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DHHUその24「サイガ・メグルージュ、感謝します」 アリナはワゴン車の中で静かに言った。「改まってどうしたの?」「わたしは貴女の容姿を見てどこか侮っていました」「そりゃしょーがなくない? ママリスペクトでこんな格好してるからアタシの事に関してフィルター掛かるのは当然っしょ」「これまでの経験と統計で判断してしまいました。最初から貴女の立ち振る舞いを見ていれば失礼な思考をせずに済んだはずです」「アリナさん真面目過ぎー! いや真面目なのが悪い事じゃないけどもうちょっと楽に接していいよ。相棒の『えるえる』なんてアリナさんと真逆なんだから」「えるえるとは……兜金柄留の事ですか」「そ、あの子ぶっ飛びすぎてるんよ。まー特殊な出生だししょーがないけど」「……兜金柄留の事も色眼鏡で見ないようにします」「あー……まぁあの子は裏表無さ過ぎというか合う人と合わない人ハッキリしすぎというか……馬鹿っぽいけど賢いからアリナさんのように真面目で正直者は合うかもね」「そうですか」「うん、絶対大丈夫。嘘つきやいいかげんな人間はえるえるも嫌うから、アリナさんはうまく付き合えるよ」 アリナと愛来薔薇の会話を聞いているフローレンスと哿。アリナの緊張がほぐれていく事に驚いていた。「オータムホースの特殊警察のエリートって肩書に納得しました」 フローレンスが言った。「アリナは人付き合いが得意な方ではありません。悪気はなくても相手を警戒させたり誤解されたりはよくある事なのです。アリナの力を見た後は皆距離を置きます愛来薔薇さんは自然に接してくれます流石です」「いやいや誉め過ぎだよフローレンスさん。アタシはそんな大層なもんじゃないよこの性格もママの影響だし成りたい自分を描いて無理してるだけかもよ?」「なりたい自分を描いて行使できるのは凄い事ですよ」と哿。「素の自分を認めなくないだけっていうかまぁ……やりだしたら続けるしかないみたいな?」「僕はずっと不安定な状態で生きてます。アリナさんやフローレンスさんのようにしっかりと自分を持てない。愛来薔薇さんのように振舞えない。テレポートの異能を持つ者に多い傾向だそうですが……」「……そっか、ちょっと安心したかも。TMIのエージェントとエリート中のエリートだから一緒に作戦うまく出来るかなって考えてたけど……Uチームは思ってたより普通の子たちだったわ。といっても哿さんとアタシ歳かわんないか」「サイガ・メグルージュ、貴女は非凡な存在です。わたし達がここまで打ち解けることはそうそうありません」アリナが言った。「恥ずかしいね。でも仲良くなって悪い事なんてないこれからもよろしく!」***――新宿南側、新宿御宛「なんだあ? 御苑に入れねーぞ?」 ランニングを日課としている男が足踏みをしながら見えない壁に触りながら言った。「鉄拳制裁」 何も見えない御苑の壁から突如警備ロボが出現し男を殴りつけた。「ぐがあ……」「新宿御苑は封鎖中です。侵入者は排除します」「ひいいいいい!」 鼻血を出しながら逃げていく男。「封鎖中封鎖中」 次々と警備ロボが新宿御苑から出現する。外周を全て囲む数の警備ロボ。「オイオイオイ! こんなに大量の警備ロボ見た事ねえって!」「何が起きてんだよ?」 新宿御苑の周囲の人々が騒ぎ出す。「新宿御苑はテロリストに占拠されました。現在立ち入り禁止です」 警備ロボが言った。しかしこれらはダンジョンで生成された偽の警備ロボ。「聞いてねえって! 勝手に封鎖すんじゃねーよポンコツが!」 生身に見えるサイバネ改造した若者が警備ロボに殴りかかる。油圧式のピストンパンチでこれまで地下サイバネボクシングで何十人も病院送りにしてきた彼は自信に満ち溢れていた。「公務執行妨害です! 排除します」 殴られ転倒した警備ロボの隣のロボが言った。胸のハッチが開き火炎放射器が出現。「マジかよ!?」 それが若者の最後の言葉になった。猛烈な火炎放射で黒焦げとなった。「排除します」「排除します」「排除します」 警備ロボたちは一斉に火炎放射の準備をする。「うわあああああああっ」「逃げろおおおおおおお!」 混乱が広がる新宿御苑の周囲。外から見るに中は何も起きてない様子。しかし透明の壁の中はダンジョンと化しユウ達が攻略中であった。*** 新宿御苑ダンジョン内はまるで違う光景が広がっていた。空襲を受けたように崩れかけたビル群。鳴り響く銃声、まるで市街地の戦争地区のようであった。「クマ……」 穴の開いた壁の建物の中に幼い少女が座り込んでいる。