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2016.11.16
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カテゴリ: 映画
図書館に予約していた『図書館に通う』という本を、待つこと11日でゲットしたのです。想田監督の「牡蠣工場」というドキュメンタリー映画を興味深く拝見したのだが・・・
その映画の制作過程を監督が語っているとのことで、個人的には必見なわけでおます。


【観察する男】
観察

想田和弘著、ミシマ社、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
1 第1回取材(撮影前)取材日:2013年11月2日@世田谷美術館(舞台はなぜここなのか?)/2 第2回取材(撮影後・編集前)取材日:2013年12月10日@麹町ヴェローチェ(誰に密着するのか?/登場人物を増やすか?/どうすれば「映画」になるのか?)/3 第3回取材(ログ起こしの途中)取材日:2014年4月15日@上野カフェラミル(何でどう撮るのか?/編集の目的は何か?/どうすれば監督になれるのか?/生計をどう立てるのか?/映画づくりにとって、何がムダか?)/4 第4回取材(編集完了後)取材日:2015年4月30日NYとのスカイプにて(何を残し、何をカットするのか?/編集の基準は何か?/「何の」映画なのか?/被写体には観せるのか?)/5 第5回取材(ロカルノ映画祭招待)取材日:2015年7月22日NYとのスカイプにて(映画祭ではどうすれば上映されるのか?)

<読む前の大使寸評>
想田監督の「牡蠣工場」というドキュメンタリー映画を興味深く拝見したのだが・・・
その映画の制作過程を監督が語っているとのことで、個人的には必見なわけでおます。

<図書館予約:(11/01予約、11/12受取)>

rakuten 観察する男


この映画に、かなり態度のでかい白猫が出てくるのだが・・・
その自然な姿が猫好きにはたまらないのです。

p193~196
<僕の中ではだんだんシロが中国人の人たちと重なってきたんですよね>
白猫

 「シロの扱い」というメモがあります。シロというのは、映画にたびたび出てくるヨソの飼い猫ですね。完全版では、中盤、規与子が「入っちゃあだめだよ」と言うのに無理やりシロが僕らの家に入ろうとするシーンがあります。そしてラスト付近にシロがもう一回、家に入ってくるシーンがありますけど、第1編、あの中盤のシーンだけをラスト付近に使っていた。

 でもそれだといまいちシロの印象が弱くて。規与子が「シロが弱い、シロが弱い」って言うんですよ。「でも、もう一回家に侵入してくるけど、同じようなシーンだからあまり使いたくない」って僕が言ったら「入れてダメだったら元に戻せばいいじゃん」と。

 僕は英語で言うとredundant(冗長)になるかなと危惧していたんです。つまり繰り返しというか、蛇足になるかなと。でも、実際に家への侵入シーンを2回入れてみると、逆におもしろくなったというか。2回目に家に侵入する時は、シロが前よりも図々しくなっているというか、家に入るのに慣れてきたなこいつ、という変化が見えるので、ああ繰り返してよかったなと思いました。

 シロのシーンは、最初は映画に入れるつもりもなくて、シロが可愛いから撮っていただけなんですけど、僕の中ではだんだんシロが中国人の人たちと重なってきたんですよね。規与子はまったくピンときていなかったみたいですけど。

 だってシロは飼い猫で、本当のおうちはどこか別にあるわけじゃないですか。だけど、僕らの家に入りたがる。自分の家とは違う、どこか他に行きたいところ、入ってみたいところがあって、そこにわざわざ入ってくる。そういう存在。

 僕らのほうも、シロが寄ってきてくれるとうれしいんだけど、実際に家に入ってこられると困るみたいな。移民の話と、構造が似ているなあと思ったんです。それに、日本で生まれ育ったのにニューヨークで暮らす自分たちとも重なるし。もちろん違いもありますが。

 撮影している最中にそういうインスピレーションが湧いてきて、シロのことはちょっと丁寧に撮っていきました。規与子のほうはそんなことは知らないので、カメラの前なのにまったく無防備に振る舞っていて、自分の声とか振る舞いとかが気に入らないらしくて、けっこう嫌がってました。ははは。


「観察映画の十戒」とやらを見てみましょう。
p126~129
<観察映画の十戒>
 出身地の花火大会を撮りたいと思っているんですね。足利市に、100年続いている伝統ある花火大会があるんですけど、その様子を観察映画にしようという構想があります。もう市からは撮影許可をいただいていて、本当は今年ちょうど100周年なので、今年撮るのが良かったんですけど。

