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地震の2週間ほど後に、福島県川俣町の「コスキン・エン・ハポンのことを記事に書いたことがあります。その後、川俣町の一部(イベントの会場となる中央公民館の付近ではありませんが)が放射能により計画避難区域となってしまいました。その時点で、中央公民館も利用できない状態(地震による損傷か、避難所となっているせいかは分かりませんが)と鳴っていました。ところが、本日、川俣町のコスキン・エン・ハポン開催事務局より、今年のコスキン・エン・ハポンの開催要項が送られてきました。そう、今年のコスキン・エン・ハポンです。日程は10月8日から10日まで。場所は例年の川俣町中央公民館。今年はどう考えても開催不能だろうなと思っていたので、開催することにびっくりです。開催するからには応援します。最後に行ったのが2000年ですが、11年ぶりに今年行こうかと検討中です。もっとも、残念ながら私の参加するグループは、コスキンに行く予定がないので、「演奏してくる」のは無理。見学に行くだけですけれど。(行くと、演奏下見なってしまうのは確実ですけどね)見学だけだと、宿が取れないので、行くとしたら日帰りかな。日帰りなら申し込みも予約も何もいらないですから。(でも、どこか、私を混ぜてくれるグループがあれば・・・・・・)放射能のことは大いに気になりますが、そこは覚悟を決めます(笑)。まあ日帰りなら「ただちに健康への被害はない」でしょう。(こう書くと、かなり危なそうな気がするのですが)ただ、さすがに7歳の子どもは連れて行けません。私はいいけど、子どもはちょっと、ね。しかし、よく考えると10月8日は相棒の誕生日で9日は子どもの誕生日。まさかこの2日間に妻子を見捨てて川俣に行くわけにはいかないので、行くとしたら最終日の10日ですね。一昨年のコスキン・エン・ハポンでの演奏よりアルゼンチンのロックシンガー、レオン・ヒエコの名曲「Solo le pido a dios(ただ神に祈ることは)」。私自身も演奏した(歌った)ことのある曲ですが、このグループの演奏は私より上手い。ただ神に祈ることは、痛みに対して無関心でいたくないということ。充分頑張ったという思いを抱くこともなく、乾ききった死を迎えたくはない、ということただ神に祈ることは、不正に対して無関心でいたくないということ。かぎ爪で傷つけられる運命の上に、更に反対の頬を叩かれたくないということ。ただ神に祈ることは、戦争に対して無関心でいたくないということ。それは、貧しく無実の人々を踏みつける、巨大な化け物だから。ただ神に祈ることは、忘却に無関心でいたくないということ。裏切り者が何をやっても、それを容易に忘れ去ったりはしないということ。ただ神に祈ることは未来に対して無関心でいたくないということ。たとえ絶望しても、前に進まなくては。別の新しい文化の中で生き続けるために。ただ神に祈ることは、戦争に対して無関心でいたくないということ。それは、貧しく無実の人々を踏みつける、巨大な化け物だから。-----マルビナス戦争(フォークランド戦争)の際に反戦歌として人気を得た曲ですが、元々はアルゼンチンの軍政への抵抗歌です。しかし、改めて歌詞を見ると、今の日本にとっても、いろいろな意味で暗示的な歌詞だと思います。まるで福島のことを念頭に置いて作られた歌詞であるかのような・・・・・・。
2011.05.31
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今日は雪山写真第2弾の予定だったのですが、ちょっと予定変更しまして占冠村の特急事故:乗員対応、手順書通り 出火気付かず避難誘導なし /北海道JR石勝線のトンネル内で起きた特急列車の脱線・火災事故で、運転士や車掌の行動はほぼJR北海道のマニュアルや規則通りだったにもかかわらず、出火に気付かなかったことなどで結果的に事態に対応しきれなかったことが、同社への取材で分かった。乗客への避難誘導ができなかった点はJRも対応の誤りを認めており、今後マニュアルの見直しも求められそうだ。JRによると、列車のトラブル時のマニュアルには「異常時運転取扱手順書」「トンネル内における列車火災時の処置手順」などがある。事故直後に取材に応じた「スーパーおおぞら14号」の男性車掌(60)によると、車掌は占冠村の「第1ニニウトンネル」に入る直前に異音を耳にし、男性運転士(26)に車内電話で緊急停止を要請した。異常時手順書の「異常を感じたら、ただちに列車を停止すること」との指示に沿った対応だった。止まったのは、トンネルから約200メートル入った地点。トンネル内の処置手順は、火災発生時はトンネル内にとどまらず外に出るよう求めている。運転士は火災は把握していなかったが、煙があったため前進を試みた。だがギアが切り替わらず、車両は動かなかった。車掌は周囲の乗客に「私が先に降りて、出口までどのくらいかかるか見てくる」と話し、列車を降りた。JRの乗務員規則では、運転指令の許可がなければ乗客を車外に出してはいけないことになっている。だが乗客は煙の充満に耐えきれず、車掌が戻る前に非常用コックを開けて自主避難を始めた。運転手と車掌、客室乗務員の計4人は乗客が全員下車してから避難を始めたが、乗客の誘導には誰も当たらなかった。4人には最後まで、火災が起きている認識はなかったとみられる。運転士は運転歴10カ月の若手、車掌は勤続30年超。JR北海道の一條昌幸鉄道事業本部長は「状況判断をもう少し早くすべきだった」と話している。-------今回の事故とそっくりで、しかし遙かに悲惨な結果となった、有名な列車事故があります。1972年11月、福井県敦賀市の北陸トンネルの中で起こった急行「きたぐに」炎上事故です。全長13キロの北陸トンネルにさしかかった急行「きたぐに」の食堂車から出火し、列車は13kmもあるトンネルの中央付近で緊急停止してしまったのです。急行「きたぐに」は寝台車を連結する夜行列車で、火災発生は深夜1時過ぎ。乗客の大半は熟睡中だったと思われます。運転士は、火元となった食堂車(編成中のかなり後ろの方に連結されていた)以降を切り離して脱出を図ったのですが、そのときには火災により架線の電力供給が途絶えており、電気機関車が身動き出来なかった。30人の方(機関士1人と乗客29人)が犠牲になりました。当時の国鉄では、火災発生時はいかなる場所であっても(トンネル内であっても)停止して消火するという規則だったそうで、そのために13kmもある長大なトンネルの中央付近で列車は停止してしまったのです。当時の北陸トンネル内には、消火設備は何もなかったそうで、トンネルの入り口からでは消防ホースも届かず、ほぼ燃えるに任す状態だったようです。この事故の後、旧国鉄の火災対策は一変し、トンネル内で火災が発生した場合は、停車せずにトンネルの外まで走ってから停止すると規定が変わったそうです。また、列車の難燃性対策も進みました。ところが、それから40年後、同じようなトンネル内の火災事故が起こってしまった。列車はトンネル内で立ち往生してしまった。急行きたぐにの例と違い、非電化区間のディーゼル特急なので、給電の有無は関係ないのですが、車両故障のために動かなかったようです。そして、急行きたぐにの火災以来、車両の不燃化対策には相当の力を注いできたはずなのに、列車は、火元になった車両だけではなく、全車両がほとんど丸焼け。幸いなことに、北陸トンネルよりずっと短いトンネルで、入り口から200mという近距離だったこと、夜間とはいえ、乗客のほとんどは起きていたと思われることなどから、乗務員の指示以前に乗客が我先に避難したことから、結果的に人的な被害はなくて済みました。でも、一歩間違えたら大変な大惨事になっているところです。記事にある経緯がそのとおりだとしたら、JRの作っている火災時のマニュアルに不備があると言わざるを得ないでしょう。車両の不燃化対策もどうなってしまったのか。また、このような状況で、乗務員が乗客の避難・誘導に当たらなかったという対応にも疑問が残ります。40年前の悲惨な事故の教訓が、いつの間にか風化してはいないか、改めてトンネル内火災事故への対応の検証が必要になりそうです。乗っている乗客の立場からいうと、列車火災はどんな場所でも嫌に決まっていますが、中でもトンネル内での火災ほど怖いものはありません。閉ざされた空間で逃げ場がないし、空気の量にも制約がありますから。前述の急行きたぐにの事故では、死者は全員が一酸化炭素中毒で、焼死は1人もいなかったそうです。
2011.05.30
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このブログ開設以降に登った山の写真は、たいていこのブログにアップしているのですが、それ以前の写真はこのブログにはありませんので(一部はホームページにアップしていますが)、改めて一部を紹介しようと思います。まず最初は雪山(厳冬期から春山にかけて)です。2001年5月、蝶ヶ岳山荘付近から明け方に槍ヶ岳を撮った写真です。私の記憶に間違いがなければ、現在使っているテントで初めての山行でした。このときは、上高地では降雪があり、それが登っているうちに雨になり、山頂に着いた頃にはびしょぬれ。しかし夜はもちろん氷点下。テントの中で寒くて寒くて、あのりよく眠れませんでした。ところが、やっと明け方になってテントの外に顔を出してみたら、見えて景色がこれ。寒さも眠気も吹っ飛ぶような景色でした。ちなみに、その翌晩は徳沢でテントを張ったのですが、1000m標高が下がっただけで、快適でした。明け方はやはり氷点下だった(霜が降りていたので)のですが、それでも蝶ヶ岳山頂とは寒さが全然違う。これも、同じく蝶ヶ岳から槍ヶ岳を撮影した写真です。ただし、上の写真の3年後、2004年のゴールデンウィークの写真です(上の写真はネガフィルムを使っていますが、この写真以降はリバーサル使用)。このときは、子どもが0歳だったので、前回3泊3日(うち車中1泊)の日程で登った山を、2泊2日(車中1泊)の強行軍で歩きました。蝶ヶ岳は北アルプスの入門の山と言われ、ゴールデンウィークでも危険なところは特にないのですが、上高地からの標高差が1160mほどあり、テントを担ぐと、体力的にはかなりきついです。これも上記と同じ時に蝶ヶ岳から撮った穂高連峰です。右が北穂高岳、中央が涸沢岳、左が、北アルプスの最高峰(富士山・北岳に次ぐ日本第3位)の奥穂高岳です。写真では見えませんが、涸沢岳と奥穂高の間の雪の斜面(ザイテングラード)を登る人の行列が、肉眼でははっきりと視認できました。その奥穂高岳、2008年のゴールデンウィーク(4月末)の撮影です。前日からこの日の朝にかけて激しい降雪で、新雪が30センチくらい積もったでしょうか。朝になると同時に天気が急回復して、このとおりの晴天なのですが、降雪直後のため涸沢より上は雪崩の危険により登頂禁止でした。それでも登っていく命知らずな登山者も結構いましたが(禁止といっても、登山を差し止める法的権限は山小屋にも警察にもないですから)、私は命が惜しいので、無謀なことはせずに、涸沢から引き返しました。この写真は涸沢からちょっと下山したところで振り返って撮影したものです。こちらは2003年5月、涸沢から涸沢岳の朝焼けを撮影しました。山の朝焼けを「モルゲンロード」というのですが、こんなに綺麗にモルゲンロードを撮るチャンスは、なかなか巡り会いません。涸沢岳の右端は「涸沢槍」と呼ばれます、涸沢から見上げたときだけ鋭鋒に見えますが、実際は角度的にそう見えるだけです。(上の方の蝶ヶ岳から撮った写真では、涸沢槍は鋭鋒に見えません)上と同じ時の写真です。ザイテングラードを登り、涸沢岳から奥穂高を撮りました。このときのことは、以前に記事を書いたことがありますが、写真を撮っているとき、目の前で、1人滑落しました。写真右端の真ん中付近の雪の斜面(人が小さく写っている)です。ここは、魔の滑落地帯で、過去多くの人が滑っています。私が目撃したときは、滑落防止ワイヤにひっかかり、かろうじて止まれましたが、そうでなければ即死確実です。(危険地帯のアップの写真もあるのですが、記録的にはともかく、特によい写真ではないので、ここでは割愛します)上と同じ時同じ場所から前穂高岳を撮りました。これは、2003年3月、八方尾根から白馬連峰を撮影したものです。手前から、白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳の順。このときは、職場の同僚夫婦と3人で登りました。イラク戦争開戦の翌日だったことを覚えています。これも、上記と同時の撮影です。同じ北アルプスでも、槍穂高連峰は南端で、白馬岳は北端です。積雪量は白馬の方が槍穂高よりずっと多い。雪が、まるでデコレーションケーキのように見えますね。もっぱら北アルプスの写真ばかりの紹介になりましたが、八ヶ岳他の写真もあります。続きはまた明日に。(あるいは、他の記事が間に挟まるかも知れませんが)
2011.05.29
