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2024.01.16
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カテゴリ: 気になる本
図書館で「エマニュル・トッドで読み解く世界史の深層」という新書を手にしたのです。
家族人類学者エマニュル・トッド?・・・知らんなあ。でも著者・鹿島茂がわかり易く説き明かしているようなので、チョイスしたのです。






鹿島茂著、ベストセラーズ、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
英国のEU離脱、トランプ当選など予言を次々と的中させ、世界中で注目を集めているフランス人類学者エマニュエル・トッド。なぜ、トッドの予言は的中するのでしょうか?大胆な彼の発言を支える理論を、鹿島茂教授がわかりやすく解説します。明治大学で人気の「トッド入門」講義を一冊にまとめました。初の解説書。「あらゆる問題は、彼の家族システムという概念で説明ができる」と、世界史の有名な出来事や混迷する社会の問題、さらには現代人の悩みや未来の切り開き方まで、トッド理論で紐解いていきます。

<読む前の大使寸評>
家族人類学者エマニュル・トッド?・・・知らんなあ。でも著者・鹿島茂がわかり易く説き明かしているようなので、チョイスしたのです。

rakuten エマニュル・トッドで読み解く世界史の深層


「第一章」でドイツ・日本型の家族システムを、見てみましょう。
p50~54
<直系家族「ドイツ・日本型」>
■EUの覇者ドイツ
 EUを実質的に牛耳っているのは、たしかにドイツです。ドイツはなぜイギリスやフランスを押さえ、EUでナンバー1の地位を獲得できたのか。
 それは、ドイツが伝統的に「直系家族」社会だったからなのです。いまはドイツも、日本と同様に、現実レベルでは核家族化が進んでいますが、集団の無意識、つまり共同幻想のレベルではあいかわらず、典型的な直系家族社会です。
(中略)

 このように直系家族とは農地と家という不動産と密接に結びついたシステムです。そのため、直系家族地域の農地は、ドイツの地主貴族ユンカーの支配していたプロイセンに見られるように、家を囲む農地に境界線を示す柵があり、他者の侵入を防ぐというかたちをとることが多く、そのため、農村では、民家がポツリポツリと点在する風景が見られます。
 イングランドやフランス・パリ盆地のような民家が1ヵ所にかたまって、そのまわりにオープン・フィールドが展開するというような農村風景は見られません。

 また、こうした囲い込みの原理が国家にも反映されますから、直系家族原理でつくられた国は一般に地方分権型の連邦制をとることが多くなります。ドイツ連邦しかり、日本の江戸時代しかりです。

■イエの支配者としての父親の権威
 単位を家に戻すと、家では親の「権威」がたいへん強いとされています。しかし親個人が現実に権力をふるうかどうかは関係がありません。構造体としてのイエの支配者である父親の権威、つまり、権力ではなく権威が強いということです。実際の父親は、弱虫でも、役立たずでも、とにかく「お父さんはえらい」ということが前提とされているのです。
 母親にも、父親ほどではないですが、権威はあり、家のなかを仕切ります。さらに、父親の次には長男がえらいということになっていますから、自動的に長男の嫁もえらいということになり、実質的には、この長男の嫁に権力が集中します。

 日本で、お父さんが貰った月給はそのままお母さんに引き渡され、家計はお母さんがやり繰りして、お父さんは小遣いで我慢というのは、絶対核家族や平等主義核家族から見たら考えられないことなのです。

 いずれ、詳述しますが、こうした権威と権力の分散が直系家族の特徴で、言えと会社をアナロジーで結ぶと、権威は社長(お父さん)にありますが、実際の権力は長男の嫁に相当する人事部長や秘書課長が握っているというケースが少なくないのです。

 また、直系家族においては絶対核家族や平等主義核家族と比べて、親が子どものしつけで肉体的な暴力を振るう機会は非常に少ないとされてきましたが、これも構造体としてある権威の強さのためなのです。昔の日本では、「地震、雷、火事、親父」というように親父は恐いものの象徴とされてきましたが、これも実際に暴力的で恐いのではなく、権威的だから恐かったのです。

■東日本大震災でモラルの高さが賞賛された日本
 こうした家族は、たいへん教育熱心なのも特徴です。代々ほどこされる知育・徳育は主として長男の嫁をキーパーソンとして、長い間に知識、徳目として家庭内に蓄積されます。東日本大震災のあとで、世界中に感銘をいだかせた日本人のモラルの高さはこのようにして育まれたわけです。
 ドイツが、二度の世界大戦で敗者となり、また再統一という試練があったにもかかわらず、さして間を置かずにヨーロッパの覇者となりえたのは、直系家族が大切にしてきた教育熱心さ、知識への信頼、すなわち、「知力」の高さゆえなのです。

 しかし、その反面、家の支配原理が隅々にまでおよぶ、鬱陶しい「見えざる視線による相互監視」、つまり「世間」というものが強くなり、同時にそれに対する反発も生まれます。日本の近代文学というのは、こうした直系家族の「見えざる視線による相互監視」に対する反発の系譜だったと捉えることができます。

 では、直系家族において、長兄一人が財産をすべて受け継いだ後、その弟たち、次男、三男たちはどうしていたのでしょうか。絶対核家族なら、財産をめぐって、兄弟間の競争が起こるところです。

 しかし、直系家族では、次男・三男たちは「排除」されておしまいでした。彼らは家を出され、他家に婿入りしたり、工場や商家で働かねばなりませんでした。あるいは、寺社・修道院に入門したり、兵員として雇われる(ヨーロッパなら各国傭兵部隊、日本なら僧兵、武士軍団)など、身一つで生き抜いていかねばなりませんでした。

 直系家族からはじき出された次男・三男たちは、歴史をつくる原動力となっていきます。その具体的な史実は、後の章で詳述してゆきます。

 ウン、そう言えば、我が家も長男(わたし)の嫁に権力が集中しているのかも。

『エマニュル・トッドで読み解く世界史の深層』1 :エマニュル・トッドとは何者か





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Last updated  2024.01.16 00:02:23
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