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白峰霞:好きなおにぎりの具は照り焼きチキンVAMPIREEYE 第二十三話「オーディション」「グルルルルルル…」巨大な犬が牙を剥く。霞は手懐けようとして伸ばした手を引っ込めた。「魔力を感じる…普通の犬じゃないね」「グワオオオッ!」正面の犬が飛びかかってきた。霞は咄嗟にしゃがんで回避、間合いをとって構える。「最近こういうの多いなー…」『チッチ、チッチ、チチチチチッ!』雀の鳴き声がする。今度は上から大量の黒い蛾が飛んできた。「蛾!?」霞を包みこむように旋回する。霞は腕を振って蛾を払う。「ちょっと、なにこれ!……うっ!?」目眩がする。平衡感覚を失い膝をつく霞。目の前には2匹の巨大犬が。「へ、変身!」目は真紅に輝き髪は緑がかった銀髪に変化する。霞は連続バク転で黒蛾から離れる。「カスミサンダー!」霞のアホ毛から放たれた電撃を浴び黒蛾は散っていく。『チチチチッ!』更に黒蛾と巨大犬が現れた。「また増えた!?こうなったら…」霞は両拳を腰溜めに構える。「カスミインパクト!ダブル!!」左右連続でカスミインパクトを撃つ。黒蛾は粉々に、巨大犬は路地の奥に吹き飛ばされた。「はっ!」後ろに気配を感じた霞、振り返るとスーツを着た鋭い目つきの男が立っていた。「シーッ!」足を振り上げ踵落としで霞の頭を狙う。それを両手で咄嗟にガードする。男は足を下ろさずそのまま横蹴りで霞の腹を蹴った。「うっ…」続けて蹴りを放つ男、霞がガードしていると靴から鍵爪が飛び出し霞の腕を掴んだ。そしてそのまま飛び上がり鈎爪で顔を狙ってくる。「うわぁ!」霞の頬を爪がかすめる。男は破れた靴を脱ぎ捨てた。鳥のような足が顕になる。「チチチチチチチ…」雀の鳴き声が聞こえた。男から発せられている。黒蛾と巨大犬が出現した。「なに?何なの一体、あなたは誰ですか?」「『夜雀』の富永誠治郎…妹を悪の道に引きずり込む鬼を退治する」「富永って…あたしのクラスの富永新奈さんの家族の人!?」「鬼は死ね!」「意味がわかんないって!ちょっと!」黒蛾、巨大犬、誠治郎の同時攻撃。「しまった…」両手両足を巨大犬に噛み付かれ、黒蛾が視界を塞ぐ。そこに鉤爪の蹴りが放たれ霞の腹に突き刺さった。「死ねい!」「げほっ…」誠治郎は抉るように爪を抜く。霞の口と腹から血が吹き出る。「ちょっと…ヤバイかも」巨大犬の牙は霞の腕と足に食い込み、黒蛾の鱗粉の毒は霞の感覚を鈍らせている。「さぁこれで止めだ!内蔵ぶちまけて死ね!!」「カスミ…フラッシュ!」霞の体が青白く輝く、全身から電撃を放出する。黒蛾、巨大犬は消え、誠治郎は電撃を食らって倒れた。「おのれ鬼め…!」「だから意味わかんないって…なんでこんな事を?」「新奈を薄汚い芸能界に引きずり込もうとしてるだろう!新奈から微かに鬼の魔力を感じた。鬼といえば白峰家だ!吸血鬼(きゅうけつおに)!!」「その理屈はおかしいよ!あたしだってスカウトされたんだから。鬼の魔力を感じたからって決め付けはよくないよ!」「黙れ黙れ黙れ!鬼は殺す!全て殺す!新奈は俺が守る!一生俺が守るんだ!!」「話を聞いて!」「聞かん!全て殺す!!」「も~~~~~っ!!聞いてってばあああああああ!カスミサンダー(中)!」「おっと!」誠治郎は黒蛾で電撃を防いだ。「ぐえっ!」誠治郎の顔にスニーカーがめり込む。霞が投げつけたのだ。弾丸のような勢いで投げつけられたスニーカーを喰らい倒れる誠治郎、駆け寄って掴む霞。「カスミスパーク!」「あがががががっ!」直に電撃を受け気絶する誠治郎。彼を壁にかからせて霞は携帯電話をかける。「二日連続でこんな事…怒られるよ…あ、もしもしあたしだけど。やっぱり迎えに来てくれない?ちょっと荷物が大きくて…。え?ううん、須原に来てもらって。じゃあ待ってるね」数分後白峰家の車が路地の近くに停車した。後部座席が開き吹雪が降りてきた。「ええっ!なんで吹雪お姉ちゃんが…」マズイと霞は思ったがどうしようもなかった。「…霞、どういう事なの?」吹雪の目は血まみれになった霞のシャツに注がれていた。「あのえっと…」「嘘はつかないで正直に、簡単に説明してくれる?」「あう…そのこれは…」霞は正直に路地で起こったことを話した。吹雪はタブレットを取り出し富永誠治郎の名前を入力する。「教会に登録されているわね。富永誠治郎はペナルティを受けてもらう事になるわ。霞、これから先は教会の人間がやるからあなたは車の中で待ってて」「はーい…」しばらくするとスーツを着た男たちが現れあっという間に路地の片付けと富永誠治郎の回収をして去っていった。車の中から霞は呆然とその様子を見ていた。吹雪が車に乗り込む。「霞、後は任せて」「え…あ、うん」「…昨日の事もきちんと話してくれるかしら?」「うん…」霞は隠さずに鎌田の事も吹雪に話した。オーディションの事は言わないで置いた。「ただの喧嘩だったと?」「うん…ちょっと言い合いで収まらなくなって…ついお互い力使っちゃったんだ」「アイドルにふさわしいかどうかでそこまで喧嘩するなんて」「えへへ…」富永誠治郎は碁盤の目町にある施設に送られた。表向きは事故に遭い入院ということになっていた。規則を破った闇の住人を更正させる施設である。万が一隙を見て脱走しても24の強力な結界が地上へ出ることを阻む。これは最高レベルと指定される白面金毛九尾狐すら通り抜けられない結界である。翌日―吉良が取りに行ってくれたお気に入りの白いワンピースを着た霞はオーディションに向かうべく車に乗り込んだ。須原だけが霞がオーディションを受けることを知っていた。「霞お嬢様やっぱり皆に話したほうガ…」「駄目だよ!吹雪お姉ちゃんとか特に反対するって。闇の住人がうんたらかんたらって」「後で言う方が大事になりそうデス」「報告するときはちゃんとお母さんにも報告するから」「そうですか。それなら…」「お父さんにも報告したいけどまだ見つからないしなー…」「旦那様デスカ」白峰家の当主は母親の雪名。父親は旦那様と呼ばれていた。白峰三姉妹の父親は人間で、名前は『白峰蔵人』。教会の人間だった。2年前、霄が洛庵高校の入学式の次の日から行方不明になっていた。吹雪が教会に入った理由のひとつに父親探しも含まれていた。車は京都駅の近くのビルの前に停車した。このビルがオーディション会場であった。緊張した面持ちで霞は受付の女性に話しかける。「あの、オーディションを受けに来た白峰霞と言いますが」「あ、はい。こちらの者が渡した名刺を拝見させてもらいます」霞は真柴樹里の名刺を受付に見せる。「はい、確認いたしました。ではこの番号札を持って2階のホールでお待ちください」㉚と書かれた番号札を持って2階に上がる。そこには『ヴァルキリー新メンバーオーディション』と書かれた立札がかけられていた。「失礼しまーす」大きなドアを開いて中に入ると正面にステージがあるのが見えた。鎌田乃梨子に富永新奈の姿もあった。二十数人の少女が集まっていた。「あ、白峰さん!