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2016.11.26
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『図書館に通う』という本を、手にしたのです。
おお 図書館大好きな大使としては、その奥義を深める意味でかっこうの本ではないか♪(んな 大仰な)



図書館

宮田昇著、みすず書房、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
編集者、翻訳権エージェントとして、出版界で60余年を生きてきた著者。
第一線を退き、今度は本好きの一市民として、街の図書館の奥深さと変貌を、つぶさに経験する。
同時に、みずからの半生と対話しながら、たくさん読んできたエンターテインメントのこと、むかし営んだ貸本屋のこと、貧しいハンガリー移民のピューリツァーが、アメリカで図書館を学校として育った逸話、図書館と著作権の問題をはじめ、誰も書かなかった、本と人を繋ぐエピソードを満載。
アイデアにみちた提案とともに、デジタル・ネットの時代に、図書館も書店も出版社も、ともに活躍できる道を探る。

<読む前の大使寸評>
おお 図書館大好きな大使としては、その奥義を深める意味でかっこうの本ではないか♪(んな 大仰な)

amazon 図書館に通う


図書館への注文や、開架式の素晴らしさが述べられているが・・・図書館大好きの大使も目からウロコが落ちる気がします。
p154~157
<『裏通りの紳士』と開架>
 また街の図書館は、先にも触れたように多くの優れた日本のエンターテインメントを紹介してくれた。それは私が、一般の利用者の立場に立ったからである。だが、利用者という視点に立つと、図書館には多くの注文がある。そのひとつに開架がある。
 図書館の開架について、小尾俊人は、『本が生まれる。そして、それから』(幻戯書房)で次のように述べている。

開架式の場合は、市民は、直接に本の感触に触れることができます。親戚のような同種類の本の数々、その選択と評価の自由さ、そこに不安があります。同時に希望があります。あるときには秩序の美しさが、あるときには混沌があります。しかし、しばしそこに佇んでいると、その混沌がかえって星々を生むことにもなるのです。

 みすず書房の創立者であり、編集責任者として時代を画する優れた出版物を世に送り出しつづけた小尾俊人ならではの、的確で凝縮した美しい文章である。それには、文学者の中野重治が遺言に、蔵書をすべて故郷の図書館に寄付するのに、開架式であるということを条件としたと付記している。

 中野重治の蔵書で、しかも郷里の図書館であれば、すべて開架にして閲覧に供したと思うが、一般的にはそうはいくまい。私が隣の町へ引っ越したのは、昭和50年代初期であった。図書館に連絡すると、車で取りにきて感謝された。平成10年代、いっときいまの町を離れたときは、図書館に自分で運ぶよう指示され、利用できない図書の廃棄同意書を事前に書かされた。だが、それには稀書も含まれていたのでたじろいだものである。

 本が塵芥のように出版され、そのゴミを図書館に持ち込まれるのは迷惑という感覚であったのだろう。開架を条件にするどころではない。この間四半世紀経っているが、ずいぶん変わったものだと思った。だが、図書館の棚や書庫のスペースに限りがあることは事実である。

 廃棄といえば、図書館利用者の一人である私は、平成13年に起きた船橋西図書館事件には、少しちがった感想をもっている。廃棄された本の著者の多くは、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーや「右」寄りの著作者である。だれが見ても、その廃棄の目的が明らかで、図書館がしてはならないことは言うまでもない。

 だが、廃棄(除籍)だけを問題にするのはおかしいと思った。廃棄されても、現在は『裏通りの紳士』のように、他の図書館から取り寄せることができる。問題にすべきは、むしろ、購入されて開架に付されたものが、どのように書庫あげ(入り)されているかではないだろうか。開架にされていなければ、手にとって選ばれることもない。

 図書館には、選書、開架、書庫入り、廃棄という四つの選択がある。そのどれにも、船橋西図書館事件と共通する問題がある。おそらくそれぞれの図書館ごとにルールがあるのかもしれないが、一利用者の知るところではない。

 開架の棚を見ていくと、小説の場合、エンターテインメントも純文学も、時代小説も捕り物帖も、ミステリーもビジネス小説もひとくくりにされ、著者ごとに並べられている。だが、他のものはジャンル別に分けられる。おそらく、そこにそれぞれの図書館の工夫があるのだろう。

 テレビのキャスターが書いたものも、研究者が書いたものも、政治の分野であれば、同じ棚に並べられている。どちらがより高く、それらが同列に扱われるのがおかしいなどと言っているのではない。ただ、古書も新刊も区別がない、そのあまりの「混沌」の前に、小尾俊人とちがって私のような人間は、ただただ佇まざるをえない。

 わが街の図書館にも地域の図書室にも、新刊の「お知らせ」や表紙をコピーした掲示板や、新刊の開架の棚・コーナーはある。そこには、数冊の本が置かれてあるのみである。新刊すべてが、貸出されているとは思えない。にもかかわらず、この1年間、購入された著作物のタイトルも点数も、調べないかぎり利用者にはわからない。

 新刊については「お知らせ」や一時的な展示でなく、1年間、フィクションとノンフィクションに分けて、月別に開架の棚に並べてもらえないか。ノンフィクションは、総記、人文・社会、自然科学、芸術とかいう分け方もせず、また入門書、実用書のたぐいから専門書まで、購入したすべてを雑然と残らず並べる。その「混沌」が「星々を生む」ことにもなる。

 利用者は図書館がどのような新刊を購入したか、それによって知るし、またなんの先入観もなしに入門書と専門書、芸術と人文の区別なく、好き勝手に選んで読書の幅を広げる。それがすでに蔵書されている既刊本への興味に移るかもしれない。


『図書館に通う』1
『図書館に通う』2
『図書館に通う』3





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Last updated  2016.11.26 08:50:10
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