海外旅行紀行・戯言日記

海外旅行紀行・戯言日記

2017.05.18
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カテゴリ: Politics
一時は過去の学説として埋もれていた、「騎馬民族征服説」が再び脚光を浴びているとのことです。皇国史観が主流となっている風潮に再びメスが入ろうとしているらしいのです。

1950年代後半、村川賢太郎、江上波夫、林健太郎著の「世界史詳説」は高校の教科書であり、そのまま最良の参考書でもありましたので、その高名は良く記憶しています。

又、駒場の教養学部時代には井上光貞氏は未だ助教授でしたし、「日本国家の起源(1960年、岩波新書)」が発刊され、講義を聞いたこともあって興味深く読んだのですが、邪馬台国九州説と共に騎馬民族征服説を展開していたのでした。
しかし、実証性を重んじる日本史学界は、大陸の民族学専門の江上新説が話題となるのが面白くなく、古代史研究者は批判を展開、従前の皇国史観に戻ってしまったのでした。

江上波夫は、朝鮮半島に進出した騎馬民族は、百済を建国し、4世紀初めに北部九州にやってきたと推理した。北部九州に国を造ったのは崇神天皇で、その後応神天皇が河内に移り、新たな王朝をうち立てたと考えた。
これに対し考古学者の佐原眞は、日本列島に騎馬民族的な文化が移入されたにしても、4世紀初めの北部九州に騎馬民族による征服痕跡は無く、5世紀のヤマトの古墳文化の変化も証明できないと反論、騎馬民族日本征服説は下火になったのだが、征服者が日本を蹂躙したという発想は、戦後史学界に強く影響を及ぼした。

多くの学者は、崇神天皇、応神天皇、継体天皇の三つの政権が登場したことに関しては、認めていて、細かい部分になると、おおよそ、4つの考えに収斂された。
1. 騎馬民族か九州の勢力がヤマトに移動した(江上波夫、井上光貞)
2. 征服されたのでなく、河内土着の勢力が王朝を開いた(岡田精司、直木孝次郎)
3. 三輪王朝が衰退し、その後河内の勢力が王朝を建てた(上田正昭)
4. ヤマトの有力部族が王朝を築き、中心が河内に移動した(笠井敏光、白石太一郎)
どの説も、纒向に興ったヤマト黎明期の王朝は衰退し、あるいは滅ぼされたという考えで固まったのだ。





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Last updated  2017.05.18 08:53:13
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