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「濃厚接触者」(評価 ★★★★☆ 四つ星) ある教区のカトリック教の信者たちが、幼少時(約30年前)に神父に虐待されたことを教会や警察、報道機関に公にし、彼を告発しようとする。 日本語の公式サイトは https://graceofgod-movie.com/ よくできた映画だと思った。 ただ、ぼくは実話を映画化するんだったら、むしろ実際の当事者を取材してドキュメンタリー映画として観てみたかったというのが本音。そのほうが説得力がある。 てか、この作品、フランス映画だけあって、しかも監督がフランソワ・オゾンさんだけあって、映像が芸術的で美しすぎて、かえって現実味がない。リヨンの街もかっこよく撮れてる。 後半にかけてどんどん面白くなっていく。被害者らは30年前の名簿を頼りにこの変態神父との接触者を追跡し、当時かなりの子どもたちが被害に遭っていたことを確信、「被害者の会」を結成し互いに励まし合いながら告発の準備を進める。その一方で、仕事や家庭に恵まれた現在の穏やかな暮らしを犠牲にしてまで嫌な過去を掘り返したくないという者もいる。そのへんの被害者たちの葛藤が一番の見どころ。 カトリック教徒として内部告発するのか、改宗して異教徒の人間として告発するのかという問題もある。自分の信仰する宗教には誇りを持ちたいのは誰でも同じ。 いろいろ詰め込まれてて長い映画だけど、観る価値あり。こうゆう問題は昔も今も実際に存在することをきちんと認識するとこから始めないと。 ちなみに、この作品や「アスリートAの告発」のように被害者目線の作品はけっこう知られてると思うけれど、加害者に直接取材したドキュメンタリーも探せばある。ぼくが観たことあるのは、「Deliver Us from Evil バチカンを震撼させた悪魔の神父」。
Jan 31, 2021
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「未知と言う名の舟に乗り」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 久しぶりに良質のドキドキ系恐怖映画を観た。 舞台は真冬のメイン州の漁村。観てるだけで体温が下がる。 母親の遺した魚屋を切り盛りすることになった若い姉妹が主人公かと思わせといて、この映画は実は老婆たちの物語。長いあいだ海の男や旅人の夜の相手をしたりして村の経済を支えてきた彼女たちのどろどろした確執。 でもって、こんなにいろいろ秘密があるのに、村の男たちや若者たちはそうゆうことを知らない。女の世界は奥深い。 確かに脚本は甘いし、一部演技がおぼつかない俳優さんもいるものの、こうゆう映画はもっと多くの人の目に触れてほしい。おばあちゃん俳優が何人も出演してて、彼女たちがもれなくいい感じだし。 特にイーニドという名の女将を演じた俳優(Margo Martindaleさん)は表彰ものの名演。ぱちぱち。<おまけ:この映画に出てくる英語で覚えておいたほうがいいかもしれない単語3選> skiff 小さい舟 harpoon もり(魚を突いて捕らえる漁具)、やり whorehouse 売春宿(brothelとも)
Jan 30, 2021
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「不要不急のご外出」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 夫に先立たれた女性が主人公。三人の子どもと一緒に慎ましく暮らしていて、あるとき転機が訪れる。https://ja.wikipedia.org/wiki/ザ・シークレット:_デア・トゥー・ドリーム あんまり評価されてない映画であることは存じてはいたものの、なぜ観てみようかと思ったかというと、ぼくはケイティ・ホウムズさんご出演作品をじっくり観たことなかったし、それに舞台がニューオーリンズとのことだったから。街の中心部とか郊外とか湖とかミシシッピ川とかがどのように撮られてるのか気になったりもして。 実際、イマイチ。映画としてのアラが目立つ。原作は「前向き思考」を説く自己啓発本だかで、意識高い系さんたちから大絶賛とのこと。確かに面白そうな本みたいなので、つまるところこの映画は脚色に失敗したということか。無理に恋愛映画とか家族愛映画にしようとしたのが裏目に出てる。 てか、ハリケーンが迫ってるというのに平気で外出したり、あんな場所でこんなことが起こったり、とにかく非現実的なことばかり。ディズニーのアニメ映画とかにしたほうが、細かいとこはごまかせるしもっと売れたのではないか。 日本語圏市場でも配信されてるけど、こうゆう映画こそ、原題をカタカナのまま表記するのではなく、こってりとした日本語で邦題をつけるべきと思う。題名を工夫すればより多くの人に観てもらえる可能性を秘めてる作品。でも、そうなると日本の配給会社ってすぐに「ニューオーリンズの奇跡」みたい題をつけちゃうので、それはそれでビミョー。
