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2014.12.12
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カテゴリ: 気になる本
小泉八雲は「元祖バックパッカー」だった。

図書館で借りた『へるん先生の汽車旅行』を読んでいるんだが・・・
冒頭のキャッチフレーズが表わしているように、小泉八雲を旅行者として見る視点がわりと新しくて・・・・ええでぇ♪

この本の見開きに大判のアメリカ大陸上の鉄道旅地図、そして、その裏が日本列島上の鉄道旅地図となっています。

つまり、旅行者の目でアメリカ大陸や日本での八雲の足跡を追っているわけで・・・
こんな切り口も有りなのか♪

ということで、この後、読み進めます。

【へるん先生の汽車旅行】
ヘルン

芦原伸著、集英社インターナショナル、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
小泉八雲は「元祖バックパッカー」だった。ニューヨークから松江までの旅でその人生を一変させた男がいた。文無しジャーナリスト、ラフカディオ・ハーンは、1890年、ニューヨークから鉄道で大陸を横断し、横浜へと向かった。松江で「へるん先生」となった男は、熊本、神戸、そして東京へと生涯旅を重ねた。

<読む前の大使寸評>
ラフカディオ・ハーンのイメージとして、旅行カバンを下げたややうらぶれたシルエットが浮かびます。
人生の長旅の最後に、日本にたどりつき…やっと安らぎを得たのかもしれません。

そのへるん先生の汽車旅行とあれば、興味がわくのです。

rakuten へるん先生の汽車旅行
へるん先生の汽車旅行 by保阪正康


この本の序章の一部を紹介します。

<ハーンは“ヘンな外人”だった。> よりp17~19
 私は今、ラフカディオ・ハーンの物語を書こうとしている。
 ハーンは明治23(1890)年、アメリカから来日後、島根県の尋常中学校の英語教師として松江に暮らし、出雲地方や日本全国に残る民話や伝説を収集して『怪談』という名作を世に残した。小泉セツと結婚し、日本に帰化し、小泉八雲と名乗った。

 ハーンとの出会いは私が高校生のときだった。もはや半世紀も前のことになるが、名古屋で過ごした高校時代、修学旅行で山陰地方を訪れ、松江城下のハーンの旧居(根岸邸)を見学した。根岸家の末裔というお婆さんが案内役で、“へるん先生”の紹介をしてくれた。

 羽織袴を着て、神社にお参りに行き、そばや刺身を食べて「おいしい、おいしい!」と舌鼓を打ったこと。風呂に入るハーンの裸姿を一目見ようと、軒先に隠れて固唾をのむ少年たちのこと。当時、松江では外国人の尻にはしっぽがついている、という噂が流れていたらしい。

 ちょうど帰化した仏国のコメディアンが「ヘンな外人!」という言葉を流行させ、ブラウン管で人気のあった頃のことで、お婆さんの説明のオチ「ヘンな外人!」に皆が爆笑した。「そうか、この男も考えてみれば、ヘンな外人だったのだ」―そう思うと、急にハーンに親しみが湧いた。

 アメリカからやってきた、というのも意外だった。それまでてっきり、ハーンはイギリス人だとばかり思っていた。高校時代、ハリウッド西部劇に夢中だった私は、ハーンがやってきたというシンシナティという町に興味をもった。スティーブ・マックイーン主演の『シンシナティ・キッド』が公開されたばかりの頃だったのだ。あの中西部の埃っぽい、無法の街から粋がってやってきたのかと思うと、小泉八雲という古めかしい明治時代の文豪としてのイメージがまったく変わってくるのだった。

 それ以後、松江を訪れるたびにハーンは気になる存在として私の心のなかで増幅していった。というのは、私の本籍地は京都府中郡峰山町(現・京都府京丹後市)で、日本海の片隅にあり、松江にも近かったのである。
 峰山には祖先の墓があり、子供の頃、父母に連れられ、盆や正月にたびたび訪れた。当時名古屋から急行「大社」があり、東海道本線、北陸本線、小浜線、宮津線経由で出雲市へと直通で走っていた。
(中略)
 松江はこじんまりした美しい山陰の城下町で、古い民家や古刹が点在し、たびたび訪れると、なじみの本屋や駄菓子屋ができ、懐かしい第二の故郷のように思えるのだった。出雲は神話時代の太古の歴史の息づくところで、日本という国が造られるなかで、歴史の闇に葬られた猛々しい古代の神への興味は尽きない。

 小泉八雲旧宅を訪れるたびに、外国人であるはずのハーンが、なぜ日本の文化にそれほど固執したのか、なぜ日本に帰化したのか? ハーンが過ごした日本の明治時代とは? その激動の時代から私たちが、今学ぶこととはなにか―。
 明治という時代と明治人の気風を、ハーンの足跡を辿りながら、タイムスリップできないものだろうか?
 ―それがこの物語を書く動機だった。

 ハーンはアメリカで新聞記者として働き、シンシナティ、ニューオーリンズ、西インド諸島と旅を続けてきた。まるで人生が旅のような男である。

著者の芦原伸という人、やけに鉄道に詳しいのだが・・・・


大使も松江を訪れた際、ハーンの旧居(根岸邸)を見学したが・・・ちょっと侘しいような庭が印象的でした。
ここで、以前に読んだことのある小泉八雲著『日本瞥見記(上)』も併せて紹介します。

