全3件 (3件中 1-3件目)
1
DHHUその32 「緊張されなくてもよいですよ。お母様とパーティーを組んで戦ってきたのなら私たちはもう同士ではありませんか?」 部屋につくとリビングに案内して冬華が言った。財団の者はケンと別れホテルのロビーへ移動する。 「え、ああはい。そうですね」 冬華と目を合わせようとしないケン。茉白と谷川はソファの端に腰を下ろした。 「……んんっ」 咳ばらいをする冬華。 『どうしたケン、そよそよしいではないか』 華月の声、口調を完全コピーした冬華が言った。 「え」 『適度の緊張感は必要だが萎縮はするでない。のびのびと話そうではないか』 「そう……ですね」 「……成程、わかりました。お母様の人との距離のとり方、歯に衣着せぬ物言いが貴方にとって心地よいのですね」 「えっと……」 「ではまず勇者ケン、貴方の話を聞きましょう。ここにいる3人はまずそれを聞きたいです」 冬華はケンの話に相槌を打ちながら質問をし全て録音していく。 「その歳で立派な事です」 「いやそんな冬華さんなんてまだ1歳にもなってないのに俺より落ち着いてて……」 「実年齢は1歳未満ですが、睡眠中のシミュレーションで白峰家3代の人生を体験している最中ですのでケンよりも人生経験豊富と言えます。その影響でしょう。歳の事を持ちだしたしたのは迂闊でした、ケン貴方を一人の人間として接しなければならないのに」 冬華は脳内で巻き戻しケンに対して言ったことを変え複数の反応パターンをシミュレートする。そして思考パターンと口調を変えなければならないと出た。 「……」 「冬華さん?」 「なんでもないですよ、ケン。共に【凶】を斃しましょう! 私は貴重な経験値を得ることができます。次の白峰家の当主として様々な経験を積みたいのです!」 「え? うん」 冬華の急な変化に戸惑うケン。 「これが本音です。私は経験が欲しい、そして国内にそんな危険な組織がいるのなら排除しておきたい。財団とも繋がりを持ちたいです今後も友好的でいたいです」 「う、うん! 俺も白峰家と知り合えてよかった!」 「ケン、貴方のカードの事とか教えてほしい実戦でスムーズな連携を行うために。お母様のように瞬時に思い切りのよい判断を私はまだできないから」 「いいよじゃあまずこのファランクスのカードはね――」 打ち合わせを1時間ほど行い、ケンは隣にとった部屋に戻って行った。 「おじさま」 冬華は勝田波留夫に通信を試みる。 『何だい冬華ちゃん』 「Vドライブの拡張ユニット2機を明日までに用意できますか?」 『先日テストを終えたばかりのやつだね……かづたん様の動きを再現したくなったの?』 「勇者ケンと作戦行動を共にするにあたって、お母様の戦闘スタイルは取り入れていきたいなと考えています。なぜなら彼はオリジナルカードの構想にお母様の影響を受けたと発現していたからです」 『んん? 意味がよく分からないねぇ』 「勇者ケンの中でお母様の存在はとても大きくなっているので私はお母様の娘であることのインパクトを強く与えたいのです。私も勇者ケンの記憶の中で無視できない存在になりたいのです」 『なるほどなるほど……』 「おじさま?」 『いや、気にしないでね冬華ちゃん、君の成長っぷりに思わず嬉しくて顔がにやけてしまっただけだよ。京都のかづたん様の元を離れて正解だったと言える。かづたん様にジークベルト殿、僕や他の従者がいる環境では皆が望む冬華ちゃんの型にはまってしまっていた可能性があるからね。外部の人間である勇者ケンと接触して自分で案を出し僕に相談してきたことが嬉しいんだ』 「そうなのですか」 『以前の冬華ちゃんなら真っ先にかづたん様やジークベルト殿に聞きその通りに動いていただろう疑いもせずにね。イレギュラーがあれば対応できずに暴走してたかもしれない。僕にパーツを頼む時も必要ですとしか言わなかっただろう』 「その可能性はあります」 『自分で考え相談相手を選び検討する。これがスムーズに出来ている事が素晴らしい。自分の能力に振り回される様子も無いし良い成長をしているよ、それでVドライブ拡張ユニットだけど……すぐに佐久間殿にでも送らせるよ。朝までに間に合えば良いかな?』 「いえ、自分で取りに向かいます。飛べばすぐですので」 『そうか、じゃあ用意して待ってるよ』 通信を終える冬華。 「……茉白、貴女が羨ましいと感じる事が多々あります」 冬華の問いに首をかしげる茉白。 「茉白は先生の理想の人形であり続けるそれだけです」 「それです、貴女にはゆるぎない信念、理想像がありそれに向かって試行錯誤できる」 「冬華にはないのですか?」 「迷いがあります」 「迷い、悩みこそ人間らしいではありませんか。