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2013.08.28
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カテゴリ: 経済
荒れる里山に対して、打つ手無しの貧乏山主という現状がある。
一方、有効に機能しない林野庁まで含めると、これはもう日本的な病弊ではないだろうか?
このたび、新聞で「生物多様性オフセット」の紹介があったが・・・
里山の整備活動に値段をつけ、証券として売り出すというアメリカ的手法が、果たして日本に根づくかといえば、大使は非常に懐疑的にならざるを得ないわけです。
サブプライムローンと同じ手法ではないか。(熱物に懲りているのだ)

オフセット制度の試行を見てみましょう。

8/22 壊した自然 里山で穴埋め オフセット制度 千葉で実験 より
 【合田禄】荒れた里山を手入れして生態系の保全に貢献した効果を売り出して、開発で自然を壊した企業に買ってもらう。そんな仕組みづくりを目指す実証実験が、千葉県内で始まっている。欧米に広がる「生物多様性オフセット」と呼ばれる手法の日本版だ。

 千葉市郊外のなだらかな斜面に並ぶ田んぼ。裏手に広がる里山を今春、東京都市大の大学院生小畠雅史さん(23)が訪れた。

 背丈以上に伸びたササが所狭しと生えている。土地を所有する金親博栄さん(65)が「山に入るのもためらってしまう」と言うのを聞き、「ササを刈るところからですね」と提案した。

 金親さんが所有する里山は自宅周辺の約18ヘクタール。1960年ごろまでは、薪や木材の生産の場として収入源になっていた。里山に人の手が入ることで、たくさんの生物が暮らす生態系が維持されてきた。

 だが薪の需要は減り、安い輸入材に押されて木材もほとんど売れなくなった。それでも、倒木が道をふさぐと撤去しないといけないし、ごみの不法投棄もある。維持費は所有者が負担しなければならない。

 金親さんは「里山が二酸化炭素を吸収したり、たくさんの生物のすみかとなったりするという認識は広まっているが、持っていてもお金にならない。地主が管理したくなるような社会システムが必要だ」と訴える。

 実は、そういうシステムはある。
 開発をして生物多様性が失われることが避けられない場合、開発業者が別のところで生態系を復元するなど多様性を取り戻す活動をすれば、多様性の喪失はトータルで相殺(オフセット)される。「生物多様性オフセット」という考え方だ。

 だが開発業者が生態系を復元するのに適した土地を見つけられるとは限らない。そこで、金親さんのような地主が持つ里山の整備活動に値段をつけ、証券として売り出す。地主にとっては証券の売り上げで里山整備の意欲が刺激されることになり、開発業者は証券を買うことで間接的に多様性の保全に貢献できるという仕組みだ。

 欧米では制度化の例もある。放置されている里山に目を付け、「生物多様性の保全」という環境価値をお金のような形で売買する「里山バンキング」と名付けて、東京都市大の田中章教授が始めた。

 今後2年間で、里山の植生や手入れの状況▽生態系を維持管理していくために必要な費用▽この仕組みに対する開発企業側の意識――などを調査。証券を購入してくれる企業も探していく。

 田中教授は「生物多様性を守るため、里山の整備にどのくらいの費用が必要か。実証実験で算出することで、仕組みに興味を持つ企業や団体が増えることを期待している」と話している。

■市場規模、世界で1800億~2900億円
 米国に拠点を置く国際NPO「フォレスト・トレンズ」が2010年にまとめた報告書によると、生物多様性オフセットは、世界的に少なくとも18億~29億ドル(1800億~2900億円)の市場規模になっている。

 米国では1980年代から、生物多様性を保全した効果を証券としてためておき、自然を壊す開発業者がその証券を購入するバンキング制度が始まった。湿地を保全するものや、絶滅危惧種が生息する生態系を守るものなどがある。この仕組みで、年間約100平方キロの土地が保全されたり、復元されたりしているという。

 日本では制度化されていないが、環境省の中央環境審議会は10年2月、生物多様性オフセットについて「生物多様性の損失を最小限にする手段の一つとして有効な一面もある。まずは、国内外の事例の蓄積が必要で、具体的に議論すべきである」と答申。環境省は海外での事例や日本での導入の是非を調べている。

 愛知県は今年4月、独自に生物多様性の保全を支援しようとする取り組みを始めた。

 開発の前後で、どれだけ生物多様性が失われるかを定量的に評価する方法を公開。イトトンボ類など17種類の生物について、県内で生息に適した場所を地図上に示し、生態系を保全する場合の場所選びの参考にしてもらう。

