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白峰霄:外食はほとんどしない。山根妃羅莉:外食しまくり。ファストフード大好き。VAMPIREEYE 第十三話「白峰家」「ああん?なんだ??…えらいロリな洛庵のお嬢ちゃんだなぁ」ユウヤは女生徒をつかみながら霄を睨みつける。「おいヤス!転んでねぇでこのロリっ子の相手をしてやれ」「いつつつ…よろこんでー!俺はロリロリな子大好物なんすよー!!」「下衆がっ!」立ち上がったヤスのみぞおちに霄の足がめり込んだ。高速のソバットに反応する事はヤスには出来なかった。「おごごご…」倒れこむヤス。その様子を見たユウヤの顔色が変わった。「ちっ…」「さぁ、その子を離せ!」「情けねぇなぁヤス…こんなロリっ子の蹴り一発でよ。オイ嬢ちゃん、俺にはそんな蹴りは通じないぜ?今までもこういう事が何度かあったもんよ。調子に乗ったちょっと腕の立つ女が俺らに立ち向かってきて返り討ちに合うんだ。たっぷりと可愛がってやったぜ?悔しそうな顔をしながら悲鳴を上げる様はたまんなかったぜ」ガニ股で腰を前後に揺さぶるユウヤ。「黙れ、それ以上下衆な言葉を口にするな」股間を蹴り上げる霄。だがユウヤの顔は薄笑いを浮かべている。「かかったなボケ!俺の下半身はサイバネ手術で合金製になってんだよ!ダメージを受けたのお前よ!!自慢のマグナムは収納式!腰のグラインドは1秒間に16回の動作が可能!!さぁゴートゥヘブン!!」金属の下半身を蹴り上げてしまった霄。足にダメージを受けたと思われたが…「黙れと言ったはずだ!」霄の目が一瞬赤く輝いた。金属を蹴り上げた事など無かったかのようにユウヤの腕を掴む。指が肉に食い込むほど握り締める。「あぎゃああああっ!お前足は無事なのかよっ!」女生徒を離すユウヤ、霄はユウヤの腕をそのまま捻り上げる。「ちちちちち千切れるうううう…」「さぁ、今のうちに逃げるんだ」「あ…はい!」女生徒が逃げたのを確認して霄はユウヤを投げ倒した。「ぐぇっ」「まだやるか?」「舐めやがってええー!俺のアルティメットサイバネアーツを喰らえ!」跳ね起きてジャンプをするユウヤ、2m程の高さに達する。そこから踵落としを繰り出してきた。「オーリャー!」軽く回避する霄、ユウヤは連続で蹴りを放ってくる。「どうした!当たらないぞ?」「うるせえええええ!これでどうだー!!」勢いをつけて胴回し回転蹴りを放つユウヤ、だが渾身の一撃は霄には命中せず愛車のボンネットに命中した。「うわあああああああっ!!俺の車がああああっ!!」黒光りの鏡面仕上げのボンネットは見るも無残な形に凹んでいた。塗装は剥げ、曲がったボンネットの隙間からエンジン部が見える。膝を落とし崩れるユウヤ。「それに乗って早く去れ!」「チクショウ…チクショウ…!ヤス!いつまで寝てやがんだ!行くぞ!!」「おげぇ…腹いてぇよ兄貴~」慌てて車に乗り込むユウヤとヤス。「ペッ!覚えてやがれロリっ子!!」ユウヤは中指を立てながら唾を吐く。避ける霄。違法改造電動車は不快なモーター音を響かせて走り去っていった。「いや~やるねぇ霄!あたし驚いたよ!!」妃羅莉は目を輝かせて傍に寄る。「力の加減が上手だね!あたしだったらあの腕ネジ切ってるね~」妃羅莉は二つに髪をくくってある、いわゆるツインテールを弄びながら言う。「そんな事をしてみろ教会に目をつけられるぞ?」「それはヤバイ!」「やりすぎは良くない。あまり相手を追い込むと何をするか解らない」「んーなるほど!殺すのならいいけど生かしておくならあまり追い詰めないのがいいもんね!ほら【窮鼠猫を噛む】ってコトワザもあるしね」嬉しそうに噛むゼスチャーをする妃羅莉。「そうだな」「あたしさぁ~猫って苦手なんだよねーネズミの方が好き。霄は猫かネズミどっち派?」「…猫と鼠どっちかというのなら猫だ」「えええええ~…ガッカリ…有名なネズミー王国もネズミが主役なのにぃ」「あれはキャラクターとしての鼠だろう?あれは私も好きだよ」「でしょう?いいよね!」他愛もない話をしながら交差点を渡り坂を降りて駅前の交番に入る。千円札を届けて霄は駅のある西に向かって歩く。妃羅莉は立ち止まっている。「あたしの家は反対方向なんだー、ここでお別れだね」「そうか、それではまた明日」妃羅莉はしばらく手を振っていた。霄は振り返らずに駅へと向かった。5分ほどホームて待っているとで電車が到着した。降りる客はまばらである。霄は乗り込んで一番前の車両の運転手のすぐ後ろの席に向かった。そこが彼女のお気に入りの席であった。今日もあいていた。霄は腰を下ろすと携帯を取り出し電子書籍を読み始めた。中学生の頃までは紙媒体の本を読んでいたが、管理に困るため高校生になって電子書籍に切り替えた。電車での読者は習慣になっていた。「んー…」本に集中できなかった。先程出会った無法者ユウヤに言われた言葉が頭に残っていた。『こんなロリっ子』「く……」霄は自分が童顔であることも小柄なのも解っていた。洛庵に入学した当初は良くその事でからかわれた。中学1年の頃はまだ妹達と比べて背は高かったし顔や体格のことを気にすることはなかった。それから2年、妹の吹雪はあっという間に霄を追い抜き、胸は大きくなり顔立ちはグッと大人っぽくなった。霄も成長したが数年ぶりにあった人物に『随分変わったね』と言われるほどの変化はなかった。「(早く家に帰ってストレス解消したい…)」駅から歩いて10分ほどの所、下鴨神社の近くに白峰家はある。白壁の塀で囲まれた日本式の屋敷である。見た目は旧時代的だがセキュリティは最新の物が取り入れられている。霄が正面の門の前まで行くと声がした。『お帰りなさいませ霄お嬢様』「ただいま…」門を通り石畳の上を歩いて玄関へ、そこで出迎えていたのは長身の髪を後ろになでつけたメガネの青年だった。彼は白峰家の世話係『吉良伝左衛門』ワーウルフである。「どうされましたか?顔色が優れませんが」「吉良…直ぐに飲みたい」「かしこまりました」スーツの上着を脱いでネクタイを緩め膝をつく吉良伝左衛門。霄は彼の肩に手をかけて首筋に口を持っていく。霄の犬歯が吉良伝左衛門に食い込む。「んん~…」みるみるうちに霄の髪が銀色に変わっていく。目が真紅に変わる。「ふー…済んだよ」「はい」霄が血を欲する時は吉良が与えていた。外で人間の血を吸おうものなら教会が黙っていない。身内の者の血を吸うことは認められていた。