花 木犀の花。○寂寂 ものさびしく静かなさま。【訳】竜山の道士 許法稜に贈る詩。はるか遠く白雲のたなびくあたり、君はひとり樹木青々としげる竜山に住んでおられる。林の中で昼間は香を焚いて修行なさっておられるのだろうが、今頃はモクセイの花もひっそりと美しい花を咲かせていることであろう。
August 20, 2005
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其四狎鳥携稚子、釣魚終老身。殷勤囑歸客、莫話桃源人。【韻字】身・人(平声、真韻)。【訓読文】其の四。鳥に狎れ稚子を携へ、魚を釣つて老身を終ふ。殷勤として帰客に嘱望す、話す莫かれ桃源の人を。【注】○狎 したしみたわむれる。漁師の息子がよくカモメと無心にたわむれていたが、その父親にオレのペットにするから捕まえて来いと言われて捕まえにいったところ、カモメがそばに寄りつかなくなったという『列子』に見える故事。そこから、「狎鳥」は無心に自然の動物とたわむれる隠居生活をいう。○稚子 おさなご。○釣魚 これも隠居生活をいう。○殷勤 ねんごろ。慇懃。○囑 いいつける。たのむ。○歸客 故郷に帰る旅人。○老身 老年。○莫話桃源人 陶淵明の《桃花源記》「外人の為に道(い)ふに足らざるなり」。俗世間と無縁の理想郷に迷い込んだ漁師が元の世界に帰るときに、理想郷の人が、ここのことは口外しないように口止めしたことをいう。【訳】その四。鳥と遊んだり、おさなごを連れて散歩したり、釣りをしたりして老後を送っている。あなたがたは故郷へ帰られるが、くれぐれも私がこんな隠居じみた生活をしているとは他人に口外なさるな。
August 14, 2005
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其三雁還空渚在、人去落潮翻。臨水獨揮手、殘陽歸掩門。【韻字】翻・門(平声、元韻)。【訓読文】其の三。雁還り空渚在り、人去つて落潮翻へる。水に臨んで独り手を揮(ふ)り、残陽帰つて門を掩(おほ)ふ。【注】○還 かえってゆく。立ち去る。○ひと気のない水際。○落潮 引き潮。○揮手 手をふって別れを惜しむ。○殘陽 夕陽。○掩門 門をとじる。【訳】其の三。ガンは去って何もない水辺、あなたがたが立ち去ったあとは引き潮が打ち寄せるばかり。川べりで独りとりのこされる私は別れを惜しんで手を振り、夕陽のなかしょんぼり帰宅して門を閉じる。
August 14, 2005
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其二半邏鶯滿樹、新年人獨還。落花逐流水、共到茱萸灣。【韻字】還・灣(平声、刪韻)。【訓読文】其の二半ば邏(めぐ)れば鴬樹に満ち、新年人独り還る。落花流水を逐(お)ひ、共に茱萸湾に到らん。【注】○鶯 コウライウグイス。チョウセンウグイス。○逐 追いかける。○茱萸湾 江蘇省江都県の東北の運河。【訳】渡し場の付近をぶらぶらと見て回ると、チョウセンウグイスが木々の枝を沢山飛び回り、むこどのを見送った私は新年だというのに独りさびしくもときた道を引き返す。川の流れを追いかけるように花びらは散り、婿殿たちとともに茱萸湾まで行くことであろう。
August 14, 2005
