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DHHUその14『続いて第二回戦! チームSSSの挑戦です!』 初手ストーンゴーレム パンチハザード、キックハザードのサイバネ猛ラッシュで粉砕し突破。 二番手キメラ タンク森脇の火炎燃料が途中で尽きデクの坊化するも猫田臥螺紗が止めを刺し突破。 三番手アンデッド 超スピードのハイパーフィジカルゾンビ相手にタンク森脇が噛みつかれゾンビ化。パンチハザード、キックハザードが泣きながらタンク森脇を始末しその間に猫田臥螺紗の爪がゾンビの首を刎ね突破。 最後のアンノウン枠は……化け猫の男だった。「オニーチャン!」 猫田臥螺紗が叫ぶ。「よぉ~クソ妹よ……俺は死んじまって今はこの通りただの駒だ」「やったやったー! オニーチャンに会えるなんてウレシー!」「ああ? 俺はテメーなんざに会いたくなったが?」「にゃはははは! だって自分自身の手でぶっ殺せるからにゃー!!」「寝言いいやがって! ガキの頃俺の爪とぎオモチャだったくせによー!!」 爪を剥く猫田ガイムと臥螺紗。 ロケットダッシュで互いに飛び掛かる兄妹化け猫。組みつくと闘技場を転げまわる。その様子はまるで猫同士の喧嘩であった。「ちったぁ戦い方を知ったようだな!」「オニーチャンはこうやって掴まれてスピードを殺されると弱いんだもんね!」 転がりながらパンチハザードに接近。「パンチ行くよ!」「ラジャー!!」 パンチハザードの油圧式サイバネアームが唸りコンクリートを粉砕するパンチが放たれる。臥螺紗は組みついた体勢をコントロールしてガイムの背にパンチを命中させた。「ぎにゃあああああああああああ!」「にゃははははははは!パンチもオニーチャンのこと実はめちゃくちゃ嫌ってたもんね」 臥螺紗は素早く背後に回り首絞め状態で転がる。「にゃははははは!次はキックー!」「おいっすー!」 キックハザードは関節のハイパーモーターを唸らせサッカーボールキックで転がり込んできたガイムの腹を蹴る。「ごふああああああああああああああああっ!」「にゃははははは! ナイスー! キックも嫌ってたもんねー」『ああっと! これは見事なコンビネーション!! これがサイバネギャングの【仲間の絆】ってやつでしょうか~?』 蜃は机を叩きながら興奮して言った。『猫田ガイムはスピードスターとして恐れられた化け猫です。それをああも簡単にとらえて何もさせないのは見事です』 冷静に言い放つ紅。「にゃにゃにゃにゃ~ん!」 痛みで転げまわるガイム、臥螺紗はガイムの膝裏、アキレス腱を鋭い爪で切り裂く。「ぎゃああああああああっ! 俺の足があああああああっ!」「これでもう動けないにゃん! 逝く前に臥螺紗に謝ってほしいにゃん!」「だれがテメーなんぞに!!」「じゃあバイバイにゃん! オニーチャン!!」 膝をついた状態のガイムの喉を切り裂く臥螺紗。噴水めいて血を噴き出して倒れ消滅していった。『決着ぅ~~!! チームSSS二回戦終了~!!』「おおお……」どよめく観客たち。大半の者がサイバネギャングの無様な死に様を期待していたからである。「ここでチームSSSは棄権するにゃん!森脇も死んじゃったし……第三回戦は不参加させて欲しいにゃん!」 手を上げて宣言する臥螺紗。『いいだろう、想像以上の見世物だった。棄権を許可する』 仙丈隼磨が言った。通常の場合は観客の多数決で棄権の可否を問う。却下された場合、莫大な掛け金の借金を背負う事になるか、処刑人と戦い生き残るかの選択を迫られる。そして処刑人に負けた場合領域酒樽の住人となる。『おっと! チームSSSここで棄権、第三回戦は見送りとなります』 人気のある者やチームは観客に見逃され、不人気は処刑人によるバトルを望まれる。闘技場では強さだけではなく人気獲得も大きな意味を持っている。「まぁあの化け猫の女の子まぁまぁかわいいしここで消すのはもったいないよな」「チームはアレだが個人としては推してもいいかな、猫好きだし」「人気出そうだな、仙丈氏のお眼鏡にかなったのかな?」 観客の声が聞こえる。『さぁ~て次は注目のチーム勇者Ks!』 ケンを先頭にネスター、ラーニー、アンディが並んで入場する。「ミスリルの鎧!」 ケンはカードを取り出しミスリルの鎧を装着する。ラーニーは斧と盾、ネスターは杖、アンディはメイスを構える。 初手、キメラ。 体長3メートル程のキメラ相手にラーニーが吶喊。盾殴りでライオンの顔をカチあげる。「離れろラーニー!」 ネスターのライトニングボルトがキメラの背にある山羊頭に命中。「ギェエエエエエ!」 キメラは蛇頭の尾を振り回し毒をばら撒く。「聖なる癒し!」 メイスを上に掲げて光のドームを展開するアンディ。全員の体から毒を消し去る。「【ゼクスミニアド】【マシンカウボーイ】召喚!」 光り輝く西洋風の槍とアンドロイドの人馬を召喚するケン。槍を手に馬の後ろに乗り込む。「ここだ! 撃槍ゼクスミニアド!!」 キメラの背後に回ったケンは光り輝く槍から螺旋の波動を放ち蛇尾の付け根を狙う。「ギュエエエエエエエエ!!」 急所を攻撃されたキメラはそのまま倒れこみ全ての頭から血を吐いて消滅した。「次!」 マシンカウボーイに乗り、ミスリルの鎧を身に着け光の槍・撃槍ゼクスミニアドを振るうケンの姿は正に創作物に登場する勇者だった。「マッドゴーレムだ!」 ネスターが叫ぶ。 「核の場所さえ解ればすぐに倒せるんだが……あの泥の体、硬いゴーレムよりもある意味厄介だ……」 ラーニーが言った。「飲み込まれた時の為に……水弾きと呼吸の加護をかけるぜ」とアンディ。 マッドゴーレムはケンを狙って遅い動きで追う。「ネスター! 凍結させてくれ!!」「あいよ!」 ケンの言葉を受けてネスターはアイスストームを詠唱。「アイスストームで奴が凍ったらラーニーが頭部を俺が胴体を粉砕する!」 ネスターのアイスストームが炸裂。マッドゴーレムの体を冷気の竜巻が飲み込み凍らせていく。「行くぞラーニー! 撃槍ゼクスミニアド!!」「ぬううりゃああああああっ!」 凍結したマッドゴーレムの頭部を投擲した斧が粉砕、続いて螺旋の波動が胴体を粉砕。その際青い宝石が砕けるのが見えた。「次!」 三番手にはアンノウン枠からモスマンが登場。 鱗粉爆撃と高速飛行で攻めてくるも冷静に対処し無傷で撃破。 最後にアンデッド――「ウフフフフフフフフフ……」 コウモリの群れが現れ人型を形成する。現れたのは煽情的なドレスを着た金髪の女性。「ヴァンパイアだと!?」 