そこから成長するのでしょう?人形には必要ありませんが」 「……」 「ですが理解はできます。茉白は先生に捨てられて存在意義を失う事が耐えられない。先生に飽きられないように愛し続けて貰えるように試行錯誤する。うまくいってるかわからない時は不安を感じます。冬華は自分の芯が何か掴みかねていていると推測します」 「私の芯」 「人形の茉白が言う事は参考にならないかもしれませんが、譲れないものが何か冬華もあるはずでは?」 「私の譲れないもの……」 じっと手を見つめる冬華。 「……いいですか、冬華様」 谷川が言った。 「貴女の悩みは華月様も幼い頃感じていたものです、きっかけは覚えていないとおっしゃってましたがある日突然電撃が走ったようにひらめいたとの事です」 「ある日突然……」 「うまくいかない魔力操作、白峰家の縛りで思い通りにならない、理解者もいないそんな日々の中でひらめいたらしいです、丁度今の華月様の肉体と同じ年齢9歳頃だと」 「しかし谷川先生、私はあと2年で完成しなければなりません、当主選を勝つために」 「完成する必要などありませんよ。華月様と冬華様は違う、貴女に期待しているのは白峰家の未来です。どのように導かれるのかと従者一同は期待しているのです」 「確かに私とお母様は違う」 「生まれつきサイボーグの冬華様はこの時代に適し未来へと繋がる道を示せるはずです。プレッシャーを与えるつもりはないのですが私はそう考えています」 「……谷川先生は私が当主になった時、従者として付いてくれるのですか?」 「華月様は茉白が生まれるきっかけになった最高の存在です、最高の存在を見て聞いて感じて着想を得て茉白を作ることができました。この恩は一生をかけて返すつもりですので。しかし華月様が望むのであれば冬華様に付く事になるでしょう」 「自分の従者は自分で選べという事ですか」 「そうでもありません、華月様に仕えている従者の殆どはジークベルト殿が集めた者達です。白峰家に縁があり華月様を支持していた家の者中から厳選したのです。結果とてもよい関係になりました従者同士のトラブルもありません。なのでジークベルト殿に頼むのも一つの案ですね。それと白峰家には古くから仕えている御三家がおりますので」 「御三家……須原家、吉良家、水元家ですね。お母様が当主の時も御三家は仕えていたのでしたね」 「かといってそこから選択しなければならない決まりはありません。従者はいつの間にか集まっている、そのくらいの気軽さで良いのかと。貴女に魅力を感じ仕えたいと希望する者が必ず現れるはずです」 「そうですか……」 冬華は一旦問題を置いておく事にする。他の事をしている時にノイズが入るのを避ける為である。誕生して2ヶ月ほどは情報処理が追いつかず拡張パーツを着けて対応していたが勝田波留夫に思考分裂による仕分けを提案され問題は解決した。最初に誕生した冬華の思考をメインとし他に5つの思考を持つようになった。 『分裂した思考を切り離し独立したAIとしてみるのも将来面白いかもね』 と勝田波留夫は言った。神名からの技術提供のバイオプリンターで生体ボディも作っているのでAIを搭載した冬華の子たちを作ることも可能だと言う。 *** ケンは冬華と話をして意外と親しみやすいと感じていた。 偉大な親を持ち後を継いで立派になりたいとお互いに考えている。 ケンは父親のセイに憧れ、華月に生涯忘れる事が出来ない程の強烈な衝撃を受けた。 冬華との出会いに少し運命を感じていた。 『ケン様』 財団の男から通信が入った。 『渋谷にダンジョンが発生しました。3万人を超える人数がダンジョンに吸い込まれたとのことです。財団は動けるギルドメンバーを総動員しました』 「なんて事だ……ジンガと真邪王はもうなりふりかまっていないのか」 『……それと、今入った情報ですが財団の邪体保管庫がある建物が襲撃を受けています!ユウ様が近い為そちらに向かって貰います、ケン様は渋谷のダンジョンへお願いします』 「わかった!」 通信を聞いていた冬華、茉白、谷川はケンの目を見て頷く。 「みんな、渋谷のダンジョンへ行こう!」 「屋上へ行きましょう、そこから飛べばすぐです」 屋上へ移動するケン達。ヘリポートへ出る。 「茉白が谷川先生を、私がケンを掴んで飛びます」 谷川を後ろから抱えて飛び上がる茉白。羽を広げて滑空する。 「行きましょう」 「大丈夫、俺も飛べるよ【不死鳥の剣士】でね!」 不死鳥の剣士を召喚、その背中に乗る。 「そうでしたかでは行きましょう」 先頭を飛ぶケン、続く茉白&谷川、冬華。 「あれは……」 ドーム状に展開した黒いオーラが渋谷を包み込んでいた。 