Jan 28, 2021
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「呑ませてくださいもう少し今夜は帰らない帰りたくない」 去年(2020年)、ほんとだったら出演するはずだったのに中止になってしまった公演がいくつもあって、そのなかのひとつがミュージカル「キャバレー」。個人的にかなり楽しみにしており、譜面ももらって稽古に向けて着々と準備してた矢先の感染症大流行。残念無念。 てか、ぼくがアメリカに住むようになって初めてブロードウェイで観劇した作品なので思い入れがある。あのときは会場もStudio 54というホンモノのキャバレーだった(劇場ではなく)。 というわけで、このたびおうち時間を活用し、この演目を動画に合わせて最初から最後までバイオリンで演奏してみることに。 作曲はジョン・キャンダーさん。彼は今だいぶご長寿。ぼくは氏の作品は「シカゴ」を弾いた経験あり。 舞台はナチス禍のベルリン。夜の店に出入りするキャバ嬢やユダヤ人らのあれこれ。 作品そのものは1960年代に作られ、映画版や再演版、再々演版とかいろんな版が混在。ぼくが持ってる譜面は1998年版。 1998年版は全部で34の楽曲からなり、バイオリンの出番は20曲のみ。てか、ぶっちゃけ、バイオリンはなくてもなんとかなりそうな版で、実際、バイオリンの譜面に optional と書かれてある。 おそらく表題曲「Cabaret」が最も有名で、あとは「I Don't Care Much」あたりか。 バイオリン奏者的に楽しく弾けると感じたのは、第一幕「It Couldn't Please Me More」や「Maybe This Time」、そしてぼくが何より気に入ってるのは第二幕の序曲(アントラクト)。 是非本番で演奏してみたかった。 演出家によっては、楽団はオケピットではなく、キャバレー楽師という設定で舞台上で演奏することも多い演目。
Jan 27, 2021
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「ジャングル焚いて」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 「お持ち帰り」という題のドキュメンタリー映画。日本未公開(たぶん)。監督はMichal Siewierskiさん。←「食の選択 Food Choices」を監督したお方 ブラジルのアマゾンの密林が人間の手によってどんどん焼かれて消失していっている状況を取材。 森がなくなっていると聞いて、ぼくはてっきり建築用木材が必要だから伐採してるのかなと思ってたのだけれど、そうじゃない。食用の牛を飼育するため、そして牛の餌となる大豆やとうもろこしの畑を作るために森を切り拓いているとのこと。牛さんたちのためだったとは意外。 そして、この映画は環境破壊を論じるというよりかは、人間の食の嗜好、主に牛肉の過剰消費を痛烈に批判している。人が牛を食べるのを止めれば、牛を飼育する必要もないし、さらには多量の餌も必要なくなる。新たな土地などいらない。 森が減り生態系が乱れ、二酸化炭素が浄化されず空気が汚れていく。感染症の流行も森の減少と関連があるらしい。人間は自分たちで自分たちの首を締めている。 さらには、密林奥地に住む原住民さんたちも住む場所を失っていく。部族の方々の悲痛な訴えも紹介される。 肉商売というのは、アメリカ市場を中心に巨大な産業でありカネになるので、ブラジルの政府や企業は森林開拓を奨励してしまっている。環境への悪影響など見て見ぬふり。これがまた事態をややこしくしている。 環境保護活動家も黙っちゃいない。声を上げてせっせと働きかけるのだけれど、結局は何者かに暗殺されたりすることもある。この世はそうゆう異常で複雑な肉食社会。 そもそも、それほどまでにお肉は必要なんでしょうか、てか、皆さんそろそろ肉食やめません?と映画は提案する。 肉食系の方々はガンなどの病気や認知症になりやすいことがわかってきており、つまり地球環境だけでなく人間にも悪影響。いいことなど一つもない。 いろいろな取り組みが紹介される。毎週月曜は肉食を控えましょうという「Meatless Monday」運動とか、子どもたちの給食の献立から徐々に肉をなくしていく試みとか。地球上の人々が少しずつお肉を食べなくなればいい、ただそれだけの話。 本作で次々映し出される酷い映像を見せつけられると、やはりこれは正論と認めざるを得ない。
Jan 24, 2021
