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「ネオカル日和」(辻村深月、講談社文庫)を読む。自分の好きな作家が書いたエッセイを読んで面白いと思うのは、あぁ、この作家、こういうのに影響・感化されてるんだと感じるところだろう。あとは、その作家が良く読んでいる小説家とかが判るのが面白い。その意味では、本書は辻村の無類の「ドラえもん」好きに始まり、ポケモン、能、ガンダム、アメトーーク!までに至る辻村の守備範囲の広さを見せている。しかし、それがなければ面白い作品が書けないのではないだろうか。そのほかには影響を受けた本や映画の紹介があったり、ショートショートがあったり(ショートショートはあまりよくなかったが)、何が今の辻村を作っているのか、ということが判って面白い。私(1977年生まれ)と、辻村(1980年生まれ)だと、男女の差こそあれ同世代と言って違和感はないであろう。私もドラえもんやガンダムは好きなので、きっと辻村もアレが好きなはずだと思って読んでいたら、あった!何があった!かというと…小学生時代に辻村が仲間内で小説を書き始めたとき、特別なノートで書こうと思ったら、そのノートはDQ4の鳥山明のイラストのものだったということだ。辻村深月、これまたしばらく離れられない作家になったわ。今年63冊目読了。ネオカル日和/辻村深月
2015.10.29
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「ルカの方舟」(伊与原新、講談社文庫)を読む。著者は神戸大・東大で地球惑星物理学を専攻したという話を講談社のツイッターで見かけ、シンパシーとでもいうべき興味を持って読んでみた1冊。火星からの隕石に生命の痕跡を見つけたという帝都工科大学の笠見教授。彼の世紀の発見を取材する記者・小日向のもとに、その隕石研究論文の偽装を告発するメールが届く。研究室では液体窒素が漏れ出たことによる酸欠事故で死亡した笠見教授と方舟型に加工された隕石が発見される。小日向は「天才」の名を冠せられる百地教授とともに事件の謎の解明に挑む、という理系ミステリな話。カール・セーガンの引用から始まるところからして私のツボを捕らえた話である。理工系の大学(大学院)を出たものならば思わず納得してしまう「大学あるある」的なエピソードは、どことなく今野浩の「工学部ヒラノ教授」(新潮文庫)を彷彿とさせるところもあり、読んでいて何となくニンマリしてしまった。また、隕石をはじめとする地球惑星科学の専門的なトピックについての記述も一般向けで易しく、科学リテラシの向上において本作のようなフィクションが果たせる役割もあるのではないか、などということを何となく思ってしまった。もちろん、ミステリとして小説として話が面白いということは言うまでもない。隕石研究を行っている研究室を舞台に発生するさまざまな謎や人間模様、そして深夜の研究室を徘徊する老人と少女の登場といった隕石研究とは全く関係ないと思われる事象なども加わり、謎が謎を呼んでいく展開。そして全ての謎が解かれていく様子は、いかにも理系らしくロジカルであり美しい。そして結末では科学の素晴らしさ・ロマン的な側面も描き出されており、単なるミステリの謎解きにとどまらない良さが本作にはあると思う。ストーリーの展開と収束の美しさに、思わず数時間で一気読みしてしまった。理系の人のみならず、文系の人にも読んでもらいたい。理系小説の「傑作」と言っても過言ではないと思う。今年62冊目読了。ルカの方舟/伊与原新
2015.10.21
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「追想五断章」(米澤穂信、集英社文庫)を読む。主人公は大学を休学して伯父の古書店に居候する芳光。ある日ある女性客から亡父が書いた5作の短篇小説を探して欲しいとの依頼を受ける。調査を進めるうちに故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者であったことが判る。5作の短篇は何を意味しているのか? そして「アントワープの銃声」事件の真相は?5作の短篇小説はいずれも結末が書かれていないミステリである「リドルストーリー」であり、作中に実際に書かれている。それぞれ単独で読んでも面白い作品で、そういう観点から言うと本作は「1粒で6度美味しい」と言える。しかも、通常リドルストーリーには存在しない「解決篇」が存在していて、それがこの「追想五断章」という作品の鍵を握っている、というか作中で明らかにされる謎の真相を表している。今年61冊目。追想五断章/米澤穂信