 実は、アメリカの大学でいわゆる客員教授のようなかたちで映画を教える話があって、それとの兼ね合いなどから今年は撮影を断念した。ところが大学の話が土壇場で延期になってしまって、「だったら、今年撮ればよかった1」と。めちゃくちゃ痛いですね・・・・。それがわかったのが、2,3日前なのですが、そういうことにいろいろ左右されますね。しょうがない。
(中略)

 観察映画の10ヶ条を、最近僕は、モーセの十戒になぞらえて、「観察映画の十戒」と呼んでいます。

#1 被写体や題材ひ関するリサーチは行わない。

#2 被写体との撮影内容に関する打合せは、原則行わない。

#3 台本は書かない。作品のテーマや落しどころも、撮影前やその最中に設定しない。行き当たりばったりでカメラを回し、予定調和を求めない。

#4 機動性を高め臨機応変に状況に即応するため、カメラは原則僕が一人で回し、録音も自分で行う。

#5 必用ないかも? と思っても、カメラはなるべく長時間、あらゆる場面で回す。

#6 撮影は、「広く浅く」ではなく、「狭く深く」を心がける。「多角的な取材をしている」という幻想を演出するだけのアリバイ的な取材は慎む。

#7 編集作業でも、あらかじめテーマを設定しない。

#8 ナレーション、説明テロップ、音楽を原則として使わない。

#9 観客が十分に映像や音を観察できるよう、カットは長めに編集し、余白を残す。その場に居合わせたかのような臨場感や、時間の流れを大切にする。

#10 製作費は基本的に自社で出す。作品の内容に干渉を受けない助成金を受けるのはアリ。

 これを明記しているおかげで、原点に戻れるんですよ。
 これがないと、簡単に雑念にやられて、映画づくりの方針が別の方向にシフトしてしまう。「100周年」というキーワードで映画をあらかじめ括ろうとするような、月並みな考え方になるというか。普通のドキュメンタリーの撮り方になるというか。よくやられている発想というものに引き戻されてしまうんです。

 引き戻されてしまうたびに「いやいや違う。自分がやっているのは観察映画であり、あの十戒を基本としてやっているわけだから、その精神からすると、今年だろうが来年だろうが関係ないはずだ」という結論に戻れるんですよね。


『観察する男』1
『観察する男』2

監督へのインタビューを見てみましょう。

2016年2月20日 『牡蠣工場』想田和弘監督ロングインタビュー より
工場

 撮影前に台本を作らず、ナレーションやテロップ、BGMなどを排した「観察映画」の第6弾となる想田和弘監督の最新作『牡蠣工場』が公開される。牡蠣の産地、岡山県牛窓の工場に密着し、ただそこに暮らす人たち、そこで起きる事象を見つめる「観察」からグローバリズムや移民問題、震災後の日本が浮かび上がる野心作だ。

 ニューヨーク在住で映画のプロモーションのため来日中の想田和弘監督が、『選挙』(2006)、『精神』(2008)、『Peace ピース』(2010)、『演劇1』『演劇2』(共に2012)、『選挙2』(2013)を経て、進化と深化を続ける「観察映画」への想い、そして社会や政治問題に警鐘を鳴らす「論客」としての立場から見た日本について語った。(取材・文:村山章)

魚の消費量は減らないのになぜ漁師が減っているのか?

Q:「観察映画」には、あらかじめテーマを決めずに撮影するというルールを設けられていると思いますが、題材に「牡蠣工場」を選んだのはなぜですか?

A:最初は漁師さんの映画を撮りたいと思って牛窓に行ったんですね。夏休みを過ごすのによく牛窓を訪れていたんですけど、いつも借りる家の目の前が漁港なんです。そこで妻であり製作の柏木(規与子)がよく太極拳をやっていて、漁師さんたちと仲良くなるわけです。すると持ち帰ってくる話が「後継ぎがいないんだって」とか「(漁師は)みな70代、80代なんだよね」みたいなことで。っていうことは、もしかして10年後には漁師さんが魚を獲る光景自体が消えているんじゃないか。それってなんでだろう? という疑問がベースになりました。

Q:漁師という職業自体に興味を抱いたんですね。

A:そうですね。魚の消費量が世界的には増えているにもかかわらず漁師さんが生計を立てるのは難しい、あるいは後継ぎが現れないほど苦しいのはなぜなんだろうと。







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Last updated  2016.11.16 01:20:58
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