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2020.01.30
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カテゴリ: メディア
前NSA長官兼2代目サイバー軍司令官のマイケル・ロジャーズさんが朝日のインタビュー欄で「大統領選への介入、外敵は試みるはず、法の下で対抗する」と説いているので、紹介します。


(マイケル・ロジャーズさんのインタビューを1/29デジタル朝日から転記しました)


 米国家安全保障局(NSA)は、世界最大の電子情報収集機関として知られる。頭文字が「No Such Agency(そんな組織はない)」を意味すると言われるほど秘密に覆われていたが、「スノーデン事件」で一端が浮かび、世界に衝撃を与えた。ネット時代の「サイバー新冷戦」の攻防を、NSAの前トップに聞いた。

Q:インターネットの出現で世界はどのように変わりましたか。



Q:悪用とは?
A:つながりは時に不正確な情報を広めたり、他人の意見や行動を操作したり、影響を与えたりすることにも用いられるのです。技術を悪用して、社会に緊張を生み出そうとしている人たちがいます。そのなかで、市民が自由に発信できる権利をどのように保障するのか、という課題が、民主主義国家に突きつけられています。アメリカでは2016年の大統領選でそのことが浮き彫りになりました。

Q:ロシアの選挙介入ですね。
A: ロシアによる選挙介入の試みは昔からありましたが、16年は規模が違いました。サイバー空間とソーシャルメディアも活用してメールや情報を盗み出し、ソーシャルメディアで偽情報を拡散させ、社会の対立をあおったのです。

 開かれた社会の中でも人々が広く合意に至っていない問題はあります。銃規制であったり、性的自認であったり、国によって異なりますが、これらの問題は感情に響きます。ロシアが分断を作り出したわけではありませんが、分断を研究し、社会の不和を助長しようとしました。権威主義国家は、民主主義国家の自由な社会を逆手に取り、悪用しているのです。

Q:まさにその大統領選当時、NSAのトップでしたね。うまく対応できなかったのですか。
A:我々は、ロシアが介入の活動をしていることは感度良く捉えていたと思います。ただ、それがどれだけ幅広く、根深かったかは十分に理解できていませんでした。また、こうした問題に対応するために、社会の中で政府と民間企業が協力していく必要性も浮かびました。ソーシャルメディアを運営する会社に『あなたたちの問題だから解決しなさい』と言うだけではうまくいきません。

Q:その経験は、情報機関としてのあり方を変えましたか。
A:我々は情報機関として国内ではなく、海外から情報を得ることを目的としているため、米国の市民にどのような影響があり、投票行動をどのように変えたかを判断する立場にはありません。 民主主義国家では、情報機関が国内の人たちの動きや意見を監視するのは好ましくなく、あくまで外敵が対象となるべきです。この点はこれからも変わりません。
    ■    ■
Q:今秋には米大統領選があります。NSAや国防総省は昨年、「ロシアや中国が介入を試みるだろう」と声明を出しました。
A:私はそのときには既に政府から離れていましたが、16年の米大統領選は一度きりの問題ではありません。声明では、ソーシャルメディアを使った偽情報の拡散やサイバー攻撃の可能性に言及していますが、こうした行動を、目標達成のための手段であると捉えている国家や組織は確かにあります。

Q:声明は中国の名前も挙げています。
A:中国は、20世紀が『屈辱の世紀』だったと明言しています。その理由を探るなかで、西側諸国に経済的な繁栄や強大な軍事力をもたらした原因の一つは、20世紀を形作った技術の多くが西側によって開発されたことだった、との結論を得たのだと思います。

そこでデジタル時代を迎えるにあたっては自分たちで技術を開発し、世界標準とし、巨大な企業の創設につなげる必要があると判断したのです。華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)、アリババといったIT企業の存在には、こうした中国の戦略がみえます。

