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2021.07.17
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カテゴリ: 気になる本
本屋の店頭で『「砂、土、水を飲み込む世界」:Wedge7月号』という雑誌を手にしたが…図書館では新刊雑誌の借出しはしていないので、つい、この雑誌を購入したわけです。
表紙におどるコピー「砂、土、水を飲み込む世界」にキャッチされたといいますか。





雑誌、Wedge、2021年刊

<Wedge社サイト>より
現代文明を支える「砂」、「土(レアアース)」、「水」─。
世界ではいま、これらの戦略資源の奪い合いが起こっている。
ありふれた素材の「砂」は高層ビルから半導体まであらゆるものに使われ、「土(レアアース)」は世界の自動車メーカーが参入する電気自動車(EV)に欠かせない。
そして生命に欠かすことのできない「水」……。
それぞれの資源ウォーズの最前線では何が起こっているのか。

<読む前の大使寸評>
図書館では新刊雑誌の借出しはしていないので、つい、この雑誌を購入したわけです。
表紙におどるコピー「砂、土、水を飲み込む世界」にキャッチされたといいますか。

wedge 「砂、土、水を飲み込む世界」:Wedge7月号


もう一つの特集:「共産党100年」論を見てみましょう。
p65~67
<1000年経ても変わらない「盗賊王朝」中国共産党の本質:岡本隆司>
 先般、中国文学者の高島俊男氏が亡くなった。享年84。平易軽妙な文章で、複雑難解な漢語漢文と中国事情を、世に広めてくれた文筆家である。

 数ある代表作のうち、歴史屋のイチオシといえば、『中国の大盗賊』(講談社現代新書)。版を重ねて、ベストセラーにもなった。

「盗賊」といっても、ドロボーの話ではない。そもそも中国と日本では、スケールも中身もちがう。日本の「盗賊」はやはりドロボー、いかめしい漢語でいうくらいだから、大がかりな窃盗団・強盗団をイメージするのがおそらく正しい。
 それに対し中国で「盗賊」というと、規模の大小にかかわらず、もっとありふれた、永続的な組織を指す。広域暴力団や武装マフィアを想起したほうが、むしろ実態に近い。

 もちろん暴力団ともマフィアとも異質、高島氏も日本にはないもおのなので、原語で「盗賊」と呼ぶしかないという。というのも「盗賊」でありながら、それが拡大成長をとげれば、天下をとって君臨することもあるからで、中国史とは「盗賊」の興亡がつくってきた歴史でもあった。

 そんな歴史を描く『中国の大盗賊』の白眉は、毛沢東の中国共産党・中華人民共和国を歴代「盗賊王朝」の悼尾に配したくだりにある。それなら「盗賊王朝」とは何か、毛沢東政権がなぜそうなのか、について説明がなくてはならない。

■「一統」を尊ぶ中国、西側諸国の常識と前提が異なる
 中国は厖大な大陸であり、そこには多種多様な言語・習俗の人々が混交し、せめぎあって暮らしてきた。そうした世界を治めるため、発明されたのが中国の王朝体制である。独尊独裁の天子を戴くエリート官僚制が、各地の多種多様な社会をとりまとめるというシステムであり、少なく数えても1000年以上にわたり続いてきた。社会が多元的なために、政体はかえって、何よりも一統を尊ぶ、というありようなのである。

 こうしたシステムでは、政府上層がたとえ一元性を保っても多元的な基層社会の隅々にまで、その権力・統制は浸透しないし、逆に基層社会の実情も、政府権力に伝わりにくい。上層のエリートと下層の庶民に大きな隔絶が生じる。為政者は民衆を信じず、民衆はそれ以上に政府を信じない。

 中国では以上のようなありようが、時代によって程度の差こそあれ政治社会の史的構造をなし、その特質となってきた。そうした意味で中国は、人権・政体・法制など多くの位相で、西側諸国の常識とする前提と異なった世界なのである。

 そうした中国世界の所産が「盗賊」だった。あるいは「秘密結社」と呼んだりもする。体制と隔離した民間社会を構成する独自の自活組織が反体制化したもので、しばしば大がかりな武装をしていた。

「盗賊」とは社会不安から生じ。治安の悪化・政情の不穏をひきおこし、助長し拡大し、やがて各地に割拠し、ついには政権まで奪取してしまい、王朝に転化しかねないというような存在である。実際にそうやって天下をとろうとした成功と失敗が、中国史を彩ってきた。

 紀元前3世紀、漢の高祖・劉邦は、司馬遼太郎の小説もあって、日本人にもおなじみだろうか。「盗賊」皇帝の「元祖」・典型である。下って14世紀、明の太祖・朱元璋(洪武帝)も、著しい成功例だった。

『中国の大盗賊』の語るところでは、明の李自成・清の洪秀全が著名な失敗例である。失敗例はほかにもおびただしくあり、大小とりまぜて枚挙に暇が無い。

 成功例は上にあげたくらいで、もとより希少である。そして現在のところ、最後の成功例こそ、毛沢東の中国共産党にほかならない。
(中略)

 つまり現在の中国政府は、「盗賊王朝」のなれのはてなのである。それなら自らを育み、成り立たせた政治体制・社会構造を全面的に覆滅はできない。毛沢東の文化大革命はどうやらそれをめざしたために暴走し、中国自らが大きなダメージを受けた。10年しか続かなかったゆえんであろう。

■中国の歴代政権が抱える宿命的な脆弱さ
 中国共産党は今年で、「結党100年」と標榜している。天下をとってからも古希以上、それだけ続けば、史上なみいる「王朝」に勝るとも劣らず長命で、やはり「王朝」と呼ぶにふさわしい。10年はおろか、わずか4年で亡んだ正統王朝もあるからである。

 しかも政体・社会の本質が変わっていないとすれば、史上の「王朝」時代の事象・史実の既視感がつきまとうのも、当然というべきであろう。

朱元璋(洪武帝)

 たとえば14世紀後半に「盗賊」の朱元璋が建設した明朝は、「中華」の統合をめざし、国内統合や対外関係の両面において、理念先行の画一的・統制的な施策に固執した。やがて世界経済の発展とともに、各地の勢力が強まって多元化の様相を深めた時勢の変化に対応しきれず、行き詰まって17世紀半ばに亡んだ。

 その後を承け、在地勢力に対する放任に転じて、政治・経済を立てなおしたのが、清朝である。しかしながら、多元の共存をはかった放任は、統制力の不足をもたらし、欧米・日本など列強の勢力浸透を許して、国土がバラバラになりかけた。これが19世紀の末のことである。

 統制・画一と放任・多元の組み合わせ、あるいはその振幅の大小が、政局・政策・政体を規定する。こうしたパターンで近現代の中国を説明できるといっても、おそらく過言ではあるまい。


「砂、土、水を飲み込む世界」:Wedge7月号-3 :チャイナウォッチャーと経済学者との対談
「砂、土、水を飲み込む世界」:Wedge7月号-2 :デジタル・リヴァイアサン
「砂、土、水を飲み込む世界」:Wedge7月号-1 :レアアースショックから10年





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Last updated  2021.07.17 08:23:33
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