鏡面仕上げの銀色に輝く奇妙なクマのぬいぐるみを見つめている。「おばあちゃんは言ってた、よく考え学べば成長できる。大変な事も乗り越えられる」 クマの瞳にデータが表示される。「光ネットに接続……むり。外との連絡手段は今の所ない……」 クマは融けたように崩れ始め姿を変え少女の体に張り付き雨合羽のようになる。「……ステルス迷彩起動。これでとりあえずまわりを見る」 建物からそっと出る少女。目の前を4輪駆動のオフロード車が走っていく。乗っていたのは異形頭の兵士たち。銃頭、トンカチ頭、時計頭など。「あれは何?」 雨合羽クマを使ってスキャン。心音が無い事から生物ではないと判断する。「ロボット?」 通りの方を除くとこの場に似つかわしくない姿をした一団が見えた。ユウ達である。「救助に来た人たち? どうだろう」 黄色い武闘家っぽい服を着た男が鼻を鳴らしながらこちらに接近してくる。「おおーい……子供だろ隠れているのは? 匂いで解るぞ。救出に来たんだ」「どうしよう、出てみようか。知らない大人は信用してはいけない、だけどこのままではいけない」 祖母からプレゼントされたクマを肌身離さず持っていてよかったと少女は思った。「怖がってるのかー?大丈夫、あっちの少年勇者ユウを見ろよ? 何処をどう見てもヒーローだろ?」 少女は足音を消しながら黄色い服の男ハオランの横を通り過ぎてユウの目の前に行く。「ねぇお兄ちゃんは何者?」 ステルス迷彩を解いて姿を現わす少女。「おっと、びっくりした! こんにちは俺はユウ・シーア! 君のお名前は?」「……ホムラ」「お父さんかお母さんは一緒じゃないの?」「タロウさん……運転手のおじさんと一緒だったけど御苑の前で待ってるの。あたしは御苑に粘菌を取りに来たの。お母さんはお家で仕事してる……」「お家は近いの?」「うん、車で5分のマンション」「苗字……お家にいるお母さんの名前は?」「釜戸ショウコ。でもね、ちょっと前に苗字変わったのお父さんが死んじゃって」「そうなんだ……辛かったね」「ううん、お父さんの記憶殆どないから寂しくないよ。おばあちゃんが良くしてくれたし毎日おかあさんに内緒でクマをつかって連絡とってるの」「そっか……おばあちゃんは何処にいるの?」「オータムホースシティ……おばあちゃんのお名前は神名燐火……」「神名……」「うん、だからね本当はあたしも神名ホムラなんだっておばあちゃんが言ってた」 ユウはハオラン、ドウェイン、才賀桃色桜(ピンクピーチ)の顔を見る。「神名のお嬢さんだとはな……」「ふむ……」「ん?確か院瀬見の役員じゃなかったかな神名燐火って」「お兄ちゃん達は何?」 ユウ達を見つめるホムラ。「シーア財団に所属する勇者パーティーだよ。信用してもいいおばあちゃん……神名燐火さんにも聞いてみるといいよ」「そうする、でも外に出ないと……ネットも繋がらないし」「だよねー……他に見かけた人はいないかい?」「いない、あたしだけ」「そっかじゃあ一旦ホムラちゃんを外まで送るよ」「さ、俺がおぶってやるよ」ハオランがしゃがむ。「大丈夫、クマに乗るから」 ステルス雨合羽は1mほどのクマの姿になり後頭部からハンドルが飛び出す。「すげぇ何だこれ?」「スライム……おばあちゃんがあたしにプレゼントしてくれたの名前はクマ」「これが神名の最新技術かぁ……」 見つめる才賀桃色桜。「あまりおしゃべりしてる暇はなさそうだ」 ドウェインが眼鏡を触りながら言った。 迷彩柄の軍服を着てる異形頭達の姿が見えた。「アイツらはこちらを見つけ次第問答無用で襲って来る。機械のように」 ハオランが言った。「あの変なの虫みたい」 ホムラが呟いた。「虫?」「動き方とかが」「なるほどね……」 桜桃色が言った。「妙な気配だとは思ってたけどあれは人間の骸を利用してるんじゃないんだね……虫と機械の融合体って所かね」「高度な行動パターンを設定せずに昆虫の習性を利用して操っているのか」 桜桃色とドウェインが合わせて言った。「このダンジョンは虫の縄張りとするのなら女王の居る巣があるはず」「そこに今回のダンジョンの主……ジンガか真邪王が居れば当たりだな」「まずはホムラちゃんを外に避難させよう」 ユウが言うとハオラン、桜桃色、ドウェインは頷いた。「クマで虫機械の動き辿ってマッピングしてみたよ」「え?」 乗っているクマの目から光の立体地図が飛び出しダンジョンと虫機械が表示される。「光の線が虫機械の通った跡だよ」「円形に進んでいる……これって円の中心にいけば主がいるかもしれないって事かな」 ユウが見つめる。「わかんない。アリのデススパイラルかもしれないし」「デススパイラル……? わかんないけど良く知ってるね」「さっき知った。