そもそも、スラビアが中国の何とかいう金融グループに買収されたときから、スラビアの選手たちが中国に大量輸出されるのではないかという恐れはあった。スラビアは最近育成がうまくいっていて、若手の有望株が何人も登場しているので、その若手選手たちが中国に移籍して才能を開花させることなく、数年後に劣化して帰国することを恐れていたのだ。
しかし、若手の将来有望な選手ぐらいでは金満中国チームの所有欲を満足させることはできなかったらしい。昨年のU21のヨーロッパ選手権で、スラビアの選手が何人か活躍したのだが、中国に買われていくことはなかった。若い未完成の選手を買って、育てていこうという考えは持っていないようで一安心である。ヨーロッパのカップ戦や、代表で活躍する前に若くして外国に買われていって成功したと言える選手は、ヨーロッパ内でもほとんどいないのだから、中国移籍が成功するとは思えない。
今回シュコダが、購入の対象になったのは、EUROのチェコ代表に選出され、実力を発揮できなかった選手が多かった中、クロアチア戦でゴールを上げるなど、チェコ代表の中では活躍し名前を売ったことから、獲得するかいがあると思われたのかもしれない。スラビアとしても、もしくはオーナーの中国企業としても、最近活躍し始めたばかりだとは言っても、遅咲きですでに三十代のシュコダは売り時だったのだろう。
シュコダの移籍が実現するかどうかは、七月四日の月曜日までに決定されるらしいが、スラビアではすでに代役となるべきFWの選定もすんでいるようだしほぼ決まりのようだ。
中国リーグには、以前プルゼニュで活躍して代表にも呼ばれていたレゼクが、キプロスのチームから移籍して半年ぐらいプレーしたことがあるはずだが、ほとんど話題になっていないことを考えると、大して活躍はできなかったのだろう。活躍していたら半年で終わりにはなっていないはずだし。だから絶対にシュコダが活躍できるというわけではないのだが、下手に活躍なんかしないでとっととチェコに戻って来てほしいと思う。
日本に行くのなら心の底から応援できるのだけど、いろいろな意味で悪名高い中国リーグで、チェコ人選手ブームなんか起こって、ヨーロッパの主要リーグでは活躍できないレベルの代表選手が軒並み中国移籍なんてことになったら、代表の弱体化がさらに進みそうである。中国企業は代表だったか、協会だったかのスポンサーにもなっているし。ここはアメリカや、インドなどと同じで、キャリア終盤の選手が、引退直前に移籍するような形で落ち着いてくれると嬉しい。
近年ドイツやイタリアなどのヨーロッパの主要リーグに移籍して、チームの主力として活躍できるチェコ人選手の数が減っている。今回の代表だとドイツに行ったダリダとカデジャーベクぐらいだろうか。最近移籍した中では、ドイツに行ったイラーチェク、ピラシュ、カドレツなんかは、さまざまな理由で成功できずにチェコに帰ってきたし、イタリアではバツェクもフシュバウエルもラブシッツもほとんど活躍できなかった。このあたりの選手が国外移籍のチャンスを生かしきれずにチェコに戻ってきてしまったのも今回のEUROでチェコ代表が活躍できなかった理由のひとつだろう。
チェルシーに買われていったカラスはいまだに期待の若手のままだし、アヤックスでがんばっているチェルニーも代表に定着するにはしばらく時間がかかりそうなことを考えると、現在の状況が急速に変化するとも思えない。もうしばらくは、シュコダのようなベテランにがんばってもらう必要があるんだよなあ。中国移籍なんか破談になればいいのに。
7月4日18時30分。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image