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祐二37歳、ときおり赤子のように、おいおいと泣く。かと思うと大笑いをする。人はこの状態を見て、狂人と思うだろう。でもそうでないときもあるのだ。問いかけにしっかり反応するときはたくさん見られるようになってきている。これからは、喚き泣く時の様子をしばし観察することにしよう。今までにこにこしていた祐二、担当の看護師さんの声が聞こえた時、突然、ベッドの柵をたたき出した。大きな声を出して。どうしたの、と声をかけると、突然大泣きし始めた。涙はない。ただ大きな口をあけて、カラ泣きの感じ。看護師さん覗きに来る。とたんにニコニコ。とっても素直。別人となった。さびしくて母を呼ぶかのような甘えた泣き声、やさしい笑顔の看護師さんに最高の笑顔を返す。これは幼い子の成長そのまま。脳の神経回復の遅々たる歩みが垣間見える。あせってはいけない。でも私にはそんなに悠長な時間はない。進歩は目に見えなくても、祐二にはこの笑顔がある。祐二に笑顔が消えない限り、私も笑顔をなくさない。
2009.07.28
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土日は、リハビリがないので、寝たままの生活となる。人手も少ない。祐二担当がいたおかげでで、車いすに乗せてもらえた。良い姿勢で車いすに乗ってゆったりとしているとき、機嫌はすこぶる良い。戸外の木陰、人影のない外来の待合室で、そして食堂で、高校野球の決勝戦をテレビ観戦。おりしも祐二の母校が優勝する瞬間を観ることができた。甲子園出場決定。祐二の満面の笑顔は喜びが伝わった証拠だろうか。会社の草野球では、キャッチャーをしていた祐二。
2009.07.26
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もう7年も経つのに、なんで食べものを口にしないんだろう。徹底的に拒否するんだよね。歯磨きもままならないで困ってしまう。口の中をきれいにしないとまずいのに。経口で食べない人ほど口の中が不衛生になるって話なのに、困ったものだ。かつて人の3倍は食べるゆうじだったのに、食に興味がないなんて、不思議な話だよ。だめだだめだだけでは仕方がない。病院側に任せられることではないようだ。何としても食べることに興味を持ってもらわなくては。ジュースをなめてみなと言うとうんとうなずくのだが、ガーゼに含ませて口に持っていく。何度やっても振り払って、しまいには本気で怒ってしまう。意識が混とんとしていても、食べ物はちゃんと口にしている人もいるのに、話がわかっているらしい祐二がなぜ、できないんだろうねえ。このまま胃ろうのままでいいはずはない。食べる意思を持ってほしい。今の私の最大の課題だ。
2009.07.23
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しばらく一人だった息子の部屋に、3階から来た人が、品のいいおじさんで、話ができる人。この7年間で初めて話のできる人と同室になった。笑顔も素敵な人だ。つれあいの方が、「昔は村一番のいい男だといわれていたよ」と真顔で話していた。にこにこしながらしきりに私に話しかける。交通事故で息子がこんなことになってしまったと話すと、顔をしかめて気の毒がっていた。小学校にも中学校にもいてね、教え方がへたくそだったんだよ、と言ったところから、思うに学校の先生だったらしい。
2009.07.19
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前からお隣さんが施設に移るらしいことを聞いていたが、今日祐二の隣のベッドが空になっていた。二人部屋だから、今日は祐二一人になっていた。大声を出してわめく者同士だったが、「お隣のおじさん、いなくなってさびしいかい」と聞くと、うんとうなづいていた。 早くに奥様をなくし3人の娘さんを男手ひとつで育て上げたというお隣さん。娘さんたちもやさしくお父さんを見守っていたし、笑顔のいいお隣さんであった。自分では動けず喚くことはできても話のできないのは二人とも同じ状況だった。施設でもあの笑顔なら親しまれること請け合い。
2009.07.13
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看護師さんが伝えにきた。ベッドから体がずり落ちそうになったという。そのためにベッドの柵を増やしたのだという。この前は車いすからずり落ちそうになってナース室に車いすを置いて、みてもらっていたらしい。このころは早めに車いすからベッドに移して安心していたらしいが、今度は頭をずらすことから徐々に足をベッドのそとに移動させ、ずり降りる格好になったらしい。体の移動を覚えたのは進歩、でも危険と裏腹、やれやれ。
2009.07.11
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1年1回地元での歌舞伎公演を観劇しているが、今年は現歌舞伎座の見納めがしたくて足を延ばした。さすが絢爛豪華な舞台にため息をついてきた。演目は幸田露伴原作の「五重塔」と泉鏡花の「海神別荘」いずれも若手の貴公子たちが大勢出演、中村勘太郎、獅童、玉三郎、海老蔵など。それにしても、この歌舞伎座が消える運命にあるという。ビルに変わるのだとか。慣れ親しんだ建造物がなくなると聞けばなにやら寂しい。もう一度来てみたい。
2009.07.10
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気がついたら、祐ちゃん38歳になっていたんだね。お誕生日を忘れてしまってごめんね。今日はお父さんがそちに行ったのだけれど、ちょっぴり機嫌が悪かったらしいね。言語の先生を残念がらせたのじゃないかな。君が機嫌が悪いと、お父さんも機嫌が悪いんだよ。いい顔を見せてやってよね。
2009.07.04
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千葉のベイビー、すっごくかわいい!なんてったって、はいはいの様子がかわいくて、夢を見てしまいそう。わが子にはなかった芸当かな。手足を全部伸ばして、お尻を高くしての四つん這いなのだ。足腰が鍛えられそう。まるで子犬やお猿さんが歩いているよう。祐二は膝を伸ばさず、ごく普通の膝つきはいはいだった。お兄ちゃんは、確か座ったままの移動ではいはいとは言えないかっこうだった。おねえちゃんは、腕でおよぐようにしてのはいはいだったような。ママちゃんはクラリネット奏者、子育てにすっぽりはまっているようだけど。練習もままならないのでは。
2009.07.03
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病室にてまず握手、手を近付けると、さっと握手してくれる。もちろん右手。次に左手の握手を求める。すぐ対応してしっかり握手してくれたのだが、握った手がなにやら粘っこく、放した手が、臭うのだ。「またやったね」というとニヤニヤしている。介護の人がお風呂に入ります、と言いにきた。さっき私に叱られたんですよ、とのこと。いつものように、左手を、股間に入れてしまい、刺激されて尿漏れをしてしまったらしい。いつも左手が悪さをする。左手で尿を誘導してしまうのを、なんとかしなくては。看護師さんたちも、思案投げ首のようだ。どうしたものかねえ。
2009.07.02
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