名詞であれば、名詞だけでなくて名詞に形容詞が付いたものであっても、2格にして後に持っていくことで、所有を表すことができる。しかし、代名詞、代名詞の中でも人称代名詞に限っては、2格で所有を表すことはできないのである。その代わりに、人称代名詞の所有形とでも言うべきもの、所有代名詞を使う。
日本語の「私の」などのように、名詞の前で使うので、後からかける2格よりもわかりやすいのだが、当然後に来る名詞の性や、単複、格によって形を変えるし、三人称の場合には、所有する人の性によって形や格変化が変わる。チェコ語なので厄介なのは当然と言えば当然なのである。覚えるのは簡単でも、実際に使うのは難しいのとかいくらでもあるしね。たいていはどちらも難しいから、どちらかだけでも簡単なのは喜ぶべきことである。
一つ目のグループで気をつけないといけないのは、単複の1格と、1格と同じ形をとる格である。単数1格は男性「m?j」「tv?j」「sv?j」、女性「má/moje」「tvá/tvoje」「svá/svoje」、中性が「mé/moje」「tvé/tvoje」「své/svoje」となる。二つの形のある女性と中性は、「oje」で終わる後者を使うのが一般的だが、前者を使うと格変化が形容詞とまったく同じになるという利点がある。
すべて並べても煩雑なので、「m?j」を例にして単数の格変化を上げておく。
まずは男性から。
1 m?j
2 mého
3 mému
4 mého(活)/m?j(不活)
5 m?j
6 mém
7 mým
4格は、活動体は2格と同じで、不活動体は1格と同じという名詞、形容詞に共通するルールがここでも適用される。5格が1格と同じなのは、性も単複も問わない形容詞型の格変化をするものに共通の特徴である。
女性は
1 má/moje
2 mé
3 mé
4 mou/moji
5 má/moje
6 mé
7 mou
4格に二つの形があるのが例外的。これも、女性名詞の軟変化の「e」で終わるものを思い浮かべれば、4格が「i」で終わるのは覚えやすい。
中性は、
1 mé/moje
2 mého
3 mému
4 mé/moje
5 mé/moje
6 mém
7 mým
1格と同じ形になる4格、5格を除けば、完全に男性の格変化と同じ。
複数も1格がやっかいで、男性は活動体「mí/mojí」「tví/tvojí」「sví/svojí」、不活動体「mé/moje」「tvé/tvoje」「své/svoje」、女性「mé/moje」「tvé/tvoje」「své/svoje」、中性「má/moje」「tvá/tvoje」「svá/svoje」となる。
今度は二人称を例にしてみる。
男性
1 tví/tvojí(活)tvé/tvoje(不活)
2 tvých
3 tvým
4 tvé/tvoje
5 tví/tvojí(活)tvé/tvoje(不活)
6 tvých
7 tvými
女性
1 tvé/tvoje
2 tvých
3 tvým
4 tvé/tvoje
5 tvé/tvoje
6 tvých
7 tvými
中性
1 tvá/tvoje
2 tvých
3 tvým
4 tvá/tvoje
5 tvá/tvoje
6 tvých
7 tvými
複数は、1格、4格、5格で長い形も使える以外は、形容詞の硬変化とまったく同じ。同じなら完全に同じだと楽なのだが、部分的に違うところがあるのが、外国人に対する嫌がらせに思えなくもない。自然とそうなったものなのだろうけど、文章語としてのチェコ語の正字法が決められたときに、覚えやすさに配慮なんてことはしなかったのかなあ。今後も、標準チェコ語と呼ばれるプラハ方言の要素が入ってきてますます規則性が乱れていくんだろうなあ、なんて悲観的なことを考えてしまう。
長くなったので、手抜きっぽいけど今日はここでおしまい。
2020年2月8日24時。
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