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「やかましくない村の子どもたち」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 「金属の音」という題の映画を鑑賞。 急に耳が聞こえなくなった男(しかももと薬物中毒)が主人公。演奏家としての活動は継続できず、恋人も去ってしまう。彼は失意のまま、自分と同じような境遇の中毒者や聾唖者の集う共同体で生活しはじめる。 Amazon Studios配給作品。 観終わってまず感じたのは、主演役者のリズ・アーメッドさん、いろんな賞をお獲りになるだろうなということ。白人ではいらっしゃらないから不利かもしれないけど、いい演技なさってた。 ほかの役者さんもみんな演技上手。 物語としては強引すぎてビミョー。あっさり大金を入手しちゃったり、いきなり舞台がフランス語圏に移ってたり。 興味深かったのは、主人公は決してこの共同体になじむことはなかった点。美人手話教師と恋に落ちたり、聾唖学校の児童たちから兄貴分として慕われたり、施設長のおじさんのおかげで更生したり、そんなほのぼの系のお話へと発展するのかなと一瞬思ったのだけれど、結局彼は一匹狼のまま。人との意思疎通能力が劣ってるのか単にオレ様なのか、人に頼ったり相談したりせず、物事を自分独りで解決しようとする。 こうゆう弱いんだか強いんだかわかんない人、ぼくの周りにもけっこういる。 この映画の意図するところは最後の最後まで不明瞭。騒音にまみれたこの現代社会で苦労して生きるより、音のない静寂の世界のほうがまだまし、ということならなんとも極端。題名にある金属の音というのは、騒音、雑音という悪い意味で用いられてると考えてよろしいか。
Jan 23, 2021
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「対岸の火事」 オケ動画に合わせてのおひとりさま本番ごっこ、今週はシューマン。 ぼくはドイツ三大B(バッハ、ベートーベン、ブラームス)はもちろん好きだけれども、その陰に隠れがちなドイツ新御三家?(メンデルスゾーン、シューベルト、シューマン)の作品、具体的には彼らの交響曲はどうも好きになれない。強いてお気に入りを挙げるならメンデルスゾーン4番「イタリア」ぐらい。 シューマンの交響曲は特に苦手で、あんまり積極的に聴かないしよく存じないのだけれど、おうち時間がいっぱいあるこの機会にじっくり取り組んでみようと思い、交響曲3番「ライン川」の第一バイオリンに挑戦。 やっぱり難しかった(てか、こ難しい)。スメタナの「モルダウ川」みたいに情景描写に富んだわかりやすい音楽を期待してはいけないらしい。特に1楽章は難曲。底抜けに明るくイケイケな雰囲気なのはちょっと意外だったけど、シューマンらしい陰気くさくひねくれてるとこも随所に感じられる。 そして手を変え品を変えいろいろ仕掛けてくる。こんな器用な作曲家さまだったとは。2楽章、シャープもフラットもなく澄み切ったハ長調の音楽がしばらく続くとことかにも驚く。 記譜のしかたにも彼独特のクセがあって、よってますます難しく感じられる気がする。臨時記号の使いかた、例えば♯ラと書くのか♭シと書くのかとか。 4楽章なんて変ホ長調で書かれてるけど、変ホ短調(フラット六つ)で書かれるべきと思う。 あと、シューマン弾くなら、マーラーやワーグナーほどではないにしろ、多少のドイツ語の知識が必要。 彼が頻繁に使う単語は lebhaft。活き活きとという意味。ベートーベンが con brio という語を愛用/乱用してたのに似てる。 この曲の4楽章はゆったりとしたコラールで、feierlich と書かれてある。ぼくは火(英:fire)のことをドイツ語で feuer というのを知ってて、feuerlich ってのは燃えるように熱く弾けってことねと思って熱奏しまくったのだけど、どうも雰囲気が違う。 そしたら老眼による読み間違い、feuer ではなく feier だった。慌てて調べたら、feierlich とは「荘厳に、厳粛に」という意味。めらめら燃え上がってる場合ぢゃなかった。
Jan 22, 2021
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「(えせ)聖者が町にやってくる」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 少年院出身の若者が主人公。彼は自分の黒歴史を隠し、小さな村の教会の司祭になりきる。徐々に村人からの信頼も得て、美女とも恋に落ち、シャバの空気に馴染んでいくが、やがて素性がバレそうになる。 いま日本で公開ちゅう。http://hark3.com/seinaru-hanzaisha/ お見事。いい映画だと思った。てか、ポーランド映画って秀作が多い。←数本しか観たことないけど 少年院内での残虐な場面は救いようがないし、一方で塀の外の世界も息苦しい。世間は前科者をどのように受け入れるべきかってすごく難しい。