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白峰霄:好きなケーキは苺ショート。苺は途中で食べる。山根妃羅莉:好きなケーキはチーズケーキ。レアチーズケーキも好き。VAMPIREEYE 第十七話「黒谷」「さぁ…覚悟しろ」「うおおおおっ!」聖書のページを破り取る源藤、破られたページが体に張り付く。簡易の対魔法鎧だ。「喰らええええ!」斧を振り上げる源藤。対する霄はそれを軽く回避しすれ違いざまに脇腹を爪で薙いだ。「ぐはあっ…」聖書のページの隙間を狙った攻撃は源藤の脇腹を切り裂き肉を焼いた。「次はどうする?全身を聖書で覆ってみるか?」「この吸血鬼があああああああああっ!!」連続で源藤の横を通り過ぎ爪で攻撃する霄。鋭い爪はルーンで身体能力を高めてる頑丈な体を切り裂いていく、浅い傷とはいえそこから炎が吹き出し源藤の体を焼いていく。火だるまになった源藤はロザリオを取り出した。杭の飛び出す十字架とは違うペンダント型の小さなものだ。「ぬおおおおおおおっ!」ロザリオが激しく光を放つ、トンネル全体を包み込む。霄は全身を引き裂かれるような痛みを感じながら耐えた。「くっ…」源藤の姿は無く、同時に封魔の結界も消えていた。霄は腹部を刺され倒れている蓮也に駆け寄った。「しら…みね…」「蓮也さん死ぬな!救急車をすぐ呼ぶ!」「……」「蓮也さん!蓮也さんっ!!目を閉じるな!!そうだ、山根なら…救急車よりも早く病院に連れて行ける」霄は駒村を運んだ妃羅莉の能力を思い出し彼女を見る。妃羅莉はナイフが突き刺さったまま壁にもたれかかり手を上げていた。「駄目だ…今の山根は何かを出来る状態じゃない…私が運ぶしか」そっと蓮也を抱き起こす霄、おびただしい出血が地面に落ちる。「駄目だ、動かせない…私の能力が吹雪のように冷凍なら…」霄はセーラー服のスカーフを取り蓮也の傷に当てる。「このままでは出血多量で死んでしまう…血を足さなければ…」霄は傷を押さえながら考える。とりあえず携帯を使い救急車を呼ぶ、そして自宅に電話をして吉良と連絡を取る。「吉良!私はどうすればいい!このままでは蓮也さんが死んでんしまう!!」「霄お嬢様はそのまま蓮也様の傷を押さえていてください、すぐに私も駆けつけます。私の足なら1分もあれば十分です、それでは」傷を押さえたまま泣く霄、蓮也の心臓が止まった。霄は蓮也の胸を圧迫して心臓マッサージを始める。「早く、早く救急車来てくれ、吉良、早く来てくれ、蓮也さんを助けてくれ…」救急車のサイレンはまだ聞こえない。霄の携帯が鳴る。『こちら先程通報された白峰さんですか?今そちらに向かってますが事故で道が塞がってまして別のルートからそちらに向かいます。あと5分ほどお待ちください』「早く!早く来てくれ!!」心臓マッサージを続ける霄、蓮也は少しも動かない。しばらくしてカバンを持ったスーツ姿の吉良が到着した。ワーウルフの瞬足を以て駆けつけたのだ。「霄お嬢様!」「吉良!」霄の全身傷だらけ血まみれで涙を流す姿を見て動揺する吉良。心臓マッサージをする霄を立ち上がらせ、スーツの上着を脱ぎ霄の肩にかける。そして持ってきたカバンからAEDを取り出し蓮也の装着した。「どうだ?」「反応がありません…」蓮也の心臓は動かない。コンパクト人工呼吸器を取り付ける。「蓮也様は人間です…魔力を分け与えて回復力を高めることはできません」「救急車はまだ来ないのか!」霄は着信履歴から救急車の隊員に電話をかける。『はい、こちら洛泉病院救急隊委員の坂本です』「さっき通報した白峰だ、まだ到着しないのか?」『それが…突然前輪がパンクしまして…別の救急車を手配しましたのでもう少しお待ちください』「そんな!」霄は膝を落としてうなだれる。その横では吉良が懸命に蘇生を試みている。「『…あたえなさい』」「ん?」携帯電話からではない。どこからか声がした。「吉良、今の聞こえたか?」「今のとは?」「声だ、男の」「さぁ…聞こえませんでしたが」吉良には聞こえていない。霄は気のせいか、と思ったが再び聞こえてきた。「『君の血を与えなさい、そうすれば彼の命は救える』」「誰だ!出てこい!!」「『ここには居ない。テレパシーで君に話しかけている、封魔の結界が解除されこうして話せるようになった。質問にはあとで答えよう。それより今はその少年を助けることが先決なのではないのか?』」「そうだ…」「『救急車は間に合わない。それ程の出血、輸血するしか助ける方法はない』」「そんな事…蓮也さんを吸血鬼にしろというのか…白峰家の血で!」「『君は自身が吸血鬼であることを恥じているのか?いないだろう?それならば少年が君と同じ存在になる事に何が問題なんだ?白峰の血の事なら心配はないはずだ。女王なら少年を再び人間に戻すことも可能』」「それは無理だ…おか…女王は教会に封印されている」「『ならば開放すればいい。教会は女王を開放すべきだ。この世は汚れすぎている、サイバネ人と表に出始めた闇の住人によって穢されている』」「開放だと…何を企んでいる!」「『君は今のこの国の状態を平和だと思うか?医療機器としてのサイバネを悪用し汚い言葉を吐き犯罪の限りを尽くす連中。警察は役に立たない、人々は見て見ぬふり、闇の住人は人間に紛れて好き放題。教会は常に後手に回っている。女王を開放すれば少年は元に戻り旧時代の様にに再び吸血鬼が統べる事ができる。それがこの国を一番美しく反映させる方法だ』」「………」霄は目を瞑り口を固く閉じ考える。「(吸血鬼ならこの国の抱える問題のほとんどを解決できるというのか?…そんな都合のいい話が…)」「『時間が無い決断するんだ』」白峰の血はこの国の吸血鬼の真祖の血。白峰の名前は先々代の女王が付けたものだが血はこの国最古の吸血鬼から受け継がれた物。霄は自分が白峰の長女であることを誇りに思い血は将来を誓い合った吸血鬼に分けるものと考えていた。「私は…私はっ!」霄は手首をナイフのような爪で切り流れる血を蓮也の口に持っていく。それを見た吉良が慌てて手を掴む。「霄お嬢様!いけません!!」「離せ吉良!もうこれしか蓮也さんを助ける方法はない!」「しかし…」「蓮也さんは男だ。それにまだ死んでいないし吸血鬼でもない、与えても完全な白峰の吸血鬼『血鬼』にはならないはずだ」「霄お嬢様…その血は将来の旦那様にと…」吉良は悔しような悲しいような表情を浮かべて霄の手を離す。