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送子婿崔貢甫李穆往揚州渡口發梅花、山中動泉脉。蕪城春草生、君作揚州客。【韻字】脉・客(入声、陌韻)。【訓読文】子婿崔貢甫・李穆の揚州に往くを送る。渡口梅花発(ひら)き、山中泉脈動く。蕪城春草生じ、君は揚州の客と作(な)る。【注】○子婿 むすめむこ。○崔貢甫 劉長卿のむすめむこ。○李穆 劉長卿のむすめむこ。建中年間から貞元年間(780-805)のころ揚州にいた。○揚州 江蘇省江都県。蘇州と並ぶ観光地。○渡口 渡し場。○發 花が咲く。花が開く。○泉脉 地中の水の流れ。○蕪城 荒れ果てた都市。とくに漢代から栄えた広陵城が南朝の宋の時代に荒廃したのをいう。いまの江蘇省揚州市の東北の地。【訳】むすめむこの崔貢甫と李穆が揚州に行くのを見送る。出発の今日、渡し場のほとりでは梅が咲き、山では地下水が滾々とながれる。あなたがたは揚州へ旅立つわけだが、蕪城でも春の草が生い茂っていることであろう。
August 10, 2005
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遊南國偶見在陰墻下葵因以成詠此地常無日、青青獨在陰。太陽偏不及、非是未傾心。【韻字】陰・心(平声、侵韻)。【訓読文】南国に遊び偶(たまたま)陰墻の下に葵を見て因つて以て詠を成す。此の地常に日無し。青青として独り陰に在り。太陽偏へに及ばず、是れ未だ心を傾けざるにはあらず。【注】○遊 旅をする。○陰墻 陽の当たらない垣根。不遇の境遇に置かれた我が身を暗示する。○葵 ひまわり。中国では「葵花(キカ)日に向かふ」とか「葵傾(キケイ)」などといって、ヒマワリの花が日光に向かって傾くことに、家臣や人民が君主を仰ぎ慕うことになぞらえる。○常 いつも。○青青 植物が盛んに茂るさま。○偏 かたよる。○傾心 心を寄せる。天子を仰ぎ慕うことと、ヒマワリが花芯を太陽に向かって傾けることをいいかけた。【訳】南国へ旅をしたおち、偶然、日陰の垣根のところにヒマワリが咲いているのを見て、そこで作った詩。この地はいつも曇ってばかり。一本のヒマワリが日陰にあおあおと葉を茂らせている。太陽の光はかたよってここにはとどかない。それでも太陽に心を寄せないわけではないのだ。
August 10, 2005
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聽彈▲(琴の「今」の部分を「木」と書く字)■■(サンズイに令。レイレイ)七絲上、静聽松風寒。古調雖自愛、今人多不彈。【韻字】寒・彈(平声、寒韻)。【訓読文】琴を弾くを聴く。■■(サンズイに令。レイレイ)たり七絲の上、静かに聴く松風の寒きを。古調自ら愛すると雖も、今人弾かざるもの多し。【注】○▲ 「琴」の異体字。もと五弦であったが、のち七弦になった。○■■(レイレイ) 音声の盛んなようす。また、風の音の形容。○七絲 琴の七本の弦。○松風 琴の音は往々にして松風にたとえられる。『李●(山へんに喬。キョウ)百詠』《風》「松風夜琴に入る」。『斎宮女御集』「琴の音に峰の松風かよふらしいづれのをよりしらべそめけむ」。○古調 古風な調子の曲。○今人 ちかごろの人。『源氏物語』《手習》「いまやうは、をさをさなべての人の今は好まずなり行くものなれば、なかなかめづらしくあはれに聞こゆ。松風もいとよくもてはやす」。【訳】琴を弾くのを聴く。七弦の琴から盛んに音が発せられる。静かに耳をすませて聴いていると寒々とした松風の音のようだ。自分としては古風な調子の曲が好みなのだが、最近では弾く者がめっきり減ってしまい残念に思っていたが、今日は古調が聴けてうれしい。
August 10, 2005