「なんて規模のダンジョン……本当に真邪王とジンガはここで決着する気なのか」 「通常、このように目立つものなのですか?」 冬華は黒ドームをスキャンしながら言った。 「いや、普通は建物の扉とか通路の間とかに入口を作るものなんだ……こんなに大きくて一般人に目立つダンジョンの入口なんて初めてだよ」 「次々に車、人々が黒いドームに入って行ってるが」 谷川が言った。 「マズい……【凶】のダンジョンで邪気にあてられたら一般人は正気を保てない……魂まで蝕まれたらもう元に戻れないモンスターになってしまう……だけどこんな大規模な入口全て封鎖できないどうすれば……」 「今までこのような展開をしなかったのは向こうにもリスクがあるからなのですよね?」 茉白が言った。 「うん、こんな展開の仕方すればダンジョン主にはとんでもない負荷がかかる。入口をでっかくすればそれだけ邪気が霧散しやすくなるしダンジョンが消滅しないようにしなきゃならないから」 「どうやら新宿でも同じようなダンジョンが発生してたようですね」 冬華は周囲の人々の携帯電話にハッキングを仕掛け新宿御苑のダンジョンを撮影した者を発見し写真をコピーしてケンに見せた。 「――これはユウが対応した方のダンジョンか……奴らはもう世間に隠す気はないんだな……それほどのリスクを冒してでもやり遂げる覚悟か」 『ガオオオオオオオン……』 黒いドームの中から複数の人間が合体した巨人が現れる。 「まさにお構いなしですな……」 谷川は眼鏡を触って言った。 『ガオオオオン』『ギャオオオオオン』『ゴオオオオオン』 次々と合体巨人がドームから現れる。 「取り込まれた渋谷の一般人は数万人……大惨事になりますよ」 既に警察車両、消防救急のサイレンが鳴り響いている。 「突撃しよう!ダンジョン攻略は速ければ速いほどいい!」 ケンが叫んだ。 「出現するモンスターは無視して攻略に舵をきる判断……流石勇者。追いましょう茉白」 「はい先生」 急降下してドームに向かうケンを追う谷川&茉白。 「あの三体だけでも潰しておきます」 右腕を変形させた冬華。プラズマキャノンのチャージを始める。 「爆散した後始末は誰かがするでしょう」 三体の合体巨人にプラズマ弾を撃ち込む。命中したプラズマ弾は巨人の全身に広がり爆散させる。 「これで犠牲者の数は少しは減るでしょう」 ケン達を追って黒いドームに急降下する冬華。ダンジョンに入る。 続く
Nov 24, 2024
コメント(0)
DHHUその31 「やった……これでジンガの配下は全て斃した!」 「真邪王の気配はまるで無かったな、魔女を見捨てたのか?」 「華月様お手当を……」「華月様治す~」 切断した左手と髪を回収したジークベルト。その横には自らの肉を千切った滑田。 「失礼しますよ華月様」「ん」 滑田は肉を華月の左手と頭に当てる。すると溶け込むように吸収され左手は瞬時に再生、髪は元の長さに戻った。 「何度見ても驚かさせる」 「えへへ……これしか取り柄が無いから」 ジークベルトはそっと黒渦空間に左手と髪を収納した後、頭を抱えて膝をつく。 「あああああ……申し訳ございません華月様……あんな事をさせてしまうとは。魔術が使えないだけで魔女に遅れをとってしまうなど筆頭従者として不甲斐無く……」 「喚くでない、魔女の仕掛けたあの状況で対応できる者など多くないだろう。全員無事であったことを喜べ。我はこの通り、もう何とでもないではないか」 「うおおおおおん!」 華月に抱き着くジークベルト。 「落ち着け、いつも冷静なお前が珍しい」 「あの時、魔女の弾丸が華月様の心臓に命中していたらと思うと……」 「あの弾丸は脅威であったな。誰に命中していても不味い状況であった、あの時奴はケンを狙って放った。我が受け止めて良かったのだケンに命中していればそこで終わりであった、ジークベルトが受けていれば我との連携で魔女を追い詰める事は難しかったであろう、滑田が受けていれば負傷者は治療できず命を落としていたかもしれん」 「ですが……」 「もう良い、この場でこれ以上反省会は不要。ギルドに戻るぞ」 *** 京都、財団のギルドの一室。 「――と、いう訳だ。ケンも東京へ向かって欲しい」 セイは真邪王が用意したジンガの適合者が東京にいる事を説明した。 「財団は奴らを追い詰めているんですか?」 「ああ、だからなりふり構っていられないのだろうな。財団は真邪王の邪体保管庫の警備強化もしなくてはならない。長引けばこちらが不利だ、ユウとケンのパーティーでジンガを捕らえ真邪王の野望を打ち砕く」 「はい! 今のパーティーメンバーなら……やれます!」 ケンは華月、ジークベルト、滑田の姿を頭に浮かべる。 