おばあちゃんがクマにインストールしてくれてる本で読んだの」「円の外に外に行けば出られる?」「そうかも!」 ユウ達一行は敵に見つからないように最大限注意しながら円の外へ外へと進む。「おや?なんかこの先変だね?」 桃色桜が言った。骨武者の槍を突き出すとある場所から見えなくなる。槍を引くとまた見えるようになった。「ここがダンジョンと外の境目? 【ネコマタネコ】召喚!」 ユウがネコマタネコに境界を探らせる。「にゃああああん」「大丈夫みたい。外は普通に新宿御苑の前っぽい」 ユウ達はゆっくりと外に出る。「そうだった、今は夜なんだね。ダンジョンの中は昼間の戦場っぽいところだったから忘れてた」「ふあああ……」 あくびをするホムラを見るユウ。「ホムラちゃん、ここからは一人で帰れる?」「うん、おばあちゃんに連絡したら迎えの人が来るって」「あれ? お母さんの雇っている運転手さんじゃないの?」「うん、なんかおばあちゃんが今は新宿危ないからこっちに来なさいって。お母さんたちには連絡しておくって」「そっか……」「警備ロボ? が一杯こっち見てるしもう行くね。バイバイお兄ちゃんたち」 クマのステルス迷彩で姿を消すホムラ。後に残されたユウ達は迫って来る大量の警備ロボに警戒する。「一旦新宿御苑から離れよう、中の戦場ダンジョンは敵の数もめちゃくちゃ多いし対策を考えようよ」「だな」「虫機械の円の中心に向かうって目標は決まってるしね」「しかし今回のダンジョンはスニーキングメインで行動してるよな……見つかったらワラワラ来るだろうし一々戦ってられねえのは分かるけどもどかしいぜ」「ホムラちゃんがやってたようにステルス迷彩的な事ができるといいんだけどね」「財団にそう言う装備とか術者とかは居ないのか?」「父さんに相談してみるよ」 ユウ達は新宿御苑から離れ財団のオペレーターのいるワゴン車へ移動する。すぐに車内のモニターを起動させ本部へと繋ぐ。『ユウ、どうしたんだ私に直接通信とは』「実は……」 ユウは攻略中のダンジョンの事を話した。『成程……ステルス迷彩の用意に銃弾飛び交う戦場ダンジョンか……ふむ。ならば兜金柄留を頼るとよい。ギルドに待機させている彼女ならお前の要望に応えてくれるはずだ』「わかった」『後は東京のメンバーに防弾装備を人数分用意させておこう。一度ギルドに戻り装備を整えて兜金柄留と合流するんだ』「はい!」続く
Aug 26, 2024
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DHHUその23 十分後、アリナ達が乗るワゴン車の元に才賀愛来薔薇が現れた。「貴女がサイガ・メグルージュですか」 アリナが出迎える。「そうだよ。苗字ママと名前被るし愛来薔薇の方で呼んでもらってOK?」「わかりました。ではメグルージュ早速作戦を開始しましょう」 フローレンスの治療で完全回復した哿がワゴン車から出てくる。「ごめん僕があのモンスターに近づけなければ……」「いえ、あの程度の怪我で済んで敵の情報を得られたので哿さんは何も悪くありません。あの状況で子供を見つければ救出に向かうのが普通です。本来ならわたしが最初に行くべきでした」「行きましょう、哿さん、アリナ。愛来薔薇さんが居れば大丈夫ですよ」 フローレンスがワゴン車から下りる。 哿のテレポートで1階の婦人服売り場に再度突入する。「うわぁ凄い邪気……2階に向かうエスカレーターの方から漂ってるよ」 愛来薔薇は横ピースサインの2本指の間から覗いて言った。「それでこのフロアーに無事な人は居ますか?」 アリナが聞く。「えっとね……2時の方向にあるバリアフリートイレの中に大人と子供が隠れてるよ」「ではすぐに救出しましょう」 アリナが頷くと哿がテレポートを発動する。アリナとフローレンスはバリアフリートイレの中に瞬間移動する。「うわぁ!」「ひぃいいい!」 抱き合っている父親と幼い息子の姿。「もう大丈夫ですよ、救出に着ました。外まで一緒に行きましょう」 アリナが二人の手に触れる。そして哿がアリナの肩に手を触れテレポート。一度フロアーに出て連続テレポートでビルの外にあるワゴン車の前に移動した。「え?え?」「あれ?外に?」「後は任せました」とアリナが言うと再び瞬間移動でビルの中に戻る。 ゾンビであふれていたはずの1階フロアーは骨が散らばっているだけとなっていた。「このフロアーの死者は全員成仏してもらったよー骨は遺族に渡って欲しいから残したんだよ」 カラフルな数珠を腕に巻き付けている愛来薔薇が言った。