来たね!」「白峰さん…」「やぁやぁ、今日はお互い頑張ろうね!」霞が来てから15分、ステージの横のマイクにスイッチを入れる女性が。名刺を配った真柴樹里である。「みなさんこんにちは。真柴樹里です。では早速ヴァルキリー新メンバーオーディションを始めます。番号を呼ばれた人はステージの上に。自己紹介をしてもらいます。その後審査に入ります。審査はまず歌。得意な歌をアカペラで歌ってもらいます。その次にダンス。ヴァルキリーの曲『ファーストミッション』に合わせて自由に踊ってもらいます。審査は正確さや完成度を見るものではありません。失敗を恐れずに全力で挑んでください。以上です」ざわめく少女達。審査の内容はある程度予測していたが戸惑いを隠せない。「では始めます。エントリーナンバー1の方どうぞ」真柴樹里に呼ばれて壇上に上がったのは真柴樹里とほぼ変わらないほど長身の少女。髪は長い茶髪を二つくくりにしていて、服装はTシャツに7分丈のジーンズだった。「エントリーナンバーワン!山根妃羅莉でっす!キラリとでもキラリンとでも呼んでください!ネズミが好きです、なのでワン(1)よりチュー(2)が良かったなーと思っています!歌もダンスも好きだけどキツイ練習は嫌です、楽しくやりたいです!」片足を後ろに上げて両手でピースサインを顔の横で作る。舌を出してウインクする。霞はその様子見て。「キャラ濃いね~まるで緊張してないし。…ってあの人この前センジョーで見かけたような?」自己紹介が進んでいく。緊張でほとんど声が聞こえない者や真っ白になって名前しか言えない者もいた。霞の番が回ってきた。「エントリーナンバー30!白峰霞です!既存のメンバーに埋もれて霞む存在になるつもりはありません。あの子が入って良かったと言われたいです!体力には自信があります!」まっすぐに真柴樹里を見据える霞。真柴樹里は腕を組んだまま少し微笑んだ。その後歌の審査、ダンスの審査と進んだ。時計は12時を指していた。「はい、それではこれから45分の昼休憩を挟んだあと合格者を発表いたします。合格者には契約書をお渡ししますので説明を受けてください。では解散」霞は乃梨子と新奈を誘って昼食を食べにビルを出る。すると後ろから山根妃羅莉が追いかけてきた。「おおーい!あたしも一緒に!」「山根妃羅莉さんでしたっけ?ネズミ好きの」「そう!あなたは霞ちゃんよね、そっちは乃梨子ちゃんに新奈ちゃん」「すごい、もう名前覚えたんですか」「へへん!こう見えても記憶力はいいんだよ?お昼はどこに行くの?このビルの向かいのパン屋美味しいよ、そこにしない?」「そうなんですか?じゃあそこにしようか?」霞が乃梨子と新奈の顔を見ると二人は頷いている。4人はパン屋で店自慢のサンドイッチを買い店の前のテーブルで食べた。審査の結果、合格したのは山根妃羅莉と霞だった。乃梨子と新奈は落ちたもののヴァルキリーとは違うユニットでのデビューもあり得ると真柴樹里に説明を受けた。妃羅莉と霞は一緒にビルを出る。「霞ちゃん、月曜からあたし洛庵高校に通うんだ~休学してたんだ」「そうなんですか~(霄ちゃんと一緒の学校だ)」「来週またここに集合だね。メンバーにも会えるんだよね~保護者のサイン入った書類忘れちゃダメだよ?」「うん、じゃあ来週また会いましょう!」霞は妃羅莉と別れたあと携帯電話で須原に連絡した。続く
Jul 13, 2013
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白峰霞:髪は吉良に切ってもらっている。神月沙夜:髪は昔からの馴染みの美容院で切る。VAMPIREEYE 第二十二話「雀」土曜日―オーディションは翌日に迫っていた。霞は平日と同じ時間に起きて庭で体操をしていた。「土曜日のこの時間から起きてるとは珍しいな」廊下から声をかける霄。ジャージのズボンにTシャツ姿である。「あ、おはよー霄ちゃん!朝ごはんはまだ?」土日はみんな起きる時間がバラバラの為、朝食は自分たちで用意する決まりになっていた。「まだだが?」「じゃあ一緒に食べよ!」台所に行き食パンを焼く二人。コーヒーメーカーに豆を入れてスイッチを入れる。「吹雪お姉ちゃんは?」「さっき着替えて出て行ったぞ。外で食べるそうだ」「ふーん…このところ土日ずっと出かけてるね」「そのようだな」しばらくするとパンは焼き上がりコーヒーも出来上がった。霄はパンにイチゴジャム、コーヒーにミルクと砂糖を、霞はバターを塗りコーヒーには練乳を入れた。「何かあるのか?早起きなんて珍しい…」「いやぁ~ちょっと日曜日にヤボ用があってね。別に今日何かしたって変わらないんだけどなんとなく目覚めちゃって」「ヤボ用…?」霞の目をじっと見る霄。目をそらすとつっこまれると感じた霞はそのままニコニコと見つめ返した。「男の子と約束とかそんなんじゃないんだよ?ちゃんと後で話すから」「…昨日の事と関係あるのか?」「えっと…関係なくはないかな。でも危ない事とかじゃないし大丈夫だよ!」「………」「霄ちゃんは今日と明日どうするの?」霞は話題をすり替えた。「今日は駒村と新しくできたOKA(おうか)に入ったテナントのショップを見に行く。明日は…特に予定はない」「そっかぁ~新しいショップてなんの店?」「雑貨だ。日用品から服、インテリア、小型の家電などを扱ってるそうだ」霄はチラシを机の上に広げる。そこにはキャラクターグッズや変わったデザインのインテリア、映画などのコラボの服、独特なデザインの家電製品などが載っていた。「霞は出かけるのか?」「沙夜ちんの家に行くくらいかな~」「門限は守るんだぞ」「わかってるって」朝食を食べ終えた霞は沙夜に電話をかけこれから向かうことを告げた。外は快晴だった。梅雨が明け連日30度を超える暑さが続いている。半吸血鬼であるため太陽の光は苦手だったが霞は「ちょっとチリチリして体がだるいだけ」とそれほど気にはしていなかった。アイボリーのワークキャップに深緑のミリタリーシャツ。5分丈のベージュのズボンにスニーカーといった格好で外に出る。続けて霄が出てくる。黒い刺繍の施された日傘に白いブラウス、ジーンズにショートブーツと行った格好だ。「あ、霄ちゃんのブラウス見て思い出した!ワンピース取りに行かなきゃ!」「この前言ってたやつか」「うん、お気に入りのやつ」「忘れずに取りに行くんだぞ」霞と霄は門を出て別々の方向に出かけていった。白峰の家から神月沙夜の家までは徒歩で15分程度。霞はショートカットを使わずに表通りを歩く。「ん?あれは…」自動販売機の前に金髪の女性が立っているのが見える。緋川燿子だった。「緋川さん!」「あらぁ白峰の霞はん、おはようさん」「どうしたんです?」「自動販売機で茶を買(こ)うたんですけど…当たりが出てしもてどうしようかと思案してたんです」「当たったの!?ここの自販機滅多に当たりでないって皆言ってるんだよ~」「そうなんですか?あ、そうやわ。当たりの一本は霞はんにあげるさかいどれでも好きなん選んでおくれやす」「え?いいの?