「吉良、須原を庭に呼んでおいてくれ」「かしこまりました」伸びをする霄、暗い表情は消え自身に満ち溢れている。霄にとって素の姿とは吸血鬼の状態である。自室にカバンを置くと着替える時間のも惜しいと言わんばかりに制服姿そのまま庭へ向かった。「おかえりなさいデス、霄お嬢様」スキンヘッドで巨躯の男がスーツ姿で庭に立っていた。彼の名は須原登流。人造人間(ホムンクルス)である。「行くぞ須原!」「いつでもドウゾ」庭に降りる霄、靴下のまま砂の上を走り須原に飛びかかる。「いやあーっ!」飛び三段蹴りを放つ霄、須原は両腕でガードする。着地したと同時に須原の丸太のようなローキックが霄に襲いかかる。並みの人間なら粉砕骨折をするローキックを片足を上げて躱す。霄は右手で熊手の型をとり須原の腹を打つ。「グッ」掴みかかる須原、霄は両手を須原の腕にかけ飛び膝蹴りを顎に叩き込む。そしてそのまま体を一回転させて頭上に飛び上がる。「やぁ!」須原の後頭部に後ろ蹴りを入れる。顎と後頭部に強烈な連続攻撃を受けた須原は首を振って霄に向きなおす。吸血鬼状態の霄のスパーリングの相手は須原にしか務まらない。少し前までは吉良伝左衛門も相手をしていたがあまりの苛烈さに辞退をする事が多くなりやがて完全にしなくなった。「ふーっ…」「今日は一段と激しいデスネ」「すまない、今日はあまり手加減できそうにない」「大丈夫デス」スパーリングは30分ほど続き、最後に須原の大砲のようなパンチで霄がふっとび灯篭が崩れた所で終了した。「はぁはぁはぁ…スタミナはまだお前の方が上だな」「スピードはもう霄お嬢様の方が遥に上デス。ボディガードをしていた頃が懐かしいデス」中学2年生頃までは須原が霄のボディガードをしていた。スパーリングで霄が須原とやりあえるようになってからは必要ないと言う事で一人で出かけるようになったのだ。「なぁ須原…私は子供っぽいか?」倒れた灯篭を立てながら霄が聞く。「?」「自分でも解っている、年齢相応の見た目ではないという事は…吹雪と違って私はほとんど成長していないのではないか?」「霄お嬢様と吹雪お嬢様とでは成長の仕方が違いマス」「……」「霄お嬢様は吸血鬼としての成長が吹雪お嬢様より早い、吹雪お嬢様はその逆なだけかと」「…確かにあいつは自力で吸血鬼の力を開放することもできないし魔力の量も少ない。お前とスパーリングをしても10分と持たないだろう」「ワタシは剣術では吹雪お嬢様にまるで敵いまセン」「あいつの剣はお父様が教えたものだからな。私は剣術は必要としてないし習わなかった。霞は武道が嫌いで今も何もしようとしていないな」「霞お嬢様は迷っておられるようデス」霞とは白峰家の三女。咏川中学校の3年生で今年受験である。「洛庵か星香でか?」「イイエ、霄お嬢様のように堂々と吸血鬼として生きていくのか、吹雪お嬢様のように人間として生きていくのかをデス」「そうか…私は白峰家の長女として家を継ぐことになるだろう。だから吸血鬼として胸を張って生きていくのだ。お母様の為にも。吹雪は人間であるお父様の為に人間として生きるのと決めていると聞いた。だから教会に入り人間側であることを強く周りにアピールしたのだ。霞はどちらにつくか迷っているのだろうな」霄は汚れた靴下を脱いで縁側上がる。須原は汚れたスーツの上着を払って縁側に座った。「白峰家は女系で女しか生まれないからな」「ハイ」「後を継ぐことになったら人間の夫をもらうことはできないだろうな。お母様が人間のお父様を選んだことは前代未聞で今後ありえないと聞いた。もし人間で夫にふさわしい者が現れたら吸血鬼になってからになるんだろうな。吹雪は人間として生きるだろうから人間と普通に家庭を築くのだろう。霞はゆっくりと考えた方がいいのかもな」シャワーを浴びてTシャツとショートパンツに着替える。自室に向かうと部屋の前にかごが置かれそこには新しい制服が入れてあった。「吉良が用意してくれたのか……あ」吹雪が歩いてきた。「姉さんただいま」「ああ、おかえり」霄の銀髪をチラリと見る吹雪。何か言いたげな表情だった。霄は吹雪の胸をチラ見した。そのまま会話は特になく二人共自分の部屋に入った。霄のカバンの中にある携帯が鳴った。「ん?メールか……誰だ?」知らないアドレスから届いていた。続く
Feb 12, 2013
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白峰霄:吹雪の姉。いつも妹に間違われる。VAMPIREEYE 第十ニ話「白峰霄」―時間は少し遡る。白峰霄(しらみね そら)は洛庵高等学校の2年生である。小柄で童顔で一見すれば中学生にも見えるが制服のおかげでそれはなかった。洛庵高校の制服は今時珍しい古風なデザインで受験する中学生にも人気だった。学ランにセーラー服といったデザインの制服は京都でもここ洛庵高校だけであった。制服だけではなく洛庵高校は中学生の憧れの学校で、多くの芸術家、音楽家、歌手、デザイナー、著名人を輩出していて、タレントやアイドルといった芸能人になる者も多かった。偏差値の高さだけでなく豊かな人間性を持つ生徒を育てるため芸術にも力を入れている為、ほかの学校には無い部活も多く部活目当てで受験をする者までいるほどであった。白峰霄は学校指定のソックスにローファーを身に付け学校指定の鞄を肩からかけていた。背筋を伸ばし早足で通学路を歩く。毛先をすいたボブカットの黒髪が風に揺れる。「…ん」前を歩く男子生徒が、空き缶を止めてある自転車のカゴに入れるのを目撃した。「ちょっと待って」はっきりと聞こえる声で白峰霄は言った。彼女の声はよく通るため空き缶を捨てた生徒は足を止めた。「は?…ああ、白峰さん。俺になんか用っすか?」「君は空き缶を自転車のカゴに捨てただろう、ゴミはゴミ箱に捨てるべきだ」「ああ…ついやっちゃったね。解ったよ」「解ってくれたのならいい」渋々自転車のカゴから空き缶を回収する男子生徒。白峰霄はそれ以上何も言わずに歩き出す。京都の古風な住宅地を進んで少し坂を上がると洛庵高校が見えてくる。この通学路は特別な許可を得た者以外は車両進入禁止で、車とすれ違うことはほとんどない。電動小型バイクと時折すれ違うだけだ。校門のそばにはスーツを着た教師が立っていた。「おはようございます綿津見先生」「おはよう」白峰霄の挨拶に答える生活指導の教師。白峰霄は下駄箱に向かう。そこで顔見知りの男子生徒を見つけた。