「2階に続くエスカレーターの先にダンジョンの入口があるね」「あの化物のいう事が本当なら中のダンジョンは擬態だらけという事ですかね」 フローレンスは銃をチェックしながら言った。 ダンジョンに足を踏み入れるアリナ、愛来薔薇、哿、フローレンス。 「ブンブブブブブーン!」 機械音に合わせて叫ぶ声、天井が割れチェーンソーを持った男がアリナに飛び掛かってきた。「ブンブンミンチー!」 振り下ろされるチェーンソーアリナは合金製のブーツに仕込まれたアンカーボルトを使って瞬時に蹴り火花を散らす。「おおっと……」 仰け反るチェーンソー男、アリナは一歩踏み込んで横蹴りをチェーンソーの本体に叩き込む。「おわあああ」 吹き飛んでいくチェーンソー男、両手の指は衝撃で砕けて反対側に曲がっている。「お、おれの――ごぶっ」 間髪入れずフローレンスのサイレンサー付き拳銃の弾丸が喉、心臓部に炸裂する。「あと数秒生きてるはずです。で、この男はどうですか愛来薔薇さん、人間かどうかの判定を」「邪気に飲まれてるから人間じゃないね~」「なら治療せず始末しましょう」 更に頭部に弾丸を2発撃ち込むフローレンス。「怖……TMIってプロって感じする」 何の躊躇もなく銃弾を撃ち込むフローレンスの姿を見て愛来薔薇は思わず呟いた。「死にさえしなければ私の異能でどうとでもなるので愛来薔薇さんは先に教えて下さると助かります」「おっけ~……」 暗く湿った空気のコンクリートの通路を進んでいく一行。「う~んこの反応……邪気を持った死者がドンドン増えてるよ~邪気死者に殺された人が邪気死者になってってる……」 愛来薔薇は携帯に表示した魂の光の点が変わっていくのを見せる。「急いで首魁を探さなくてはならないという事ですね」アリナが言った。「最初っから全部邪気死者ならアタシとTMIの皆で蹴散らしてドンドコ進めるんだけど生存者が結構いるからコレかなり嫌らしいよ」「見捨てて進むなんて事は私達にはあり得ませんから」フローレンスが言った。「せめてボスの居場所が分かれば僕のテレポートで最短ルートを進めるんですが」と哿。「あーね……ちょい待って探す方法あるかも」 愛来薔薇はチェンソー男の死体を浄化して骨を拾う。「コイツの死ぬ寸前の記憶をたどって更にまた殺した奴の記憶をたどってを繰り返せば最初の奴にたどり着けるハズ」「うまく行きます?」とフローレンス。「正確な位置を哿さんに伝えてテレポートして邪魔な奴がいたらアリナさんが退けて生存者がいたらフローレンスさんが治療してをやりながらになりますが多分これが最短かな?」「他に良い方法も今は思いつかないのでメグルージュさんの案で行きましょう」とアリナ。 愛来薔薇の指示でテレポートする一行。キャンプ用品売り場に到着。そこにはブタの皮を被った男が電動ドリルを持って生存者を追いかけまわしていた。「あのピッグマンだよ!」「了解」 アリナは目の前にあった薪割り用の斧を手に取って投げつける。ピッグマンの電動ドリルは粉砕され手は崩壊。「ブギャアアアアアアアアアッ!」 接近したアリナは鞭のようにしならせた横薙ぎの裏打ちでピッグマンの顎を砕きそのまま素早く引いて裏拳を胸に撃ち込んだ。拳大の大きさにピッグマンの体は凹み背中の肉が爆ぜうつ伏せに倒れる。「うわヤバ……それも異能なの?」 哿と一緒にテレポートして接近してきた愛来薔薇が言った。「いえこれは空手です。異能は使っていませんよ」「えーカラテすごーい!」「鍛えるのに異能は使ってきましたね。今は制御に不安が残るのであまり異能は使わない事にしています」「は~イザって時だけ使う感じ~?」「そのように思っていただいて結構です。それよりも早く次の記憶を読んでもらえますか?」「おっけおっけー」 骨から記憶を読む愛来薔薇、アリナ達はテレポートする。 次はレストランの階に到着。「肉サイコー! 肉ラヴー!!」 獣のように這いつくばり人も食肉の塊も混ざりあった状態のものを頬張る長身の男。「新しい肉か……新鮮な肉だあ!」 包丁を投げつける男、アリナは二本指で受け止め即座に投げ返す。包丁は長身男の目に突き刺さった。「ほぎゃああああああっ!」「……」 アリナは一気に踏み込んで手刀を振り下ろして長身男の脳天を粉砕する。「次行きましょう」 そしてたどり着いたのは映画館を思わせるフロアーだった。「な、の、で、すー!」 手を叩きながら少年とも少女とも判断できない声の兎仮面を着けた子供が現れた。「素晴らしい速さなのです! 誰も助ける事が出来ずに絶望に打ちひしがれ死者にまみれて精神崩壊を起こさせるつもりだったのに驚きなのです!」「何者ですかお前は」 アリナはベアリング弾を準備する。