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2021.09.20
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カテゴリ: 中国
図書館で『中国4.0』という新書を、手にしたのです。
危険な隣国・中国に対しては常なる監視と有効な戦備・訓練が必要なんだろうね。






エドワード・ルトワック著、文芸春秋、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
2000年以降、「平和的台頭」(中国1・0)路線を採ってきた中国は、2009年頃、「対外強硬」(中国2・0)にシフトし、2014年秋以降、「選択的攻撃」(中国3・0)に転換した。来たる「中国4・0」は? 危険な隣国の真実を世界最強の戦略家が明らかにする。

<読む前の大使寸評>
危険な隣国・中国に対しては常なる監視と有効な戦備・訓練が必要なんだろうね。


rakuten 中国4.0


『第6章 ルトワック戦略論のキーワード』で訳者の奥山さんがルトワックの戦略論を語っているので、見てみましょう。
p176~184
 本章では、戦略家であるルトワックが、なぜ中国に対してこのような分析を行ない、最後に日本に対して「受動的な封じ込め」を提案しているのか、疑問に思ったかたもいると思うので、それに対してインタビューアーを務めた立場から、いくつかの補足的な説明をおこないたい。

 後ほど「あとがき」のほうでも詳しく説明するが、本書の著者であるエドワード・ルトワックという人物は、ジョンズ・ホプキンス大学で博士号を取得し、1970年代から常に戦略分野の最前線でアメリカをはじめとする世界各国の政府に対し、主に安全保障面でアドバイスやコンサルティングを行ってきた人物である。

 とくにアカデミズムの世界では、本書にも何度か出てくる「戦略の論理」、つまり「逆説的論理」を提唱したことで、戦略理論の議論に革命を起こした人物として知られている。さらには実践面でも軍人や特殊作戦群ノアドバイザーとして活躍している。

 本書においても、自身の実体験から編み出されたと言われる「逆説的論理」、それに実際の中国での体験にもとづく豊富な知見が縦横無尽に展開されており、とりわけ本書の中身は、私が監訳を担当した『自滅する中国』の続編として位置づけられるものだ。さらには日本ですでに刊行されている主著『エドワード・ルトワックの戦略論』のいくつかのアイディアをアップデートしたものにもなっている。

 本書の全体的な流れは、まず中国が潜在的には1970年代後半に開始し、2000年以降、本格的に採用した「チャイナ1・0」という非常に成功した戦略を経て、2009年末頃の胡錦濤政権後半に「チャイナ2・0」といういわば「自滅的」な戦略を採用し、それが日本を含むすべての周辺国の反発を引き起こすに至った経緯を追い、なぜそのようなことが起こったのかを分析している。

 そしてその対応策である「チャイナ3・0」の現況を、主にロシアの戦略文化との比較から検討し、最後に日本はそれにどのように対処していくべきなのかを、独自の視点から提案している。

 もちろんルトワック自身は中国だけを見て研究してきた、いわゆる「中国専門家」ではない。その視点は、どちらかといえば社会科学でいうところの「国際関係論」の理論や、さらには彼独自の「戦略理論」をベースとしたものである。この点を理解できないと、彼がなぜ中国について、他の学者たちとは違った、極めてユニークな分析を行っているのかがわかりづらくなってしまう。

 本章では、本書におけるルトワックの視点を理解するための五つのキーワードを挙げて、一つずつ解説していきたい。

 <1 パラドックス>
 本書におけるルトワックの中国分析の中心的な概念ツールであり、しかも彼自身の戦略論の核心にあるものが、この戦略の「逆説的論理」というものだ。
 ルトワックはまさにこの概念で名声を確立したのであり、戦略学における彼の最大の功績は、この概念を提唱し、さらにこれを議論したことにあると言って良い。このロジックを、ルトワック自身は「戦略の論理」とも言い表している。

 ルトワックによれば、あらゆる戦略的行動には「逆説的論理」が働いており、たとえば戦争のような状況になると、こちらがAという行動を行えばBという、いわば誰でも想定できるような「線的(リニア)」な結果は、むしろほとんど発生しない。戦争や戦場のような、相手も何かを仕掛けてきたり裏をかいてくる状況では、一見すると回り道や逆効果になると予測されるような手段が勝利を導くことも多い。

 言い換えれば、通常は自国の相手国に対する「作用」ばかりに目がいってしまうが、それに対する「反作用」が、「作用」と同じくらい、時にそれ以上に大きなインパクトを持つ、ということである。これをルトワックは「逆説的論理」と表現しているのである。
(中略)

 もちろんルトワックが逆説的論理の参考にしたのは、『孫子』ばかりではなく、たとえばクラウゼヴィッツの「攻撃(勝利)の限界点」が挙げられる。これはルトワック自身も「成功の極限点」という概念で言い表している。たとえば、敵陣深く攻め入って、勝利の限界点を超えると、味方の兵站線が伸び過ぎてしまい、味方の方が敗北に近づくという逆転現象が起こり得る。また、あまりにも成功しすぎた戦術や兵器は、敵が対抗措置をとりはじめることによって効果を失うという逆説もある。

 これについてルトワックは、第二次世界大戦におけるドイツ軍のソ連侵攻の戦略的誤りや、朝鮮戦争における奇襲の成功からダグラス・マッカーサーの仁川上陸作戦までのエピソードを使って説明しており、結果として「戦略的な成功の果実の中には失敗の種が常に含まれている」と論じるのだ。





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Last updated  2021.09.20 08:13:57
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