アイスホッケーの世界選手権には、以前は世界に向けた普及のためにアジア枠なんてのがあって、アジアのチームも、大抵は日本だったけど、出場していたのだが、廃止されて以降、日本は出場さえしたことがないはずだ。今回はアジアと呼んでいいのかどうかわからないけれども、旧ソ連のアイスホッケー圏であるカザフスタンが出場している。
そのカザフスタンも、今大会の衝撃の一翼をになっている。グループBに入ったカザフスタンは、初戦で開催国のラトビアに、延長でも決着がつかずシュートアウトの末に2−3で勝利した。ここまではまだたいした驚きではなかったのだが、続くフィンランドとの試合でも同様の経過で2−1で勝ったのである。その後アメリカとカナダには負けたものの、ドイツとイタリアに勝って、最終戦を前に勝ち点10で、グループ8チームのうち3位につけていた。
グループ下位に沈むノルウェーに勝っていれば文句なく準々決勝進出だったのだが、最終戦で体力の限界だったのか、1−3で負けてしまう。そして、フィンランドがカナダに勝ちはしたものの延長までもつれ込んだことで、カナダが勝ち点1を獲得して、10で並んでしまった。直接対決で負けているカザフスタンの望みは消えたのである。この時点では、グループ4位だったけど、勝ち点9でならぶドイツとラトビアの試合が控えていたので、敗退が決定してしまった。
二つ目のグループBの驚きは、カザフスタンと最後まで準々決勝進出を争ったカナダである。正確にはカナダの不調である。初戦で開催国のラトビアに0−2で負けたのは、いやラトビアがカナダに勝ったのは、今大会の衝撃の中でも一番大きいものの一つだった。二試合目もアメリカに負けたのはともかく、1−5という大差がついたのには驚かされた。解説者たちもこの二試合全然いいところがなかったと言っていた。さらに三試合目にドイツに1−3で三連敗となったときには、準々決勝進出の可能性はほぼなくなったように見えた。
その後、カザフスタンに勝ってカザフスタンがノルウェーに負けてくれたおかげで、可能性が復活したのだが、フィンランドとの最終戦が終わった時点で勝ち点10。その下に勝ち点9でドイツとラトビアというカナダが負けたチームが並んでいて、準々決勝進出をかけて直接対決することになっていた。つまり、試合が60分で終了すればカナダの準々決勝進出が決まり、延長に入った時点で敗退が決まるという状況だったのである。残念ながらドイツが延長なしで2−1で勝利したためカナダのグループ4位が決まった。
グループBの順位は結局上から、アメリカ、フィンランド、ドイツ、カナダ、カザフスタン、ラトビア、ノルウェー、イタリアの順番となった。番狂わせと言いたくなるような試合をしなかったのは、フィンランドに負けた以外は全勝のアメリカと、全敗のイタリアぐらいだろうか。アメリカも予想外の接戦に持ち込まれることは多かったけれども、きっちり勝ちきっていた。反対にイタリアは善戦はしてもそれを勝ち点にはつなげられなかった。
毎回毎回上位に進出するチームが同じではつまらないので、カナダが落ちて、カザフスタンかラトビアが進出することを期待していたのだが、残念ながらそうはならなかった。準々決勝の常連とはいえないドイツが、しかも3位で進出したのだからよしとするか。よく考えると、こちらのグループでは、ラトビアとドイツが最後の4つめの席を占めると予想されていたのだから、経過はともかく結果に関しては番狂わせはなかったと言ってもいいのかもしれない。
2021年6月2日24時30分。
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