「おはようございます木城先輩」「おはよう白峰のお嬢さん」学ランの男子生徒は木城蓮也。彼は洛庵高校3年生である。「お嬢さんはやめてください」「じゃあ俺に敬語を使うのもやめてくれよな」照れて少し迷惑そうに言う霄に対し笑顔で答える蓮也。このやりとりは二人のあいだではお約束になっていた。二人は中学生の頃からの友人であった。「蓮也さん、再来週の空手の全国大会で3年生の部活最後だな」「ああ、最終調整に入ってるところだ。今週から部活には顔を出さないで家での自主トレで集中力を高めていこうと思ってる。親父から教わってる剣術もいいトレーニングさ」「アルバイトは調整中も行く予定?」「ああ、あまり空手のことばかり考えてても持たないからね。白峰は体操部の方は最近どうなんだ?」「ほどほどに。私の場合大会で結果を出すというよりか自分自身の運動能力を高めたいだけだし。大会に向けてがんばってる人間の邪魔はしたくない。それに…」続く言葉は小声だった。「何かの拍子に吸血鬼の力を使ってしまいそうで」「…なるほど。妹さんの方は?」吸血鬼という言葉に特に反応するわけでもなくサラリと答えた蓮也。「転校する事になった。星香女子から明命館に」「それは…教会の執行人として認められたからか?」「うん…私は反対したんだけど」「二郎と同じ学校か…あいつには教会の事も白峰家のことも何も教えてないからな。ついに教える時が来たって事か。…おっとこの話はまた学校の外でな」靴を履き替えた蓮也は階段を上がっていった。「よお!」後ろから霄に声をかける女生徒。ショートカットで髪留めをつけている。「あ、おはよう駒村」「おはよう霄ちゃん。朝からおアツイですなー木城先輩とアツアツですなー」彼女は駒村涼(こまむらりょう)野球部のマネージャーで霄のクラスメイトである。「何を言ってるんだ、木城(蓮也)先輩とはそういうのじゃないんだ。相談相手というか…なんでも話せる兄のような存在だ」「まーまーそんなにムキにならないの。霄ちゃんと木城先輩はそういうのじゃないって皆わかってるって」霄の頭を撫でる駒村。身長差は頭一つ分はある。「駒村こそ陣内先輩とはどうなんだ?」「えー五郎君?ただの部活の先輩だよ。面白いし部のみんなに人気あるけど私は恋愛の好きってのじゃないかな」陣内五郎は野球部のエースピッチャー。スカウトも何度か見に来ているほどの実力である。「そうなのか、でも陣内先輩は駒村の事が好きなんじゃないのか?」「どうかなー…」その表情はどこか嬉しそうだ。「陣内先輩は大学に行くのか?」「そう言ってたよ。でも探偵やりたいとか急に言い出したり訳わかんないよ」「探偵…」霄は日焼けして坊主頭の陣内五郎がスーツを着た姿を想像した。あまり似合ってなかった。「本人曰く『野球も好きだが推理小説も好きなんだ!』とか。現実の探偵はあんなんじゃないのにね。ホントに野球のことしか知らないバカなんだから」「バカ…?陣内先輩は成績は悪いのか?」「んー…中の下くらいかな。洛庵で授業についていけてるから勉強は出来ないわけじゃないんだけどね。あまり色んなこと知らないっていうか」「ふーん…詳しいんだな」「え?まぁね。一応マネージャーだし野球部の全員の情報はそれなりに。私大学出たら弁護士になるつもりなのよ」霄はスーツを着て法廷に立つ女性弁護士駒村涼を想像した。似合っていた。「霄ちゃんはどうするの?」「私は…家を継ぐかな」「へー…霄ちゃんの家ていかにも日本家屋!って感じで大きいものね。なんのお仕事してるの?」「えっと…詳しくは言えないんだが、製品開発事業だな。一般の人が手にすることはまずないような」「ほほー!映画みたい!!カッコイイー!!」「そうなのか?」霄と駒村は二階の2年2組の教室に入った。時間が早い為、教室には一人しか居なかった。「誰だ?」教室の窓側に背が高く、胸の大きい髪を二つにくくった女生徒が居た。霄と駒村は見覚えがない。「や、どーも!あたしは今日から復帰する山根妃羅莉!きらりちゃんて呼んでね!一年の春休みに事故に遭っちゃって先週まで入院とリハビリしてたの!!」ピースサインを見せつける山根妃羅莉。驚く駒村に対し警戒する霄。「山根妃羅莉といったか、ちょっと来てくれないか?」「えーナニナニ!?」驚く駒村を置いてトイレに山根妃羅莉を連れて行く霄。「トイレに連れてきてどうするつもりー?」「ふん、お前は山根妃羅莉などではないな!本物の山根妃羅莉はどうした」「何言ってるんですかー?意味わかんないですコワイですー」「闇の住人(ナイトストーカー)だろう…無理やり正体を暴いてもいいのだぞ?」睨みつける霄。その目が真紅に変わる。「あちゃちゃー…バレちゃったのかー。でも山根妃羅莉ってのは半分本当よ?交通事故にあって意識不明になってたところにあたしが融合したんだ。お互い死にかけてたし融合することで助かったって訳よ。だから人間であり化け物であるんだよ」「何を考えてる」「いやー別に…生きたいだけよ。友達もできたしねー。それにしてもあんたも化け物系?その魔力超ヤバイ!」「私は吸血鬼だ」「へー血を吸う鬼さんね。簡単に正体バラして平気なの?」「私が闇の住人に吸血鬼だと明かしたところで何も不利になることなどない」「ひゃーコワイ!そんなに睨まないでよ。何にも起こす気ないってば。教会に目をつけられるのも面倒だし。京都に来てまだ一ヶ月くらいだし良くわかんない事多いし」「そうか、それなら良い。この学校で何かしようものなら私が八つ裂きにしてやるからな」「はーい肝に銘じておきマース!」教室に戻る霄と妃羅莉、駒村は携帯をいじって待っていた。「トイレ?」「トイレ行ってきたー!」「うん」「そっかそっか」―放課後霄は妃羅莉と一緒に帰っていた。どういうわけか妃羅莉がついてきたのだ。駒村をはじめ他の友人達は部活があるため帰宅は霄と妃羅莉の二人となった。「でさー舞子ってばさ、勝手にアイドルのオーディション申し込んじゃってさー書類選考通ちゃったのよー!ヤバくない?土曜日面接なの、超緊張するー!」「そうか」「もし受かったらアイドルよ?凄くない?霄もオーディション受けてみれば?ちっちゃくて可愛いし」「言っておくが私は小さいとか言われるのは好きじゃないんだ」「メンゴメンゴ」頭を撫でる妃羅莉。「触れるな」手を振りほどく霄。「えーなんでー?コマちゃん(駒村)は霄の事撫でまくってたじゃん」「慣れ慣れしい。出会ってまだ一日だというのに呼び捨てまで…」「いいじゃん!化け物同士仲良くしようよ!」「一緒にするな。