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このゴールデンウィークに徳本峠に行った際、上高地で、映画「岳」のポスターを見かけて、「へー、こんな映画があるんだ」と知りました。見てみたいなあと思ったのですが、ゴールデンウィーク中は時間が取れませんでした。そうこうしているうちに、当ブログの常連コメンテーターのたかさんが見に行った、というのです。いやあ、「本物の舞台」を生で歩いたことのある私が見ても、映像は綺麗だなと思いました。特にラスト近くで夕日に染まる穂高連峰の空撮は、感動しました。当たり前ですが、上から見下ろすアングルで奥穂高を見たことなんか、ありませんからね。おそらく、その場面を撮影するには、相当の期間、絶好の天候の夕方を待ったでしょう。映画の冒頭の場面が西穂山荘から西穂独標への稜線上なんですね。私はちょうど2月に登ったばかりのところなので、映画がいきなりその場所で始まったのは、びっくりしました。西穂独標 写真1西穂独標 写真2話としても、なかなか面白かったです。ただ、設定には相当の無理がありました。冒頭の西穂独標の場面では、登山者がアイゼンに雪玉を作って登っているのです。通常、そういう場面では、ピッケルでアイゼンを叩きながら歩きます。ところが、この映画の登山者は、雪玉が重いからと、突然アイゼンを外して歩き出してしまうのです。で、案の定滑落するのですが、あの場所でアイゼン外して歩くなんて、あまりに狂気の沙汰過ぎて、今ひとつリアリティーが。そして、滑落した登山者はものすごいクレパスに落ち込むのですが、あんなおっかないクレパスがある山だったら、私には登れませんって(^^;あのクレパスはどう見ても南極かグリーンランドの大陸氷河のクレバスだ。日本の山にあんなクレパスはありません。というか、尾根筋では積雪量があんなにない。(日本の山で見られるクレパスは、春山の谷筋で、川の流れによって雪面の下が中空になっていた、というタイプが多い、これはこれで場合によっては落とし穴のようになっていて危険ですが)クライマックスの場面で出てきたクレパスも、かなり変でしたが。話の舞台は、ほとんど穂高連峰でした。冒頭の場面は上記のとおり西穂高独標ですが、涸沢から奥穂高、北穂高から撮ったと思われる風景などもありました。白馬岳も出てきたかな。あと、設定としては槍ヶ岳北鎌尾根の取り付き(天上沢)が出てきますが、本物の天上沢ではなく、おそらくスタジオのセットに背景をCGでつなぎ合わせたのではないか、と。私は北鎌尾根なんて登ったことはありませんが、いくら天上沢がすごい場所でも、あそこまで垂直の壁ではないはずです。ただ、私の山の先輩である、勤務先の某係長は、初めて北鎌尾根に登ったとき、入る尾根を間違えて進退窮まり、垂直に近い壁のハイマツにしがみついて一晩明かしたそうです。そう考えれば、あのセットも誇張ではない、かも知れません。誇張ではない、といえば、クライマックスシーンで爆弾低気圧で猛吹雪の中の救出場面が出てきます。(クライマックスなので、詳細は書きませんが)ものすごい猛吹雪ですが、あれはおそらくまったく誇張ではない。厳冬期にちょっと冬型気圧配置が強まれば、下界の台風並の烈風が吹くのは日本の山では当たり前の姿です。あの場面は、おそらく普通の冬型気圧配置でかぜがちょっと強い時に撮影したのだろうと推測しています。それにしても、現実の山でもゴールデンウィークの涸沢には山岳警備隊が常駐しているし、それ以外でも遭難救助の場面に何回か出くわしていますけれど、彼らの山の実力は、恐るべきものがあります。ずっと以前の記事に、私の出くわした遭難事故について書いたことがあります。涸沢岳~北穂高間で転落者が出たときは、山岳警備隊が遭難現場に駆けつけていったのですが、奥穂高の岩場の梯子を彼らは文字どおり駆け下りてきた。あれをまた時は心底びっくりしました。ああいう場所を走って下れる人たちって・・・・・・・・。
2011.05.28
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下界は梅雨入り。そろそろ冬山写真から夏山写真に変えてみました。新しい背景写真のオリジナルは↓です。去年7月に双六岳~三俣蓮華岳の稜線から撮影したものです。さて、我が家の5月分電気の検針がありました。今月の電気使用量は150kwh弱。先月より更に減りました。昨年は240kwh強。日数調整すると、昨年と比べて35%の減となりました。この時期は、例年もエアコンなどまったく使わないので、エアコン以外でもこのくらい節電できる、ということですね。
2011.05.27
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1年くらい前に、我が家に太陽光発電を導入したいなと、少し真剣に考えたことがあります。いや、過去形ではなく現在も検討中ではありますが・・・・・。そのとき、太陽光発電を検討した理由の一つは、もちろん放射能もCO2も排出しないクリーンなエネルギーに協力できること、ですが、もう一つの理由(実はこちらの方が重要)は、昼間なら停電しても電気が使えることでした。災害時に電気が使えるというのは大きなメリットですから。では、なぜ導入しなかったのかというと、これもいくつか理由があります。第一に、太陽光発電を導入した知人から「停電になると太陽光もやっぱり停電になる」と聞いたためです。それでは停電対策にならないではないですか。ただし、実際には停電時には自立運転モードというものに切り替えることで、太陽光の電気を停電時に家庭内で利用できるようですが。第二に、工事費用がだいたい300万円かかること。(それでも20~30年後には元が取れる)第三に、現在はまだ発電効率が15%ほどしかないことです。もしも、現在の発電効率で打ち止め、というなら仕方がないですが、実際には今後発電効率が上昇していくと思われます。ならば、発電効率がもう少し上昇してからでもよいか、という気がするのです。何しろ300万円ですから、設置してしまった後で「もっと良いパネルが出たから」と、おいそれとは交換できませんから。ただ、今回の地震で、またちょっと揺れています。もっとも、停電対策用としては、携帯式の太陽光充電器も発売されています。(もちろん、発電力はごく限定的ですが)ソフトバンクの孫正義社長が、今回の震災を機に「脱原発」を宣言し、さっそく自然エネルギーの事業化に向けて盛んに動いているようです。ソフトバンク:太陽光で協議会設立 19道県と協力ソフトバンクの孫正義社長と神奈川、埼玉など19道県の知事らが25日、東京都内で記者会見し、大規模太陽光発電所「メガソーラー」や風力発電などの普及を図る「自然エネルギー協議会」を7月上旬に設立すると発表した。孫社長は「グループ売上高3兆円の数%」を投資し、参加自治体などと共同で「メガソーラー」の建設を進める方針も明らかにした。ソフトバンクが個々の自治体と、休耕田など用地の提供を受けるなどして進める計画。1施設で一般家庭5000世帯分の電力をまかなえる出力2万キロワットのメガソーラーを中心に、全国で10カ所程度の建設を予定している。金融機関からの借り入れなどで自治体側の財政負担が重くならないようにするという。-------方向性としては、大いに支持したいと思います。ただ、風力発電はともかく、太陽光については、今後発電効率の大幅アップが見込まれます。今の時点での技術で太陽光発電の普及を目指すのがよいかどうかは、なかなか微妙です。発電効率のさらなる向上のために投資する方が先ではないか、という気もします。発電効率が4割になれば、今と同じ面積のパネルで2.5倍の発電量が期待できるわけですから。ところで、風力発電もそうですが、太陽光発電も、発電量の不安定さを批判する意見もあるようです。お日様次第の発電だから、曇ったら(日没後は言うまでもなく)発電できなくなるではないか、というわけです。しかし、よく考えてみると、太陽光発電の発電量の変動は、夏場の電力需要の変動と、かなりの部分正比例すると思われます。だって、夏場の電力需要を左右する最大の要素はクーラーです。1年でもっとも電力需要が大きいのは、夏の晴天で暑い日中です。そして、太陽光発電の発電量がもっとも大きいのも、同じ条件の時です。「曇ったら太陽光発電はできないじゃないか!」はい、そのとおりですが、曇れば気温が上がらないので、電力需要も下がります。夜間は太陽光発電はできません。しかし、夏場は、電力需要も夜間は少ない。つまり、太陽光発電は、夏場の電力需要の変動にもっともよく対応できる発電方法ではないかと思われます。もちろん、夏場以外の時期は、クーラーより照明(冬場は暖房)の電力需要の方が大きいので、夜間の方が電力需要が大きい日もあります。しかし、そういう時期は、電力需要の絶対値が夏場よりずっと少ない。もう一つ推測できるのは、太陽光発電と風力発電は、おなじ自然エネルギーの中でも、かなり相互補完的ではないか、ということです。太陽光発電は、晴れた日中に発電量が多い。曇りだと発電量は少なく、夜間は発電できません。梅雨時をのぞけば、夏場に発電量が多く、冬場に発電量が少ない傾向があると思われます。一方、風力発電はどうか。平均的に言うと、季節風の強い冬場の方が、夏場より風が強い(発電量が多い)と思われます。また、昼と夜を比べると、どちらかといえば夜の方が風は強い傾向があります。つまり、太陽光発電の発電量が少ない(または、ない)時は風力発電の発電量が多く、風力発電の発電量が少ないときに、太陽光発電の発電量が多いという傾向がありそうです。※夏場は電力需要の多いときに太陽光発電の発電量も多い傾向がありそうだと書きましたが、冬場は風力発電の発電量と暖房の電力需要に正比例の関係が成り立ちそうです。というのは、寒いときほど暖房の需要は増すわけですが、この日本で寒いときとは西高東低の冬型気圧配置が強まったときであり、そのようなときは当然風も強いからです。ということは、風力発電だけ、太陽光発電だけ、ではなく、この両者を組み合わせることによって、かなりの程度安定的な発電量を維持できるのではないかと思われます。もちろん、完全に安定的な(需要に比例した)発電量を常に維持できるわけではありませんから、そこは火力発電や水力発電で補うしかありません。もちろん、常に全力運転か発電停止化の二択しかない原発は、安定的といえば安定的ですが、需要の変動に応じることは全くできませんから、やはり需要の変動は火力と水力で対応するしかありません。
2011.05.26
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原子力発電というものがもつ、構造的な欠陥を指し示す言葉に「トイレのないマンション」があります。すなわち、原子力発電は、使用済み核燃料などきわめて危険な放射性廃棄物が大量に生じるわけですが、この放射性廃棄物をどう処理し廃棄するのかを決めないまま、発電のみがどんどん続けられ、放射性廃棄物もどんどん生み出されてきた、という意味です。私の記憶では、原発を「トイレのないマンション」と評する言葉は、チェルノブイリ事故以前からあったように思います。つまり、25年以上も昔から、原発の抱える問題として「トイレのないマンション」と指摘され続けてきたわけです。事故というのは、起こるか起こらないかは事前には分からないものですが、廃棄物はそうではありません。原発を運転すれば必ず放射性廃棄物が生み出されるというのは、事前に分かっていることです。それにもかかわらず、それをどうするか、対策を決めてこなかった。いや、放射性廃棄物処理の第1段階については、一応決まってはいます。青森県六ヶ所村に再処理工場を建設し、使用済み核燃料の再処理(ウランとプルトニウムを抽出)する。ただし、再処理工場の建物は、2兆円もの巨費を投じて完成していますが、肝心の再処理はまだ始まっていません。現在は、高レベル廃棄物の大半はフランスの再処理工場で再処理されています。いずれにしても、再処理工場でウランとプルトニウムを抽出した後、最終的にまったく利用価値のない高レベル廃棄物が残るわけです。利用価値はありませんが、高濃度の放射線と高熱(当初の温度は200度とされる)を放出する、きわめて危険な存在なので、ガラスで固めた「ガラス固化体」にして、ステンレスの容器に封入して保管されています。この高レベル廃棄物、半減期の長い放射性物質が多いため、数千年単位の保管が必要と言われています。そんな危険なものを、そんな長期間どうやって保管しましょうか。何も決まっていないのです。方向性としては、「地層処分」と言われています。地下深くに埋めてしまえ、ということです。しかし、具体的にどこに埋めるかは、まだ決まっていません。そんなものを積極的に受け入れる自治体などないからです。実は、このような欠陥は日本の原発に特有ではなく、世界のどの国でも、高レベル廃棄物の最終処分場は決まっていません。唯一決まっているのがフィンランドのみ。フィンランドは日本と同じく意の面積で人口は遙かに少ない。しかし、もっと国土面積が広くて人口密度も少ない米国でも最終処分場が決められないのですから、狭くて人口密度の高い日本で決められないのもある意味仕方がないことです。ともかくも、こんなに危険な高レベル廃棄物をどうするかも決まっていないのに、日々新たな高レベル廃棄物が生み出されているのが、原子力発電というものです。その結果、各原発には行き場のない使用済み核燃料が大量に溜め込まれています。福島第一原発の4号機が、定期点検中で原子炉が止まっていたにもかかわらず爆発したのは、使用済み核燃料の製であることは周知の話です。で、もちろん経産省が「安い」と宣伝する原発のコストには、この未確定な最終処分費用は含まれていないわけです。数千年分の保管費用なんて、計算のしようもないのかも知れないけど。電力会社は、原発の安全性の宣伝のために「五重の壁」なるものを宣伝してきましたが、何のことはない、五重の壁があるのは原子炉内の核燃料だけです。使用済み核燃料は、原子炉建屋内でむき出しのプールに保管されているから、圧力容器も格納容器もない、建屋の壁しかないのです。さて、この危険な高レベル廃棄物について、「画期的」な解決策を主張している御仁がいます。原発の問題について狂った主張を展開するオピニオンリーダーとなった池田信夫です。少し前に、彼の暴論を批判する記事を書きましたが、彼のブログを見ると、暴論は更に続いているようです。