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2015.10.04
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『書店繁盛記』という本を手にしたが・・・
出版業界や本屋のウラ話が見えるのではないか、と興味深いのです。

要は、アマゾンという黒舟に如何に対抗するかということなんでしょうね。

大使は、アマゾンと楽天ブックスを書籍の検索に愛用しているが・・・一方でこれらはe-コマースのツールであるわけで書店の強力な商売敵でもあるわけです。



書店

田口久美子著、ポプラ社、2006年刊

<商品説明>より
リブロ池袋店店長を経てジュンク堂池袋本店副店長を務める著者は、カリスマ書店員としてつとに知られる存在だ。作家たちからも絶大な信頼を寄せられる彼女の、本や出版業界、社会全般に対する考察は必読。社会の縮図と称される書店の、奥深い世界がリアルにわかる。

<読む前の大使寸評>
出版業界や本屋のウラ話が見えるのではないか・・・と興味深いのです。
要は、アマゾンという黒舟に如何に対抗するかということなんでしょうね。

rakuten 書店繁盛記


この本で、書店の危機が「はじめに」に述べられています。

<はじめに> より
 書店は今大きな曲がり角に来ている。街から消えていくスピードが加速度を増している。小さな書店ばかりではない、中から大までの規模へと蔓延していっている。十年以上も前だったら、「日本人はなんで本をよまなくなったのか」というシンプルな、しかし答えの出ない問いにさまざまに頭を悩ませていればすんだのだが、いまやインターネットという新しいツールが活字媒体に侵入し、しかもオンライン書店(実はジュンク堂もオンライン書店を開いている)という販売形態が、小さくなる一方の書店マーケットを着実に侵食している。呆然度は厳しさをますばかりである。

 ベストセラーがまず大型書店やチェーン書店に集約されて、小さな書店に並ばなくなってからどのくらいの年月を経たのだろうか。十年?十五年? そして今、『ハリーポッター』の予約に多くの読者はキーボードをたたく。出版社も予測されるベストセラー本の配本にはまずオンライン書店の予約数を確認する。

 韓国ではオンライン書店の売上シェアが全体の60%を超えたという。それぞれの国の出版形態事情を抱えながらも、いまやオンライン書店は世界的傾向にある。どういうツールにせよ、むしろ手に入りやすくなったのだから、歓迎すべき事態ではないか、利便性歓迎、という声が読者の立場から聞こえてくるのだが、果たしてそうだろうか?

 出版社が、アマゾンの「1500円以上の本、送料無料」という設定にあわせて、単行本の定価付けの最低ラインを1500円にあわせようとしている。価格の変化が、今静かにおきているのだ。

 次は何が起きるのだろう。書店に行ってずらっと並んでいる本から選ぶ、パソコンの画面から選ぶ、単に目先が変わっただけ、どこに変化の余地が?まずはタイトルが検索しやすい本が有利になるだろう。それから?本の内容まで変化させるところまでいくのだろうか。もしかすると曖昧なジャンルの本が出版しづらくなるかもしれない。たんなる予感にすぎないのだが、本の内容というのは、入手手段に左右されるくらいもろいものではないのか、と私は秘かに危惧をしている。

 変わったのはオンライン書店という販売形態だけではない、書店員の意識も、仕事自体も、さまざまに変化している。もちろんお客さんの意識も、ありようも、出版社も取次ぎも、である。変わらないのは、出版社→取次→書店という流通形態という骨組みなのだが、それも少しずつガタが来ている。

 日本全体がこの30年で大きく変わったのだろう、出版はそれを忠実に映しているのに過ぎない。出版という日本にとってちっぽけな産業は、変化を映すのには格好の場なのだろう。こんな状況のなかで働いている私たち書店員の右往左往を書きとめたのが本書である。どうか、「沈没」などという事態に陥らないように、少し落ち込んでもはねのけるほどの活力がある場所でありますように。


自慢じゃないが・・・大使は『ハリーポッター』を読んだこともないし、アナ雪を観たこともない。
そして、アップル製品は持たないし、近くにあるUSJに行くこともない・・・・要するにアメリカ嫌いなのである。

この本では、ジュンク堂書店員の日常業務が縷々つづられています。
書店員も辛いぜ。

<不思議なお客さま> よりp138~139
 各フロアに客用椅子と机を設置しているせいか、開店を待って椅子にすっとすべりこむ輩が多い。時に異臭を放つ人物に居座られる。朝から酔っ払っているオジさんもいる。先日は女子校生の胸を触った、とひと悶着があった。「勘弁してね」とお引取りいただくことになる。

 そのまま閉店までじっくりと腰を落ち着ける常連さんもちらほらといる。何故か男性が圧倒的に多い。97年の開店以来毎日来ているオジさんもオニイさんもいる。決して買わない、読むだけ。ほとんどの諸君は、目立たないように伏し目がちに本を物色し、躊躇なく取り上げ、音もなく椅子の方向に向かう。本を手に熟睡する輩も多い。長時間にわたると「ここは睡眠場所ではありません」といって揺り起こす。

 その男性には目をつけていた、30代だろうか、背丈は180センチはあるだろう、がっちりとした体格をしている。ここ1週間ぐらい、毎日来ている。開店から閉店までのパターンである。それほど異臭がするわけではないが、全体にうっすらと汚れが目立つ。閉店間際に本を書棚に返しに来た現場を見かけた。