私は闇の住人と馴れ合うつもりはない」「ちぇー…霄は勉強できるし運動もちゃんと人間の力だけでこなせるしクラスのみんなに好かれてるし友達も多いじゃん。でもあたしはこの学校に友達いないんだよねー…舞子は別の学校だし普段はメールのやり取りしか出来ないし」「その舞子とやらはどこの学校だ?」「明命館だよ。フルネームは奥寺舞子。…あの子変な遊び始めた見たい。チェーンメールっての?超ヤバイ感じ」携帯のメールを見ながら妃羅莉が言った。「肉食系だからねーあの子……あ、千円みっけ!ラッキー!!」千円札を拾う妃羅莉、そのままスカートのポケットにねじ込んだ。「おい、届けるんだろうな?」「え?なんでよ?見つけたのあたしじゃん、千円くらいいいっしょ」「その千円を落として困っているかもしれない、届けよう」「もー…真面目だなぁ霄は…」「駅前の交番に届けよう」「はーい…」通学路の坂を降りていく二人、下校の生徒の数はまばらであった。楽しく会話をしながら下校する者、一人で急ぎ足に下校する者、電動自転車で坂を降りていく者などが居る。坂降りた所にある交差点に見慣れない男たちが二人洛庵高校の女生徒に話しかけていた。「うわーなにアレ、ナンパかな?」男たちは皮のジャケットを着て体中に金属のアクセサリーをつけていた。話しかけられている女性とは少し迷惑そうにしている。「洛庵の女子やっぱ可愛いいっすねー!ユウヤの兄貴!」「だろう?レベルが高くてレアな制服!もう俺は早くもギンギンMAXだぜヤス!!」「さすがっす兄貴!欲望に正直っす!!」「あの…」おとなしそうな女生徒は男たちから離れようとする、しかしユウヤと呼ばれたが手を掴む。「おっとっと!道案内くらいしてくれてもいいんじゃね?ついでに家まで送ってやっからよ!俺のイカス車に乗れるんだぜ?こんな事めったにないぜ?」ユウヤは横断歩道を塞ぐように止めてある黒光りの違法改造電動車を指差す。「あの困ります…」「困ってんのは俺たちなんすよお嬢ちゃん!ね、兄貴?」「おう!このままじゃ大事な客を待たせちまう!!早く行かねぇとな!」ドアを開けるヤス、ユウヤは女生徒の肩をつかみ強引に乗せようとする。「い、いやっ」「おうヤス!先に後部座席にのってお嬢ちゃんを引っ張りこめ!」「まかしてくださいよー……アウチッ!」ヤスは派手に転びガードレールに頭をぶつけた。その横には霄が立っていた。「その子を離せ」続く
Feb 9, 2013
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木城二郎:パンに合うと考える飲み物はコーヒー牛乳速水恭一:パンには牛乳と考えている白峰吹雪:パンにはミルクティー奥寺舞子:パンには抹茶オレVAMPIREEYE 第十一話「沖田実満2」吹雪と奥寺が沖田と対峙していた頃、二郎と速水は裏門にたどり着いていた。裏門のすぐ横にあるフェンスの下に赤く輝く光の玉が見える。「裏門に着いたはいいが…コイツはなんだ?」二郎と速水の目の前には顔色の悪い巨漢のサイバネ者が立っていた。両手両足は重機のような義手義足、身長は2mを超えていた。「ウゴボゴゴゴゴゴゴバー…」「ヘイ!どけよデカブツ!!今はお前の相手してる場合じゃないんだよ!!」「ウゴバアアッ!!」近づく速水に殴りかかる大男、バックステップで回避する。「てめぇ…イっちまってんのか?ジャンキーかよ!!」「ウゴバァアアアア…」「速水!そいつから魔力を感じる!人間じゃない!!」「なんだと!?」覆いかぶさるように攻撃を仕掛けてくる大男、速水は軽く回避して膝蹴りを顎に叩き込む。「すっとろいんだよ!デカブツ!ウララララララララァッ!!」続けて連続蹴りを放つ速水、大男の肉体が無数の足型に凹んでいく。「ぶっ飛べ!!」最後に渾身の後ろ回し蹴りを大男の腹に叩き込む。大男の体は宙に浮き地面に倒れた。「プボオオ…」倒れた大男はすぐに体を起こす。速水に蹴られた箇所は見るも無残なアザだらけになっていたがまるで痛みを感じている様子はない。「手応え十分だってのによ…何なんだこのデカブツ」「ボババババ!!」金属の重機のような腕を打ち鳴らし振り回しながら突進してくる大男、今度は二郎に襲いかかる。横に飛んで回避する二郎、大男はそのままフェンスに激突した。額を切り血を流しているがその事を気にしている様子はない。「痛みを感じてないのか!?」「デカくて馬鹿力で痛みを感じてねぇって?じゃあどうするんだ?早く結界の要とやらを破壊しねぇと彼女たちも白峰ちゃん達も待ってるぜ」「義足を破壊して動けなくしよう!その間に結界を壊せばいい」「簡単にいうけどよぉ…あんなにゴツイ金属の義足壊せるか?」「多分…いけるさ!」二郎はベルトに取り付けてあった変幻自在の金属の帯を外す。すぐに刀状に変形させた。「これで奴の関節を壊せば!」「来るぞ!木城!!」二郎めがけて大男が突進する。ギリギリまで引きつけ居合い抜き打ちの構えから『火の神流疾風連撃』を放った。「駄目だ…僅かに外れた!一瞬でいいから止まってくれれば…」「ウゴゴゴゴゴー!」足を攻撃された大男はその場でコマのように回転し二郎と速水を吹き飛ばした。「ぐあっ」「があっ」大男はそのまま結界の要の前に戻り両腕を打ち鳴らしている。「あの野郎…おい木城!あいつの動きを止めればいいんだな?」「ああ、出来るのか?」「おれが本気を出せばあんな奴くらい…そのままぶっ潰すかもしれないぜ」「そうか、じゃあ頼む!」「ライカンスロープの真の力見せてやんぜ!!グウウウウウオオオオオオオオッ!!」速水の全身の筋肉が盛り上がる。顎が変形していく、金色の体毛が全身を覆っていく。わずか数秒で速水の体はチーターの獣人の姿となった。「チーター…!?」「ああ!俺はワーチーターだ!さっきよりもイケメンになっただろう?」「チーターのイケメンは解らないな」「けっ!まあいい、仕掛けるぞ木城!」「おう!」猛ダッシュで大男に襲いかかる速水、大男は速水の速度に反応できていない。「今度こそくたばりな!ウーラララララララララララララッ!!」足の残像が見えるほどの速度で大男を蹴る速水、足の爪が大男の肉を引き裂き血しぶきを舞わせる。「今だ木城!!」「うおおおおおおおっ!!」二郎の義手からエネルギーが流れ込んでくる。速水との喧嘩、大男に受けた攻撃の痛みが一瞬にして消える。二郎は水平に構えたまま走り込み疾風連撃を大男の右足に叩き込んだ。