海外旅行紀行・戯言日記

海外旅行紀行・戯言日記

2002.11.18
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テーマ: 本日の1冊(3696)
カテゴリ: Books
フランツ・カフカ(Franz Kafka)は、オーストリア・ハンガリー帝国に属していたプラハにユダヤ系ドイツ人として1883年に生まれ,生涯のほとんどをこの町で過ごしました。 労働災害保険協会に末端の官吏として勤務するかたわら,「判決」「変身」「城」「審判」などの作品を残し、1924年貧困の内に結核で1924年亡くなったのです。
死後20年程は殆ど忘れられた存在だったのですが、第二次世界大戦後フランスを中心とした実存主義哲学の台頭と共に脚光をあび、「非現実的」で「不可思議」な「不条理」を扱った「実存主義」の先駆として一躍注目を浴びることになりました。日本では昭和30年代に紹介されました。

彼はプラハに住んでいてもチェコ人で無く、ドイツ系であり、そうであってもドイツ人で無くユダヤ人である、と言う二重の否定の精神構造を条件とする「異邦人」であったのです。彼の迷路を彷徨うような出口のない謎に満ちた文学空間は、理由を明らかにせず、主人公が彷徨う軌跡を克明に記述するだけなので、読者も途方に暮れて困惑させられるのです。

「変身」は短編で、奇妙な書き出しから始まります。「その朝、何か重苦しい夢から目覚めると、グレゴール・ザムザはベッドで毒虫に変身している自分を発見したのです」
その後、数日間その状態にもがき苦しむのですが、事態の好転は無く、変身した姿を家族にも見られて家族の絆も失ってしまい、妹のみが哀れみをかけるのですがどうしようも出来ません。挙げ句の果ては父親の投げつけたリンゴによって傷つきそれが元で、カラカラになって死んでしまうのです。

結びは、又何事も起こらなかった様に淡々とした日常生活を描写することで終わります。
「冬が去って春が来た。ザムザが死んだその日、父母と娘は電車に乗って郊外に出掛けます。・・・ 両親は気がついた。娘がいつの間にか、匂うばかりにふっくらとしている。しかるべき相手を捜してあげる日は近いのだと。電車が停まる。若い娘はのびのびと体をそらして大きくのびをした。」

「城」「審判」など他の小説が、迷路に閉じこめられた世界に埋没する状況に較べて、この「変身」では最後のエピソードで“自己にとって救いがたい疎外状況”が、他人にとって些細なことなのであり、観点を変えれば疎外状況を深刻にならず受け入れ、“シジフォスの神話”的世界を黙々と生活することも出来そうだと言っているのでしょうか?

カフカの呪縛に掛かってしまったかも知れません!





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Last updated  2005.07.12 20:25:47
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Re:カフカ「変身」(11/18)  
こちらへのHP訪問ありがとうございました。m(__)m<br>(本日のダイアリの感想とは違ってしまって申し訳ありません。。)<br>先日、訪問させて頂いたときから、HPの扉が大きく変わりましたね。<br>私は、現在シリコンバレーはStanfordエリアに在住ですが、1999年に出張でドイツに行きました。<br>その際、古城通りの出発点であるマンハイムの街で10日間ほど過ごしました。。。<br>今でも当時の美しい街並みをよく覚えています。<br><br>また、ときどきこちらのHPにも遊びにきてくださいね。 (2002.11.18 17:37:32)

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