じゃあ杏ソーダで!」ピンクの缶に「ANZU!」と書かれている。緋川燿子はボタンを押して杏ソーダを取り出す。「はいどうぞ」「ありがとー!」早速缶を開けて杏ソーダを飲む霞。燿子も缶を開けて茶を飲み始める。「緋川さんてヴァルキリーのヨウコなんだよね?こんなところウロウロしてて大丈夫なの?」「あら、知ってはったん?まぁ言うてもまだマイナーなグループやし気づく人もほとんどいてはらへんのですよ」霞はオーディションの事を言うかどうか一瞬迷ったが言う事にした。「緋川さん、あたし明日ヴァルキリーの新メンバーのオーディション受けるんです!」「へぇーそうなんです?マネージャーはんが探してるって聞いてたけど霞はんも入ってたんやねぇ。オーディションにうちらは顔出さへんけど応援してますわ」「うん頑張る!」「霞はんは気づいてはるかどうかわからんけど…マネージャーはんは、ごく稀な例を除いてある種の者に声をかけてるんですけど」「え?どういう事??」霞の質問に燿子は少し笑って茶を口に運ぶ。「気づいてはらへんのやったらその方が変に意識せんでいいかもしれまへんねぇ。ほなうちはこれで失礼します」「あ、ジュースありがとうございました!」霞は残りの杏ソーダを飲み干し自販機横のゴミ箱に缶を突っ込んだ。霞は燿子の姿をしばらく眺めていた。できるだけ日陰を通りながら神月の家に着くと沙夜の母親が出迎えた。「沙夜ー、霞ちゃんが来たわよー」「はーい」「おはよー沙夜ちん!」「きょうも暑いねかすみん、ささ上がって上がって!」「お邪魔しまーす!」神月の家は白壁3階建てである。沙夜と霞は3階の部屋に上がっていく。「お兄ちゃんからビデオ借りてきたよ。たまたまヴァルキリーのライブ写ってる音楽番組録画してたからね」「え、すごい!ありがとう沙夜ちん!」20センチ四方の箱型の録画機をTVに接続する沙夜。音楽番組の映像が映し出される。早送りしてヴァルキリーの映像を探す。着物風の柄のワンピースを着た三人組が二人の目に飛び込む。テロップにヴァルキリーと映し出されている。「あ、ここだ!」「あ、緋川さん!」え?と、沙夜は霞の顔を見る。「緋川さん?」「うん、ヨウコの本名だよ。ついさっきそこで本物に会ったもん」「マジで!?かすみんすごいよ!いいなー!!」「最近うちの近所で見るよ?会ったの2回目だし」「そんな身近に!?かすみんて運も味方してんじゃない?」「えへへーそうかな~?」二人はヴァルキリーの映像を見始めた。ヨウコ、マイコ、モエの三人はぴったりと息の合った完成度の高いダンスを披露する。生半可なアイドルのダンスとは違う素人目にも高度なダンスだった。曲の間奏でそれぞれソロのダンスを順に披露する。ヨウコはダイナミックに力強いダンス。マイコはしなやかで軽やかなダンス。モエはやわらかなセクシーな動きのダンス。息一つ乱さずヴァルキリーは歌いながらダンスをして曲の最後に決めポーズ。観客席からは歓声が上がっていた。「か、かっこい…」「絶対人気出るよヴァルキリー!」「かすみんこんなすごい人と一緒にダンスしたり踊ったりするかもしれないんだよね…」「体力には自信あるけど…できるかなぁ~なんか想像できないよ」「新メンバーって二人募集だっけ?かすみんが受かったらもう一人誰かなるって事だね。どんな子かなぁ~…かすみんも鎌田くんの妹さんもうちのクラスの富永さんも健康的な子!って感じだしそう言うの求めてるのかもね」「沙夜ちんも健康的だしね。だからスカウトされたんだよ」「あはっ!でも私はソフト一筋だからね。やってなかったらかすみんと一緒に目指してたかもしれないけど」「沙夜ちん、もう一回見ようよ」「そだね!」ふたりは十回以上見て歌を歌ったり動きを真似しようと試みたりしてはしゃいで過ごした。その後ふたりはゲームを始めた。姫騎士が主人公でそれを取り囲む美形騎士たちと共に戦い恋愛に発展するといった内容のアドベンチャーゲームである。「うしししし…好感度ほぼ全員MAXだ!」「沙夜ちん!誰にするの?それとも全員攻略のハーレムルート行っちゃう!?」「いいねぇ~難易度は高いけど挑戦してみる価値はありそう。じゃあここでセーブしてもう一個データつくろ」「いけいけー!」気がつくと12時になっていた。「かすみん、お昼どうする?」「うちに食べに来る?それともどこか行く?」「そーだねー…私はラーメン食べたいかも」「じゃあ『天下無双』行く?」「天無いいね!決定!」二人は神月家から歩いて10分ほどの場所にあるラーメンチェーン店『天下無双』に向かう。この店のラーメンは学生は半額なのでちょくちょく行っている。霞はにんにく煮込み鳥ラーメン、沙夜はガリバタ醤油デラックスラーメンを注文した。「沙夜ちんちょっと頂戴」「かすみんのも」二人は取り皿に少しずつ分けてお互いのラーメンを渡す。「この濃厚な鳥スープもいいね!」「濃い味付けだけど後味すっきりなこっちのラーメンもいいね!」「ラーメン食べたらどうする?家に戻る?」「そーだねーあのゲームの続きも気になるし!」「あははは!」二人は神月家に戻り夕方までゲームをしたり喋ったりして過ごした。「そだかすみん、今日晩御飯うちで食べていきなよ。お父さんがいっぱい魚釣ってきたからね。本当は釣れなくて見栄で買ってきたんだろうけど…だってあんな大きな鯛とか何匹も釣れるわけないし!」「あははは!じゃあ家にご飯いらないって連絡するね」霞は神月家で夕食を食べることになった。豪華な刺身の盛り合わせと焼き物、吸い物を食べ終わり、沙夜の部屋でしゃべっていると霞の携帯が鳴った。「あ、ヤバイ!19時だ!!吉良から電話だ」『もしもし…霞お嬢様。門限はとっくに過ぎておりますがまだ神月様宅でしょうか?』「う、うん、沙夜ちんの家だよ。近いしもうすぐ帰るから」『迎えに行きましょうか?家の近く神社でのこともありましたし』日は既に沈んでいる。夜になれば霞の魔力も上がる。しかし夜になると出てくる輩もいる。「来なくていいよ、走って帰ったら5分くらいだし」『そうですか。ではお気を付けてお戻りください』霞は携帯の通話ボタンを押して終了させる。「沙夜ちん、そろそろ帰るね。遅くなると怒られるし…」「うん、気をつけてねかすみん!明日のオーディション頑張ってね!」霞は慌てて神月家を後にする。全力で夜道を走る。夜目が効き魔力が上がる吸血鬼の霞はいつもよりスピードを出し細い塀の上を駆け抜ける。そしてショートカットするべく路地を走る。『チッチ、チッチ…』雀の鳴き声がした。夜なのに何故?TVの音かなと霞は考えていると目の前に3mを超える大きな犬が現れた。「うわぁ!大きな犬!?なんで??」『チッチ、チチチチ…』再び雀の鳴き声が。霞の後ろにも大きな犬が現れる。完全に道を塞がれた。続く
Jul 12, 2013