アンディが叫ぶ。「妾はクレメンタイン・ヴァン・ヴァスベルゲじゃ」*** ――チーム月光の控室でモニターを眺めている華月が眉を顰める。「仙丈隼磨め、クレメンタインまで手中に治めておったか」「華月様、お知り合いで?」斎藤が言った。「下品な女だ。昔我が殺した」 ――華月が白峰家当主になって間もない頃。 東京に進出してきた海外の妖の勢力があった。その勢力の内一つの長がクレメンタインであった。「下品といいますと?」「うーむ……」 華月は口ごもる。「私がお答えしましょう」ジークベルトは華月の髪を梳かしながら言った。「クレメンタインは西洋のヴァンパイアで城を持ってました。従者は全て若い男で毎夜クレメンタインが玉座に座る際に廊下に全裸で向かい合わせに立たせて体を撫でまわしながら魔力を注ぎ歩いて、玉座に着く同時に従者たちを絶頂させその体液を集め楽しんでいたのです」「……そうでしたか、確かに下品ですね」渋い顔をする斎藤。「変態ですな」佐久間が言った。「東京でも男を漁り次々と従者に変え調子に乗っていたところ退魔組織に見つかり白峰家に討伐依頼が来て華月様が対処されたのです」「ジークベルト、何故お前がそこまで詳しい? まだ白峰家に居なかったであろう」「それは白峰家に仕えるようになった時に記録を読み漁り関係者に話を聞きに回りましたからね」「そうかまぁそれは置いておいて。クレメンタインは中々面倒な相手だ、あの勇者らは勝てるか分からんぞ」「仙丈隼磨は少しバランス調整をミスったようですね」「千里眼を持つあの男がそんな簡単な調整をしくじるとは思えんが……棄権させることを想定しているのか?」「クレメンタインが動きます!」佐久間が言った。***「並みの魔力じゃねえぞありゃあ……ヴァンパイアロードだ」 片手にメイス、片手に書を構えるアンディ。「男三人に女一人か……魔術師と僧侶は好みでない、女は問題外じゃ」 右手から血を噴出させ剣を形成するクレメンタイン。「まずはお前だ戦士の女!」 予備動作無しの空中移動でラーニーに接近、首を狙った一撃、咄嗟の反応で盾を構える。「なっ!?」 特殊合金製のラーニーの盾をいともたやすく切り裂くクレメンタインの剣。盾との衝突で軌道は僅かに逸れラーニーの顎の皮を切り裂いただけで済んだ。「は、小賢しくもいい反応じゃ。並の戦士なら今の一撃で首が飛んでいたぞ」「ファイヤボルト!」 ネスターが火の玉の魔術を放つ。クレメンタインの左側に出現した血の盾がそれを反射した。反射された火の玉はネスターの横を通り過ぎて闘技場の壁に激突。「天よ光よ導きたまえ守りたまえ……」 詠唱を始めるアンディ。「させぬ!」 新たに血の槍を形成して投げつけるクレメンタイン。そこにケンが割り込み鏡のように磨かれた盾で受け止める。「【ミスリルの盾】だ!間に合った!!」「邪魔だ少年、お前は妾が飼ってやる下がっておれ」「黙れ!撃槍ゼクスミニアド!!」 螺旋の波動を放つケン。クレメンタインは血の盾で受け止めるが3秒程度で破損、左腕を失った。「……これはこれは。大したものじゃな」 クレメンタインの左腕が再生を始める。血が泡のようにふくらみ形を作る。「裁きの剣!」 詠唱が終わったアンディが書を掲げると天井に無数の光の剣が出現。クレメンタインに降り注ぐ。「今だやれ! ゼクスミニアドを奴の心臓にぶち込め!!」 アンディが叫ぶ。ケンはミスリルの盾をラーニーに渡し再度ゼクスミニアドの構え。クレメンタインは血の盾を上に展開し降り注ぐ裁きの剣の雨を耐えている。「鬱陶しい! この程度で妾を攻略できると思うなよ!!」 血で出来たボウガンを構えるクレメンタイン、狙いはネスター。「ネスター!」「ああ!」 威力は低いが即放てる魔弾をばら撒きクレメンタインを牽制するネスター、その間にラーニーはミスリルの盾を構えてネスターの元に駆け寄る。「ええい鬱陶しい光の剣じゃ!」 裁きの剣の降り注ぎはまだ止まらない。クレメンタインは頭上に血の盾を構えたまま移動を始めた。「範囲から出ればこんなもの!」「おりゃあ!」 ラーニーがミスリルの盾を前に突き出し体当たり。クレメンタインの体勢が崩れる。「アイスジャベリン!」 ネスターの氷の魔術。鋭い無数のつららがクレメンタインに襲い掛かる。上からは裁きの剣、横からはアイスジャベリンを受けハリセンボン状態となった。「ぎゃああああああああああああっ!」「ここだ! 撃槍ゼクス――」 必殺の一撃を構えるケン。目の前のクレメンタインはハリセンボンで隙だらけ。そう思っていた。「ミニアド!!」続く
May 27, 2024
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DHHUその13「続け!雪山、夜叉、石熊ァ!!」 良く通る大きな声で叫ぶ星熊童子。雪山、夜叉、石熊の三人は外套を脱ぎ捨てレスラー衣装のような全身スーツ姿になる。そして金棒、鎖鎌、薙刀の武器を構える。「ラ~~~~~~~~~~」 雪山が発声、重厚感のある男性ボイス。「ら~~~~~~~~~~」 夜叉が発声、高音のソプラノ女性ボイス。「RA~~~~~~~~~~」 石熊が発声、豊かな安定感のある女性ボイス。 三人は歌い始める。綺麗なハモリを聞かせながらゾンビを倒していく。 星熊の撥ね飛ばしたゾンビをリズミカルに狩っていく三人。まるでミュージカルのように踊りながら歌いながら闘技場を舞う。『何という事でしょう! あまりに華麗! あまりに素晴らしいパフォーマンス!! これがチャンピオンの率いるチームの余裕だぁ!!』 机を連打で叩いて興奮する蜃。『本日デビューする3人は血のにじむ訓練を受けて来ました。その成果が出ているのでしょう。チャンピオンの星熊童子は自身が目立ちすぎないように立ち回ってますね』 紅が解説する。『そして499体を突破! ボスゾンビの登場です!!』「カアアアアアアアッ!」 カラス天狗ゾンビが出現。六角棒を構えて振り回している。「カアアアアアアアアア!」 星熊童子に肉迫するカラス天狗ゾンビ。六角棒の突きを見切って掴む。「デイデイデイデエエエエエエエイッ!」 逆水平チョップを連打で叩き込む星熊童子。怯んだ所に背後に回り投げ捨てジャーマンスープレックスを決める。「カアアアア」 立ち上がって羽を広げるカラス天狗ゾンビ、星熊童子は矢のようなスピアータックルを仕掛けて地面になぎ倒す。そして両足を掴んで回転を始める。「1.2.3.4.5……」 観客が星熊童子のジャイアントスイングの回転に合わせて声を上げる。