「真邪王といいますです! まぁ上位の存在というか【凶】の崇める邪神的な存在なのですよ!」「お前が話に聞いていた真邪王ですか。ではその寄り代を倒せばこのダンジョンは消えるのですね」「正解なのです! でもこの少年を殺すことができるかな? まだ生きてるのですかわいそかわいそなのですよ?」「死なせなければ可能性はありますよ」「へぇ~随分と自信があるのですね~……まぁどっちみち負けないのですけど」「ちょいちょいちょい」 二人のやり取りを聞いていた愛来薔薇がおもむろに前に出てくる。「ここはアタシにやらせてよ。死者の冒涜マジで頭キテんだから!」「なんなのです?」「ネクロマンサー・才賀愛来薔薇よろしく!」「鬱陶しい雑魚は消えるのです!」 映画館の座席を複数浮かせる真邪王、手をかざして愛来薔薇に向けて飛ばす。「舐めんなっての!」 地面から生えた骨の集合体の腕が座席を受け止める。「死者の話を聞いて安らかに逝ってもらう、それは大事な事だけど折角できた縁、アタシは現世でも大事にしていきたい。だから少しだけ皆に力を借りる。アタシがあっちに行ったら一杯恩返しするからねって」「なにを言ってるのです」「アタシは精一杯色んな事を体験して縁が出来た人達にお話を聞かせたい、武勇伝の中にあなた達(死者の皆)も居たよって言いたい」「骨の大軍を操った所でこの子供エスパーに取り付いた私には勝てないのです!」「デッドアンドリビングアンダーワールドコンサート(死者と生者の冥界葬奏領域)!!」 愛来薔薇の体から波動が広がっていく。空間は塗り替えられ星の瞬く野外コンサート場に変わっていく。「馬鹿な! 真邪王のダンジョンの一部を塗り替えるなんて信じられないのです!」「Naaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」 骨で出来たマイクに向かって叫ぶ愛来薔薇。「ナアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」 怖気のする叫び声が一斉に響く。コンサート会場には骨達で満員状態。「こ、こんなの只の大げさな仕掛けなのです! お前さえ殺せば……」「無理だよお前は既に会場を敵に回してる! 一人一人はお前に敵わなくてもみんなの意思の力が合わされば恐れる事なんてない!」「オオオオオオオオオオオオオオオッ!」「……なんで体に力が入ら……ない」「上位の存在だろうが何だろうが人間舐めんな! 動物も舐めんな! その少年から出ていけお前はここに居てはいけない!!」「ウオオオオオオオオオオオオッ!!」「だ、黙れー!」 歯を食いしばって愛来薔薇に殴りかかる少年に取り付いた真邪王。「それは悪手! アタシにだって近接の手段はあるし!!」 愛来薔薇の全身を骨のアーマーが包み込む。そして真邪王の顔面を平手で打った。「力が抜けていく……」「あと何発でお前は成仏するかな?」「この真邪王相手にこんな真似が出来るとは……でも邪眼でじっくり観察できたのです」「おや退散? じゃあ少年は返してもらうよジョーイソンザイ」「才賀愛来薔薇……覚えておくのです……絶対に殺してやるのです!」「じゃあまたねっと!」 追撃の平手で糸が切れたように倒れこむ少年。左目が欠損していたものの他に外傷はない。「コンサート終了! 皆ありがとーーーーーーーーー!!」「ワアアアアアアアアアアアアア!!」 デッドアンドリビングアンダーワールドコンサートを解除する愛来薔薇。「ただいま」 目の前にいるアリナに声をかける愛来薔薇。「メグルージュと真邪王が突然姿を消したので驚きました。貴女の能力ですか?」「そう、ゴメン前もって言っとくべきだったかな?」「そうですね……ですが少年を救出できたので良しとします。フローなら問題なく治療してくれるはずです」「良かった」 愛来薔薇は後ろに控えていたフローレンスに少年を引き渡す。「真邪王は逃がしてしまったけど……」「仕方ありません。次に会った時捕らえれば良いのです。封印には勇者が必要ですが」「勇者君じゃなきゃ真邪王を封印出来ないんだったね……」「感謝します才賀愛来薔薇、貴女が居なければこの少年は助けられなかったでしょう。アリナも私も哿さんも少年を死ぬ寸前まで追い込んで真邪王を離れさすしか手段はなかったはずです」「役に立ったのなら良かった……オータムホースでは取りこぼした命が一杯あったから」 ダンジョンが消えていく。元の商業ビルに戻っていく。「ダンジョン消滅を確認」 アリナが携帯に向かって言った。『こちらでも確認した。次は南側に向かって欲しい。勇者ユウがダンジョン攻略中だが周囲に漏れだした影モンスターの数が多い。対処してくれ』シーア財団の男が言った。「了解、直ちに向かいます」続く