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白峰霞:風神雷神では雷神の方が好み。VAMPIREEYE 第二十一話「兄妹と姉妹」「カスミインパクト!」霞の体が輝き轟音と共に拳から衝撃波が発生する。鎌田はまともにそれを受け鳥居に激突した。「ぐあっ…」「鎌田くん、もう止めようよ!」「くっそ…負けてたまるかよっ!」軽い脳震盪を起こした鎌田は膝が笑った状態で立ち上がる。「もう無理だよ…」「絶対に負けられないんだ!絶対に俺は勝たなきゃいけないんだよ!!」「兄ちゃん!!」鎌田の後ろで声がした。背は低いがガッチリとした体格の中学生男子だ。「有雄!!馬鹿出てくるなといっただろう!」「でも…絶対に負けられないんだろ?それなら手伝わせてくれよ!鎌鼬三兄妹はどんな時でも助け合う約束じゃないか!」「…そうだったな!」霞は呆然とその様子を見ている。「鎌鼬は連携が大事だろ?体制を崩して、切って、薬を塗る。兄ちゃんは斬り役だ、相手を崩すのは俺の役目だ!」「よし有雄…行くぞ!」「おう!」両肩から斧のような刃を出現させる鎌田次男の有雄。その後ろで長男永康が刃を構える。「えっと…」霞は頭をかきながら気が進まない様子で。「もうやめようよ?」「ふざけんな!お前をぶっ倒して乃梨子をオーディションに合格させる!」「ぶっ倒す!」次男有雄がコマのように回転を始める。そしてそのまま霞に襲い掛かる。「ぬおおおおおっ!2tトラックもひっくり返すこの俺の真空鎌鼬アタックを喰らえ!」「カスミインパクト!」「ぐああああっ!」吹き飛ばされたのは有雄の方だった。「有雄!お前の攻撃は無駄じゃないぞ!白峰の技は連発できねぇはずだ!」永康が空中から霞を襲う。「なんの!カスミサンダー!(弱)」「ぎゃあああああっ」霞のアホ毛から電撃がほとばしり永康に命中する。「あ…が…お前の能力は雷なのか…」煙を上げながら永康はうつ伏せに倒れた。鎌田永康の言うとおり霞の能力は雷である。カスミインパクトは体内で雷を発生させ衝撃波だけを相手にぶつける技である。その気になれば200万~10億V、1千~20万Aの電撃を相手に放つことができる。霞の性格上相手の命を奪いかねない技は使わないのである。カスミインパクトを直で拳から受けた場合、電撃と衝撃波両方のダメージが襲う。白峰家ボディガードの須原もカスミインパクト直は耐えることができない。カスミサンダー(弱)は軽い放電で、威力は少し強いスタンガンくらいである。最初に使わなかったのはかなりの痛みを相手に与えるからである。「このやろう!よくも兄ちゃんを!」「カスミサンダー!(弱)」「あぎゃあああっ」有雄にもサンダーを喰らわせる。「ふー…これでもう動けないよね?」霞は変身を解きカバンを拾いに行って携帯電話を取り出す。「もしもし?あたしだよ。うん、そうさっきの雷の音はあたし。うん、うん…大丈夫だよ。ところで吉良か須原どっちか来れる?鎌田くんたち痺れて動けないから」すぐに須原が車で駆けつけた。霞は二人を担いで後部座席に乗せる。「ちくしょう…ちくしょう…」「兄ちゃん、悔しいよ俺…」「あーもう、うるさいなー鎌田くん家はどこ?送るよ」「敵の世話なんかにならねえぞ!」座席に寝転んだまま強がる永康。「敵って…同じクラスのクラスメイトでしょ?いいから家教えてよ。じゃなきゃ生徒手帳勝手に見ちゃうよ?」「やめろ!俺のカバンを触るな!!」動けないまま叫ぶ永康。霞がため息を着くと運転席から須原が身を乗り出して鎌田のカバンを手に取った。「ひぃ!」「あひぃ!」須原の体の大きさ顔の怖さに悲鳴を上げる鎌田兄弟。須原は生徒手帳を取り出し霞に渡す。「えっとここの住所は…この道をまっすぐいって三つ目の交差点を左、そこから町内に入って「メゾンあびこ」を探せばいいと」「了解しました霞お嬢サマ」須原の顔を見てから急におとなしくなった鎌田兄弟。数分でメゾンあびこ前に到着した。「えっと105号室…鎌田、あったここだ。ピンポーン…と」レトロな雰囲気を持つメゾンあびこ。古いが朽ちているといった様子はない。霞は二人を家の前まで運んだあと須原を帰らせチャイムを押す。「はーい、どなた?」「あの、咏川中学3年の白峰といいます。鎌田くん達を送りに来ました」「へ?どういう事?」木造のドアが空いた。髪を後ろで縛った健康的な少女が出てきた。「永康兄ちゃん!有雄兄ちゃんまで!みんな砂だらけで…」「す、すまん乃梨子…」「すまん…」「こんにちは、初めまして。詳しい事情は中で…でいい?」「ど、どうぞ」中は部屋が二つあった。手前は台所とトイレと風呂、奥は畳が敷かれて大きめのテーブルが置かれているのが見えた。壁際に学習机が三つ並んでいる。霞は二人を畳の部屋に運ぶ。軽々と少年二人を運ぶ様子に鎌田乃梨子は驚いていた。「………という訳でね。ちょっと喧嘩しちゃったんだよ」霞は鎌田兄弟らが他の少女たちを襲う予定だったことは伏せて事の顛末を話した。「鎌田くんはアイドルにふさわしくないあたしにオーディション受けて欲しくないみたいだけど、あたしはアイドルになりたいしね」「ウソですね…白峰さん。うちの兄ちゃんはそんな事で喧嘩ふっかけたりしませんよ…ねえ兄ちゃん、本当のことを自分の口から言って!」「の、乃梨子…」痺れが大分取れてきた鎌田兄弟は体を起こした。そしてぼそぼそと乃梨子に説明しだした。それを聞いた乃梨子は怒り出した。「馬鹿な兄ちゃん!私が落ちると決め付けてるんだ!」「ち、ちがうんだ。少しでも敵は少ないほうがいいと思ってだな…」「そ、そうだ」しどろもどろで答える兄弟。「兄ちゃんらがそんな事をしなくても私は自分の力でアイドルになってみせるんだから!白峰さんにだって負けないんだから!」「そ、そうか…」「余計なことしないでよね!自分の力でならなきゃ意味ないって!」そう言うと乃梨子は霞を見据えて。「白峰さん、勝負よ!!兄ちゃんらの仇はオーディションで取らせてもらいます!」「望むところ!そういう勝負ならどんと来い!!」霞は笑顔で応えた。霞は夕食時に霄と吹雪に変身したことを突っ込まれたが適当にごまかした。「もー!吉良ってば一々お姉ちゃん達にそんな事言わなくていいのに!」「そんな事…ではないしょう。心配しているのです」メガネを上げながら吉良は淡々と言う。「吹雪お姉ちゃんには特に言わないでよね、教会に入ってそういうことに関してピリピリしてるんだから」「…鎌田家は教会に登録済みでご両親は碁盤の目町で働かれてますし吹雪お嬢様の出番はないかと思われますが?」「ややこしくなるからダメなの!行動的な吹雪お姉ちゃんに知られたら厄介なの!昔の事覚えてる?霄ちゃんとあたしがサイバネ者にいじめられて帰ってきた時の事。吹雪お姉ちゃん変身して仕返しに行こうとしたんだよ?ブレーキかけるの大変なんだから…」「そんな事もありましたね。滅多なことで怒ることはないのですが確かに怒らせて一番落ち着かせるのが難しいのは吹雪お嬢様ですね」「そうそう!クールに見えて実は激しいんだから!」霞は風呂に入ったあと23時頃に吹雪の部屋を訪ねた。「…どうしたの霞?」「吹雪お姉ちゃん、今日は一緒に寝ていい?」「……いいわ」吹雪は既に寝る準備をしていた。ベッドに潜り込む霞。「えへへ…昔はこうやってよく一緒に寝てたね」「そうね、そしていつも霞が先に寝るの」笑顔でそう言う吹雪。「吹雪お姉ちゃんすごく胸大きくなったよねー…一番お母さんに似てるから?」「どうかしら?霞もこれから大きくなるかもしれないわね」しばらくすると霞に眠気が襲ってきた。「(ううーん…吹雪ちゃん…大好き、無茶はしないでね。あたしは少し心配だよ…」心の中でそう呟いた。吹雪は霞の髪をなでて微笑んでいた。続く