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過白鶴觀尋岑秀才不遇不知方外客、何事■(金へんに巣の旧字。鎖の俗字)空房。應向桃源裏、教他喚阮郎。【韻字】房・郎(平声、陽韻)。【訓読文】白鶴観に過(よぎ)りて岑秀才を尋ぬれども遇はず。知らず方外の客、何事ぞ空房を鎖(とざ)す。応に桃源の裏に向(おい)て他をして阮郎を喚ばはしむべし。【注】○過 立ち寄る。通りかかる。○白鶴觀 観は道教寺院。いまの湖南省臨武県城区の東南隅にある。○岑秀才 未詳。秀才は、才能学問のすぐれた人。また、科挙(官吏登用試験)の受験資格を有する者。○方外客 浮世を超越した世界にすむ人物。岑秀才をさす。○何事 いったいどうして。○空房 からっぽの部屋。○桃源 陶淵明が桃花源記で描いた仙境。○阮郎 後漢の永平年中に劉晨とともに天台山に薬を採りに入り、仙境に迷い込んで仙女にもてなされた阮肇をさすのであろう。 【訳】白鶴観に立ち寄って、岑秀才を訪問したが遇えなかったので、作った詩。浮世離れした岑君はいったいどうして部屋をとざしたまま、なかなか戻ってこないのかしら。きっと仙境へ行って、仙境の取次ぎ役に阮肇でも呼び出させて長話でもしてるのだろう。
August 9, 2005
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送張十八歸桐廬歸人乗野艇、帯月過江村。正落寒潮水、相隨夜到門。【韻字】村・門(平声、元韻)。【訓読文】張十八の桐廬に帰るを送る。帰人野艇に乗り、月を帯びて江村を過ぐ。正落寒潮の水、相随つて夜門に到る。【注】○送 見送る。○張十八 張姓で排行が十八の人物。未詳。張籍という詩人がいるが、活躍した時代が劉長卿よりもややくだり、出身地も呉郡(江蘇省蘇州)なので、この詩に桐廬とあるのと一致しない。張籍(766年頃-830年頃)。字は文昌。排行は十八。呉郡の人。韓愈に才を見出された。貞元13年の進士。水部員外郎、主客郎中、国子司業などをつとめた。○桐廬 浙江省桐廬県。○歸人 故郷にかえる人。○野艇 野川を行く細長い小船。○江村 水辺の村。○正 ちょうど。○落 潮が引く。○寒潮 冷たい潮。【訳】張十八君が故郷の桐廬に帰るのを見送る。君はこれから故郷へ帰ろうと野川を行く小船に乗り込み、月に照らされながら水辺の村を通り過ぎて行く。ちょうど冷たい潮も引きはじめたころあいだ。月と潮をともなって晩には家につくであろう。
August 9, 2005
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瓜洲道中送李端公南渡後歸揚州道中寄片帆何處去、匹馬獨歸遲。惆悵江南北、青山欲暮時。【韻字】遲・時(平声、支韻)。【訓読文】瓜洲の道中にて李端公の南渡するを送りて後、揚州に帰る道中にて寄す。片帆何れの処にか去り、匹馬独り帰ること遅し。惆悵す江の南北、青山暮れんと欲する時。【注】○瓜洲 江蘇省揚州市の南の瓜洲鎮。○道中 途中。○李端 唐の詩人。字は正己。趙州(今の河北省趙県)の人。若くして嵩山にこもり道教を学ぶ。大暦5年(770)の進士。秘書校書郎、杭州司馬などをつとめた。晩年は病気を理由に退職し、衡山に隠棲し、みずから衡岳幽人と号す。大暦十才子の一。『李端詩集』がある。○公 敬称。○揚州 江蘇省江都県。○片帆 一方に傾けてあげた帆。○何處 どこ。○匹馬 一匹の馬。○惆悵 恨み嘆く。失望して悲しむ。○欲 いまにも…しそう。【訳】瓜洲の道中で李公が南方へ舟で行くのを見送ってのち、揚州に帰る道中で詩を作って贈る。李公のお乗りになった舟は帆を一方に傾けてあげ、きょうはどこまで行くのやら。わが乗る馬だけは帰宅の足取りも遅い。李公は川の南へ私は川の北へと別れ別れになろうとは、なんとも悲しいことよ。もうじき青山のむこうへ日も沈みそう。