「ゴバアアッ」膝から崩れる大男、それを見た速水はサマーソルトキックで大男の顎を抉る。「くらいやがれ!」そのまま空中で錐揉み回転で勢いを付け延髄蹴りを決める。「ゴボーッ!」大男はうつ伏せに倒れ地面に転がった。「速水!白峰さんからもらった杭を結界の要に刺すんだ!アイツは俺が見てる!」「任せろ!!」ズボンのポケットから杭を取り出す速水、フェンスの下にある赤く輝く玉に突き刺す。「うおっ!!」一瞬強く輝いた後、光の玉は消えていった。空を覆い尽くしていた赤い光も消え青空が見える。「やったぞ!結界は消えた!」「やったな!後はこの大男をどうにかしないとな!」「思ったんだけどよ、この杭をデカブツに突き刺せば殺せるんじゃないか?」「なるほど!」「奴は片足が使えない、木城!挟み撃ちにするぞ!!脳天に杭をブッ刺してやる」「よし、行くぞ速水!うおおおおおおおっ!!」義手のエネルギーを引き出す二郎、急激な空腹感に襲われる。「(エネルギー使うとめちゃくちゃ腹減るの早いんだな…)」「ゴブブブブブ…」片膝を地面に引きずりながら二郎に迫る大男、二郎は自在金属の刀を構える。「てやあああああああっ!!」真っ向斬り、右袈裟斬り、左袈裟斬り、抜き胴斬りを連続で繰り出す『火の神流烈風連撃』を大男に放つ。肉を切り裂き、重機のような義手義足からは火花が上がる。「ゴバアア」「いいぞ木城!これでどうだデカブツ!」二郎の攻撃に合わせ大男の背後から速水が飛びかかる。空中で一回転した後大男の脳天に霊樹の杭を突き刺した。「ウボオオオオオオオオ…」目、鼻、口から液体を吹き出し大男は倒れ込む。そのまま沈黙した。「よーし!」「うまくいったな…しかしなんだったんだコイツは…」「ただのサイバネ野郎じゃねぇよな…ま、詳しい事は白峰ちゃんにでも聞くとして俺らは倒れてる連中の様子を見に行こうぜ」「そうだな!」校長室では沖田と吹雪の一進一退の攻防が繰り広げられていた。攻撃を受けてもすぐさま再生する沖田に対し、吹雪は一撃も喰らうことが出来ない。徐々に吹雪の顔に疲労の色が現れて来ていた。「白峰吹雪!なんで私と戦った時の力を使わないのよ!」床に伏した奥寺が叫ぶ。沖田のエナジードレインを受け立ち上がれない程弱っていた。「…まだ使えない。大きなダメージを与えて倒せなければ…結界から吸い取られている量が増えてしまう。皆を犠牲にする可能性のある賭けには出られない」「ちっ…」「ふふふ…どんな力を隠しているか知りませんがこのまま戦いが長引けば長引くほど私は優位に立てますね。誰一人犠牲者を出したくない、そんな思いで戦っているあなたは最早打つ手はな………」突然黙る沖田、自らの体に流れ込んでくる生徒たちのエナジーが遮断された事に驚いたのだ。二郎と速水が裏門の結界の要を破壊した瞬間だった。「馬鹿な…一体誰が結界を!あそこには私選りすぐりの屍人を配置しておいたはず!」「どうやら結界は消えたようね」そう言うと吹雪は太刀に手をかざした。刀身にうっすらと青白い光が宿る。「ぬううう…だがこれまで蓄積したエナジーと土蜘蛛から得ているエナジーがあれば!」飛びかかる沖田、吹雪は右上段の構えから一気に踏み込み太刀を振り下ろした。「ぐあっ!」沖田の右腕が切断される。宙に浮いた右腕はそのまま凍りつき、地面に落ちるとヒビが入った。慌てて再生を試みる沖田、だが斬られた断面が凍りつき細胞の再生が始まらない。「こ、これは…」慌てた沖田は後ろに飛んで距離を取る。凍りついた右腕の断面を壁にぶつけて砕く。「ぐうう…こ、これで再生可能のはず」「そうはさせないわ」白木の霊樹で出来た針を4本取り出す吹雪。青白いオーラを纏わせる。「はっ!」「うおおおっ」慌てて飛び退く沖田、一本が肩に突き刺さる。「ぐううううおおおおっ!」突き刺さった箇所から凍りついていく。左上半身をほぼ覆い尽くした。「はっ!」続けて白木の針を投げつける吹雪、沖田の両膝と右肩、腹部に命中する。「ギヤアアアアアアアアッ!!」首から上を除き沖田の体は凍りつく。すると奥寺の体と繋がっていたオーラが消える。「こ、こんな…再生ができないだと…氷雪に強い吸血鬼の体を凍らせるとは…」「ただの冷凍術じゃないわ。霊刀の力と霊樹の力も留まらせてある」「…そういう事か、冷凍術で退魔武器の効果と破壊力を合わせなおかつ魔力の遮断状態を作り出し再生不可能の攻撃を実現したって訳ですか。退魔武器の霊力と己の魔力、冷凍術をバランス良く合わせなければこんな事は出来ぬはず…流石は白峰の家の者ですね」「随分と詳しいのね」「そりゃあ吸血鬼になる前は陰陽師をやっていましたね。あなたのお父様に私の名前を聞けば知ってるのではないでしょうか」「では…元教会の人間?」「登録をして協力をしている形でしたがね。どうもあの西洋風な感じが好きになれなくて…さぁおしゃべりはここまでにしましょう。私の負けです、止めを指しなさい」沖田は死の恐怖に怯えることなく毅然とそう言い放った。「………その前に聞きたいことがあるわ」「なんですかね?」「どうして吸血鬼に?あなたを吸血鬼に変えたのは誰?」「出会ってしまったんですよ。体に電撃が流れるほどの衝撃を受けました。こんなに圧倒的な強さ、美しさを持った存在がいるのかと。気がついたら虜になっていましたね。そしてついに昨日の夜私は主から吸血鬼の力を頂いたと言う訳です」「その吸血鬼の名は!?」「言う訳無いでしょう。さ、話はここまでです」「…解ったわ。さようなら」吹雪は太刀を振り下ろし沖田の首を跳ねて凍らせた。続けて心臓も突き刺し凍らせ完全に破壊した。「なんとか助かったわ…くやしいけどあんたのおかげでね」ゆっくりと立ち上がる奥寺。「あなたにはまだ死んでもらっては困るもの」「そうだったわね。監視してるのよね」奥寺は転がっている凍った沖田の頭部を踏み砕いた。「あーこれでちょっとはすっきりしたかも。じゃあね、私はこれで帰るわ」「…また明日」奥寺はフラフラになりながら廊下を歩いて行った。奥寺を見つめていた吹雪、髪と目が戻っていく。周囲を確認して太刀を鞘に収めた。「ハァ…ハァ…」膝をつく吹雪、汗が吹き出している。「(昼間に吸血鬼の力を使ったから…でもこんな事じゃ駄目…もっと制御できるようにならないと…)」呼吸を整えて立ち上がる吹雪。「おおーい!白峰さーん!」廊下の向こうから二郎と速水が走ってくる。二人の無事を確認できた吹雪はほっと胸をなでおろした。続く
Feb 5, 2013
