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2015.12.01
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カテゴリ: 気になる本
日曜日の朝日新聞に読書欄があるので、ときどき切り取ってスクラップで残していたのだが、これを一歩進めて、無料デジタル版のデータで残すことにしたのです。
・・・・で、今回のお奨めです。

・電気は誰のものか
・大英帝国の親日派

***************************************************************

【電気は誰のものか】
電気は誰のものか より
電気

<巻き込む魔性の力、夢と理想の裏面史:佐倉統(東京大学教授・科学技術社会論) >
 電気はあって当たり前。今の日本なら誰もがそう思う。そして電力事業者は、そういう社会を目立たないところで支える役回りを演じている。だが、事態はもっと複雑で生々しいものだということを、田中聡は気づかせてくれる。

 電力事業者は地味にインフラを担っているだけの存在ではなかった。20世紀になって電気が日本で「当たり前」になる前は、電気を通してやるから言うことをきけとばかりに威張って庶民を見下し、やくざまがいの闘争と恫喝を繰り返していたのである。

 考えてみれば当然のことだ。売り手市場であれば供給側が主導権を握る。まして、電気は近代化のシンボルである。村に煌々とともる電灯は新時代の息吹を感じさせる憧れであり、羨望の的であった。
 わが村がそうなれるかどうかは、すべて電力会社が電気を通してくれるかどうかにかかっている。そんな状況だから、富山県では電力供給を公営化しようとする自治体と電力会社との血みどろの「電灯争議」が続き、長野県では村民みんなの取り決めを抜け駆けしてひとり電灯をつけた家が焼き討ちにあう。電気は、共同体を分断し、人々を争いに巻き込んでいく。魔性の力(フォース)。

 電灯が普及し始めたころ、それは羨望の的である一方で、得たいの知れない、怪しげなものでもあった。原子力も、同じ両義性をもつ。日本の社会が「核」をどのようにイメージし、受け入れ、そこに「夢」を見てきたのか、中尾麻伊香は史料を駆使し、柔軟な発想力と鋭い共感力を全開にして、社会の深層を掘り起こしてくれた。

 ラジウム温泉や、仁科芳雄らが開発を進めていたサイクロトロンなど、「核」の周辺には、近代科学技術へのあこがれと伝統文化への回帰、双方のベクトルが常に絡み合って複雑に共存している。日本と日本人にとって、「核」は理想の社会を実現する魔法の道具だったのだ。そして、科学者とマスメディアと一般大衆が三位一体となって、その「原子力ユートピア」のイメージを作りあげてきたのである。

 一方で、詩人の萩原朔太郎がその向こうに病や恐怖を見て取っていたように、「核」の負の側面を感じ取る「原子力ディストピア」も、並行して存在していたのではないかと思われる。戦後の原発反対運動もその系譜につながるのかもしれない。このあたりは、もう少し分析してほしかった。

 こうしてみると、福島原発事故は、電気と「核」、それぞれが日本の社会に溜めてきた澱を噴出させてしまったようである。戦後の経済成長による封印を解いてしまったのかもしれない。歴史を知ることの重要さを、改めて教えてくれる二冊である。

◇
田中聡著、晶文社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
長野県の赤穂村は村をあげて村営の発電所を作ろうと夢みたが、電力会社に拒まれる。怒った村人が反対派の家を焼き討ちにしたとして捕らえられた赤穂騒擾事件。全国各地に吹き荒れた電気料金値下げをめぐる電灯争議。漏電火災への恐怖をあおる広報合戦…電気事業黎明期にさまざまに発生した電気の事件簿。電気を制するものは、社会も制する?名士に壮士にならず者、電気事業黎明期に暗躍した男たちの興亡史。
【目次】
序 電気は盗めるか/第1章 電灯つけるがなぜ悪い?-赤穂村の騒乱/第2章 初点灯という事件/第3章 何が帝国議事堂を燃やしたのか/第4章 東西対決と電気椅子/第5章 電灯争議/第6章 仁義なき電力戦争/終章 再点灯の物語

<読む前の大使寸評>
来年4月から電力契約自由化が始まるし、原発稼動ゼロでも乗り切ってきたニッポンの電力、望まれるエネルギーミックスなど・・・電力の現状を知りたいのです。

<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>

rakuten 電気は誰のものか



【大英帝国の親日派】
大英帝国の親日派―なぜ開戦は避けられなかったか より
イギリス

 見落とされがちだが、1941年の日米開戦はもちろん日英開戦でもあった。かつて同盟関係にあった日英が、同盟解消後わずか20年足らずで戦端を開く。歴史研究者ならずとも、副題と同じ疑問をいだくだろう。

 本書は、チャーチルや開戦時の駐日大使クレーギーのほか、重光葵、吉田茂の日本人2人を含む14人に焦点を当て、おもに1930年代の日本が英国からどう見えていたのかを解析していく。日本を敵(ドイツ)側へ追いやるのか、とどめるために宥和するのか。米国の支持を得るにはどうするか。国益をかけた交渉は、知恵の輪のように複雑に絡まり、解けない。一触即発の時代の外交官・政治家の軌跡を追うことができる。

◇
アントニー・ベスト著、中央公論新社、2015年刊

<商品説明>より
かつて日英同盟で結ばれていた日本とイギリスは、なぜ対立を深め、第二次大戦で戦火を交えることになったのか。対独戦に苦しみながら、なぜイギリスは日本との戦争に踏み切ったのか。駐英大使として交渉を続けた重光葵はどこで読み誤ったのか。

 イギリス側史料の詳細な検証から、双方の思惑やすれ違い、情勢分析とその誤りが如実に浮かび上がる。果たして、イギリスの意思を正確に捉えることができていたら、日本外交は異なるものとなっていただろうか。日英関係史の第一人者が開戦前夜の日英外交に新たな光を当てる。

<読む前の大使寸評>
イギリスから見た日米開戦という視点が興味深いのです。
そういえば、開戦早々にマレー沖海戦で、望外のような英戦艦2隻の轟沈がありましたね。

<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>

rakuten 大英帝国の親日派


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Last updated  2015.12.01 11:26:03
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