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2015.10.26
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カテゴリ: 気になる本
図書館から『紙の本は滅びない』という本を借りて読んでいるのだが・・・
電子書籍に信頼のおけないアナログ老人としては、あくまでも「紙の本」に拘りたいのである。
というか、手に取りパラパラめくるというアナログ機能には、電子書籍は到達し得ないと思うのです。

だけど・・・
紙の本は滅びないだろうけど、「町の書店」の減少は市場原理の表れなのか?



紙

福嶋聡著、ポプラ社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
世界最大のインターネット書店であるアマゾンが「日本上陸」して15年。キンドルやiPadは新たな読書端末を登場させた。それでも人々は、書店にやって来る。何を求めて?インターネット空間に漂うコンテンツが膨大になればなるほど増す、書物の必要性。「世界を、宇宙を、人々の生きざまをもっと知りたいし、変えていきたい」と綴る現役書店人が今こそ世に問う「紙の本の」意義。

<読む前の大使寸評>
電子書籍に信頼のおけないアナログ老人としては、あくまでも「紙の本」に拘りたいのである・・・
というか、手に取りパラパラめくるというアナログ機能には、電子書籍は到達し得ないと思うのです。

rakuten 紙の本は滅びない


大使の懐が実際に痛むわけではないが、「町の書店」の減少には危機感を抱くのです。

<右肩下がり> よりp168~172
 出版業界の総売上のピークは、1996年である。前年1995年は「阪神・淡路大震災」、「オウム真理教事件」によって社会的にも大きな曲がり角を迎えた年であったが、出版業界に大きな影響を与えたのは、ウィンドウズ95の登場によって、世の中が本格的なインターネット時代を迎えたことだろう。

 インターネットの普及によって危惧された最悪の予想ほどには、書籍の売上は落ちていない。だが、徐々に目減りしていることは確かだ。ボディブローのようなその目減りが、早晩出版・書店業界に雪崩を引き起こす可能性は、否定できない。

 書店業界にいる者にとっては、書籍販売における目減り以上に、もっと衝撃的な数字がある。21世紀に入って、毎年1000軒規模で、書店が消えていったことだ。2005年以降、さすがにペースダウンしているが、年々減っていることに違いはない。一方で、書店売場面積は、増加し続けている。

 書籍販売額が思った以上に減っていないこと、そして書店売場面積が増加し続けていること、ならば今やどんな小売業界にもある「構造改革」は不可避ながらも、全体として書籍・出版業界は安泰なのではないか。

 そうではない。
 「町の書店」の減数が、やがて大型チェーン店の経営をも、揺るがしてくるのだ。

 何よりも危惧されるのが、「読者」の「再生産」の問題である。
 ぼく自身、学校帰りに駅前の書店で、「次は何を読もうか」と、書棚に吊り下げられた文庫目録を見るのが楽しみだった。そうした経験が継続することで、本への関心が持続し、ぼくはとうとう書店人になってしまった。子供のころから日常的に大型店に行く人はいない。「町の書店」の減数は、やがて大型店に赴くようになる「読者」の「再生産」にとって大きな危機なのである。

 「町の書店」の減数はまた、「雑誌の危機」にも直結している。
 ある時、文芸春秋の役員から「月刊『文芸春秋』の売上減は、『町の書店』が消えていったカーブと見事に一致している」と聞いた。すぐに腑に落ちた。『文芸春秋』は、発売後しばらく「町の書店」の入口に積まれる「スター」である。

 だが、コンビニエンスストアで買う雑誌ではないし、ましてやネット書店で買うものではない。敢えて言えば、大型書店の雑誌売場よりも、「町の書店」の入口に積まれている方が似合う。

 2008年には、『論座』(朝日新聞社)、『月刊現代』(講談社)といった歴史ある有力総合月刊誌が姿を消した。「町の書店」の減少が、ジワリジワリと効いてきているのかもしれない。

 では、「町の書店」は、どうして激減していったのであろう。
 ジュンク堂書店をはじめとするナショナルチェーンの出店競争が槍玉にあげられることも多いが、自己弁護と見られることを恐れずに言えば、ぼくはそうではないのではないか、と思っている。これまでの議論でも少しずつ触れているように、通学・通勤・買い物のついでに立ち寄る「町の書店」と、休日などを利用してわざわざ足を向ける大型書店とは、役割が違うからである。

 むしろ「町の書店」は、二つの新しい業態の影響をモロに受けてしまったのではないだろうか。その二つとは、24時間営業で雑誌も扱うコンビニエンスストアと、アマゾンをはじめとするネット書店である。

 「町の書店」にとって雑誌の売上シェアの高さは、ナショナルチェーンの、特に専門書を売りにしているジュンク堂書店のそれの比ではない。24時間営業という武器に太刀打ちできないまま、根幹となる雑誌の売上が打撃を蒙ったことは想像に難くない。