「行くぞオラッ!」 上に投げ捨てる星熊童子、そしてそれを追いかけて飛び上がる。「フィニッシュだ! 鬼スパーク!!」 背後から両腕を掴み回転して落下。カラス天狗ゾンビは顔面は潰れたトマトのように粉砕された。「オオオオオオオオオオオッ!!」「おおおおおおおおおおおっ!!」 腕を上げて叫ぶ星熊童子に合わせて叫ぶ観客たち。闘技場内の興奮は最高潮に達していた。『決まったー!! 流石はチャンピオン!! チーム月光のタイムを1秒速くクリアーです!!』 ――控室のケン達は固唾をのんで鬼衆の戦いをモニターで眺めていた。「あのチームの後にやるの嫌だなぁ」 ネスターが言った。「やることをやるだけだ」 ラーニーは斧と盾をチェックして言った。「1位は無理に狙わずにボスクリアを目指すのが良いと思うぜ。それでSSSには勝てるだろうしな」 アンディが言った。「アンディの言う通りだ。あまり手の内も見せたくないしボスゾンビクリア優先で行こう、作戦はAプランで」 ケンはカードデッキを眺めて言った。「あいよ」「はい」「了解」『さぁいよいよ1回戦最終チームです! 勇者Ks入場!! 今回初参加のゲストチームです!! どんな戦いを見せてくれるのか~?』 闘技場の中心に移動するケン達。ブザーが鳴るとゾンビが一斉に飛び出す。「ファランクス!」 盾を持った兵士の集団を召喚するケン。自分達を囲むように展開、ゾンビの進行を受け止める。「退魔の光!」 アンディが分厚い書を掲げるとファランクスの盾が白く輝き出す。盾に触れたゾンビから煙が上がり始める。ケンの横でネスターは呪文を唱えている。『ああっと! これは何かの作戦でしょうか! 盾の兵士の中にこもっているチーム勇者Ks……おや?天井付近に魔法陣が見えます!』 次々と現れるゾンビ。やがて闘技場一杯となる。「そろそろいいかな。やってくれネスター」「おう! 見さらせ俺様のド派手魔法をよ!! 爆裂波動炎壊砲!!」 天井付近に展開された魔法陣から火の玉が大量に降り注ぐ。ケンたちを除いて闘技場全体を火の海に変える。『これは凄い!カウンターが一気に499に達したァ!!』 ボスゾンビが登場。ワーベアの大男ゾンビがよだれを垂らしている。「オリャアアア!」 ラーニーは全身の人工筋肉を引き絞り。斧を投擲、ワーベアの脳天を粉砕した。『あーっと! 一撃で決まった!……10秒差でチーム勇者Ksは3位!! しかし初参加でこのタイムは凄いぞ~~~!! 4番目と言うのもありますがよく練られた作戦でした! 手の内をほぼ見せてないので次のバトルにも期待が高まります!!』*** 控室に戻ったケン達は座って一息つく。「やっぱ俺たち最強じゃね? これは固定ファン突いちゃうカモ?」「良い感じに作戦が決まったな、正直【ゾンビ源藤高雅】が出なくて良かったぜ」「そうなのか?」「黒谷月が瞬殺したから解りにくかったが……本物の強さを知ってるからな。ワーベアを仕留めたあのラーニーの投擲では終わらなかっただろう。後一手必要だったかもな」「運も自分らには味方してるんだきっと」 ラーニーは戻ってきた斧を拭きながら言った。「第二回戦も足止めしてネスターの魔術とラーニーの攻撃力で仕留める作戦で行こう。第三回戦までカードの消耗は出来るだけ避けたい。ファランクスも今日は後3回が限度だし」 ケンはチーム月光と鬼衆のリプレイを見ながら言った。「第三回戦はクラウン奪還より生き残る作戦で行く。チーム月光と鬼衆が潰しあってくれるはずだ後はSSSを捌けばいい」「俺たちは優勝が目的じゃないもんな……ここで怪我とかしたくねー」「良い経験にはなると思うが自分らは【凶】を仕留めるのが目的だからな」「そういう事。センジョーと黒谷月の機嫌をとりつつ生き残るのが最優先」*** ――チーム月光の控室。「次は1位を取りに行きますか華月様?」 ジークベルトは大鏡の前に座る華月の後ろからポニーテールの髪を触りながら言った。「それもいいが観客を湧かせる快感というのも悪くない。鬼衆の試合を見てそう思ったのだ」「バトル自体は退屈でしたか?」「退屈ではない……だが時間制限があるからな。あれやこれや試してる暇がない結局勝ち方に拘った方が良いかもしれん」「次は連続大型モンスター討伐……どのように行いますか?」「そうだな……盛り上げる演出勝ち方……ではこう言うのはどうだ?」 華月は振り返りジークベルト、斎藤、佐久間に視線を向ける。***――第二回戦:ジャイアントキリング(大型モンスター連続狩猟) チーム:鬼衆 チーム:SSS チーム:勇者Ks チーム:月光 くじでジャイアントキリングの順が決められた。 ジャイアントキリングに登場する魔物は4体。 キメラ、ゴーレム、高位アンデッド、不明 個体差はありキメラが一番強い組もあればアンデッドが一番強い組もある。 バランスは仙丈隼磨が考え召喚の術を組んである。 モンスターの登場順はランダムである。『さぁ始まりましたジャイアントキリング! これは闘技場でも目玉の闘技です!! 紅さん、仙丈氏、この闘技のポイントをお教え下さい』『ジャイアントキリング、正にその通り。単に体が大きな魔物もいれば一生目にする事がないであろう強力で希少なモンスターを狩るチャンスがあります。達成できれば大変名誉なものとなります』『レアモンスターは過去闘技場で死んだ者、もしくは自分が回収した者だ。この【領域酒樽】の中ではそれらは元の状態で顕現する。レアモンスターに逆に狩られて死ねば領域酒樽に回収される事になるかもな』『お~これはかなりデンジャラスでエキサイティングな闘技です! 早速チーム鬼衆の前に最初のモンスターが登場!』 現れたのは銀色に輝く金属のパワーアーマー。『あーっと!これはメタルゴーレム・KAMINA=MK4だぁ!! KAMINA製のパワーアーマーをゴーレム化したあまりに非人道的な兵器! この組で一番強いのを最初に引いたかー?』「メインシステム戦闘モード起動。ターゲット確認。排除開始」 ブースターで突進するMK4、金棒を担いだ星熊童子が前に立つ。「距離を取っての引き撃ちじゃねーのか?」 星熊童子は過去に前機体のMK3と戦闘し破壊している。その時MK3は絶えず距離を取り引き撃ちで飛び道具をばら撒いていた。 対して星熊童子は魔力でコーティングした皮膚でそれらを受け止め筋肉で弾き返して戦った。弾切れと同時に金棒が炸裂しMK3は粉砕された。「本配備されてるKAMINAアーマーより火力は押さえてあるって事だが……あれは痛かったぞ」 MK4は無言で両腕のブレードで斬りかかる。