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2018.10.16
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カテゴリ: アート
図書館で『三つの鏡』という本を、手にしたのです。
おお ミヒャエル エンデと安野光雅、井上ひさし、河合隼緒の三人との連続対談ではないか♪
これは期待できそうである。





ミヒャエル エンデ×安野光雅×井上ひさし 著、朝日新聞社、1989年刊

<「BOOK」データベース>より
『モモ』『はてしない物語』の作者と語りあう心に残る真実の言葉。1989年春、ミヒャエル・エンデは、父親の画家、故エトガー・エンデとの「エンデ父子展」オープニング出席のため3度目の来日をした。本書はその折、エンデが『朝日ジャーナル』誌の求めで行なった連続対談の全容である。

<読む前の大使寸評>
おお ミヒャエル エンデと安野光雅、井上ひさし、河合隼緒の三人との連続対談ではないか♪
これは期待できそうである。

amazon 三つの鏡



エンデと安野光雅の対談の続きを、見てみましょう。

<黒い紙の上に描く画家>
安野: 話は変わりますが、日本では、ジャパネスクなどと自称して、浮世絵が印象派に影響を与えたと言っています。確かにゴッホとかマネなどの絵の中には具体的に浮世絵が現れてくる場面がありますし、彼らは浮世絵の影響を受けたと言っています。けれども、それを私たち現代の人間が自慢していいのかなと、思うのですかどね。

エンデ: それは誤解に基ずく影響です。世界の歴史の中では、創造的誤解と言ってよい影響関係がよく生じます。ある種の外面的な形に目が行って、「」と思うと、取り入れるということをしますね。そこに含まれる内的な姿勢は取り入れることができません。で、もちろんロートレックは日本の影響なしには考えられません。ロートレックの絵を見る日本人にとってはおよそ日本的とは思われないかも知れないけれども、それでも日本の絵を抜きにしてロートレックは考えられません。他にも、たとえば日本の陶芸がドイツで知られています。非常に単純な素材と形でできている、木の切り株とか石の姿をした陶器。

安野: ロートレックの場合で言いますと、日本の浮世絵が偉いのではなくて、ロートレックが偉いわけです。もっと言いますと、浮世絵を描いたのがたとえば北斎だとしますと、北斎も偉いがロートレックも偉いのだ、と言うわけにはいかないでしょう。つまり、ヨーロッパでそんな浮世絵の影響があるんだったら、日本の現代美術だって浮世絵からもっと影響を受けていいはずなのに、ヨーロッパの影響ばかり受けて、浮世絵なんか見向きもしない。むしろ無視していたいくらいなんですが、そういう状況の中で、ロートレックが浮世絵の影響を受けたから、日本の浮世絵がすばらしいというのは言い出すのは情けないという意味なんです。

エンデ: そうでしょうか? ただ、それとは別に、さっきの創造的誤解ということは、ヨーロッパの文化史の中ではしょっちゅうあったわけです。たとえば、ルネッサンスというのはギリシャ時代の「再生」だとよく言われます。ルネッサンス人は自分たちがギリシャ時代の息吹をよみがえらせたと思っていた。それは錯覚で、全然ギリシャとは関係がなかった。それでもそこには何か偉大なものが出てきたのです。

安野: ギリシャ時代の「再生」つまり文芸復興という言い方は、教科書的な、手短な言い方でして、あのルネッサンスはかなり複合的なものですね。宗教と科学、海外情報、とりわけ時代の経済的な変化は大きいと思います。異文化が出会うと一種の融合反応が起こって、予期しないエネルギーが発生する。それを「錯覚の現象」と見るとしmすと、ヨーロッパの浮世絵に対する錯覚というのは、すばらしい錯覚ですよね。

エンデ: ヨーロッパ文化は日本とか中国とか、そういうアジアの芸術との出会いによって恐ろしく大きな刺激を受けましたよ。その出会いがなかったならば、バウハウスもクレーすらも考えられないぐらいです。そのおかげで完全に、今までなかったものが出てくるのですから。ユーゲントシュティール、つまりヨーロッパのアール・ヌーボーも日本のアール・ヌーボー抜きには考えられません。もちろん、だからと言って、アール・ヌーボーの建築や洋服が日本家屋や和服のように見えるわけではない。

安野: 光栄なことなんですが、ヨーロッパにそれほど影響を与えたということを誇りに思うためには、日本もまたその影響を持続していなければならないわけです。日本でも古典を受け継いで、いまだに浮世絵なりのすばらしさを保持しえているときにだけ、自慢していいわけです。


『三つの鏡』1





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Last updated  2018.10.16 08:32:20
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