核のゴミ問題は解決できる原発を批判するとき「核のゴミが処理できない」とか「何百年後までも管理しなければならない」といった話がよくある。先日のインタビューで河野太郎氏も、日本の核燃料サイクルは破綻していると指摘していた。最終処理は国内でできず、六ヶ所村の中間処理場も稼働していないため、核のゴミは満杯で、特に福島第二原発に貯蔵されている使用ずみ核燃料はキャパシティが限界に来ているという。経産省の官僚が書いた怪文書「19兆円の請求書」のいうように、核燃料サイクルにこれ以上コストをかけることは正当化できない。地下数百mに埋めることは可能だが、周辺の住民が反対するので国内では困難だろう。しかしこの問題の解決は、技術的には容易である。大前研一氏もいうように、再処理なんかしないで、放射性廃棄物をドラム缶に入れて日本海溝の底1万mに投棄すればいいのだ。しばらくするとプレートの中にもぐりこんで危険はなくなる。海洋投棄はロンドン条約で禁止されているので法的には不可能だが、これには政府内でも異論があり、条約を脱退すれば投棄できる(半年前に通告するだけで脱退できる)。もう一つの解決策は、毎日新聞が報じたようにモンゴルなど途上国に核のゴミを「輸出」することだ。これは経産省が進めていたが、外務省が反対して止まっている。しかし貯蔵するだけなら、途上国に開発援助と交換で引き取ってもらうことは可能である。世界には人の立ち入らない砂漠や山地はいくらでもあり、有害な産業廃棄物も放射性物質だけではない。これは有害な廃棄物の不法投棄を禁じたバーゼル条約に違反しないように注意が必要だが、当事国の合意があれば海外投棄は可能である。最大の障害は、こうした「公害の輸出」に対する政治的な反対が強いことだ。毎日新聞は核のゴミの輸出が犯罪であるかのように騒いでいるが、モンゴル政府は合意しているのだから、これはパレート効率的な取引であり、温室効果ガスの排出権取引と同じ「コースの定理」の応用だ。CO2ならいいが核のゴミはだめというのは、筋が通らない。河野氏も「海外投棄はビジネス的には可能だが、国際世論が許してくれるかどうか」と言っていたように、これはもっぱら政治的な問題である。逆にいえば、日本政府の政治的意志が明確なら、取引に応じてくれる途上国はいくらでも見つかるだろう。再処理をやめれば、原発のバックエンドのコストは大幅に下がり、その経済性も高まる。原子力は政治的なエネルギーであり、それを解決するのも政治しかないのだ。-----------いやあ、すごい理屈です。だいぶ昔、1980年代だったと記憶していますが、ドラム缶に貯蔵されていた低レベル廃棄物を海洋投棄する計画を日本が立てた際、太平洋上の島国などから猛烈な反発を浴びて計画中止に追い込まれたことがあります。低レベル廃棄物だけでもそうなのですから、高レベル廃棄物の海洋投棄など出来るわけがない。放射性物質の海洋投棄を禁じたロンドン条約を脱退すれば海洋投棄可能、というのも暴論です。核拡散防止条約を脱退すれば原爆を作っても問題ないでしょ、というのと同レベルの話です。脱退するという行為自体が、国際秩序に対して喧嘩を売る態度だということを理解していない。「日本海溝の底1万mに投棄すれば~しばらくするとプレートの中にもぐりこんで危険はなくなる」という一文もすさまじいものがあります。プレートの移動速度は年間数センチですから、1メートル移動するのに十数年から数十年かかります。プレートの中に潜り込むにはどのくらいかかるでしょうね、数千年か数万年か、想像も付きませんが、少なくとも10年や20年ではない。地質学的には確かに「しばらくすれば」ですが、人間社会の時間としてはものすごい時間を要します。高レベル廃棄物入りドラム缶は、おそらく数年以内に腐食して中身が漏れ出すでしょうね。いや、それ以前に投棄した時点で、海底までたどり着く遙か以前に、水圧で圧壊する可能性が高そうだ。つまり、この人が言っているのは、高レベル廃棄物を太平洋上のまき散らせと言っているのと同じ。モンゴルなどに核のゴミ輸出というのも、地域エゴの最たるもの。「世界には人の立ち入らない砂漠や山地はいくらでもあり」と言いますが、危険きわまりない核のゴミがあると知れば、求めてその場まで立ち入ろうとする人は確実にいるでしょうね。人の立ち入らないような場所なら警備の目も手薄だから、なおさらです。で、ある日、某国の首都の雑踏の中で、高レベル廃棄物まき散らしテロとかが起こったら、どうするつもりでしょうね。
2011.05.25
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1号機は「メルトダウン」…底部の穴から漏水東京電力福島第一原子力発電所1号機で、原子炉内の核燃料の大半が溶融し、高熱で圧力容器底部が損傷した問題で、東電は12日、直径数センチ程度の穴に相当する損傷部から水が漏れていると発表した。溶融した燃料は圧力容器の底部にたまっていると見られ、東電は、この状態が、核燃料の「メルトダウン(炉心溶融)」であることを認めた。東電はこれまで、燃料の一部損傷などと説明していた。東電は、圧力容器の温度は100~120度と安定しているため、事態がさらに悪化する可能性は低いと見ているが、圧力容器を覆う格納容器からも水が漏れだしている可能性が高く、格納容器を水で満たす「冠水(水棺)」など事故収束に向けた作業は難航も予想される。東電の松本純一原子力立地本部長代理は同日夕の記者会見で「燃料が形状を維持せず、圧力容器下部に崩れ落ちた状態」と現状を説明し、メルトダウンを認めた。東電によると、1号機では現在、燃料を冷却するため圧力容器内への注水(毎時約8トン)が続き、累積注水量はすでに1万立方メートルを超えている。ところが、10日に圧力容器の水位計を調整した結果、冷却水の水位が容器の底部から最大4メートル程度しかないことが判明。この漏水量から圧力容器の損傷を計算したところ、直径数センチの穴に相当することが分かった。(2011年5月13日01時33分 読売新聞)2・3号機も炉心溶融…地震直後のデータ解析東京電力は23日、福島第一原子力発電所2、3号機について、地震発生直後の原子炉の各種データをもとに解析を進めた結果、1号機と同様に核燃料がメルトダウン(炉心溶融)していたとする報告書をまとめた。経済産業省原子力安全・保安院に提出する。報告書では、2、3号機について〈1〉炉内の水位が水位計の表示通りだった〈2〉水位計のデータは信頼できず、1号機と同じ様に核燃料が全露出している――の二つのケースに分けて、模擬計算を行い、結果を示した。それによると、いずれの場合にも核燃料が溶融して、原子炉圧力容器底部に崩落した状態になっていると評価。特に、水位計が故障しているケースでは、核燃料全体が溶融して、崩壊しているとした。(2011年5月24日読売新聞)-----炉心溶融していることがあまりに歴然としているために、私はこれまで東電(と政府)が、公式には炉心溶融を認めていなかったという事実に気がついていませんでした。そんな当然のことをまだ認めていなかったの??と、今更ながらびっくり。4月に今回の原発事故がレベル7と認定されたという報道があり、そのときにも、「とっくにわかっていたことを何を今更」という趣旨のことを書いたのですが、今回の炉心溶融報道も同じことを言わなければならないようです。こんなことは、とっくの昔にわかっていたことでしょう。東電と、その言い分を鵜呑みにする政府が、これまで認めていなかっただけのことです。いや、認めたくなかっただけかもしれない。冷却水を入れれば入れただけ汚染水となって漏れ出してくる、プルトニウムまで漏れ出してくる。今回の事故でプルトニウムが検出されたことは、すでに3月29日の時点で報道されています。(3号機ではMOX燃料、つまりウランとプルトニウムの混合燃料が使われていた)プルトニウムが放出されたということは燃料棒が壊れたということであり、投入した冷却水が汚染水となって漏れだしているということは、原子炉が壊れているということです。燃料棒が壊れただけならともかく、燃料棒と原子炉の両方が壊れたとなれば、ふつうに考えれば炉心溶融の可能性が高いことは明らかです。なぜそんな当たり前のことをこれまで認めてこなかったんだろうか。東電は、過去および今回の事故の初期段階までは情報隠蔽や情報操作をたくさんやってきましたが、今回の事故が収拾不能になって以降は、それまでのような情報隠蔽はやっていない-と、これまで私は想像していました。しかし、ここまでの動きからみると、私の想像はまだまだ甘かったと考えざるを得ません。炉心溶融という、ほぼ当たり前の事実すら、それを認めたのが今月に入ってから。つまり、未だに東電は隠し事をたくさん抱えていると言うことでしょう。政府もそうです。東電が「炉心溶融していません」と言えば「はいそうですか、わかりました」と信じているようでは、子どもの使いです。じっさいには、政府の原発関係部署は東電とグルになっているから、東電にとって都合の悪い事実を暴くようなことはないわけです。原子力業界というのは、まさしく、斉藤和義ではないけれど、「やっぱクソだんたんだぜ」と言うしかないようです。
2011.05.24
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ここ数日、結構な暑さが続いていました。今日は午後から雨で、気温も下がってきましたが、昨日の東京は最高気温が27.6度で、今年最高を記録したとか。午後11時をすぎた時点でも、室内温度は約28度ありました。我が家では、この程度の気温だとクーラーをつけることはありません。笛の練習の際は窓を閉め切っているのでちょっと暑かったですが、我慢できないほどではありませんが(窓を閉め切っている間も、扇風機すら動かしていませんから)。ただ、真夏になると、窓を閉め切っている間はクーラーなしだとつらいですね。練習時間が30分くらいならともかく、1時間以上だと、ちょっとね。ま、日中なら、窓を開け放って練習というのもあり得ない選択肢ではないですが、夜間はさすがにそれはあり得ない。もっとも、夜間はそれなりに気温も下がっていますが。ところで、家庭内でどのような電化製品がどの程度の電力を消費しているのか、調べてみました。一般家庭における平均電気使用内訳は、以下のとおりだそうです。出展はこちらのサイトですが、元データは資源エネルギー庁平成16年度電力供給の概要(出典:財団法人省エネルギーセンター)の「家庭における消費電力量ウェイトの比較」とのことです。全世帯平均の年間電力消費量は4,734kWhです。(こちらはこのサイトより)ということは、単純計算すると各家電製品の年間消費電力は以下のようになるわけです※。エアコン 4,734kWh×25.5%=年間1207kwh冷蔵庫 年間762kwh(1ヶ月あたり63kwh、1時間あたり87W)照明器具 年間762kwh(1日あたり2.09kwh)テレビ 年間468kwh(1日あたり1.28kwh)※電力消費の内訳は2004年の調査結果(調査自体は2003年)で、年間消費電力総量は2008年の調査結果なので、厳密に言えばこの数字のとおりにはならないでしょうが、まあだいたいの目安として。一方、真夏の日中(14時頃)に限ると、家庭の電力消費内訳は以下のとおりだそうです。こちらの画像の出典はこちらのニュースサイトですが、元データは資源エネルギー庁の節電対策ページです。※資源エネルギー庁 「家庭の節電対策メニュー」 節電に心がけるつもりであれば、一読をおすすめします。ただ、このグラフには大きな欠陥があります。というのは、家庭での電力消費の内訳(比率)はわかるけれど、絶対的な電力量がわからないのです。本文中の解説によると、在宅世帯の平均消費電力は1200W、外出中世帯は340Wだそうです。しかし、この円グラフは「全世帯平均」だそうなので、この円グラフからは各家電製品の消費電力が求められません。(在宅世帯と留守世帯で内訳が同じであるはずがありませんから)ただ、仮に在宅世帯の1200Wという数値から無理矢理数字を割り出してみるとエアコン 1200W×53%=636W冷蔵庫 276Wテレビ・照明 各60Wそのほか全部合計 180W14時頃という限定ですので、これは1時間あたりの消費電力という意味でしょう。エアコン・テレビ・照明は留守世帯ではほとんどゼロ、冷蔵庫は留守でも在宅でも大きな差はないと思われるので、在宅世帯に限定すると、エアコン・テレビ・照明の消費電力はこれより大きく、冷蔵庫はこれより小さいものと思われます。こうやってみると、エアコンの消費電力がいかに大きいかわかります。何しろ、エアコンだけで、消費電力の半分以上ですからね(前述のとおり、実際にはもっと大きいと思われる)。基本的には、「電子機器」系(テレビ、パソコン、オーディオなど)の消費電力はたかがしれており、電気で熱エネルギーを発生させる家電製品(エアコン、冷蔵庫、電気ポット、電子レンジ、炊飯器など)の消費電力はでかい。しかし、電子レンジを1時間も2時間も稼働させる人はおらず、炊飯器だってせいぜい1時間でご飯が炊けますから、やはり稼働時間の長いエアコンと冷蔵庫、特にエアコンに消費電力が集中するわけです。いくら省エネといっても冷蔵庫を止めるわけにはいきませんから、エアコンの使用をいかに減らせるかが、家庭における節電の最大ポイントということになるでしょう。ただし、炊飯器や電気ポットは、使用時間が比較的短いから消費電力もそれほど大きくはないですが、保温設定のままずっと置いておくと、消費電力もかなり大きくなる可能性がある、ということです。気をつけた方がよさそうです。----ところで、我が家の主要な電化製品の消費電力を計ってみました。測定に使ったのはエコワット(T3T-R2)という電力量表示器です。