Aug 18, 2024
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DHHUその22「華月さん! ジークベルトさん!」 伝書フクロウを辿って蒸気の中から現れたケンと滑田。「二人とも無事だったか」「はい!」「あの麺龍に乗っているのがここの主だそうだ」「なるほど……」 ケンはミスリルの鎧をまとい光の槍ゼクスミニアドを装備する。「勇者がノコノコ出てきて良いんですかい?」 大池は麺龍を操り頭を上げ大きく息を吸い込ませる。「超濃厚蒸気ブレスだ!」 それに対してジークベルトは、「ブラックウーズ!」 黒い粘液状の生物をキャンバスのように広げて召喚する。 麺龍の蒸気ブレスを吸い込んでいくブラックウーズは風船のように膨らむ。「また蒸気で幻術を仕掛けられても困りますからね」「おっとこいつは手ごわいな」 大池は麺龍を空中で旋回させながら様子を伺う。「(麵龍で強者二人を抑え勇者は自分が直接仕留めるか……)」 麺龍から飛び降りる大池、螺旋回転する麺龍の中を通りケンの目の前に着地する。「もらった!」 金属製の箸を伸ばす大池、首を狙った一撃は燃え盛る剣で受け止められた。「不死鳥の剣士だ! 俺を狙って来るのは解ってたんだ!」 ケンは大池を睨みつける。「こいつは舐められねぇな」 連続高速突きを放つ大池、不死鳥の剣士は刺突を体に受けながらも斬撃を返して大池をケンに踏み込ませない。 ケンと大池を囲む回転する麺龍の外には華月、ジークベルト。「ええい邪魔な麺龍だ!」「中にケン君が居ます、これは迂闊に吹き飛ばすわけにもいかないですね」「だったらこの場で崩壊させて始末するまで!」 華月は靴の底から棘を伸ばして回転する麺龍に突き刺しルームランナーめいて走り出す。「このまま麺龍の頭を破壊してくれる」 華月は水平になりながら麺龍の体を走る。足の裏から魔力の棘を伸ばし足跡を着けていく。「これは……なるほどこうしろという事ですね華月様?」 手をかざして華月の残した棘跡に魔力を注ぐジークベルト膨張する魔力の爆発。麵龍の体が徐々にほぐれていく。「ここだ!」 麺龍の顎の下に手刀を突き刺す華月、黄金に輝く煮卵を掴む。「これが麺龍の龍の逆鱗に違いない!」 赤黒いオーラを纏い力づくで卵を抜き取る華月。「ギャエエエエエエエエエエエエエエ!」「ジークベルト!」「はい!」 華月の投げつけた卵を受け取るジークベルト。「これで麺龍は無力化ですね」 ジークベルトは麺龍の中に魔力を注ぎ込んで完全にほぐし只の麺の山に変えていく。中で戦っているケンと大池が見えた。「馬鹿な! こんなにあっさりと俺の最大奥義麺龍が……!?」 ケンから離れる大池。「仕方ねぇ麺に拘って拘り抜いてたけどよーこうなったらスープも使うしかねえか」 大池は連続バックジャンプで距離を取る。「俺は『ラーメンはスープが命』って言葉が一番嫌いでね。ラーメンは麺に拘ってこそだ麺を食べたくてラーメンを食べるんじゃねえのか? 昔大物芸能人が言ってたのを思い出す『スープに拘ってます? スープスープってそれやったらスープ屋麺付き名乗ったらええやん』ってな。俺もそう思う。だがスープを失くしてしまってはラーメンじゃねぇ難しい所だ」 大池は両手を地面につける。「これが奥の手だ! 津波黄金スープ!」 大池の目の前に透き通った黄金色のスープが湧き出し1メートル程の高さまで噴出。横に展開していく、そして大池が両手を突き出すと津波となって押し出された。「避けろ!」「はい!」 華月が叫ぶ。ケンを抱えて赤黒いオーラを放って飛翔する。ジークベルトは外套を黒い羽に変え滑田を抱えて上昇。「大丈夫だよ華月さん、不死鳥の剣士を使えば俺も自分で飛べる」「そうか」 不死鳥の剣士の背に乗るケン、華月は上から大池を見据える。「ハアアアアアアアアイ!」 スープの水面を蹴り飛び上がる大池、空中に浮いている麺龍の残骸を蹴って迫る。「ケンには近づけさせんぞ」 立ちはだかる華月。「アンタみたいな強者が勇者パーティーに入ってるとは大誤算だったぜ!」 高速箸刺突連打を繰り出す大池。華月は赤黒いオーラを纏った手刀で応戦する。「麺龍とこの出汁を最初から使われていれば我らはもっと深刻な状況に陥ってたかもな」「わかってんだよそんな事は。だけど麺に拘らなきゃ俺じゃねえってなあ!」「麺屋汁付きを名乗りたかったのか?」「ハ! その方が断然マシだぜ!!」 華月は大池の箸を見切りオーラ蹴りを放つ。