Jul 10, 2013
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白峰霞:好きなお好み焼きの具はモチチーズ。VAMPIREEYE 第二十話「カマイタチ」センジョーでカラオケをした次の日、霞が学校に行くとアイドルスカウトの話でクラスはもちきりだった。「白峰の他に神月と鎌田の妹と富永もスカウトされたらしいぜ?」「神月さんは断ったんだって。鎌田さんの妹さんはずっとアイドルに憧れてたから鎌田くんすごい嬉しそう」「富永さんは歌うまいけどダンスは自信ないって。あの子歌手になりたいんだよね」霞と沙夜が席に着くとクラスの女子に囲まれた。「うわぁっみんなどうしたの?」質問攻めに合う霞と沙夜、噂の速さに驚いている。その様子を離れたところから横目で見ている男子が居た。名前は鎌田永康(かまだえいこう)短髪で日焼けしている。彼の妹も真柴樹里にスカウトされていた。質問攻めの騒ぎはクラスの担任が教室に入ってきた所で収まった。昼休みになるとクラスは京都ご当地アイドル『ヴァルキリー』の話題でもちきりになった。現メンバーは3人。リーダーのヨウコはダンスも歌も一番上手く、失われつつ京都弁で話す。マイコはしなやかな動きと艶のある声で魅了する。モエは柔らかい雰囲気と笑顔で癒し楽器が得意。雑誌に乗せられた小さな写真を女子数人で見ている。「あれ?このヨウコって人昨日会ったかも」霞はヨウコの写真を指差す。「え!?マジでかすみん!?」「うそぉ!」「いついつ?」「昨日の帰り路地でばったりね。神社を探してたみたい」霞は緋川燿子を思い出していた。緋川燿子=ヨウコという図を頭で描いていた。「いいないいなー!じゃあオーディション受かったらヨウコの横で歌うんだね。白峰霞改め『カスミン』として!」「いやいや沙夜ちん、そこは普通に『カスミ』でしょー」「でも結局かすみんて皆呼ぶよねきっと」うんうんと他の女子のうなずく。「で、オーディションいつだっけ?」「えっと…」名刺を鞄から取り出す霞。オーディションの日付は二日後の日曜日13時からであった。「明後日かぁ~今から練習してもダメだね。体調管理くらいだねー」「そーだね~」放課後、霞と沙夜はいつもの道を通りいつもの場所で別れた。霞はまた塀を乗り越えショートカットで家に向かう。神社の中を走っていると一人の少年が立ちふさがった。「止まれ!」鎌田永康であった。霞を睨みつけている。霞は砂煙をあげて止まる。「おっとっとー…鎌田くんここで何してるの?」「おい白峰!日曜日のオーディション受けるなよ!」「え?」「どうせなんとなくノリでやってみようとか思ったんだろ?それならやめろ!そんないい加減な気持ちでオーディション受けられたら迷惑なんだよ!」鎌田永康は大きな声で叫ぶ。神社には今霞と鎌田しかいない。「えっと…なんとなくじゃないかな。目的は一応あるんだよ」霞は笑いながら頬をかく。「なんだよお前のお前の目的って!俺の妹の乃梨子はなぁ、小さい時から夢見てたんだよ!うちはおまえの家なんかと違って貧乏で塾にもレッスンにもいけないんだ。だからかなわない夢だと諦めかけてたんだ!そこに昨日スカウト来てっ!こんなチャンス逃せるわけないって…乃梨子の邪魔をする奴は俺が許さねぇ!!」「邪魔って…別にあたしがオーディション受けたからって関係ないんじゃ?」「関係あんだよ!お前みたいないい加減なライバルは消しといたほうがいいんだよ!俺はあいつが受かるためならどんな手でも使うぞ!」「ちょっと落ち着いてよ鎌田くん!」「落ち着いてられっか!白峰、オーディションをやめなければ痛い目見るぞ!俺は女だからって容赦しないからな!」肩を揺さぶり益々興奮する鎌田、もはや爆発寸前である。それに対して霞は。「他の子にも暴力振るうの?そんなの駄目だよ!そんな事知ったら妹さん悲しむよ!」「うるせえ!受かって悲しむはずなんてねえ!このチャンスだけは逃せないんだ!」「あたしも目的があってオーディションを受けるんだけど別に今回が最後のチャンスだなんて思ってない。だから落ちたとしても簡単に諦めたりなんかしない。鎌田くんの家庭の事情は知らないけど他のスカウトされた子にまで危害を加えようとするならあたしだって黙ってないんだから!」霞は鎌田の目を見据え真っ直ぐに言い放つ。霞の気迫に一瞬押されたがすぐにまた険しい表情に戻る鎌田。「お、おまえの目的って何なんだよ!お金持ちのお嬢さんが何を望むってんだ!」「家族の為だよ!鎌田くんには言えないけどあたしの家は色んな事情があって結構大変なんだよ、だから表立って活躍して有名になって…有名にならなきゃできない事だってあるからあたしはオーディションを受けるんだよ!」「そんなのアイドルじゃなくてもいいだろ!」「そうかもしれない、でもチャンスがあるなら挑戦したい!歌だってダンスだって好きだから!」「駄目だ駄目だ!受かるのは俺の妹だけでいい!どうしても受けるってんならぶちのめしてやる!」鎌田は突進する。右手を振り上げ霞に殴りかかる。「うおおおおおおっ!」「はっ!」鎌田の拳を霞は手のひらで受け止めた。驚く鎌田。慌てて手を振りほどく。「へへ…へへへへ…そうだよな!白峰家だもんな!遠慮なんかしてられねーよな!!」「え!?」鎌田の体がどす黒く変色していく。髪が逆立つ。霞は鎌田から魔力を感じていた。「吸血鬼だもんな?ズタズタにしても死なないよな?」そう言うと鎌田は両手を上げ×の字に振り下ろした。凄まじい風が巻き起こり霞に襲い掛かる。「むっ!?これは…」とっさにガードした霞の腕に血が滲む。鋭い刃物で皮膚を裂かれたような傷ができていた。「さぁ次々行くぜー!オーディション受けないってならやめてやるがな!」「鎌鼬!?」「そうだ!鎌鼬が吸血鬼に勝てないとでもおもってんのかー?泣かしてやるぜ!!」素早く腕を左右から振る鎌田。真空波が連続で霞に襲い掛かる。「はあっ!」霞は大きくジャンプして回避する。「フンフンフンフン!」「はぁっ!はぁっ!はぁあああっ!」鎌田の連続攻撃を回避する霞。埒があかないと思った鎌田は接近する。腕から肘にかけて鋭い刃が飛び出す。「フウウウン!」霞の体を切断する勢いで振るわれる刃。しゃがんで避ける霞。後ろの木が真っ二つになり倒壊する。「ぶった切っても死なないよな?」「流石にやばいかも」「じゃあ手足だけにしといてやるよ!」連続攻撃を仕掛ける鎌田、回避し続ける霞。完全に回避することはできず徐々に切り裂かれていく。「はぁはぁはぁはぁ…どうだ!降参しろ白峰!!」「降参しないよ、だって鎌田くんこの後他の子にもオーディションやめさせようとするんでしょ?」