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2014.11.18
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カテゴリ: 歴史
図書館で『歴史と出会う』という本を借りたのだが・・・
中韓がアジる「歴史認識」に押されて(笑)、昨今の大使は、近現代史に加えて歴史全般に目を向けているわけです。

網野善彦の仕事は、左翼運動の挫折を乗り越えるための厖大な読書量と、さまざまな人々との出会いから生まれたそうで・・・・
この本を読めば、歴史が身近に感じられるかも♪

エボシ

網野さんと宮崎監督が「もののけ姫」を語っています。

<エボシ御前は20世紀の理想> よりp145~146
網野:この映画はお話としてもたいへんに面白いんですが、深山の麓でタタラ集団を率いている女性「エボシ御前」は、女性たちをはじめ、私から見ると「非人」と思われる人たちや牛飼など社会からはみ出した者たちに仕事をさせて、尊敬を集めています。遊女、白拍子に見えますが、どういうお考えであのような女性を登場させたのですか。

宮崎:悪路王をしずめた立烏帽子という絶世の美女の伝説があるんですが、実は私の山小屋のある村が烏帽子といいまして(笑)。案外、出発点はそのあたりだったりするんです。
 応仁の乱で明国渡来の火槍という原始的な銃が使われたらしいとか、海外に売られて、中国人の倭寇の大親分の妻になって、腕を磨いて、あげく男を殺して財産を奪って、戻って来た女とか(笑)。僕らの考えはだいたい、その程度でして。

網野:山の神は「おこぜ」ともいわれて醜女なんですが、製鉄の神の金屋子神は白鷺に乗ってくる女神なんですね。そこからイメージをつくられたわけではないんですか。

宮崎:むしろ、初めは男にしようという考えもあったんです。でも、スタッフに聞いて回ったら「やっぱりきれいな女性がいい」という話になって(笑)。エボシが白拍子の格好をしているのも同じことで、きれいなほうがいいやと(笑)。

 エボシという女性は20世紀の理想の人物なんじゃないかと思ってるんです。目的と手段を使い分けて、非常にヤバイこともするけれども、どこかで理想は失っていない。挫折に強くて、何度も立ち直ってというね、そういうふうに勝手に僕は想像したんです。

網野:それから男の主人公はヤマト「日本国」の侵略に抵抗する戦いに敗れ、北の地の果てに隠れ住むエミシ一族の長になるべき少年アシタカになっていますが、主人公がそうした「蝦夷」になっており、つまり、ヤマト、「日本国」を相対化されていますね。これがわが意を得たという感じがしましたよ。

宮崎:蝦夷の風俗などは僕の道楽でやらせてもらったんですよ。隼人が楯を使ってるから、古い蝦夷も手楯を使ったんじゃないかとか。とにかく、よくわからないところは僕の勝手な空想で埋めただけで。

網野:いや、変に事実に即されるよりも、わからないところはどんどん空想で超えていただいたほうがいい。事実にへばりついてるわれわれとしても気分がいいですよ(笑)。


サムライ

『七人の侍』を取り上げて、百姓の武装について語っています

<「百姓」も刀を差していた> よりp147~148
宮崎:15世紀頃は、刀を腰に差している人間がいっぱいいたに違いないと僕は思ってるんですが。

網野:もちろん、あの時代はみんな武装していますね。最近になってはっきり確認されてきたことですが、江戸時代になっても、百姓はみな腰刀を持っていたんですよ。侍の太刀とは違うけれども、武装はしていた。百姓は鉄砲だって持ってましたしね。

宮崎:秀吉が刀狩りをやったからって、すぐ片づいたはずはない。なのに、時代劇に見る武装している侍と武装していない農民という図式はいったいいつごろ出てきたんですかね。

網野:おそらく近代になってからですね。しかも、そうした武装解除された農民と武装している侍というつくられた図式が映画の時代劇にも強烈に影響している。
 藤本久志さんが書いていますが、黒澤明監督の『七人の侍』の設定も、その図式に完全に絡めとられてしまっています。それには歴史家の責任は大きいですね。

宮崎:『七人の侍』というのは戦争に負けて帰ってきた男たちが、食糧難で買出しに行ったところでお百姓たちのいろんな態度にぶつかるとか、そういうリアリティーをもった映画で。
 あまりにも面白くできているので、以後、呪縛のように日本の時代劇を縛ってしまって、常に侍対農民という階級史観が固定しちゃったような気がしてるんです。