大池は咄嗟に丼で受けるが一撃で粉砕される。「気で強化した丼がこんなにあっさりと……」「近接で貴様の気の流れはもう読めた。魔力で波長を合わせれば突破は容易い」 そう言うと華月は赤黒いオーラを纏った10連撃を大池に叩き込む。「が……は……バケモノめ……だが……」 ゆっくりと落下していく大池。目はまだ死んでいないのを華月は気付いた。「ケン! 奴が出汁の中に落下する前に仕留めろ!」「あ、はい!」 ケンは不死鳥の剣士に乗りながら必殺の一撃をいつでも放てるように準備をしていた。それを見ていた華月は咄嗟の判断でケンに指示を出した。「撃槍ゼクスミニアド!!」 螺旋の光の波動がケンの槍から放たれる。落下寸前の大池に命中、スープの波を切り開き地面を抉り大池を壁に叩き着ける。「ぐうううあああああああ……こ、ここまでか……若申し訳ねぇ……」 塵となって消滅していく大池。 ダンジョンは解除され元の洛西竹林公園に戻っていた。「これで二つ目の攻略だなケン」「あ、はい! またジンガはハズレたけど……」 そう答えつつも華月と共に戦えたことに満足しているケン。「一度財団のギルドに戻りましょう、東京に向かったユウ君達の詳細も知りたいですし」 ジークベルトは黒渦のゲートを出現させる。「そうですね……では一旦戻りましょう」 ケン、華月、滑田の順でゲートに入り最後にジークベルト。***――某所。『許さないのです悔しいのです……ジンガ君もっと頑張るのです』 真邪王が声を上げる。 廃墟になったホテルに横たわっているジンガ。左半身はどす黒い紫色に変色し左目だけが輝いている。「ざけんな……てめぇ……これ以上……」『東京も宜しくですジンガ君! もっともっと頑張って勇者を苦しめましょう!』「クソが……」『京都はもう魔女アカネくらいしか使えそうなの残ってないのです! コイツではあの白峰華月を止められないと思うのです!』「アカネをどうするつもりだ真邪王」『白峰華月を邪眼でコピーする作戦に使うのです。まぁしょせんコピーで私が使いこなせなければクレメンタインのように無様にやられるかもですが』「コピーするためにアカネを使い捨てにするつもりか……」『捨てるつもりはないですよ?』「……ところでセンジョーの暗殺者が俺を探してると思うか?」『そりゃそうでしょう~ボスの酒呑童子に喧嘩を仕掛けたのだから……まぁでも東京の方に拠点を移せば問題ないのでは?』「テメェは良くても俺が困るんだよ……半身がこのざまだからな」 真邪王はジンガの半身に術をかけ、呪いで汚染し取り込んだ人間とリンクさせ東京に送り込み遠隔操作でダンジョンを造らせていた。ジンガの負担は大きいがいざという時はリンク先の呪い人間に意識を移して逃げられる。魂の定着が不安定なためにジンガに合う新しい体を用意しなければ数日で死に至る。先代の魔王であるジンガの父親はこの方法で一度財団から逃げのびたことがある。『ならいっそのことオータムホースシティか合衆国に逃げるのもありかもなのです。【凶】復活に時間はかかりますがとりあえずジンガ君が死ななければどうとでもなりますし』「……俺のスペアボディになりそうな悪人がウヨウヨしてる街に行きたいんだろう? ハ! オータムホースも合衆国も悪人は吐いて捨てるほどいるだろうが俺ほどの呪力のある奴がそう簡単に見つかるかよ」『まぁ大体の目星は着けてますけどね~……自分としてもジンガ君がこのまま不能になるよりは大復活して大魔王として君臨してくれる方が楽なのです』「どの口が言いやがる……テメェの無茶のせいで俺の体はガタガタだ」『それならばサイバネ化しましょう! 最先端技術を持っている神名もしくは二位の院瀬見のサイボーグ手術を受けるのです!』「馬鹿かテメェのせいで神名は無理だ。センジョーは神名と取引している俺の名前は知れ渡っているだろうよ」『では院瀬見ですか。オータムホースシティにいけばいいですね。あ、合衆国にいけば神名も院瀬見もどちらもいけるのでは?西側は神名、東側は院瀬見の企業があるのでは?』「合衆国に行けば邪体のある日本から離れるぞ……帰国に手間かかる」『邪眼はここにありますしとあと一つ……邪腕でも手に入ればどうとでもなるですよ。その後は【凶】の勢力を拡大して手下に揃えさせればいい訳ですし』「邪腕か……東京のシーア財団の保管庫から奪取するしかねえな」『決まりなのです! 東京のシーア財団の保管庫を襲撃するのです!』「襲撃だぁ? 優秀な部下を二人も失ってるんだぞどうするつもりだ……」『数でゴリ押すのです! センジョーで邪眼コピーした影を放つのです!』「邪腕が取れなければ俺たちの負けだぞ……」『逆に邪腕さえ取れれば勝ち確なのです!』