Q:IT企業への中国の国家的関与をどうみていますか。
A:これは中国だけのことではなく、国家として、経済競争力に直結する技術をどのようにとらえるかという問題です。 技術は、国家の価値観を反映することがありますが、ある人にとって『安全な都市』に見える機能は、別の人には『巨大な監視プログラム』と映ります。 重要な技術について、権威主義的国家、または権威主義的国家の中の機関から提供を受けることに抵抗がないか、考えるべきです。リスクが低ければいいですが、権威主義的な国による技術悪用を懸念する分野もあります。

    ■    ■
Q:でも、米国にも同じような問題がありませんか。13年にエドワード・スノーデン氏が告発したことで、NSAによる大規模な情報監視が明らかになりました。
A:米国の法体系に異論を唱えることは、もちろん自由です。しかしスノーデン氏が情報を盗み出した後に米政府が行った複数の検証は、我々が法を順守し、情報を収集するときにおいても、市民のプライバシーを尊重する文化があったことを認定しています。米国市民に関する情報に接することが想定されるなかで、活動をやめるのではなく、情報にアクセスできる人や保存期間、他人との共有を制限する、という方法です。

Q:それで人々の不安がなくなるとは思えませんが。
A:完璧だとは言いません。しかし、我々が法体系の中で行動していたことは誇りに思っています。また、問題があれば立ち止まり、検証する文化もありました。私が長官として『情報に不適切に接していないことが確認できるまで、この活動は停止する』と指示したこともありました。NSAは民主主義社会の一部であると、自信をもって言うことができますよ。

Q:NSAが、米国の友好国の首脳の携帯電話を盗聴した疑惑は情報共有に影響しましたか。
A:私から見た限り、情報共有には何ら影響を与えませんでした。私は長官として複数の国に『私たちが行っていることが不都合ならば、関係を絶った方がいいのであれば、そうする』と伝えましたが、一国たりとも『情報を共有して欲しくない』『もう関係を絶ちたい』とは言いませんでした。

 友好国や同盟国であっても、意見が異なることはあります。その場合は政治的リーダーが集まって、政策の枠組みについて決断をします。我々はその範囲で活動しますが、情報機関は枠組みを変えることが仕事ではありません。

Q: グーグルやフェイスブックといった企業も、NSAとの協力に消極的です。
A:民間会社がどのように情報を扱うかは、民主主義国家にとっても課題です。企業と国家は、双方ともにデータを集めて人間の行動を理解しようとする点では同じですが、国家は安全保障の観点であり、企業は利益のためです。この複雑につながった世界では、国家側だけ、あるいは企業側だけの視点から考えることは難しく、複数の視点を考慮した解決策を見つける必要があります。

Q:米国は、軍事諜報の世界で「ファイブ・アイズ」(五つの目)と呼ばれる米、英、豪州、カナダ、ニュージーランドの英語圏5カ国の間で機密情報を共有し、特別な協力関係にあります。日本とはどう協力できますか。
A: まず日米の観点から言えば、我々の情報組織はすでに密接に協力をしています。私がしばしば東京に行ったのは偶然ではありません。また、日本側のカウンターパートは全員知っており、情報機関だけでなく、安全保障の枠組みの関係者と頻繁に連絡を取っていました。 ファイブ・アイズの問題に焦点をあてるより、情報がきちんと共有されていることの確認が重要だと思います。

 もう一つ、ファイブ・アイズについてよくある勘違いは、全ての情報が一方的にもらえるということです。情報をもらいたいなら、出す覚悟も必要です。情報を伏せず、共有することで、より恩恵が得られるという結論に達し、強力な関係になったのです。

     ◇
マイケル・ロジャーズ:1959年生まれ。米海軍に約37年勤めた暗号や情報分析の専門家。14年3月~18年5月、NSA長官兼2代目サイバー軍司令官(海軍大将)。

国家ぐるみといえば、1年前に ハッカー集団、背景に中国政府か という記事がありました。

(インタビュー)サイバー監視は正義? マイケル・ロジャーズ2020.1.29


この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR15 に収めておきます。





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Last updated  2020.01.30 06:02:38
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