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2016.06.17
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『世界の辺境とハードボイルド室町時代』という本をゲットしたのです。
これまで高野さんの本を3冊よんでいるがどれも面白かった。・・・この高野さんの対談本も面白いはずである。



高野

高野秀行, 清水克行著、集英社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
人々の心の動きから法体系まで、こんなにも似ている社会が時空を超えて存在したとは!その驚きからノンフィクション作家と歴史家が世界の辺境と日本史を徹底比較。辺境を知れば日本史の謎が、日本史を知れば、辺境の謎が解けてきた…。
【目次】
第1章 かぶりすぎている室町社会とソマリ社会/第2章 未来に向かってバックせよ!/第3章 伊達政宗のイタい恋/第4章 独裁者は平和がお好き/第5章 異端のふたりにできること/第6章 むしろ特殊な現代日本

<読む前の大使寸評>
これまで高野さんの本を3冊よんでいるがどれも面白かった。・・・この高野さんの対談本も面白いはずである。

<図書館予約:(3/28予約、6/16受取)>

rakuten 世界の辺境とハードボイルド室町時代


読みどころが多い本であるが、盗み、賠償のあたりを見てみましょう。
p37~40
<盗まれた物は元の物ではない> より
清水:男性は肉体労働に従事させるぐらいの価値しかないけど、女性は妻や妾にしたり売春をさせたりする価値があるっていうことなんですけど。日本の中世は、女性にとってはきわめて苛酷な社会だったなと思いますね。

 「大坂夏の陣図屏風」なんかにも、戦争の場面で女の人がさらわれていく様子が描き込まれているんですよ。村レベルの紛争ではそういうことはないんですけど、大名同士の戦争だと、人身売買のために女性が拉致されていたんですよね。

高野:ソマリアの掟では、女性を襲ってはいけないですから。

清水:それも興味深いですね。

高野:そこはすごく高度で、「ビリ・マ・ゲイド」というジュネーブ諸条約にも匹敵するような戦争法があるんです。直訳すると「殺してはいけない者の掟」という意味で、女性だけでなく、子ども、老人、その場に居合わせたゲスト、傷病者、宗教指導者、共同体の指導者、和平の使節、捕虜に危害を加えることを禁止しています。

 実際の戦闘では女性が巻き込まれることもあるから、ラクダ50頭という賠償基準が示されているわけですけど、女性を意図的に殺すのはよくないと考えられているんです。一つには神罰が下るから。もひとつは、男として恥だからという理由で。

清水:倫理で制御できているんですね。

高野:そうですね。周りからも、あの氏族はあんなことをやっているとかって言われてしまうし。そこで制御が働いている感じがありますよね。

 賠償といえば、『喧嘩両成敗の誕生』には「墓所の法理」の話が出てきますね。鎌倉末期から南北朝期にかけては、殺人の被害者が属した宗教団体が、犯行現場や加害者の権益地を被害者の「墓所」として加害者に請求していたという。

清水:中世における賠償の法慣習はあれぐらいなんです。しかも、あれはかなり宗教的な意味合いが強いんですよね。中世では殺人現場は不吉な場所だと考えられていたので、たとえば、ある場所で山伏が殺されたら、そこを山伏のお寺のものにしてしまうことで、けがれた場所を聖なる場所にしてしまうんです。それは、命の対価として土地を渡すというより、本来的には殺人現場を別の形に昇華するための措置で、だからレアケースなんです。

高野:宗教の絡まない、ふつうの殺人事件では、下手人が捕まったらおしまいですか。

清水:被害者側に何らかの金銭的な賠償をという話にはなりません。あくまでも人の命は人の命でドロー(引き分け)にするということで、金銭は入り込まないんですよね。入り込んでもよさそうなものだけど。

高野:それは近隣諸国、たとえば中国とか朝鮮ではどうだったんですか。

清水:わかんないですね。どうだったんでしょう。

高野:ソマリ人の友だちに「日本ではどうしているんだ。遺族が困るじゃないか」と聞かれて、そうだよなと思ったんですけど、今でも日本では、殺人事件が起きると、真犯人を捕まえて、裁判所で罪を吟味して、判決が出れば解決というふうに、多くの人は考えますよね。

清水:被害者遺族は置き去りにされるとよく言われますね。

高野:正義については、みんな熱く語るのに、被害者の遺族のことはほとんど問題にされないでしょう。被害者遺族が加害者からどのように償われるのかということが話題になることは滅多にないし、たとえ民事裁判で加害者に賠償金の支払いが命じられたとしても、それがちゃんと遺族側に払われているのかどうかはわからない。

清水:先ほど言ったように、中世の人々は盗みをすごく嫌ったんですが、泥棒が捕まって、盗まれた物が見つかっても、それは被害者のもとには戻らなかったんですよ。警察権を握っている荘園領主や武士が没収するんです。


「間違う力がある!」と豪語している高野さんは、一見アホにも見えるが・・・
この本で示した歴史や民俗に対する深い洞察には驚くわけでおます♪
この対談本は、酒の上での話を録音し、それを編集、追記して制作したとか・・・それもすごい。

この本も  高野秀行の世界R1





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Last updated  2016.06.17 15:14:49
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