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木城二郎:パンの中ではクリームパンが好き。速水恭一:パンの中では肉が入ってるものが好き。白峰吹雪:中に色々入ってないシンプルなパンが好き。奥寺舞子:有名チェーン店のドーナツが好き。週に一度は食べに行く。VAMPIREEYE 第十話「沖田実満」二郎は校舎に手をかざして集中し結界の源を探る。明命館学園の裏門側に魔力の流れを感じた。「あっちだ!裏門の近くだ!」「じゃあとっとと結界とやらを破壊しに行くか!!」走り出す二郎と速水、二郎はパンの袋を破り慌てて口に放り込みコーヒー牛乳で流し込んだ。その様子を見ていた奥寺は窓から飛び降り軽い身のこなしで着地、吹雪の横に立つ。「へぇ…木城君解るんだ。あの感じだとあなたが『カブリ』とやって従徒にした訳じゃないのねぇどういう事なのかしら?」「…知らない、木城くんはいつの間にか力を手に入れていた」「あっそ、まあいいわ。で、行くんでしょ?吸血鬼に会いに」「ええ」「挑発されてるのは私だから私も行くけど」「好きにすればいい。邪魔するのならあなたも斬るだけよ」「邪魔…ね。そっちこそ私の邪魔しないでよね」火花が飛び散るほどのにらみ合いをしたあと吹雪と奥寺は校舎北側に向かって走り出す。この方向には生徒会室、校長室、職員室、図書室などがある。二人が向かったのは校長室だった。二階の一番奥にある両開きの扉の向こうに校長室がある。校長室という場所は、一般生徒はまず用事がない。職員室に入ったことはあっても校長室には3年間入ったことがないという生徒も少なくない。実際奥寺と吹雪も校長室に行くのは初めてだった。「オオオオオオオ…」「モゴゴゴゴゴゴ…」顔色の悪い教員が二人吹雪と奥寺の前に立ちふさがった。「ん?魂を抜かれた屍人ね」「……」構える二人、生きる屍と化した教員が襲いかかってきた。「オオオ!」「モボボ!」奥寺の手のひらからネットが飛び出し屍人の一人を捉える。「邪魔よ」拘束した屍人を蹴る。強烈な蹴りは屍人の頭部を砕き、そのまま窓の外へ飛んでいった。「やぁっ!」横では吹雪の抜き打ちで首から上を飛ばされた屍人が倒れていた。両開きの扉をあけると正面に大きな木製の机が見えた。そこに座っていたのは校長ではなかった。副校長の沖田実満であった。初老で白髪交じり、痩せ過ぎではないかというほどの体格であった彼は変わっていた。輝く銀髪に輝く真紅の目、筋骨隆々の体になっていた。「おや?うちの生徒にノックするということすらできないものがいるとは…私は悲しい!」沖田実満は強い口調でそう言った。「私は悲しい」が彼の口癖であり全校集会での挨拶でも度々口にしている。生徒の間でも沖田実満のモノマネをする時は「私は悲しい」と言う。「副校長…あなたがあの結界を仕掛けたのよね?」「あなたは奥寺舞子君、そしてそちらは白峰吹雪君。用件はなにかね?」椅子に座ったまま余裕の表情を浮かべる沖田実満。奥寺が前に出る。「こんな派手な騒ぎを起こしてどうするつもりなのよ。吸血鬼側からのメッセージなのかしら?」「これはこれは…教師に対する口の利き方がなってないようだね奥寺君。まぁそれは置いておいて…吸血鬼側からのメッセージと言ったね?その通りだよ。だから私はこの力を手に入れた。この学校の生徒全員を吸血鬼の下僕にする役割を与えられてね。これは戦線布告なのですよ。教会にも化け物にも媚びるつもりはない、吸血鬼こそがこの世界の頂点となる存在。吸血鬼クイーンの居るこの京都、吸血鬼の首都にふさわしい!準備は整ったのです」「ふん、派手にやらかして自滅しなきゃいいわね」「こう見えて私は派手好きでね。奥寺君、あなたには死んでもらいます。強力な化け物は一人でも減らしておいたほうが優位ですからね。…それと白峰吹雪君。あなたは本来こちら側の存在のはず。クイーンの開放は我々の悲願です、あなたもそれを望んでるのでは?」「……開放は望んでいない。ただ平穏に暮らせればそれでいい」「クイーンは人間との共存を選んだ結果、封じ込められいいように利用されているというのにですか。教会のテクノロジーの一部はクイーンの力があって生まれたものだと知ってますか?」「知ってる。それでも…わたしは教会の執行人として人間の味方をするわ」「白峰家の人間がそのような…だがあなたのお姉さんは違った考えのようですがね」「………」「今は無理でも結構、我々はいつでもこちら側に来ることを歓迎しますよ。さて今から奥寺君を始末しなくていけないのでそこで見ていてください」ゆっくりと立ち上がる沖田実満。赤いオーラが体に纏われる。「行きますよ!奥寺君!主から授かったこの力、土蜘蛛といえど遅れは取るまいぞ」「吸血鬼に成り立ての奴に私が負けるとでも?こっちは人間15年だけど化け物は1000年以上やってるのよ」二人が戦闘態勢に入る。吹雪も太刀を構える。「手出ししなくてもいいわよ!」「そういうわけには行かない。早くしないと皆が危ない」「巻き込んでも知らないからね」それをみた沖田実満は首を振る。「私は悲しい!白峰家の人間とも戦わねばならんとは!!仕方がありません少々痛い思いをして大人しく貰いましょうか」「はぁ?二対一で勝てるとでも?」奥寺が腹立たしげに言う。「私は一向に構いませんけどね」沖田の右腕が水平に振られると赤い波動が迸った。しゃがんで回避する二人。「ほう、うまく避けましたね、それならば!」跳躍する沖田、奥寺に接近する。「この距離ならどうですかね!」右掌に赤いオーラを纏わせて振りかぶる沖田、奥寺は体を反らして躱しそのまま足で沖田を蹴り上げた。「ノロいわ!」奥寺は両手で瞬時に糸を固めボーリングの玉ほどの大きさのものを作り上げる。そして体勢の崩れた沖田に目掛けて思い切り投げつける。「てやぁっ!」「ムオオオオオッ!!」机を砕き壁に叩きつけられる沖田。奥寺は糸を伸ばして玉を引き戻す。「なんという力…これが土蜘蛛ですか」「まだまだっ!」再び玉を投げつける奥寺、今度は沖田にガードされる。ガードされた瞬間糸を引き戻す。そしてまた玉を投げつける。ヨーヨーの要領で連続攻撃を仕掛ける奥寺。その破壊力は校長室全体を揺るがす。「ほらほらほらぁ!私の糸は自由自在、粘性のあるものから無いものまで。鋼鉄のように硬いものからゴムのように伸びるものまでね」「…ムウウウウウン!」糸の玉を両手で掴む沖田、体が赤く輝き奥寺に受けた傷が瞬時に回復した。「なっ!?」「ふふふ…私の授かった能力に『エナジードレイン』があります。