2015.10.17
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「首都崩壊」(高嶋哲夫、幻冬舎文庫)を読む。若手地震学者の最新の研究によって、首都直下地震の発生確率が5年以内に90パーセント以上であることが判るところから物語は始まる。もしこの情報が公開されれば、東京はパニックに陥り、日本経済は破綻し、日本発の世界恐慌にも発展しかねない。東京が被災地となるのを見越したように、アメリカのヘッジファンドや格付け会社が動き始める…一方、地震による国家崩壊の危機を回避するために、日本では首都移転と道州制への移行が実行に移されようとしてくる。「M8」「TSUNAMI 津波」などの災害パニック小説が得意な高嶋の手になる本作は、予知された地震の自然科学的な側面というよりも、その社会への影響(日本国内にとどまらず国外への影響)を軸にドラマが展開していく。実際、政治・経済・財政・金融・国際情勢・その他…といったジャンルのキーワードが頻出する。私は残念ながらこれらの分野に疎いのだが、これらの分野に詳しい人には大変面白い1冊なんだろうなと思う。そして、例えば「アメリカの格付け会社による日本国債の2段階格下げ」などといった本作で発生する事象は、実際に起こってもおかしくないリアリティを持って描かれている。適切な登場人物の配置と彼らが演じるドラマゆえのことである。さすが高嶋といった感じである。ひとつだけ誤りを指摘させてもらえば、P.55に「震度4弱」という記述があるが、現在の気象庁震度階で「弱」「強」の2段階に分かれるのは震度5と6だけであり、「震度4弱」は存在しない。高嶋らしくもないミスである。(参考:気象庁・震度について)今年60冊目読了。首都崩壊/高嶋哲夫
2015.10.14
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「幸せの条件」(誉田哲也、中公文庫)を読む。三流大学の理学部を出て理化学機器メーカーに就職するも伝票整理しかできない役立たずOLの梢恵に、ある日社長からまさかの指令が下る。その指令とは、単身長野の農村に赴き、バイオエタノール用の米を作れる農家を探して来いというものだった。行く先々で断られ、なりゆきで農業見習いを始めた彼女、果たしてその結末は…という話。現代日本が抱える大きな問題の一つであるエネルギー問題が、バイオエタノール用の米を題材にして描かれているし、なりゆきで始めた農業を通じて、これまた現代日本の抱える食糧問題に鋭くメスが入れられている。そして作品を読むほどに、読者もエネルギーや農業や食糧の問題について如何に無知であるかということを思い知らされる(少なくとも私はそうだ)。ちょうど梢恵がそうであるのと同じように。そんな社会派の小説でありつつ、最後にはタイトルである「幸せ」とは何であるかという人間の根源的な問題も問うている深い深い話である。作中では東日本大震災も発生しており、この作品の深さと奥行きを更に際立たせている。こんなに勉強になり感動もする話には滅多にお目にかかれないというのが私の正直な気持ちである。以下、気に入ったところを幾つか引用させてもらう。「むろん、今の数字は分かりやすくいったものだ。専門家にいわせたら、それは違うという者もいるだろう。でも大まかにはこういうことだ。食糧自給率なんてものは、国民の豊かさにも、腹具合にもまったく影響を及ぼさない、まやかしの数字だ。あんなものは、農水省が予算をぶん取るためのペテンに過ぎない。そうでもいってないと、農水省なんて役所は要らねえってことになっちまうからな。奴らも、組織防衛に必死なんだよ」(作中の震災を受けての梢恵が思うこと)上手くいえないけれど、この事態から目を背けてはいけないような、そんな気がしている。知らん顔で日常に戻ることに、言い知れぬ罪悪感のようなものを感じる。