少年院に入るような罪を犯してしまった本人が一番悪いのだけれど、過去は隠したいというお気持ちもわかる。 でも、この映画の趣旨はそこじゃないはず。主人公自身の葛藤をもっと詳しく描いてほしかった。神にお仕えすれば過去の殺人も赦されるというのも都合が良すぎるし、遺族にとっては納得いかないとは思う。 てか、一般にあれこれわかりづらい映画だと思った。てきぱき展開しすぎか。 並行して描かれる脇ネタ(死者七人を出した交通事故)は実に効果的だった。 ぼくは宗教のことはよくわからないものの、聖職者といえども人間であるという考え。司祭さんが教会の外であんなことやこんなことをしようが、肝心の教会での職務をきちんと遂行なさってるのであれば別にいいんぢゃね、と思っており、それに、神に仕えるなら庶民の煩悩や弱者の悩みを実体験で知っている人のほうがいいという気もしてるのだけれど、ただその人が「殺人を犯して少年院にいた人」となるとさすがに抵抗がある。どこで線引きすべきか。 ちなみに、ぼくは雇われ音楽師としていろんな宗教団体にお邪魔することも多く、聖職者と打ち合わせしたり会食したり懇意にさせていただくことがあるけれど、以前とある教会で、聖職者さまの事務的な不手際を彼に直接ご指摘申し上げたら口論になって、嫌われちゃったことがある。以降ぼくはそこの教会は出禁になってしまった。 氏に直接提言するのではなく周囲の方に根回しすべきだったか。でも、彼が逆ギレしてるのを目の当たりにし、やっぱり生身の普通の人間でいらっしゃるんだなと思ってなぜか安心したりもして。
Jan 17, 2021
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「突然変イ」 おうち時間有効活用特別企画、今週はエルガーの1番。 なかなか演奏されないけど名曲。ぼくは一度だけ、四半世紀ぐらい前に弾いたことあり。第二バイオリンで弾いたのだけど、そのときたしか会場はS和女子大学人見記念講堂、オケは第一バイオリンと第二が向かい合う「対向配置」式。この曲ではこの配置が実に効果的で楽しく弾けた記憶がある。両パートが対等に掛け合うとこが多くステレオ効果を演出できるので。 弦の最後尾プルトのみが弾く箇所もある。 今回ぼくは第一バイオリン(しかもケツプル)という設定で数日間練習ののち、今日ついに動画に合わせておひとりさま妄想本番。 こんなに難しかったとは。いろんな意味で強引な曲。音域だったりテンポだったり転調だったり。 楽想用語もあれこれ丁寧に書かれてる。sonor-eというのはおそらくsonoramenteのことか。朗々と響かせて、という意味? あと、RとかLとかAとかも見受けられて、以下の略とのこと。 R: ritardando A: accelerando L: largamente 1楽章に書かれてるNobilmente e semplice(高貴にそして素朴に)という表現にはしびれる。 2楽章は譜面がシューマン交響曲2番スケルツォ(チョー難曲!)にも見えて冷や汗。 3楽章は、前の楽章から一音のみでつながってて、全く違う調で曲が始まる。エニグマのニムロッドへの導入でも使われている手法。お見事。 4楽章も難曲。この楽章だけじゃないけど、4分の6拍子、しかも旋律がいちいち裏拍(弱拍)から始まるってのに慣れるまでが大変。アウフタクトという意味じゃなく。 ちなみにぼくはこの曲がフラット四つの変イ長調だったことを最近知った。ころころ転調するので、基本調が何なのかわかりづらいというのもある。 てか、エルガー様ってば、なにゆえにこんな奇異な調で交響曲をお書きになったのか。ぼくの知る限り、変イ長調の交響曲は古今東西この曲のみ!<追記> ウィキに「変イ長調の交響曲まとめ」というページを発見。やはりこの曲以外にほとんどない。https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_symphonies_in_A-flat_major
Jan 16, 2021
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「Book smart, street smart」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 貧しい舟乗りマルティンが、上流階級の令嬢と出会ったことで恋と文学に目覚め、やがて作家になろうとする。 現在日本で公開ちゅう。http://martineden-movie.com/ 時代設定がわかりづらい。1920年代ごろにも見えるし1960年代っぽくもある。てか、ときどき唐突に挿入される曲とか映像に近代的なものがあって紛らわしい。 最後まで観てやっと、あ、この映画ってもしかしてチョー名作かもしれないとふと感じる。じわじわと楽しむべき映画で上級者向き。原作の小説は存じないけれど、きちんと深読みすればいろいろ出てきそう。 ぼくはそこまで深読みできず、この作品の素晴らしさをきちんと堪能できなかった。 恋と夢と孤独のはざまで葛藤する主人公を演じた役者さん、演技はお上手だった。が、貧しくてきちんとした教育を受けていない若者という役柄なのであれば、もうちょっと痩せてて不健康そうな役者が演じたほうがよかった。 脇役も皆さん名演で、ナニゲに豪華。ニューシネマパラダイスの青年時代のトト役の役者さんとか。 いずれにせよ、イタリア映画おそるべし。こうゆう映画の素晴らしさについて自分自身であれこれウンチク垂れてみたいような気もするし、いやそうゆうのは評論家さんとかに任せて彼らの見解を素直に聞き入れればそれでいいかなという気もする。