吸血鬼なら誰しも持っているものですが私はそれに特化してるようです。この明命館の生徒たちのエナジーが私を瞬時に回復させたのですよ」「ちっ…あの結界ね」「そうです。何の準備もなくあなたのような強力な存在に挑むとでも?」「でも再生をする暇もなく潰せば…あるいは脳か心臓を一瞬で破壊すればいけそうね」「ふふふ…そんな事ができますかねぇ?」ゆっくりと立ち上がる沖田。玉を引き戻す奥寺、糸でトゲ状の物を玉に付けていく。モーニングスターを思わせる形に作り上げた。「はあああ~」頭上で糸の玉を振り回す奥寺。速度が上がっていく。回転の風で校長室の塵が舞う。「ぶっ潰れろっ!」大砲のような勢いで投げ込まれるトゲ糸の玉、沖田の頭部目掛けて一直線に飛ぶ。腕を交差させて受ける沖田、衝撃で左腕がひしゃげた、そのままガードをこじ開け頭部に命中…かと思われたがその寸前でわずかに体を傾け頭部への命中を避けた。トゲ糸の玉はそのまま校長室の壁を突き破った。「くっ…」慌てて糸を引く奥寺、しかし沖田の間合いを詰める速度の方が速かった。沖田は残った右腕に赤いオーラを纏わせ上から斜めに振り下ろした。奥寺の体に命中すると帯状となり沖田と繋がる。「ふふふ…これでチェックメイトです。あなたの魔力がドンドン流れ込んできますよ!ほら、左腕も一瞬で元に!!」「こんなものっ!」引き剥がそうとする奥寺、しかし帯状のオーラは掴めない。「無駄です。私が解除しない限りそれはあなたについたままです」「このおっ!」両手から投網のような糸を放つ奥寺、沖田を拘束する。「心臓えぐり出してやる!」「おっと!」帯状のオーラが太くなり奥寺は膝をついた。「ふふふ…力が抜けていくでしょう?もはや先程のような力は出せませんよ。逆に私はあなたの魔力を吸収して力が漲っています。…あなたは先ほど1000年化け物をやっているといいましたが人間としては所詮15年。私は人間として55年やってきたのでね。その差が出たのでしょう。人間の体の経験ってやつです」「くそぅ……」「結界を張り生徒からエナジーを貰いながら太陽の光が届かないこの部屋での戦闘。そして吸血鬼になりたてという事で油断を誘う。全ては勝つための手段。さようなら奥寺君、君のような成績優秀な生徒を失う事になるとは…私は悲しい!」「はっ!」白刃が走った。吹雪の太刀が沖田の喉をかすめる。「おっと…どうしましたか?奥寺君が死のうともあなたには関係ないはずですが?」「…そうね。でもあなたを倒さないと明命館の生徒は救えない」「ふむ、なるほど…ではこうしましょう。明命館の生徒を助ける代わりに奥寺君の首を刎ね我々の同胞になると言うのはどうですか?」「断るわ」吹雪は制服の内ポケットから親指ほどの瓶を取り出し中身の液体を飲み干す。みるみるうちに髪は銀色と代わり目は真紅に輝く。沖田は両腕を拘束していた奥寺の糸の網を引きちぎる。喉の傷は一瞬で消えた。「いいでしょう、白峰家の吸血鬼の力見せてもらいましょう」続く
Feb 3, 2013
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白峰吹雪:姉とはあまり仲が良くない。妹とは仲が良い。木城二郎:兄とは仲が良かった。従姉妹の沙夜とも仲が良い。速水恭一:兄弟は居ない。彼女は数人いるらしい。奥寺舞子:兄弟は居ない。他校に友人がいるらしい。VAMPIREEYE 第九話「速水恭一」「いいねぇ~俺好みの女だわ」速水恭一は吹雪のつま先から頭のてっぺんまでを舐めるように眺める。「…わたしは白峰吹雪。あなたを教会に連れて行かないといけない」「はぁなんだって?教会??俺は宗教やってねぇぜ??」吹雪に一歩近づく速水恭一。その瞬間、彼女は刀カバンを腰に構えた。ジッパーが開けてあってそこから手をつっこんで刀の柄を掴んでいる。速水恭一が怪しい動きをすればすぐにでも居合の抜き打ちができる状態だ。「おっとっと…なに?なにやってんそれ?殺気バリバリじゃん?別に触ろうとしたわけじゃないのになぁ」「ライカンスロープ…」「あ?なんだって??」「とぼけても無駄よ…おとなしく従うなら何もしない」「とぼけるも何もなんのことやら」肩をすくめてやれやれといった仕草でため息をつく速水恭一、その様子を見た吹雪は二郎の顔を見る。「大丈夫だよ白峰さん、絶対に間違いないよ」二郎は黒い義手で速水恭一を指差す。「おいコラ!人のこと指差してんじゃねぇよ…」そう言うと同時に速水は二郎の目の前まで一気に移動、二郎の義手を掴む。「このサイバネ野郎がっ!義手の指へし折るぞ!」「やってみろ!」二郎と手を合わせて力を込める速水、二郎も義手から流れるVエナジーで身体能力を上げて対抗する。「ウオオオオオオオッ!」「グウウウウウウウッ!」「なんだこのサイバネ野郎の力は!こんな細い体と義手で…ありえねぇ!!」「俺はまだまだいけるぞ速水!」「俺も…まだまだこんなもんじゃねぇ!!グルルアアアアアアアアアッ!」速水恭一の筋肉が盛り上がる。それを見た吹雪は太刀を抜き首筋に刃を突きつけた。「確かに魔力を感じたわ、そんな力…人間には出せない」「なんだと…」力を抜く速水、二郎は手を離した。「ここでは人目につくわ、場所を変えましょう」「いいだろう」三人は体育館裏に移動する。「…で、俺をどうしようって?」「とりあえず教会に来てもらうわ」「断ればどうなんの?」「力づくでも連れて行くことになるわ」「へぇ~笑えない冗談だな!でもまぁ~…あんたが俺の女になるってのなら考えてもいいぜ?」「冗談は言ってないわ。もう一度だけ言うわ、教会についてきて」「はい喜んでー!っていうわけねぇだろ!!」「そう、それなら…」太刀を右上段に構える吹雪、速水は腰を落としいつでも動ける構えを取る。「こりゃまたすごい殺気出しちゃって…ま、俺には通じないけどね」「そうかしら?」飛び跳ねる速水、何度か跳ねたあと一直線に吹雪に襲いかかる。その速度は人間の動きを超えていた。「はっ!」サイドステップで回避する吹雪、制服のスカートには切れ目が入った。通り過ぎた速水は振り返り余裕の笑みを浮かべている。「予想通りパンツは白か。ますます俺好みだね」「……」「次はその物騒なモノ取り上げちゃうぜ?」再び飛び跳ねる速水、またもそこから猛スピードの突進攻撃を仕掛ける。速水は今度もたやすく攻撃が成功するだろうと思っていた。だが…「ぐああああっ…」突進から吹雪の左手に掴みかかろうとした瞬間、刀の柄で殴られ地面に転がることになった。