「次の任務だが……東京へはケンの今のパーティーメンバーでは行けない……」 「ええっ!?」 「華月は行動を制限されている身、京都からは出られん。従者のジークベルトは彼女からは離れない、滑田はセンジョーから派遣された者だ京都内のダンジョン攻略までが契約条件なのだ」 「そんな……」 「その代わり……東京には華月の娘、冬華がいる。冬華には自動人形の茉白、そのマスターである吸血鬼・谷川克政が付いている。この三人と合流し新たなパーティーを組みジンガを捕らえるのだ」 「はい……」 「心配するな、華月と上手くやれたお前なら大丈夫だ」 部屋を出るケン。リビングには華月、ジークベルト、滑田が座って待機していた。 「みんな……突然なんだけどパーティー解散になった」 ケンは3人に説明する。 「仕方ない事だ。なに、そんな顔をするな。今生の別れではあるまい京都に来ればまた我と会う事もあるだろう。滑田も京都住みだしな」 「う、うん……」 「土産話待ってるぞ」「そうですよ、きっとまた会えますとも」「うんうん」 「みんな……」 「冬華、茉白、谷川なら大丈夫だ。皆頼りになるきっとお前を支えてくれる」 *** 東京銀座。 アンティークショップが入っているビルから出てきた冬華、茉白、谷川。 「……通信が入りました。おじさま(勝田波留夫)からです。勇者ケン・シーアがこちらに向かっています、合流しパーティーを組み【凶】のジンガを捕らえる作戦に協力するようにとの事」 サイドテールの髪、背中の開いたドレス、華月に似た容姿のサイボーグ・冬華が言った。 「財団は自分達のメンバーを使わずに我々を指名したと言う事ですね」 高級ビジネススーツに太い縁の眼鏡をかけた谷川が言った。 「先生、これはチャンスです」 髪から足の先まで純白、ゴシックドレスの自動人形・茉白が言った。 「先生の最高傑作の人形であるこの茉白が活躍すれば先生の評価も上がるというものです。そして茉白と先生の絆を見せつけましょう」 茉白はつま先立ちで回転して言った。 「――おじさまからお母様らの戦闘データを入手しました。ホテルに戻り情報共有しましょう」 飛び上がる冬華、足の裏と背中からバーニア噴射。飛行形態になる茉白それに捕まる谷川。三人は飛んでホテルに向かう。 「あれは……」 ホテルの前に紫色の光を放った怪人が見える。全身タイツのようなスーツに触角。 「――データ解析。【凶】の者と推測。戦闘モード起動」 怪人の背後に着地する冬華、掌を向けプラズマブラスターの発射準備待機。 「そのまま答えなさい。【凶】の者ですね?」 「ゲゲゲゲゲゲ……飛んで火にいる夏の虫ってか?財団の関係者だな?【凶】の名を口にする者は全員始末する!」 ブリッジから触角攻撃。電光石火の不意打ちであったが冬華は回避。 「不意打ちのパターンは予測済みです」 「邪体を狙うと財団の者が現れる……確かなようだ!」 「邪魔ですよ」 足をチェーンソーに変形させた茉白が上空から怪人の背中を切り裂いた。 「ぎゃがっ!」 「ふん!」 続いて下りてきた金属アーマーに包まれた谷川の飛び蹴りが脳天に炸裂。 「ぐげ……」 空中反転した谷川はアーマーのバーニアで姿勢制御、頸椎にクロスチョップを叩き込む。 「クソやべぇ……話が違うじゃねえかよ集まって来る雑魚をぶち殺すだけじゃ……」 膝をつく怪人。 「【凶】の呪符によって怪人化したサイバネですか」 「げっげっげ……なんか知らねーおっさんに【チケット】貰ったんだよぉ……トブぜこれはよー」 「機械率50%……なるほどサイバネ障害を発症しドラッグに依存してる典型的なパターンですね」 冬華はスキャンしながら呟く。 「サイレンの音が聞こえます誰かが通報したようですね」 「げっげっげ……パクられてもサイバネ障害特権で執行猶予の弁当付きだぁ……仮にテメーらをぶち殺しても2、3年で娑婆に戻れるだろうよ」 「そうですか、ならばここで駆除してもよいですね? 私は機械率99.99%のサイボーグです。手が滑って殺害に至ってもサイバネ障害ですよね?」 「フかしてんじゃあねーぞ! 機械率99.99%なんざ聞いたことねえ!そんなもん脳だって生身じゃいられねーだろうが!」 「その辺の人間と私を同じに考えないことですね。生まれた時からサイボーグの私はあなた達とは次元が違うのです」 「そんな奴存在するかー!」 男は叫びながら触手を伸ばす、猛然と襲い掛かった触手は冬華の眼前で急停止した。 「は? なんで……」 「スキャンは完了しています。あなたの体のサイバネ部分は私の意のままです」 触手を曲げ足首を掴ませる、そのまま引き絞りエビぞりの状態で体を折り曲げていく。 