もともとは、パソコンの消費電力を測定しようと思って、約1年前に購入したのですが、実は「安物買いの銭失い」のたぐいでして、10W単位までしか測定できないアバウトな測定器だし、測定開始からの経過時間も表示されないので、自分で記憶しておかなければならない。あまり役に立たないので、一度使ったきり放り投げてあったのを、今回思い出して使ってみました。まず、洗濯機。シャープのES-FG74Vという機種で、6年くらい前に購入しました。標準コースの洗濯(風呂水給水ポンプ使用)で約70W(所要約1時間)そしてテレビ。パナソニックの26インチ液晶(3年前に購入)です。カタログデータでは消費電力105Wとなっていますが、輝度をかなり落として使っているため、実際の消費電力は1時間視聴して約50Wでした。カタログデータの半分にしかなりません。試しに最大輝度にしてみたところ、30分で50Wだったので、ほぼカタログデータと同じ数値です。テレビで最大輝度を落とすのは、かなり効果があるようです。ハードディスクレコーダーは東芝製。3年くらい前に購入したものですが、ハードディスクの中身を30分稼働して20W、つまり1時間あたりでは40W程度でした。カタログ上は、消費電力51W(BSアンテナ電力供給時)なので、それと大きな差はないようです。一方、冷蔵庫。9年前に購入した、パナソニック(当時ナショナル)のNR-E400Sという400Lクラスの製品です。これはなかなかおもしろい結果になりました。昨日の午後2時から今朝7時まで測定したのですが、昨日の2時から12時までの10時間で910W。一方、昨日午前0時から今朝7時までの7時間では470W。1時間あたりの平均を求めると、それぞれ91Wと67Wになります。時間帯によってまたずいぶんと消費電力が違います。想像される原因は、一つは昨日の日中は暑く、夜は気温がそこそこ下がったことでしょうか。でも、室内温度は、昨日の午後は28度くらい、今朝7時は26度と、それほどの差でもありません。深夜もそんなに涼しかった記憶はないです。もう一つ予想される原因は、日中は冷蔵庫の扉をある程度開閉するけれど、夜中はほとんど開閉しないことでしょうか。いずれにしても、ちょっとした条件の差で消費電力がずいぶん変るようです。ただ、取扱説明書によると、この冷蔵庫の年間消費電力は330kwhということになっているのです。割り返すと1時間あたりの消費電力は38W弱になる計算です。ところが、現実には上記のとおり。しかも、省エネ設定で、温度設定は最弱にしてあるのです。91Wはいうまでもなく、67Wにしても、カタログデータと乖離がありすぎではなかろうか。ところで、前述の調査によると一般家庭の平均消費電力が4734kwh、つまり1ヶ月平均では394kwhということになります。我が家の場合、使用量の通知が断片的にしか残っていないので、電気料金から消費電力を類推するしかないのですが、昨年1年間で月間消費電力が400kwhを超えたのは、9月だけだと思われます。(電気代が1万円に達しているので、おそらく460~470kwhくらい)一昨年は、なぜか電気代が一番高かったのは2月(約9300円で、たぶん400kwhは超えたんじゃないかと思う)で、夏場は8月でも6000円ほど。昨年のような猛暑の年は例にして、普段の年は夏場にクーラーをあまり使わない一方、冬場はエアコンとガス暖房を両方同時に使ったりするので、こういうことも起こるのです。つまり、我が家の場合、去年も一昨年も、月間の消費電力が400kwhを超えたのは1年のうち1ヶ月だけ、ということになります。それと比べると、月平均で394kwhというのは、ずいぶん消費電力が多いように思います。確かに、我が家はある程度は節電の心がけてはいますけれど、震災以前はそんなに徹底していたわけではありません。世の一般家庭は、本当にそんなに消費電力が多いんでしょうか。オール電化住宅なども平均値の中に組み込まれているからでしょうか。そういえば、最初の円グラフにある各家電のうち、5番目以降の電気カーペット、温水洗浄便座、衣類乾燥機、食洗機は、我が家にはありません。その差かなあ。一つ一つは小さくても、4つあわせると12.6%だから、それなりの消費電力になるようです。
2011.05.22
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橋下知事「国歌斉唱で起立しない教員は免職」大阪府の橋下徹知事は17日、入学式や卒業式の国歌斉唱時に起立しない府立学校や公立小中学校の教員を免職する処分基準を定めた条例を9月の定例府議会に提案する考えを示した。府によると、同様の条例は全国でも例がないという。知事は報道陣に、「府教育委員会が国歌は立って歌うと決めている以上、公務員に個人の自由はない。従わない教員は大阪府にはいらない」と指摘し、「繰り返し違反すれば、免職になるというルールを作り、9月議会をめどに成立を目指したい」と述べた。学校での国歌斉唱では、府議会会派「大阪維新の会」が府立学校や公立小中学校の教員に起立を義務付ける条例案を19日開会の5月議会に提出する予定。大阪府教委によると、政令市の大阪、堺両市を除く府内の公立小中学校教員の処分権は府教委にある。ただ、府教委はこれまで、起立しなかった教員に対しては、懲戒処分で最も軽い戒告にとどめていた。府立高校関係者は「大阪だけ厳しい処分基準を設けるのはおかしい。処分権の乱用だ」と反発している。-----------いや、どこぞの国の「偉大なる領主様」のやっていることと、いったい何が違うのだろうかと私は思ってしまいます。独裁者が、自分の気に入らない思想信条を弾圧しているだけのことです。東京の狂った知事と大阪の狂った知事、まったくいい勝負だ。東京でも、卒業式の式次第から日の丸の位置から何から何まで、都教育委員会からがんじがらめの通達がでています。学校の卒業式はいったい誰のためのもの?生徒のためではなく知事や右翼政治家の自己満足のためのものですか?だいたい、懲戒請求騒動に見られるように(※)、既存のルールを無視することで人気を得てきた橋下が、自分の決めたルールだけは守れというのは、おこがましいにもほどがあるのです。※Wikipediaによると、橋下は大阪弁護士会から業務停止2ヶ月の懲戒処分を受けたとき「弁護士会の品位の基準と僕の基準は違う」と言い放ったそうです。その伝で言えば府教委のルールと教員個人のルールが違っても、いっこうにかまわないはずです。ただ、そう書きつつも、私は自分のこの入学式では、一応起立したんですよ。父母の立場ですから、起立しなくても処分されるわけじゃありませんけど、子どもの入学式で場の雰囲気を乱すのもあまり本意ではないので。もちろん、口が裂けても歌いませんけどね。
2011.05.19
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少し前に、亡くなった父に貸してあったノートパソコンを引き上げてきた話を書きました。その後、このノートパソコンを常用しています。ただ、不具合もいっぱい。まず、マウス、キーボード、外付けサウンドボード、プリンタなどの周辺機器を、USB切り替え機でデスクトップパソコンと共用するようにしました。切り替えスイッチ一発で、どちらのパソコンも使えるようにしたわけです。ところが、USB機器をノートパソコン側に接続した状態で起動すると、・・・・・・起動できないのです。なぜだろう、原因はまだ検証していません。とりあえず、起動するときはUSB機器は切り替えスイッチでデスクトップ側に接続しておいて、OSが起動してからノート側に切り替える、という手段で切り抜けています。そして、動作が遅い。ファイアフォックスとサンダーバードしか立ち上げておらず、ただ静かにWEB閲覧とかブログの記事を書いているだけでも、動きはもっさりだし、YouTubeの動画を見ると、動きがカクカク。特に、裏でウィルス対策ソフトが自動アップデートしているときは、動きが本当に緩慢になります。CPUがシングルコアだし、メモリーも512MBだから仕方がないのでしょうが。もう一つ気がついたのは、バッテリーがへたりきっていること。完全放電状態のまま数年間放置していたせいだろうと思うのですが、バッテリーでのパソコン駆動時間が、わずか10分足らずなのです。充電放電を繰り返せば多少は回復するかと思ったけど、何回か繰り返しても回復の兆しはまったくない。これじゃあ、バッテリー駆動の作業なんて、ほぼ何もできない。データを保存してシャットダウンできるというだけです。さらに、このノートパソコン、使用中に画面を閉じると、ブルー画面になって強制再起動になってしまうのです。自作機のデスクトップパソコンでは、1年以上使ってブルー画面なんて一度も見たことがないのに、どうしたことでしょう。これだけいろいろと不具合があるノートパソコン、肝心の消費電力はというと、ワットチェッカーで測定したところ、1時間で50Wほどでした。デスクトップパソコンはディスプレイ込みで80Wくらいだから、ノートは案外省電力ではないなという印象です。たぶん、非力なのでちょっとの負荷でもすぐに動作周波数が最大になってしまうせいでしょう。それでも、ブログの記事はこのノートパソコンで書いています。せっかく回収したパソコンを使わないのはもったいないですからね。
2011.05.18
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福島第一原発は、地震の揺れそのものでは壊れなかったけれど、津波で外部電源が途絶し、非常用発電機も動かなくなったために事故に至った、ということになっていますけれど、以前の記事に書いたように、本当に地震の揺れそのものでは原発の損傷がなかったのかどうかは、定かではありません。津波前、一時停止か=1号機の非常冷却装置―地震前後の記録公開・東電福島第1原発事故で、東京電力は16日、地震前後の原子炉の状態を計測したデータや、運転日誌などを公開した。データによると、メルトダウン(全炉心溶融)した1号機では3月11日午後2時46分の地震発生直後、炉内を冷やす非常用復水器が起動したが、津波到達30分前の同3時ごろ停止。日誌などの操作記録では同6時10分に動作が確認されており、いったん停止した後、再び起動したとみられる。東電は15日、1号機について、非常用復水器が津波到達で停止したと仮定した上で、3月12日午前6時50分ごろには溶融した燃料がほぼ全て落下したと解析しており、今後、実際の状況について詳しく調べる。東電によると、炉内の状況を紙に自動記録した「チャート」では、地震直後に炉内圧力が上昇。直後に圧力が急減しており、非常用復水器が自動起動したと推定される。しかし、午後3時ごろには再び圧力が上昇しており、非常用復水器が止まったとみられる。操作手順書では、炉内温度や圧力が急減した時には非常用復水器を止めるよう定められており、運転員が復水器を止めた可能性もあるという。チャートは津波到達で途絶えているが、操作記録では、11日午後6時10分に非常用復水器の弁が開かれて蒸気が発生、復水器の作動が確認されている。同日夜には作動に必要な水を非常用ポンプで補給しており、翌12日午前1時48分にポンプが不具合で止まったことが確認された。-------整理すると、地震の直後に炉内圧力が急上昇↓非常用復水器を作動させて圧力低下↓非常用復水器停止してしまい、再び圧力上昇↓津波到達ということになるわけです。ここで書かれている炉内圧力というのは蒸気圧のことを指しているはずです。蒸気圧が上がるということは、それだけ激しく沸騰したということですから、温度も上がったものと思われます。原子炉は緊急停止にしていたにもかかわらず圧力(おそらく温度も)が急上昇したこと、非常用復水器も途中で停止してしまったこと(操作員が止めてしまった可能性もあるようですが)などを考えると、津波がくる以前から原発のどこかに深刻な損傷が発生していた可能性が高そうです。間違いなくいえるのは、このような緊急事態に際しての対処法がきちんと整備されていなかったということ。
2011.05.16
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私がフォルクローレの演奏を始めたのは1991年、ちょうど20年前のことです。(ケーナ自体はそれ以前から1人で吹いていたので、ケーナ歴は通算25年、なんと四半世紀もこの笛を吹いていることになります)グループを組んだ翌年、だったと思いますが、Alturas de MachuPichu(マチュピチュの高みにて)という曲を一度だけ演奏したことがあります。とても好きだった曲なのですが、どういうわけかそれ以降二度と演奏する機会がありません。気がつけば、それから19年も経ってしまいました。久しぶりにこの曲を聴き直してみたら、無性に演奏したくなりました。なので、録音してみました。YouTube版ニコニコ動画版1人多重録音ではいつもチャランゴを避けていました。(だって、下手なんだもん)だけど、この曲はチャランゴ抜きではちょっとさまになりません。というわけで、ものすごく久しぶりにチャランゴを弾いてみました。正直言って、曲の最初から最後まで通してチャランゴを弾いたら、必ず途中で間違える。100回録音してもうまくいいきそうにないので、全体を6分割くらいに分けて少しずつ録音して、後でつなげました。19年前の音源がどこかに残っていないかと思って家捜しをしてみたら、なんと!テープが出てきました。さすがにこれをYouTubeにアップする勇気はありませんので、自分のサイトにアップしてみました。19年前の「マチュピチュの高み」19年前、ということは私は24歳ですよ!まだ転職する前。改めて聞いてみると、細かいミスは沢山ありますが、案外形になっている。多分、1人図抜けて上手いメンバー(現在プロのSaigenjiさん)がいたからです。私自身の笛はどうでしょう、その頃より多少は進歩している、かなあ。曲の構成は、今回1人多重録音版の方がオリジナルに近いです(まったく同じではありませんが)。この曲のオリジナルは、カルチャキスというアルゼンチンのグループの曲です。カルチャキスは1970年代に活躍しており、私がフォルクローレを始めた頃は、どういうわけかこのグループのCDが比較的手に入りやすかったのです(みんなフランス輸入盤ですけど)。今も活動しているのかな、と思い検索したところ、2008年のライブの動画があったので、今も現役のようです。結成50年を超えているそうで。カルチャキスの演奏は、今聞くと、サンポーニャはスカスカした音ですが、曲が非常にいい。このグループの曲で、私の琴線に触れる、本当にいい曲が何曲かあるのです。ところが、私が「いい」と思う曲に限って、YouTubeには音源が上がっていません。この曲もYouTubeでは見つかりませんでした。この曲のタイトルは、チリの詩人で1971年にノーベル文学賞を受賞したパブロ・ネルーダの詩から取ったものと思います。そのため、同じタイトルの曲が他にもあり、そちらの音源は沢山YouTubeアップされているんですけどね。
