以上の二つのパターンで、動詞の多くはカバーできるのだが、「n」ではなく、「t」で終わるものも存在する。数は多くないにもかかわらずいくつかのパターンがあるのだが、原形の長母音が短母音化すると覚えておくと、少しは楽になる。一つ前のとは逆のパターンになる。一つは「-ít」「-ýt」で終わるもので、受身形はそれぞれ「-it」「-yt」で終わることになる。例えば「vypít」が「vypit」、「krýt」が「kryt」になる類である。
二つ目は、原形が「-nout」で終わるもののうち、特に「-nout」の前が母音になっている動詞で、受身形は、「-nut」で終わる。「ou」が「u」に変わるだけである。例えば「minout」からは「minut」という形が作られる。前に来るのが子音でもこの形をとるものもあって、一番よく使うのは「rozhodnout」からできる「rozhodnut」だろうか。Aのところで例に挙げた「tisknout」も「tisknut」という形で使っても間違いではない。
ということでまとめておこう。
受身形の作り方
B 受身形の語尾が「-án」となるもの。
?原形が「-at」でおわる。「-ovat」で終わるものも含む。
d?lat → d?lán
p?idat → p?idán
p?ipravovat → p?ipravován
?A原形が「-át」でおわる。
dát → dán
psát → psán
C 受身形の語尾が「-t」となるもの。
?原形が「-ít」「-ýt」で終わる。受身形は「-it」「-yt」。
pít → pit
u?ít → u?it
ukrýt → ukryt
?A原形が「-nout」でおわる。受身形は「-nut」。
kynout → kynut
dotknout → dotknut (dot?enも可)
?例外「-jmout」→「-jat」、「-jet」→「-jet」他
obejmout → objat
p?ijmout → p?ijat
p?ejet → p?ejet
vzít → vzat
実際に受身形を作る場合には、AとCで悩むことになるのだが、AでうまくいかなかったらCでやってみるぐらいの気持ちでいいのではないだろうか。Cの?なんて、使えるとチェコ語ができるようになった気がするから、ついつい使ってしまうけど、実際には使わずに済ませることも可能である。
さて、動詞「být」以外との組み合わせでの使い方も紹介しておこう。これは、中世単数形の「-o」で終わる形を使うのだが、一つは動詞「mít」とともに使う。レストランなんかで注文を取りに来た人に、「Máte u? vybráno?」と聞かれたことがある人は多いだろう。意味は「もう選びましたか」といういみなので、「U? jste vybral?」でもいいはずなのだが、「Máte u? vybráno?」が使われることが多い。
これに準じて、「U? mám rozhodnuto(もう決めた)」とか、「U? máme vyhráno(もう勝った)」「Mám p?e?teno(読んでしまった)」など、日本語だと受身にしないような場合でも動詞の受身形の単数中性を使って表現してしまえる。これだと性も単複も気にしなくていいという利点もある。
それから忘れてはいけないのが、特定の副詞と動詞の受身形が結びついた慣用表現的なものである。これも単数中性の形を使うのだが、一番よく使う動詞は「?íct」つまりその受身形の「?e?eno」である。「Up?ímn? ?e?eno(率直に言うと)」「Jednoduše ?e?eno(簡単に言うと) 」「Jinak ?e?eno(別な言い方をすると)」なんかは、ついつい必要以上に使ってしまう。他にも「vzít」の受身形を使って、「Obecn? vzato(一般的な理解をすると)」なんてものあるけど、これはなぜか自分では使わない。
繰り返しになるけれども、動詞の受身形の使い方で一番大切なのは、動詞「být」と組み合わせて述語として使う使い方である。性と単複の違いによる語尾の違いはとにかく覚えてしまわなければならない。動詞の受身形を名詞の前に持ってきて格変化させたいときには、形容詞の硬変化の語尾をつけて、形容詞と同じように使ってみよう。大抵は、辞書に形容詞として立項されていなくても使えるはずである。
受身に関して他にも書くべきことがあったような気がするのだが、それはまた思い出したときに書くことにして、ひとまずこれでお仕舞い。
2019年3月14日23時。
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