「このまま二つ折りになればいいでしょう。サイバネ暴走により自死ですね」 「グガアアあああ……やめろ……」 「あなたに呪符を渡した男のデータも眼球から得ました。もう用はありません」 「ギイイイイイイアアアアアアアアッ!」 エビぞりで二つ折りになる男。サイバネ部分から火花が走っている。 「長居は無用ですホテルの部屋に行きましょう、茉白、谷川先生」 部屋に移動する冬華、茉白、谷川。 「お母様の京都での戦闘、【凶】のダンジョンについて――」 冬華は光伝送通信で茉白と谷川の持つ端末にデータを送る。 「勇者ケンを守る方法。【凶】の真邪王やジンガの呪術に対抗する手段――」 「流石です冬華、先生もそう思いますよね?」 「ああ、どの案もよく考えられている……一つ気になる点があるとすれば冬華様は京都にバックアップを用意しているからと無茶をする可能性が高いところですな」 谷川は太縁眼鏡を上げて言った。 「それは自身の性能を限界まで引き出して次のアップデートの為の有用なデータを得る為です。そこに何か不満でも?」 「真邪王の邪眼はコピーする力を持っていると京都から送られてきたデータに記載されています。冬華様をコピーさせるわけには……」 「私は私の事を熟知しています。コピーには負けません、なので問題ありません」 「直接対決される場合ならそうでしょう。しかし真邪王は別の用途で冬華様のコピーを使用する可能性があります。貴女なら行わない非道な行為もやって見せるでしょうそこが不安なのです」 谷川は冬華の力をもってすればサイバネ者の集団扇動、都市の機能破壊、大量殺戮兵器の自動化など例をあげて言った。 「文明社会において冬華様の力は絶大です。かつて居た世界的サイバーテロリスト『G』など貴女の前では勝敗にすらなりえない。今の冬華様であればグレイビースト事件はもっと早く解決できていたでしょう。それほどの力なのです」 「言いたいことはわかりました谷川先生。……そうですね敵に手の内は晒さないに越した事はない。作戦パターンを変更します」 「宜しくお願いします」 白峰冬華は華月とジークベルトの娘でありサイボーグボディを作った勝田波留夫の事は勝田本人の希望もあり『おじさま』と呼んでいる。親友である自動人形・茉白のマスター谷川克政の事は今の所、華月の従者の中で一番信頼をしている。 谷川克政は従者の中では一番長く冬華との時間を過ごしている。彼は冬華の事を次期白峰当主に申し分無いと評している。他の候補者、霄、吹雪、霞とは比べものにならないとさえ。万が一冬華が選ばれなかった時……何が起きるかは用意に想像できた。 過去に華月の娘である雪名がエクレシアに従わざるを得なかったとはいえ華月を完全消滅寸前にまで追いやった。その事に関して華月本人よりも周囲は憤っており何かのきっかけで爆発し現当主側を滅ぼすつもりでさえいる。 冬華の当主落選はその引き金になると谷川克政は考えている。そして華月もそれを止めようとしない事も解っている。冬華は両方を念頭に置いていると感じている。当主に選ばれると99%思っているが1%は現当主側を滅ぼす構えだと。 現当主側もそれを薄々感じているのか当主選に向けての意気込みをあまり感じない。エクレシアの建前上、当主選をする姿勢を見せているが実際は冬華に譲る気なのだと谷川克政は考えている。 「(冬華様が当主になればエクレシアの束縛から華月様は自由となる)」 作戦会議を終えると冬華はベッドに横になりスリープモードに。半自動システムに切り替える。人間と同じサイクルで睡眠をとり思考を整理する。これは勝田波留夫の助言で実行していた。人間らしさを失わないように通常の時間を生きている者の気持ちが解るようにと。その代わり意識を分割し待機させいつでも動けるようにしていた。 冬華は誕生してまだ1年にも満たない。経験不足を補う為にスリープ中に時間を圧縮しシミュレーションしていた。 データから抽出した旧白峰邸で幼いころから育ち学校生活を送りながら白峰家の者として闇の住人とのやり取り。白峰華奈、華月、雪名とデータに残っている限りのシミュレーションを自分に置き換えて過ごす。 存在しないはずの記憶を経験として得ていく。 自我の崩壊、人格破壊に繋がりかねないと勝田波留夫は注意したが冬華は生まれながらにサイボーグの自分はシミュレーションであることを絶対に忘れないと言い放ち進めた。 冬華にとってこのシミュレーションは演劇や映画を見ているようなものだと。 ――翌日 冬華の受信システムに着信。 『冬華ちゃん、おはよう』勝田波留夫の声。 「システムオールチェック、起動。おはようございますおじさま」 『今日から勇者ケンとパーティーを組んでの作戦だね。