「いいんだ、私があの源藤高雅という男にやられなければ蓮也さんはこんな目にあわなかったのだ」「…源藤高雅…というのですね?」吉良の目が金色に輝く。殺気に気づいた霄は首を振って吉良を制する。「『それでいい…白峰霄、近いうちに会おう…』」また霄の頭の中で声がした。「待て、名を名乗れ!」「『黒谷(くろだに)とだけ言っておこう』」吉良が見つめる中霄は蓮也に血を注ぎ続ける。「う…」蓮也の体が動いた、心臓が動き始めたのだ。「うおおっ…」跳ね起きる蓮也、驚いた表情で霄の顔を見る。「良かった…蓮也さん」「白…峰…俺は」立ち上がる蓮也、傷口からはもう血は流れていない。「俺に…何をした?」座り込んでいる霄を見下ろし蓮也が問う。霄は目に涙を浮かべて顔をそらした。「蓮也さんすまない…でもこうするしか…」「俺は死んだのか?吸血鬼になったのか?」口から流れる血を拭い尖った犬歯を触る蓮也。「蓮也さんは死んではいない、半吸血鬼にはなったと思う…」「半吸血鬼…この体の内側から燃え上がるように沸き起こる力…」蓮也は拳を握り締めトンネルの壁へと歩いていく。そして壁の前で構えて拳を放つ。コンクリート製の壁はいともたやすく砕ける蓮也の拳には傷一つついていない。「ははっ…ははははははは!これが吸血鬼!!」「蓮也さん何を…」「白峰、気持ちが高ぶっているんだよ。じっとしていられないんだ」「駄目だ、吸血鬼の力に飲まれては!」「ハハハハ!与えたのは白峰だろう?もう少しいいじゃないか」コンリートの壁を殴り、高く跳躍し天井の照明にぶら下がって見たりガードレールを捻じ曲げて見たりと蓮也は暴れだした。「やめるんだ!」「ハハハハハ!最高だ!!こんなに清々しい気分になったのは中学の時空手全国大会少年の部で優勝した時以来か?いや、それ以上だ!」「やめ…」体力も魔力も限界に来た霄は倒れ込んだ。慌てて抱き起こす吉良。蓮也はトンネルの反対の出口に向かって走っていった。「くっ…」蓮也を追いかけようとした吉良だったが霄を置いては行けない為諦めざるを得なかった。「ね、ねぇ…メガネのイケメンさん…」意識を失いかけている妃羅莉が吉良に声をかけた。ナイフは抜かずそのままの状態だ。「あたしが追跡…するよ」妃羅莉は魔力の鼠を一匹生み出し蓮也の後を追わせた。「あたしが不甲斐ないせいで…霄ちゃんが…」「ありがとうございます、私は吉良伝左衛門と申します。貴女様は?」「山根…妃羅莉、えへへ…」無理やり笑顔を作りピースサインをする。吉良は意識を失った霄を抱き上げ妃羅莉のそばまで近づく。そっと妃羅莉の横に寝かせ吉良はスーツの懐から小瓶を取り出した。「山根様、これをどうぞ。見たところ山根様も普通の人間ではない様子。それならばこの丸薬で回復が早められるかと」「えへへ…ありがとう」妃羅莉は卵色の丸薬を受け取って飲み込む。しばらくすると救急車、それに白峰家の黒塗りの車が到着した。妃羅莉はそのまま救急車に乗せられ、霄と吉良は須原が運転する車に乗り込んだ。霄が目を覚ますとそこは自分の部屋のベッドで横には吉良が座っていた。「お目覚めですね霄お嬢様」微笑む吉良。「ん…あれから私はどのくらい気をうしなっていた?」「2時間ほどですよ」ゆっくりと体を起こす霄。傷はふさがり、火傷も消えていた。「蓮也さんは?」「蓮也様はあの後自宅に戻られたようなのですが…そこで少しありましてその後行方不明です」「少しあった…?何があった?」「蓮也様は父親である紫蓮様を傷つけ、弟の二郎様の右腕を切断。そして吹雪お嬢様を傷つけその場から立ち去ったのです」「なに!?そんな…そんな!」「私も先程吹雪お嬢様の話を聞いて事を知った次第です…」吉良は顔を伏せ泣く霄に入浴の準備は出来ていますとだけ言い静かに部屋を出て行った。霄はしばらく泣いたあと駒村に無事のメールを返し風呂へと向かった。続く
Mar 27, 2013
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白峰霄:おにぎりの具は鮭が好き山根妃羅莉:好きなおにぎりの具はツナマヨネーズVAMPIREEYE 第十六話「源藤高雅2」妃羅莉が「魔力の鼠」を大量に従え男に攻撃を仕掛ける。最大8万4千匹まで生み出せる魔力の鼠は鉄を噛み砕き体は石のように硬い。しかし男は妃羅莉と魔力の鼠を前にして笑みを浮かべている。「クックック!ネズミがぁ!!」男は分厚いハードカバーの本を開く。聖書であった。「魔力吸収!」男が叫ぶと一瞬で数百匹の鼠達が聖書に吸い込まれる。慌てて足を止める妃羅莉。「俺を誰だと思ってる?10年以上吸血鬼を狩り続けてるハンターだぞ?雑魚モンスターの攻撃なんざ効かねぇよ!」男の右手の鎖が妃羅莉めがけて放たれる。鞭のようにしなり妃羅莉の肩を打った。「ぎゃあっ!」右手の鎖は持ち手の棒で操っているというわけではない。変幻自在の動きは持ち手の加減だけではありえない。「聖鉄鞭の味はどうだ?俺の生命エネルギーを練った物を流し込んで操っているからな!貴様ら闇の住人の魔力に反応してダメージを与えるぜ」「はああああっ!」霄が飛びかかる。男の鎖をかいくぐりボディブローを叩き込んだ。しかし…「なに!?」「クックック…効かねぇなあ!封魔の結界の中では10分の1程度しかお前らは力を発揮できねぇ。逆に俺は自身のルーンとの相乗効果で常人の5倍の身体能力!今のお前らと俺は『ガキとゴリラ』程の差がある。フン!」普段の10分の1しか力を発揮できないとはいえ霄は男の鎖を回避できた。これば日頃から鍛えている成果もあるが半吸血鬼の為封魔の結界の影響を100%受けなくて済んでいるのだ。妃羅莉もまた人間と融合している為少しは魔力を使えている。霄は拳を連続で繰り出し男を打ち付ける。「いいのか?万が一俺が死んでしまったら白峰家は終わりだぞ?」「貴様に心配される謂れなど無い!」「そうかよ!だったらせいぜいあがきな!」霄の拳を回避する男、腰から取り出したフラスコのような瓶を足元に投げつける。「!?」地面に叩きつけられた瓶は割れ、中から水が溢れる。霄はそれを用心深く横に避けると突如水から青い炎が上がり霄に襲いかかった。「クックック!魔力に反応し燃え上がる教会特製の聖水はどうだ?」「たああああっ!」男の背後から妃羅莉が飛びかかる。男は腕から下げた懐中時計を開いた。「がっ!!」「む!?」妃羅莉と霄の体が硬直する。男は動けない二人にエネルギーを込めた鎖を叩き込む。「あがっ…」「ぐっ…」地面に転がり硬直が解けた二人。