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子規は夢の中を走り続けた人である。これほど人々に愛され、これほど人々を愛した人は他に類をみない。彼のこころの空はまことに気高く澄んでいた。と冒頭にありました。お金や健康を気に掛けず、全精神を注いで俳句や短歌などに没頭する姿は、 『奇跡の本屋をつくりたい』 の 久住さん にも共通しているのではないでしょうか。 『長崎ぶらぶら節』 に登場する 古賀十二郎 は、中央や東京に抗して長崎の学問を究めるために大店の跡取り息子の全財産を費やしてしまいます。
「歌の不思議たい。歌は英語でエアー、フランス語でエール、イタリア語でアリア、ドイツ語でアーリア、ポルトガル語でアリア。つまり空気のことたい。歌は眼に見えない精霊のごたるもんたい。大気をさ迷うていた長崎ぶらぶら節が今、うったちの胸に飛び込んできた。これをこんどうったちが吐きだせば、また誰かの胸の中に入り込む。その誰かが吐きだせば、また誰かの胸に忍びこむ。そうやって歌は永遠に空中に漂いつづける。これが歌の不思議でなくてなんであろう。」 男女の恋にならなかったからこそ、その後 「長崎ぶらぶら節」 はレコード収録されて世に知られるようになるわけですね。序章と終章は 愛八 の命を賭けた支援で肺病から回復した お雪の語り があり、哀切極まります。作品中の長崎言葉も耳に残り、当時の丸山に私を連れて行ってくれました。 最後に 長崎ぶらぶら節 の一節を紹介します。ネットで動画もあるので検索してみてください。
古賀 の話を聞いている上に、 愛八 は今こそ、長崎ぶらぶら節という死にかけていた歌が見る見る生気を取り戻していく様が鳥肌の立つほどに実感させられた。
同時に 古賀 は、この歌を大いに世に広めてほしいと歌探しの終わりを告げます。
「おいとおうちのめぐり会いは恋というにはあまりに真面目くさくて色気のなかもんじゃったばってんか、一種の出会いには違いなかたいね」
「………」
長崎名物紙鳶(はた)揚げ盆まつり では 、SODEOKAさん 、次よろしくお願いします。 ( 2022 ・ 05 ・ 06・N/YAMAMOTO) 追記2024・05・11
秋はお諏訪のシャギリで
氏子がぶうらぶら
ぶらりぶらりと
いうたもんだいちゅう
遊びに行くならか月か中の茶屋
梅園裏門たたいて
丸山ぶうらぶら
ぶらりぶらりと
いうたもんだいちゅう
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