速水は頭を押さえて飛び起きる。「いってぇ…俺の速さについてこれるとはやるじゃん?だけど本気の俺はこんなもんじゃないぜ?」「そう、わたしもよ」表情を変えないで言う吹雪、それを見た速水はやれやれといった感じで脱力する。「言うじゃない、だけどここで本気出して殺し合いするのもアホらしいやめようぜ」「じゃあ話を聞いてくれるのね?」「ああ、だがその前に…」速水は二郎を睨みつける。「お前は気に入らねぇ。ボコボコにしてやんぜ!この子の彼氏か?それともただのお友達か?どっちでもいいけどな」「大人しく話を聞くんじゃなかったのか?」「ああ聞くぜ、お前をブチのめしてからな!サイバネ野郎!!」「そうかい、じゃあ大人しくさせてやる!白峰さんは下がっててくれ!」「木城くん…」構える二郎と速水、お互い間合いをつめ拳が届く距離まで近づく。「どりゃあ!」「でやぁ!」速水の右拳が二郎の左顎を捉える。同時に二郎の義手が速水の鼻下に命中する。「ぶはぁっ…」「ぐう…」お互い膝をつきかけるがこらえる。血の混じった唾を吐き、向きなおす。「スピードスターと言われた俺のラッシュを食らって寝てなぁー!」「倒れるのはお前だ!!」お互いノーガードで殴り合う。これは命のやり取りではなく喧嘩。純粋に腕力で相手をねじ伏せて従わせる雄同士の闘争である。殴り合いは3分以上続いた。速水のパンチは二郎より速かったが二郎のパンチは速水よりも重かった。お互い満身創痍で立っているのがやっとの状態にまでなった。「ハァハァ…化け物かよ…このサイバネ野郎…男前をめちゃくちゃにしやがって」「バ、バケモノはお前の方だろう?ライカンスロープ…さっさと負けを認めろ…」「ウオオオッ!」「いやああっ!」お互いの拳がこめかみに命中、同時に仰向けに倒れる。しばらく倒れていた二人、やがて体を起こしお互いを睨みつける。もう一発殴って決着をつけてたいと双方考えていたが全身の痛みと疲労で動けなかった。「おい…サイバネ野郎…」「なんだよ…」「延長戦はまた今度にしないか?…どうしてもってんなら今でもいいけどよ」「ああ…延長戦はまた今度にしよう。白峰さんの話を聞いてあげてくれ…」ボロボロになりながらも意識ははっきりしていた速水は吹雪の話を聞いた。「……なるほどねぇ。化け物は教会とやらに登録して管理されるって事か。化け物の起こした犯罪は教会が対処する。登録されたヤツは教会側の犬になって働くも良しって訳か。まぁ化け物じゃなくても国に管理されて警察に取り締まられるって訳だしそんなに変わらないのか?」「簡単に言うとそうね」「ふーん…拒否すれば痛い目にあうか最悪死ってか。んじゃあ奥寺も監視されてるのかい?」奥寺が人外であることを知ってるのは当然と言わんばかりに言い放つ速水。「ええ、奥寺舞子は背後にいる存在を引きずり出すため泳がせている」「俺は奥寺になんの興味もないなー。俺は陸上部でストレス解消に走れて彼女たちと楽しく過ごせればいいんだよ。でもまぁ教会とやらに入って正義の味方とやらになるのも悪くないか。思いっきり自分の力を出してみたいってのは少しあるしな」「じゃあ来てくれる?途中で逃げたらあなたには抹殺指令が下るわ」「さらりと怖いこというじゃん。白峰ちゃんだっけ?君は全然笑わないんだね」「……」「色々事情があるって訳?詮索はしないよ。あ、そうだ顔を洗わせてくれ」「それじゃ行きましょう。…木城くんは大丈夫?」「ああ…すごく腹が減ったけどね。ちょっと購買部によってパンでも買ってきていいかな」三人は体育館裏を離れ購買部に立ち寄り校門を目指す。途中水道で二郎と速水は顔を洗った。準備を終え校門まで数メートルというところで後ろのグラウンドから悲鳴が聞こえた。「!?」「なんだ!?」「女子の悲鳴!?」振り返るとグラウンドで部活をしていた生徒たちが次々と倒れていっていた。二郎はあわてて女生徒に駆け寄った。「どうしたの?」「か、体に力が入らなくて…」肩で息をしている女生徒、周りに倒れている生徒たちも同じような症状だ。「保健室に…いや、この人数、救急車を呼ぼう!」携帯を取り出す。だが電波が届かない。「どうなってるんだ?」空を見上げる二郎、すると空全体が夕日のように赤く染まっていた。「白峰さん!これって…」「土蜘蛛とは別の闇の住人の仕業ね…この魔力の感じは…」「おいおい…なんだこれは?けだるいぜ…誰の仕業だ?」グラウンドに立っているのは二郎、吹雪、速水の三人だけだった。「おーい」校舎の方から声がした。二郎が見ると三階の窓から奥寺舞子が手を振っていた。「奥寺!お前が…これを」「違うわよ。…あれ?木城君この中でも平気なんだ?」「奥寺これは何なんだ!」「化け物の仕業よ。かなり厄介な奴みたいよ?私挑発されてるっぽいわね」「は?何言ってるんだお前!」「化け物同士にも色々あるって事よ。今からコレ仕掛けたやつの顔拝みに行くけど木城君達も来る?」「これを仕掛けた奴?北側から魔力を感じる…そこにこんな事をした奴が居るのか?」「北側って…あれ?木城君そんなことまで解っちゃうの?いつの間に?…北側で正解よ誰なのかまでは解らないけど魔力の感じからしてこいつは…」「吸血鬼…」吹雪がつぶやいた。「そう、吸血鬼ね。あははっ白峰さん流石同族!」パチパチと手を叩く奥寺。吹雪は一瞬だけ見て無視する。「……行きましょう木城くん。このままほうっておけば皆の命が危ないわ」「そうだね!こんなこと止めさせなきゃ!」「白峰ちゃん、俺はどうしたらいいんだ?手を貸せっていうのならそれでもいいぜ?」「…速水恭一、あなたにも手伝って欲しい。今この学校は生命力を吸う結界で包まれてる。この杭を持っていって結界の要に刺して欲しい」吹雪は霊樹で作られた白木の杭を速水に渡す。「俺を信用してくれるの?」「…あなたが協力してくれなければあなたの彼女達とやらも衰弱死するかもしれない。わたしが結界を張った吸血鬼を倒すまでもたない可能性もあるわ」「なるほど…そういうことねぇ。でもその要とやらの場所は俺には解らないぜ?」「大丈夫、木城くんと一緒に行って。木城くんならきっと探し出せる。あなたの正体を見破ったほどだもの」「サイバネ野郎と?…鬱陶しい奴だが彼女たちの為だ我慢してやるよ!」「それはこっちのセリフだっての」続く
Feb 2, 2013
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