3秒ほどの間二人は全く動けなかった。「い、痛いよぅ…」「今のは何だ…」「クックック…さぁどうした!」瓶を取り出し、聖水を霄と妃羅莉の後ろに投げつけた。退路を断つつもりだ。「オラっ!」倒れている妃羅莉の首に鎖を巻きつける。「まずはネズミから始末してやるか!吸血鬼はその後じっくりといたぶってやる」「やめろおおお!」突進する霄、男はそれをみて口角を上げる。「怒ったところで無駄なんだよ」再び懐中時計を開く。霄と妃羅莉はまたもや硬直してしまう。「まずはネズミをハリネズミに!吸血鬼は消毒だ!!」ナイフを5本取り出し妃羅莉に投げつける、次に聖水を霄に浴びせかける。「ああああああああっ」5本のナイフが妃羅莉の肩、胸、腹に突き刺さる。聖水を浴びせられた霄の体は燃え上がる。「うううううう…」「クックック…ほれ、反撃してみろよ吸血鬼。次はどうする?霧になるか?それともコウモリの大群を呼び寄せるか?それともエナジードレインを使ってみるか?」妃羅莉の髪を掴んで投げ捨てる男、ゆっくりと霄に近づく。「……」「ほらほらぁ!」鎖を振るう男、だが鎖は霄の目の前ではじかれた。「ほう…」霄の両手の指から鋭いナイフのような爪が生えていた。連続で鎖を振るう男、霄はその全てを弾き返した。「クックック…そうでなくてはな!」「………」鎖の攻撃を続ける男、霄はその動きを見切っていた。「(この鎖…避ければ追いかけ、掴めば捕縛からの生命エネルギーを流す攻撃に繋げられる。弾き返すのが良い)」弾きながら間合いを詰める霄、それに対し男は左手で斧を持ち近接の迎撃準備をする。「(結界の影響で身体能力に子供とゴリラの差があろうともこの爪ならダメージを与えられる。深く突き刺さらなくても良い、引き裂けなくても良い、届けば…)」「このまま間合いを詰め、俺が後ろに下がる瞬間を狙って攻撃するつもりだろう?うまくいくかな?」そう言い斧を投げる男、霄はそれを屈んで回避する。「(今だ、鎖の攻撃に隙ができた!)」鎖の攻撃を弾き右手を伸ばす霄、男にナイフのように鋭い爪が襲いかかる。「!?」紙一重でその攻撃は届かなかった、霄の背中に何か大きなものが突き刺さった。「ぐふっ…」男の投げた斧がブーメランのように戻って霄の背中を襲ったのだ。「そして次はこれだぁ!」懐中時計を取り出す男。霄の体が硬直する、男は霄に鎖の連打を浴びせる。「クハハハハハハー!ボロ雑巾だなあ!!悔しいか?この懐中時計の力がなんなのか知りたいか?」仰向けに倒れる霄、血だまりができている。「そろそろ止めを差してやろうか?吸血鬼らしく十字架でなぁ」懐から十字架を取り出す男、十字架の下部から白木の杭が飛び出す。「これをお前の心臓に突き立ててやろう」「(近づいてこい…爪の一撃を入れてやる……)」「念の為に懐中時計を使って十字架の杭をブチ込んでやるか」「(くっ…)」懐中時計を開く男、霄の体が硬直する。「これで終わりだ死ねえええええ!!」「何をやっている!!」男の後ろで声がした。振り返ると学生服の男がトンネルに入ってきていた。「ああん?人払いの結界は機能してるはずだが…」「教会の人間が…なぜ白峰家の者を手にかけようとしてるんだ!」そう叫んだのは木城蓮也だった。「なんだ小僧…教会の関係者か?どうやってこのトンネルに入った」「質問をしてるのはこちらだ、答えてもらおうか!」蓮也はゆっくりと歩いて近づいてくる。血まみれでナイフを5本刺された妃羅莉と息も絶え絶えの霄を見る。「ふん、一人前に殺気を放った目をしてやがる…俺は源藤高雅(げんどうこうが)教会の執行人、役職はプリーストだ。小僧てめえは何だ?」「俺は木城蓮也だ…」「あ~あ~なるほど、あの木城のガキか。結界に入れたのも何か渡されてるんだなぁ」「源藤とやら…こんな事をして教会に知られれば破門では済まないぞ」「ふん、そんなものどうとでも言い訳できる。てめえの口さえ塞げばな!」短剣で蓮也を刺してくる源藤、しかし蓮也は空手の受けで流して手首に一撃を入れた。「ちっ…やるじゃねぇか…空手か?だが所詮は人間対人間の格闘技よ。はあああああっ!」源藤の体が一瞬輝いた。体に刻み込んだルーンの力を使ったのだ。「うおらああっ!」横蹴りを放つ源藤、蓮也は受け止めるも衝撃を受け止めきれず後方に飛ばされる。「素人が教会の執行人に勝てるものかよ」「源藤…お前…!」短剣を手に蓮也に迫る源藤。蓮也は立ち上がって呼吸を整える。「ふううううううう…」蓮也の体が一瞬輝いた。源藤がルーンを発動させたように。「ほう…呼吸法で生命エネルギーを高めるか。なるほど、あのオッサンのガキだけはある」蓮也はこの呼吸法を実戦で使うのは初めてだった。日常生活で使うことはなく空手の試合はもちろん街でサイバネ者とのいざこざの時にも使わなかった。加減が出来ないからだ。「とっととブチ殺して吸血鬼を始末しねぇとなああ!」短剣を振る源藤、蓮也はそれを見切り避けながら貫手を喉に入れた。「ぐぇ…」ひるんだ源藤に正拳突きを二発入れる。顎を打たれ脳震盪を起こした源藤は膝をつく。「こ、このガキ…」懐中時計を開く源藤、硬直する蓮也。源藤は膝をついた姿勢のまま蓮也の腹に短剣を深々と突き刺した。「な…に…」崩れ落ちる蓮也、源藤は短剣を引き抜き蓮也を踏みつける。「馬鹿が!邪魔する奴はこうなるんだよ」その時トンネルに火柱が上がった。「なんだ?」血だまりに倒れていた霄が立ち上がり両手の爪に炎を宿していた。「貴様は…殺す!」「まだそんな力を残していたとはな。だがどんなに強力な吸血鬼であろうと俺の前には無力!封魔の結界と懐中時計がある限り俺に敗北はねえ!!」懐中時計を取り出す源藤、だが時計の鎖の先には何も無かった。「!!?な、なに!どこにいった!!」源藤の顔に焦りの表情が浮かぶ。ゆっくりと迫る霄。懐中時計は蓮也が刺されて倒れる時、もぎ取っていたのだ。「ちっだが…封魔の結界は健在…俺に敗北はねえ!うおおおおおおっ!!」聖書を片手に鎖を振りながら霄を迎え撃つ源藤。霄の額の前に赤く輝く光の玉が出現する。次の瞬間レーザー光線のように源藤目掛けて放たれる。「うおおおっ!」聖書でガードする源藤。霄が接近する。右手の爪の横凪の一撃が源藤の首をかすめた。「ぬおおおおっ!」鎖を操り自身を守るように包み込むように回転させる。霄は鎖を避け一歩下がった。「へ、へへへ…惜しかったな、薄皮一枚の傷じゃ俺は死なねえぜ」「それで十分だ…」そう言ったと同時に源藤の首の傷が火をつけたように燃え上がる。