2011.05.15
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ゴールデンウィークに行った徳本峠(「とくごうとうげ」と読む)の写真がやっとできました。5月3日、6時半頃河童橋付近から穂高連峰を撮りました。有名なアングルですね。私自身、この位置から何枚写真を撮ったことか・・・・・・反対側には焼岳。今日も噴煙が上がっています。上高地から明神までは1時間かからないくらいの行程です。登山者の大半は、ここから更に徳沢→横尾→涸沢へと向かうのですが、私は梓川沿いの道を外れて徳本峠へ。明神の標高は、上高地とほぼ変わらない1500m程度、徳本峠は2100mほどなので、標高差600m。比較的楽な行程です。徳本峠への登りの途中で撮った1枚。左のギザギザの峰々が西穂高岳、それより高い中央部が奥穂高岳、右端の、一番高い(ように見える)鋭鋒が明神岳です。実際には、明神岳が一番手前なので一番高いように見えるだけですが。実際の標高は、西穂高岳2908m、明神岳2931m、奥穂高岳3190mですから、中央の奥穂高岳が一番高い。ところで、2月に登った西穂高独標(頂上直前で引き返しましたが)が、この写真に写っています。どこにあるか分かるでしょうか。左端の小さなピークです。同じ場所から、明神岳のアップです。徳本峠に着きました。テントを張って、まず1枚。西穂高独標が豆粒のようだ。西穂高をアップにしてみました(実はこれ、2日目に撮った写真です)。左から雪の稜線をたどっていって、最初のピークが西穂独標です。やっぱり小さい。今回、望遠レンズを持たなかったので(だって、荷物をあまり重くしたくなかったので)、ズームレンズの望遠側は85mmしかなく、たいした望遠になりません。同じ写真を拡大してみました。右端が西穂高岳本峰の山頂。左端が独標です。小さい、実に小さい。私が引き返した地点は、雪の稜線がピークの手前で気持ちへこんでいるところです。文字どおり山頂直前。とは言え、西穂本峰から見れば、遙か手前ですけど。あ、もちろん無雪期なら西穂独標は簡単です。もちろん私も登ったことがある、というか独標を超えて一つ先のピークまで行きました。参考 2月に撮った西穂独標の写真近くで見ればこんなに大きく見えても、西穂高本峰と比べれば、こんなに小さいわけです。初日は徳本峠に着く頃までは良い天気だったのですが、そのあとだんだん天気が悪化し、3時過ぎには吹雪になってしまいました。(積雪量はせいぜい数センチでしたけど)もちろん視界もなし。そのあと夕方に天気が回復して、雲が多いながらも穂高連峰が遠望できました。この分なら明日の朝は期待できるかなと思ったら、穂高連峰方面は天気が良いのですが、肝心の大鵬の方向に雲が厚く、モルゲンロード(朝焼け)は見られませんでした。初日に霞沢だけ方面に途中まで登って引き返したので、2日目は大滝山方面に向かってみました。しかし、1時間ほど歩いたところでトレースが消えており、それ以上進むことは断念しました。ずっと樹林帯で視界はない。トレースが消えた地点は小ピークになっていましたが、針葉樹の高木に囲まれているので、視界はあまりききませんでした。徳本峠まで戻ってみたら、穂高連峰方面は雲が多くて、奥穂高は雲の中、明神岳も雲から出たり入ったり。ちゃんと見えるのは西穂高岳という状態。しばらく待ったのですが、なかなか雲が取れないので、あきらめて下山にかかりました。下山し始めたら、やっと雲が取れた。もうちょっと粘ればよかったかなあ。どんどん晴れてきます。下に梓川が見えてきました。明神まで下って上高地に着いたのが12時頃だったでしょうか。その頃には、このとおり。快晴になっていました。うーーーん、ちょっと惜しかったけど、この時間にまだ徳本峠にいたら、この日のあいだに東京まで帰ってくるのはちょっとキツイので、仕方がないでしょう。ちなみに、今回自宅を出る時点での荷物の重さ(水なし状態)は15.5kgでした。上高地で水を2.8リットル満タンにしたので、トータルの荷物の重さは18kgあまり、というところです。雪山登山としては最小限の荷物の重さですけど、それでも重かった。
2011.05.14
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飛ぶように売れる扇風機、土鍋、魔法瓶――。この夏、節電で見直される「昭和的グッズ」の数々 ただでさえ電力不足が懸念されているこの夏だが、気象庁が4月25日、3ヵ月予報を発表したところ、なんと今夏の気温は高めになる見込みだという。記録的猛暑となった昨年に続いて、思わず気が滅入りそうだが、非情な天を恨んでみても仕方ない。ここはひとつ、頭を使って猛暑の夏をやり過ごすしかないだろう。そんな今、首都圏では早くも夏物商戦が本格化しているという。エアコンの利用を控え、出費を抑えて賢く過ごす――。そんな消費者の姿が浮き彫りになってくる。そして、今という時代を映し出すように、その消費を特徴づけるものとして、「扇風機」や「土鍋」「魔法瓶」といったレトロな“昭和的グッズ”が注目されているというのだ。日経新聞をはじめ、最近各メディアで報じられている。まず扇風機だが、家電量販店などでは活発な動きが見られるという。ヨドバシカメラマルチメディア横浜店(横浜市)では、扇風機売り場を通常より1ヵ月早く開設し、120種類以上のラインナップを揃えている。すでに1日に100台以上と、例年の約10倍の売れ行きとなっており、早くも多くの消費者が暑さ対策に乗り出しているのがわかる。続いて土鍋は、電気釜よりも節電ができ、おまけにご飯がより美味しく炊けると好評だ。高島屋横浜店(横浜市)では、昨年の2倍のペースで売れているという。「魔法瓶は持ち運びに便利で空だきの心配もない」と、象印マホービン(大阪市)では今年3月の出荷数が前年比3割増であった。(以下略)-----我が家は、構造的に台所にクーラーの冷気が届かないのです。夏場は台所が暑くて仕方がない。相棒から時々不満が出ていましたが、台所にクーラーを設置するのは難しい。それで、結局数年前扇風機を1台買ったのですが、その扇風機一つで台所の暑さは解決してしまいました。それ以降、相棒から「台所が暑い」という不満は出てきません。たかが扇風機と侮る事なかれ、結構効果があるのです。扇風機だけで対処できる暑さには限界があるでしょうが、クーラーと併用することで、クーラーの効率をかなり向上させることができます。というわけで、今は台所用の小型扇風機が1台しかありませんが、近いうちにもう一台購入しようかと思っています。登山の常識の一つとして、風速1メートルにつき体感温度は1度下がる、と言われます。気温が30度でも、風速5メートルなら、体感温度は25度、というわけです。(実際は、そんなに単純ではないようですが、おおざっぱな目安として、です)だから、扇風機を使えば、クーラーの使用時間が減る、あるいは設定温度を上げることができそうです。もともと、我が家はあまりクーラーを使う方ではないと思います。特に夜間は、年によってはクーラーをほとんど使わない年もあります。さすがに昨年の夏ばかりは、クーラーをガンガン使いましたが。私自身の感覚(相棒の感覚もだいたい同じ)では、体を動かしていない状態の時は、室内温度30度までは「暑い」と思うことはありません。従って、クーラーも使いません。もちろん、その場合服装はTシャツ1枚です。31度だとちょっと暑いけど、まあ耐えられる。32度だと何とか耐えられる、33度だとパンツ一丁なら耐えられる・・・・・。夏場は、風呂上がりにパンツ一丁でパソコンの前に座っていることがよくあります。というわけで、我が家のクーラーの設定温度は、通常だいたい28.5度くらいです。それで、室内温度はだいたい30度未満になる。体を動かすときは、もう少し設定温度を下げることもありますけど。ところで、記事にあるもう一つの節電グッズ「土鍋」ですけれど、土鍋くらいどこの家庭にでもあるものと思っていたのですが、そうでもないのかな。我が家は土鍋をよく使っていますよ。相棒が土鍋とタジン鍋のファン(?)ですから。カレーも土鍋、シチューも土鍋、スープも土鍋、煮物も土鍋、何でも土鍋で作っています。1ヶ月ほど前に炊飯器が壊れてしまったので、新しい炊飯器を買うまでの数日間はご飯も土鍋で炊いていました。相棒が外出している間に私も一度土鍋でご飯を炊いたのですが、私が炊くとちょっとお焦げが多かったかな。これに味を占めて、毎週1回ずつでも土鍋でご飯を炊いてよと言っているのですが、面倒くさいようで、新しい炊飯器を買って以降は、あまり土鍋でご飯は炊いていません。冷蔵庫には、クールカーテンというのがあるそうですね。これは知りませんでした。確かに冷蔵庫の開閉時の冷気流出をシャットアウトできれば、保冷効果が高まります。数百円程度のものなので、これも買ってみることにしよう。何でも、クーラーも冷蔵庫も、10年前の機種と比べて電力消費が3割以上も減っているそうですね。我が家のクーラーと冷蔵庫は、いずれも結婚した年の夏に購入したので、この夏で丸9年使っていることになる。けど、全然壊れていないものを買い換えるのはもったいないので、それは今のところ考えていません。ただ、考えてみると、この種の電化製品の寿命って、もうそろそろかもしれません。結婚したときに購入したりお祝いにもらった電化製品のうち、前述の炊飯器と、オーブントースターが先日壊れました。オーブントースターは半壊状態のまま、まだ使っていますけど、今月中には買い換えざるを得ないでしょう。で、最後に魔法瓶。魔法瓶といえば、テルモスです。保温効果が非常に高い。登山に愛用しています。冬山に熱湯を持って行って、夕方になってもまだ熱い。最近は日常生活でも愛用しています。冷たく冷やした飲み物が、半日たってもまだ冷たい。これは便利ですよ。10年以上前に購入したものをずっと愛用していたのですが、中蓋が変形して水漏れするようになってしまったため、昨年新しいものに買い換えました。登山以外にも、夏場は職場に持って行ったり、子どもと一緒に外出するときに使ったりしています。---追記:結局、扇風機を買ってきました。クーラー売り場は閑散としていたけど、扇風機売り場はごった返していましたね。ただ、購入したのは9000円くらいする高級機種(?)ですが、クーラーに比べれば比較にもならない安価。売り上げはあまり上がらないでしょうね。もっとも、お店全体としては、お客さんはかなり入っていましたが。ついでに、冷蔵庫のクールカーテンというものがあるということを知って、これも購入しようと思ったんだけど、品切れでした。扇風機もそうですが、節電グッズにはお客さんが殺到しているようですね。それにしても、節電グッズにこれだけ人が集まるということは、節電にできるだけ協力しようという人がそれだけ大勢いる、ということです。良い傾向じゃないでしょうか。新しい扇風機を組み立てるついでに、今まで使っていた台所用の扇風機も掃除をしたら、油でベトベトになっていました。使う場所が台所でしたから、仕方がない。ちょっと拭くだけのつもりが、大掃除に。ピカピカの新品によみがえりました。
2011.05.12