【日本瞥見記(上)】
ハーン

小泉八雲著、恒文社、1975年刊

<商品説明>より
来日後の第一作。印象がきわめて新鮮で、読む者を歴史と風土への小旅行に誘う。日本をあらためて見直させてくれる好著。極東の第一日、江の島行脚、盆おどり、他の各章。

<大使寸評>
イザベラ・バードの見た日本人とあまり違っていないようだけど・・・
バードより滞在期間が長いだけに、ハーンには生活者としての切り口が見えるようですね♪

とにかく、ハーンが日本を訪れた時代には、すでに近代的なジャーナリズムや民俗学が芽ばえているようです。

d-pub 日本瞥見記(上)


詩人ハーンが民俗学的な関心を持って、お稲荷さんを語っています。

<キツネ> p399~403より
 出雲には、どうもよその地方よりも、キツネの像が多いように思われる。しかもこの地方は、ことに百姓のあいだで、キツネは米の神として崇める以外に、なにか別のものの象徴になっているらしい。

 正直いうと、この地方の下層階級のあいだでは、稲田の神という昔の観念は、純正の神道の観念とはまるで性質のちがう怪異な信仰によって、――つまり、キツネの信仰によってすっかり蔽いつくされて、ほとんどその観念は消えてしまっている。神の尊崇が、その神のお使い姫の尊崇に席を譲ったというわけである。

 いったい、キツネは、もとは稲荷のお使い姫にすぎなかったのである。ちょうど、今でもカメが金毘羅のお使い姫であるように、また、シカが春日大神のお使い姫であるように、あるいは、ネズミが大黒天の、タイが恵比寿の、白蛇が弁天の、ムカデが戦の神である毘沙門のお使い姫であるように。

 ところが、何百年という長い年月のあいだに、そのお使い姫であるキツネが、神性を横取りしたのである。だから、キツネの石の像は、こんにちでは、キツネ信仰の唯一の有形の証拠というわけではなくなっているのだ。

 稲荷の社へ行ってみると、たいていどこでも、社殿の裏手の壁の、地上、1,2フィートのところに、直径8インチぐらいの丸い穴があいているのを見受けるだろう。どうかすると、その穴の口が、引き戸で締まるようになっているのもある。この丸い穴はキツネの穴で、穴の入口の戸が明いている時に、中をのぞいてみると、おそらく、穴のなかには、キツネの好物だと考えられている豆腐その他の食物を上げてあるのが見えるだろう。それからまた、穴の下のところから、あるいは穴の近くか、さもなければ穴のふちに、小さな板が出ていて、その板の上に米粒が撒いてあるのを見受けるだろう。

 そして、おりからそこへ参詣にきた百姓が、ポンポンとかしわ手を打って、何やらちょっと拝んでから、その撒いてある米粒を、ひと粒かふた粒、呑みこんでいるのを見かけるだろう。これは、その米粒が病気を治したり、病気の予防になると、一般に信じられているからである。

 ところで、こういう穴のこしらえてあるキツネは、これは人間の目に見えないキツネで、いわば化けギツネ、―百姓たちから、「おキツネさん」といって崇められているキツネである。こういう目に見えないキツネが、どうかしたひょうしに姿を現すと、その毛色は、雪のようにまっ白だといわれている。

(中略)
 こういう信仰のなかには、いろいろそこに妙な矛盾がまじりこんでいる。そのことは、いずれ後章にのべることにするが、とにかく、キツネの迷信を定義づけることはじつにむずかしい。

 それは、信者自身の間に、この問題の観念が雑多に入り混じっているためと、この迷信を形づくっている要素が雑多なせいとによる。キツネの迷信の起こりは中国であるが、日本では、それが神道の信仰とへんにごっちゃにまざった上に、そのまざったものがまた、仏教の方の神通力などという考えによって、さらに修飾され、拡大された形がある。

 まず一般民衆のばあい、かれらがキツネに尊敬を払うのは、キツネがこわいからだというのが、おそらく無難な見方だろう。農民はいまでも、こわいものを崇めているから。






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Last updated  2014.12.12 00:16:23
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Re:へるん先生の汽車旅行(12/12)  
chappi-chappi  さん
ひゃあ~~~おもしろそうです!!
ラフカディオ・ハーンというと
アイルランドを思い出してしまうけど、
生まれてからずっとあちこちだから、
ほんとに生涯旅人みたいな人だったんやね~~~

(2014.12.12 22:24:42)

Re[1]:へるん先生の汽車旅行(12/12)  
Mドングリ  さん
chappi-chappiさん
>ひゃあ~~~おもしろそうです!!
>ラフカディオ・ハーンというと
>アイルランドを思い出してしまうけど、
>生まれてからずっとあちこちだから、
>ほんとに生涯旅人みたいな人だったんやね~~~
>
<ハーンにはアイルランドとギリシャの血が入っているいるけど、西欧ではマイナーな出自になるわけですね。
でも、マイナーであっても文芸的、芸術的な血でもあり、流れ着いた先の日本で開花させたのが・・・ええでぇ♪
(2014.12.13 00:09:51)

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