「そうだ!」「じゃああたしが逆に鎌田くんを降参させる!そんな事させてたまるか!」霞は連続バック転で距離を取り最後に大きく飛び上がり塀の上に立つ。「あんまり力使いたくないんだけど…へん~しん!」両手を右側から頭の上を通り左側持っていき拳を握り締める霞。「とうっ!」大きくジャンプして空中回転。静かに着地する。霞の髪は緑がかった銀髪に変化、目は真紅に輝いていた。「それがお前の真の姿だな白峰!」「行くよ鎌田くん!」霞は吹雪のように血を飲まなくても吸血鬼の力を使える。だが毎日のように血を飲んでいる霄のように長い時間は使えない。せいぜい3分ほどである。普段から血を飲んでいない為持続時間が短いのだ。だが二人に比べて基礎魔力の量は大きかった。霞は魔力の開放だけで吸血鬼の力を使うことができる。これは純粋な吸血鬼と同じである。「真空鎌鼬ブレード!」鎌田は腕の刃を大きく振って巨大な真空波を発生させた。「なんの!」霞が手をかざすと地面から黒い砂が盛り上がり防波堤のように真空波を受け止めた。「ちぃ!」それを見た鎌田は再び間合いを詰め接近戦を仕掛ける。「うおおおおっ!」鎌田の攻撃を難なく避ける霞。連続攻撃をすべてギリギリで回避する。「たぁ!」刃の動きを見切りカウンターで胸を打つ霞。拳がめり込む。「がはっ!」よろめいて下がる鎌田。怒りに燃え今度は両手両足に刃を出現させて飛びかかる。「でやあっ!」霞は鎌田に向けて拳を突き出す。すると一瞬周囲が輝き大きな破裂音が響いた。何か巨大なものが激突したかのように鎌田の体は5mほど後方に吹き飛ばされた。「な、なにぃ!?」鼻血を出しながらすぐに立ち上がる鎌田。「今のはカスミインパクト弱だよ」「何が弱だ!なめんな!!」「だって強でやるときっと鎌田くん無事で済まないよ」霞はそう言うと拳を上げた後、地面に叩きつけた。先程よりも巨大な光が辺りを包み込み凄まじい轟音が響き渡った。地面が揺れ砂が舞い、またも鎌田は地面を転がった。「ほら、強はこんなだよ?」霞の下の地面はえぐり取られ1.5mほどの深さのクレーターになっていた。「ふ、ふん!そんなものなんだってんだ!俺の刃の方が強いに決まってる!!」鎌田は霞に向けて突進する。「うおおおおおっ!俺は負けねー!妹の為に!!」「間違ってるんだって鎌田くん!このわからず屋、カスミインパクト!!」続く
Jul 9, 2013
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白峰霞:エビフライは尻尾まで食べる。神月沙夜:エビフライはソースで食べる。VAMPIREEYE 第十九話 「白峰 霞2」全力疾走で家に向かう霞。ショートカットで塀を飛び越え公園の金網を乗り越え神社の中を通り抜けていく。細い路地を抜けて左に曲がれば白峰の屋敷が見える。「うりゃあああああっ!」路地を出る寸前で霞は目の前に人影を見た。「うわわわわっ!」咄嗟にジャンプして現れた人影を飛び越える。勢いがつきすぎて霞は地面に転がった。「いたたたた…ぶつからなくて良かった~」顔を上げると目の前には金髪の髪を後ろで縛った紫のワンピースを着た女性が立っていた。「おやおや、大丈夫です?えらい急いではったみたいやけど…?」ゆっくりと落ち着いた口調で金髪女性は喋った。「あ、大丈夫です!ってその喋り方珍しっ!昔の言葉じゃん」「最近はみんな一緒の話し方ですなぁ…さみしいことやと思いません?」「は、はぁ…」立ち上がって砂を払った霞は改めて金髪女性を見つめる。金髪に緑色の瞳。長い手足に色の白い肌。この辺りでは見かけない人物だった。「うちの名前は緋川燿子といいます。どうぞよろしゅう」ゆっくりとおじぎする緋川燿子。霞もつられておじぎをする。続けて緋川燿子は霞に質問した。「こん辺にお稲荷はんあるはずなんですけど…知りまへんやろか?」「え?お稲荷さん?この路地をまっすぐ行くと神社が見えます、そこがお稲荷さんです」伏見稲荷に行かないのかな?と霞は思いつつ答えた。緋川燿子はまたゆっくりとお辞儀をした。「どうもおおきに」「じゃ、あたし急ぎますんで!失礼しまーす!」矢のような勢いて走りさる霞、残された燿子はその様子を眺めていた。「あれが白峰の子ですか…流石雪名はんの子ですなぁ」「ただいまー!」家に着いた霞は靴下を脱いで廊下を走りながら制服のシャツを脱ぎ、洗濯場に着くと同時にカゴに投げ込む。そのまま自分の部屋に飛び込みスカートを脱いで吊ったあとタンスの中をひっくり返し始めた。あれでもないこれでもないと次々と取り出しあっという間に部屋は服でいっぱいになった。「あれー?洗濯に出したんだっけあのワンピース…お気に入りの白いワンピース…」霞は部屋を飛び出して吉良を探しにいく。台所に吉良は居た。「ねぇ吉良、あたしの白いワンピースどこいったか知らない?」「おかえりなさいませ霞お嬢様…その格好でうろつかれるのはどうかと」下着姿の霞を見て吉良は小さなため息をついて言った。「ちょっと今急いでるからね。白いワンピースは知らないの?」「先々週に裾が破れたからと言われましたから、仕立て屋に持っていきました。霞お嬢様はそのついでに袖と襟の改修を頼まれました。まだ仕上がりの確認はしていません」「えええええ!?そうだった?…そうだったね~じゃあ別の着てくよ…」「お出かけになるのですか?」「うん、沙夜ちんとセンジョーに行ってくる。19時までには帰るよ」「霞お嬢様の門限は18時ですが」時計に視線をやる吉良。「いいじゃんちょっとだけ!だって今から準備してセンジョーに入るのは16時半くらいでしょ?そこから二時間は歌いたいじゃん?そしたら19時くらいになるわけよ」小さなため息をつき首を振る吉良。右手でメガネのズレを直す。「駄目なものは駄目です。霄お嬢様も吹雪お嬢様も中学生の頃は守っておられましたよ。霞お嬢様だけ特別扱いはできません」「いいじゃんケチー!」頬を膨らます霞。その表情を見てやれやれといった表情で肩をすくめる。「どうしてもと言うのなら須原を迎えにやらせます。沙夜様も送らせていただきますよ」「じゃあ二時間歌っていいの?やったー!」「まぁセンジョーなら中は安全ですしね。では18時半にセンジョーの前に車で須原を迎えにやらせます」「ありがとう吉良!」霞は飛ぶように自分の部屋に戻って再び服を選び出した。―16時すぎ駅前噴水広場Tシャツにジーンズ姿の神月沙夜は一人で待っていた。携帯電話を見て時間を確認する。16時8分だった。「おおーい!沙夜ちーん!」遠くから声がした。手を振りながら霞が走ってくる。白いポロシャツにネイビーのショートパンツ姿であった。「遅いよかすみん!もうすぐ電車来ちゃうよ!」「ごめんごめん!」霞と沙夜は電車に乗り込む。通勤ラッシュ前でまだ混んではおらず、買い物帰りの主婦と高齢者がちらほら乗っているだけだった。二人は扉の横に立ち携帯電話を取り出した。「沙夜ちん、『教頭物語』の主題歌OPもEDも覚えてきたよ。だからあたしが歌うね」霞はドラマの主題歌を歌っているアーティストの曲をDLしていた。