August 9, 2005
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正朝覽鏡作憔悴逢新歳、茅扉見舊春。朝來明鏡裏、不忍白頭人。【韻字】春・人(平声、真韻)【訓読文】正朝鏡を覧て作る。憔悴して新歳に逢ひ茅扉に旧春を見る。朝来明鏡の裏、白頭の人に忍びず。【注】○正朝 正月の朝。○憔悴 やせ衰えたようす。○新歳 新年。○茅扉 かやでできたとびら。粗末な家。○旧春 年内に立春を迎えたから、このように表現したとも、旧年どおりの春景色ともとれる。○朝来 けさがた。○明鏡 くもりのない、物がよくうつる鏡。○不忍 たえられない。がまんできない。○白頭 しらが頭。【訳】正月の朝を迎えて鏡を見て作った詩。やせ衰えて新年を迎えたが、粗末な我が家は旧年とかわらぬ春のけしき。あさがた、くもりのない鏡を覗き込んだが、そこにうつった我が白髪頭は、どうにも見るにたえなかった。
August 8, 2005
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春草宮懷古君王不可見、芳草舊宮春。猶帯裙羅色、青青向楚人。【韻字】春・人(平声、真韻)。【訓読文】春草宮懐古君王見るべからず、芳草旧宮春なり。猶ほ帯ぶ裙羅の色、青青として楚人に向かふ。【注】○春草宮 『中国古典詩詞地名辞典』では、「今の江蘇揚州市の東北に在り。隋の煬帝建つ」とするが、疑義を存す。○懷古 昔を思い出してなつかしくしのぶ。○君王 一国の君。君主。ここでは腰の細い宮女を好んだという楚の霊王を指すか。○芳草 香りのよい草。また、よい香りのする花をつけた草。○裙羅 羅裙。うすぎぬのすそ。うすぎぬのスカート。○楚 戦国七雄の一。周の成王が熊繹を封じた国。都は丹陽。春秋のとき王を称し、揚子江中下流を領していたが、秦に滅ぼされた。?~前223。【訳】春の草おいしげる宮殿あとで昔をしのぶ。君主はもはやこの世におらぬ。古びた宮殿の遺跡はあれど、香りたかい春の草が生い茂っているありさま。草だけは昔と変わらず、いまだ宮女のうすぎぬのスカートの色を髣髴とさせるように、この楚の地の人に緑色を見せているよ。
August 8, 2005
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斑竹蒼梧千載後、斑竹對湘■(サンズイに元の字。ゲンとよむ)。欲識湘妃怨、枝枝滿涙痕。【韻字】■(ゲン)・痕(平声、元韻)。【訓読文】斑竹。蒼梧千載の後、斑竹湘ゲンに対す。識らんと欲す湘妃の怨、枝枝涙痕満つ。【注】○斑竹 まだら模様がある竹。帝舜の妃の娥皇・女英が舜の死を悼んで流した涙がまだら模様になったという。○蒼梧 伝説で舜が南方をめぐって死んだところ。湖南から広西にかけての地。諸説あって特定できない。○湘ゲン 湘水とゲン水。いずれも湖南省洞庭湖に注ぐ川。○湘妃 6番の注に見える。○涙痕 涙のながれた跡。【訳】まだらもようの竹。帝舜が没して長い年月ののち、この蒼梧の地をおとずれたところまだら模様の竹が湘水とゲン水を前に生えている。娥皇・女英のお二方の悲しみはどれほど深かったであろうか。数千年たった今でも、竹の枝枝に落ちた涙のあとがいっぱいのこっている。
August 8, 2005
