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ブルース・リーと東洋の思想 その２。
ブルース・リーと東洋の思想 その３。
ブルース・リーと東洋の思想 その４。
ブルース・リーと荘子。
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Comments
2007.04.16
カテゴリ： カテゴリ未分類
本日二本目。
まずは、長岡半太郎について。
長岡半太郎という人は、土星型原子モデルを提唱したことで知られる日本の物理学者である、とWikipediaの長岡半太郎の項目にある。
今でこそ教科書にも載っている、
これを、提唱した人。
出身は、現在の長崎県大村市。彼が生まれたのは慶応の頃で、まだ日本は江戸時代だった。彼の父、長岡治三郎という人は、大村藩の勤皇党の一人で、戊辰戦争での功績から役人になっている。今でこそ、日本の物理学の第一人者として知られているけれども、長岡半太郎の少年時代の成績はさほど良くなかったらしい。ＬＤ（学習障害）の可能性すらある（ただし、エジソンもアインシュタインもアンデルセンもＬＤであった可能性が高いので、恥じることでもないでしょうな。教育というのは、規格外の才能までフォローできるものではないと思うので）。
その後、頭角を現し始め、東京帝大の理学部に進学した長岡は、２年生のときに自らの進路について思い悩み、１年ほど休学している。
それは、
「東洋人が自然科学を研究して、成果を上げることができるのか？」
本気で漢文学、もしくは歴史学に進もうかとも考えていたらしい。若き日の長岡半太郎は、ほぼ漢文の古典を読み漁っていたという。その上で、彼は物理学を選択した。
理由はいくつかあるそうなんだけど、
一つは、三国志の時代に終止符を打った晋の将軍、杜預（「どよ」と読む）（２２２～２８４）の記録を読んで、紀元前からの中国の暦法が、明治の頃の長岡半太郎の計算とピタリと一致したこと。
（杜預（どよ）という人は、呉を滅ぼした時の総司令官なんだけど、小説の「三国志」だけを読んでいる人にはほとんど知られていない。一応、今でも使うことのある「破竹の勢い」という言葉は、彼の快進撃を表現した言葉だとされている。また、紀元前の春秋時代についての歴史書「春秋左氏伝」のマニアだと自認するほどで、この書物の総整理をしたのも彼。ちなみに、三国志の時代を終わらせるほどの戦略家でありながら、乗馬すらできなかったらしい。）
もう一つは、「荘子」。
「老荘思想」というように、神仙思想のような、悪い言い方をすると後ろ向きな「荘子」から長岡はインスピレーションを受けている。この、「荘子」の「逍遙遊篇」に、
「天の蒼蒼たる、其の正色か。其の遠くして至極する所無きか。其の下を視るや、亦是の若くならんのみ。」
という部分がある。
簡単に訳すと、「空が青いのは、本当の空の色なんだろうか。ただ、遠いから青く見えるのではないだろうか。鳥のように大空を舞って地上を見たら、青く見えるのではないだろうか。」ということかな。
実は、長岡が学生だったころに、ようやくイギリスのレイリー（Lord Rayleigh（１８４２～１９１９）という人が、空の青さを「レイリー散乱」という原理で証明している。その、レイリーの発見を知っている長岡は、「空が青いのは、遠いからだ」と答えた荘子の文章に感銘を受けたという。「空は何故青いのか？」という人類普遍の疑問に対しての荘子の答え方に興味を持ったというべきなのかな。（もちろん、紀元前の荘子も、若き日の長岡半太郎も、ガガーリンの「地球は青かった」という言葉を知るはずもない。）
ちなみに、「井の中の蛙」という言葉も、荘子からの出典。
脱線しすぎか。
いずれにせよ、長岡半太郎は、東洋人として物理学の道を貫く決意をしたのは確かなこと。
今の時代だと、ヨーロッパのルネッサンスの３大発明といわれる「印刷術、火薬、羅針盤」ｊについては、東アジアの方が先駆けであったことを知っているし、現代の日本が技術立国として、世界の科学の最先端の研究も行っているけれども、明治の初期の日本人にとっては、西洋の技術に対抗できるという確固たる自信は無かった。そういった状況の中で、古典に拠り所を求めた物理学者がいたということを知っているのは面白いと思うね。
参照：
Wikipedia 長岡半太郎
Wikipedia 杜預
Wikipedia 荘子