 返した場所と書名を確かめようとして眼が合った。こちらがすくみあがるほど激しくにらまれて、ちょっと震えた、えっ、私のほうが悪いわけ?と一瞬思うほどであった。閉店後その本を確かめた、『グラスホッパー』(伊坂幸太郎 角川書店 04年)、思い切り広げて読んだのだろう、背中が割れてしまって、広がった状態で元に戻らない、ページのところどころに指のあとが黒くはっきりとついている、きっと指をなめながらめくったのだろう。小口もところどころ汚れている。とてもお客さんに売れる状態ではない。

 『グラスホッパー』、確か在庫が切れそうだった、と気がつき、あわてて探し回った、案の定ほかに1冊もない。うーん、何ということだ。

 担当者に見せたら「ここのところ、汚れた本が何冊か棚にささっていて、困っていたんです。しかも売れ筋が」と泣きそうだ。「12月なのに・・・、次の入荷まで品切れになるかなあ」「いや、それは大丈夫です。この間注文した分がそろそろ入ってきますから」

 次の日、見かけたら警備の社員を呼ぶぞ、と手ぐすね引いて待っていた。ほら、来た、来た、さあ、お引き取り願いましょう。前日の厳しい眼差しの記憶があるので、ちょっとひるんで、遠くから見ていた。暴れるだろうか?いや、結構おとなしく帰っていった。

 「なんて言ったの?」と警備員に聞くと、「なあに、簡単ですよ。この本を昨日読んだのはあんただよな、こんなに汚したんだから、買ってもらおうか。もし買えないんなら、迷惑だから出て行ってくれ、ってね」本当に、ストレートでした。



<若い書店員へ> よりp298~300
 文学賞はお祭りみたいなのだが、毎日出る新刊のメンテナンスは日常の仕事の積み重ねが「文芸書の顔」を作る、店の評判にも関わる主要な仕事だ。なぜなら、現在小梅の担当する日本文学の売上のほぼ半分が刊行からひと月以内の新刊で占められているから。

 インターネットによる注文では、新刊が半数以上を占める。しかし同じ日本文学でも現代文学とミステリー・SFでは新刊比重が後者の方がより高い、つまりエンターテインメント系のほうが売上グラフの山が高く、落ちるのが急だ。

 現代文学でも大江健三郎と江国香織では売れるスピードが違う。これが海外文学になると、売上自体がぐっと冷え込んでいるし、新刊の売上比率は低くなる。より専門書よりの動きに近くなるのだ。そして海外ミステリーは新刊しか売れない、つまりめったにロングセラー化しない。

 昨年高橋源一郎氏がジュンク堂のトークセッションで「日本の近代文学は明治以来<西欧>を取り入れることがそのまま歴史だったけれど、最近は<輸入傾向>がガクッと減っている。西洋文学への畏敬の念がなくなったようだ」と語っていたが、書き手ばかりでなく読み手も一緒に変化している、と本をいじりながらシミジミ感じる。

 しかし小梅の1日は新刊メンテナンスや賞モノ確保だけでは終わらない。大半の仕事はもっとこまごましてもっと地味だ。ただし、池袋店は一階が集中レジなので、社員はレジ業務からはおおよそ解放されている。これが他店書店員の仕事との最も大きな違いだろう。

 小梅はストック整理が下手なの、と自戒し、それならとんでもない字を書くほうを反省したら、と職場のみんなに冷やかされ、おしゃべりな営業マンとつい話し込んで、気がついたら就業時間中に補充品の棚入れが終わらない、と嘆き、お客さんに聞かれた本があるはずのところになくて慌てふたむき、ホームページに在庫2冊と記されている本を必死で探しても見つからず、「ニだよ、二冊、何で一冊もないの!」とお客さんに叱られて泣きそうになり、客注品が気づかないまま棚に入り、しかも売れてしまって動転したり、「ねえ、小梅さん、やっぱりミステリーやSFと現代文学の棚をもう一度考え直そうよ」という私の言葉に右往左往し、「これからのブンガク界は少年少女たちがアイドル作家になる時代です」ときっぱり断言し、「でも、それって文学にとってはどうなんでしょう」と首をかしげる。

 そして、月に何回か開催されるトークセッションを仕切ったり、新入社員が常連のクレーム客につかまりそうになるのを一生懸命に防ごうとしたり、池袋店の新人教育担当として走り回ったり、友人の結婚話や失恋話に一喜一憂し、自らの恋愛の行方にも心を痛めて、朝6時に起きて洗濯機をかけながら出版社から送られてきた仮綴本を読んでから遅番出勤し・・・

(中略)
 そして、忙しさからちょっと解放されるとき、ふっと、これから書店はどうなるのだろうか、私は書店員としてどのくらいやっていけるのだろうか、と小梅は考え込むときがある。それは、私が今回取材したジュンク堂の面々、そして彼らだけではなくほとんどの社員も同様であろう。
 ジュンク堂は書店の中ではかなり恵まれた、安定した職場である。そこの社員である彼らが持ってしまう共通の不安感はイコール書店という存在自体の危うさだ。書店に関わるすべての人々が持つ危機感なのだ。






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Last updated  2015.10.12 07:37:05
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