未完成のブログ
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
VAMPIREEYE93「二ノ丸明珠香と相棒」 ―京都市第一疎水近場の廃墟 灰色の狩衣の女性の前に三人の男達が膝をついて頭を下げていた。 女性は道摩法師を名乗る【神名L咲夜】 男性は 橡(つるばみ)全吉【狒々】:ヒースグレイパワー 皀(くり)八太【化け犬】:ダブグレイパワー 青鈍(あおにび)砂羽【青鷺火】:スカイグレイパワー 「準備は整っているな。エクレシア(教会)の葛野忍、長門顕彰らの方も、順調だと効いている。さあ行くぞ、この街の邪魔な妖も、吸血鬼も、全て滅してくれる」 「ははっ!」 三人の男達は一斉に返事をする。 「何か訊きたいことは?橡、皀、青鈍」 「大将、作戦は……どうしやすか?」 橡が言った。 「まずは吸血鬼連中が目障りだな。白峰華月が消え無力化されたはずの白峰家。今は黒谷ジークベルトと言う男が率いていると。メンバーには警察や企業の幹部がいる、連携を取られると面倒な連中だ」 「では」 「一人づつ消していくか。皀、お前が行け、対吸血鬼の専門家を連れてな」 「はい」 「妖連合の首領は……酒呑童子で間違いない。奴は簡単に引きずり出せんだろうな、戦力の層も厚い。屍人作戦で削っていくことにする。予定通りゴミのようなサイバネ連中を屍人利用してぶつけていく」 「この橡にお任せを」 「残りの抵抗勢力は……例の結界術式を発動後出方を見て対処する。青鈍いいな?」 「ははっ!」 「情け容赦はいらん徹底的にやるがいい。世界は作り変えられる、どうせ消える命だ。最強の陰陽師・葛野忍に最強の大天狗・長門顕彰、そして最強の道摩法師でありグレイマンであるこの私、負ける要素など無い」 「世界が変わる時この街は始まりの地となるのですね大将」 「ああ、人の時代は終わる。新たなる存在の新たなる文明の始まりの地となるだろう」 神名L咲夜はそう言い放つと携帯端末を取り出して天気を確認する。前代未聞の超々大型台風が日本列島に迫っている様子を見ている。 「(幻赫が世界を支配するのが先が私たちが世界を終わらせるのが先か……)」 *** ―京都駅近場のビル 「それで、例の女の正体は突き止めたのか?」 黒スーツに白髪交じりの壮年の男、大天狗・長門顕彰が言った。 「黒谷月と名乗る者、白峰家に通じる者と思われます」 黒にストライプの入ったオールバックの男、烏天狗・飯田迦楼羅が言った。 「飯田、その黒谷月を捕らえて連れて来い。手段は選ぶ必要は無い、例の灰色屍人を使えば良い」 「御意」 *** 「はぁはぁはぁ……」 倉庫街を走るのは両脚サイバネの二ノ丸明珠香。 「あんな……あんなことが……でも誰に言えば、警察?信じてくれるかな」 「ヒヒヒヒヒヒ!アスカァ~!!どこだぁ!!」 灰色の肌のサイバネ者たちが明珠香を探している。 SSS集会の最中、彼女の目の前でサイバネ集団SSSは全員どす黒いモノを吐きながら灰色肌の屍人に変化していったのであった。 「このまま街中に行ったら……でも……あぁクソ!携帯があったら!!」 明珠香の携帯電話はSSSの猫田に取り上げられて居る為持っていない。 「猿みたいな……男が来てからだ、アイツが配っていた煙草がヤバかったんだ」 数分前、SSSのトップの猫田の知り合いである巳島が連れてきた男がメンバーに煙草を配っていた。前にも来たことがありその時も配っていた。 「アタシは煙草吸わないから助かった……でも副流煙は……」 眩暈がして吐き気を催す明珠香。頭がフワフワとして体を気持ちのいいなにかが駆け巡り気を失いそうになる。 「……はぁはぁ、このまま目を閉じて楽になれば皆のようになるのかな?」 明珠香は倉庫街の金網を飛び越えて目の前の大通りを走るトラックの荷台にしがみついた。トラックは自動運転ではなく人の乗った車の為完全死角になっている荷台の明珠香には気が付かなった。 