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2021.04.29
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カテゴリ: 気になる本
<『続ラガナ一家のニッポン日記』1>

この本のことを『西洋古典こぼればなし』という本で知り、予約していたのだが・・・
読み書きから日本語を習得するとは如何なるものか? 興味深いのでおます。






ドメニコ・ラガナ著、角川書店、1983年刊

<レヴュー>より
アルゼンチンからやって来たラガナさんは、外国の人にしては珍しく、読み書きから日本語に入りました。でも、相当レベル高いです。難しい熟語バンバン出てきます。

エッセーとしては、外国人のビックリ日本滞在記、ではありません。
本人の言う通り、日本に馴染みすぎて、その辺り日本人の期待にはあまり答えられてません。

<読む前の大使寸評>
この本のことを『西洋古典こぼればなし』という本で知り、予約していたのだが・・・
読み書きから日本語を習得するとは如何なるものか? 興味深いのでおます。

<図書館予約:(4/21予約、副本1、予約0)>

amazon 続ラガナ一家のニッポン日記


日本語習得や孤立している日本語に触れているあたりを、見てみましょう。
p140~143
<続ニッポングリッシュ入門>
 今日受け取った手紙はほとんど前の「ニッポングリッシュ入門」に関するものだ。
 ある高等学校の国語の先生は、手紙というよりは、論文みたいなものを書いてくれた。ぼくの言う「ニッポングリッシュ」に象徴的、終末論的なものを見て、ニッポングリッシュこそ近い将来において日本の標準語になってしまうのではないか、という説を立てているのだ。

 そういう可能性について考えてみただけでも、ぞっとする。
 志賀直哉は、敗戦直後、フランス語を日本の国語に採用することを提案したようだ。ニッポングリッシュと外国語では、どっちもどっちだが、ちゃんとした外国語なら、まだそのほうがましだろう。

 ある未婚の婦人は、婦人解放運動の観点から例の「ニッポン日記」を分析して、ぼくが西洋人<のくせに>、男尊女卑に傾いているのではないか、という恐ろしい結論を出している。それは、ぼくが<女ことば>という表現を使っているからだ。それを見て、大きなショックを受けたそうだ。

 申し訳のないエラーをした。今後は女ことばのことを<女性語>と呼ぶことにするから、今度だけはお許しいただきたい。
 ぼくはうっかりして「女」と書いてしまうことがあるが、「女」というやまとことばより「女性」という漢語的表現ほうが上品とされていることぐらいはよく知っているし、これからは、気をつけるつもりだ。

 ぼくは、妻も証言できるように、男尊女卑でもないし、女ごころ、いや、女性心を解さない男でも、女性嫌いでもない。

 言語心理学に深い興味を持っているらしい読者から異色の手紙をもらった。
 敬語は日本社会にいける上下関係を、<無意味なくらい>反映する言語的現象であり、助詞は実質的意味を表す独立の単語に。文法的意味を表す独立しない形式の語がついて文法的機能を果たす日本語の特徴である、ということを詳しく説明してくれてから、外国人としゃべるとき、ニッポングリッシュを使っている日本人の内部には、非常に複雑な現象が起こるという。

 この読者の意見では、ニッポングリッシュで意思を疎通させようとしている日本人は、<執念深く敬語も助詞を破壊する>ことによって、日本社会特有の上下関係に強いられている<忌まわしい習慣>からの開放感を覚え、<全世界から孤立している日本語の特徴を全滅させるというマゾヒスティックな喜悦感>に溺れるとともに、敬語も助詞もなかった幼児の懐かしさで胸がいっぱいになるという。

 ぼくは日本人ではないから、この解釈が正しいかどうか、わからない。
 いずれにしても、例えば、上役に「わかる?」、「わからない?」というふうに扱われている日本人の平社員が、エラそうな外人に「わかる?」、「わからない?」と言うときは、読者のいうような喜悦感を覚えないとは限らない。

 <我が国の言葉を愛す>読者から、変体仮名を交えた草書体で書かれた書簡を受け取った。筆跡は見事なものだが、やたらに振り仮名がつけてあるので、折角の美も損なわれているように思われる。もちろん、読者は、ぼくが日本の字を習ったとき、草書からはじめたことを知るはずはあるまい。しかし、草書や変体仮名に片仮名のルビをつけるよりは、楷書か、ローマ字を使ったほうがいいのではないだろうか。

 手紙の内容は外国人であるぼくには、「日本人の言葉について、乱れているなというような発言をする資格はない」というくらいのことになる。

 日本は日本人の国であり、日本語は日本人の言葉であるというのは、自明の理だ。
 しかし、日本人は外国人に入国を拒絶することはできるが、日本語を使うことを禁じることはできない。どこの国の人でも、自由に、勝手に日本語を自分の言葉にすることができる。

 そういう意味では、日本語は日本人の言葉ではない。人間の言葉だ。芸術作品が芸術家から独立しているように、言葉もそれを作った民族から独立している。国境にこだわりすぎる人たちが何と言おうとも、どこの国の人でも、日本人と全く同じように、日本語について発言できるのだ。

ウーム 「日本語は日本人だけの言葉ではない」という論旨は外国人でないと出てこないでしょうね・・・驚いた次第でおます。

なお、 『西洋古典こぼればなし』 にこの本が紹介されていました。





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Last updated  2021.04.29 00:34:02
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