「距離を詰めての近接戦闘、それだけで終わるタマじゃねえよなぁ」 金棒で受け止める星熊童子、ブレードの衝突で火花が散る。「KAMINA製のAIじゃない所が攻略の鍵だよなこれってよぉ~」 星熊童子はKAMINA製のAIを搭載した戦闘アンドロイドにパワーアーマーを装着した機体の強さを知っている。それと比べるとゴーレムは解りやすかった。「連携、なんだよなぁ!」 雪山、夜叉、石熊の3人がMK4に3方から攻撃を加える。 ゴーレムがターゲットを絞り切れず反撃を入れようとすると他の3人が攻撃を加える。「連携なら【ヴァルキリー】にも負けんぜコイツらはよ!」 攻撃を浴び続けたMK4はやがて煙を上げ膝をつく。「硬いのは相変わらずだよな……じゃあフィニッシュ決めるか! いくぞ雪山、夜叉、石熊!」 星熊童子が金棒を前に突き出しMK4に向ける。3人はそれぞれの武器を金棒に当て魔力を注ぎ込む。「くらえ! 鬼ファイナルキャノン!!」 魔力を帯びた金棒を発射。MK4の胸に命中し闘技場の壁まで吹き飛ばす。金棒はそのまま螺旋回転を続け火花を散らして装甲を削っていく。そして内部に到達しゴーレムのコアを破壊した。「アダマントじゃなくて良かったぜ。量産型はチタン合金だったな」 MK4はそのまま沈黙。金棒は飛んで星熊童子の元に戻って来る。『あーっと! やりましたチーム鬼衆!! 難敵相手に冷静に立ち回り最後は魅せてくれるフィニッシュムーヴ!! 流石チャンピオンです!!』『新ユニットの三人の動きも良かったですね』『ユニット名は2回戦の後に公開だ』 続いてのキメラ、骨馬に乗った骨騎士を難なく撃破。最後に出てくるのは――「ぬうりひょん!」『おおおっと!? 彼はチャンピオンの最大のライバルと自称していたぬうりひょん! 仙丈氏の領域酒樽の力でここに蘇った~~~~~~!!』「ふぇふぇふぇふぇふぇ……仮初の姿でこの場所限定とは言え貴様と戦う事が出来るとはなー! 星熊ァ!!」 着流し姿で長い後頭部、痩せぎすの男ぬうりひょんは杖剣を抜く。「ふぇふぇふぇふぇふぇ……」 ぬうりひょんの姿が4人に増える。「ほう、お得意の分身か」「そうだ、俺の特技は良く知ってるだろう?認識操作により俺は4人の存在となった」「は! だが実際の所そうじゃねえよなぁ!!」 星熊は振り向き様に裏拳を放ち『そこにいないはず』のぬうりひょんの顔面に命中させた。「がはっ!?」「存在を認識しようとしまいと殺気は消せないんだよなぁ! 俺との対決にこだわるあまり殺気を消せてないぜぬうりひょん」「くそ……俺の歯が……だが今ので目が覚めた。貴様の言う通り冷静さを欠いていた、ここからは油断無しで行くぞ」『ああーっと! ぬうりひょんの姿が完全に消えたー!! これはどういう事なんでしょう』『ぬうりひょんの能力だな。実際に消えている訳ではなく認識操作によってこの場にいる者全員に消えているように見えてる』『紅さんそれは透明化と何が違うのでしょうか?』『透明化であればマーキングできればその場で居場所が解る。しかしぬうりひょんの場合はマーキングしても気付かないのだ』『なんとこれはとても強力な能力! ぬうりひょんがその昔妖最強を自負していたのも分かりますね』 チーム鬼衆はお互い背中合わせとなり同士討ちをしない陣形をとる。『これは有効な戦術になりえるでしょうか?』『いや、どうかな? ぬうりひょんの厄介なのは既に誰かに成りすましている可能性もあるって所だ。背中合わせをしている味方が本人かどうか解らねえぞ?』 仙丈隼磨が言った。『なんとなんと! それは恐ろしい……仙丈氏の言われた戦法をぬうりひょんが行っていた場合チーム鬼衆は絶体絶命のピンチです!!』「ぐげげげげげげ……」 突如呻き声が聞こえる。夜叉童子の鎖鎌の鎖が揺れ闘技場の真ん中で先の分銅が暴れている。「鬼スイング!」 鎖分銅が暴れている箇所に金棒をフルスイングする星熊童子。「ぐぎゃあああああああああっ!!」 何も無い空間から顔面を陥没させたぬうりひょんが転げる。「ば、ばかな……なぜ俺の認識操作が……」「夜叉の奴をナメ過ぎたようだな! お前が分身した時から既に夜叉は鎖分銅に魔力を乗せ自動追尾を行っていた。一度放った鎖分銅は相手を見失うと周囲を手あたり次第に探し始める。この闘技場にお前がいる限りその内当たるって寸法よ」「そんなちゃちな戦法にこの俺が……」「ああ!? シンプルで強いだろうが? ちなみに俺は鬼バインドボイスでお前の耳を破壊する気満々だったぜ。広範囲攻撃には対処できねーだろ?」「無念……」 消えていくぬうりひょん。『ああっと! ぬうりひょん消滅! ここで鬼チームの第二回戦終了です!!』『ぬうりひょんの奴は最初から姿を消し一撃必殺を放てば勝てていた。奴の親父は正に最強にふさわしい妖だったぜ。息子のアイツは性格に難ありでそこが弱点だった』『おお~これは非常に有益な情報です! ぬうりひょん最強時代もあったのですね~ありがとうざいます仙丈氏』続く
May 19, 2024
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DHHUその12「ふ~~~~~む……中々ヤバいイベントだなぁ……1,2回戦は問題ないだろうけど3回戦がちょっと気を付けないとなぁ」「ん?あの黒谷月って奴とのバトルになるからか?」 ラーニーが言った。「ま、それもあるが殺しはNGって書いてあるけどこれってやっちゃいましたはOKなんだよな……3回戦は荒れるぜ」「全員やっちゃえばいいだろう? そうすれば一人勝ちだぜ」 ネスターが言った。「それってさ……黒谷月が考えてそうじゃないか? いや、他のパーティーもか。ペナルティを気にせず優勝するには他のチームを全て消すしかないってな」「そこまで浅慮かねぇ……私はクラウンを被ってずっと迎え撃ってるイメージなんだが」「全4チーム。黒谷月チームに他3チームが挑む形になるのかな? お互い漁夫の利したいしここは駆け引きになりそう」「じゃあ他チームのメンバーを見るか」チーム1:月光黒谷月黒谷ジークベルト斎藤勇雷佐久間瓢介チーム2:SSS猫田臥螺紗(ガラシャ)パンチハザードキックハザードタンク森脇チーム3:鬼衆星熊童子雪山童子夜叉童子石熊童子チーム4:勇者Ksユウラーニーネスターアンディ「鬼衆ってのがセンジョーのお抱えチームか」 ケンは鬼衆のリーダー星熊童子のプロフィールを見る。