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2020年07月01日

チショフスキー追悼(六月廿八日)





 重い病気に冒されて闘病生活を送っているという話は聞いていたが、白血病から復活したコロウシェクの例もあるし、チショフスキー自身も年に一、二回はプルゼニュのスタジアムに、元気なとは言い難かったけど、姿を見せいていただけに、今回の訃報は意外であり衝撃的だった。そんな衝撃の中行われたプルゼニュとスパルタの試合は、プルゼニュが2-1で勝って勝利をチショフスキーに捧げることに成功した。
 試合はチショフスキーに捧げる1分間の黙祷で始まり、スタジアムに姿を表した家族、妻と子供たちへの拍手で終わった。監督のグリャの話では、早朝に届いたニュースにショックを受けていた選手たちの気持ちを試合に向けるのにGMが事情説明の演説をする必要があったという。3年前のライトラルとビストロニュに続いて、プルゼニュで守備の中心として活躍した選手が、また一人早すぎる死を迎えたということになる。リンベルスキーなどの当時から現在までプルゼニュでプレーし続けている選手の受けたショックの大きさは想像にあまりある。バコシュやコラーシュなど選手ではなくスタッフとしてチームに残っている人も多いようだし。


 細かいことは覚えていないけれども、チャンピオンズリーグの予選や本選、ヨーロッパリーグなどの試合でも活躍し、応援している側としてはチショフスキーが出ているのと、いないのとでは、見ているときの安心感が違った。それが移籍後3年目ぐらいだっただろうか、最初は膝の怪我で欠場と発表されていたのに、いつの間にか重大な病気での欠場に変わり、そのまま一度も復帰することなく選手生活を終えた。
 最初のうちは病気と怪我が癒えたら復帰するのだろうと期待していたのだが、時間の流れと共にその期待は小さくなり、闘病中にスタジアムに姿を表し観戦する姿にも復帰は難しそうだという印象は抱いていた。それでもこんなに早く亡くなるとは予想もしていなかった。ニュースによれば病気が判明してから、6年にもわたって最後まで諦めずに闘病を続けていたという。

 チショフスキーを襲った病気は、ALS、筋萎縮性側索硬化症と呼ばれる病気で、現在でも治療法が確立されておらず不時の病とされている。数年前に社会現象と化して世界を席巻したアイス・バケツ・チャレンジ運動の支援の対象とされた病気である。キャリアの終盤に差し掛かっていたとはいえ現役のスポーツ選手が、このような病気で現役引退を強いられるのは悲しいことである。
 プルゼニュではチームだけでなくファン達も、功労者の一人であるチショフスキーの闘病を支援するために、しばしば募金活動などを行っていた。保険があるとは言ってもこの手の難病の治療にはあれこれお金がかかるものだし、こういう支援は本人だけでなく家族にとってもありがたいものだったはずだ。だからこそ、悲しみをこらえてスタジアムに足を運んで感謝の気持ちを表わそうとしたのだろう。

 それにしても、2010年代初めのプルゼニュの黄金時代の幕開けのころに中心として活躍した選手で、今も現役を続けているのは、リンベルスキーとスロバーツコで現役を続けるペトルジェラぐらいだろうか。ぎりぎりでドイツで頑張っているダリダと、ドイツから戻ってきてズリーンにいるイラーチェクも入るかなあ。時の流れというのは残酷なものである。
2020年6月29日10時。














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