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夏の電力切迫の恐れ 全国の原発54基中42基停止も東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、定期検査の終了予定を過ぎてもなお、営業運転再開を延期している原発が7基にのぼっている。安全対策や地元の理解が求められているためだ。今夏までに6基が定期検査に入る。再開できなければ国内の商用原子炉54基のうち、停止要請を受けた浜岡原発をはじめ42基が止まる事態になり得る。火力や水力も含めた全電源の約2割で、夏の電力供給が各地で切迫する恐れもある。福島第一原発など被災地で停止中の原子炉を除き、ほぼ年に1回運転を止める定期検査に入っているのは全国で14基。うち7基は4月下旬までに営業運転を再開する計画だったが、10日現在で実現していない。いずれも今回の事故で経済産業省原子力安全・保安院から緊急安全対策を求められた。九州電力は「福島の状況が安定していない」ことも延期の一因に挙げる。定期検査後の運転再開には地元の了解は法手続き上、必要ない。しかし各社とも県や市町村と安全協定を結んでおり地元の了解がなければ再稼働は難しい。(中略)運転中の原発のうち、関西電力美浜3号機が数日中に定期検査に入る。8月までにさらに5基が定期検査で止まる見込み。中部電力浜岡4、5号機は政府の要請で停止するが、検査中の原発が運転再開できない場合、被災地の原子炉を除く39基のうち夏までに浜岡原発を含め27基が止まる。被災地の15基を加えれば停止中は42基で、全原発の発電能力の8割を占める。 (以下略)--------以前から、何度か指摘しているように、「原発推進」というのは一見すると「現実的」なように見えますが、実は、現在の状況下ではまったく非現実的なのです。ただ、私の主張は、まだ甘かったかもしれません。「今ある原発は稼働できても、今後新たな原発など受け入れる自治体があるとは思えない」ということを私は書いたのですが、現実はそれよりさらに一歩先に進んでいて、現在稼働中の原発も、定期点検で停止すると、その後再稼働に地元の同意が得られなくなっている。そりゃそうです。どんなに原発に経済を依存している町でも、福島第一原発周辺のあの状況を見てしまえば、怖いに決まっています。このままいけば、1年以内に国内のすべての原発が停止するかもしれません。(すべての原発が毎年定期点検を行うから)つまり、いやも応もなく原発には頼れない状況が近づきつつある、ということです。それに要する時間は、私の予想より大幅に早いかもしれない。それでも、未だに経済産業省は原発推進の旗を降ろしていないそうです。が、さすがに菅首相の方は、やっと脱原発への重い腰を上げたようです。菅首相、エネルギー基本計画の白紙見直し表明菅首相は10日、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた今後のエネルギー政策について、「従来の計画を白紙に戻して議論する。再生可能エネルギーをより大きな力で推進する方向性が必要だ」と述べ、原発への依存を減らす方針を表明した。2030年の総発電量のうち50%を原子力と想定したエネルギー基本計画を見直し、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーと、省エネ社会の実現を2本柱とする意向も示した。(以下略)--------遅ればせながら、やっと菅政権が脱原発へと舵を切りました。いや、「原発全廃」ではなく「依存度を減らす」だけなので、完全な脱原発とはいえないかもしれませんが、防潮堤建設までの浜岡原発の時限停止に比べれば、また一歩踏み出した感があります。実際のところは、上記のような事情で、否応なく原発に依存し続けることが困難になっている、という事情もあるでしょうが。原発の代替案が、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーと、省エネ社会の実現というのも、なかなか良い。電力の安定供給は大事です。節電は大して困らないけれど、停電は日常生活にも経済活動にも致命的な影響を与えます。だけど、今後もどんどん電力消費を増やしていく、という方向性で「電力が足りない」という考え方には賛同できないのです。資源は有限です。石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料が有限であることは誰もが知っていますが、ウランだって有限なのです。今の調子で原発を稼働し続ければ、石油とさほど変わらない時期にウランは枯渇します。もし、これまでの計画のように「原発をどんどん拡大」ということなら、枯渇の時期はさらに早まるでしょう。エネルギーの消費をどんどん拡大していくことが善、という価値観では、現代文明は遠からず、原発事故がなくても資源エネルギーの枯渇によって崩壊するしかなくなってしまいます。
2011.05.10
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先日、母のところで、まったく使っていないノートパソコンをもらってきました。実は、元をただすと私のものなのですが。私の勤務先では、以前はみんな自腹でパソコンを買って職場にもちろんでいました。職場にあるパソコンがごく少なかったからです。私もそうしていました。ところが、ある時期から、イントラネットが導入され、1人1台体制でパソコンが配備されるようになり、私物のパソコンを仕事に使ってはいけない、ということになりました。それで、自腹のノートパソコンは引き上げてきたのです。5年くらい前の話です。自宅には、しかしデスクトップパソコンがありますから、引き上げてきたノートパソコンは使わないままでした。それから数年が経過し、父がガンで某病院に入院することになりました。そのときに、「病院で闘病記を書きたいから、ノートパソコンがないかな」と言うので、「じゃあ、このノートパソコンを使ったら?」と、渡したのです。闘病記は完成しましたが、1年数ヶ月後、父は入退院を繰り返した挙げ句に帰らぬ人となりました。実家にもデスクトップパソコンがあるので、母はもっぱらそれを使っており、このノートパソコンは、またまた放置状態となってしまいました。私も、自分のパソコンは1台あれば充分だし、そのまま実家に転がしてありました。それから2年経って、ふと気がついてしまったのです。デスクトップパソコンよりノートの方が消費電力はずっと少ないぞ、と。いろいろ測定したところ、私のデスクトップパソコンは、静かにウェブブラウズとか書き込みをしているだけの場合、1時間でだいたい80Wくらいの消費電力です(本体とディスプレイを合わせて)。ノートの方は、おそらく20Wか30Wくらいでしょう。こちらの方が節電になる。どうせ、パソコンを使っている時間の8割は、ブログの記事書き、Web閲覧、YouTubeの動画を見ているだけなので、パソコンの性能はほとんど要求されません。動画編集とか音楽取り込みの時だけデスクトップを使えばいい。そう思ったので、このノートパソコンを返してもらいました。開いてみたら、父の書いたいろいろな文章がまだ残っていたりして、元は私のパソコンとはいえ、こりゃ遺品だなあ、と。長らく使っていなかったので、Windowsアップデート、セキュリティーソフトのアップデートに手間がかかりました。メールの設定にも。やはり、比較してみるとデスクトップより圧倒的に動作が遅いのです。購入した当時としては、かなり高性能で快適なノートパソコンだったはずなのに。2003年に購入したDELLのINSPIRON500mという機種で、CPUはPentiumM1.3GHz、メモリーは、職場に置いていた頃は256MB(それでも不便はなかったのです)で、父に渡したときに512MBに増設。ハードディスクも同時に30GBから160GBに交換。とりあえず、マウスとキーボード他、周辺機器をデスクトップパソコンと共用するために、切り替え器を買ってくることにしよう。(この記事は、まだデスクトップで書いています)
2011.05.09
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池田信夫という評論家がいます。元NHK職員で、「池田信夫blog」を主催、かなりの影響力があるようです。私はもともと地球温暖化問題に関してこの人の主張(温暖化懐疑論)に疑問を抱いていたのですが、武田邦彦のような「大物」とは違って、この人の場合は、地球温暖化懐疑論だけで書籍を出しているわけではないので、これまで直接的にこのブログで批判したことはありません。しかし、今回の原発事故に関しての言説を改めて読み直してみると、あまりに酷いので、取り上げることにしました。中部電力は法的根拠のない「要請」に屈服するな浜岡原発についての首相の「停止要請」について協議した中部電力の臨時取締役会は結論が出ず、週明けに決定を先送りしたようです。これは当然です。首相の要請は閣議決定も経ていない個人的な「お願い」であり、それに従わなかった場合のペナルティは何もない。首相は6日の会見で「指示や命令は現在の法制度では決まっていない」と述べましたが、法的根拠のない要請(事実上の命令)を首相が公然と行なうのは言語道断です。他方、これに従って中部電力が運転を止めると、火力発電の燃料費が今年だけで2500億円増えると予想され、これは今期の営業利益の2倍です。法的根拠のない要請に従って巨額の損失を出した場合、株主代表訴訟を起こされたら勝てないでしょう。それが歯止めになっているものと思われます。実際には、政府は浜岡原発の運転を法的に止めることができます。いま東京高裁で係争中の浜岡原発訴訟で、中部電力に和解を勧告すればよい。これも強制力はないが、司法的な手続きで運転を差し止めることができます。これは日本政府として「浜岡原発は危険だ」と認めることであり、そういう意思表示なしに行き当たりばったりに運転を止めることはできない。法的根拠なしに運転を止めるには、それによって中部電力のこうむる損害を政府が賠償する必要があるでしょう。2年間で5000億円の予算が必要ですが、これについて国側は「中部電力が原発停止を決めても、あくまで自主判断」と責任逃れをはかっています。日本の官庁は、これまでも口頭の「行政指導」で企業に指示を行ない、それが問題を起こすと「業者が勝手にやったこと」と逃げてきましたが、それを首相が白昼堂々とやったのは初めてです。(以下略)--------行政は、法的根拠がなければ何も指示できない(指示しなくてよい)わけではありません。引用文にあるとおり、「行政指導」があります。池田信夫はそれを批判的に捉えているようですが、事実として、国の機関から市区町村の役所まで、日常的に行われています。たとえば、今問題となっている生食用の食肉取り扱い規制は、法の規定はなく行政指導です。池田信夫の言い分に基づけば、そんな法に基づかない行政指導は言語道断で、生食用の肉の取り扱いなど放任しておけ、ということになるわけですが、それで良いのでしょうか。「実際には、政府は浜岡原発の運転を法的に止めることができます。いま東京高裁で係争中の浜岡原発訴訟で、中部電力に和解を勧告すればよい。」「三権分立」「司法の独立」というものを理解していないようです。中学生レベルの社会科の常識と思うのですが、裁判所で和解を勧告できるのは裁判所(司法)であって政府(行政)ではありません。司法権は行政権から独立しており、その命令は受けないというのが、我が国を含め民主主義国一般の制度です。福島第一原発の事故の賠償総額は10兆円とも言われています。1日7億(2年間で約5000億)の出費と、どちらの方がより巨額かは言うまでもありません。浜岡原発の「停止要請」は非科学的だ菅首相は突然、記者会見で中部電力の浜岡原発の運転停止を要請した。その理由はこれから30年以内にマグニチュード8程度の想定の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫しています。こうした浜岡原子力発電所の置かれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切です。ということだが、この理由は非科学的である。今までに判明している福島第一原発の事故の経緯は、次のようなものだ: 1.地震によって原子炉は緊急停止し、核燃料の連鎖反応は止まった 2.受電鉄塔が倒壊して外部電源が供給できず、ECCSが作動しなかった 3.予備電源が津波で浸水して給水ポンプが作動しなかった 4.原子炉(GE製)の電圧が440Vで、電源車と合わなかった浜岡が危険だといわれたのは、東海地震の震源の真上にあって、原子炉が地震で破壊される(あるいは制御できなくなって暴走する)のではないかということだったが、これについては東海地震で想定されているよりはるかに大きな今回の地震で、福島第一の原子炉は無事に止まった。浜岡も国の安全審査では、東海地震に耐えられる(これは首相も問題にしていない)。問題は、予備電源が津波で浸水したことである。これについては、浜岡には12mの砂丘があり、予備電源と給水ポンプを原子炉建屋の2階屋上(海抜15~30m)に移設する工事がすでに行なわれたので、防潮堤は必要ない。かりに予備電源がすべて地震で破壊されたとしても、浜岡の原子炉は東芝/日立製なので、予備の電源車が使える(構内にも電源車がある)。つまり3と4は福島第一に固有の欠陥であり、浜岡には当てはまらないのだ。(以下略)--------Wikipediaの記事によると、福島第一原発のうち、GE製は1・2・6号機だけで、3~5号機は東芝製と日立製です。しかし3号機(東芝製)と4号機(日立製)でも、電源車は爆発前に現地に到着していながら爆発に至った。つまり、ここに書かれていることはデマなのです。それに、「構内に電源車がある」というのは、つまり電源車自体も津波で流失か水没する可能性があるわけです。「東海地震で想定されているよりはるかに大きな今回の地震で、福島第一の原子炉は無事に止まった。」とありますが、これは2つの意味で間違っています。第一に、停止はしたけれど、それだけでは「無事」では済まなかったことは、事実が証明しています。実際のところ、揺れそのものに原子炉が耐えられたのかどうかは分からないのです。建屋は揺れそのものでは破損しませんでしたが、配管や格納容器については何とも言えません。配管や使用済み核燃料プール、2号機の圧力抑制室が損傷した原因が水素爆発のみだったとは断定できません。揺れそのものでも損傷が発生していた可能性は否定できません。今となっては、破損の原因が揺れだったか津波だったか水素爆発だったかを特定するのは至難の業でしょうが。第二に、地震の規模と、ある地点における揺れの大きさを混同しています。どんな巨大地震でも、震源から遠く離れれば揺れは小さくなるのは当たり前の話です。(距離のみではなく地盤条件にも左右されます)近年の大地震で記録された最大の揺れは以下のとおりです。