「ぐはああああああああ…」地面を転がる源藤、聖水を使い傷の炎を消す。「懐中時計が使えなくてもなぁ…」10本のナイフを上に放り投げる源藤、鎖を振りナイフを取り付ける。金属のムカデを思わせる形になる。「うおおおっ!」金属ムカデとなった鎖を離し、斧を持って霄に仕掛ける。足元を狙う金属ムカデとの同時攻撃、霄はその攻撃を大きくジャンプして回避する。「馬鹿な!封魔の結界の中でそんな動きが…」短剣を投げる源藤、霄は壁を蹴って避け源藤の背後に回る。「ぜああっ!」斧を振る源藤、霄はそれを爪で弾く。その動きは先程までは比べ物にならない速度。毎日のように白峰の庭で須原登流と組手を繰り広げている吸血鬼状態の動きであった。「な、なぜだ…なぜそんな力を発揮できる…うぐっ」霄の後ろ回し蹴りが源藤の頭部に命中する。踵が命中した部分から発火、源藤の耳の上の髪を焦がす。「ぐあああああ…くそ、行け!聖鎖鞭!」後ろから迫る金属ムカデの攻撃を軽く回避した霄、鎖の間に爪を通してトンネルの壁に投げつける。鎖と短剣は離れバラバラになる。「封魔の結界がなければ一撃でお前の頭など灰にとなり消滅している!」「これが白峰家の吸血鬼の力か…」霄はほとんど毎日血を吸っていた。血は魔力に変換され霄の中に蓄積されていく。幼い頃から血を吸い続けてきた霄は魔力を貯め込めるようになっていた。その魔力を開放することにより一時的に爆発的な力を発揮できる。その力は封魔の結界では抑えきれない。「さぁ…覚悟しろ」続く
Mar 23, 2013
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白峰霄:ラーメンは鶏がらスープの味が効いた醤油味が好き山根妃羅莉:ラーメンは豚骨醤油背脂たっぷりチャーシュー大盛りが好きVAMPIREEYE 第十五話「源藤高雅」7階につくとそこは落ち着いた照明とシックな壁、深い絨毯が敷かれていた。他のカラオケ店とはまるで様子が違った。「超ヤバイ!なにこのセレブ感!セレブ館ってやつ?」はしゃぐ妃羅莉。部屋案内のプレートを見て702号室に入る三人。702号室は茶室をイメージした畳の和風の部屋だった。磨き上げられた木製の机に厚い清潔な座布団、床の間には鯉の絵が描かれた掛け軸、窓は障子が貼られている。「わーこの前霄と来た部屋は洋風だったけどこっちもいいね!」「家のようで落ち着くな」「いいなぁ!あたしんち畳の部屋ないからな~」『ワンドリンクはサービスです。ご注文をどうぞ』机の中央に置かれたタブレットから音声が発せられる。駒村がタブレット手に取る。「みんな何頼む?私はフルーツジュース」「あたしコーラ!」「アイスティーで」タブレットを操作して注文する駒村。『注文を受け付けました。ごゆっくりお楽しみください』「じゃあ早速曲入れよう!誰から行く?」「私行っていい?」タブレットを持った駒村が言う。反対する者もいないので曲を送信する。「次は?妃羅莉?霄?」「私は後でいい…」「そうなの?んじゃあたし入れちゃうぞー!」すぐに目当ての曲を見つけ送信する。最初に入れた駒村の曲が始まった。「イヤッホー!!喉ガラガラになるまでいくよー!」「いっちゃえいっちゃえー!!」激しいパンクの曲が始まった。座布団の上に立ち熱唱する駒村。妃羅莉は手を振り手を叩き盛り上げる。霄はその様子を見ながらタブレットとにらみ合いをしていた。まだ最初に歌う曲を選べないでいた。「(何にしようか…丁度私が歌っているときに店員が入ってこないだろうか…)」「フゥウウウウウウウウウッ!センキューーーーー!!!」「フォーーーーーー!!」駒村の歌が終わった。汗をかいていた。「次はあたしだ!この曲振り付けも覚えてんだよ!」「いいね!」「(早く選ばないと…)」曲が始まると妃羅莉は飛び跳ね踊りながら歌いだした。回転したりポーズを決めたり完全に曲のアイドルになりきっていた。そして曲のサビの部分で店員が静かにドリンクを持っていた。「(ほっ…これでなんの心配もなく送信できるな)」霄はアイスティーにミルクを入れた後『老人と古い大きな時計』をテーマにした曲を送信した。世間で知らないものはないとされるくらい有名な曲である。「いえぇい!」「妃羅莉すごーい!振り付け完璧すぎ笑った!」「えへへありがとー好きで何度何度も動画見て覚えたんだ~次は霄ちゃんだ!」「そ、そうだな!」正座したまま両手でマイクを持ち画面を凝視する霄。曲が始まると腰を上げ膝をついたまま直立する。その体勢のまま自分の音程で丁寧に歌い上げた。「いいねいいね!こういう歌も丁寧に歌うとカッコイイね!」「超感動した!あたしには無理こういう歌い方!」駒村はパンクと演歌、妃羅莉はアイドル、霄は歌謡曲をメインに歌った。それぞれ思いっきり歌を楽しんだ。『退室時間10分前です。延長の場合は10分以内にお伝えください』退室時間10分前に端末から合図の音声が発せられた。「もうそんな時間!?」携帯を確認する駒村、時刻は18時20分であった。「じゃあ次の曲でラストだね!行くよー!!」「よし!」最後は三人で有名なアーティストの曲を歌った。行進曲や大きなスポーツの祭典でよく使われるため霄も知っていた。「あー楽しかった!また来ようね!」「次はコマちゃんの彼氏?と~蓮也先輩も誘っちゃう?舞子も呼ぼうか?」「五郎君は彼氏じゃないってば~!あ、でも五郎君モノマネ上手いし盛り上がるよ!蓮也先輩が何歌うか気になるし、妃羅莉の友達にも会ってみたいし!」「男子を誘うのか」戸惑う霄。異性の前で歌うのは恥ずかしいと言う。「んー…じゃあまた女子だけでやろっか!男子はその内誘うって事で」「女子会イエーイ!」「それなら緊張しないで済むしな」エレベーターを降りてセンジョーのゲートを通って外に出る三人。センジョーのカウンターの端末には三人のIDカードのデータが表示され退店したことが確認された。三人は駅に向かう。途中には30mほどのトンネルがある。数十年前に起きた地震で隆起した地面が国道を分断したためこのトンネルが作られた。「このトンネル嫌な感じだよねー…いっつも思うんだー」駒村が言う。「あれ?来た時と何か感じが違うね?」妃羅莉がトンネルの壁を見ながら言う。「(微かに魔力…いやこれは…)」霄が警戒する。三人がトンネルの真ん中程に差し掛かったところで前から男が歩いてきた。紺色のコートに黄色の刺繍。