「1002戦998勝1敗1分け……やっぱり名の通り鬼だろうね」「鬼ってあれでしょオーガの日本版? みたいな? 俺の魔術で余裕余裕! それよかこの夜叉童子って女が気になるぜ」「まてネスター。センジョーの鬼と言えば酒呑童子四天王、その一人星熊童子がいるんだぞ? その辺の魔物と同じにしない方がいい」 アンディが言った。「今より魔の者が跳梁跋扈していた時代……その頃の鬼だ」「マジで言ってる? 現代に蘇った的な? それでも研鑽され続けた人類の魔術が上っしょ! 大丈夫心配すんなってボスキャラ相手には本気になるタイプだから」「SSSは問題外だな。只のサイバネなんか瞬殺よ!」「一応それなりに闘技場で成果出してるみたいだけど……まぁ噛ませ役か」「で、チーム月光。ふ~ん……黒谷月の他はヴァンパイアって書いてあるな。アンディ、オメーの力でバチコリやっちまえるんじゃね?」「相性はいいが……1人1人が城主クラスの者だとそう簡単にはいかんぜ。城主クラスってのは街一つ簡単につぶせる戦力って事さ」「はぁ~1人1人がボスキャラ級かよ。更に控えてるのは大ボスの黒谷月か。正直SSSとバランス取れて無くね?」「優勝目的ではないのだろう。1,2回戦で良い成績を残せばそれなりに稼げるからな。SSSは3回戦は逃げに回るんじゃねーか?」 ネスターとアンディが話してる横でケンとラーニーは出場者と競技の概要を見ている。「あと30分で第一回戦始まるよ」「ああ、まずはチーム月光からだな」 ――30分後 円形の地下コロシアムは割れんばかりの歓声に包まれていた。「お待たせしましたー! 今夜はスペシャルイベント開催日!! 早速第一回戦を行いますー! 実況はこの私、蜃(しん)、解説は紅 葉茄さん、特別ゲストにセンジョーグループ総裁の仙丈隼磨氏をお招きしております!」「宜しくお願い致します」「よろしく!」「さぁ~チーム月光登場です!」 会場の照明が下がり薄暗く。右の門が開きそこからチーム月光が出てくる。先頭を歩くのはポニーテールにフィギュアスケートの選手を思わせるレオタードスカートの黒谷月(華月)タキシード姿のジークベルト、黒と青のだんだら模様和装の斎藤勇雷。ミリタリージャケットにブーツ姿の佐久間瓢介が順に登場する。「つきちゃああああああああああああん!」「つきたあああああああああああああん!!」 観客席から大きな声が上がる。「凄い人気です黒谷月選手! 前に一度イベントに出場した時観客のハートをがっちり掴み熱狂的なファンを生みました。センジョーのタレントでもあるとの事ですが―」 蜃が紅を見る。「はい、黒谷月選手はセンジョーのタレントですね。アイドルグループ【ヴァルキリー】と共にセンジョー芸能部のトップです」「前回のイベントでは圧倒的な力を見せつけ観客を黙らせましたが今回は大きな期待を背負ってます。本日のイベントはチーム戦との事ですが他のメンバーの詳細は解りません、ヴァンパイアとありますが仙丈氏、どうでしょうか?」 蜃は仙丈に視線を送る。「ヴァンパイアと言っても様々な種族がある。チーム月光の場合は……禁術とされる魔術で人間からの変身で生まれた存在。解りやすく言えばあの三人全員が真祖と呼んでもいいだろう」「ほほう! 真祖ヴァンパイア……賢明な観客者の皆さんには十分解りやすい説明です! ありがとうございます仙丈氏!」「ジークベルト選手は黒魔術、斎藤選手は剣術、佐久間選手は軍隊戦闘術との事」 紅が言った。「なるほど、やや前衛に偏ったチーム編成ですね。斎藤選手、佐久間選手が前に出てオールラウンダーの月選手をジークベルト選手がサポートする形になりそうです!」「準備が整ったようです」「それではチーム月による第一回戦を始めます!」 ブザー音が鳴ると同時に四方八方のゲートからゾンビが現れる。「あーっと! これはかなりの数のゾンビ!! このゾンビはどのような存在ですか紅さん?」「あのゾンビは素材を利用して召喚したものです。実際の死体や生きてる者ではないですね。幽霊に仮初の体を与えたような存在とお考え下さい」「解説ありがとうございまーす! さぁさぁゾンビの群れがチーム月光に迫ります!」 斎藤勇雷は竹刀型特殊警棒を構えて前に出る。「デエエエエエエイッ!!」 戦闘のゾンビを横薙ぎの一撃で吹き飛ばす。ボーリングめいて後方のゾンビをなぎ倒す。その際青白い電撃が走り次々とゾンビを黒焦げにしていった。『あーっと! 斎藤選手の強烈な一撃!! 早くもゾンビの撃破カウンターが30だぁ!!』「斎藤さん飛ばすねぇ……じゃあ俺も負けてらんないね!」 佐久間は体を揺らして脱力、飛び込んできたゾンビの首をアッパー掌底でへし折りそのまま抱えて群れに突進する。そして全身を連動させた鞭のような打撃を入れる。『おおおおっと!これは凄い!!』 振り子のように最後尾のゾンビが吹き飛び爆発四散。続いて後方から順に前に向かってゾンビが倒れていく。「俺には出来ん技だ、流石だ佐久間さん」 斎藤はほんの少し口角を上げて言った。『カウンターはこれで60! 驚異的な速さです!』 斎藤と佐久間がお互い華月を中心に別れゾンビを撃破していく。『カウントは400を超えましたー! さぁ500になるとボスゾンビが出ますよー!』「斎藤、佐久間、もう良いぞ。我が出る」 腰に手を当て仁王立ちをしていた華月が動き出す。ジークベルトは華月に撥水の魔術をかけた。「ばあああ……」 突撃してきたゾンビの腕を掴む華月。「むん」 魔力を込めてこん棒代わりにカウント423からゾンビを粉砕していく。「これで499だ! さぁ500体目の大将出てくるがいい!」 軽く上に投げ捨てたこん棒代わりのゾンビをポニーテールではたいて粉砕する。「ガオオオオオン!」 飛び出したのは退魔組織エクレシアのエージェントのコートを着たゾンビ。「酒呑童子(仙丈隼磨)め……中々味な真似をしおる」 華月が呟いた。コートのゾンビは華月の良く知っていたエクレシアのエージェントがモデルとなっている。ヴァンパイアハンターと呼ばれた『源藤高雅』であった。 超高速の銀の投げナイフを4本、それを追うように瞬間移動めいた突進で華月に迫る。「はっ!」 側中捻りでナイフを回避すると足裏と背からの魔力噴出で加速、稲妻めいてジグザグに飛びゾンビ源藤高雅を迎え撃つ。 ゾンビ源藤高雅の斧の振り下ろしよりも速く魔力加速した華月の顎打ちが入る。「ガアオオオオオオ……」 風車めいて回転するゾンビ源藤高雅。華月はフィギュスケーターのように美しい螺旋回転で飛び後方蹴りをゾンビ源藤高雅に叩き込む。