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湘妃帝子不可見、秋風來暮思。嬋娟湘江月、千載空娥眉。【韻字】思・眉(平声、支韻)。【訓読文】湘妃帝子見るべからず、秋風暮思来たる。嬋娟たり湘江の月、千載娥眉空し。【注】○湘妃 中国の伝説上の天子堯帝の二人のむすめ娥皇と女英。ともに舜の妃となったが、舜が旅先で没したのを聞き、二人そろって湘江に入水し、湘君という水神になったという。○帝子 帝王のみこ。○嬋娟 あでやかで美しい。○湘江 湖南省を流れる川で、瀟水と合流して洞庭湖に注ぐ。○千載 千年。長い年月。○娥眉 美しいまゆ。美人。【訳】湘水に身を投げたお妃さま。帝堯のひめみこさまたちは、もうこの世で見ることはできない。こうして秋風が吹く夕暮れは、ことに彼女たちのことがしのばれる。湘江の上空にはあでやかで美しい月がかかっている。美女の眉毛のような形のあの三日月を見ていると、何千年も前に空しく身を投げられた娥皇・女英のお二人のお顔が想像される。
August 7, 2005
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夜中對雪贈秦系時秦初與謝氏離婚謝氏在越月明花滿地、君自憶山陰。誰遣因風起、紛紛亂此心。【訓読文】夜中雪に対し秦系に贈る。時に秦初め謝氏と離婚し、謝氏越に在り。月明花地に満ち君は自から山陰を憶ふ誰か風に因つて起らしめ紛紛として此の心を乱す【韻字】陰・心(平声、侵韻)。【注】○對 むかう。前にする。○秦系 3番の注に見える。○謝氏 秦系の嫁であろう。○越 春秋時代に越の国があったところから浙江省をいう。○花 雪の別名を天花という。○山陰 浙江省山陰県。治所は今の紹興市。○遣 使役をあらわす助辞。 ○紛紛 雪の乱れ降る形容。【訳】夜中に雪景色を見ながら詩を作り秦系に贈る。時に秦初め謝氏と離婚し、謝氏は越にもどっていた。月明かりのなか雪片は地に満ち君は自から故郷の山陰を思い出していることだろういったい誰がこんなに強い風を吹かせ雪を乱れ降らせて此の心をかき乱すのだろう
August 7, 2005
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秦系頃以家事獲謗因出舊山毎荷觀察崔公見知欲歸未遂感其流寓詩以贈之初迷武陵路、復出孟嘗門。 廻首江南岸、青山與舊恩。 【韻字】門・恩(平声、元韻)。【訓読文】秦系の頃(このごろ)家事を以て謗を獲(え)、因つて旧山を出で、観察崔公の見知を荷(にな)ふ毎(ごと)に帰らんと欲するも未だ遂げず。其の流寓詩に感じ以て之を贈る。初めて迷ふ武陵の路復た出づ孟嘗の門首(かうべ)を廻(めぐ)らす江南の岸青山と旧恩と【注】○秦系 3番の注に見える。○頃 ちかごろ。○家事 一身上のこと。大暦十二、三(777-778)年頃の妻との離婚。○旧山 故郷。ふるさと。○荷 になう。恩恵をうける。○観察崔公 観察使(地方政治を総理する官吏)の崔某。○見知 もと漢代の官吏を処罰する法律で人の犯罪を知りながら、故意に見過ごして検挙しないやりかた。目こぼし。○流寓 放浪して一時他郷に身を寄せること。寓は仮住まい。○武陵 東晋の陶淵明の《桃花源記》に描かれた仙境。一説に今の湖南省常徳県。ここは暗に故郷を指す。○孟嘗 孟嘗君。戦国時代、四君の一。斉の田嬰の子。名は文。斉の大臣となり食客数千人を養った。親分肌の人物で薛に封ぜられた。ここは暗に崔公を指す。○廻首 振り返って見る。○江南 揚子江下流の南方。○旧恩 むかし受けた恩義。 【訳】この年になって初めて故郷を失う憂き目にあい、また今度は崔公さまのもとをおいとまして故郷へもどることになった。江南の岸の船着場で振り返って見ると、むこうには青く美しい山が見え、いままで受けた御恩がしみじみと思い出される。