体格は筋肉質で背は2m近くあった。「あの服は教会!!」霄が叫ぶ。次の瞬間、霄の体が何かに押さえつけられたように重くなった。「そ、霄ちゃん…」妃羅莉の体も重く感じている様子だ。駒村は何か起こったか理解できず顔色の悪くなった二人を心配している。「どうしたの霄?妃羅莉?」「駒村…離れろ…」「え?何?…きゃあっ!」大柄な男の方から鎖が伸び霄に襲いかかった。駒村の髪をかすめる。「くっ…」鎖の先には拳大の楔のような刃物が取り付けてあり、受け止めた霄の左手に突き刺さっていた。「え!?何!!霄血が出てる!」「駒村逃げてくれ!山根、動けるのなら駒村を頼む」鎖を引き戻す男。その距離は霄から10m程。再び鎖を構える。「一般人を巻き込むと面倒なんだが…闇の住人にやられた事にしちまえばいいか。後始末屋に目撃者の記憶を消す依頼するのも面倒だしな」男の鎖が伸びる。霄の手前で生き物のように曲がり駒村に襲いかかる。「コマちゃん危ない!」妃羅莉は駒村をかばい鎖の刃を背中に受けた。「あううう…」「妃羅莉!…何なのあの人!警察に電話するわ!!」携帯電話を取り出す駒村、しかし表示は圏外。短いトンネルにもかかわらず電波は届いてなかった。駒村はそれでも諦めなかった、衝撃を受け、恐怖も感じていたが体は動いた。トンネルの外に出れば電話が通じると考え走り出した。彼女の父は刑事だった。正義感が強く機転の利く刑事で多くの事件を解決していた。彼女はそんな父の姿を見て育ったのだ。駒村涼はそんな父の血が流れているのだ。「すぐ警察か誰か人呼ぶから!」痴漢撃退用のスプレーの存在を思い出したが男の鎖の攻撃を見て思い直した。自分がどうこう出来る相手じゃない。それならどうするか?トンネルの外で大声を出し助けを求めもう一度携帯電話で警察に通報しようと考えた。それでも男が霄たちに襲いかかるのなら持っている物をありったけ投げつけ手を引いて逃げようと考えた。「させねぇよ!」男はコートから短剣を取り出し投げつけた。駒村のふくらはぎに突き刺さる。「きゃあっ!」それ見た霄、目が真紅に変わり髪は一気に銀髪となる。吸血鬼化した。「貴様ァあああ!」自分や妃羅莉を狙うのなら解る、だが無関係の駒村を狙ったことは許せなかった。たとえ彼女の前で吸血鬼化し正体がバレようとも。「うああああああっ!!」怒りの霄は肉食獣のように男に飛びかかる。「ふん、本性を現したか!」鎖を引き寄せ飛びかかる霄の右手の一撃を受け止めた。電気自動車のドアを一撃で弾き飛ばす威力を持つ霄の攻撃を男は簡単に受け止めた。「驚いたか?ルーンで生命力を強化してるんでな。これでも俺はヴァンパイアハンターなんだぜ?」男は左手で銀に輝く手斧を取り出し攻撃してくる。バックステップで回避する霄。「教会の…吸血鬼専門チームの人間か」「クックック…その通りだ。白峰霄、お前はここで滅してやるぜ。教会が白峰家と手を組んでるのは知ってる。だが人間に被害があった場合はどうだ?仕方なく滅するしかないだろう?んん?」ニヤけた顔で言い放つ男。「何を考えている…教会は白峰家当主の力を得られなくなれば困るのだろう?私を滅すれば当主は協力しないだろう」「クックック…それはどうかなぁ。お前が暴走して一般人を殺せば話は別だろうよ。報告書にはそう書いておいてやる。あの娘には悪いが死んでもらうぜ。どうせ目撃者は消すつもりだったんだ」「教会が一般人に手をかけるなど…」「なぁに心配するな。人払いの結界はトンネルの出入り口に張ってある。他の一般人はこねぇよ。まぁそこの娘は運が悪かったな。…俺はよ~退屈なんだよぉ、俺は吸血鬼をボコボコのズタズタにいたぶるのが好きなんだ。生きがいなんだよぉ。もう普通の吸血鬼じゃ満足できねぇ、そこで白峰家に目を付けたって訳だ」「己の欲望のために無関係の人間を巻き込むのか!」「当たり前だろ。お前ら闇の住人もそうだろ?好き勝手やって人間の命をなんとも思わねぇ。人間が己の欲望の為に太らせ殺して食べている動物に何も感じねぇのと同じだろ?」「貴様と議論するつもりなどない!」「ならばどうする?俺を殺すか?どうあがこうが白峰家の不利だな!クックック!」霄と男が対峙している後ろで妃羅莉はゆっくりと立ち上がった。背中からはおびただしい出血、セーラー服の背中を真っ赤に濡らしていた。「いたたたた…コ、コマちゃん大丈夫ー!」駒村は足に突き刺さったナイフを抜かずに這っていた。妃羅莉の声に気がついた。「妃羅莉、動いたら血が!」「大丈夫…多分。あたし頑丈だからね!」重くなった体を引きずりながら駒村に歩み寄り抱き上げた。「妃羅莉!」「いいからいいから、コマちゃんちょっとだけ目瞑っててくれる?」「妃羅莉!霄が!!」「霄ちゃんはそう簡単にやられないよ、超強いんだから!今はコマちゃんを逃がさなきゃ」「え?だって霄よりもあんな大きな男の人が…」「コマちゃん!マジでお願い、少しだけ目瞑ってて!」妃羅莉の普段見せない真剣な表情に驚いた駒村はそっと目を瞑った。「行くよー!チュチューエクスプレス!!」妃羅莉の足元に魔力でできた猫ほどの大きさの鼠が数十匹現れる。その上に駒村をそっと乗せる。「コマちゃん100数えたら目開けていいからね」「う、うん…」魔力の鼠達は駒村を載せて駅に向かって走り出す。霄と男のいる反対方向からトンネルを出て行った。「これでコマちゃんは大丈夫。ナイフの傷は浅かったしすぐに治療すれば平気だね」それを見ていた男は舌打ちをする。「チッ鼠が…まぁいい。お前らを始末したあとあの娘を追いかけて口封じするまでよ」「ネズミをなめんな!」「お前ら二体とも滅してやるぜ。このトンネルの内部は封魔の結界を張ってある中でどれだけやれるかなぁ?」男は斧をしまい懐中時計を取り出す。右手には鎖を構えている。「山根、油断するな。こいつは相当な使い手だぞ…」「でもこの結界から押し出せば余裕っしょ?一気に行くよ!チュチュースプラッシュ!」魔力の鼠が地面から大量に現れ、妃羅莉と同時に男に攻撃を仕掛ける。続く
Mar 21, 2013
