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2021.07.21
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『21世紀の民俗学』という本を手にしたのです。
この本の目次を見ると、テクノロジー、景観認知症、戦後建築、UFO学など民俗学ではふつう扱わないテーマが載っていて興味深い。
『21世紀の民俗学』と題した民俗学は・・・日本人の変わらぬ本質を捉え得るものなのか?と思うのです。






畑中章宏著、KADOKAWA、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
インターネット、スマホ、最新テクノロジーが神仏・祭り・習俗と絡みあう新世紀のリアルとは?新しいと思われていることが古いものに依存していて、古くさいと思われていたことが新しい流行の中にあるー。柳田国男や宮本常一以来、不安定で流動的な現象の中にこそ日本人の変わらぬ本質を見てきた民俗学が、新時代に切り込む。

<読む前の大使寸評>
この本の目次を見ると、テクノロジー、景観認知症、戦後建築、UFO学など民俗学ではふつう扱わないテーマが載っていて興味深い。
『21世紀の民俗学』と題した民俗学は・・・日本人の変わらぬ本質を捉え得るものなのか?と思うのです。


rakuten 21世紀の民俗学

">

東日本大震災が民俗学で語られるほど、時が経ったようですね。
p171~177
<大震災の「失せ物」>
「21世紀の民俗学」の連載を始めたのは、2016年3月11日のことである。最初の原稿が「ザシキワラシ」や「自撮り棒」のことを取りあげたものだったように、東日本大震災をとくに意識したわけではなかった。ただそこでも、「家庭アルバム」を論じながら、震災についてはふれていた。そのことをいま思い出した。

「景観認知症」と題して、こつ然と現れた更地に、どんな建物が立っていたか記憶を呼び戻せない、ということをめぐって書いたこともある。そこでも、被災地のかさ上げについて少しふれていた。

 景観だけではなく、過去の経験についてもわたしは、きっちりと思い出すことが難しくなってきているような気がする。今年の3月2日の夜、ツイッターで若狭の「お水送り」のようすが、写真を添えてつぶやかれているのを目にした。そうだった。震災の起こった年の3月2日、わたしは、その場にいたのだ。

 福井県小浜市の神宮寺がおこなうこの行事は、遠敷川河畔の「鵜の瀬」から奈良に向けて水を送るもので、その水が10日後に、東大寺二月堂の「若狭井」から水を汲む「お水送り」となる。3月2日の夜は小浜に宿をとり、松明行列を追って歩いたのである。

 翌日は、小浜市や西隣のおおい町や高浜町の神仏像をめぐり、その夜は、大島半島の付け根にある和田浜の民宿に泊まった。敦賀から久しぶりに小浜線に乗り、「美浜」や「若狭高浜」といった駅名に、このリアス式の海辺が“原発銀座”と呼ばれる海辺であることを思い出していた。

 民宿の主人によると、このあたりの旅館や民宿は、夏場の海水浴客以外は大飯原発関連の宿泊客で、もっているのだそうである。せっかくだし、大飯原発のPR施設で、原子炉屋内を三分の一で再現した「3分の1ワールド」など、原子力を実体験できる「エル・パーク・おおいおおいり館」に立ち寄ってみようかと思ったけれど、東京で用事があったためあきらめた。和田浜には、早朝からサーファーがいて、いい波が立っていた。

 帰京してから仕事仲間に、お水送りのこと、美しい千手観音像のこと、“原発銀座”のことなどについて話した。3月の5日だったか6日だったか、人に薦められて、山口県祝島の対岸に建設が予定されている原子力発電所を、反対運動の側から描いた映画を観にいった。こうした数日を過ごしていたのに、近年になく原発づいているなどと、思うこともなかった。そうして、3月11日の大地震があり、その翌日に福島の原発で大事故が起こったのである。

■失せ物絵馬
 震災以降、東北にはなんどとなく足を運び、これまでの本にも書いてきたはずだ。しかし、最も印象に残っていることはどんなことか、と聞かれてもおそらく即答できない。いろんな場面が錯綜しすぎたり、大事なことを忘れているような気がするからだ。そんなことを考えながら、わたしはまた三陸の被災地に赴いた。
(中略)

 牡鹿半島の表浜を南下すると、かさ上げ途上の集落、高い防潮堤ができつつある海岸線、打ち捨てられたような浜など、復興のありようが異なる風景が次々と現れる。

 県道から小渕浜の集落に降りていくと、高台に五十鈴神社があり、開け放たれた拝殿に「失せ物絵馬」が奉納されている。「失せ物絵馬」は、船の上から金物などを海中に落としてしまったとき、その落とした物を描いて神社に納める、東東北沿岸特有の習俗である。

 そのほとんどは半紙や障子紙、画用紙などに、筆やエンピツ、サインペンなどで、包丁、錨、小刀などが描かれる。現代のものになると、船外機やスクリューなど大型の機械類もある。

 こうした「紙絵馬」を奉納するのは、三陸の海に住む龍神が金属を忌避するという信仰に基き、陸に上がったら、何をさしおいても失せ物を描いて納めるのだという。速やかに報告し謝罪しないと、龍神の怒りに触れ豊漁が望めないと考えるのが奉納の最たる理由だが、落とした物を絵に託し、気持ちの切り替えをはかることでもあるらしい。


『21世紀の民俗学』1





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Last updated  2021.07.21 01:12:31
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