新刊書籍の再販制度や、古書のせどり、インターネットオークションが語られているが、これらを「商売」として見ると、面白いわけです。

<再販制の弾力運用とゆらぎ> よりp174~178
 「再販制」とは、ひとことでいえば、出版社(メーカー)による書店(小売)への価格拘束であり、原則的には独占禁止法違反である。

 1953年の「独占禁止法」改正時に、化粧品や洗剤などとともに「不当な取引制限」の適用除外とされた出版物の再販制は、1980年10月、公正取引委員会から「部分再販」、「時限再販」の実施など5項目の指導を受けている。
 1991年7月、日米構造協議(SII)での独占禁止法の強化合意を背景に、公正取引委員会が「独占禁止法適用除外制度の見直し」報告書を公表。1995年7月には、著作物の再販制の全廃をも示唆していた「再販問題検討小委員会」中間報告も公表された。その中で、出版物の再販制は、「文化水準の維持をはかっていくうえで不可欠な多種類の書籍等が、同一の価格で全国的に広範に普及される体制を維持する」ため、「適用除外」の存続が決定した。

 (中略)
 そうした中、再販制を守るための公正取引委員会へのポーズとしてではなく、実際に出版・書店業界の存亡の危機を乗り越えるために、菊池氏の「買い切り時限再販を」という提案がなされたのである。

 「出版・書店」業界内でそうした議論が巻き起こる傍ら、「業界外」で、いわば「真逆」な形で「再販制」が切り崩されつつあることも、指摘しておきたい。それは、「業界内」では「値崩れ」と思われていることの逆、「定価超え」という取引形態である。

 「せどり(背取り/競取り)」という言葉がある。書籍・雑誌などを古書店から安く購入し転売する行為である。古書業界では伝統的な商いの手段であった「せどり」が、本をめぐる環境の変化により、新しい形態を持ちつつあるらしいのだ。「ブックオフ」などの「新古書店」で仕入れた本をインターネットオークションやアマゾンのマーケットプレイスなどで転売し利鞘を稼ぐ商売が成立しているらしいのである。

 それだけなら、「古書販売」という業態が、「インターネット」という新たなメディアを利用して新しい販路を求め得た、そしてそれに参画する販売者が増えた、ということに過ぎないとも言える。だが、そうした「マーケット」で時折現われる「定価超え」という現象は、「再販制」の存在意義を根底から覆す。「定価超え」であるならば、古書店・新古書店でなく新刊書店で買っても、「商売」は成り立つ。出版社品切れ本などの稀少本のみならず、新刊売れ行き良好書でのそうした「商売」も、現に見られる。

 それが可能なのは、さまざまな理由で入手困難な本を、手数料を上乗せしてもよいからすぐに欲しいという「市場」があるからだ。


図書館、本屋に足繁くかよう大使は、「せどり屋」という商売が気にかかるわけです。
「これなら、俺でもできる」と思ったりするが・・・・そんな甘いものでないのかも?

<「せどり屋」と再販制の逆向きの崩壊> よりp207~211
 【背取り(せどり)は、書籍・雑誌などを古書店から安く購入し転売すっる行為。本の背表紙を片っ端から見て本を選ぶことからこう呼ばれる。これらを行う者は古書店バイヤーであったりあるいはインターネットオークションやアマゾンなどで転売し利鞘を儲けにする目的で古書店めぐりをする人を指す。その本を売って利益を得られるかどうかという目利きが重要である】  

 河原すみ著『せどりで副業!30代ダブルワーカーの日記』の一節である。
 ぼくも「せどり」という言葉は知っている。書店人であるから、同じく本を扱うことを生業とするお隣の古書業界についても、関心と少しばかりの知識はある。古書を商う業者が、同業の書店をめぐり、あるいは即売会などで、転売が利益を生みそうな本を仕入れることである。

 かつては、「せどり」された古書は、自店の店頭で販売するか、即売会で古書愛好家や同業者への転売を待つしかなかった。今や、“インターネットオークションやアマゾン.co.jpなどで転売し利鞘を儲けにする”ことができる。

 店舗を持つ必要がないから、同書の著者のように割合簡単に「副業」にできる。著者の商売のフィールドである「ヤフオク」や「マケプレ」はまさに「市場」であり、価格は市場原理で決まる。一冊一冊の古書の価値を見定めていたかつての「せどり」とは、いささか異なっているかもしれない。

 そして、「せどらー」たちが仕入れることができる場、著者も仕入れの拠点としているブックオフの存在も、大きな環境の変化であろう。いわば、かつては書店から読者に渡った時点で終了していた本の流通が、さらなるさまよい・さすらいの場を持っているのだ。そしてそこに市場が成立しているのである。
 いわば、ブックオフ、インターネットという新しい業態、市場が、古書業界の伝統的な「せどり」に、新たな形態をもたらしているのだ。






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Last updated  2015.10.26 06:58:18
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