 開発業者にオフセットの義務を課してはいないが、県の担当者は「大企業を中心に生物多様性に配慮しようとする意識は高まっている。保全するための仕組みを提供し、協力を求めたい」と話す。
     ◇
 〈生物多様性オフセット〉 開発で自然を壊してしまう場合、生態系を別の場所に新たに造ったり復元したりすることにより、損害を相殺(オフセット)すること。米国やドイツ、オーストラリアなどで盛んで、50カ国以上が制度を導入している。効率的に進めるため、まとまった土地で自然の創造や復元を実施し、その効果を売買するバンキング制度も広がっている。
     ◇
■記者ノート 生物多様性オフセット まず仕組み作りを
 金親さんの里山では、コナラやクヌギの木が太陽の光を求めて枝をあちこちに伸ばし、下の地面にもたくさんの草が生えていた。そこで暮らす昆虫や微生物、地下を流れる水、根に支えられた土壌など、生態系はあまりに複雑に出来ていて、その全てを把握することはできない。

 生態系の価値を評価することはとても難しい。開発で失われてしまった生態系の代わりに全く同じものを復元することは不可能で、オフセットはこの問題を全て解決する万能な制度ではない。

 ただ、環境省の専門家委員会の報告(2010年)によると、「国内の生物多様性の損失は森林や海などすべての生態系に及び、全体的に見れば損失は今も続いている」という。何もしないと、生物多様性は失われ続けるばかりだ。

 大手企業には自主的に森林を購入して整備するなどの動きも出ている。生態系をきちんと評価する方法が確立していないという指摘もあるが、一定の妥協をしてでも、先に仕組みを作った方が得策ではないか。


田中章教授のサイト 田中章研究室 がなかなか興味深いのです。

ところで・・・

「森林保全の経済学」の一環として、これから読んでみます。

【日本政府の森林偽装】
森林

平野虎丸著、中央公論事業出版、2008年刊

<「BOOK」データベース>より
林野庁によって繰り返される「森林整備」「温暖化対策」という名の自然破壊。30年にわたる自然保護活動の中で見てきた、森林のあぶない実態。
【目次】
1 林野庁に問題あり/2 山村に生まれ育って/3 野鳥保護から「エコシステム」へ/4 日本の森林は今どうなっているか/5 「美しい森林づくり」の欺瞞/6 緑資源機構の犯罪/7 詐欺か偽装か、さまざまな試み/8 林野政策の失敗で鳥獣を殺すな/9 地球温暖化問題対策のウソ/10 林野庁はいらない

<大使寸評>
環境省との縄張り争いや、採算性という観念に取り付かれたような林野庁であるが・・・
この本の著者は「林野庁はいらない」とまで言っています。
林野庁は本気で生き残り策を模索する時期では?

rakuten 日本政府の森林偽装


千葉県で始まったオフセット制度の実証実験もいいだろう。だけど・・・ 
アメリカ発の「生物多様性オフセット」という考え方であるが、反米の大使としては、藻谷さんの説く「 里山資本主義 」のほうが、しっくり来るんですが。

また、 世界の森林とその保全 に森林保全のヒントが見られます。







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Last updated  2013.08.28 00:14:40
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Re:森林保全の経済学(08/28)  
chappi-chappi  さん
3年位前に佐賀県の養蜂家のおじさんとお会いして
お話を聴く機会がありました。
荒れてほっぽらかされていた森林を買って
みつばちの森を作ったそうです。
みつばちが安心して住めるところは人間にとっても
やさしい環境なんですね。

茶比村からすぐのところに原生林があります。
開発の魔の手が伸びてこないように祈っています。
野兎とかいのししが住めるところが減ってるし。

(2013.08.28 22:48:30)

Re[1]:森林保全の経済学(08/28)  
Mドングリ  さん
chappi-chappiさん
>3年位前に佐賀県の養蜂家のおじさんとお会いして
>お話を聴く機会がありました。
>荒れてほっぽらかされていた森林を買って
>みつばちの森を作ったそうです。
>みつばちが安心して住めるところは人間にとっても
>やさしい環境なんですね。

<今では、針葉樹を植林した森より、自然の森のほうが蜂にとっても、治水にとっても良かったという皮肉な状況があります。
まさに、貧困な森林行政が表れています。
>
>茶比村からすぐのところに原生林があります。
>開発の魔の手が伸びてこないように祈っています。
>野兎とかいのししが住めるところが減ってるし。
>
<植林する場合は、広葉樹を混ぜるのが良いとされていますね。
そのほうが、治水にもクマやイノシシにとってもいいようです。 (2013.08.29 00:38:39)

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