Jan 13, 2021
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「いつ過去形に変わったの」 ぼくは日本でいう「徹子の部屋」や「サワコの朝」みたいな一対一の静かな対談番組が大好きなので、今日はぼくが好んで観ている〈観ていた)英語圏の番組をまとめてみようかと。 日本にもいい番組はいっぱいあるんだろうけど、ご自身の出演作品の宣伝が中心だったり、お笑いの要素が前面に出すぎててやかましかったりして、観ていてちょっと疲れるのも多い。 いかに相手から話を聞き出すか、聞き手の手腕も見もの聞きもの。全く同じ人を相手にしていても全く違う雰囲気の対談にもなりえて、こうゆう番組はだからこそ面白い。My Next Guest Needs No Introduction デヴィッド・レターマン今日のゲストは大スター(2018年- アメリカ) ロバート・ダウニー・ジュニアさんの巻が特に見応えがあった。ご自分の黒歴史についても堂々と触れる。あと、バラク・オバマ前大統領のも神回。Off Camera With Sam Jones(2014年- アメリカ) 正直言って人選がイマイチ。ぼくの知らない人ばかり。聞き手サムさんの下調べが行き届いてる点は素晴らしい。イーサン・ホークさんの巻が特に良い。Inside the Actors Studio アクターズ・スタジオ・インタビュー 自らを語る(2004-2018年アメリカ) ぼくはこの番組が大好きで、ニューヨークでの公開収録の観覧希望まで出してたこともあるのだけど夢はかなわず。聞き手のJames Liptonさんは去年ご逝去。役者の出演映画の場面をちゃんと映して、この場面はあの場面は、とご本人に撮影秘話を聞き出す手法がいい。基本的には映画俳優が対象となる番組なのに、歌手ビリー・ジョウルさんが出た回もあって、やはり楽しく観られる。Perkinson(1971-2007年イギリス) イギリスだとMichael Perkinsonさんによるこの番組が有名だと思うけれど、かなり前に終了しており、これに次ぐ(これに勝る)対談番組があるのかは不明。「The Graham Norton Show」という番組もぼくは好きなのだけれど、静かに一対一で対談するのではなく大勢でがやがや談笑する形式。Variety Studio: Actors on Actors(2014年- アメリカ) 役者同士が語る形式で、上記の番組らとはちょっと趣向が異なる。ぼくはネット上で観られるのをいくつか観ただけだけど、役者どうし、悩みを共有しながらも切磋琢磨して仕事している様子が垣間見られて、なかなかいい感じ。 主なものは以上。 取材されるほうとしては、自身の残念な過去(麻薬とか酒とか不倫とか)に関して根掘り葉掘り訊かれるのはいい気はしないはずなのに、その後きちんといい演技をして作品を残しているのであれば、当時のことをドヤ顔で語るのはありというのがアメリカの芸能界。一方で、過去の栄光にしがみつくことなく、次々と新しいことに挑戦していく役者さんこそが業界で継続して成功していることがわかる。 やっぱり一線で活躍する役者さんは話が丁寧でわかりやすい。人を笑わせたり泣かせたりするのが本業だから当たり前なのかもしれないけれど、たぶんお若い頃にきちんとそうゆう訓練を受けているんだと思う。あと、相手の目をきちんと見て話すとことか、いろいろと参考になる。
Jan 12, 2021
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「家族になろうよ」(評価 ★★★★☆ 四つ星) 大富豪の御曹司であり、のちに殺人犯として投獄されたジョン・E.デュポンに関するドキュメンタリーを鑑賞。ネットフリックスで。 自宅にオリンピック選手養成所みたいのを作り、有望選手らを敷地内に住まわせ支援しては家族同様に親しくしていたデュポン。が、彼の言動はやがて常軌を逸してきて周囲が心配していた矢先、選手のひとりを銃で撃ち殺す。 事件は2014年に「フォックスキャッチャー」という題で既に映画化されていて(出演はスティーブ・カレル、チャニング・テイタムら)、そっちの映画のほうが有名。 