『教頭物語』とは美形俳優が演じる学園ドラマ。無理難題を押し付けてくる校長と問題ばかり起こす教員の間でドタバタしながらも痛快な解決方法で視聴後の気持ちよさから人気を呼んでいる番組である。金曜日の20時から放送されている。主題歌は美形俳優の同級生である『ブルーアルコール』が担当している。「取られたか!じゃあ私は『チョコチョコガールズ』のダンス覚えたから披露しちゃおっかな~」『チョコチョコガールズ』とは小学生から高校生までの女性で構成されたダンスユニットで小中高生に人気がある。バラエティやクイズ番組には出ず、音楽番組や教育番組、ライブ、CMなどが活動の中心である。「マジで!?沙夜ちんすごいね~」お互い携帯電話にDLしたデータを見せ合い話してるうちに目的の駅に着いた。ここからセンジョーまでは遠くない。通りを歩いてトンネルを抜けたらすぐに見えてくる。京都最大の娯楽施設でありセキュリティも最高レベルのセンジョー。霞と沙夜はセンジョーの入口でカードを取り出しゲートを通過する。チャージしておいたポイントがあるのでそのままカラオケの受付を済ませる。エレベーターの前で待ってると後ろで声がした。「あはははっ!なぁに今の?あんな踊り方する子初めて見たわ。タコみたい」「タ、タコ!?そんなフニャフニャじゃないってば!」「じゃあゴリラ?あなた無駄に大きいから」「ひ、ヒドイ!ネズミなのに…」二人が振り返るとスレンダーな長髪の女性と大柄な茶髪の女性がダンスゲームの前に居た。「高校生かな?あたしのお姉ちゃんと同じくらいかな?」「すっごい仲良さそうだね~」エレベーターに乗り7階に向かう。受付で渡されたカードの番号は701号。二人は扉をゆっくりと開ける。「わぁ~この部屋は初めてだ~」「キレーイ!」正面に一段高くしたステージ、ホログラムで作られた景色。二人はカバンを置いてステージ立ってみる。「あ、すごい!こっちから見たら違うホログラムで何万人ものお客さんが見える!」「うわぁ~本物のステージに上がったみたいだね!」「これは気分が盛り上げるね!」「だね!」二人は早速目当ての曲を入れ熱唱。新曲披露のあとは得意の曲を歌い最後は定番の盛り上がる曲で締めた。時間は18時30分になっていた。「あっという間だったね沙夜ちん!」「やっぱりかすみんとカラオケ行くとスッキリする!めっちゃ楽しい!!」エレベーターを降りカードを機械に入れゲートを通り抜ける。店を出たところにピカピカに磨き上げた黒い車が止まっていた。「あ、須原もう来てる」「あ、どうも須原さん!」「霞お嬢サマ、沙夜サマどうぞお乗りくだサイ」窓が降りて須原の顔が見えた。黒い車にスキンヘッドの大柄な男性が乗っている姿は目立っていた。「なんであたしんちの車ってこんなのしかないのかな…」霞と沙夜は素早く乗り込む。「この車は特別仕様で防弾防炎坊魔仕様、ありとあらゆる事態に備えて装備が充実してイマス」須原は車を発進させ淡々と答える。「そういうことじゃなくてー…可愛くないなーって」「乗り心地は最高だよね、かすみんちの車。うちはトラックだからなー…」「そういや沙夜ちんのところのトラックて教頭物語の車に似てるよね」「同じらしいよ?色は違うけどね~」「いいなぁ、あたしんちの車って悪者が乗ってそうなんだもの…」「そんなことないよ。大統領とかも乗ってるって!うちのトラック教頭物語といっしょだけどお父さんあのドラマの教頭みたいに若くないしイケメンでもないもの」「けど須原があのトラック乗ってたら余計怪しいよね。まるで未来から来た殺人ロボットが主人公を追いかけてるみたいじゃない?」「ぶっ!」「あはははははっ」笑いをこらえる沙夜、霞は大笑いしている。「私は殺人ロボットではありませんガ…」「知ってるって、ごめんごめん。顔が怖いから須原は」「怖いですカ…」「迫力がある!かっこいいよ、欠点じゃないよ」「そうですカ」車は法定速度で走り18時45分に沙夜の家に到着した。「じゃあまた明日ねかすみん!」「また明日ね沙夜ちん!」沙夜が家に入るのを確認して車はゆっくりとUターン。白峰家に向かって走り出す。日は沈みかけていた。しばらく黙っていた霞が信号待ちで口を開いた。「ねぇ須原、霄ちゃんの様子どう?」「どうとは?いつもどおりデスガ?」「疲れてるんじゃないかって。霄ちゃん長女だからあたしや吹雪おねえちゃんの見本にならなきゃっていっつも頑張ってるじゃない。繊細で傷つきやすいのに無理してないかな…」霞の言葉を聞いて少し考えた後、須原は話しだした。「…最近少し伸び悩んでおられます。吹雪お嬢様が教会に入った事もショックだったようで稽古の時も乱れがあります」「そっか~…おねえちゃんもおねえちゃんで上手く自分の気持伝えれないから霄ちゃんとギクシャクしてるしね。は~あ~昔はみんな仲良くしてたのに~」「………」白峰家に到着したのは19時丁度であった。霞は手を洗ってキッチンに向かう。既に霄と吹雪の姿はなく吉良がいるだけであった。「お帰りなさいませ霞お嬢様。すぐに食事の用意をします」「ただいまー!金目鯛美味しそう!」霞は夕食を食べたあと霄の部屋に向かった。「霄ちゃん入っていい?」「霞か、用はなんだ?課題をやってるのだが」扉を開けて中に入る霞、霄は机に向かっていた。「今日一緒に寝ていい?」「なんだいきなり。子供じゃあるまいし…」少し笑って霄は言った。「いいじゃん昔は良く一緒に寝たでしょ?」「昔はな。吹雪とは寝ないのか?」「それは明日、今日は霄ちゃんと寝たいの」「そうか、では23時頃に寝るからそのくらいに来い」「うん!」23時過ぎ、霄と霞はベッドに入っていた。「何か恥ずかしいな、久しぶりだと」「そう?でも確かに久しぶりだね~」しばらくすると霄は寝息を立てだした。「(霄ちゃん、辛い事があったら言ってね。頼りない妹かもしれないけど)」「うう~ん…」「(霄ちゃん大好き。吹雪おねえちゃんも大好き。おやすみなさい)」
Jul 8, 2013
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白峰霞:元気いっぱい。食べること大好き神月沙夜:元気いっぱい。ソフトボール部VAMPIREEYE 第十八話「白峰 霞」シャワーを全開にして頭から勢いよく水をかぶる霄。悔しさと怒りと恐怖で涙が止まらなかった。「私は…弱い…」うつむいて水が落ちるのを見つめる。「駒村も…山根も…蓮也さんも私が強ければあんなことにはならなかった…」歯を食いしばる霄。「もっと、もっと力が欲しい。お母さんのような絶対的な力が!」シャワーを浴びたあと霄は吉良の部屋に向かった。三回ノックすると返事が聞こえた。「はい、霄お嬢様。何か御用でしょうか?」ワーウルフの吉良は鼻と耳が聞くため扉越しでも霄だと分かった。「お母さんに会いたいのだが」「ご当主様…雪名(せつな)様にお会いしたいと?」静かに扉を引いて開ける吉良。「…理由を聞かせてもらえますか?