打撃の瞬間赤黒い光を放ちそのまま光帯を伸ばしながら弾丸めいてコロシアムの壁面に激突した。「おわりだ」 華月がそう言い放つとゾンビ源藤高雅の体がふくらみ赤黒い光と共に爆発四散。 ここで終了のブザーが鳴る。『あーっと! 驚異的なタイムで500体の討伐完了!! これは新記録! 他のチームにプレッシャーを与えました!!』 蜃は興奮して机を叩きながら言った。『499体目までは過去に出場した鬼衆とほぼ同じですがボスゾンビの討伐時間が圧倒的に速いですね』 紅は顎に手をやりながら軽く頷いていった。『まぁ、黒谷月ならやるだろうよ。 ボスゾンビもお気に入りのようだったしな』 仙丈隼磨が葉巻を咥えながら言った。『仙丈氏、ボスゾンビはチームによって変わるんでしょうか?』『4種類からのランダムになってる。今回チーム月光があてたボスゾンビはまた出てる可能性はあるぞ』『なるほど……今回たまたまチーム月光の士気を上げるボスだったわけですねー他のボスゾンビも楽しみです!』 大歓声の中、華月は肩の高さで右手を振って応える。「もっと出力を押さえて良かったな」「あれはあれで観客は喜んだでしょう。速く強くそして美しい! ファンサも一流です!」 ジークベルトは華月の肩に手を置いて言った。「流石です我が主」「あの飛び後ろ回し蹴りの綺麗さ感服致しました」「本物と比べてどうでしたか?」「まるで話にならん。本物ならば我相手にあのように正面から戦闘を仕掛けまい。奴は狩人であり戦士ではないのだ、このような形で戦闘になる状況は作らんだろうな」「成程、確かに……用意周到で出来る事は何でもやる男でしたからね」「まぁ良い、斎藤と佐久間の働きも見れた我も馴らしには丁度良かった」「はい」「勿論、ジークベルトお前の魔術のおかげで汚れがつかなった事もな」 大歓声の中去っていくチーム月光。 その様子を控室のモニターで眺めているケン達。「大会新記録か……俺たちは行けるかな」 ケンが言った。「ボスゾンビまでのタイムは勝てそうな気がするねぇ。チーム月光は近接の二人だけでボスまで進めたから」 ラーニーが言った。「アンディのバフと俺様の範囲攻撃魔術でドカンとやればいけるっしょ」「だな、ネスターの火力を生かして雑魚ゾンビを始末、ボスゾンビは総攻撃瞬殺で」「了解!」「オッケー!」「任せときな!」 ケンたちが打ち合わせをする中、次のチームSSSの戦闘が始まった。 タンク森脇が火炎放射でゾンビを焼き、採掘用重機のパーツを組み込んだパンチハザード、キックハザードのサイバネ兄弟がゾンビを粉砕していく。「にゃはははは! 余裕なのにゃん!」 猫耳をつけた細身の猫田臥螺紗が飛び跳ねて言った。 猫田臥螺紗の正体は化け猫。サイバネチームSSS(スーパーストロングサイバネティッカー)の先代ボスである猫田ガイムの妹。他府県に居たが兄が死亡したあと京都に潜り込んでいた。センジョーに見つかり闘技場でホールのバイトをしている。今回の参加は金に釣られ闘士として登録してしまった。メンバーは兄の知り合いである。「ねこねこひっかきー!」 ゾンビの顔を爪で輪切りにする臥螺紗。意外な攻撃力に歓声が上がる。『ああっと! 猫田選手の鋭い爪攻撃!! カウンターは450です!!』『タイムは速くないですが連携が取れた良いチームですね』「ボスゾンビはこわいにゃん! 498体ここでギブアップにゃん!!」 ロザリオを掲げる臥螺紗。するとゾンビは砂となって消えていく。『おおっと! チームSSSここでギブアップ! この判断が吉と出るか凶と出るかー』『あのロザリオは演出の為のものですね仙丈様』『ああ、この闘技場は俺の領域酒樽。ゾンビの出現も始末も自由自在だ』『解説ありがとうございます紅さん仙丈氏! スムーズなゾンビ召喚に後始末、仙丈氏の力によるものだったんですね~素晴らしい! さて次は闘技場のチャンピオン! 星熊童子こと星崎佳亮選手のチーム鬼衆です!!』 軽快な音楽と照明演出。神輿に乗った鬼衆が登場。『物凄い歓声です! チャンピオン、貴方の戦いを今夜も見せてくれ!!』 筋骨隆々でタンクトップ姿の星熊童子。センター分けの長めの髪を紐で縛りあげて後方一つにまとめる。「うおおおおおおっ!」 拳を突き上げる星熊童子、それに合わせ観客は声を上げる。地団駄を踏んだ観衆の影響で闘技場が小刻みに揺れる。 続いて神輿から降りるプロレスラー覆面の男女。雪山童子 夜叉童子 石熊童子。『今回は四天王はメンバーに入って居ませんがどうしたのでしょうか?』『四天王は多忙につき欠席となりました。しかし雪山童子 夜叉童子 石熊童子はいずれも強力な鬼です。実は新たなアーティストグループのメンバーでして顔見せは後程』『なんとこれは嬉しいサプライズ! 観客の皆様の期待も高まります!』 ブザーが鳴るとゾンビが一斉に鬼衆に襲い掛かる。「鬼タイフーン!」 星熊童子が叫ぶ。両手を広げ独楽のように回転を始める。迫るゾンビを撥ね飛ばして闘技場を疾走。続く
May 13, 2024
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DHHUその11 紅の提示したセンジョーのB案とは。・会員制の地下闘技場イベントの出場・勝てば賞金は得られる・イベントでの負傷の治療は開催側が行うが生死までは保証しない・どのような武器、術、能力も認められるが闘技場を著しく破壊した場合その場で失格となり損害賠償を請求する。(舞台の破壊はやむを得ないものとする)「ケン様達勇者御一行はゲスト参加者となりチームでの参戦となります」 闘技場の資料とこれまでの試合のダイジェストを流す紅。「このように多少の傷を負った所でほぼ完治させることができます。治療できないほどの怪我や死亡する場合もございますのでその点はご理解下さい」「面白そうじゃないか! あたしは全然OKですよ勇者様!」 ラーニーは拳を掌に叩き込んで言った。「オレはあんま乗り気じゃねえっすわ……財団はケチらずに金とアーティファクト差し出せばOKっしょリスクデカすぎ」 アンディは大きなため息をついて言い放った。「なんでもOKな闘技場か……男だけじゃないんだろ? ならお楽しみイベントでもある訳だ~俺はどっちでもいいぜ~?」 ネスターは下卑た笑みを浮かべながら言った。「どうなのだ勇者ケン」 机に肘をついた月が言った。「俺は……任務達成できればいい。なるべく全員が納得する形でそして早急に終えたい」 ちらりと一瞬だけ月と目を合わせて言うケン。「ならば闘技場に参加しろ。我はそちらのB案を推す。