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白峰霄:私服はボーイッシュ。スカートははかない。山根妃羅莉:私服はストリート系。ミニスカを愛用。VAMPIREEYE 第十四話「センジョー」カバンに入れてあった携帯を取り出す霄、見慣れないアドレスからメールが届いてた。『題名 やっほー!本文 コマちゃんに聞いてソラちゃんのアドレス聞いちゃった!よろしくぴー!!BY山根妃羅莉』その前のメールには駒村涼から山根妃羅莉にアドレス教えるよ?と書かれたメールが届いてた。「駒村が教えたのか。山根妃羅莉……ん?またメールか」『題名 おおーい本文:ソラちゃん返事くだちー!』「しょうがないな…返事しておくか」少し笑いながらメールを打つ霄。『題名 Re:おおーい本文 これで良いか?』メールを送ってベッドに横になる霄、すぐに携帯が鳴った。『題名 サンキュー!本文 イエーイ初メール交換だねっ!それじゃあまた明日学校でねー☆』メールを見たあと大の字になって天井をしばらく見つめていたが宿題を思い出した。カバンから数学の教科書とノートを取り出し机に向かう。「ねえさんちょっといいかしら?」引き戸の向こうで吹雪の声がした。「入っていいぞ」引き戸を開けて吹雪が入ってくる。「ねえさん、変わったメール届かなかった?」「変わったメール?」霄は妃羅莉からのメールを思い出したが変わってるという程でもなかったので思い直した。「どんなメールだ?」「これなんだけど…」吹雪は自分の携帯を霄に見せる。様々な色を混ぜた奇妙な模様が貼り付けられたメールだった。件名は『白か黒か』「んー?初めて見るな。なんだこれは?」霄は吸血鬼化のまま携帯の画像を見た。「明命館の生徒の間で出回っているの。ねえさんは何も感じない?」「……不快だとしか感じないな」「そう…わたしにはこのメールが闇の住人の仕業と感じた。だから教会に調べてもらったの。…分析の結果は闇の住人からの誘いのメールだった」吹雪は携帯電話をしまう。「今日、刀を取りに田口堂に行ったら…木城紫蓮さんの次男、二郎くんに会ったわ」「そうか…」「今まで二郎くんとは接触なかったからすぐに誰か解らなかったの。あんまり蓮也さんにも似てないし…で、二郎くんにもそのメールが届いたんだけど父親の紫蓮さんが手を打っておいたみたいで大事には至らなかったんだけど、二郎くんが自分の家の事を少し知ってしまって…わたしのせいで」吹雪はあの時間に田口堂に行き二郎と鉢合わせになったことを後悔していた。「それは気にする事じゃない。蓮也さんも「そろそろ二郎に教えるべきだ」って言っていたからな。そんな事をわざわざ言いに来たのか?」「……洛庵高校にも闇の住人はいるの?」吹雪は少し小さな声で霄に質問した。「それは言えないな、私は教会に協力はしない。今でも吹雪が教会に入ったことを反対しているんだ」山根妃羅莉のことを思い出したが口には出さなかった。「ねえさん…」「心配するな、危険な奴は私が何とかしてやる。執行人が見つける前にな」「…無茶はしないで。それじゃ」吹雪は霄の部屋を出て行った。霄は再びベッドに寝転がり自分の携帯を取り出した。妃羅莉のメールを眺める。「そういえば山根の奴…友人がメールことを言ってたな『明命館だよ。フルネームは奥寺舞子。…あの子変な遊び始めた見たい。チェーンメールっての?超ヤバイ感じ』とか。明日、山根に聞いてみるか」しばらくベッドで考え事をしていたが課題を思い出し机に向かった。―翌日。吉良伝左衛門の声で目を覚ました。彼の声はよく通る低い声であった。起きてすぐに制服に着替える霄。吸血鬼化を解除する。顔を洗った後、食卓に向かうと吉良が白飯、豆腐の味噌汁、海苔、西京焼き(西京味噌と粕で白身魚を漬け込んで焼いたもの)を並べていた。吉良はメガネのズレをなおし霄の茶碗に白飯をよそう。霄は自分の座布団に正座し頂きますと手を合わせて食べ始めた。白峰家の食事は吉良が担当している。他には洗濯に買い出しなど家事を主に担当している。もう一人の同居人須原登流は庭の手入れ、掃除、力仕事、警備を担当している。霄が半分ほど食べ終わったところで吹雪が現れた。「おはようねえさん」「おはよう」二人の会話はそれで終わった。吹雪が教会に入ってから徐々に会話は少なりなり執行人となった今は殆ど話さなくなっていた。「吹雪お嬢様どうぞ。霄お嬢様、漬物をお持ちいたしましょうか?」吉良は吹雪の茶碗に白飯をよそいながら霄に尋ねる。「いや、いい」「霞お嬢様はまだ起きてこられませんね…」「またギリギリまで寝てるのか。仕方のない奴だ」「またあとで様子を見に行きます」「ごちそうさま」食事を終えると霄は自室に戻り鞄の中身を確認してから家を出た。「いってらっしゃいマセ霄お嬢様」「ああ、行ってくる」須原が門の外を掃いていた。外は薄雲に覆われた天気だった。快晴は日の光が強いため苦手で曇が一番好きだった。雲を見て傘を取りに帰ろうと迷ったが学校のロッカーに置き傘があるのを思い出した。日差しの強い日は日傘をさすことを吉良に勧められたが必要以上に目立つのを避けたい為拒否した。いつも通り駅に向かい、いつもの時間の電車に乗り洛庵高校の最寄駅で降りる。「霄ちゃんおっはよー☆」交差点の向かい側で背の高いツインテールの女生徒が手を振っている。山根妃羅莉である。「山根…」小さくため息をつく霄。横断歩道を渡ったところで挨拶を交わす。「おはよう山根」「おはよう霄ちゃんっ」霄の目線に頭をさげて顔の横でピースサインを作る妃羅莉。「なんだそのテンションは?昨日まで呼び捨てだったろうが」「だってマブタチじゃん?あたし達って」「は?」「メール交換したしぃ~化け物同士だしぃ~」「ただのクラスメイトだ。親友などではない」「え~マブダチになろうよ~」「声が大きい、もう少し静かにしてくれないか」「ちえー…」口をとんがらせる妃羅莉、携帯をいじくり回しながら聞いてもいない自分の昨晩の夕食のメニューやら朝はマスドで済ませたやらを話しだした。「でさぁ~舞子ってば飽きもせずにまた同じドーナツ注文したんだよ~?」「舞子…奥寺舞子か」「そうそう!覚えてんじゃん霄ちゃん!えらいえらい」霄の頭を撫でる妃羅莉。「触れるな!」「いいじゃん~」「まったく…それはそうと奥寺舞子は何かメールで遊んでいるとか言ってなかったか?」「あ、そうなの!今日の朝、舞子とマスドでドーナツ食べてる時にその話聞いたよ。教会に目つけられるよ?って言ったんだけど全然気にしてない様子だったよ。もう何人か傀儡化したとか言ってたけど超ヤバイよね」「奥寺舞子は自殺願望でもあるのか?」「まさか~?教会の対抗策はとってるって言ってたよ。あの子蜘蛛だから獲物捉えて喜んでるだけじゃないかな?メールの画像だって自分で作ったんじゃないって言ってたし」「そうか…山根、お前は何かしようと思わないのか?」