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2014.12.20
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カテゴリ: 歴史
図書館で網野善彦著『無縁・公界・楽』というを文庫本を借りて読んだのだが・・・・
とにかく内容が充実していて、どこから読んでも、つい引きこまれるのです。

特に、「職人尽絵」とこの本をあわせて読むと、中世の職人や芸能民たちの姿が、鮮やかに浮かび上がってくようです。


無縁・公界・楽

網野善彦著、平凡社、増補版1996年刊

<「MARC」データベース>より
近代から古代まで遡り、駆込寺や楽市など多様な領域に、人間の本源的自由に淵源する無縁の原理の展開をよみとる。日本歴史学の流れを捉え換えた画期的な名著。

<読む前の大使寸評>
無縁・公界・楽という三つのキーワードが、何やら断定的であり・・・・気になるわけです。
ところで、ジャレド ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』の三つのキーワードは具体的であり、まだ分かりやすいですね♪・・・このあたりが欧米のセンスなのか。

<図書館予約:(11/29予約、12/07受取)>

Amazon 無縁・公界・楽
網野善彦の世界 byドングリ


職人喜多院職人尽絵より

大使のツボといえば「職人」である。そのあたりが載っています。

<遍歴する「職人」> よりp177~179
 公界の場に生きるためには、「芸能」を身につけなければならなかったと、さきにのべたが、戦国期の「芸能民」にも、算置や桂女のように、遍歴生活を送る人々は少なくなかった。また「楽」「公界」「無縁」の場に住む人々も、分国往還自由を保証されており、ある範囲を遍歴するのは、「公界者」「公界往来人」の属性であった。

 この属性は、時代を遡るとともに、一層鮮明になり、遍歴の範囲も、はるかに広くなってくる。中世前期、こうした人々は、多少ともこれを蔑視する視角から「無縁の輩」とか、「遊手浮食」の徒とかいわれることもあったが、しかしその実態に即してみれば、多くはそれぞれの「芸能」をもって、天皇・神仏に奉仕する人々で、各々、独自な「道」をもつ「道々の輩」であった。

 周知のように、『東北院歌合』をはじめとする「職人尽絵」に現れる「道々」の人々は、多彩をきわめている。これに「普通唱導集」や『庭訓往来』などにみられる同様の「芸能民」を含めてみると、「道々の者」は海人・山人などの海民・山民、鍛冶・番匠・鋳物師等の各種手工業者、楽人・舞人から獅子舞・猿楽・遊女・白拍子にいたる狭義の芸能民、陰陽師・医師・歌人・能書・算道などの知識人、武士・随身などの武人、博打打・囲碁打などの勝負師、巫女・勧進聖・説経師などの宗教人に、一応、分類することができる。

 このような非農業民を「職人」として一括することには異論もあろう。鎌倉~室町期における「職人」の用例は多様であり、下司・公文・田所・惣追捕使などの荘官・名主を意味する場合、禅院などの寺院内の役僧をさす場合が多いが、おそくとも南北朝期には、銅細工・白粉焼・紺屋などの手工業者をさす言葉として使われている。

 また「芸能」を「所職」「職」とほぼ同意に使用した例は、平安末期から見出されるところだり、神社に属する獅子舞・巫女・田楽・舞人・陪従なども「職掌人」といわれているので、さきのように多様な「道々」の輩を、「職人」と総称しても、当時の用例から大きく離れることはないであろう。

 平安末から鎌倉~南北朝期にかけて、「職人」の特徴の一つは、いまのべたように、広範囲にわたって遍歴するところに求められる。当時、農業と非農業とは、すでに大きく分化していたとはいえ、非農業的生産、手工業、狭義の芸能、商業等々は、まだ十分に分化しておらず、遍歴・行商は「職人」が生計をたてるために必須の条件だったのである。おのずと、「職人」にとって、関渡津泊、山野河海、市、宿の自由通行の保証は、いわば生活そのものの否応のない要求であった。

 前述したように、こうした「無縁」の場に対する支配権は、平安・鎌倉期には、天皇の手中に掌握される形をとっていた。多くの「職人」が供御人となっていった理由はそこにある。


上人・聖が行った社会活動と布教の関係が興味深いのです。

<関渡津泊、橋と勧進上人> よりp157~159
 康平5年(1062)、讃岐国曼荼羅寺を修造した勧進僧善芳は、寺の荒廃をみて修造のための勧進を行ったといわれており、降って鎌倉初期、平氏によって焼かれた東大寺とその大仏の再建に従事し、東大寺大勧進職に補任された重源も、周知のように、治承5年(1181)、七道諸国勧進を認める宣旨を与えられ、「一輪車六両」によって、勧進を開始しているのである。
 平安末期から各地に残る金石文などに広く現れる勧進僧も、もとより、恐らくそのほとんどが、こうした諸国を往反・遍歴する聖であったにちがいない。

 こうした活動を通じて、聖・上人たちは、寺院を建立し、仏像・経筒を造り、梵鐘を鋳た。しかし、とくに注目すべきは、行基・空也以来、彼等が橋を架け、道路をひらき、船津をつくり、泊を修造している事実である。

 橋を架け、修造するのは、古くから、必ずといってよいほど、聖の勧進によって行われた。例えば、保延5年(1139)、京の清水橋が完成しているが、「洛中貴賤知識造之」といわれているように、これは勧進に架橋であり、祇園四条橋も、永治2年(1142)、「為勧進聖沙汰、直之」と伝えられている。また、さきの恩円上人叡尊は、官符によって、宇治橋の修造を行い、弘安9年(1286)に完成供養を修したのである。

 津泊の修築もその例は多い。さきにもふれたように、筑前の鐘ヶ崎に島を築いて船瀬とした往阿弥陀仏は、貞永元年(1232)、鎌倉の和賀江に島を築き、港をつくった勧進上人であった。忍性はそのあとをうけついで、この島の修造を行っているが、一方で魚住泊を修築したことは前述した通りであり、加古川の河口に福泊した勧進上人行円についても、先述した。

 これは上人・聖自身が、こうした場を通じて遍歴したこととも関係があろうし、庶民に福祉をもたらす社会活動による布教の意図もあったといえようが、それ以上に、橋や津泊・渡・道路等が「無縁」の場だったことに、目を向けておかなくてはならぬ。橋の境界性、「無縁」の場としての特質については、岩崎武夫氏が「説教と境界性」という興味深い論稿で、直江津の中心を流れる荒川に架けられた「応化の橋」に即して詳しくのべているが、橋は柳田国男氏が『姫橋』で言及しているように、さまざまな伝説でいろどられた、聖なる場だったのである。

 渡についてもこれと同じことがいえるであろうし、泊・船瀬が「無縁」の漂流物によって修築される場合のあった点からみても、またそこがのちに、「公界」の都市になったことから考えても、津泊が「無縁」の地であることは明らかであろう。「公界の大道」―道路も同様であった。






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Last updated  2014.12.20 00:07:54
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