貴様らが参加するなら我も組を作って参加する、異空間結界に入れないのであればそのくらいの事がなければ意欲が湧かん」「俺たちは【凶】の真邪王復活を絶対に阻止したい。他の事をして任務に差し支えるような真似はしたくないんだ」 月の闘技場参戦を聞き不安を感じたケンが言った。「少年、ここは華月様……いえ月様の推す闘技場参加を選んでおいた方が良いぞ」 ジークベルトは少し笑みを浮かべながらケンを見る。「財団の事情でダンジョンに参加できない月様のモチベを上げるには闘技場しか無い。財団と我々の派閥との関係を良好で保ちたければ解るね? 紅さんはどう思いますか?」 話を振られた紅は落ち着いた様子で答える。「センジョーとしては常連客やスポンサーを楽しませるためにも闘技場の特別ゲストチーム参加は大歓迎です。現金とアーティファクトも嬉しいですが、センジョーと協力関係にある白峰家華月派閥にはあまりよい報酬とは言えないのでやはり闘技場を推します」「む……」 ケンは月の機嫌を取るために自らとパーティーを危険にさらすか、それとも安全策で金とアーティファクトを渡すか迷う。「迷う気持ちは解るが決めてもらおうか勇者」 見つめてくる月。ケンは一瞬だけ目を合わせすぐに資料に視線を移す。「(クソ! なんなんだアイツ……なんだこの気持ち……パーティーを危険に晒したくないけどアイツの機嫌を損ねたくない。いや、これは失望されたくない……?)」「少年、正直に自分の気持ちを月様に伝えるんだ。どちらの選択をするにせよ嘘偽りない気持ちを伝えることが大事だ」 静かに諭すように言うジークベルト。「……」「心配すんなって勇者様! 自分はそんなに柔じゃないから!!」「ま、自信あるかないかっていうとあるよな」「へっへっへ……仕事が無い時は世界各地で同じようなイベントに参加したもんよ」 ラーニー、アンディ、ネスターが言った。「仲間たちもああ言ってるぞ。我も闘技場が楽しみだ、さぁ答えを出せ勇者」 椅子から立ち上がり身を乗り出す月。「闘技場に参加する前に確認したいことがある……優勝するかどうかは関係あるのか?」 紅に向かってケンが言った。「関係ありません、途中で棄権するも自由です、闘技場で戦闘した時点で契約完了となります」「解った、では俺たち勇者パーティーはセンジョーの闘技場イベントに参加する」「そう来なくてはな!」 満面の笑みを浮かべる月、その横でジークベルトは無言で何度も頷く。「不安な顔をするな勇者、我の従者は優秀な者達ばかりだパーティーが崩壊しようとも何とかしてくれる」「え……」「闘技場イベントは今夜開催される、時間と集合場所は紅から知らされるであろう」 そう言って席を離れる月、横のジークベルトは懐からチラシを取り出した。「解散する前にこれを勇者パーティーの皆さんに」 ジークベルトが配り出したのは月がおさげの髪型をして異常なまでに漆黒のランドセルを背負った姿の写真が張り付けられたチラシであった。「超美麗ランドセル【極漆黒・闇の翼】宜しくお願いしたします。月様の画像を携帯のカメラで見れば立体動画が流れます」「はぁ……」 ジークベルトの行動に呆気にとられるケンと勇者。「華月様はセンジョーのタレント黒谷月としてこのようなお仕事もこなされているのです。私がデザインした華月様をイメージしたブランドもありますよ」 と、追加でパンフレットを差し出した。そこにはドレスやバッグ、靴や小物に香水などの写真が様々な服を着た月と共に載っていた。「素晴らしいでしょう? このパンフレットは写真集に匹敵するものでしょう?」「あ、はい……」 ジークベルトの圧に押されるケン。パンフレットを受け取る。「では我々はこの辺りで退散致します、勇者パーティーはそのままこの店で食事していただいても構いませんよ、紅さんに言えばOKです」 ジークベルトが黒い渦を掌から出現させる。扉の前に立っていた月がその中に飛び込み続いてジークベルト本人が入ると黒い渦は消え二人の姿は消えていた。「……超高等魔法の時空間ゲートかぁ。あのジークベルトってのグランドマスターレベルの黒魔術師だよ」 ネスターが言った。「安定した出力で詠唱も無しにマジックアイテムも無しにあのレベルの魔法を行使するとはな……必要な時に必要なだけ魔力を使い一切の無駄は無く常時発動可能としている。こんなのは表面張力まで注いだニトロのグラスを複数持ったまま歩くようなもの。魔力の暴走で自爆しかねない狂気じみた真似だ」 アンディが言った。「あー疲れた……あの白峰華月いや黒谷月ってのはとんだ戦闘狂だよほんの一瞬も気を抜け無い。殺気なんて向けようものなら瞬時に仕掛けてくる。そして状況を楽しんでいる……ワクワクしながら自分らを見定めて『どうだ仕掛けるのか来るならいつでもやるぞ』とね。戦うために存在しているのかアレは……あの見た目でなんという奴だ」 ラーニーは目の前に出されていた瓶のミネラルウォーターを一気に飲み干して言った。「……父さんこれで良かったのかな?」 携帯端末に向かって言うケン。『やはり今の月……華月は落ち着きがないな。しかしよくやったぞケン、華月は機嫌を損ねなかった。後はパーティー全員無事で今夜のセンジョーのイベントを乗り切るんだ』「闘技場とか初めてだよ……」『散々やったシミュレーターの模擬戦を思い出せケン。お前は冷静な判断で的確にターゲットを仕留めカードの熟練度もあげていったじゃないか。自信を持て、お前は勇者だ』「は、はい!」『戦士ラーニー、僧侶アンディ、魔術師ネスター。皆超一流の経験豊富な財団のメンバーだバランスも良いきっと乗り越えられる! 優勝を目指すわけじゃない生き残ればいいんだ決して不可能ではない!!』「はい!」『話は変わるがユウは今ダンジョンに向かっている、ケンがセンジョーのイベントを終えた頃にはあちらも攻略しているだろう。報告会議を楽しみにしているぞ』「任せてください!ユウにも俺の活躍を聞かせてやりますよ!!」***――京都地下都市碁盤の目町 24の結界に守られた地下都市の中心に建てられた和洋瀬中の館。そこが白峰華月の住みかであった。「芸能人・黒谷月の姿で居るのは思いの他精神的緊張を強いられるな」 華月はメイクを落とし髪、眉、まつ毛を黒から輝く銀色へと戻す。丁寧に仕上げられたネイルにペディキュアも一瞬にして崩壊させ素の状態に。「あああああああん! やっぱりかづたん様は素の姿こそ至高にて究極ですなあっ!」 技術者であり従者の河童・勝田波留夫が華月を目の前にして叫んだ。