「え?なんで?いや~別に…融合したこの子の家そこそこお金持ちだし美味しいものお腹いっぱい食べれるしまぁまぁ将来も安定してるし…元々の化物だった頃の欲望は薄いくなってるから」「おまえは何の種族だ?」「鉄鼠(てつそ)だよ。鼠操ったり頑丈な歯でガリガリやったり病気ばらまいたりするアレ。正直いたずら以外することないし鉄鼠の真祖様みたいに恨み晴らす相手もいないし」「鉄鼠…そうか、なるほどだからネズミー王国が好きなのか」「親近感バリバリってやつ?」「お前がその気になれば洛庵高校の生徒を全員病気にできるって訳か」「しないしない!それは楽しくない!!それにそんな事したら霄ちゃんに殺されるし!」「…楽しくない。か」「おはよう白峰」後ろから声をかけてきたのは木城蓮也であった。「おはよう蓮也さん」「おはよーございまーす☆」片目を瞑りピースサインを作る妃羅莉。「蓮也さんこっちはクラスメイトの山根」「おはよう山根さん。木城蓮也と言う」妃羅莉の目の前に立って挨拶する蓮也。「超ヤバイ!イケメン!!」「はははっありがとう」蓮也は笑顔で先を歩いて行った。「霄ちゃん!あのイケメンと知り合い!?にゃんにゃん…いやチューチューする仲とか!?」「は!?」霄の肩を掴み顔を近づける妃羅莉。霄は手を払いのける。「触れるな!蓮也さんは昔からの知り合いだ。家同士の交流もある、それだけだ」「へ~そうなんだふ~ん…」洛庵高校に到着するまでの間、妃羅莉は蓮也の事を質問し続けた。―放課後霄、駒村、妃羅莉の三人で下校する。妃羅莉の提案でカラオケに行くことになったのだ。霄はカラオケが苦手で渋ったが駒村と妃羅莉に説得され結局行くことになった。「ねーねーコマちゃん何歌う?」「演歌、パンクが好きかな!妃羅莉は?」「アイドルの卵だからね!アイドルミュージックよ!!」「そうだったそうだった!CD出たら買うからね!!」「えへへー宜しくー☆霄ちゃんはなに歌うの?」「私は…普段音楽を買わないから授業で覚えた歌くらいしか…」「マジで!?あ、でもそれって新鮮かも。カラオケでそういうの歌わないし!」洛庵高校最寄りの駅から一駅のところにアミューズメント施設『センジョー』がある。その中には景品を取るゲーム、音楽に合わせて踊るゲームにビデオゲーム、コインゲーム、カラオケ、ダーツにビリヤード、などがある。昔はこういった娯楽施設は不健全な場所とされてたがセンジョーは屈強なサイバネガードマンとスタンガン装備の監視カメラ、ID登録による客の入退店など徹底したセキュティによりむしろ街中より安全とも言える場所になっていた。センジョーは娯楽施設のイメージを変えたのだ。当然問題を起こした者は即排除されIDから入店禁止者とされ二度と店に入ることは出来ない。霄と駒村は以前に一度来たことがありID登録を済ませていた。妃羅莉は入口のゲートの前で規約の同意にサインと写真撮影を行う。三人はゲートを通り受付に向かう。「うひゃ~センジョーに入ったの初めてだけどすごいねー」キョロキョロ見渡す妃羅莉。「いらっしゃいませ、センジョーにようこそ。カードのチャージはされますか?」赤と黒のスーツを着た女性店員が笑顔で三人に問う。センジョーでは現金の代わりに受付で専用のカードにチャージする。両替のトラブルやゲーム機の不正行為を防ぐ為である。妃羅莉は初めてなので5千円分チャージした。「三人でカラオケしたんだけど部屋は空いてる?」駒村が聞く。「カラオケのご利用ですね。すぐにお通しできます。ご利用時間はいかがなされますか?」「じゃあ…3時間で!」「かしこまりました。お部屋代3時間でお一人様900チャージ頂きます。702号室にどうぞ」三人はカウンターでカードで支払いを済ませエレベーターで7階に行く。続く
Mar 16, 2013
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オルガ:目をいじるのは流石に抵抗がある。視力は低いまま。FalloutNewVegas 第12話「メガネファイターオルガGIブルース」キングのものまね学校の一階奥の部屋に通される。舞台があってそこで男たちが歌を歌っていた。部屋の中央にペイサーと呼ばれる目つきの悪い男が番をしていた。「ペイサー、帰ったぞ」「おつかれさんですキング。レックスは…?」「今はどうにも手の施しようがないらしい。脳の寿命に限界が来てるとか」「そうですかい…良い医者が見つかるといいんですがね」ザ・キングは舞台を正面から見れる席に腰を下ろした。サイボーグ犬のレックスも床に伏せる。「その事はまた考えよう。それよりもボディガードの件を片付けなければならない。そこでだペイサー、メンバー以外の人間に調べさせることにした。これなら奴も警戒しないだろう」「ああ、あのオリスって男の件ですね?確かに中々尻尾は掴めない…その女に頼むんで?」「ああ、タフな目をしている」ザ・キングは観光客相手のボディガートをやっているオリスという男の事を説明した。フリーサイドの北ゲート前で客引きをしている。リピーターが多いらしいけど何か怪しいとザ・キングは睨んでいると。そこであたしが客としてオリスを雇い調べて来いとのことだ。「何かわかったら教えろ。軽率な行動は取るなよ?報告さえしてくれればこちらで然るべき対処は取る。いいな?」あたしはザ・キングから200キャップを受け取った。オリスって奴のボディガード料こんなにするの!?あたしは200キャップを持って早速北ゲートに向かった。北ゲートにはキングスのメンバーと汚い格好の傭兵、ピカピカのメタルアーマーを着た髭の男が居た。「オリスって言うのは誰ですかね?ボディガードしてもらいたいんだけど」「俺だ!いい選択だぜ女。俺なら確実に安全にストリップ地区まで送ってやれるぜ」ピカピカのメタルアーマーの男が前に出てきた。髭は伸びてるけど整っている。顔色も良い。なるほど金は稼いでるって事ね。横のヨレヨレの傭兵とはエライ違い。「200キャップだ」「…ねぇ高くない?相場の倍だよ?」「命より高いものはないだろ?言っとくが俺は今まで客を危険な目に合わせたことは一度もない。もし強盗が現れても銃を抜く前に俺が仕留めてるからな」「ふ~ん…ま、いいや(あたしのキャップじゃないし)」「じゃあ行くか、その前に注意だ。決して俺より前に出ないこと、それと俺の指示に従うこといいな?これさえ守ってくれれば安全は保証する」「わかった」オリスは小走りで進みだした。