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2015.12.30
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カテゴリ: 気になる本
本屋で集英社のブックレット『青春と読書:1月号』を手にしたのです。
表紙のコピーに中島京子の受賞記念エッセイ、三浦秀之の『五色の虹』受賞インタビューが載っていて、大使好みやないけ♪…
なにしろ定価90円なので、タダみたいな価格がお得♪

このブックレットで、三浦秀之インタビューを見てみましょう。
p16~18
<インタビュー:三浦英之>より
 第13回開高健ノンフィクション賞を受賞した、三浦英之さんの『五色の虹―満州建国大学卒業生たちの戦後』が刊行されました。日中戦争の最中、旧満州に存在した最高学府「建国大学」。「五族協和」の実践をめざし、若者たちが夢見たものとは何だったのか。スーパーエリートたちは、どのような戦後を生き抜いたのか…をテーマに各国に散らばる卒業生を訪ね歩き、丹念にインタビューをおこなった本作。現在、朝日新聞アフリカ特派員(ヨハネスブルグ支局長)としてアフリカ大陸、中近東、欧州を飛びまわる三浦さんに、本作品を執筆するまでの道程、日本を離れているからこそ見えてくるものについて伺いました。

■「普通の人々の人生」を書きたい
Q:作中にあるように、「建国大学」との出会いは偶然というか不思議なつながりでもたらされますが、もともと三浦さんの中に「戦争」や「満州」への関心はあったのでしょうか。


A:僕は神奈川県の在日米陸軍司令部がある「キャンプ座間」の横で生まれ、小さな頃から日の丸よりも星条旗を見て育った人間です。

 年に1,2回キャンプの開放イベントがあるのですが、1980年代当時、日本には流通していなかった大型缶のコーラとか、子どもの腕くらいのホットドックとか、普段見たことのないものがいっぱいあって、小学校低学年の頃は毎年行っていました。でも高学年になると、それ以外の基地の「現実」がだんだん見えてくるようになるんです。

 たとえばキャンプ内における清掃員やバスの運転手、警備員はすべて日本人で、お客さんというか威張っている人はアメリカ兵なわけです。
 「ああ、日本は戦争に負けたんだな」って、いやがおうでも刷り込まれていく。それらは今でも心の傷のようなものとして残っています。それ以来、戦後史にずっと興味を持ち続けてきました。

 新聞記者になってからも年に1回、8月の終戦記念日には、戦後関係の記事を一貫して書き続けています。初任地の仙台支局にいたときは、真珠湾攻撃に参加した元日本兵の方が操縦する飛行機に同乗して仙台上空を飛んだりしました。
 でも、今回の「建国大学」に関しては、「戦後」の文脈で取材をしたという意識は強くないんです。

Q:と言いますと?

A:この作品に限らず、新聞記者として僕がいつも意識しているのは「普通の人々の人生」を書きたいということです。僕は政治とか大きなものを動かしている人を取材するより、市井に生きている人たち、普通に頑張っている人々の人生に興味があり、そういうものの集合体を通じて今の世の中を描きだせないかと考えています。

 僕と変わらない、一緒に電車に乗ったり信号待ちをしたりしている人たちのストーリーを書きたい。今回も、特殊な大学に行ってしまったために、その後の人生を大きく狂わされた人たちがいた。なのに、彼らの人生はほとんど語られていない。

 それらを突き詰めていくことによって、今まで明らかになっていない「もう一つの戦後」を描けるんじゃないか、そう思ったことがきっかけでした。

Q:実際に建国大学やそこで学んだ方たちが送った人生を追ってみて、いかがでした。

A:これまで僕が知らなかった歴史や価値観、世界観が見えたんじゃないかと思います。戦後70年ということで、関係者の方の記憶の面でも年齢の点でも限界でしたし、ギリギリのラインで間に合ったというのが正直な実感です。彼らはこれまでずっと話せなかったんです。言いたくても言える状況になかったし、恐らく何を言ってもわかってもらえない、と彼らは思っていた。

 そこに僕みたいな青二才が突然訪ねてきて、「話聞かせてください」と。あるいは、矛盾するようですが、一番いいタイミングだったのかも知れません。最後の最後で、彼らは思いを託してくれました。