このドキュメンタリーでは、関係者らが事件当時を振り返る。特に、殺された選手の妻が理路整然と事件の背景を解説なさっててすごくわかりやすかった。 デュポン容疑者は確かにお金は持ってるからタニマチ的な支援はできたけれども、運動選手を養成するという意味では素人同然。そこんとこを本人は勘違いしちゃってて、どんどん妄想が膨らみ、暴走していったもよう。 一方、選手らにとっては経済的に支援してくれる人はありがたいから、言いたいことも言えない。敷地内に住まわせてもらってるし、上下関係/主従関係もできてしまっている。へたに逆らって全てを失うわけにもいかない。 ぼく自身は2014年の劇映画のほうを観てなかったので、先入観なく観られて衝撃的だった。てか、2014年版は確か機内上映かなんかでちらっと観た記憶はあるのだけれど、それほどよくできた作品とも思えず、途中で観るのをやめた気がする。 いずれにせよ、当時の映像がいっぱい残ってるのであれば、こうゆう事件はやっぱりドキュメンタリーで観たほうがずーっといい。 実際、彼らの当時の日常(1980年代後半から90年代後半ごろ)は家庭用ビデオカメラで撮影されたものが残っており、その映像のおかげで見ごたえがあった。上手く編集されたし。これらの動画があってこそ成り立った作品。臨場感あふれる佳作。
Jan 11, 2021
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「後ろ指さされ組」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) ドイツ映画を鑑賞。「沈黙する教室」という本が原作で、どうやら実話らしい。 1950年代冷戦下の東ドイツの高校が舞台。生徒たちは、ある日授業の開始前に、ソ連の軍事介入による死者を弔うための黙祷をするが、これが反逆行為とみなされて当局の捜査が入る。生徒たちは退学させられそうになりながらも団結し、特定の同級生を名指しするのではなく、あくまでみんなで自然発生的にやった行為だと主張する。 フツーにいい映画だと思った。ただ、前半はもうちょっとてきぱき進行したほうが良かったか。 映画の内容云々より、邦題の「僕たちは希望という名の列車に乗った」には驚いた。思いっきりネタバレ。最後の最も重要な場面で、みんな列車に乗って西ドイツに移動するのだけれど、この結末を知ったうえでこの映画を観たので全然楽しめなかった。「僕は」ではなく「僕たちは」という題なので、代表格の男学生の後を追って結局みんなも列車に乗ることが事前にわかってしまった。 電車に乗るところを最終場面にもってきたということに製作側の強い意図を感じた。西での「その後」は描かれない。この尻切れトンボなとこは賛否両論あるかと思う。ぼくは賛成派。だからなおさら、ネタバレ的な邦題に引っかかるものがあるわけで。
Jan 10, 2021
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「同じゼッケン誰かがつけてまた次のシーズンをかけてゆくぅ」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) 日本の高校野球、特に「コーシエン」に関するドキュメンタリーを鑑賞。取材されてるのは主に二人の名監督とそれぞれの指導する神奈川の横浜隼人高校と岩手の花巻東高校。 日本公開はほぼ終了したもよう。https://koshien-movie.com/ アメリカでは現在公開ちゅう。 この映画、日本市場向けと海外市場向けとで編集が異なってるのかは不明。ぼくは後者(英語字幕版)で観たからかもしれないけど、日本の高校野球文化がわかりやすく紹介されていると思った。もともと知識があまりなくても理解できるはず。ガイジンさんが喜びそうな桜とか盆栽の映像も上手く使ってる。 一年近くにわたり取材されてて、ぼくはてっきりこの横浜隼人と花巻東がともに甲子園に出場し、んでもって決勝で争っちゃったりなんかして手に汗握る大接戦、最後は勝者も敗者も号泣の感動ドキュメンタリー!ってことになるのかなーと思ってたら全然違った。やっぱし勝負の世界は厳しいわけで。 余計なお涙ちょーだいネタや濃い演出がほとんどないのは意外。良くも悪くも日本映画らしくないと思った。監督/演出の Ema Ryan Yamazaki さんはたぶん日本のお方だとは思う。 高校野球の負の側面(例えば投手が肩や腕を酷使する、猛暑のもと熱中症になる、学業が犠牲になる)も必要以上に触れてないのは潔い。 海外で知られている「ニッポンの高校生」像はもっぱらJKなわけで、彼女たちのkawaii化粧や衣装、おじさん悩殺テクはもはや世界的にも認識されている。一方、この映画に登場するDKたちは対照的。あまりに朴訥な男子ばかりなので、驚く外国人視聴者も多いはず。 思春期真っ盛り、恋とか髪型とかおしゃれとかにときめくに違いないお年頃の球児たちが、そうゆう苦悩は前面に出さず、ひたすら甲子園を目指す。なにせ三年間しかないんっす、と彼らはおっしゃって日夜練習にお励みになる。 周りの人たちも監督や選手らを信頼し、遠くから温かく見守る。自分の息子が一軍に選ばれなかったからといって、「うちの太郎ちゃんが戦力外だなんてありえないざますわ」と校長に直談判したりする怪物親もいない。 日本人はいつの時代も規律正しく、お行儀がよい。ぼくの周りのアメリカの高校生とはやっぱり違う。