何か必要なものがあったら遠慮しないで言うんだよ』 「いつもありがとうございますおじさま。何かあればすぐに連絡いたします」 『じゃあね、作戦がんばってね』 「はい」 ベッドから体を起こすと茉白は化粧台の前で谷川と身支度をしていた。 「おはようございます冬華。きょうも良い朝ですね」「おはようございます冬華様」 「おはよう茉白、谷川先生」 冬華は自分の冷蔵バッグから血液パックを手に取りストローで一気に飲み干した。 「朝食完了。勇者ケンとの待ち合わせまであと1時間ですね」 バスルームに向かう冬華。シャワーを浴び自らの発熱で濡れた体を乾かし髪をサイドテールに結ぶ。鏡の前でボディスーツと背中のあいたドレスを纏い準備を終える。 ――1時間後ホテルのラウンジ。 黒いビジネススーツの財団の男と共にカーボン調のパーカーを来た少年、勇者ケンが現れた。 「ケン・シーアです」 「白峰冬華です、こちらは茉白に谷川克政」 銀髪に金色のメッシュが入ったサイドテールの冬華を見てケンは握手すべく右手を出した。 「宜しくお願いします」 「こちらこそ。京都での活躍はデータで拝見させていただきましたよ」 握手に応じる冬華。触れた瞬間からデータ解析を開始。 「お母様、お父様と一緒に作戦をされてどうでしたか?」 「えっと……うまく言えませんが素晴らしい経験でした」 「そうでしょうお母様は歴代白峰家最高の存在、お父様は黒魔術の他に多才でよく気が付く紳士ですものね」 「はい……」 「どうかしましたか?」 「いえその……華月さんの娘さんと言われてちょっと戸惑ってしまって」 「ああ、今お母様は幼い姿になってしまってますものね100歳を超えていますが。私は見た目は貴方よりも年上ですがまだ1歳にもなっていませんよ」 「不思議な感覚です……」 「挨拶はこのくらいにして部屋で打ち合わせをしましょう」「はい」 冬華の顔は華月に似ているが雰囲気はまるで違う。茉白は人形そのもので谷川は優しくて真面目そうな大人に見えた。 続く
Nov 17, 2024
コメント(0)
DHHUその30――列車ダンジョンの少し前。ユウが新宿御苑ダンジョンの後気絶している間。――京都 ケン達は京都最後の魔女アカネダンジョンに挑んでいた。「大丈夫? 華月さん……」 ケンは鼻と口を抑える華月に向かって言った。「苦手な臭いだがそれだけだ、問題ない」 芥子の匂いが充満する薄暗い洋館のダンジョン。「どこかで香を焚いているのか……この洋館は迷宮になっているのか」 華月の言葉を聞いたジークベルトは後ろを振り返る、入ってきた玄関の扉はなく何処までも続く廊下が見える。「んあ~」 滑田が足の裏に違和感を覚え靴の裏を見る。べとつく粘液が廊下の絨毯にしみ込んでいた。「どうしたの滑田君?」「絨毯、べとべとしてる……」「え? そうかな……?」 ケンは自分の足裏を確認するが何もついていない。「それよりもこの埃のような塵、鬱陶しいですねぇ」 ジークベルトが言った。しかしケンにはそのようなものが見えない。「なんかおかしいよ! 芥子のような匂いはしないし床はべとついてないし何も空中に舞ってないよ!」「む?」「え?」「なんですと?」「ダンジョンの仕掛けだよこれは! ずっと誰かの鳴き声が聞こえてるけど皆には聞こえてない?」「聞こえんぞ」「聞こえない」「まったく」 ケンは洋館の中が徐々に寒くなっていくのを感じる。「真冬の寒さだ……みんなはどうなの?」「我は暑く感じる……気温50度湿度100程度のなまるで蒸し風呂だ」「生ぬるくて気持ち悪い……吐き気がするよ」「極寒の冷凍庫と言った所でしょうか……」 四人は足を止め周囲を警戒する。「何らかの攻撃を受けている……でもなんなのか分かんない」 ケンは3人の様子を見る。華月は顎に滴る汗を拭い、滑田は浅い息をして上を向いている。ジークベルトは外套で体を包み込んでしゃがみ華月の顔を見ていた。「汗をかくなど久しぶりだぞ」 華月はジークベルトのハンカチで汗を拭かれながら言った。「常時魔力で防御している華月様は終日快適な状態にしているはずなのです。なのにこれとは」「ここの主の魔術か……」「ちょっと確認します……これ、見てください!」 ケンは召喚したモニターマンに現在の気温湿度を表示する。そこには23度湿度40%と映し出されていた。手に持ったモニターマンの表示を3人に見せる。「実際の温度湿度と各々が感じているものとは違うのか」「どんな魔術だろう?……財団の情報では魔女のアカネはジンガの部下で原因不明の死因で100人以上殺していると」「つまり魔女アカネの魔術の事を知っている者はいないのか」「そういう事になります」 華月とケンの話を聞きながらジークベルトは解析を開始している。