教会の連中を納得させるための理由を考えなければなりませんので」「黒谷の事についてと…吸血鬼の力の事について聞きたい、強くなりたいのだ」「なるほど…丁度吹雪お嬢様も雪名様にお会いしたいと」「吹雪も?」「はい、蓮也様を元に戻す方法を知りたいとか」それを聞いて霄ははっとした。「私は自分の事ばっかり…吹雪は私を責めに来ないで蓮也さんの事を考えてるのに…」「霄お嬢様どうかご自分を責めないで下さい。誰も死ななかったのは霄お嬢様のおかげなのですから。吹雪お嬢様にも事情は話しています。霞お嬢様にもついでに」「霞にも?」「はい、霞お嬢様はお二人の事をいつも気になさってますから」「そうか…私はあの子にも心配をかけているのだな」「愛されているのですよ。さ、雪名様に会いにいく準備をしましょう。久しぶりにお嬢様たち全員が会いにこられるので雪名様もさぞ喜ばれるでしょう」30分後―白峰家の地下にあるエレベーターの前に霄、吹雪、霞、吉良の四人は集合していた。白峰家当主、白峰雪名に会うためには家族といえど『保護』している教会の許可がいるのだ。雪名は地下集百メートルに作られた京都の街「碁盤の目町」にいる。核爆弾の直撃にも耐え、24もの強力な結界を張ったこの街は教会の関係者や登録、『保護』された闇の住人、特殊な技能、能力を持った人間が住んでいる。表向きにはまだ開発中の都市という事になっており一般人は立ち入ることができない。「碁盤の目町」に入るための手段は特殊であるトンネルの隠し通路から車で入る方法、ある駅の階段を下りていく方法、役所のエレベーターを使う方法があるがいずれもID登録されてない者は入れない。吹雪の刀を作った田口堂の主人も「碁盤の目町」の住所登録をしている。「霄ちゃん、お姉ちゃん…あたし頑張るからっ!」胸の前で拳を握る三女の霞。目には強い意思が感じれた。「は?」「どうしたの?」不思議そうに見つめる霄と吹雪。「あたしアイドルになるっ!」突然の宣言に固まる霄と吹雪。「意味が解らない…」「どういうことなの?」「えっとね~…」霞はここ数日の事を話し始めた。奥寺舞子がメール事件を起こす前、山根妃羅莉が学校に復帰するより前の出来事。霞はいつものように一番遅く起きて寝ぼけながら一番遅い朝食をとっていた。既に霄と吹雪の姿は無い。「霞お嬢様、急ぎませんとそろそろ沙夜様がお迎えに…」吉良は霞の前に茶を置いてそう言った。「うわっもうこんな時間!」納豆を混ぜる手を止め一気にかき込む。続けて茶を一気飲みする。「あちちちちちー!」前の日に茶は熱いのがいいと自分で言ったのを忘れていた霞。「ねぇ吉良、今日の晩御飯なに?」「金目鯛の煮付けにしようかと」「そっか~今日は霄ちゃん好みのメニューだね。じゃあ明日は?」「エビフライにしようかと。霞お嬢様好みですね」「えへへー、じゃあいってきまーす!」霞が廊下を走って玄関に向かうとチャイムの音が聞こえた。「かすみーん!」声がした。木城二郎の従姉妹である神月沙夜だ。咏川中学の3年生である。「はいはいはいー!」玄関の引き戸を開ける霞。「おっはよー!沙夜ちん!」「おはよーかすみん!ほっぺたにご飯ついてるよ?」「あ、ホントだ」玄関を出て屋敷の門をくぐる二人。そこには大きなスキンヘッドの男、須原が掃除をしていた。「いってきまーす!」「いってらっしゃいマセ」霞と沙夜は住宅街をいつものコースを通って学校に向かう。「ねぇ、かすみん。受験する学校どっちか決めたの?進路のプリント提出今日でしょ?」「そうだった!」「忘れてたの!?」「んーどっちか決めてないんだよね。明命館か洛庵か…制服がいいのは洛庵だけど明命館のほうが近いし…沙夜ちんは?」「私は明命館かな。ソフトボール部に入るから」「世界目指すんだよね!沙夜ちん」「うん!」「やっぱりあたしも明命館にしよ。吹雪おねえちゃんも明命館に転校するし」「そうなの!?星香女子ってお嬢様高校で羨ましかったのに~」「色々なんかあるみたい。まーあたしは星香女子なんて無理だけどね~」「言えてる!かすみんはお嬢様じゃないからね~あははっ」「えー?どう言う意味よ沙夜ちん」「顔にご飯粒つけてたり寝癖のまま学校に行くお嬢様なんていないって!」「う…ま、まぁ堅苦しいお嬢様学校はあたしには合わないよ。お姉ちゃんは似合ってたな~。霄ちゃんは洛庵と星香女子で迷ってて結局洛庵にしたんだけど」「吹雪さんお嬢様って感じあるよね。霄さんも星香女子でいけそう~」「お姉ちゃんは綺麗だし霄ちゃんは可愛いからね~」「かすみんもちゃんとしてれば二人に負けてないと思うけどね」二人は始業開始10分前に教室に着いた。放課後―霞と沙夜は一緒に下校していた。大通りに出たところで黒いリムジンを目にした。「うわぁあれ見てかすみん!いかにも大物がのってるって感じだよね」「すっごい目立ってるね~誰が載ってるんだろう」二人が見ているとリムジンの後部座席のドアが開いた。ボブカットの長身のスーツを着た女性が出てきた。「背高っ!」「すっごいスタイル!…ん?」霞はスーツの女性に微かに魔力を感じた。「どーも、初めまして。私は真柴樹里です。芸能プロダクションのマネージャーをしています」真柴樹里と名乗る女性は名刺を差し出した。「はぁどうも、私は神月沙夜です」「どーも~白峰霞ですー」「突然ですがあなたたちをスカウトに来ました。アイドルグループ『ヴァルキリー』の新メンバーを探していましてめぼしい者に声をかけて回っているのです。来週オーディションがありますので名刺の裏の住所に来て欲しいのです」突然の出来事に呆ける二人。「え?ええ!?ヴァルキリーってあの京都発のアイドルグループの?」「沙夜ちん知ってるの?」「ほら、この前クラスの子が話してたじゃない。カラオケに曲入らないかなーって」「ああ~…なんとなく覚えてる」小さく咳払いをする真柴樹里。「おほん…来ていただけますね?」「いやぁ…私アイドルにはなれません…ソフトボールに専念したいし」「そうですか。ではそちらのあなたは?」「う~ん……やってみようかな~」「ではお待ちしております」一礼して真柴樹里はリムジンに乗り込み去っていった。「かすみんがアイドルね~…ダンスも歌もやったことないんじゃないの?」「無いけどゲーセンのダンスゲーム最高難易度クリアもできるしカラオケで90点以上も取れるからなんとかなるって!オーディションとかわくわくするするじゃん?」「かすみんのその自信はどこから出てくるのやら!でもまぁ確かにアイドルとか一度は憧れるよね」「燃えてきた!あたしやるっ!」手を突き上げる霞。「かすみん、こんな大通りで大きな声出さない!恥ずかしいから!」「ごめんごめん~。ねぇ沙夜ちん、着替えたらカラオケ行かない?」「いいけど?早速オーディションの練習ってわけ?」「えへへ~。場所はセンジョーでいいかな?」「いいよ、あそこキレイだし変な客いないしね」「じゃあ…今15時だから16時に駅前の噴水で待ち合わせね」「オッケー!じゃあまた後でね」続く
Jul 7, 2013
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