Jan 9, 2021
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「だけど今度は本気みたいあなたの顔もちらつかないわ」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) 珍しくジョージア(旧グルジア)の映画を鑑賞。ネットフリックスで。 仕事と家事を両立させながら三世代の大家族の中心として切り盛りしてきた50代のおばさんが主人公。突然、家を出て独り暮らしを始めますので悪しからずと言い出し、彼女の周りはみんなしてパニクる。 ぱちぱち。たいへんよくできました。ぼくはこうゆう作品が大好きだし勝手に高評価。それぞれの場面にいちいち余韻があって味わいぶかい。 ジョージアというお国の事情はよく存じないので、例えばこの家族が富裕層なのか貧困層なのかとかはぱっと見てわからないし、男尊女卑な国なのかとか三世代同居が普通なのかとかも不明。 だけれど、家族ってやっぱしどこの国でも似たようなもので、ずーっと一緒に暮らしてたら息苦しくもなる。 主人公は基本的に謎めいた女として描かれる。なぜ家を出たのかはっきりとした理由が明らかになるのかといえばそうでもないし。 同窓会の場面で、昔の同級生の会話により彼女の過去が少しずつ判明していく。思春期の頃からの互いの黒歴史を知ってる同級生たちって、今となっては貴重な存在。一周まわって何でも話せる。もはや利害関係もないから、見栄で自分を飾る必要もない。 ほかにも随所に効果的な演出が見られる。 このおばさん、実は音楽好き。モーツァルトのピアノ曲がお好きで、ご自身はギターを演奏(七弦と六弦両方?)、しかも弾き語りまで披露しちゃって、すごくかっこよい。
Jan 5, 2021
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「見える化/見えない化」(評価 ★★★☆☆ 三つ星) 新春だし、歌って踊ってどんちゃん騒ぎ系のインド映画でも楽しんぢゃおうという魂胆だったのだけど、この作品は深刻なお話だった。 ほんとは目が見えるのに盲目を装い知名度を上げたピアノ弾きが主人公。見えてないことになってるので、出張演奏に招かれた邸宅で殺人を目撃してしまったのに見て見ぬふりをするはめに。 日本語のウェブサイトは http://m-melody.jp/ 彼の弾くピアノ曲がすごくわかりやすくて老若男女みんな楽しく聴けるはず。でも後半は次々と人が殺され、ピアノの場面が激減。てか、音楽映画というわけぢゃなかった。 どんどん意外な方向に展開していくので、最後はどう着地するんだろと気にしながら何とか最後まで観た。インド映画って、ぼくにとっては長すぎるのばかりで途中で挫折することが多いので、このぼくが最後まで観られたということは名作と言ってよい。←断言 なかなか余韻のある終わり方。てっきり「正義は勝つ」「最後に愛は勝つ」的なインド映画らしい結末になるのかと思ってたら、どうも違う。おそらく本作のお題は「自業自得」? 今年はまだ始まったばかりだけど、もう年内はインド映画観なくていーやという感じ。インド映画は年に一本観りゃ充分と思ってるので。もちろん名作もいっぱいあるんだろうけど、やっぱしどれもこってりしずぎ、胃にもたれる。
Jan 3, 2021
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「嵐が去ったあとに虹のかかった美しい空が」 正月はやっぱりバロックでしょということで(←根拠なし)、弾き初めはバッハ会長の大曲マタイ受難曲。動画に合わせておひとりさま模擬本番、おうち音楽会。 ちなみに、合わせやすそうな動画を求めてユーチューブ漁ってて気づいたのだけれど、やはり古楽器使用で音を低めに調えてるものばかり。半音ぐらい落としてたりも。 長い。通して弾くと三時間ぐらいかかる。二部構成。数えかたにもよるけど約70の短い曲からなる。 バッハなのにオケ(や声楽)の編成もややこしく、なんと第一オケと第二オケに分かれてる。オーケストラと呼ぶんぢゃなく、Coro とか Chor とかの用語が使われるみたい。合唱の一部ということか。ちなみに、第一コーロが弾いてるときは第二コーロはまるまるお休みという箇所も多く、そんなら別に二つに分ける必要ないんぢゃね、とか思っちゃうわけで。 ぼくは両方のオケのそれぞれ第一バイオリンの譜面を用意し、行ったり来たりしながら完奏。