網野:あの映画には僕も非常に感動したのですが、武装できない百姓というのはまったく事実ではないのです。それに、百姓の中にはいろいろな生業の人がいた。博打打ちもいたんです。百姓は農民の意味ではないですからね。

宮崎:百姓というのはもっと広義の意味で、そこにはありとあらゆる職業を含んでいるわけですね。

網野:ええ。百姓の中には商人や職人などいろいろな生業の人がいて、農業は、その中のひとつなのです。だから、「百姓一揆」も困窮した農民が一揆を起こしたと考えるのは間違いですね。実証的にもそうした見方はだんだん崩れてきつつあります。自由民権運動のときでも、秩父事件では博打打ちが先頭に立っていたでしょう。田代栄助という総裁は博打打ちですよ。
 そういえば『もののけ姫』には博打打ちは出てこなかったですね。

宮崎:いや、僕らが映画を作っていること自体が丁半博打を打ってるようなものですから(笑)。



【歴史と出会う】
歴史

網野善彦著、洋泉社、2000年刊

<「BOOK」データベース>より
戦後日本の歴史学が生んだ泰斗、網野善彦の仕事は、左翼運動の挫折を乗り越えるための厖大な読書量と、さまざまな人々との出会いから生まれた。その成果は歴史研究の枠をはるかに凌駕してベストセラーを生み出し、さらにその影響力は文学や映像の世界にまで拡がっている。読者と同じ目線で歴史を学び、研究することの愉しさを教えてくれる一冊。
<読む前の大使寸評>
大使の場合、現代につながる近現代史に関心が大きいのだが・・・
網野さんという歴史家の対話を通じて、歴史に対する視野を広げたいと思うわけです。

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Last updated  2014.11.18 00:06:27
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Re:『歴史と出会う』(11/18)  
KUMA0504  さん
宮崎駿の烏帽子像を初めて知りました。ありがとうございます。「もののけ姫」は未だにジブリアニメNo.1です。
なんとなく平安時代をイメージしていましたが、室町時代なんですね。鉄砲があるから当たり前か。それだと、アシタカの子孫とカムイ伝の世界はギリギリ繋がる。ちょっと想像する楽しみが増えました。 (2014.11.18 10:33:06)

Re[1]:『歴史と出会う』(11/18)  
Mドングリ  さん
KUMA0504さん
>宮崎駿の烏帽子像を初めて知りました。ありがとうございます。「もののけ姫」は未だにジブリアニメNo.1です。

<私も「もののけ姫」か「千と千尋」あたりがトップに来ます。
>なんとなく平安時代をイメージしていましたが、室町時代なんですね。鉄砲があるから当たり前か。それだと、アシタカの子孫とカムイ伝の世界はギリギリ繋がる。ちょっと想像する楽しみが増えました。
-----
<とにかく「もののけ姫」には膨大な時代考証の跡が垣間見えますね。
中国人の倭寇の大親分の妻になって、腕を磨いて、あげく男を殺して財産を奪って、戻って来た女とか・・・・最高のキャラクターだと思うけど(笑) (2014.11.18 12:11:54)

網野さんの仕事  
まろ0301  さん
 網野さんの仕事からは多くを学ばせていただきました。『日本の歴史を読みなおす』(ちくま学芸文庫)という題名からうかがえるように、これまで通説とされてきた事柄を実証的に史料を発掘することで覆されてきました。文中に出てくる藤木久志さんの仕事なども網野さんの仕事と並んで大きな業績であると思います。
 「戦国時代」「村」「百姓」という通念がひっくり返ります。そこが歴史に首を突っ込む醍醐味かもしれませんね。 (2014.11.18 19:53:19)

Re:網野さんの仕事(11/18)  
Mドングリ  さん
まろ0301さん
> 網野さんの仕事からは多くを学ばせていただきました。『日本の歴史を読みなおす』(ちくま学芸文庫)という題名からうかがえるように、これまで通説とされてきた事柄を実証的に史料を発掘することで覆されてきました。文中に出てくる藤木久志さんの仕事なども網野さんの仕事と並んで大きな業績であると思います。
> 「戦国時代」「村」「百姓」という通念がひっくり返ります。そこが歴史に首を突っ込む醍醐味かもしれませんね。
-----
<まろ0301さんは歴史のプロみたいなお仕事だから、網野さんの著作には通じているものと思います。

私の場合、歴史とは漫画や映画の時代考証という見方になってしまいます。
特に、古文書が頼りの江戸時代以前の時代考証は・・・言ったもん勝ち、やったもん勝ちの世界だから、興味は尽きませんね♪ (2014.11.18 23:08:19)

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