キリヤ化学 空はどうして青く、夕焼けはどうして赤いのですか？
こうやって書くと、この短歌の味わいも変わるな。
白鳥は 悲しからずや 空の青 海の青にも 染まず漂う 若山牧水
まずは、長岡半太郎について。
長岡半太郎という人は、土星型原子モデルを提唱したことで知られる日本の物理学者である、とWikipediaの長岡半太郎の項目にある。
今でこそ教科書にも載っている、
これを、提唱した人。
出身は、現在の長崎県大村市。彼が生まれたのは慶応の頃で、まだ日本は江戸時代だった。彼の父、長岡治三郎という人は、大村藩の勤皇党の一人で、戊辰戦争での功績から役人になっている。今でこそ、日本の物理学の第一人者として知られているけれども、長岡半太郎の少年時代の成績はさほど良くなかったらしい。ＬＤ（学習障害）の可能性すらある（ただし、エジソンもアインシュタインもアンデルセンもＬＤであった可能性が高いので、恥じることでもないでしょうな。教育というのは、規格外の才能までフォローできるものではないと思うので）。
その後、頭角を現し始め、東京帝大の理学部に進学した長岡は、２年生のときに自らの進路について思い悩み、１年ほど休学している。
それは、
「東洋人が自然科学を研究して、成果を上げることができるのか？」
本気で漢文学、もしくは歴史学に進もうかとも考えていたらしい。若き日の長岡半太郎は、ほぼ漢文の古典を読み漁っていたという。その上で、彼は物理学を選択した。
理由はいくつかあるそうなんだけど、
一つは、三国志の時代に終止符を打った晋の将軍、杜預（「どよ」と読む）（２２２～２８４）の記録を読んで、紀元前からの中国の暦法が、明治の頃の長岡半太郎の計算とピタリと一致したこと。
（杜預（どよ）という人は、呉を滅ぼした時の総司令官なんだけど、小説の「三国志」だけを読んでいる人にはほとんど知られていない。一応、今でも使うことのある「破竹の勢い」という言葉は、彼の快進撃を表現した言葉だとされている。また、紀元前の春秋時代についての歴史書「春秋左氏伝」のマニアだと自認するほどで、この書物の総整理をしたのも彼。ちなみに、三国志の時代を終わらせるほどの戦略家でありながら、乗馬すらできなかったらしい。）
もう一つは、「荘子」。
「老荘思想」というように、神仙思想のような、悪い言い方をすると後ろ向きな「荘子」から長岡はインスピレーションを受けている。この、「荘子」の「逍遙遊篇」に、
「天の蒼蒼たる、其の正色か。其の遠くして至極する所無きか。其の下を視るや、亦是の若くならんのみ。」
という部分がある。
簡単に訳すと、「空が青いのは、本当の空の色なんだろうか。ただ、遠いから青く見えるのではないだろうか。鳥のように大空を舞って地上を見たら、青く見えるのではないだろうか。」ということかな。
実は、長岡が学生だったころに、ようやくイギリスのレイリー（Lord Rayleigh（１８４２～１９１９）という人が、空の青さを「レイリー散乱」という原理で証明している。その、レイリーの発見を知っている長岡は、「空が青いのは、遠いからだ」と答えた荘子の文章に感銘を受けたという。「空は何故青いのか？」という人類普遍の疑問に対しての荘子の答え方に興味を持ったというべきなのかな。（もちろん、紀元前の荘子も、若き日の長岡半太郎も、ガガーリンの「地球は青かった」という言葉を知るはずもない。）
ちなみに、「井の中の蛙」という言葉も、荘子からの出典。
脱線しすぎか。
いずれにせよ、長岡半太郎は、東洋人として物理学の道を貫く決意をしたのは確かなこと。
今の時代だと、ヨーロッパのルネッサンスの３大発明といわれる「印刷術、火薬、羅針盤」ｊについては、東アジアの方が先駆けであったことを知っているし、現代の日本が技術立国として、世界の科学の最先端の研究も行っているけれども、明治の初期の日本人にとっては、西洋の技術に対抗できるという確固たる自信は無かった。そういった状況の中で、古典に拠り所を求めた物理学者がいたということを知っているのは面白いと思うね。
参照：
Wikipedia 長岡半太郎
Wikipedia 杜預
Wikipedia 荘子
キリヤ化学 空はどうして青く、夕焼けはどうして赤いのですか？
こうやって書くと、この短歌の味わいも変わるな。
白鳥は 悲しからずや 空の青 海の青にも 染まず漂う 若山牧水
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