 でも個人的にはもうちょっと早く会いに行きたかったですね。戦後60年で行きたかった。そうすればもっと倍ぐらいの人に会えただろうし、もっと明確な記憶の中でいくつものエピソードを聞けたと思うんです。

Q:満州というのは非常に難しい題材です。東アジアをはじめとする諸外国との「歴史認識」の違いはもちろん、国内においても様々な見解の相違があります。そのことについてはいかがですか。

A:何かを断定的に言うというのは、今の世の中で非常に難しい行為だと感じています。中国や韓国が日本の歴史認識に対して非難をするけれども、それらはある意味では正しく、ある意味では間違っていると思います。僕は今海外で生活していて、アメリカに行ってもそうだし、東南アジアを旅行していてもそうだし、どこに行っても、それぞれの国にそれぞれの歴史や歴史認識がある。

 民族がそれぞれ自らに主体を置いているから、ひとつの戦争、ひとつの領土に対しても、判断や認識が全く違う。でもそれは利害が複雑に入り組んだ国際社会では、至極当たり前のことだと思うんです。それを自分たちの認識だけで判断し、相手に一方的に押し付けようとする行為は、どう考えても間違っている。「こっちの歴史認識が正しいんです」って相手にごり押ししたって、たとえばカナダとアメリカでも歴史認識は違うし、アフリカ諸国に至ってはそれこそ全然違う。

 お互いに殺し合った歴史を持つ民族や国同士ではなおさらです。自分がどこに住むのか、何人なのか、どういう友達を持っているのかということによっても、歴史の認識は大きく変わってくるのだと思っています。
(中略)
Q:今あらためて建国大学に集まった若者についてどう思いますか?

A:すごい人生ですよね…。僕も今アフリカにいて日々感じているのは、人の命の重さがいかに軽いかということです。いつどうやって死ぬかわからないような状況がごく普通にあると、人は「未来」を担保しないというか、80歳まで生きるだろうなとか、貯金しなきゃなとか、そういうことを考えなくなる。今どうするか、だけです。死が近くにあることで生が強くなり、不思議と「生きていること」を強く実感できるようになる。

 当時の建国大学の学生たちも同じだったように思います。当時はいつ爆弾が落ちてくるかもしれない、いつ戦闘が起こって徴兵されるかもしれない状況があったわけですが、そうしたときに「いやー僕、60歳まで頑張るから、それまでには庭付きの広い家を持てるといいなぁ」なんて誰も思わない。

 僕も日本にいるときには思うんですけど、日本はずっと平和で安定しているから、どうしても未来が見えてしまう。その中で日常を繰り返していると自然と生が薄くなってしまうというか…「いつかできるよ」症候群にかかってしまう。
 今のアフリカや当時の満州みたいなところでは、死が本当に身近にあることによって人間は強く生きようとする。建国大学の卒業生たちに会って、そんな思いをさらに強くしました。


図書館サイトで『五色の虹』を検索したが・・・・
残念ながら、未購入、未収蔵となっています。もう、そろそろ購入したかな?

【五色の虹】
虹

三浦英之著、集英社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
旧満州、最高学府、建国大学。「五族協和」を実践すべく、集った若者たち。歴史の闇に消えた大学で、スーパーエリートたちが夢見たものとは。生き抜いた戦後とはー。2015年第13回開高健ノンフィクション賞受賞。

<読む前の大使寸評>
とにかく、「五族協和」という標語は、良いも悪いも、昔も今もインパクトがあるわけです。

<図書館予約:(市は未収蔵)>

rakuten 五色の虹


ウィキペディアで五族協和と五族共和を覗いてみました。
(五族共和では、日本、朝鮮の代わりに回族、チベット族となるようです)

wikipedia 五族協和 より
五族協和とは、日本が満州国を建国した時の理念。
・五族は日本人・漢人・朝鮮人・満洲人・蒙古人を指す。五族協和 (満州国)を参照のこと。
・1912年に中華民国が成立した際に唱道した理念は、五族共和を参照のこと。

【五族共和は、中華民国北京政府が掲げていた漢族、満州族、蒙古族、回(現在の回族ではなくウイグル族など新疆のイスラム系諸民族を指す)およびチベット族の五民族の協調を謳ったスローガン。中華民国北京政府を象徴するスローガンとして、北京政府の国旗・五色旗と関連付けて考えられた。】








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Last updated  2015.12.31 22:03:56
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