理由を聞くと危険な場所でゆっくり観光するのは馬鹿のすることだと。人々の間をあたし達は駆けて行く、フリーサイド南地区のゲート抜けた。南地区に入ると急に人が多くなる。ここにはアトミックラングラーを始め宿場や雑貨店、風俗店が多く立ち並ぶ。酔っ払い、路上生活者に加え、ベガスで金をすってしまった観光客や傭兵で溢れかえっている。通りの交差点にはキングスのメンバーが配置され犯罪には目を光らせている。大通りの突き当りには巨大なゲートがありその向こうにはキラキラ光るベガスのストリップ地区がある。あたしもストリップ地区には行ったことがない。行ったことがあるかもしれないけど記憶にない。「おっと、この道はどうも気に入らない…左に曲がるぞ」「はぁ!?」いきなり進路を変えるオリス。しかもどうにも気に入らないとかいう理由で。遠回りして料金加算するつもり!?「まっすぐいけ!勝手にルート変更すんな!」あたしは思いっきりオリスの肩を掴んだ。「何言ってんだ、こっちのが安全なんだ!俺の指示に従うって約束だろ?」「むうう…」しぶしぶルート変更に付き合うことに。薄暗い裏道を歩く、虚ろな目をした薬物中毒者や路上生活者がそこらに転がっている。こっちはキングスのメンバーもいないし地元の者でも滅多に足を踏み入れない場所、こんなルートが安全だって?「うおおおおおおっ!」いきなりオリスが猛ダッシュし始めた。メタルアーマーとは思えない速度で!「あ!待てっ!」慌てて追いかけるあたし、鍛えこんでるあたしの脚力をもってしてもオリスにはすぐに追いつけない、こいつ本当に凄腕のボディガードかも?「ぬおおおお!」車の影からナイフや鉄パイプなどをもった男たちが5人飛び出してきた。「ちぃ!」大きなリボルバーを取り出して撃つオリス、3発連続で放った。そして倒れる5人の男。「ふ~危ないところだったな?もう大丈夫だ」「………」3発しか撃ってないのに5人倒れた…なんかタイミング良すぎるし来るのわかってたような気がする。なーんか怪しいやらせっぽい…「ねぇ3発しか撃ってないのに5人倒れてる」「その事に気がつくとは。弾丸を貫通させて後ろの敵を狙ったんだ、これは俺だからこそできる神業だ。弾丸も無駄にしないし素早く敵を倒せる」「ちょっと死体調べてみよ…」「おいおい、そんな暇はないぞ?さっさとここを離れたほうがいい、さぁストリップ地区のゲートに向かおう」その後何もなくストリップ地区へのゲートにたどり着いた。「さぁ到着だ。また利用してくれよな」得意満面な笑みで言うオリス。胡散臭さ大爆発だ。「やっぱり気になるしさっきの死体みてくるよ」「…おい、余計な事は詮索するなよ?お互いのためだぜ?な?」「あ?脅し?」あたしの脳内にアドレナリンが流れる。「長生きしたいだろ?ん?世の中には知らなくていいこともあるんだよ」「…そのくらい知ってる。あたしが気に入らないのはツアーが終わっても指図して得意気に脅してるその態度だよ。死体調べるのはあたしの自由だ、違う?」「なんだてめぇ…ただの観光客じゃねぇな?だったら最初からボディガードなんて頼むんじゃねぇよ。俺は忙しいんだお前のような奴の相手をしてる暇は無い、じゃあな」走り出すオリス、あたしはそこでブチギレてしまった!「あ、待てっ!!」ダッシュで間合いを詰める、そしてそこからアッパーをオリスのケツにぶち込む!「オルガAF!」「あばーっ!!」あたしの腕力とパワーフィストの空気圧で吹っ飛ぶオリス、地面に転がって泡を吹いた。「あ、ヤバ…」キングとの約束を思い出すあたし、オリスにいらないことしちゃダメなんだった…「死んでない…よね?」ケツはもうダメかもしれないけど。「あば…あばばばば…」「うりゃあっ!」首筋になけなしのスティムパックをブチ込む。これでなんとか助かるはず。オリスを引きずって通りにいるキングスのメンバーに引き渡したあとあたしはどうしても気になる死体を調べに行く。「あれ?消えてる?」数分前まであった死体が消えてる。この辺はセキュリトロンも来ないし、どこかの店の前でもないから結構長い間残ってるはずなのに…「へへへへ…」建物の影からさっきまで死体だった男たちが現れた。ゾンビ?そんなわけない、やっぱり死んだふりだったんだ。「女ぁ~秘密を知ったからには死んでもらうぜ?」「ケケケケ…命乞いしても無駄だぜケケケケ」はっきり言って全然怖くない。確実に殺しに来る奴なら物陰から飛び出すと同時に仕掛けてくる。もっと腕の立つやつなら油断させて急所を一撃してくる。「なんとか言えよオラー!」鉄パイプを振りかぶる男、あたしはそれを左手で掴んで止める。「なに!?」「弱っ…オルガ裏拳!」「がはっ!」パワーフィストの一撃で男の歯が飛ぶ。「このー!」「やっちまえー!」「オルガソバット!オルガカカト!」二人の男の肋骨と脳天を砕く。残るふたりは腰を抜かして座り込んでいる。「オルガファイニングウィザード!」ダッシュで座り込んでいる男の膝を踏み台にして前蹴りを叩き込む。鼻が折れ曲がった。「ひ、ひー!助けてくれー!」残る一人が震えながら両手を上げている。「お前たちなんなの?オリスってやつの仲間だよね?」「お、俺たちは金で雇われただけなんだ!あいつに頼まれてここで強盗のふりをしてただけだ、それだけだ本当だ!」「今まであたしの様に疑問を持った人もいたはずだよね?その人ら消したんだよね?」「そそそそれは…」「あ、じゃあ駄目だ。死刑!オルガコークスクリューブロー!」捻りを加えたストレートを打ち込む。男は両手両足を広げた格好で壁に張り付いた。「さて…ザ・キングに報告に行かなくちゃ」あたしはそのまま大通りに出てものまね学校に向かう。通りの人達は裏通りで何があったか知らない。いつものフリーサイド(強盗もいつものことだけど)だった。「ばかやろう!余計なことをするなっていっただろう!」ものまね学校にザ・キングの声が響き渡った。あたしのせいだ。「瀕死の状態のオリスを見た。二度と馬鹿な真似はできなくなったようだが…」「し、死んでなかったでしょ?」「まぁいい、一応これで問題は解決した。オリスの処理はこちらでしておく。とりあえずこれは報酬だ」ザ・キングから100キャップを貰った。「また明日来てくれ、まだやってもらいたい事があるんでな」「オッケー」続く
Mar 5, 2013
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