1995年阪神淡路大震災(Mj7.3/Mw6.9) 818ガル2007年能登半島沖地震(Mj6.9/Mw不詳) 945ガル2007年新潟県中越沖地震(Mj6.8/Mw6.6) 1018ガル2004年新潟中越地震(Mj6.8/Mw6.6) 2515ガル2011年東日本大震災(Mj8.4/Mw9.0) 2933ガル2008年岩手・宮城内陸地震(Mj7.2/Mw6.8) 4022ガル※Mjは気象庁マグニチュード、Mwはモーメントマグニチュード地震計で確認された最大の揺れなので、地震計のないところでもっと強い揺れがあった可能性はあります。特に、阪神淡路では、震度7を記録した地域に震度計がなかった(建物の損壊状況から、後で震度が判定された)ので、実際にはもっと強い揺れがあったのは確実です。東日本大震災は、地震の規模では空前ですが、揺れの強さでは決して空前ではないのです。しかも、今回並かそれ以上の揺れを記録した地震の規模は、今回より遙かに小さいのです。震源が陸地だったので、震源の直上で揺れが観測されているからです。今回、福島第一原発で記録された揺れは500ガル程度でした。震央から200kmほど離れており、しかも海岸沿いとはいえ地盤はやや強固だからです(東京新聞の報道によると、比較的強い地盤まで25mほど掘り下げて建設されたそうです。津波に対しては、それが逆効果となりましたが)。東海地震の規模は今回の地震より小さいかも知れませんが、それでもM8クラスの巨大地震です。しかも、想定される震源域のど真ん中に浜岡原発があり、砂丘だったところに建設されているので地盤が軟弱です。およそ、考えられる限りもっとも悪条件の場所なのです。従って、浜岡原発が、今回の福島第一原発を遙かに上回る揺れに見舞われる可能性はかなり高い。もちろん、あくまでも推測ですから、震央が確実に浜岡原発の至近距離であると断定できるわけではありません。運が良ければ浜岡原発からかなり離れたところが震央となるかも知れません。運が良ければ、ね。そんな幸運を期待して手をこまねいているわけにはいかないでしょう。酒やタバコは放射線より恐い原発が恐れられるのは、凶悪な「放射能」で人を殺すと思われているからだろうが、放射線は特別な物質ではない。それは何十年も後に癌の発症率を数%増やすだけだ――と私がツイッターで書いたら怒る人がいるが、それは発癌物質としても特別に有害ではない(中略)このデータをもとにして「野菜不足は何十年も後に癌の発症率を6%増やすだけだ」と書いても怒る人はいないだろうが、「放射線は何十年も後に癌の発症率を数%増やすだけだ」と書くと怒る人がいるのは、それを特別な有害物質だと思っているのだろう。しかし発癌物質は数多く、プルトニウムと同じぐらい有害な物質はいくらでもある。発癌性という点では、特に危険なのは酒とタバコである。健康被害を減らすためなら、原発の放射線の処理に何兆円もかけるより、酒とタバコを禁止するほうが有効だ――こう書くと「放射線は選べない」とかいう人がいるが、原発の周辺に住まないことは選べるし、逆に受動喫煙は選べない。そんなことは問題ではないのだ。(以下略)--------酒やタバコは嗜好品です。野菜を取る取らないも本人の嗜好の問題。たとえば私は山登りをしますが当然山登りにはリスクがあります。リスクがあっても、楽しいから山登りをするのです。お酒やタバコ、食べ物の好みも同様です。受動喫煙は選べない、それは事実ですが、だからこそ、近年は分煙や公共の場での禁煙が徹底してきているのです。幸いなことに、この10年ほど、私は自分の意に反して受動喫煙を強いられる場面はほとんどありませんでした。(それ以前は違いましたが)原発の近くに住まなければいいとか、アホかと思います。憲法上住居移転の自由は保証されているけれど、現実にはそんなに自由ではありません。同じ放射線でも、レントゲン検査なら、それによるメリットがあるから、リスクはあってもみんな受診するわけです。(私は近年、定期健康診断のレントゲン撮影は遠慮していますが)しかし、原発事故による放射能には、何のメリットもない。従って、このような対比は無意味です。死亡率にして数%の差、しかしその総数ではかなりの人数になります。こういう言い方をすれば、地震による直接の死者すら、「酒やタバコと比べて大した犠牲じゃない」と言えてしまうでしょう。
2011.05.08
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米公電公表:官僚、米に「普天間で妥協するな」と助言 グアム移転は水増し米軍普天間飛行場の返還・移設問題で「県外移設」を模索する方針を示していた民主党政権に対し、外務省官僚が米政府に「妥協すべきでない」などと、助言していたことが4日、分かった。内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米公電によると、2006年春に日米両政府が合意した米軍再編ロードマップ(行程表)で示された在沖海兵隊8千人と家族9千人のグアム移転について、政治的成果をアピールするため、実態より膨らませた数字を挙げていたことも明らかになった。在沖海兵隊のグアム移転費について、米政府が、関連費用を水増しして日本側の負担を見かけ上減らし、日本政府も08年に追認したことも判明した。建設費約10億ドルの軍用道路を再編費用に盛り込んだことについて「総体のコストの見積もりを増やし、日本側が負担するコストの比率を減らすため」と言及。92億ドルだった総額を10億ドル増やすことで、3分の2だった日本側の負担比率が60%を切るよう操作していた。民主党政権への交代後、官僚が再編行程表を維持するよう米側に言及したケースとして、2009年10月12日、高見沢将林・防衛政策局長が、来日したキャンベル国務次官補らとの非公式の昼食の席で、「米側が早期に柔軟さを見せるべきではない」と助言。日本政府の政務担当の参事官らが、在日大使館政務担当者へ同様の発言をしたことが電文で報告されており、官僚が鳩山政権の県外模索を阻む動きをしていたことが示された。(以下略)-----ウィキリークス:普天間関連米公電 外務官僚暗躍 米に不満表明促す /沖縄内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米公電で、米軍普天間飛行場の返還・移設問題をめぐり、交渉相手の米政府と内通し日本の閣僚への影響力を行使させようとする外務官僚の姿が6日、新たに照らし出された。外務官僚が閣僚に対し、在沖海兵隊のグアム移転と普天間飛行場代替施設建設を切り離せないとさとしたり、外務省の「前担当者」が当時の鳩山政権の普天間問題に対する取り組みを批判し、米政府に対して公式に不満を表明するよう促していたことが分かった。2009年10月5日作成の在沖米総領事館発の公電は、外務省日米安全保障条約課長の船越健裕氏が、岡田克也外相(当時)とやり取りした発言を紹介。船越氏が「岡田氏は、米国が普天間代替と、海兵隊のグアム移転を切り離すことを受け入れられないとする官僚らの主張を認めなかった」などと話したという。船越氏は「普天間代替なしに、議会がグアムに予算を認めることなどあり得ないと、岡田氏に伝えた。しかし彼(岡田氏)は米国から直接それを言わなければ信じなかった」と述べたという。2009年12月16日作成の在東京大使館から米国務省など宛ての電文は、外務省の「前担当者」らが東京に招集され、うち3人が同月10日に駐日米大使館の職員と面談した内容を報告。「前担当者らは、鳩山政権の普天間代替施設問題への取り組みを強く批判しており、米政府に公式に不満を表明するよう促した」としている。この3人について「さまざまな表現で普天間代替施設計画への鳩山政権の扱い方や政治性について、不満を表した。(以下略)-----要するに、外務省と防衛省の高級官僚は、日本政府(民主党政権)の政策を実行するためではなく、それを潰すために、裏で米国政府にせっせと内通していた、というわけです。「キャンベル国務次官補らとの非公式の昼食の席で、『米側が早期に柔軟さを見せるべきではない』と助言」というのは、つまり、民主党政権の政策を変更させるために米国に圧力をかけてほしい、と要望したに等しいわけです。もちろん、彼らの主観では、民主党政権の政策は間違っているから、外圧を頼ってでもそれを変更させることが日本の「国益」であると、そういうことなのでしょう。しかし、そのためにこのような形で外圧を利用しようというのは、どうも好感を抱きようがない。ネットウヨク連中が声高に叫ぶ「売国」というのは、こういう行為にこそ当てはまるのではないかと思うのですがね。もっとも、あの連中は対中国・対韓国には「売国売国」と叫ぶけれど、対米の「売国」を非難しようとは絶対にしないのですが。そして、「政治主導」などと立派なことを言っていた民主党も、結局はこんな官僚に全面屈服して、その言いなりになって、自民党政権時代の悪しき政策をズルズルとなし崩し的に継承しているのが現状です。何とも救いようがない状況です。高級官僚は無謬かといえば、当然そんなはずはありません。たとえば、福島第一原発の事故を見れば、高級官僚が(電力会社と一体になって)作ってきた「安全神話」がデタラメだったことは明らかです。通産省はそれでもまだ原発推進の旗を掲げ続けようとしているようです。いい加減にしろ、と思います。せっかく菅政権が浜岡原発の一時停止要請という(不十分ではあるけれど)大きな一歩を踏み出したのに、裏でそれを妨害するために暗躍する官僚が出てくるのではあるまいか、この記事を読むとそんな危惧を抱いてしまいます。
2011.05.07
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首相、浜岡原発の全原子炉停止を要請 防潮堤完成まで菅直人首相は6日、東海地震の想定震源域である静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所について、定期検査中の3号機のほか現在稼働中の4、5号機も含めてすべての原子炉停止を要請したと発表した。津波対策などで中部電が2~3年後の完成を目指している防潮堤の新設までを期限とした。これらの要請は海江田万里経済産業相を通じて中部電に伝えた。中部電は判断を保留している。首相の政治判断で稼働中の原発が止まれば、初めてのこととなる。首相は同日夜、首相官邸で記者会見して停止要請を明らかにし、「国民の安全と安心を考えてのこと。浜岡原発で重大な事故が発生した場合、日本社会全体におよぶ甚大な影響を併せて考慮した」と強調した。首相は停止要請の理由に東海地震を挙げ、「30年以内にマグニチュード(M)8程度の地震が発生する可能性が87%という数字も示されている」と説明。特有の事情があるとの認識を示し、浜岡以外の原発への対応には言及しなかった。停止期間については「防潮堤の設置など中長期の対策が完成するまでの間」とした。中部電は海岸沿いの高さ10メートル以上の砂丘と原発の間に、高さ15メートル以上の防潮堤を2~3年後をめどに新設する予定だ。首相は停止要請までに「先の震災とそれに伴う原子力事故に直面し、私自身、浜岡原発の安全性について様々な意見を聞いてきた。熟慮を重ねた上で内閣総理大臣として本日の決定をした」と語った。今後の中部電管内の電力不足対策については「需給バランスに大きな支障が生じないよう政府として最大限の対策を講じていく。全国民の理解と協力があれば夏場の電力需要にも十分対応できる」と語った。ただ、首相には法律上、原発の運転停止を指示する権限がない。首相も「指示とか命令という形は現在の法律制度では決まっていない」と認めた。首相は、中部電側が要請を断った場合の対応については「十分にご理解いただけるように説得して参りたい」と述べるにとどめた。政権が原発停止要請に踏み切った背景には、浜岡原発から20キロ圏に東海道新幹線や東名高速などが走っていることや、東京電力福島第一原発の事故を契機に国民世論に浜岡原発への危惧が高まっていることなどがある。川勝平太静岡県知事ら地元自治体の首長も、新たな安全基準を満たさない段階での浜岡原発の稼働に難色を示している。(以下略)------浜岡原発の危険性については、先日書いたばかりですが、やっと菅首相が動いたようです。最小限度ではありますが、大きな前進です。ただし、実際には浜岡原発を取り巻く危険性は津波だけではありません。先日の記事でも書いたように、浜岡原発は東海地震の想定震源域の中心地にあり、地盤の軟弱な海岸線ギリギリの位置にあります。浜岡原発は1000ガルの揺れに耐えられるように耐震補強工事が行われていますが、近年の大地震では、2000ガル以上の揺れが頻繁に記録されています。マグニチュード8クラスの東海地震でも、同程度の例え津波を防いでも、揺れそのもので原発が損傷する可能性はそんなに低くないと思われます。建屋自体が地震で直接的に倒壊するかどうかはともかく、配管類が壊れる可能性は高い。かと言って、では2000ガル以上に耐えられる補強工事ができるかというと、現実的には難しいのだろうと思います。つまり、浜岡原発は場所が悪すぎる、ということです。あんなところに原発を建ててはいけなかったのです。従って、「防潮堤完成まで」の運転停止ではなく、恒久的な運転停止(廃炉)を目指さなくてはなりません。幸いなことに、中部電力は日本の電力会社の中で、原発のない沖縄電力に次いで原発への依存度が低い。発電量に占める原発の割合は、1割そこそこです。だから、浜岡原発を止めても余剰の発電設備で切り抜けることが可能なのです。というわけで、充分とは言えませんが、それでも重要な一歩です。この決断については、菅首相を大いに支持します。ところが、この決断を非難している政党があるようです。