「これは厄介な……魔法自体が上手く発動しませんね……あまり得意ではないのですが黒谷の忍法なら……」ジークベルトは両手で印を結ぶ。「どうだ?」華月が聞く。「気は練れますね……しかし体内で練った忍法の忍術が発動しません。いえ正確には発動しているのですが何故か効果が現れない」「成程……」 華月は少し考えるとドレスのリボンを解き魔力で硬化させナイフのように尖らせた。そして洋館の壁紙を斬りつける。中身のコンクリートが剥き出しとなった。「ふむ……」 次にリボンナイフを壁に投げつける。鋭いナイフとなったリボンナイフは壁に突き刺さると全員が思ったがそうはならなかった。柔らかい生地は壁に衝突し床にゆっくりと落下した。「……大体解ったぞ」「そうなの?」「流石です」「おお~」「ケン、武器と召喚者を出してみろ。武器は使えるが召喚者はすぐに消えるはずだ」「え? わかった……」 ケンはカードを取り出し撃槍ゼクスミニアドと虎狩りの戦士を召喚。ゼクスミニアドはケンの手に残り虎狩りの戦士はすぐに霧のように消えカードに戻った。「むむ?」「この洋館が魔女アカネの魔術なのだろう。術を行使しても術者本人から離れた時点で効果を失う……いや、吸収されているのか」 華月は自身を膜のように包み込んでいた魔力を体内に納め体温を調節する。みるみる内に汗は引いていく。戦闘用の状態にもっていくには普段とは違い体内に魔力を完全に留め身体強化と同時に魔力操作もしなくてならかった。「これは慣れないな」「では私も華月様に倣って……」 ジークベルトも魔力完全に体内に納める。「なんともむずがゆくてストレスが溜まりますねこれは。しかし魔力効率で言えば悪くない。異能者のサイコキネシスによる身体強化、あれはこういうものらしいですね」「ほう……こういった方式の身体強化なのか」「空を飛ぶサイコキネシスの場合は我々の魔力操作に近いようですが」「異能者にも色んな使い手がいるのだな……ケンと滑田はなんとかなりそうか?」「ミスリルの鎧を着て対処するよ、滑田君は盾を貸してあげる」「ありがとう~」「しかしこれは困りましたね、攻撃手段がかなり限られます」「そうだな……それにしても敵が仕掛けてこないのが気になるな」 華月は廊下の壁を触りながら言った。「時間稼ぎが目的かあるいは何かを待っているのか」 ジークベルトは周囲を見渡す。 4人の背後、廊下の窓にかけてある赤いカーテンの影からリボルバー拳銃を持った手が伸びる。「む」 僅かな殺気を感知して振り返る華月、リボルバーを発見した。「まずいぞ」 華月がつぶやいたと同時に弾丸が発射される。咄嗟に手を伸ばしケンを守る。「ぐっ……」 弾丸は棘のように食い込み華月の体に突き刺さる。「あらあ~今ので一発昇天で終わらせようと思ったのに」 カーテンの影から現れる赤ずきんにボンテージドレスの女。魔女アカネが現れた。「ここの主だな」「魔女のダンジョンにようこそ。今からお前たちはなすすべなく嬲り殺されるのみよ」 リボルバーを構える魔女アカネ、ジークベルトが前に出る。「このダンジョンでは魔法の類は使えないわよ!」「忍法は例外だったようですがね!」 瞬歩で肉迫しナイフで突きにかかるジークベルト、魔女アカネは華麗な足さばきで回避、流れるような動きでリボルバーの銃口をジークベルトに向ける。「ぬっ!?」「あはは!」 弾丸がジークベルトの髪を掠める。「接近すれば魔女は容易く倒せるとでも? 甘い甘い、何のために魔女はバレットアーツを仕込まれるんだか!」 バレットアーツとは体術と銃撃を組み合わせた魔女独自の近接戦闘術。常に銃を携帯し魔法発動の隙を狙われないように魔女の間で開発された護身術。様々な流派がありバレットアーツに磨きをかけた銃撃戦闘特化魔女なんて者も存在する。 赤ずきんの中から羽の生えた子豚が飛翔する。魔女アカネの使い魔である。「レットン! 勇者のガキとチビ妖怪を始末しな!」「ブキキー!」 レットンと呼ばれた使い魔は瞬時に2mを超えるオークウォリアーへと変貌。「ケン!滑田!」叫ぶ華月は左手を抑え苦悶の表情を浮かべている。「あはは! 神経を蝕み魔力を吸い取る魔弾はどうだい? 通常高位の妖には魔力ガードで弾かれるんだけどこのダンジョンにおいては魔力ガードは通用しない!」「用意周到で残虐……まさに魔女!」ジークベルトが吐き捨てるように言った。「そんじょそこらの人間の魔術師と魔女を比べんじゃないよ? 魔法を操る為に存在してるのがアタシら魔女なんだから」 魔弾を体術と共に繰り出す魔女アカネ、ジークベルトのスーツと外套に穴をあける。「華月様一旦退きましょう、体勢を整えなくては!」