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2015.10.28
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カテゴリ: 気になる本
<世界の文字事典>

この本にも「漢字文化圏」の説明が載っているので、借りたわけです。

このところ、我がブログは「漢字文化圏」オンパレードの様相を呈しているがな♪



文字

庄司博史編、丸善出版、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
データ無し

<読む前の大使寸評>
とにかく、漢字文化圏というピンポイントのこだわりで借りたわけです。

rakuten 世界の文字事典


漢字のあたりを見てみましょう。
p412~413
<漢字文化圏>
 日本や朝鮮半島の諸国家、それにベトナムなどの非漢語圏の国家は、この2つの方法を組みあわせて、漢字を自国語表記に適用できるようにしてきた。かくして漢字は漢語が話される中国国内だけでなく、東アジア地域一帯に広く普及し、古代における国際共通文字としての役割を兼ね備えていくこととなった。こうしてこの地域に、漢字と古代中国の規範的文体(これを日本では漢文とよぶ)を通じて交流できる集団が形づくられた。これが「漢字文化圏」である。

 この文化共同体は中国を中心とし、中国の周辺にあって中国と外交や貿易の関係をもっていた国々で構成されており、具体的には、東は朝鮮半島の緒王朝と、海を隔てた日本、西ではシルクロード上に位置した国、それに南のベトナムなどが含まれていた。

 なお中国の北方にあった遼や西夏、また独自の高度な文化を展開したチベットでも漢字を使用した時期があり、漢字を自由に使いこなす人々もたくさんいたが、最終的には独自の民族文字を制定し、それによって言語表記や書物の出版などの文化的営為を行ってきたから、漢字文化圏には包括されない。

 現在の極東地域には「漢字文化圏」という文化的な靭帯は存在しない。漢字はもはやこの地域で全面的に使われる主要な文字としての地位を失っており、東アジアの諸国で今も漢字を主要な文字として使用しているのは、中国(台湾・香港を含む)と日本だけである。
<現代の漢字>
 第2次世界大戦後、世界のあちこちで大きな変動が起こったが、東アジア地域の文化面での最も大きな変革は、それまで東アジア地域の文化面での最も大きな変革は、それまで東アジアの文化に共通する基盤として存在していた漢字が、しだいに姿を消し始めたことだった。

 この地域において漢字はすでに最もメジャーな文字という地位を喪失しており、かつての漢字文化圏で重要な一翼を担っていた朝鮮半島では、北半分の地域では漢字が全廃されているし、南半分の地域でも、新聞や雑誌には部分的に漢字が使われてはいるものの、日常生活で見かける文字はほとんどハングルだけで表記されている。

 また、漢字文化圏の最も南方に位置したベトナムでは、かなり早い時期からアルファベットによる文字表記が進行しており、ベトナムでは、中国系住民を除いて漢字を読める人はほとんどいないのが現状である。

 漢字の本家である中国でも、中華人民共和国が成立してから変革の波が押し寄せた。中国革命を指導した毛沢東は、1951年に「漢字はかならず改革し、世界の文字に共通する表音文字の方向に進まなければならない」との指示を出した。こうして国家によって言語と文字の改革が強力に推進された。

 中国のこの言語と文字の改革を「文字改革」というが、それは、全国に通用する標準語の制定、漢字の発音を表記するための新しい表音文字の作成、それに漢字の簡略化、を三本の柱とするものであった。

 過去の中国で漢字を使い、書物を読み書きしたのは、実際にはごく一部の特権的な階層だった。漢字には悠久の歴史があるというものの、実際には伝統的文化の世界に生きた少数の知識人だけが所有した歴史であって、過去の農民や都市の労働者など圧倒的多数の人々は漢字とは無縁だった。人民共和国になってから行われた漢字の簡略化は、まさに漢字をより多数の人民に開放するためのものだった。


漢字文化圏といっても、今では朝鮮半島が脱落しているので中国・台湾・日本だけという有様なんですね。
中・台・日・韓が共通の漢字を採用するようになれば、筆談も可能となり、ほんとうの文化圏なんだけど。
(共通の漢字としては、繁体字より日本の新体字が好ましいと思うけど)