「うう……無茶な動きをしたから脚が……オーバーヒートしかかってる」 トラックは京都市内を走り病院の前で停車した。 「なんだ!?お姉ちゃんいつの間に乗り込んだ!?」 年の若い運転手が荷台の幌を開けて声を上げた。 「ゴメン……すぐ降りるよ……」 「なんで荷台に……それよりも脚やばくないか?この病院機械科あるし診てもらえよ?」 「う、うんそうする。迷惑かけてゴメンね」 明珠香は脚を引きずりながら病院の受付を目指す。 「ああクソ……右足はもう完全にダメか」 入口手前のベンチに腰を掛ける明珠香。そこには黒いイタチのようなフェレットのような生き物が居た。 「びっくりした……ぬいぐるみか何かの落とし物?」 『いいやチガウネ!』 「へ?なに??」 『お?もしかして聞こえてんのか??俺の声が、目の前の愛くるしい生き物の俺の声が』 「うそでしょ?もしかしてペットロボット??」 『ロボットじゃあねえよ、俺は絶滅寸前の希少生物オーグルだ』 「え?誰かのいたずらじゃないの?そんな事よりアタシは今大変なのよ、追われてるし脚はポンコツになるしで」 『俺も追われてる身ではあるな。しかしお前俺に触れずに声が聞こえるって事は波長が合うんだなぁ』 「はいはい、おしゃべりしたいなら今だけ付き合うけど落ち着いたらアタシ行くからね」 『まぁそういうなよこれも何かの縁だ助け合おうぜ?俺はこのままじゃあ捕まるか衰弱死する。俺を助けてくれればお前の脚になってお前を危険から救ってやるぜ?』 「小動物っぽいのにアタシの脚になるとか無理でしょ乗れないし。大体弱そうじゃん」 『俺は人間と共生して力を発揮する生き物なんだよ。な、助け合おうぜ?』 「怖……アタシを乗っ取って用済みに成ったらまた他の人に移るんでしょ?」 『オーグルの中にはそういうのも居たが昔の話だ。言ったろ絶滅寸前だって、そんなことすりゃあっという間に駆除されて終わりさ。多くのオーグルは共生関係の人間と生涯を共にするのさ』 「ふーん……じゃあオーグルって雄雌ないの?」 『無いな。オーグルは時期が来ると分裂する。共生関係の人間の影響を受けたオーグルが誕生する。分かりやすく言うとお前と俺の間の子が出来るって事さ』 「ええ……気持ち悪……」 『オーグルからすれば人間の方が気持ち悪いわ!どんだけ欲にまみれて同じ種族同士で殺しあうんだ!!お前たちがオーグルを利用してきた歴史もあるんだぞ、挙句の果てに劣化コピーのオーグルまで産み出しやがって!!』 「そう言われてもね……う~ん……まぁいっかどの道アタシはどん詰まりだしあんたに賭けてもいいかもね」 『じゃあ契約成立か?』 「いいよ、そのかわり嫌になったらアタシ自殺するかもね」 『絶対やめろよ!全力で俺が止めるからな!!』 明珠香の膝の上に乗るオーグル。あっという間に液体状になって両脚の機械部分を包み込む。サスペンションや金属が剥き出しの脚は見る見るうちに美しいフォルムの黒緑に輝く物に変化した。 「お?おおお!?」 『どうよ!お前の神経とも接続した、生身の足のような感覚があるだろ?』 「うん、ある!!サイバネの鈍い感覚じゃあない!!」 『メンテナンスフリーの最高の脚だ!デメリットは腹が減るだけだぜ』 「思ったんだけどさ、これってアタシが独り言言ってるように周りには見えてる?」 『そうだな。まぁ電話とか携帯端末で話すふりをしてごまかせ』 「携帯取り上げられてるんだった……サイバネ集団SSSに」 『だったら取り戻しに行こうぜ、俺が付いてるんだその辺のサイバネなんか敵じゃない』 「でもリーダーの猫田はヤバいよ、アイツは別格なんだから」 『そいつがボスか、一応警戒しておく』 「その前にお腹すいた……アンタの影響もう出始めてる?」 『いい脚を造るのにそれなりのエネルギー使ったからな。お前が契約してくれなきゃ俺は最悪その辺の鳥なんか食べて凌がなきゃ死んでたんだ』 「そうなの?」 