「いや、このまま奴を討ち取る!」 華月は魔弾が食い込んだ左手を手刀で切断した。「華月様! なんてことを!!」「この異空間結界から出れば再生は出来る心配するな、片手であっても魔力を放出できなくてもこの魔女に勝たなくてはならん」 華月は腰まであった髪を肩のあたりで手刀で斬り切断した左手に巻きつけた。「うあああっ! 髪まで!!」「放出できなくても我自身の体であれば……問題なさそうだな」 巻きつけた髪が硬化、鋭い銀色の刃となった。「へぇ面白い……華月、アンタは只の尊大な妖かと思っていたけど見た目では判断できないね!」 リボルバーを浮かべて空中リロードを行う魔女アカネ。「行くぞ! 我に合わせろジークベルト!」「はい!」 左右に別れる華月とジークベルト。魔女アカネは冷静に眼球を左右別々に動かし照準を合わせる。 銃弾を避けながら華月は髪の剣でジークベルトはナイフで仕掛ける。魔女アカネはリボルバーで髪の剣とナイフをいなしながら爪先に魔弾を取り付けたブーツの蹴りで反撃。「驚いた、二人とも素の戦闘技術が高い……魔力放出と魔術を奪われてこんなに戦えるなんて!」「その余裕もいつまで続きますかね」 魔女アカネに言い放つジークベルト。「なに? 華月の動きがだんだん速く……」「神経、血管、筋肉の隅々にまで魔力を行き渡らせている。普段の感覚と変わるので戸惑ったが慣れてきたぞ。これはこれで細胞レベルまでの強化操作が出来れば想像もできない程の力を得ることができるだろうな」 細胞レベルでの強化。魔力操作で妖、人間ではそのレベルに達した者はいない。 ただ例外として異能者でサイコキネシスの身体強化を細胞レベルで行える者は存在する。 カテゴリー5に認定されたTMIの『終夜アリナ』 「調子にのるなよ妖無勢が!」「吠えるな、貴様の動きはもう見切ったぞ魔女!」 華月は魔女アカネの体重移動の癖を見抜いた。そこをついて攻撃を仕掛けるとほんのわずかに反応が遅れる事に気が付いた。 すれ違いざまに魔女アカネの左手を切断する華月。「ぎゃああああああああっ……テメェ~~~~~」「我はやり返さんと気が済まない性質でな」 魔女アカネの銃を拾い魔弾を全弾撃ち込む華月。「ぎゃああああああああああああっ!!」「おわりだな魔女」「こんな所で終われない……ジンガ様の為にもね……レットン!」 ケンと滑田を追いまわしていたオーク戦士レットンが魔女アカネの元に戻って来る。「魔合体!」 使い魔レットンと合体する魔女アカネ。オーク女戦士の姿へと変貌する。「これで……五次元とパスを繋いだ状態を常時保てる……無尽蔵の超高速魔力供給によって受けた魔弾の効果は無効になった!」「そうか、だがその状態では体が持つまい」「持って1分、だけどそれだけあればお前ら全員始末できるんだよ!」「1分だと? ならば我も全力全開で行く」 ジークベルトから血液小瓶を受け取り飲み干す華月。身長は伸び髪は輝く銀髪、瞳は深紅へと変わる。「華月さん、これを使って!」 ケンはゼクスミニアドのカードを華月に投げる。受け取ると光の槍が出現した。「死ねやああああっ!!」 オーク魔女アカネは全ての魔弾エネルギーを込めた斧を振り上げる。「(キヒヒ! 回避すれば地面で炸裂し破片が刺さる、防御すればその瞬間炸裂破片が刺さる、回避不能ガード不能の! この必殺の一撃で死ね!)」 華月はゼクスミニアドで受け止めた。魔弾エネルギーは光の力で霧散する。「なにぃ!? 何だその槍は!!」「うぅ……」 華月の後ろでゼクスミニアドの魔力消費が激しく呻き声をあげるケン。「そこだ!」 華月はゼクスミニアドの連続突きでオーク魔女アカネを刺していく。「ぐふっ……(だが超高速回復魔術で対応可能だ)」「ケン、必殺の一撃の準備をしろ。我の合図で発動させるのだ」「でもこのダンジョンの中では発動できないよ」「この空間の中ではな」「?」「よいな、我の合図でやるのだぞ」「は、はい」 華月は左手に巻きつけた髪でオーク魔女アカネの斧を絡めとる。「クソ! 魔弾をチャージできない……」「むん!」 ゼクスミニアドを腹に深々と突き刺す華月。「今だやれケン!」「撃槍! ゼクスミニアド!!」 オーク魔女アカネの体内でゼクスミニアドの光の破壊エネルギーが螺旋状に炸裂する。「ごへえああああああああああっ!」「やはり思った通りだ、空間で無ければ発動できる」 光のエネルギーで塵になっていくオーク魔女アカネ。「バカナぁ~……再生が間に合わない……ジンガ様~……」 魔女アカネは塵となって消えていった。 ダンジョンは徐々に薄れ元の場所に戻されるケン達。続く
Nov 10, 2024
コメント(0)
全3件 (3件中 1-3件目)
1