漢字文化圏の成り立ちについて も再掲しています。

お次は、日本人には馴染みの少ないアラム系文字であるが・・・

p398~400
<アラム系文字の誕生>
 原初アルファベットは、紀元前2000年紀の地中海東海岸で西セム語を使う人たちにより考案されたが、この原初アルファベットは考案者たちの言語特徴から子音文字のみで構成され、書き順は牛耕式や「右から左」(Right-to-Left、略してRTL)など比較的自由であった。海岸部ではフェニキア文字、海を越えるとギリシャ文字として発展したが、内陸側のシリアでもアラム人都市国家で使用され、前8世紀頃よりアラム文字とよばれた。

アラム文字アラム文字

 ギリシャでは言語構造の相違から母音文字が加わり、書き順も現行のLTRに変わって、1字1音の原理を備えた(アルファベット方式)

 これに対して、アラム文字は同じ西セム語を表記するため、子音字表記の原理そのままで書き順はRTLが定着した。やがて、字形が簡略化しアラム語もシンプルな言語構造に変わると、画数が多い楔形文字と粘土板を用いる古代オリエント世界の中で、書材を選ばないアラム文字とアラム語は急速に浸透した。
 単語単位で分かち書きする原理が定着する中で、子音字しかなくても母音の大まかな音色を表記する工夫が始まった。

 こうして、RTL+子音字のみ+単語単位で分かち書き+読みの母方式の4原理を備えたアラム系文字は急速に発展し、西アジアから中央アジアを経て東アジアにまで伝わったシリア文字、広大なイスラム地域で使用されるアラビア文字、世界のユダヤ人たちが使うヘブライ文字は、異なった言語環境に4原理を修正しつつ対応し、現代世界でも大きな役割を果たしている。

<世界共通語は文字とともに>
 アラム人の都市国家はやがて古代アッシリア帝国に滅ぼされ、アラム人は国を失う。アッシリア語は漢字のような楔形文字と粘土板が不可欠であるため、交易で帝国内を往来した亡国のアラム人商人が使うアラム文字とアラム語は、急速に古代オリエント世界に広まり、世界共通語の地位を獲得した。

 アッシリアの後に登場したアケメネス朝ペルシャの時代には、エジプトを含む大きな版図で公用語となり、アレキサンダー大王以降、ついにはインド西部まで公的場面ではアラム語とアラム文字を使用した。仏教を広めたインドのアショカ王もアラム語で碑文を残している。

 歴史の変化の中でアラム人は姿を消したが、その言語と文字を人類文明に不滅の遺産として残した。バビロン捕囚の古代イスラエル人が国際語たるアラム語を修得し、ヘブライ語表記の文字もアラム文字に変わり、時間とともに独自性を帯び、現今のヘブライ文字に発展した。

 イエス・キリストは母語アラム語で育てられ、新約聖書にはアラム語で記録された彼のことばがある。その聖書は紀元後3世紀シリア北部で土地のアラム語(シリア語)に翻訳され、その地域のアラム文字はシリア文字との名を得た。
 以上は、アラム系文字の第一発展期である。

<シルクロードを渡るアラム文字>
 古代ペルシャ帝国とアレキサンダー大王の東征により、アラム文字は中央アジアの一部にまで広がり、アラム語以外の言語の記録に使用される時代に移る。中央アジアのソグド文字は、東西間で文物の交流がいかに広く多様であったかを端的に示している。

 イスラム前のメソポタミアは、シリア語の聖書とともにキリスト教文化の歴史を刻んでいたが、アッバース朝初期には、ネストリウス派キリスト教(景教)の中心地は中央アジアに近いイラン西部に移った。イスラム興隆に押された景教は、ここから中央アジアを越え布教を開始する。

 この頃からアラム系文字にとり、非アラム語表記の試練が始まる。その第1は、言語特徴がまったく異なる中央アジアの言語環境で母音表記の試みが始まったこと、第2に22文字で表記できない未知の音を表記する改革と追加への対応である。ギリシャ文字で経験したのと同じ母音字と新字創出の試みは、ソグド文字の頃から始まりウイグル文字では相当の工夫が行われた。

 そしてついに、シルクロードを渡り切る前に、文字の書記方向が反時計まわりに90度回転し、アラム文字はアジアの文字特徴を獲得した。縦書き文化圏(漢字)への接触が密になり、RTLで上の行より下に進む誕生以来の原則から、上より下に向かう縦書きで左の行より右に進むという変革を実現したのである。






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Last updated  2015.10.28 09:02:38
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