「おやおや勝田さん、華月様の『黒谷月』メイクは毎日丹精込めて芸術の域にまで仕上げてると思っているのですがね?」 小さなため息をついてジークベルトが言った。「確かに素晴らしいメイクですよ。しかしかづたん様の可愛さ美しさとは別物。『黒谷月』ちゅわんはあくまで変装姿です。かづたん様以上はありえないって事です」「それはまぁ確かに……黒谷月のメイクは私の自己満足によるところが大きいかもですね。違った一面の華月様を見たいという欲求が形になったものです」「化粧の話はもういい、我は今夜行われる闘技場の催しについて話がしたいぞ」 裸足になった華月は毛足の長い絨毯を踏みしめ応接間に移動する。「しましょうしましょう!」 勝田は満面の笑みで華月の顔を見ながら言った。 応接間に集められたのはジークベルト、勝田波留夫、斎藤勇雷、佐久間瓢介、木戸剛照。モニターには沖田実満、河上起央、谷川克政、白峰冬華。「今夜のイベントに出れそうなのは……私、斎藤さん、木戸さん、佐久間さんですかね。勝田さんはここで待機して貰いたいですし、沖田さんは学校の関係者との会合。河上さんは取材の予定、谷川さんと冬華は東京で任務中ですからね」 ジークベルトが言った。『勇者パーティーとか私気になります、参加したかったのに。経験値積むチャンスが……』 冬華がモニター越しに言った。「私と華月様の体験を勝田さんに伝えてシミュレーションを作ってあげますよ冬華」 ジークベルトはモニターの冬華に微笑みながら語りかけた。『お願いしたしますお父様お母様』「華月様、メンバーはどういたしますか?」 豪華な装飾が施された柔らかいクッションの椅子に座り足を組んでいる華月に向かってジークベルトが言った。「ふむ……斎藤と佐久間だな。我とジークベルトを合わせて四人、これで良いだろう」「千載一遇のチャンス! この斎藤勇雷、必ずや役に立って見せましょう!」 声を張り上げて立ち上がる斎藤。「感謝いたします華月様。グレイビーストの一件から鍛え直しましたので成果をお見せいたします」 ゆっくりと立ち上がり一礼をする佐久間。「期待しておるぞ。あの闘技場、我は一度経験あるのだが中々良い経験になったぞ楽しみにしておけ」「は!」「はい!」「では準備にかかるか。ジークベルト、いつもの黒谷月よりも戦闘的な化粧と衣装で頼む。斎藤、佐久間、晴れ舞台だ、とっておきの一張羅を身に着けると良い。心配は無用だ損壊することになろうとも我が記憶しておいてやる。復元は可能だ」「華月様にそのような気を使わせる訳にはいきません。どうかお気になさらずに」「報酬を頂ければ満足ですのでどうかご一考下さい」「佐久間!」 斎藤が叫んだ。「良いではないですか。千載一遇のチャンスと言われたのは貴方。斎藤さんも華月様から報酬を頂く方がよろしいのでは?」 佐久間は華月の顔色を伺う。「そうだな……働き次第で報酬は出そう。何を望むか考えておけ」 華月は笑みを浮かべて斎藤と佐久間を見た。 華月の報酬とは成果に対し自身の要求を通すもの。成果と報酬を天秤にかけ釣り合っていなければ貰えない、要求が高すぎても低すぎても不可となる。 黒谷ジークベルトは華月を復活させ報酬に夫婦関係の構築を得た。 勝田波留夫は華月とジークベルトの血液を使用したロボットから冬華を誕生させ『かづたん』呼び&冬華の義理の父の地位を得た。 沖田実満はグレイビースト事件の功績を買われ学園の一室に華月と過ごす専用の隠し部屋の設置を得た。 木戸剛照もグレイビースト事件の功績を買われ『黒谷月』の文房具作成の権利を得た。「俺が華月様に望むもの……か。こうして仕えられてる現状で十分充実しているのだが」「更に充実させるには、でしょう?」「……成程、そうか」「自分はカッコいい所華月様に見せたいんでね、報酬はもっとカッコいいところ見てもらいたいようになる報酬を考えてるんですわ」「佐久間はそうか『ええかっこしい』だったな」「ですよ」 斎藤と佐久間が盛り上がってるのを他所に華月はこれから向かう闘技場の事で頭が一杯になっていた。 どのような相手、どのような戦術で立ち向かうか。チーム戦なのでどう動くか等を考えている。「心躍るな、楽しみだぞ」*** ユウ達は紅に案内されセンジョービルの地下駐車場の隠し扉から地下闘技場へと向かう。「なんだここは……地下にドーム球場並みの施設が!」 ユウはまるで別世界に着た感覚を受けていた。「さぁこちらへどうぞ、参加者用の控室に案内します」 紅の案内で分厚い二重扉の通路を進みロビーに出る。扉は8つありそれぞれの控室になっていた。KAMINA製のパワースーツ警備がプラズマアサルトガンを持って各扉の前に待機している。「こちらへどうぞ。控室の中から闘技場へ行くことができますので他の出場者と鉢合わせする事はありません」 本日限り使用できるというセンジョーのVIPカードをユウ達に配る。「控室の中にある販売端末で使用いただけます、使用した金額は賞金から引かせていただきます。初戦で負けた場合は財団に請求させていただきます」「あの、闘技場のルールとかは?」「控室のモニターで確認できます。それではご検討を」 紅は一礼して踵を返し去っていった。「ま、とりあえず控室にいこう」 アンディが言った。 控室は半分がロッカーとベンチ。もう半分が畳の小上がりになっていた。「さてさて……さっそく今回の闘技場のルール確認しとく?」「ああ」「オッケ~」「そうだな」 アンディはモニターのリモコンを操作して【本日のイベント!】の項目を選択する。 第一回戦:デンジャラスゾンビサバイバル ・闘技場に放たれる大量のゾンビ相手に戦え!全滅させるまでのタイムを競う。 ・途中棄権する場合は配布するロザリオを発動してください。ゾンビが停止します ・途中棄権した場合は倒したゾンビの量で点数が付く。 第二回戦:ジャイアントキリング・闘技場に放たれる大型モンスターを狩れ!・時間経過で次々と放たれる大型モンスター(最大数4)同士討ちを狙うか連続撃破ボーナスを狙うか確実に1体ずつ狙うかパーティーの判断にゆだねられる。第三回戦:クラウン争奪バトル・闘技場中央に置かれたクラウンを最後にかぶっていた者がいるパーティーが勝ち。・2位3位4位はクラウンを被っていた時間で決まる。・クラウンを被る役はパーティーに1人。妨害は自由、殺しはNGだが不慮の事故はやむを得ないとする。ペナルティあり。続く
May 4, 2024
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