何かしなきゃ。何かあの人たちのためになるようなことをしなきゃ。そう思いはするけど、これといった具体案は思いつかない。「コメ、作っちゃいけないんだってさ。仮に作って出荷したら、罰則が与えられる可能性があるんだってさ……ひどいよね。俺たちが何したっていうの。原発で作った電気使ってたの、俺たちじゃないじゃない。東京の人じゃない。東京の工場とか、大企業とかじゃない。俺たちはさ、ガソリンだってできるだけ使わないようにして、地面とお天道様とで、仕事してきたんじゃない。なんでよ。なんで俺たちが、田んぼ奪われなきゃなんないの」これで今年59冊目読了。幸せの条件/誉田哲也
2015.10.09

昨日、秋葉原(外神田)にある「ドラクエローソン」に行って、すれ違い通信&配信アイテムの入手をしてきた。
2015.10.09
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「リカーシブル」(米澤穂信、新潮文庫)を読む。まず不思議なタイトルに惹かれる。「再帰的」を意味する「recursive」に「可能」を表す「able」をつけた造語。いったい何が再帰的なのか。結論から言うと本作は「再帰的」というより「繰り返す」という意味合いの方が強いのだが。さて、物語は主人公の少女ハルカが母親と弟とともにある地方都市に越してくることから始まる。この町では高速道路誘致を巡って暗闘があり、また過去や未来を見通すことができる「タマナヒメ」なる伝承が伝わっている。そんな中、主人公の弟サトルは初めて住むはずのこの町に住んだことがあると言い、しかも町でこれから起こることに関する予言めいた発言をするようになる。さて、この町でハルカの陰で実際に起きていることは一体何なのだろうか、という青春ミステリ。物語の最終盤まで町で起きていることやサトルが何故予言めいた発言をするのかが詳らかにならず、不可思議でミステリアスな雰囲気を持ったままストーリーが展開する。若干退屈な感じもしなくはないが、とにかく結末が非常に気になる物語展開をする作品だ。そして意外過ぎる結末に「あぁ、やられた」という気持ちにさせられる。こういう話、私にとっては「ツボ」である。そんなわけで、今年58冊目読了。リカーシブル/米澤穂信
2015.10.06
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Amazonで予約して先週届いた公式ガイド。攻略法とデータ集の両方の側面を持つ、DQファンにはお馴染み・そして必携の1冊。私の冒険の書では、トラペッタとリブルアーチで盗賊の鼻を使うと反応するのだが、この本を見てアイテムの所在を全部チェックしても、まだ取り逃しがあってどこにあるか判らないという問題もあるのだが…それは私が悪いんだけど。あとは何といってもエスタークにラリホーマが効くこと。あの一撃必殺1000ポイント以上ダメージを与えてくるエスタークを1ターンでも止めることができるのはホントに楽で、初戦で撃破に65ターンかかっていたのが3・4回目で13・14ターンまで縮められた。まぁ他にもいろいろあるのだが、当面はエスターク10ターン以内を目標に種・木の実の収集をしようと思う。あとはカジノで適当に遊ぶか…ルーレットのルールがこの本を読んでもさっぱり判らないのでビンゴとスロットにしようと思っている。なんでポーカーないのって感じではあるが。まぁとにかく、今年57冊目。ドラゴンクエスト8―空と海と大地と呪われし姫君―公式ガイドブック
2015.10.03
「鍵のない夢を見る」(辻村深月、文春文庫)を読む。地方の町でささやかな夢を見る女たちの暗転を描いた短篇集にして直木賞受賞作…なのだが、どうも私のテイストではなかった。女性がこういうのを読むと面白いと感じるのだろうか、という感じ。ただ、第四短篇の「芹葉大学の夢と殺人」は唯一面白いといえる側面があった。いつまでも叶わぬ夢を追い続ける男性に嵌って別れられない女性を描いている。この男のバカッぷりがひどいのだが、主人公の女性のように嵌る気持もまぁ判らなくもないかなという感じ。今年56冊目。
2015.10.03
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