『それも一時しのぎだ。無理やりその辺の人間についても相性悪けりゃお互い早死にするだけだしな』 「運が良かった……のかな?とりあえず近くにセンジョーがあるしそこで何か食べよ、一応会員なんだ」 『金はもってんだな、体に良いもの食べろよ?』 ―総合娯楽施設センジョー 二郎と恭一と吹雪は碁盤の目町隔壁プログラム攻略訓練の為、センジョーにハイパーキングファイター【HKF】をプレイしに来ていた。 「クッソー!何だアイツ強すぎだろう!!」 ゴーグルを外してプレイヤーフィールドから降りてくる恭一。自前のゴーグルとグローブ、レガースは全てチーター柄であった。 「次で10連勝ね……あのTOYAってプレイヤー」 「吹雪ちゃんもオレもいいところ無しでアイツに完敗だぜ、二郎頼んだぞ!」 「勝てそうに無いけどなぁ、やっぱり最初はあっちのオフラインモードでやった方が良かったんじゃないか?」 二郎はオフライン専用のシートにゆったりと腰かけてプレイするRPGモード専用台を見て言った。 「あれは家庭用と変わんないだろ?実戦の感覚を掴むには対戦だって!負けてもポイント稼げば他のジョブにチェンジできるしアバターの見た目だって……」 「恭一めちゃくちゃハマッてるじゃないか」 「あ、ああ……正直ゲームだと舐めてたぜ。こりゃあ流行るはずだ体重も身長差も性別も関係ねぇ同じ条件で好きなように対戦できるんだからよ。あっちの台でプレイしてる女の子のアバター2m越えのモリモリマッチョ男だもんな」 「TOYAって人は普通の男性タイプだな。ロングソードと盾の王道タイプだ」 「俺は速さ重視で爪選んだけど現実の俺の速度は出なかったしなぁ。やっぱりゲームのアバターの操作に慣れないと勝てないぜ、吹雪ちゃんの刀剣士もそんな感じだ」 「スキルとストライクスマッシュの使い方もTOYAって人は上手い。他の店からのアクセスだから直接話が聞けないのが残念だよ」 吹雪は熱く語っている二人を他所に店内の様子を伺っている。 「二人とも夢中になるのは構わないけどこれは訓練だから忘れないで。対戦に勝つ事よりもアバターの操作に慣れるのが目的だから」 「解ってるって吹雪ちゃん!初回無料の10回の間に出来るだけ慣れるって!!いやまぁ11回目からもやるつもりだけど」 「よし、TOYAって人と対戦してくる」 「おお、行ってこい!」 ―ゲームコーナーの奥にあるフードコート 「麻婆豚骨焼きラーメン野菜大盛で!」 「ハイヨ!」 二ノ丸明珠香は料理ロボットに注文しIDカードで決済を済ませる。 『食って栄養付けたらさっさと携帯電話取り戻しにいくぞ』 「分かってるって」 『その後どうするかなんだが何かプランはあるか?』 「しばらくアメリカに行こうかなって。従妹があっちに居るんだ」 『俺としても遠くに行っておきたいしな』 「どうせお父さんは会ってくれないしお金さえ渡せばいいと思ってんだよ」 『自由に動けるって事だろ?結構じゃないか』 「猫田さえどうにかできればね……アイツのせいで友達もいやしない」 『あそこでゲームしてる三人組、お前と同じくらいの年じゃないか?ああいうのが羨ましいのか?』 「うーん。猫田と知り合わなけりゃあそこで一緒に遊んでたかもね……ねぇ、えっとオーグル?」 『なんだ?……ああ俺の名前か。確かに不便だよな、オーグルなんてその辺で口にするのもよくねぇどうしたものかな』 「レグスってのは?今はアタシの脚だしレッグのレグス」 『レグス……じゃあそれでいいぜ』 明珠香は麻婆豚骨焼きラーメン野菜大盛を受け取ってテーブルに移動する。 「美味い!やっぱりコレだよ!」 『お前から伝わって来る、好きな食べ物の味だと』 「ねぇレグス、食べ終わったら1回あのゲームHKFやってもいい?慣らし運転的な運動しておきたいんだ」 『いいぜ、あのゲーム俺も興味湧いてた所なんだ』 つづく
Feb 21, 2021
コメント(0)