第一部と第二部の間に長時間の休憩を入れたものの、本番で弾いたつもりになってみる。 以下、ぼくがあくまでバイオリン奏者の目線で気に入った曲、気になった曲など、感じたことの覚え書き。抜粋で演奏してもいい感じになると思う。 数字は曲の番号。番号づけは二通りあるみたいなので、古いほうは括弧つきで表記。第一部27.(旧33) ソプラノ独唱、アルト独唱、及び合唱 So ist mein Jesus nun gefangen:後半の合唱部分がかっこいい。夏の夕立みたいな激しさ。そして一瞬で終わってしまう。29.(旧35) 合唱 O Mensch, bewein dein Sünde groß:あくせくしすぎてて、第一部の最後を飾る割にはビミョー。第二部35.(旧41) テノール独唱 Geduld, Geduld! Wenn mich falsche Zungen stechen:難曲。第二オケのビオラダガンバ奏者ご活躍。39.(旧47) アルト独唱 Erbarme dich, mein Gott, um meiner Zähren Willen!:マタイ受難曲のなかで唯一ぼくがもともと知ってたのがこれ。第一オケのコンマスご活躍。ちょっと物憂げで哀しい曲。42.(旧51) バス独唱 Gebt mir meinen Jesum wieder!:かっこよい。ぼくがマタイ受難曲で最も好きな曲。そしてこの曲の第二オケのコンマス独奏は全曲ちゅう最も難しいと思われ。49.(旧58) ソプラノ独唱 Aus Liebe will mein Heiland sterben:第一オケのフラウトトラベルソご活躍。57.(旧66) バス独唱 Komm, süßes Kreuz, so will ich sagen:第一オケのビオラダガンバ独奏。68.(旧78) 合唱 Wir setzen uns mit Tränen nieder:最後の最後にこんな味わい深い曲が待っていたとわ。実は複雑な曲で、じわじわ来る。長調なんだか短調なんだか、明るいんだか暗いんだか、晴れなんだか曇りなんだか。歌詞を調べてみたら、やっぱり悲しい曲。イエスの死を受け入れ哀悼する。 以上。 結論としては、独唱曲に劇的で派手な曲がいくつかあって、その印象のほうが強く残る。 合唱曲はエバンジェリスト(エバンゲリスト、福音史家、伝道師)役のテノール歌手とかの合いの手とか掛け合いの部分も多い。楽団員も多少のドイツ語の知識が必要。ドイツ語の歌詞が影譜として記載されてるの参考に、集中して数えて自分の「入り」を間違えないようにしないと。 以前「ロ短調ミサ」も弾いたことがあるけど、それよりも難しいと思った。
Jan 2, 2021
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「運転手は君だ車掌は僕だ」(評価 ★★★★★ 満点五つ星) ネットフリックスでお笑い番組を鑑賞。 芸人ミドルディッチさんとシュウォーツさんが、お題をその場で与えられ、二人で何役も演じながら即興喜劇/インプロブ(improvisational comedy)を披露する。一回あたり約50分、全三回。それぞれのお題は以下: Parking Lot Wedding Law School Magic Dream Job ずばり一流芸人さんと呼ばせていただきたい。ゲラゲラ笑いながら観た。彼らはとってもお上手。まさに阿吽の呼吸。 次々と新たなキャラが登場し、でも演者は二人しかいないので入れ替わったりもする。話がどんどん脱線してもう何が何だかわかんなくなってきたりもするのだけど、見事に元に戻って結局は辻褄を合わせてしまう。話術に長けてるし、アタマの回転が速いお方たち。相方がどう出てくるかなんて予想できないし、自分のぱっと考えた筋書き通りに進行させられないこともあるのに、ほんと凄すぎ。 ハリウッド系ではなくニューヨーク系のお笑いというのもあって、なおさら楽しめた。イタリア系移民ネタとか。 今のところ三回分しか収録されてないみたいだけれど、今後ももっと観てみたい。 ぼく自身は日本でもアメリカでもお笑い番組はあんまり観ないので比較はできないのだけれども、今回この番組は楽しく鑑賞できた。 ちなみに、こちらアメリカでお笑いと言った場合、おそらく stand-up comedy と呼ばれるものを指すことが多い。会場の客に向かって独りでしゃべって笑わせる形式で、日本の漫才みたいに二人一組でボケとかツッコミとかはない。 複数の人間で行なうお笑いもあって、即興系だと、Whose Line Is It Anyway? というテレビ番組がたぶん有名。でも彼らのお笑いを堪能するためには、英語力だけぢゃなく時事ネタや大衆文化に精通している必要があり、難易度高し。
Jan 1, 2021
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