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2020.09.29
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『サル化する世界』という本を、待つことおよそ5ヵ月で、ゲットしたのです。
内田先生には毎度「内田樹の研究室」の紹介を務めている太子である。この本には期待できそうやでぇ♪




内田樹著、文藝春秋、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。
【目次】
1 時間と知性/2 ゆらぐ現代社会/3 “この国のかたち”考/4 AI時代の教育論/5 人口減少社会のただ中で/特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡されるー人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題

<読む前の大使寸評>
内田先生には毎度「内田樹の研究室」の紹介を務めている太子である。この本には期待できそうやでぇ♪

<図書館予約:(3/25予約、9/02受取)>

rakuten サル化する世界



「V 人口減少社会のただ中で」で高齢者問題が語られているので、見てみましょう。
p251~254
<なぜ日本の老人は幼稚なのか?>
Q:これからは高齢者層もまた社会的な成熟がもとめられる時代ということですね。
内田: いや、申し訳ないけど60歳過ぎてから市民的成熟を遂げることは不可能です。わるいけど、大人にある人はもうとっくに大人になってます。その年まで大人になれなかった人は正直に言って、外側は老人で中身はガキという「老いた幼児」になるしかない。同世代の老人たちを見ても、いろいろ苦労を経て、人間に深み出てきたなと感服することって、ほとんどないですから。これから日本が直面する最大の社会的難問はこの大量の「幼児的な老人たち」がそれなりに自尊感情を維持しながら、愉快な生活を送ってもらうためにどうすればいいのかということですね。これは国家的な課題といって過言ではないと思います。

Q:気が遠くなるようなタスクですね。

■幼児的な老人を生んだ背景
内田: でもこの「幼児的な老人」の群れは日本人が戦後70年かけえ作り込んできたものですからね、誰を恨むわけにもゆかない。戦後社会は「対米従属を通じての対米自立」というそれなりに明確な国家的な目標があったわけです。そして、この国家戦略は市民ひとりひとりが成熟した個人になることによってではなく、同質性の高いマスを形成することで達成されるとみんな信じていた。その方が確かに作業効率がいいし、組織管理もしやすい。消費行動も斉一的だから、大量生産・大量流通・大量消費というビジネスモデルにとっては都合がよかった。だから、国策的に同質性の異様に高い集団を作ってきた。

 でも、こういう同質性の高い集団というのは、「この道しかない」というタイプの斉一的な行動を取ることには向いているんですけれど、前代未聞の状況が次々と到来するという危機的な状況には対応できない。そのつどの変化に即応して、「プランA」がダメなら「プランB」という臨機応変のリスクヘッジは、多様な才能、多様な素質を持った個人が「ばらけて」いることでしか果たせないからです。でも、多様性豊かな国民を育成するという方向には戦後日本社会はほとんど関心を持たなかった。

Q:『人口減少社会の未来学』(文芸春秋、2018年)の中で、本来「経済活動の本質は人間の社会的成熟を支援するためのシステム」だと指摘しています。なぜ、戦後日本人の経済活動は、市民的成熟と結びつかなかったのでしょうか。
(中略)

内田: トロブリアンド諸島の「クラ交易」では、交換される貝殻の装身具にはほとんど使用価値がありません。でも、その無価値なものを安定的に交換し続けるためには、さまざまな人間的能力の開発が求められる。詳細は本文に譲りますけれど、クラ交易のプレイヤーに登録されるためには、「良い人」「信頼できる人」であることが必用です。大人でなければ、この交換事業には参与できない。そのように制度が作られている

 でも、高度経済成長期以後、日本では金儲けの能力と人間的成熟の間のリンケージは切れてしまった。子どもでも嘘つきでもエゴイストでも、勢いに乗れば経済的に成功できた。でも、プレイヤーに市民的成熟を要求しない経済活動というのは、人類学的には経済活動ではないんです。無意味だから。そんなのはただの時間潰しのゲームに過ぎない。そんなゲームは人類が生き延びてゆく上では何の意味もない。

 もうひとつ、戦後日本の場合、近隣国から「エコノミック・アニマル」と蔑まれるほど必死に経済活動をしていましたけれど、あれは実はアメリカを相手に「経済戦争」をしていたんです。敗戦国となり、国家主権を失い、アメリカの属国身分にまで落ちたけれど、経済的に成功して、国際社会で重きをなすことを通じて、アメリカの支配から脱出しようとしていたんです。

 高度成長期の日本人は「そこまでして金持ちになりたいか?」というような異常な働き方をしましたけれど、あれは単に金が欲しかっただけではなくて、「経済大国になって、アメリカからイーブンパートナーとして認められ、国家主権を金で買い戻す」という国家戦略にもドライブされていた。とにかく「今度は経済でアメリカに勝つ」ということについては国民の間の暗黙の合意があったと思います。

Q:経済力にンショナルプライドを求めたわけですね
内田: そうです。ただの強欲ではないんです。お金儲けの先にあったのは国家主権の回復です。国際社会における威信の回復です。それが国民的悲願だった。ですから、その時期の経済活動には一本筋が通っていた。

 でも、バブル崩壊で「金で国家主権を買い戻す」という壮大なプランが破綻し、追い討ちをかけるように、2005年の国連安保理常任理事国入りにほとんど支持が集まらなかったというトラウマ的経験があって、日本人は一気に自信を失ってしまった。

『サル化する世界』7 :よくわからないまえがきp5~11
『サル化する世界』6 :タフな物語の必要性
『サル化する世界』5 :母語が生む新語・新概念
『サル化する世界』4 :堤未果さんとの対談
『サル化する世界』3 :対独協力国だったフランス
『サル化する世界』2 :China Scare―中国が怖い
『サル化する世界』1





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Last updated  2020.09.30 07:37:20
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