自民、「浜岡停止」に複雑=共社は評価自民党は6日、菅直人首相による浜岡原発の運転停止要請を複雑に受け止めた。原子力政策を推進してきた立場から、「脱原発」への流れが強まることを警戒しているが、浜岡原発の危険性が広く指摘される中、首相の判断に真っ向から反対するのは困難なのが実態だ。自民党の石破茂政調会長は取材に対し「なぜ止めるのか明確な説明が必要だ」と指摘。同党の逢沢一郎国対委員長は「また思い付きで言い出したという印象だ」と語ったが、ともに浜岡原発の運転を続けることの是非には触れなかった。党内には「稼働中の原発まで止めようとするのはおかしい」(幹部)との声が少なくないが、浜岡原発が福島第1原発の二の舞になりかねないとの危機感は専門家にもあり、「首相批判は難しい」(幹部)との声も聞かれた。党内には「(首相の)要請を評価しなければならない」(河野太郎衆院議員)との意見もある。一方、公明党の山口那津男代表は「サプライズを狙った人気取りのためのものだ」と酷評。みんなの党の渡辺喜美代表も「菅政権が浜岡原発を血祭りに上げて、政権浮揚を図ろうとする思惑が見え見え」と強調した。(以下略)------自民党、公明党、みんなの党。こいつらが今も政権にあったら、あれこれと理由を付けて、東海地震が起こるその日も浜岡原発を運転し続けている、ということです。「人気取り」(公明党)とか「政権浮揚を図ろうとする思惑」(みんなの党)などと言っているようですけれど、政治家が人気を取ったり政権浮揚を図ることは、当然のことです。そのために、必要な政策を避けたり、必要のない政策を行ったりすることは批判の対象になるでしょう(たとえば子ども手当とか)。しかし、やるべき政策を行うことによって「人気取り」や「政権浮揚を図る」ことは、何ら非難すべき筋合いのことではありません。石破茂は「なぜ止めるのか明確な説明が必要だ」と指摘したそうですが、危険だからに決まっているでしょう。もちろん、すべての原発は地震の危険がありますけれど、浜岡原発は突出して危険だから、特に緊急に止めなくてはならないのです。他にどんな理由があるというのか。
2011.05.06
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ビンラディン容疑者は殺害時は非武装 米大統領報道官カーニー米大統領報道官は3日の記者会見で、米軍特殊部隊が国際テロ組織アルカイダ指導者のオサマ・ビンラディン容疑者を急襲した際に、同容疑者が「武装していなかった」と明らかにした。オバマ米大統領は同容疑者が降伏しない限り、殺害することを許可していたという。米政府はこれまでビンラディン容疑者や側近らと米軍が銃撃戦になり、一緒にいた妻を「人間の盾」にしたと説明していた。カーニー氏は非武装の同容疑者が「抵抗した」と述べたが、詳細には触れなかった。一方、パネッタ米中央情報局(CIA)長官は3日、米NBCテレビで「オバマ大統領から殺害の許可を得ていた」と言明。「同容疑者が両手を上げて降伏の意思を示せば拘束していたが、そうならなかった」と述べた。この作戦についてホルダー米司法長官は3日、米議会下院司法委員会で「あらゆる面で合法かつ正当」と証言。だが、国連のピレイ人権高等弁務官は「米国はすべての対テロ作戦で国際法を尊重すると主張してきたはずだ」とし、殺害を前提とした作戦に疑問を投げかけた。(5/4朝日新聞)-------オサマ・ビン・ラディンはテロリストとされていますが、「犯罪者」なのでしょうか、それとも「敵勢力の首魁」なのでしょうか。日本のマスコミはすべて、ビン・ラディンを「容疑者」という肩書き(?)付で報じています。この限りでは、「犯罪者」ということになります。しかし、犯罪者といえども(いや、犯罪者だからこそ)、法に基づいて裁判を受ける権利は保障されています。米国の法律の詳細は知りませんけれど、現行犯ではない丸腰の容疑者を、その犯した罪が巨大だからという理由で裁判にもかけず問答無用に殺害することを許すような法体系ではないはずです。いや、オサマ・ビン・ラディンは単なる犯罪者ではない、戦争(対テロ戦争)の一方の首魁だという考えもあるでしょう。戦争なんだから裁判などは関係ない、と。その場合は、今回の殺害は戦時国際法に反する行為ということになります。ビン・ラディンは丸腰だったと米国自身が認めています。「抵抗した」と称していますが、その抵抗の中身とは、妻(別の報道ソースによると妻ではないとも報じられていますが)を盾に取ったことだそうです。道義的な是非はともかくとして、丸腰の人間が別の丸腰の人間を盾に取ることを戦時国際法違反とは言えませんし、それを盾に取られた女性もろとも射殺してよいことにはなりません。結局のところ、米国という超大国が無理を押し通せば、法(国際法)という道理が引っ込む、ということです。しかし、そのままで良いのでしょうか。結局のところ、ならば別の勢力が別のやり方で無理を押し通す、たとえばアルカイダがテロという能力に訴えて実力行動に出ることを「ダメだ」と言う論理的な根拠も失われてしまいます。そうなると、国際社会には一切の道理も秩序もなく、ただ「力があるものが勝つ」という力の論理しか残らなくなります。そうなれば、正規軍の軍事力を持たない勢力はテロという手段に訴えることを「悪い」とは誰も言えなくなります。「テロは悪い」というのは、国際秩序というものが存在する前提の上での価値観です。単なる力の論理がすべてなら、テロという力を行使して何が悪い、という話になる。そうなってしまったら、結局のところ困るのは国際社会であり、米国自身です。実際問題として、オサマ・ビン・ラディン殺害が、別のテロの誘因となる可能性はかなり高いように思います。それに対して、また報復の対テロ戦争。更に報復の報復のテロ、報復の報復の報復の対テロ戦争・・・・・・、きりがないことになります。
2011.05.05
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2日の夜東京を出て、先ほど帰ってきました。行き先は・・・・・行き先というか、出発地点ですけれど、まず着いたのは上高地です(ただし、この写真は帰路に撮りました)。松本電鉄の夜行バス「さわやか信州号」で行きました。例年だと、5月の連休は、2~3年ごとに北アルプスに行っています。例年だと、5月の連休前夜発の上高地行き夜行バスは、7~8台になるでしょうか。松本電鉄の観光バスだけでは足りず、他社の観光バスを動員することもあります。しかし、今年は4台でした。やっぱり震災の影響で、登山者も減っているのかなあ。かく言う私も、本当は涸沢に行こうかなと思っていたのですが、「涸沢は、もし大地震が来たら雪崩で埋まっちゃうよなあ」なんてことが頭をかすめてしまいました。それに、ゴールデンウィークの涸沢は、過去4回くらい行っているし、体力的にも、涸沢というのは上高地からとにかく遠い。最近ランニングをさぼり気味で体力低下中、しかも若干腰痛の気まであるので、今年はもう少し楽なコースと思い、徳本峠(「とくごうとうげ」と読みます)に行きました。かなり風が強かったのですが、徳本峠は樹林帯なので、テントに当たる風はそよ風程度でした。多分、涸沢ではすごい強風だっただろうなあ・・・・・・。若干曇り気味の白い空を背景にした雪山、というのは、さすがに携帯の写真では厳しいものがありますね。どこが稜線だかよく分かりませんけれど、一応、右端が明神岳、その隣が奥穂高岳、左寄りが西穂高岳です。こちらは明神岳のアップ。いずれにしても、一眼レフでも写真を撮ったので、ちゃんとした写真はしばしお待ちください。で、昨日は徳本峠から霞沢岳を目指したのですが、途中の急斜面であえなく撤退。(吹雪になってしまったし)今日は反対方向の大滝山方面を目指したのですが、30分ほど登った小ピークでトレースが消滅。樹林帯の中なので見晴らしがないので、トレースのないところを突き抜ける自信はなく、またも引き返しました。つまり、結局のところ徳本峠の周りをちょっとウロウロしただけで今回の山登りはおわってしまいました。上高地まで降りてきたら、今日の昼頃の時間帯はさすがに観光客が大勢いて、なかなかにぎわっていました。今回は、良い写真は少ないのですが、現像ができたら後日アップします。
2011.05.04
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先日の記事で、浜岡原発は停止すべきだということを書きました。今回は、その続編です。浜岡原発が危険な存在であることは、おそらく中部電力地震も認識しているのだろうと思います。なぜなら、1号機と2号機はすでに運転を停止して、廃炉が発表されているからです。廃炉の発表は2008年、運転停止は2009年のことであり、その時点で運転開始から33年しか経っていませんでした。福島第一原発1号機は運転開始から40年経過して、事故が起こるまでは廃炉の計画なんかまったくありませんでしたから、そこから考えると、33年で廃炉を決断したのは、「このまま使い続けるのはマズイ」という判断があったものと思われます。折しも、1・2号機運転終了の7ヶ月後に、静岡沖で地震がありました。地震のマグニチュードは6.5。最大震度は、御前崎(原発の所在地)ほか静岡県内の数カ所で6弱を記録しています。今回の東日本大震災どころか、その余震と比べても、遙かに規模の小さな地震ですが、浜岡原発5号機(2005年に運転開始した最新鋭機)では488ガルの揺れを記録しています。これは、耐震設計の想定を上回るものでした。もちろん、想定を少しでも超えたらただちにぶっ壊れる、というものではありません(もっとも、多少の損傷はあったようですが)。しかし、マグニチュード6.5、最大震度6弱で耐震設計の想定をオーバーしているようでは、本物の東海地震が来たら、果たして・・・・・・・。近年の著名な地震での揺れの最大記録は以下のとおりです。1995年阪神淡路大震災 818ガル2007年能登半島沖地震 945ガル2004年新潟中越地震 2515ガル2011年東日本大震災 2933ガル2008年岩手・宮城内陸地震 4022ガルこれを見れば明らかなように、488ガルで想定を超えているようでは、まるっきり話にならないのです。その後、中部電力は1000ガルまで耐えられるように耐震補強を行ったとされています。しかし、上記のように2000ガルを超えるような揺れが、どの地震でも記録されている。1000ガル対応の補強工事では、そんな地震にはとても耐えられないでしょう。浜岡原発の位置は、東海地震の、過去の例から想定されている震源域の真上にあります。つまり、原発の位置で最大の揺れが観測されることになる可能性は、かなり高い。もちろん、実際には揺れの強さは地盤の条件などにも左右されるので、震源からの距離と完全に比例するわけではないけれど。では、東海地震はいつ起こるのか。過去の例で言うと、東海地震は平均して百数十年ごとに起こっています。ずっと以前の記事に書いた年表を再掲しますと、過去400年間の東海/東南海/南海地震(およびそれと連動した周辺の地震)の発生履歴は以下のようになります。1946年12月21日 南海地震 M8.01945年1月13日 三河地震 M6.81944年12月7日 東南海地震 M7.91855年11月11日 安政江戸地震 M 6.91854年12月24日 安政南海地震 M8.41854年12月23日 安政東海地震(東南海含) M8.41854年7月9日 安政伊賀地震 M7.61707年10月28日 宝永地震(東海・東南海・南海同時発生)M8.4~8.71703年12月31日 元禄地震(元禄関東地震)M8.11605年2月3日 慶長地震(東海・東南海・南海同時発生)M7.9~8目下のところ、最後に起きた東海地震は、1854年の安政地震です。ただし、太平洋戦争末期と敗戦直後に東南海/南海地震は起こっています。このときは、しかし東海地震は連動しなかった。つまり、戦中戦後の東南海/南海地震を起点として考えれば、それからまだ約65年しか経っていないけれど、最後の東海地震(安政地震)を起点として考えれば、既に150年以上が経過しているわけです。過去の例から判断する限り、東海地震は単独で起こることはなく、必ず東南海地震か南海地震(またはその両方)と連動しています。その前提に立てば、前の地震からはまだ約65年しか経っていない、と見なすことは不可能ではありません。そういう前提に立てば、「当分次の地震は来ないだろう」ということになるでしょう。ただ、そんな楽観的な見通しに与する自信は、私にはありません。普通に考えれば、前回の東海地震から150年以上も経過しているんだから、次の東海地震がいつ起こっても、明日起こってもまったく不思議はありません。しかも、今回の震災以降、明らかに各地の地震活動は活発になっています。中央防災会議は、東海地震の発生確率について、従来今後30年以内に87%としてきました。しかし、この発生確率も今回の地震によって見直されるようです。見直すといっても、87%より上と言ったら、90%でも99%でもたいした違いはありませんが。おそらく、30年以内という前提条件が、もっと短い年数に改められるのだろうと(たとえば10年以内とか)思います。ま、いずれにしても、東海地震は「いつ」かは分かりませんが、いずれにしても必ず来る、そういう前提でいなくてはなりません。地震を食い止めることは、人間の力では不可能ですが、そのときに、せめて東京の頭上に放射能が降り注ぐ事態だけは、人間の力によって可能です。その手段は、浜岡原発を止めるということしかありません。
2011.05.01
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