August 7, 2005
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贈秦系徴君 羣公誰譲位、五柳獨知貧。 惆悵青山路、煙霞老此人。 【韻字】貧・人(平声、真韻)。【訓読文】秦系徴君に贈る。群公誰にか位を譲らん五柳独り貧なるを知るのみ惆悵す青山の路煙霞の此人を老いしむるを【注】○秦系 字は公緒。会稽の人。天宝の末、乱を■(左に炎、右にリットウ。センとよむ)渓に避く。泉州南安の九日山中に隠棲す。『老子』に注す。○徴君 学徳高く天子から招かれても、官職につこうとしない者。○群公 天子・君主・諸侯。また最高の官位。三公。公卿。○五柳 東晋の陶淵明は庭に五本の柳を植えて、みずから五柳先生と号した。○惆悵 悲しみ嘆く。○青山 樹木があおあおと茂っている山。○煙霞 モヤとカスミ。山や川の美しい景色。【訳】天子のお召しにも応じぬ秦系に贈る。天子や公卿もほかの誰に位を譲ろうとお考えになろうか、君にこそ位を譲りたいと思っておられる。ただ庭の五本の柳のみが君の清貧に甘んじる気持ちを理解しているかのようだ。それにしても嘆かわしいのは、君ほど才能ある者が、樹木がうっそうと茂る山奥のモヤやカスミの中で、むなしく歳をとってしまうことよ。
August 6, 2005
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送張起崔載華之■(門がまえに虫。ビンとよむ)中 朝無寒士達、家在舊山貧。 相送天涯裏、憐君更遠人。 【韻字】貧・人(平声、真韻)【訓読文】張起・崔載華のビン中に之くを送る。朝に寒士の達する無く家は旧山に在りて貧し相送る天涯の裏憐れむ君の更に遠人とならんことを【注】○張起 唐の代宗朝の人。○崔載華 字は茂実。法曹に官す。貞元四年、陸羽・蕭公瑜らとともに洪州に在りて、詩を作り唱和す。劉長卿・戴叔倫・権徳輿らとも交わった。○之 行く。○ビン中 福建省。○朝 朝廷。○寒士 貧乏人。○達 栄える。出世する。○舊山 故郷。○相送 相手をおくる。○天涯 天のはて。きわめて遠い所をいう。○憐 気の毒に思い、悲しむ。○遠人 遠く離れたところにいる人。【訳】友人の張起と崔載華がこのたびビンチュウに行くのを送り出す。朝廷で貧乏人が出世したためしは無く、実家は故郷の村でも貧しい暮らし。きょう遠くへと旅立つ友を送り出す。君たちがいっそう遠くへ行くことになろうとは、まことに気の毒で悲しい。
August 6, 2005
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逢雪宿芙蓉山主人 日暮蒼山遠、天寒白屋貧。 柴門聞犬吠、風雪夜帰人。 【韻字】遠・貧・人(平声、真韻)【訓読文】雪に逢ひて芙蓉山主人に宿す日暮蒼山遠し天寒うして白屋貧し柴門犬吠ゆるを聞く風雪夜帰る人【注】○芙蓉山 ここは湖南省の衡山をさすか。○白屋 白いカヤで屋根を葺いた家。○柴門 枯れ木の小枝を編んで作った門。【訳】雪に降られて芙蓉山のとある家に宿泊する。日も暮れ遠くに青い山がみえる。空は寒々として今夜とめてもらうのは山中の茅葺きの粗末な家。柴でこしらえた門のところから、犬の吠える声が聞こえてきた。夜になって、風雪のなか、どうやらようやくオヤジがもどってきたらしい。
August 6, 2005
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