「作戦はあるんだろうな? まさか俺に立てろってか?」『邪眼大作戦なのです。人の多い場所にダンジョンを作ってコピーした影に食わせてつよつよに育ててできるだけオリジナルに近づけて襲撃かけるのです』「ダンジョンの守りはどうすんだ! 財団も馬鹿じゃねえぞ」『そこは仕方ないですけど自分とジンガ君の力を合わせて迎え撃ちましょう!』「結局背水の陣かよ……負けたら俺の体も持たねえな」『まぁ財団のパーティーのデータも集まってきたし何となるです』***――東京新宿北側TMIのUチームである終夜アリナ、フローレンス・フランシス、哿清美と財団のギルドメンバーを合わせた四人はダンジョンが作られたとされるビルの前に到着した。「こんなに人通りの多い場所に……」哿がつぶやいた。「夜でもにぎわってますね」とアリナ。「ダンジョンの周囲には影のようなモンスターが出現するとの話でしたが」フローレンス。「そこの商業施設の中ですね。閉店時間ですが気にせずに突入しましょう」と財団の女が言った。「シーア財団の指示ならば従いましょう」 アリナが言うとアイコンタクトを読んだ哿がアリナとフローレンスの背中に触れ店内にテレポートする。 店内に入ると1階の婦人服エリアは血の海と化していた。大勢の人が倒れゾンビ化した人々を襲い死亡するとゾンビ化して更に数を増やしている状況であった。「これはひどい……」 哿が顔をしかめる。「ママー! ママー! 何処にいるの!?」 幼い男児が叫んでいるのが見えた。マネキンの裏に隠れて泣いている。「……!?」 それを見た哿はテレポートをして男児の元に接近する。「もう大丈夫」「ホント?」 そう言った瞬間、哿は背中から何者かに突き刺された。「哿さん!」「哿さん!!」 マネキンのスカートの中から皮をはいだような肉の触手が伸びていた。その先に付いた鋭い棘が哿の背に突き刺さっている。防刃防弾のTMIジャケットでなければ貫かれていた。 爆発的なダッシュで哿に接近するアリナ、肉の触手に拳銃を撃ち込むフローレンス。「哿さん、フローすぐに手当を!」 アリナは男児から哿を離す。「ママー! お姉ちゃんママ知らない!?」「知りません。怪物の母親など」 男児の後ろから飛んできた棘をガントレットの指で弾いて防ぐアリナ。「なあんだつまんないの!」 男児の口が裂けアリナに噛みつきに掛かる。アリナは左手指を広げて男児の口の中に突っ込んで上と下の歯を指で支えて止める。「あが……あががががが……!(そんな馬鹿な閉じれない!)」「マネキンと同一個体で擬態するタイプの怪物でしたか。哿さんの反応が遅れるほど見事な殺気消しですね」「あががががー!」 マネキンの腕が伸び襲い掛かる。対するアリナは右手のガントレットに仕込んだベアリング弾を指で弾いて撃墜、粉々に打ち砕く。「があああああああああ」 アリナの弾くベアリング弾は大口径の拳銃に匹敵する。「店内のゾンビはお前の仕業ですか? 違ってもそうであっても許しませんが」「があああ!」 舌を伸ばして攻撃するモンスター、アリナを仰け反らせてその隙に離れる。「ヘヒヒヒヒヒ……ここは嘘と本当を見極めるのが困難なダンジョン! あれが本当にゾンビか? それともそう見えている一般人か? それとも別のモンスターか? モンスターに見えて一般人が紛れている可能性も……あるかもなぁ?」「ヒントを教えてわたし達を試す気ですか? 攪乱を狙った所でお前の運命は変わりませんよ」 空気の破裂音が鳴る。モンスターの反応を超える速度で接近したアリナの放った正拳突きは音速を超えて擬態モンスターを打った。衝撃を中に残す打ち方の為その場で擬態モンスターの顔面は破裂した。「一度外に出ましょう哿さん、フロー。財団にこのダンジョンの状況を知らせましょう」 アリナが振り返るとフローレンスが哿を治療していた。「そうですね……このまま進むのは危険です」「何かいい攻略方法があるかもしれませんしね」 哿のテレポートで外に出る三人。ワゴン車に戻り財団の女に中の状況を伝える。「なるほど……死者とモンスターと一般人の見分けが困難と……それならば」 財団の女は携帯を操作してタブレット端末とリンクさせギルドに繋げる。「こちら北側攻略中のUチームプラスです」『どうした?』ギルド待機の財団の男の声。「才賀親子のどちらかをこちらに派遣してもらいたい。ネクロマンサーの力が必要です」『了解、すぐに動けるのは才賀愛来薔薇、娘の方だ。向かってもらう』続く
Aug 10, 2024
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